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審決分類 審判 全部申し立て   F16B
管理番号 1047002
異議申立番号 異議2001-70236  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-01-16 
確定日 2001-08-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2605510号「ソケットへのサプライ管接続構造」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2605510号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第2605510号の請求項1に係る考案についての出願は、平成5年11月22日に実用新案登録出願されたもので、平成12年5月19日にその実用新案権の設定登録がなされ、その後、その実用新案登録について、実用新案登録異議申立人・山縣 博より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年6月4日に意見書提出と共に訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否について

1.訂正の内容
(1)訂正事項a
実用新案登録第2605510号に係る明細書又は図面(以下、「実用新案登録明細書」という。)における実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る記載
「【請求項1】 先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットにサプライ管を接続したソケットへのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするソケットへのサプライ管接続構造。」を
「【請求項1】 先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットに給水又は給湯用のサプライ管を接続したソケットへのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするソケットへのサプライ管接続構造。」と訂正する。
(2)訂正事項b
実用新案登録明細書の段落【0010】の記載
「【課題を解決するための手段】本考案のソケットへのサプライ管接続構造は、先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットにサプライ管を接続したソケットへのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするものである。 」を
「【課題を解決するための手段】本考案のソケットへのサプライ管接続構造は、先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットに給水又は給湯用のサプライ管を接続したソケットへのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、 該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするものである。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項のの追加の有無及び拡張・変更の存否
(1)上記訂正事項aは、「サプライ管」を「給水又は給湯用のサプライ管」に限定しようとするものであり、「給水又は給湯用の」という構成は、実用新案登録明細書の段落【0001】の「【産業上の利用分野】本考案はソケットへのサプライ管接続構造に関するものであり、詳しくは、例えば水栓の給水管や給湯管を逆止弁や止水栓等に接続する場合に好適に用いられるソケットへのサプライ管接続構造に関する。」の記載に基づくものであり、この訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当するものである。またこの訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(2)上記訂正事項bは、実用新案登録請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明との整合を図るもので、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。またこの訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.実用新案登録異議の申立てについて

1.異議申立ての理由の概要
実用新案登録異議申立人・山縣 博 は、本件実用新案登録第2605510号の請求項1に係る考案に係る出願の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(実願昭56-102340号(実開昭58-9587号)のマイクロフィルム)(以下、「刊行物1」という。)、甲第2号証(実願平2-128651号(実開平4-84887号)のマイクロフィルム)(以下、「刊行物2」という。)、甲第3号証(実公平4-25583号公報)(以下、「刊行物3」という。)を提示し、本件考案は、刊行物1?3に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものであつて、実用新案法第3条第2項に該当するから、実用新案登録を取り消すべき旨主張している。

2.本件考案
前述のとおり本件訂正が認められたことにより、本件請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、下記に示すとおりのものである。
【請求項1】 先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットに給水又は給湯用のサプライ管を接続したソケットへのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするソケットへのサプライ管接続構造。

3.刊行物1?3に記載された考案

(1)刊行物1には、次の技術事項が記載されている。
「1.対の流体配管の端部をオーリングを介して相互嵌合させ、外側に位置する配管の端部には第一の外向きフランジを設け、一方、内側に位置する配管には該第一の外向きフランジに軸方向で対向する第二の外向きフランジを設け、かつ相対向状態にある該第一および第二の外向きフランジの外側に嵌合装着されて相互離反を係止する連結装置を設けてなる流体配管の接続部において、上記連結装置は、ばね性を持つ帯板を上記流体配管の外周に装着される形状に変形させてなる作用部を含み、該作用部は該帯板の長手方向で間隔をおいた複数箇所に上記第一および第二の外向きフランジを部分的に受け入れる窓又は凹所を有していることを特徴とする流体配管の接続部。」(実用新案登録請求の範囲 )
以上の記載事項及び第1図および第2図の記載からみて、上記刊行物1には以下の考案(以下、「引用考案」という。)が記載されているものと認める。

「先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状の流体配管1先端部に外向きフランジ4が設けられており、流体配管2は、管軸方向の途中部分に外向きフランジ5が設けられ、先端側の外周にオーリング3が装着されており、流体配管2の外向きフランジ5と流体配管1の外向きフランジ4とを対峙させるようにして流体配管2の先端側が流体配管1に挿入され、該オーリング3が流体配管1の外向きフランジ4よりも奥側に位置しており、これらの外向きフランジ4又は外向きフランジ5が連結装置6にて拘束されている接続部。」

(2)刊行物2には、次の技術事項が記載されている。
「周方向に連続したリング状の屈曲山を連設し、一端側に直管部を設けたフレキシブルチューブと、このフレキシブルチューブに外装したブレードと、一端側の外周に連続した凸条を有するとともに、この凸条の側部に弾性部材を外装し、これら凸条と弾性部材を前記フレキシブルチューブの直管部に挿入した接続管と、前記フレキシブルチューブに、このフレキシブルチューブと接続管との重合部に外装され、前記フレキシブルチューブと弾性部材とが密着するように狭圧して固定されたカラーと、からなることを特徴とするフレキシブルチューブの接続構造。」(実用新案登録請求の範囲)

(3)刊行物3には、次の技術事項が記載されている。
イ.「コルゲート管の管端を軸方向あるいは径方向に圧縮形成したおおむね平坦な円筒部を、継手本体に形成された接続管の外周に軟質体を介して嵌合し、締付けバンドにて締付け固定したことを特徴とするコルゲート管用の管継手装置。」(実用新案登録請求の範囲)
ロ.「また管継手15は、継手本体16と該継手本体16に連設された接続管17とで構成されており、該接続管17の外径は、前記コルゲート管11の管端に圧縮形成された円筒部14の内径より僅かに小さく形成されている。そしてコルゲート管11の円筒部14は、接続管17の外周にゴム等の軟質体18を介して嵌合され、外周側から締付けバンド19にて締付けられて管継手15に固定される。」(2頁3欄9行?17行)

4.本件考案と刊行物1?3に記載された考案との対比・判断
A.対比
本件考案と引用考案を対比すると、引用考案の「外向きフランジ4」は本件考案の「フランジ」に相当し、以下同様に、「外向きフランジ5」は「フランジ」に、「オーリング3」は「シールリング」に、「連結装置6」は「クリップ」に、それぞれ相当するものと認められるので、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状の一方の流体配管の先端部にフランジが設けられており、他方の流体配管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該一方の流体配管のフランジと他方の流体配管のフランジとを対峙させるようにして他方の流体配管の先端側が一方の流体配管に挿入され、該シールリングが一方の流体配管のフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されている管接続構造。
[相違点]
a.本件考案は、屈曲可能なサプライ管を中継管を介して、ソケットに接続する接続構造に関するものであるのに対し、引用考案は、2つの流体配管における接続構造に関するものである点。
b.本件考案は、サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられているのに対し、引用考案は、そのような構成を具備していない点。
c.本件考案は、給水又は給湯用のサプライ管を屈曲可能に構成し、該サプライ管を中継管を介しソケットに接続したのに対し、引用考案は、そのような構成を具備していない点。
B.当審の判断
そこで相違点について検討する。
相違点aについては、刊行物3に記載された考案には、前記技術事項イ及びロの記載からみて、屈曲可能なコルゲート管11の先端に管継手15の一方が挿入され、該コルゲート管11の外周に装着された締付けバンド19によってコルゲート管11が締め付けられることにより該コルゲート管11に管継手15の一方が取り付けられ、該管継手15の他方に取り付け部を有する管継手装置が開示されており、管と管を接続するに際し、直接接続するか、管継手のような中継管を用いるかは、当業者が適宜選択し得ることで、このような事項は慣用されている技術に過ぎない。してみると、引用考案の接続構造を相違点aにおける本件考案の中継管とソケット間の接続構造に転用することは当業者であればきわめて容易に想到し得たものと認める。
相違点bについては、刊行物3にも記載されているが、屈曲可能ないわゆる可撓管の先端に中継管に相当する管継手の一方が挿入され、該可撓管の外周に装着された締付けバンドによって締め付ける構成が開示されているように一般に慣用されている技術に過ぎない。
相違点cについては、従来水栓を洗面台等に設置した場合、給水又は給湯用のサプライ管には銅製等のものを用い、ソケットへのサプライ管接続構造においては、袋ナットの接続方式が採用されていたので、明細書に記載されているように「使われる部品の形状が複雑であるため、部品のコストが高くなる。また、サプライ管をソケットに接続する作業が煩雑となる。ことに、水栓の給水受入口等と逆止弁等との距離に合わせて銅製等のサプライ管を切断する必要がある。この切断作業は煩雑であり、サプライ管を短く切断してしまった場合には接続できなくなってしまう。」(登録公報、段落【0008】参照)という欠点があつた。それに加え、同明細書に記載されているように「袋ナットの締め付け量の調整が困難であり、袋ナットを強く締め過ぎた場合にはパッキンが劣化し易くなったり、切れてしまう恐れがあり、又締め付けが不足した場合には、漏水の恐れが生じる恐れがある。」(登録公報、段落【0009】参照)などの問題もあった。
そこで、本件考案は、水栓を洗面台等に設置する場合、従来の銅製等のサプライ管に代えて、その構成自体は周知の屈曲可能ないわゆる可撓管を給水又は給湯用のサプライ管に適用し、該サプラス管を中継管を介しソケットに接続するようにしたので、サプライ管は自在に任意形状に変形し得る構成となっているため、明細書に記載されているように「ソケットへのサプライ管接続構造においては、サプライ管の先端の中継管をソケットに差し込んでクリップによって両者のフランジを拘束するだけでサプライ管とソケットとを接続できる。この接続に際しては、サプライ管を切断してその長さ調整を行うことが全く不要である。」(登録公報、段落【0022】参照)という利点を有し、また、このように構成されたソケットへのサプライ管接続構造においては、ソケットの先端部に、他方に屈曲可能なサプライ管が取り付け用リングで取り付けられた中継管を挿入し、これらのフランジ同志を対面させ、クリップで拘束することにより、ソケットとサプライ管は容易に接続される。従って、この接続に際しては、工具は全く不要であつて非熟練作業者でも容易に手早く行える。という利便性も有している。
即ち、水栓を洗面台等に設置する場合、屈曲可能ないわゆる可撓管を給水又は給湯用のサプライ管に適用することにより、サプライ管とソケットとの接続を中継管を介しきわめて容易に且つシール性もきわめて良好に行うことができる等の明細書記載の格別の作用効果を奏するものと認められる。
したがつて、上記相違点cに係る本件考案の構成とすることは、引用考案、刊行物2及び刊行物3に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものとは認めることができない。

IV.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によつては本件請求項1に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
ソケットヘのサプライ管接続構造
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットに給水又は給湯用のサプライ管を接続したソケットヘのサプライ管接続構造において、
該ソケットの先端部にフランジが設けられており、
該サプライ管は屈曲可能に構成されており、
該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、
該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、
該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするソケットヘのサプライ管接続構造。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はソケットヘのサプライ管接続構造に関するものであり、詳しくは、例えば水栓の給水管や給湯管を逆止弁や止水栓等に接続する場合に好適に用いられるソケットヘのサプライ管接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
水栓を洗面台等に設置した場合、銅製のサプライ管(給水管又は給湯管)を介して、該水栓の給水受入口や給湯受入口を逆止弁や止水栓に接続することが行なわれている。
【0003】
第5図は、そのような一例を示すものであり、洗面カウンター1に湯水混合水栓2が設置されている。この湯水混合水栓2の給水受入口及び給湯受入口(図示略)にサプライ管として給水管3と給湯管4が接続され、該給水管3及び給湯管4はそれぞれ逆止弁5、6に接続されている。
【0004】
この給水管3、給湯管4等と逆止弁5、6等との接続に採用される構造について第6図を参照して説明する。
【0005】
上記給水管3及び給湯管4に相当する配管たるサプライ管7がソケット8(上記逆止弁5、6のバルブボディーに相当する。)の通水孔9に挿入され、袋ナット10により抜け止めされている。ソケット8の先端面8aと袋ナット10の凹底面10aとの間には、リング状のパッキン11及びワッシャ12が介在されている。
【0006】
袋ナット10の中心孔10aはテーパ状となっており、この中心孔10aにリング状の楔13が設けられている。この楔13の外周面は図示の通りテーパ状となっており、内周面にはサプライ管の外周面に食い込む爪状の突起(図示略)が設けられている。
【0007】
袋ナット10をソケット8の先端部の雄ねじ8bに強く締め込むと、リング状の楔が縮径方向に押圧される。そして、楔の内周面の突起がサプライ管7の外周面に強く押し付けられ、これによってサプライ管7の抜けが防止される。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
上記従来のソケットヘのサプライ管接続構造においては、サプライ管7の抜け防止のために使われる部品の形状が複雑であるため、部品のコストが高くなる。また、サプライ管7をソケット8に接続する作業が煩雑となる。ことに、水栓の給水受入口等と逆止弁等との距離に合わせて銅製のサプライ管を切断する必要がある。この切断作業は煩雑であり、サプライ管を短く切断してしまった場合には接続できなくなってしまう。
【0009】
加えて、袋ナットの締め付け量の調整が困難であり、袋ナットを強く締め過ぎた場合にはパッキンが劣化し易くなったり、切れてしまう恐れがある。締め付けが不足した場合には、漏水の恐れがある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本考案のソケットヘのサプライ管接続構造は、先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットに給水又は給湯用のサプライ管を接続したソケットヘのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、
該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
本考案のソケットヘのサプライ管接続構造においては、ソケットの先端部及び中継管の管軸方向の途中部分にフランジが設けられており、これらのフランジ同士を対峙させ、クリップで拘束することにより、ソケットとサプライ管とが接続される。なお、サプライ管は自在に任意形状に変形可能であるため、ソケットヘの接続に際し、切断は一切不要である。
【0012】
【実施例】
以下、図面を参照して実施例について説明する。第1図?第4図は本考案の実施例に係るソケットヘのサプライ管接続構造を示すものであり、第1図はソケットヘのサプライ管接続構造を示す縦断面図、第2図はソケットヘのサプライ管接続構造を示す分解斜視図、第3図はクリップをフランジに拘束する状態を示す分解斜視図、第4図はソケットヘのサプライ管接続構造を示す側面図である。
【0013】
ソケット13は先端から軸心線方向に延在する挿通孔13aを備えている。ソケット13の先端部にはフランジ14が設けられている。サプライ管15はSUSメッシュのブレード16により構成される外層とEPDM等の軟質合成樹脂チューブ17により構成される内層との2層構造になっており、自在に任意形状に変形し得るようになっている。
【0014】
サプライ管15の先端には、中継管18の後端部が挿入されている。サプライ管15の外側から取り付け用リング19がサプライ管15の該先端部を覆うように巻装され、取り付け用リング19がかしめられることにより、サプライ管15に中継管18が取り付けられている。
【0015】
中継管18の管軸方向の途中部分にフランジ20が設けられている。また、中継管18の先端側の外周の凹溝18aにシールリングとしてOリング21が装着されている。
【0016】
中継管18のフランジ20とソケット13のフランジ14とを対面させるようにして中継管18の先端側がソケット13に挿入され、これらのフランジ14,20がクリップ22にて拘束されている。なお、図1の通り、Oリング21はソケット13のフランジ14よりも奥側に位置する。このクリップ22は略Ω字形状の金具であり、相対する双方の側面部22aにスリット状の開口22bが設けられている。この開口22bにフランジ14,20を呑み込ませるように係合させることにより、フランジ14,20同志が拘束される。
【0017】
このように構成されたソケットへのサプライ管接続構造においては、ソケット13の先端部に中継管18を挿入し、これらのフランジ14,20同志を対面させ、クリップ22で拘束することにより、ソケット13とサプライ管15は容易に接続される。この接続に際しては、工具は全く不要である。そして、非熟練作業者でも容易に接続作業を行える。
【0018】
また、サプライ管15は自在に任意形状に(即ち、所謂グニャグニャと)変形し得る構成となっているため、ソケット13への接続に際してサプライ管15を切断して長さ調節する必要はなく、ソケット13と水栓等との距離の長短に関わりなく極めて容易にソケット13とサプライ管15とを接続することができる。
【0019】
この接続構造において、中継管の先端側の外周にOリング21が装着されているため、接続後の漏水は確実に防止される。
【0020】
本実施例において、サプライ管15はSUSメッシュブレード16及びEPDM等の合成樹脂チューブ17の2層構造となっているが、自在に変形可能な構成であれば、本実施例の構成に限定されるものではない。
【0021】
上記実施例では、フランジ14,20が直接に接するように対面されているが、フランジ同志の間に距離があくように構成されても良い。例えば、フランジ14はソケット13の先端から若干離れて(第1図において図示の位置よりも下方の位置に)設けられても良い。
【0022】
【考案の効果】
以上の通り、本考案のソケットヘのサプライ管接続構造においては、サプライ管の先端の中継管をソケットに差し込んでクリップによって両者のフランジを拘束するだけでサプライ管とソケットとを接続できる。この接続に際しては、サプライ管を切断してその長さ調整を行うことが全く不要である。この接続作業は極めて簡単であり、工具も必要とせず、非熟練作業者であっても容易に手早く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ソケットヘのサプライ管接続構造を示す縦断面図である。
【図2】
ソケットヘのサプライ管接続構造を示す分解斜視図である。
【図3】
クリップをフランジに拘束する状態を示す分解斜視図である。
【図4】
ソケットヘのサプライ管接続構造を示す側面図である。
【図5】
従来例において水栓と逆止弁及び止水栓を連結した構造を示す縦断面図である。
【図6】
従来例においてサプライ管をソケットに連結した構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
13 ソケット
14,20 フランジ
15 サプライ管
16 ブレード
17 合成樹脂チューブ
18 中継管
19 取り付け用リング
21 Oリング
22 クリップ
訂正の要旨 (1)訂正事項a
実用新案登録第2605510号に係る明細書又は図面(以下、「実用新案登録明細書」という。)における実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る記載
「【請求項1】 先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットにサプライ管を接続したソケットへのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対時させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするソケットヘのサプライ管接続構造。」を実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットに給水又は給湯用のサプライ管を接続したソケットヘのサプラノ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするソケットヘのサプライ管接続構造。」と訂正する。
(2)訂正事項b
実用新案登録明細書の段落【0010】の記載
「【課題を解決するための手段】本考案のソケットヘのサプライ管接続構造は、先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットにサプライ管を接続したソケットヘのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするものである。」を明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【課題を解決するための手段】本考案のソケットヘのサプライ管接続構造は、先端面から軸心線方向に延在する挿通孔を備えた筒状のソケットに給水又は給湯用のサプライ管を接続したソケットヘのサプライ管接続構造において、該ソケットの先端部にフランジが設けられており、 該サプライ管は屈曲可能に構成されており、該サプライ管の先端に中継管の後端部が挿入され、該サプライ管の外周に装着された取り付け用リングによって該サプライ管が締め付けられることにより該サプライ管に該中継管が取り付けられており、該中継管は、管軸方向の途中部分にフランジが設けられ、先端側の外周にシールリングが装着されており、該中継管のフランジと該ソケットのフランジとを対峙させるようにして該中継管の先端側が該ソケットに挿入され、該シールリングが該ソケットのフランジよりも奥側に位置しており、これらのフランジがクリップにて拘束されていることを特徴とするものである。」と訂正する。
異議決定日 2001-07-19 
出願番号 実願平5-62668 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (F16B)
最終処分 維持    
前審関与審査官 山下 喜代治仁木 浩  
特許庁審判長 船越 巧子
特許庁審判官 常盤 務
秋月 均
登録日 2000-05-19 
登録番号 実用新案登録第2605510号(U2605510) 
権利者 株式会社イナックス
愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地
考案の名称 ソケットへのサプライ管接続構造  
代理人 重野 剛  

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