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審決分類 審判 全部申し立て   A45D
管理番号 1047005
異議申立番号 異議2000-73050  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-04 
確定日 2001-08-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2603190号「棒状化粧品容器におけるキャップの嵌合構造」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2603190号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2603190号の請求項1に係る考案は、平成5年12月17日に実用新案登録出願され、平成11年12月17日に実用新案権の設定登録がなされ、その後、その実用新案登録について異議申立人 羽田野恵三 及び異議申立人 伊藤孝 より実用新案登録異議申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年4月13日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
平成13年4月13日になされた訂正請求は、明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるもので、その内容は以下のa.?d.のとおりである。
a.実用新案登録請求の範囲の【請求項1】の「該キャップ2の深奥部に下向開口の樹脂製のインナー3を設置し、」を、「該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を設置し、」と訂正する。
b.明細書【0005】段落の「該キャップ2の深奥部に下向開口の樹脂製のインナー3を設置し、」を、「該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を設置し、」と訂正する。
c.明細書【0007】段落の「このキャップ2の深奥部に下向開口の樹脂製のインナー3を嵌入固定し、」を、「このキャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を嵌入固定し、」と訂正する。
d.明細書【0008】段落の「該キャップ2の深奥部に下向開口の樹脂製のインナー3を設置し、」を、「該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって、樹脂製のインナー3を設置し、」と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
訂正事項a.は、請求項1に記載されたインナー3の形状について「筒状であって」なる限定を加えるものであって、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、この訂正事項a.は、明細書の【0007】段落の「尚インナー3は身筒1の外形に対応した形状であつて、外形的には丸形、三角形、四角形その他の多角形が考えられるが、」なる記載並びに図面の【図1】及び【図2】から直接的かつ一義的に導き出せるものであるから、新規事項の追加に該当しない。しかも、インナーの形状を「筒状であって」と限定したことにより本件考案の課題や効果が変わるものでもないから、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項b.?訂正事項d.は、いずれも、訂正事項a.による訂正に整合させて明細書の記載を訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。また、この訂正事項b.?訂正事項d.は、いずれも、訂正事項a.について述べた理由と同じ理由で、新規事項の追加に該当せず、しかも、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成11年改正法附則第15条の規定による改正後の平成6年改正法附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.異議申立てについて
3-1.本件考案
実用新案登録第2603190号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「身筒1の開口部にキャップ2を着脱自在に嵌合し、該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を設置し、該インナー3の内周面が前記身筒1の外周面に嵌合するようになる構成において、前記インナー3の内壁面縦方向に前記身筒1の外側に密接するリブ4を突設すると共に、該リブ4の背面位置のインナー壁部にリブ4と同一方向の凹溝5を形成して該部分の壁厚を他所に比し薄くしたことを特徴とする棒状化粧品容器におけるキャップの嵌合構造。」

3-2.申立ての理由の概要
異議申立人 羽田野恵三は、証拠方法として、
甲第1号証(実公昭58-1485号公報)、
甲第2号証(実公昭63-18980号公報)、及び、
甲第3号証(実願昭59-112590号(実開昭61-28690号)のマイクロフィルム)
を提出し、本件考案は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである、と主張している。
また、異議申立人 伊藤孝 は、証拠方法として、
甲第1号証(実公昭58-1485号公報)、
甲第2号証(実願昭63-111661号(実開平2-32723号)のマイクロフィルム)、
甲第3号証(実願昭56-107308号(実開昭58-14355号)のマイクロフィルム)、及び、
甲第4号証(実願平4-28013号(実開平5-80410号)のCD-ROM)
を提出し、本件考案は、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである、と主張している。

3-3.甲各号証に記載された事項
異議申立人 羽田野恵三 と 異議申立人 伊藤孝 が共に甲第1号証として提出した実公昭58-1485号公報には、
「アルミニウム等の適宜金属製の有頂板筒形状の外ケース1内上端部に所望弾性を有する合成樹脂製キャップ本体2をきつく嵌合組付けして成るキャップであって、前記キャップ本体2を、外ケース1の周胴1b内径と等しいかやや大きい外径をもつ有頂板2a短筒形状をした周壁2bの外周面に所定中心角毎に後退面2eを成形し、該後退面2eを下方に延長する形態で周壁2b下面から垂下弾片2cを一体に垂下設し、該垂下弾片2cから周壁2bにかけての内面に、キャップ本体2内に挿入される容器本体3の外周面に突出端を強く押付ける突出高さで縦突条形状の押圧突片2dを条設して構成したキャップ。」(実用新案登録請求の囲)が図面と共に記載されており、またこの「キャップ」に関し、
「口紅容器等の密封をあまり要さない容器用の2重構造となったキャップに関するもの」(第1頁第1欄31,32行)であること、
「外ケース内に嵌装固定されるキャップ本体である弾性部材を弾性ある合成樹脂で製作し、容器本体に弾接するキャップ本体部分と外ケースとの間に間隙を形成してキャップ本体の弾性変形を有効に発揮させ」(第1頁第2欄28?32行)ること、
「図示した実施例は、円筒形状をした容器本体3に組付けられるキャップを示したもので、このキャップの外観を形成する外ケース1は、アルミニウム等の適当な金属によって有頂板円筒形状に成形されていて、・・・。
この外ケース1内の上端部に嵌装固定されるキャップ本体2は、弾性のある合成樹脂で一体成形されたもので、外ケース1の頂板1a下面に当接する頂板2aを有する短円筒体を母体とし、この短円筒体を形成する前記外ケース1の周胴1bの内径と等しいかやや大きい外径を有する周壁2bの外周面に所望中心角毎・・・に周胴1b内周面との間に間隙を形成する後退面2eを成形し、この後退面2eを下方に延長する形態で、周壁2b下面から所望長さのかつ比較的弾性変形し易い肉厚で垂下弾片2cを一体に垂下設し、この垂下弾片2cから周壁2b にかけての内面に、突出端が嵌入される容器本体3の外面に強く弾接する程度の突出高さで縦突条形状の押圧突条2dを条設して構成されている。」(第2頁第3欄2?22行)こと、
「第2図および第5図から明らかな如く、押圧突条2dは垂下弾片2cの中央、すなわち周壁2bおよび垂下弾片2cの肉厚が最も薄くなって弾性変形し易くなつている箇所に成形するのが良い。
これは、押圧突条2d単体の弾力だけでなく、周壁2bおよび垂下弾片2cの弾力をもキャップの容器本体3への嵌合組付き保持力に作用させることができるからである。」(第2頁第3欄30?38行)こと、及び
「キャップ本体2による容器本体3への組付き力は、キャップ本体2を成形している合成樹脂材料のもつ弾性だけではなく、外ケース1とキャップ本体2との間に形成される間隙をも利用しているのて、長期間一定した保持力を発揮することができ、これによって長期間安定したキャップの着脱動作を得ることができる。」(第2頁第4欄11?17行)ことが記載されている。

異議申立人 羽田野恵三 が提出した甲第2号証には、「化粧品容器」について図面と共に下記の事項が記載されている。
「回転繰出式の容器本体Aと該容器本体Aに着脱自在に被嵌せしめる蓋体Bとなる構成において、ゴム或いは軟質樹脂等の柔軟性資材よりなり、前記容器本体Aの上部が着脱自在に嵌入する倒皿状の帽体1を前記蓋体Bの上部内側に固定し、該帽体1の内周壁面に前記容器本体Aの外周面が密接する環状の気密リブ2を突設する・・・」(実用新案登録請求の範囲 前段)こと、及び、
「本案は、アイシャドーの如き揮発性化粧料の乾燥固化防止に有益な化粧容器に関する」(第1頁第1欄16,17行)こと。
さらに、実施例を示す第1図乃至第7図から、帽体1の内周壁面に容器本体の外周面が密接する環状のリブ2が設けられ、帽体1の外周壁面のリブ2の背面位置にリブ2と同一方向の環状の凹部が設けられおり、この環状の凹部が設けられた部分の壁厚は他所に比し薄くなっていることが窺える。

異議申立人 羽田野恵三 が提出した甲第3号証には、
「筆記具の頭部に嵌装するキャップにおいて、薄肉部を形成し、その薄肉部内面に突起を設けたことを特徴とするキャップ。」(実用新案登録請求の範囲)が、 その第1実施例を示す半断面を含む正面図である第1図、第1図におけるA-A断面図である第2図、及び嵌合状態における断面図である第3図と共に記載されており、また、
「本考案で薄肉部は薄肉による適度な弾性を確保する也、弾性による変形時の必要空間を確保し、突起部は嵌合力を点に集中させ、かつ嵌合を容易にする。」(第3頁3?6行)ことが記載されている。
さらに、第1図及び第2図から、薄肉部1の形状は凹溝状であることが窺える。

異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第2号証には、「固形化粧料容器」に関し、図面と共に下記の事項が記載されている。
「(1)パイプ内に揮発成分を有する化粧料を充填し、このパイプを先軸内に気密内挿し、先軸と回動自在に嵌合する軸筒内の小さい繰出ピッチをもつ繰出機構の摺動軸先端が、パイプ内を気密摺動するようパイプ後端穴に嵌着するとともに先端に嵌着するキャップ内には先軸先端を被嵌する中栓を嵌合固着してなる固形化粧料容器。」(実用新案登録請求の範囲 第1項)、及び、
「先軸に嵌合するキャップ内にも中栓を嵌着して先軸先端を気密的に被嵌するものであ」(第4頁13?15行)ること。
さらに、第1図、第4図及び第6図から、中栓9は、下向開口の筒状であること、及び、中栓9の先軸2又は2’が密着する部分の背面位置の壁部の少なくとも一部に凹部が設けられていることが窺える。

異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第3号証には、「気密缶」について、図面と共に下記の事項が記載されている。
「缶本体の上側に形成した缶口部に缶蓋を嵌合した缶に於いて、上記缶蓋の内側にはその周壁下端から天板周縁部に及ぶ合成樹脂体を装着し、且つ該合成樹脂体の上側部には凹弧状溝を設け、周側部内側には突条を繞らすと共に、上記缶本体の缶口部は缶胴上側を内側に窪め、その上端に上記凹弧状溝内に密着する縁巻部を設け、該縁巻部のやや下方には上記突条に係止する係合縁を繞らしてなる気密缶。」(実用新案登録請求の範囲)、
「本考案は防湿性を重要視する商品、例えば焼きのり、茶等を収納販売するための缶に関するものであって、・・・高度の気密性を具え、・・・ものである。」(第1頁15?19行)こと、及び、
「第1図、第2図において、1は缶本体、2は缶蓋を示す。而して、3は缶蓋2の内側に周壁下端から天板5周縁部に亘り嵌合密着させてある軟質の合成樹脂体であって、その上側部6には凹弧状溝7を設け、周側部8内側には突条9を繞らしてある。10は突条9の反対面に形成した凹条部であって、突条に弾性を付与させるためのものである。」(第2頁1?7行)こと。
さらに、第6図からは、合成樹脂体3の周側部内面に繞らされた突条59の反対面に突条59と同じく横方向に凹条部10が形成されていること、及び、凹条部10の部分の周側部の壁厚が他所に比し薄いことが窺える。

異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第4号証には、「繰出し容器」について図面、特に図3と共に以下の記載がある。
「本考案は、例えば口紅等の棒状化粧料を繰出して使用するのに好適に用いられる繰出し容器に関し、特に、キャップを被着したときに容器内の棒状化粧料等を密封状態に保持できるようにした繰出し容器に関する。」(【0001】段落、第5頁4?6行)こと、及び、
「13は金属板等により有蓋筒状に形成されたキャップを示し、該キャップ13は筒部13Aの上側が蓋部13Bによって閉塞され、筒部13Aの下側が開口端となっている。そして、該筒部13の開口端側内周には筒状の係合環14が固着されている。ここで、該係合環14は図3に示す如く、筒部13Aの内径に対応する曲率をもって円弧状に形成された係合突部としての円弧状部14A,14A,…と、該各円弧状部14A間に位置し、径方向内側に向けて半円状に曲げ形成された複数の屈曲部14Bとからなり、該各屈曲部14Bはキャップ13の筒部13Aとの間に半円形状の通気路14Cを形成している。」(【0016】段落、第8頁20?27行)こと。

3-4.対比、判断
まず、本件考案(前者)と、異議申立人 羽田野恵三 と 異議申立人 伊藤孝 が共に甲第1号証として提出した実公昭58-1485号公報に記載された考案(後者)を対比すると、それらの機能からみて、後者の「容器本体」、「外ケース」、「キャップ本体」は、各々、前者における「身筒」、「キャップ」、「インナー」に相当するものである。そして、後者の「キャップ本体」は、全体として下向開口の形状であるといえ、さらに、後者の「押圧突片」は、前者における「リブ」に相当するから、両者は、
身筒の開口部にキャップを着脱自在に嵌合し、該キャップの深奥部に下向開口の樹脂製のインナーを設置し、該インナーの内周面が前記身筒の外周面に嵌合するようになる構成において、前記インナーの内壁面縦方向に前記身筒の外側に密接するリブを突設した棒状化粧品容器におけるキャップの嵌合構造。
である点で一致し、
前者は、インナーが筒状であって、この筒状のインナーの内壁面縦方向にリブを突設すると共に、該リブの背面位置のインナー壁部にリブと同一方向の凹溝を形成して該部分の壁厚を他所に比し薄くしたものであるのに対し、後者は、インナーが有頂板短筒形状をした周壁の外周面に所定中心角毎に後退面を形成し、該後退面を下方に延長する形態で周壁下面から垂下弾片を一体に垂下設した形状であって、この形状のインナーの垂下弾片から周壁にかけての内面にリブを突設したものである点。
で相違する。
この相違点について、異議申立人 羽田野恵三 が提出した甲第2号証及び甲第3号証、並びに 異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第2号証乃至甲第4号証に記載された事項を検討する。
まず、異議申立人 羽田野恵三 が提出した甲第2号証には、「化粧品容器」が記載されており、その「帽体」は、蓋体Bの上部内側に固定されるものであり、「倒皿状」であることからみて下向開口の筒状であるといえるが、気密性を目的としたものである。よって、帽体の内周壁面に突設された気密リブも、気密性を目的として環状、即ち横方向に突設されており、縦方向に突設されたものではない。
異議申立人 羽田野恵三 が提出した甲第3号証には、「キャップ」について記載されたものであり、突起の背面の周壁に設けられた凹溝状の薄肉部が適度な弾性と変形時の空間保持の作用をし、突起による嵌合を助けることは記載されているものの、本件考案における「インナー」に相当する部材について言及するところはない。
次に、異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第2号証には「固形化粧料容器」について記載されており、その「中栓」は、キャップ先端に嵌着されるものではあるが、気密性を目的としたものである。そして、異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第2号証には「中栓」の構造について具体的な記載はなく、図面からも、中栓が下向開口の筒状であること、及び、中栓の先軸が密着する部分の背面位置の壁部の少なくとも一部に凹部が設けられていることが窺えるだけで、中栓の内壁面の先軸が密着する部分が縦方向に突設されたリブであり、上記凹部が該リブの背面位置にリブと同一方向に設けられた凹溝であるとする根拠はない。
異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第3号証には「気密缶」について記載されており、合成樹脂体の周壁部外側に横方向に設けられた凹条部が周壁部内側に繞らされた突条に弾性を付与することは記載されているものの、この突条は、気密性を目的として横方向に設けられたものであって、縦方向に設けられたものではない。
異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第4号証には「繰出し容器」について記載されているが、異議申立人 伊藤孝 が異議申立書において言及する筒状の係合環はキャップの開口端側内周に固着される部材であり、本件考案における「インナー」に相当するものではない。さらに、異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第4号証を検討しても、本件考案における「インナー」に相当する部材について何ら言及がない。
してみると、異議申立人 羽田野恵三 が提出した甲第2号証及び甲第3号証、並びに 異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第2号証乃至甲第4号証のいずれにも、上記相違点で挙げた本件考案の構成要件である「インナーが筒状であって、この筒状のインナーの内壁面縦方向にリブを突設すると共に、該リブの背面位置のインナー壁部にリブと同一方向の凹溝を形成して該部分の壁厚を他所に比し薄くした」ことは、何ら記載されておらず、またかかる事項を示唆する記載もない。
そして、本件考案は、上記の事項を構成要件としたことにより、充分満足の得られる嵌合状態が得られると共に、高い寸法精度を必要とされず不良品の多発を防ぐという訂正明細書に記載の格別な効果を奏するものである
してみると、本件考案は、異議申立人 羽田野恵三 が提出した甲第1号証乃至甲第3号証、及び 異議申立人 伊藤孝 が提出した甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。

3-5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由及び証拠方法によっては本件考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認めない。
よって、平成6年改正法附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
棒状化粧品容器におけるキャップの嵌合構造
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 身筒1の開口部にキャップ2を着脱自在に嵌合し、該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を設置し、該インナー3の内周面が前記身筒1の外周面に嵌合するようになる構成において、前記インナー3の内壁面縦方向に前記身筒1の外側に密接するリブ4を突設すると共に、該リブ4の背面位置のインナー壁部にリブ4と同一方向の凹溝5を形成して該部分の壁厚を他所に比し薄くしたことを特徴とする棒状化粧品容器におけるキャップの嵌合構造。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【廃業上の利用分野】.
本案はキャップの深奥部に樹脂製のインナーを設置した棒状化粧品容器におけるキャップの嵌合構造に関するものである。
[0002】
【従来の技術】
従来、棒状化粧品容器におけるキャップの嵌合に関してはキャップの深奥部に樹脂製のインナーを設置し、該インナーが身筒の外周面に係合するようになる嵌合構造が知られている。
【0003】
【考案が解決しようとする問題点】
前記従来の構造においては、高度な寸法精度が要求され、部品に若干の寸法的なバラツキが発生した場合は満足のできる嵌合状態を得ることが難しく不良品を多発せしめる欠点があった。
【0004】
本案はこのような欠点を排除し、多少の寸法的なバラツキが発生した場合でも該バラツキを充分に吸収し、極めて良好な嵌合状態の得られる新規のキャップの嵌合構造を提供することを目的としたものである。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
本案は前記の目的を達成するため、身筒1の開口部にキャップ2を着脱自在に嵌合し、該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を設置し、該インナー3の内周面が前記身筒1の外周面に嵌合するようになる構成において、前記インナー3の内壁面縦方向に前記身筒1の外側に密接するリブ4を突設すると共に、該リブ4の背面位置のインナー壁部にリブ4と同一方向の凹溝5を形成して該部分の壁厚を他所に比し薄くした構成に係るものである。
【0006】
【作用】
而して本案はインナー3の内壁面に縦方向リブ4を突設してあり、このリブ4が身筒1の外側面に強めに接触して充分な嵌合状態が得られるものであるが、前記リブ4の背面位置の凹溝5部分の壁厚を薄く形成してあり、これにより該凹溝5部分に程良い弾性が生じこの弾性が寸法的なバラツキを吸収し不良品の発生を防ぐ役目を果すものである。
【0007】
【実施例】
以下本案の具体的構成を図に示す実施例について説明すると、1は身筒、2は該身筒1に着脱自在に嵌合するキャップであって、このキャツブ2の深奥部に下向き開口の筒状であって樹脂製のインナー3を嵌入固定し、該インナー3の内壁面に縦方向のリブ4(複数個の場合が多い)を突設すると共に該リブ4の背面位置のインナー3の壁部にリブ4と同一方向の凹溝5を形成して該部分の壁厚を他所に比し薄く設定したものである。尚インナー3は身筒1の外形に対応した形状であって、外形的には丸形、三角形、四角形その他の多角形が考えられるが、いずれの形状であっても前記リブ4及び凹溝5を形成することにより同じ作用、効果が得られるものである。
【0008】
【考案の効果】
本案は叙上の如く、身筒1の開口部にキャップ2を着脱自在に嵌合し、該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を設置し、該インナー3の内周面が前記身筒1の外周面に嵌合するようになる構成において、前記インナー3の内壁面縦方向に前記身筒1の外側に密接なリブ4を突設すると共に、該リブ4の背面位置のインナー壁部にリブ4と同一方向の凹溝5を形成して該部分の壁厚を他所に比し薄くした構成に係り、インナー3のリブ4が身筒1の外側に強めに接触するもので充分満足の得られる嵌合状態が得られ、又凹溝5を形成し、該部分の壁厚を薄くすることによりリブ4に弾性を付与することが可能となり、これによって寸法的なバラツキが吸収され、従来品のような高い精度を必ずしも必要とされず不良品の多発を防ぐ極めて顕著な効果を発揮するキャップの嵌合構造を提供し得る利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
図面は本案の実施例を示し、
【図1】
キャップの嵌合状態における要部断面図
【図2】
インナーの一部切欠斜視図
【符号の説明】
1 身筒
2 キャップ
5 インナー
4 リブ
5 凹溝
訂正の要旨 本件訂正請求の要旨は、実用新案登録第2603190号の明細書を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするもので、その訂正の内容は、下記a.?d.のとおりである。
a.実用新案登録請求の範囲の【請求項1】の「該キャップ2の深奥部に下向開口の樹脂製のインナー3を設置し、」を、「該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を設置し、」と訂正する。
b.明細書【0005】段落の「該キャップ2の深奥部に下向開口の樹脂製のインナー3を設置し、」を、「該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を設置し、」と訂正する。
c.明細書【0007】段落の「このキャップ2の深奥部に下向開口の樹脂製のインナー3を嵌入固定し、」を、「このキャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって樹脂製のインナー3を嵌入固定し、」と訂正する。
d.明細書【0008】段落の「該キャップ2の深奥部に下向開口の樹脂製のインナー3を設置し、」を、「該キャップ2の深奥部に下向開口の筒状であって、樹脂製のインナー3を設置し、」と訂正する。
異議決定日 2001-08-07 
出願番号 実願平5-75609 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (A45D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平城 俊雅  
特許庁審判長 大久保 好二
特許庁審判官 岡田 和加子
原 慧
登録日 1999-12-17 
登録番号 実用新案登録第2603190号(U2603190) 
権利者 株式会社資生堂
東京都中央区銀座7丁目5番5号 株式会社ヒダン
千葉県柏市花野井627番地
考案の名称 棒状化粧品容器におけるキャップの嵌合構造  
代理人 松丸 国雄  
代理人 松丸 国雄  
代理人 松丸 国雄  
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