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審決分類 審判 全部申し立て   H01B
管理番号 1050172
異議申立番号 異議2000-72959  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2002-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-07-24 
確定日 2001-07-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2602736号「架空送電線」の請求項1ないし5に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2602736号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 (1)手続の経緯
本件実用新案登録第2602736号の手続の経緯は、次のとおりである。
実用新案出願 平成 5年 1月 7日
設定登録 平成11年11月19日
公報発行 平成12年 1月24日
登録異議申立 平成12年 7月24日
取消理由通知 平成12年10月24日
登録異議意見書 平成12年12月27日
訂正請求 平成12年12月27日
取消理由通知 平成13年 5月22日
訂正請求(平成12年12月27日付け)取下
平成13年 6月 5日
訂正請求 平成13年 6月 5日
(2)訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
実用新案登録権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
訂正事項1.実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2を削除する。
訂正事項2.もとの請求項3を繰り上げて請求項1とし、併せて下記のとおりに訂正する。
「【請求項1】鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、
上記テンションメンバが、アラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、レーヨン等の有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したものであることを特徴とする架空送電線。」
訂正事項3.もとの請求項4を繰り上げて請求項2とし、併せて下記のとおりに訂正する。
「【請求項2】鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、
上記テンションメンバが、有機物と金属を複合化して作られたもの又は有機物、無機物の少なくとも一方と樹脂を複合化して作られたものの表面を遮光層で被覆したものであることを特徴とする架空送電線。」
訂正事項4.もとの請求項5を繰り上げて請求項3とし、併せて引用する請求項の記載の「請求項4」を、「請求項2」と訂正する。
訂正事項5.明細書の【0009】の全記載を、下記のとおりに訂正する。
「【課題を解決するための手段】
本考案は、鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、上記テンションメンバが、アラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、レーヨン等の有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したもの、あるいは、上記テンションメンバが、有機物と金属を複合化して作られたもの又は有機物、無機物の少なくとも一方と樹脂を複合化して作られたものの表面を遮光層で被覆したものとした。」
訂正事項6.明細書の【0016】中の「テンションメンバも軽量化できる(Fe、Fe合金製のテンションメンバも熱による弛度増がないので従来品より細くて軽量のものでよい)ことにより、」の記載を、「テンションメンバも軽量化できることにより、」と訂正する。
訂正事項7.明細書の【0017】中の「なお、テンションメンバの軽量化効果は、」の記載を、「このテンションメンバの軽量化効果は、」と訂正し、また、「このような有機物製のテンションメンバも使用可能となった。」の記載を、「このような表面を遮光層で被覆した有機物製のテンションメンバも使用可能となった。」と訂正する。
訂正事項8.明細書の【0020】を削除する。
訂正事項9.明細書の【0021】を【0020】に繰り上げて、下記のとおりに訂正する。
「図1の架空送電線(考案品1)は、テンションメンバ1としてアラミド(デュポン社製 商品名ケブラー)をエポキシ樹脂と複合し、さらに、表面を遮光兼保護用のアルミニウム細線編組物5で覆ったロープを用い、導体2はアルミニウム合金燃線としている。また、接続具3はアルミニウム合金製のものを用い、この接続具をシリコンゴム製のブッシュ4を介して定ピッチでテンションメンバ1に固定し、導体2は非固定にして吊り下げている。」
訂正事項10.明細書の【0022】を削除する。
訂正事項11.明細書の【0023】を【0021】に繰り上げて、下記のとおりに訂正する。
「なお、炭化珪素繊維(日本カーボン社製 商品名ニカロン)をアルミニウムと複合したテンションメンバを用い、他は考案品1と同一構成にした架空送電線(考案品2)も作った。」
訂正事項12.明細書の【0024】を【0022】に繰り上げて、下記のとおりに訂正する。
「図2の架空送電線(考案品3)は、炭素繊維(東レ社製 商品名トレカ)をビスマレイドイミドと複合して作ったロープの表面にシリコン樹脂をコーティングしたものをテンションメンバ1とし、それを2本並列配置にしてその下にアルミニウム撚線の導体2を5本、FRP製の接続具3で吊り下げたものである。接続具3は、シリコンゴムを介してテンションメンバ1、導体2の両者に共に固定してある。」
訂正事項13.明細書の【0025】を【0023】に繰り上げて、下記のとおりに訂正する。
「このほか、炭素繊維(東レ社製 商品名トレカ)をアルミニウムと複合したロープをテンションメンバとし、他は考案品1と同じにした架空送電線(考案品4)も作った。」
訂正事項14.明細書の【0026】を【0024】に繰り上げて、下記のとおりに訂正する。
「次に、導体断面積410mm^(2)のACSR及びこれと同等の導体断面積を有する上記考案品1?3を架線張力5tonf、径間長350mにて実架線した結果を図3に示す。同図の横軸は、ACSRについては電線温度を、考案品についてはテンションメンバの温度上昇がないので導体部の温度を調べた。なお、電流容量は90℃で約800A、210℃で1600Aである。」
訂正事項15.明細書の【0027】を【0025】に繰り上げて、下記のとおりに訂正する。
「この図3から判るように、本考案の架空送電線は、弛度の増加を招かずに従来のACSRよりも増容量化することができる。」
訂正事項16.明細書の【0028】を【0026】に繰り上げて、下記のとおりに訂正する。
「【考案の効果】以上述べたように、本考案の架空送電線は、導体断面積を大きくせずに通電電流を増やしても、紫外線劣化を懸念することなく、有機物の繊維や糸、及び樹脂を用いた軽量のテンションメンバで架線状態を維持することができ、鉄塔等の建て替えを必要とせずに増容量化と低弛度化を実現することができる。」
訂正事項17.明細書の【図面の簡単な説明】の欄の記載を、下記のとおりに訂正する。
「【図1】
a:第1実施例の断面図
b:その側面図
c:接続部の拡大側面図
【図2】
第3実施例の断面図
【図3】
電線の温度と弛度の関係の調査結果を比較して示すグラフ」
訂正事項18.添付の図面中の図1を削除し、「図2」の図番を繰り上げて「図1」と訂正し、また、この新図1中の(a)を旧図3と差替える。
訂正事項19.添付の図面中の「図4」の図番を繰り上げて「図2」と訂正する。
訂正事項20.添付の図面中の「図5」の図番を繰り上げて「図3」と訂正し、また、この新図3中、「考案品1」及び「考案品2」を示すグラフ及びその説明を削除し、「考案品3」、「考案品4」及び「考案品5」を示すグラフ及びその説明をそれぞれ「考案品1」、「考案品2」及び「考案品3」を示すグラフ及びその説明に訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項1は、実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2を削除するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項2は、実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2が削除されたことにより、請求項3を繰り上げて請求項1とし、さらに引用形式をやめて独立形式で記載し直し、また、「表面を遮光層で被覆したものであること」の限定は、当初明細書の【0012】、【0022】の記載内容に基づくものであって、結果的に表面を遮光層で被覆していない場合は含まないことを明確にしたものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項3は、実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2が削除されたことにより、請求項4を繰り上げて請求項2とし、さらに引用形式をやめて独立形式で記載し直し、また、「有機物、無機物の少なくとも一方と、金属、樹脂を複合化して作られたもの」を「有機物と金属を複合化して作られたもの又は有機物、無機物の少なくとも一方と樹脂を複合化して作られたもの」に限定することは、結果的に無機物と金属を複合化して作られたものを削除するものであり、また、当初明細書の【0012】、【0022】の記載内容に基づいて表面を遮光層で被覆する限定をすることにより明確にするものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項4における引用する請求項の番号の訂正は、上記訂正事項1により、請求項1及び2が削除されたことに整合させて引用する請求項の番号を4から2に訂正するものであり、この新たな請求項2の訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、この訂正も同様に実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項2、3及び4における請求項の番号の訂正は、上記訂正事項1により、請求項1及び2が削除されたことに整合させて請求項の番号を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項5、上記訂正事項6及び7は、上記訂正事項1?3の訂正事項に整合させて、明細書の【0009】、【0016】及び【0017】の記載内容を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項8?15および17?20は、上記訂正事項1?3の訂正事項に整合させて、考案の詳細な説明の記載内容を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項16は、上記訂正事項2?3の訂正事項に整合させて、考案の詳細な説明の記載内容を訂正するものであり、また、「紫外線劣化を懸念することなく、有機物の繊維や糸、及び樹脂を用いた」という訂正内容は当初明細書の【0011】および【0012】の記載内容に基づくものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
エ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律附則(平成6年法律第116号)第9条第2項の規定において準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項でさらに準用する同法第126条第2-3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)登録異議申立てについての判断
ア.本件考案
本件考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3(以下、「本件考案1?3」という)に記載された下記のとおりのものである。
「【請求項1】(A)鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、
(B)上記テンションメンバが、アラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、レーヨン等の有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したものであることを特徴とする架空送電線。
【請求項2】(A)鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、
(C)上記テンションメンバが、有機物と金属を複合化して作られたもの又は有機物、無機物の少なくとも一方と樹脂を複合化して作られたものの表面を遮光層で被覆したものであることを特徴とする架空送電線。
【請求項3】(D)有機物はアラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、又はレーヨンの繊維や糸であり、一方、無機物は、炭素繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、又はガラス繊維である請求項2記載の架空送電線。」
(なお、上記A?Dの記号は、便宜上付与したものである。)
イ.申立ての理由の概要
申立人古河電気工業(株)は、本件考案は、甲第1号証:実公昭61-20833号公報(以下、「甲1」という)、甲第2号証:実公昭54-11594号公報(以下、「甲2」という)、甲第3号証:特開昭48-100671号公報(以下、「甲3」という)、甲第4号証:特開平4-154004号公報(以下、「甲4」という)、甲第5号証:特開平4-308611号公報(以下、「甲5」という)及び甲第6号証:特開平3-71509号公報(以下、「甲6」という)に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、旧実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであるから、登録を取り消すべきと主張している。
ウ.各甲号証に記載された考案
上記甲1には、高圧架空送電線路、即ち鋼心アルミ撚線(=ACSR等)の改良に関するものであって、
(1-1)「鉄塔間に機械的引張強度の大きい吊線を絶縁支持し、この吊線に送電線を複数個の絶縁スペーサーと一個の導電性スペーサーで添架し架設してなる…架空送電線路」(登録請求の範囲)、
(1-2)「複数個の絶縁スペーサー5は、送電線の横揺れ等により電線2や吊線1が損傷しないように所定の間隔で送電線2に強固に取付けられている。」(第2欄3?6行)、
(1-3)「本考案によれば、…吊線1には電流が流れないから温度上昇などにより吊線が弛るむようなことはなく、また送電線2は引張強度の大きい吊線1に複数個のスペーサー5を介し張力が殆んどかからないように架設され、…なましアルミ撚線導体を送電線に使用しても弛るむようなことがないから送電電流容量を大巾に増大でき、…等多くの利点がある。」(第2欄7?20行)という記載があり、
上記甲2には、弛度増大を防ぐことのできる多導体架空送電線路に関するものであって、
(2-1)「鉄塔間には所定の弛度で線膨張係数の小さい抗張力線が前記複数本の素導体の支持部とは絶縁された支持部を介して架設支持され、該抗張力線には所定間隔を有して絶縁スペーサと導電性スペーサとが固着され、これら各スペーサには複数本の素導体が取付けられている」(第2欄6?11行)という記載があり、
上記甲3には、低弛度耐熱鋼心アルミ撚線(=ACSR線)において、中心部の鋼線に使用する線膨張係数の小さい鋼線として、Ni30?40%を含む鉄合金が記載されており(第1頁右欄4?11行参照)、また、該低線膨張係数鋼線の代わりに、同じく線膨張係数の小さいグラスファイバー、カーボンファイバーを主成分とする線状材料(例、F.R.P.材)を使用しても略同等の効果が得られることが記載されている(第2頁右欄16?20行参照)。
上記甲4には、架空裸電線において、高強度繊維線条(=テンションメンバ)の構成素材である高強度繊維として、金属繊維、ガラスなどの無機繊維、アラミドなどの有機繊維、炭素繊維等を用いることが記載されており(右下欄10?19行参照)、また、該高強度繊維線条は、その密度が鋼に比べて遙かに小さいので、電線重量を軽減化でき架設弛度を小さく抑えることができる、しかも、高張力架線が可能なことによっても架設弛度を小さく抑えることができることが記載されている(第3頁左上欄11?20行参照)。
上記甲5には、架空送電線の補強用線材(=テンションメンバ)として、炭素繊維(=無機物)の集合体にアルミニウムまたはアルミニウム合金を被覆して形成された、即ち複合化して作られたものが記載されている。
上記甲6には、架空送電線の補強用線材(=テンションメンバ)として、アルミまたはアルミ合金と炭化ケイ素繊維とを複合したアルミ炭化ケイ素複合線を導体の1部あるいは全部としてなる架空送電線が記載され(特許請求の範囲参照)、また、送電線の外径を太くすることなくあるいは鉄塔を高くすることなく、送電線の送電容量を増大させる手段として、「重量の極めて軽いアラミド繊維、炭素繊維などをポリエステル系樹脂あるいはエポキシ系樹脂のような強度の大きい樹脂により結束して線状としたFRP線を用い、テンションメンバーとしての強度を確保しつつ電線そのものの重量を小さくし、結果的に電線の自重による弛度の低下を小さくする」こと(第2頁左上欄16行?同右上欄3行)が記載されている。
エ.判断
本件考案1と甲1に記載された考案(以下、「甲1考案」という)を対比する。
上記(1-1)?(1-3)の記載を含む全記載及び技術常識からして、甲1考案における「架空送電線路」、「送電線2」、「吊線1」、「スペーサー」は、本件考案1における「架空送電線」、「撚線の導体」、「テンションメンバ」、「接続具」に相当しているから、甲1には、「鉄塔間に機械的引張強度の大きいテンションメンバを絶縁支持し、このテンションメンバに撚線の導体を複数個の絶縁接続具と一個の導電性接続具で添架し架設してなる…架空送電線」に係る考案が記載されていると認められるので、両者は、「鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線」である点(=本件考案1の上記構成Aの大部分)で一致し、下記の点で相違している。
(1)接続具が、本件考案1では、定ピッチで配置される定サイズの接続具である(=本件考案1の上記構成Aの一部分)のに対して、甲1考案では、そのような記載がない。
(2)テンションメンバが、本件考案1では、アラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、レーヨン等の有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したものである(=本件考案1の上記構成B)のに対して、甲1考案では、そのような記載がない。
上記相違点(1)及び(2)が、甲1?甲6から容易に想到しえるか否かについて検討する。
上記相違点(1)について
上記(1-2)及び(2-1)の記載及び技術常識からして、接続具は所定間隔で、即ち定ピッチで配置されていることは明らかであるし、また接続具は所定のサイズであることは、甲2の第2図より一定形状をしているところから自明であると認められ、しかも、本件考案1で奏される効果を検討しても、鉄塔等の立て替えを必要とせずに増容量化と低弛度化を実現できることは上記(1-3)の記載に徴しても、当然に予想しうる域を出ないものであるから、接続具が、定ピッチで配置される定サイズのものである点(=本件考案1の上記構成Aの一部分)については、格別差異があるとは認めない。
しかしながら、上記相違点(2)に係る本件考案1のテンションメンバが、有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したものである点(=本件考案1の上記構成B)についてみてみると、甲2には、吊下支持型のテンションメンバが開示されているけれども、テンションメンバの材質については記載がないばかりか、テンションメンバの表面を遮光層で被覆することについては記載も示唆もするところがなく、また、甲3?甲6には、本件考案1におけるテンションメンバと同じ機能を有する補強用線材等々として鉄合金、金属繊維、無機繊維、有機繊維、炭素繊維、無機物と金属を複合化したもの、アラミド繊維や炭素繊維などを強度の大きい樹脂により結束して線状としたFRP線等々が種々記載されているが、これらを用いた補強用線材等々(=テンションメンバ)は、いずれも導線の内側に配されている、即ち、同軸型の架空送電線における補強用線材等々であり、吊下支持するようにした分離型の架空送電線における補強用線材等々ではないため、紫外線劣化の懸念がないところからも明らかなように、テンションメンバの表面を遮光層で被覆することについては認識(課題意識)が全くないので、テンションメンバの表面を遮光層で被覆する点(=本件考案1の上記構成Bの一部分)については、記載も示唆もするところがない。
そして、本件考案1では、テンションメンバの表面を遮光層で被覆すること(=本件考案1の上記構成Bの一部分)により、紫外線劣化の懸念がない軽量のテンションメンバで架線状態を維持できるという明細書に記載の所期の効果を奏するものである。
そうすると、甲1?甲6に記載の事項及び技術常識をいかに組み合わせてみても、テンションメンバの表面を遮光層で被覆する点(=本件考案1の上記構成Bの一部分)については、甲1?甲6に記載も示唆もない以上、これらに記載された考案に基づいて、本件考案1を当業者がきわめて容易に想到し得たと認めることはできない。
また、本件考案2?3についてみてみると、いずれもテンションメンバの表面を遮光層で被覆する点(=本件考案1の上記構成Bの一部分)を特徴として有している(=本件考案2?3の上記構成C、Dの一部分)以上、この点に関しては本件考案1について上記したと同様の理由により、甲1?甲6に記載も示唆もない以上、これらに記載された考案に基づいて、本件考案2?3を当業者がきわめて容易に想到し得たと認めることはできない。
また、他に本件考案1?3に係る登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
架空送電線
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、
上記テンションメンバが、アラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、レーヨン等の有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したものであることを特徴とする架空送電線。
【請求項2】 鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、
上記テンションメンバが、有機物と金属を複合化して作られたもの又は有機物、無機物の少なくとも一方と樹脂を複合化して作られたものの表面を遮光層で被覆したものであることを特徴とする架空送電線。
【請求項3】 有機物はアラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、又はレーヨンの繊維や糸であり、一方、無機物は、炭素繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、又はガラス繊維である請求項2記載の架空送電線。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、増容量化と低弛度化を図った架空電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来架空送電線には鋼心アルミ撚線(ACSR)が用いられていた。ACSRは、鋼撚線にアルミニウムを撚合わせたものである。このACSRは、アルミニウム単一撚線では強度が低く架線できないため、中心に鋼撚線を配置して補強することにより架線を可能ならしめた電線である。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
近年、電力需要の増大、環境問題等により架空送電線に対する増容量化、低弛度化の要求が高まってきている。この要求に対し、これまでは、(1)ACSRの大型化による対応、(2)ACSRのアルミニウム合金化による対応、(3)新種ACSRの採用による対応が行われてきた。
【0004】
しかし、これ等の方法では、増容量化と低弛度化の要求を共に満たすのが難しい。
【0005】
即ち、(1)の方法によれば、ACSRの大型化により導体断面積が大きくなるので増容量化は可能である。しかし、同時に電線重量が増加するため、電線の垂れ下がり、即ち弛度を小さくするには大きな架線張力を必要とし、鉄塔の大型化が不可欠になる。
【0006】
また、ACSRを大型化せずに電流容量を増加すると電線温度の上昇によるアルミニウムの軟化で架線状態を維持できなくなることから、(2)の方法は、アルミニウムの代わりに耐熱性に優れるアルミニウム合金を用いて架線を可能ならしめているが、アルミニウム合金は線膨張係数が大きいため、この(2)の方法では鋼心を含めた電線の合成線膨張係数がまだ大きく、温度上昇による弛度増加が著しい。
【0007】
さらに、(3)の方法は、電線の線膨張係数を小さくするべくACIR、間隙型ACSR等の新種ACSRを用いている。ACIRは、鋼撚線の代わりに線膨張係数のより小さいFe-Ni合金撚線を用いたACSRの一種であり、また、間隙型ACSRは、中心の鋼撚線とアルミニウム撚線との間に間隙を設けて電線の線膨張係数を鋼撚線のそれに一致させたACSRである。しかし、このような新種ACSRも、電線の温度上昇により弛度が増加する。
【0008】
そこで、本考案は、重量増加を招かずに増容量化と低弛度下の双方の要求に応えた架空送電線を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案は、鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、上記テンションメンバが、アラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、レーヨン等の有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したもの、あるいは、上記テンションメンバが、有機物と金属を複合化して作られたもの又は有機物、無機物の少なくとも一方と樹脂を複合化して作られたものの表面を遮光層で被覆したものとした。
【0010】
複合テンションメンバに用いる有機物は、先に挙げたものと同じ材料から成る繊維や糸が望ましく、一方、無機物は、炭素繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ガラス繊維などが望ましい。
【0011】
テンションメンバは、軽量のAl、Al合金、Ti、Ti合金を用いるとFe或はFe合金を用いる場合に比べて架線張力を下げることができるが、Al、Al合金は強度が低いので、単品使用ではなく、強度の高い他の材料と組合わせたり複合して用いるのがよい。有機物の繊維や糸は撚ったり編成したりして用いる。この有機物を用いるとテンションメンバの軽量化が更に進むが、有機物はむき出しになっていると傷付く恐れがあるので樹脂や金属と複合化して保護するのがよい。また、上に述べた無機の繊維は脆く、撚合わせたり編成したりすると折損等を起こすため、そのままでは野外に長期間晒される耐久性の必要な架空送電線には適さない。従って、樹脂や金属との複合化により特有の脆さをカバーして用いる。
【0012】
無機物、有機物と複合する樹脂としては、エポキシ、ポリエステル、フェノール、ポリイミド、ビスマレイミド等の熱硬化性樹脂やポリエチレン、ポリフェニレンサルファィド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、有機物の繊維や糸、及び樹脂は紫外線劣化が懸念されるので、遮光層で被覆しておくのがよい。その遮光層としては、軽量金属(例えばAl)の線やテープを巻付けたもの、金属細線の編組物を被せたもの、メッキしたもの等が考えられるが、これに限定されるものではない。
【0013】
導体は、Al、Cuもしくはこれ等の金属を主体とする合金から成るものが望ましい。Cu及びCu合金は、導電率がAl及びAl合金に比べると約1.7倍ある。しかし、比重も約3.3倍あり、導電率比の重量がAl及びAl合金の1.9倍になるため、電線の低弛度化の面ではAl及びAl合金ほどの効果を期待できないが、電気抵抗が小さいため、低損失な電線を得ることができる。
【0014】
このほか、接続部材は、テンションメンバ及び導体に対して固定、非固定のどちらにしてもよい。この接続部材の形状、取付位置も接続の目的が達成されればよいので特に問わないが、寸法ができるだけ小さくて材質もできるだけ低比重のものがよい。
【0015】
【作用】
導体の温度が従来以上に高まっても導体に接していないテンションメンバには殆ど熱が伝わらず、テンションメンバの熱による弛度増が起こらない。従って、電線の断面積を大きくせずに電流容量を増加させ、テンションメンバで導体を支えて架線状態を維持することができる。
【0016】
また、導体の断面積を増加させずに済むことと、テンションメンバも軽量化できることにより、電線の全体重量が軽減され、大きな架線張力を必要としないので鉄塔などの建て替えも不要になる。
【0017】
このテンションメンバの軽量化効果は、有機物を材料とする場合に特に顕著である。本考案では、テンションメンバに電線の熱が伝わらないため、このような表面を遮光層で被覆した有機物製のテンションメンバも使用可能となった。
【0018】
【実施例】
以下、添付図面に基いて、本考案のいくつかの実施例を述べる。
【0019】
各図とも1はテンションメンバ、2は導体、3は1と2を間隔をあけて並列に接続する接続具である。
【0020】
図1の架空送電線(考案品1)は、テンションメンバ1としてアラミド(デュポン社製 商品名ケプラー)をエポキシ樹脂と複合し、さらに、表面を遮光兼保護用のアルミニウム細線編組物5で覆ったロープを用い、導体2はアルミニウム合金撚線としている。また、接続具3はアルミニウム合金製のものを用い、この接続具をシリコンゴム製のブッシュ4を介して定ピッチでテンションメンバ1に固定し、導体2は非固定にして吊り下げている。
【0021】
なお、炭化珪素繊維(日本カーボン社製商品名ニカロン)をアルミニウムと複合したテンションメンバを用い、他は考案品1と同一構成にした架空送電線(考案品2)も作った。
【0022】
図2の架空送電線(考案品3)は、炭素繊維(東レ社製 商品名トレカ)をビスマレイドイミドと複合して作ったロープの表面にシリコン樹脂をコーティングしたものをテンションメンバ1とし、それを2本並列配置にしてその下にアルミニウム撚線の導体2を5本、FRP製の接続具3で吊り下げたものである。接続具3は、シリコンゴムを介してテンションメンバ1、導体2の両者に共に固定してある。
【0023】
このほか、炭素繊維(東レ社製商品名トレカ)をアルミニウムと複合したロープをテンションメンバとし、他は考案品1と同じにした架空送電線(考案品4)も作った。
【0024】
次に、導体断面積410mm^(2)のACSR及びこれと同等の導体断面積を有する上記考案品1?3を架線張力5tonf、径間長350mにて実架線した結果を図3に示す。同図の横軸は、ACSRについては電線温度を、考案品についてはテンションメンバの温度上昇がないので導体部の温度を調べた。なお、電流容量は90℃で約800A、210℃で1600Aである。
【0025】
この図3から判るように、本考案の架空送電線は、弛度の増加を招かずに従来のACSRよりも増容量化することができる。
【0026】
【考案の効果】
以上述べたように、本考案の架空送電線は、導体断面積を大きくせずに通電電流を増やしても、紫外線劣化を懸念することなく、有機物の繊維や糸、及び樹脂を用いた軽量のテンションメンバで架線状態を維持することができ、鉄塔等の建て替えを必要とせずに増容量化と低弛度化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
a:第1実施例の断面図
b:その側面図
c:接続部の拡大側面図
【図2】
第3実施例の断面図
【図3】
電線の温度と弛度の関係の調査結果を比較して示すグラフ
【符号の説明】
1 テンションメンバ
2 導体
3 接続具
3a フック部
4 ブッシュ
5 アルミニウム組線編組物
【図面】



訂正の要旨 訂正の要旨
本件訂正請求の要旨は、第2602736号実用新案登録に係る明細書を本件訂正請求書に添付した訂正明細書(以下、単に「訂正明細書」という)に記載のとおり訂正することを求めるものであり、その各訂正内容は、下記の訂正事項1?18のとおりである。
▲1▼ 訂正事項1
この訂正事項1は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至5において、もとの請求項1及び2を削除するものである。
▲2▼ 訂正事項2
この訂正事項2は、もとの請求項1及び2の削除に伴い、もとの請求項3を繰り上げて請求項1とし、併せて実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、下記の通りに訂正するものである。

【請求項1】鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、
上記テンションメンバが、アラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、レーヨン等の有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したものであることを特徴とする架空送電線。
▲3▼ 訂正事項3
この訂正事項3は、同様にもとの請求項1及び2の削除に伴い、もとの請求項4を繰り上げて請求項2とし、併せて実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、下記の通りに訂正するものである。

【請求項2】鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、
上記テンションメンバが、有機物と金属を複合化して作られたもの又は有機物、無機物の少なくとも一方と樹脂を複合化して作られたものの表面を遮光層で被覆したものであることを特徴とする架空送電線。
▲4▼ 訂正事項4
この訂正事項4は、同様にもとの請求項1及び2の削除に伴って、もとの請求項5を繰り上げて請求項3と訂正するとともに、不明瞭な記載となる事項を釈明するために、引用する項をもとの請求項4から新たな請求項2に訂正するものである。
▲5▼ 訂正事項5
この訂正事項5は、明細書の段落番号【0009】の記載を、上記訂正事項1、2、3に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通りに訂正するものである。

【課題を解決するための手段】
本考案は、鋼心アルミ撚線の代替品となす架空送電線であって、撚線の導体とテンションメンバを非接触にして定ピッチで配置される定サイズの接続具で並列に接続し、上記テンションメンバに架線張力を加えてこのテンションメンバで上記導体を吊下支持するようにした架空送電線において、上記テンションメンバが、アラミド、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、レーヨン等の有機物の繊維や糸を撚線し、或は編成して成るものの表面を遮光層で被覆したもの、あるいは、上記テンションメンバが、有機物と金属を複合化して作られたもの又は有機物、無機物の少なくとも一方と樹脂を複合化して作られたものの表面を遮光層で被覆したものとした。
▲6▼ 訂正事項6
この訂正事項6は、段落番号【0016】において、上記訂正事項2に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、「テンションメンバも軽量化できる(Fe、Fe合金製のテンションメンバも熱による弛度増がないので従来品より細くて軽量のものでよい)ことにより、」を「テンションメンバも軽量化できることにより、」に訂正するものである。
▲7▼ 訂正事項7
この訂正事項7は、段落番号【0017】において、上記訂正事項2に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、「なお、テンションメンバの軽量化効果は、」を「このテンションメンバの軽量化効果は、」に、また、「このような有機物製のテンションメンバも使用可能となった。」を「このような表面を遮光層で被覆した有機物製のテンションメンバも使用可能となった。」に訂正するものである。
▲8▼ 訂正事項8
この訂正事項8は、旧段落番号【0020】を削除して旧段落番号【0021】を新段落番号【0020】に繰り上げ、この新段落番号【0020】(旧段落番号【0021】)の記載を、上記訂正事項2に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通り訂正するものである。

図1の架空送電線(考案品1)は、テンションメンバ1としてアラミド(デュポン社製 商品名ケプラー)をエポキシ樹脂と複合し、さらに、表面を遮光 保護用のアルミニウム細線編組物5で覆ったロープを用い、導体2はアルミニウム合金撚線としている。また、接続具3はアルミニウム合金製のものを用い、この接続具をシリコンゴム製のブッシュ4を介して定ピッチでテンションメンバ1に固定し、導体2は非固定にして吊り下げている。
▲9▼ 訂正事項9
この訂正事項9は、旧段落番号【0022】を削除して旧段落番号【0023】以下の各段落番号をそれぞれ新段落番号【0021】以下に繰り上げるとともに、この新段落番号【0021】(旧段落番号【0023】)の記載を、上記訂正事項3に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通り訂正するものである。

なお、炭化珪素繊維(日本カーボン社製商品名ニカロン)をアルミニウムと複合したテンションメンバを用い、他は考案品1と同一構成にした架空送電線(考案品2)も作った。
▲10▼ 訂正事項10
この訂正事項10は、新段落番号【0022】(旧段落番号【0024】)の記載を、上記訂正事項2に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通り訂正するものである。

図2の架空送電線(考案品3)は、炭素繊維(東レ社製商品名トレカ)をビスマレイドイミドと複合して作ったロープの表面にシリコン樹脂をコーティングしたものをテンションメンバ1とし、それを2本並列配置にしてその下にアルミニウム撚線の導体2を5本、FRP製の接続具3で吊り下げたものである。接続具3は、シリコンゴムを介してテンションメンバ1、導体2の両者に共に固定してある。
▲11▼ 訂正事項11
この訂正事項11は、新段落番号【0023】(旧段落番号【0025】)の記載を、上記訂正事項3に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通り訂正するものである。

このほか、炭素繊維(東レ社製商品名トレカ)をアルミニウムと複合したロープをテンションメンバとし、他は考案品1と同じにした架空送電線(考案品4)も作った。
▲12▼ 訂正事項12
この訂正事項12は、新段落番号【0024】(旧段落番号【0026】)の記載を、上記訂正事項2、3に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通り訂正するものである。

次に、導体断面積410mm^(2)のACSR及びこれと同等の導体断面積を有する上記考案品1?3を架線張力5tonf、径間長350mにて実架線した結果を図3に示す。同図の横軸は、ACSRについては電線温度を、考案品についてはテンションメンバの温度上昇がないので導体部の温度を調べた。なお、電流容量は90℃で約800A、210℃で1600Aである。
▲13▼ 訂正事項13
この訂正事項13は、新段落番号【0025】(旧段落番号【0027】)の記載を、上記訂正事項2、3に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通り訂正するものである。

この図3から判るように、本考案の架空送電線は、弛度の増加を招かずに従来のACSRよりも増容量化することができる。
▲14▼ 訂正事項14
この訂正事項14は、新段落番号【0026】(旧段落番号【0028】)の記載を、上記訂正事項2、3に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通り訂正するものである。

【考案の効果】
以上述べたように、本考案の架空送電線は、導体断面積を大きくせずに通電電流を増やしても、紫外線劣化を懸念することなく、有機物の繊維や糸、及び樹脂を用いた軽量のテンションメンバで架線状態を維持することができ、鉄塔等の建て替えを必要とせずに増容量化と低弛度化を実現することができる。
▲15▼ 訂正事項15
この訂正事項15は、【図面の簡単な説明】の欄の記載を、上記各訂正事項に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通り訂正するものである。

【図1】
a:第1実施例の断面図
b:その側面図
c:接続部の拡大側面図
【図2】
第3実施例の断面図
【図3】
電線の温度と弛度の関係の調査結果を比較して示すグラフ
▲16▼ 訂正事項16
この訂正事項16は、上記訂正事項に基づく、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、添付の図面中、図1を削除し、図2の図番を繰り上げて新図1とし、また、この新図1中の(a)を旧図3と差替えるものである。
▲17▼ 訂正事項17
この訂正事項16は、訂正事項16の訂正に伴い、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、添付の図面中、図4の図番を繰り上げて新図2と訂正するものである。
▲18▼ 訂正事項18
この訂正事項18は、訂正事項16、17の訂正に伴い、考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、添付の図面中、図5の図番を繰り上げて新図3とし、また、この新図3中、考案品1及び考案品2を示すグラフ及びその説明を削除し、考案品3、考案品4及び考案品5を示すグラフ及びその説明をそれぞれ考案品1、考案品2及び考案品3を示すグラフ及びその説明に訂正するものである。
異議決定日 2001-06-11 
出願番号 実願平5-157 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (H01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 進  
特許庁審判長 小野 秀幸
特許庁審判官 綿谷 晶廣
柿澤 惠子
登録日 1999-11-19 
登録番号 実用新案登録第2602736号(U2602736) 
権利者 住友電気工業株式会社
大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号
考案の名称 架空送電線  
代理人 東尾 正博  
代理人 鳥居 和久  
代理人 鳥居 和久  
代理人 鎌田 文二  
代理人 東尾 正博  
代理人 鎌田 文二  
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