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審決分類 審判    B67B
管理番号 1051687
審判番号 新実用審判1999-40029  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-12-03 
確定日 2000-09-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第3050185号実用新案「キャップオープナー」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は請求人の負担とする。
理由 <1>手続の経緯
本件登録実用新案第3050185号は、平成9年12月25日に出願され、平成9年2月13日に設定登録がなされたものである。
これに対して、請求人 株式会社大竹は、平成11年12月3日に本件無効審判を請求し、被請求人 株式会社カンセンは、平成12年3月22日に実用新案登録請求の範囲の請求項1を削除する訂正書および答弁書を提出し、その後、請求人より弁駁書が提出されている。

<2>本件考案
上記訂正により請求項1が削除されたので、本件に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項2に記載された次のとおりのものである。
【請求項2】
「両面に全面的にパイルを形成し、且つその少なくとも一面にはシャーリングを行い、パイルを切り揃えると共に捺染によって柄を形成した基布の各面に、一様の分布で透明な軟質合成樹脂をゾル若しくは溶融状態で付着させ固化してなる多数の互いに独立した粒状突起を形成したことを特徴とするキャップオープナー。」(以下、「本件考案」という)


<3>審判請求人の主張
請求人は、甲第1?4号証を提出して、
本件考案は、甲第1?3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件実用新案登録は同法第37条第1項第2号により無効とすべきである旨、主張している。


<4>甲号各証の記載事項
請求人の提出した甲第1?4号証およびその記載事項は、次のとおりである。

<甲第1号証>
実願昭60-52677号(実開昭61-169069号公報)のマイクロフィルム
a:
「多数のイボ状等の突起を成形せしめたゴム又は樹脂製のシートで容器の蓋を楽に開閉するための滑り止めシート。」(実用新案登録請求の範囲)
b:
「本考案を図面に基づいて説明すると、1のベース部分よりも一段高くイボ状突起2を多数成形し滑り止め効果を高めたゴム、または樹脂の柔軟なシートである。このシートを容器の蓋にかぶせ手でひねることにより楽に開閉しようというものである。」(第2頁第1?6行)

<甲第2号証>
実願昭61-40461号(実開昭62-152994号公報)のマイクロフィルム
c:
「適当な布又は紙の表裏両面に、金剛砂其他の砂状砿物質を接着した、缶、瓶等の、ねじ蓋あけ用シート。」(実用新案登録請求の範囲)
d:
「その構造は基材の布(1)又は紙に接着剤を塗布して、且、金剛砂等の硬質砂状の砿物質を、表裏両面に接着した。従来しばしば、あけるのに 困難した缶、瓶等の、ねじ蓋(5)に、このねじ蓋(5)あけ用シート(4)を接して廻転する時は、蓋(5)と手の両方に強い摩擦力が作用して、すべることがないので容易に、ねじ蓋(5)をあけることができる。 」(第1頁第16行?第2頁第2行)

<甲第3号証>
実願昭61-140301号(実開昭63-46497号公報)のマイクロフィルム
e:
「生地の両面に、ゴムその他摩擦抵抗の大なる物質を大小さまざまな粒状として、不規則的に或は規則的に又は図柄状を形成するよう点在させて付着させたことを特徴とする滑り止め生地。」(実用新案登録請求の範囲)
f:
「本願は、上記考案を更に一歩進めて、テーブル掛、その他の一枚物の生地に上記機能を附与させ、テーブル掛がテーブルからずり落ちたり、或いはテーブル掛の上に置いた物品が、位置移動しないようにした生地を提供するものである。」(第2頁第4?8行)
g:
「(実施例)
本考案の実施例を説明する。織物1の両面並に裏面にゴム、熱可塑性合成樹脂とゴムを混合したもの、その他の上記物質と同効々果をもつよう調合した物質を、例えばシルクスクリーン印刷法で、大小さまざまな粒状2,3として点在付着させる。この点在付着は、不規則な形式でもよく、規則的な形式でもよく、又図柄状に印刷付着させる。この付着は織物の両面にしっかりと付着させるものであることは勿論である。従って、上記したようにしっかりと上記物質を粒状2,3を付着させるため、上記物質に付着剤を添加する必要があることがある。
又、上記物質同効々果をもつものとは或る程度弾性をもち、且つ摩擦抵抗の大きいものが望ましい。
上記の如く加工を施した織物1を例えばテーブル掛とし、これをテーブルに敷いて使用するときは、生地に粒状2,3を点在した上記物質がテーブルの表面に当接して、テーブル掛がテーブルからずれたり或はすべり落ちたりしない。又テーブル掛の上に置いた物品との関係においても同じ機能を呈し、物品の位置変動を阻止できる。
生地は織物に限らず又これをテーブル掛として用いるとは限らず各種シート、インテリヤ製品にも適用できることは勿論である。」(第3頁第12行?第4頁第17行)

<甲第4号証>
本件実用新案の「実用新案技術評価書」(平成10年4月27日通知)
h:
上記評価書において、本件請求項1?2に係る考案に対して、甲第1号証および甲第2号証を提示して、評価は「2」である、すなわち、刊行物の記載からみて,進歩性を欠如するものと判断されるおそれがある、という評価がなされている。


<5>当審の判断
本件考案に係る「キャップオープナー」は、
特に、「両面に全面的にパイルを形成」した基布を用い、且つ、該基布の各面に「一様の分布で透明な軟質合成樹脂をゾル若しくは溶融状態で付着させ固化してなる多数の互いに独立した粒状突起を形成」してなること(以下、「構成A」という)、
を主要な特徴とするものと解される。

そして、本件明細書において本件考案の作用・効果として記載されている、
「このようにして形成された粒状小突起2、3は図3に示す如く基布1の両面のパイル12,13が粒状小突起2、3の内実部に入り込むことで基布1の各面に強固に固着される。」
(欄【0012】、以下、「効果A」という)、
「各粒状小突起2、3は互いに独立していることに加えて、各面に形成したパイル12,13により樹脂が直接地組織11に浸透することがないので、粒状小突起2、3によって基布1の柔軟性が損なわれることが無く、図4及び図5に示す如く自在に屈曲し、スクリューキャップ4への密着性が良好に保たれる。従って、密着性を確保するために樹脂を過度に柔軟にする必要が無く、接触面でのクリープも起こり難い。」
(欄【0013】、以下、「効果B」という)、
「基布1の両面に形成されているパイル12,13によって基布1に適度な厚みと緩衝性が得られ、手の痛みも殆ど無い。更に、パイル12,13は吸水性が良好であるので、各粒状小突起2,3の間を埋めているパイル12,13によってスクリューキャップ4や容器5表面の水分を吸収でき、水分によるスリップも防止できるという効果も有る。」
(欄【0014】、以下、「効果C」という)、
「基布1の表面14側のパイル12はシャーリングを行ったので染色性が良好で、シャープな柄15を印捺できると共に、粒状小突起2が透明であるため、それによって柄15が不明瞭になることが無く、また、柄15により透明な粒状小突起が目立たなくなり、装飾性も良好である。従って、キャップオープナー以外に、花瓶敷等の敷き物として使用することにより、その防滑性、クッション性(家具、床等の保護)を利用できる。」
(欄【0015】、以下、「効果D」という)、
は、すべて上記構成Aを前提としたものであると認められる。

しかるに、上記構成Aは、甲第1?3号証の何れにも記載されてなく、示唆もされていない。
したがって、本件考案が甲1?3号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものということはできない。

これに対して、請求人は、
「甲各号証には、確かにパイル生地なる表現は存在しないが、甲第2号証には、適当な布との記載があり、また、甲第3号証には、織物なる記載があり、当業者であればこれらの記載から、綿パイル織物のタオル地のようなパイルを有する布地を、極めて容易に想起しうるものである。」(弁駁書 第3頁第8?12行)、
「甲各号証には、確かにシャーリングした面に柄を捺染することは記載がないが、布生地への捺染に際しては、生地面の毛羽立ちが少ない方が良好な結果を得られることは、公知の事実であり、例えば、タオルよりもハンカチのほうが柄を鮮明に表すことができることは、当業者でなくても極めて容易に理解できる事実である。したがって、パイル地への捺染の効果を高めるためにシャーリングを施すことは、当業者にとって自明の技術にすぎない。また、捺染した柄を明確に見せるためにシャーリング面に付着させた粒状小突起を透明にすることも極めて当然のことである。
また、・・・・テーブルクロスや敷物などの布地に柄を描くことは装飾のために通常行われていることである。そして、本件実用新案登録にかかるキャップオープナーの基布に柄を描くことによって得られるのは、単なる視覚的な装飾性にとどまり、開蓋効果を向上させる相乗効果を奏するものではなく、予想される装飾効果を奏するに過ぎないものである。」(同 第4頁第10?24行)、
と、主張する。

しかしながら、一般にタオル地のようなパイル生地が知られていたとしても、単に「適当な布」「織物」というだけの記載から直ちにパイル生地を「きわめて容易に想起しうる」とはいえない。
まして、本件考案においては、キャップオーナーの基布としてパイル生地を選択したことは、その両面に粒状突起を形成したことで、他の布や織物では得られない上記A?Dの顕著な効果を奏する上に大きな役割を果たしており、甲第2号証における金剛砂等の硬質砂状の砿物質を接着した「適当な布」という記載や甲第3号証のゴムその他摩擦抵抗の大なる物質を粒状として付着された「織物」という記載から、キャップオープナーとして構成Aを想到することが、きわめて容易とはいえない。
さらに、本件考案においては、上記構成Aに加え、少なくとも一面のパイルを切り揃え、捺染で柄を形成するとともに、粒状突起が透明な構成であり、これらの構成が相俟って、上記の効果A?Dという甲1?3号証記載の考案からは予測できない顕著な作用・効果を奏するものであるから、請求人の主張は、採用することができない。

<6>むすび
上記のとおり、請求人が主張する理由および提出した証拠方法によっては、本件考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-06-30 
結審通知日 2000-07-11 
審決日 2000-07-28 
出願番号 実願平9-11747 
審決分類 U 1 111・ 121- YA (B67B)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 船越 巧子
西村 綾子
登録日 1998-04-15 
登録番号 実用新案登録第3050185号(U3050185) 
考案の名称 キャップオープナー  
代理人 大野 克躬  
代理人 寺町 東子  
代理人 小柴 文男  
代理人 大野 令子  
代理人 高山 俊吉  
代理人 千葉 太一  
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