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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60L
管理番号 1051689
審判番号 不服2000-14057  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-09-04 
確定日 2001-12-05 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 1757号「風力発電装置を有する走行車輌」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 8月19日出願公開、実開平 6- 60202]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成5年1月27日の出願であって、その考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「走行車輌の運転室上部に、風力により回転するプロペラ(3)と、同プロペラ(3)に回転軸(8)を介して連結された発電機(4)とを、回転軸(8)が走行車輌の前後方向と平行になるように載置し、かつ、前記プロペラ(3)と発電機(4)の外側にはプロペラ(3)と発電機(4)とをカバーするケーシング(2)を設け、しかも、同ケーシング(2)の前側面部に風の取入れ口(5)を開口し、さらに、後側面部に風の排出口(6)を開口するとともに、ケーシング(2)により形成される風の通路のうち、プロペラ(3)後方の通路を斜め上方向きに配設し、回転軸(8)を同ケーシング(2)に貫通させ、プロペラ(3)はケーシング(2)により形成される風の通路内に配設するとともに、発電機(4)はプロペラ(3)の後方の通路外に配設していることを特徴とする風力発電機を有する走行車輌。」(以下、本願考案という。)
2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-95802号公報(以下、引用例1という。)に、「(A)は車体であって、そのルーフ(10)上には直流発電機(11)が搭載されている。(12)はその発電機(11)の回転軸(13)上へ一体回転し得るように固設された風車であり、走行中の風力を受けて回転作用し、発電機(11)を駆動するようになっている。つまり、その発電機(11)は車体の搭載エンジンによらず、風車(12)によって自づと作動されるようになっているわけである。」(2頁左上欄7行乃至14行)、「その場合、発電機(11)と風車(12)並びに電圧調整器(14)を、車体(A)のルーフ(10)上へ設置するに当たっては、第2図に抽出例示するようなユニットフレーム(F)を架構して、そのフレーム(F)へ上記諸部材を取付けた上、外フレーム(F)をキャリヤー(16)などにより、車体(A)のルーフ(10)へ着脱自在に且つ安定良く固定設置することが好適である。」(2頁左上欄18行乃至右上欄5行)と記載されていることが認められ、これらの記載によれば引用例1には、「走行車輌の運転室上部に、風力により回転する風車と、同風車に回転軸を介して連結された発電機とを、回転軸が走行車輌の前後方向と平行になるように載置し、かつ、前記風車と発電機の外側には風車と発電機とをカバーするユニットフレームを設け、しかも、同ユニットフレームの前側面部に風の取入れ口を開口し、さらに、後側面部に風の排出口を開口した、風力発電機を有する走行車輌。」との考案(以下、引用例1考案という。)が開示されていると認めることができる。
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-26303号公報(以下、引用例2という。)に、「図面、第1図で示すように発電機以外の各部位はダクトにて囲んであり小型の装置であるからエンジンルームに2基設置することが出来る。発電機の回転軸を車輌と平行に設置した場合に排出する空気を後部斜め上方に向ければ風圧によって車体前面の浮き上がりを防ぐ事が出来る。」(2頁左欄17行乃至右欄3行)と記載されていることが認められる。
3.対比・判断
本願考案と引用例1考案とを対比するに、引用例1考案の「風車」、「ユニットフレーム」は、それぞれ本願考案の「プロペラ」、「ケーシング」に相当するから、両者は「走行車輌の運転室上部に、風力により回転するプロペラと、同プロペラに回転軸を介して連結された発電機とを、回転軸が走行車輌の前後方向と平行になるように載置し、かつ、前記プロペラと発電機の外側にはプロペラと発電機とをカバーするケーシングを設け、しかも、同ケーシングの前側面部に風の取入れ口を開口し、さらに、後側面部に風の排出口を開口する風力発電機を有する走行車輌。」の点で一致し、本願考案がケーシングにより形成される風の通路のうち、プロペラ後方の通路を斜め上方向きに配設し、回転軸を同ケーシングに貫通させ、プロペラはケーシングにより形成される風の通路内に配設するとともに、発電機はプロペラの後方の通路外に配設しているのに対し、引用例1考案がかかる構成を備えていない点で相違する。
そこで、前記相違点について検討する。
本願考案の前記相違点にかかる構成中、「発電機はプロペラの後方の通路外に配置している」ことに関し、本願明細書には「また、風の通路内の気流の乱れを防止すべく、発電機を通路外に配設することによって、気流の乱れを極力低減させた状態とし、プロペラ後方の風の引き出しをできるだけ効率的に行うことによって、プロペラの回転効率を高め、高効率の発電を行うことができる。(段落【0022】7行乃至10行)と記載されており、この記載によれば本願考案が前記相違点に係る構成中「発電機はプロペラの後方の通路外に配置している」構成を採用したのは、風の通路内の気流の乱れを防止するためと認められるが、風の通路に発電機が存在すれば通路の一部が閉塞され、これによって通路内の気流が乱れることは当業者が技術常識として理解できることであって、ケーシングにより形成される風の通路を用いた風力発電装置において発電機を風の通路外に設置することは実願昭56-152001号(実開昭58-56174号)のマクロフィルムにも示されているように普通に採用されている技術であるから、そうすると、当業者であれば引用例1考案においても、かかる技術を適用しようとすることは容易に着想できることである。
しかるに、引用例1考案は車輌のルーフ上に発電機を設置すること前提とするものであるから、発電機を風の通路の外側とするにはプロペラと発電機との間に風の通路を形成するケーシングの一部を介在させ、それに回転軸を貫通させる態様として足り、そして、前示のとおり、引用例2にはエンジンルームに設置する風力発電機ではあるが、風車の後方の通路を斜め上方向きに配設するという本願考案と共通する構成が示されているのであるから、引用例2に接した当業者であれば本願考案の前記相違点に係る構成はきわめて容易に想到できたものというべきである。
そして、本願考案が奏する「本考案では、走行車輌の運転室上部に、風力により回転するプロペラと、同プロペラに回転軸を介して連結された発電機とを、回転軸が走行車輌の前後方向と平行となるように載置し、かつ、プロペラと発電機の外側にはプロペラと発電機とをカバーするケーシングを設け、しかも、同ケーシングの前側面部に風の取入口を開口し、さらに、後側面部に風の排出口を開口するとともに、ケーシングにより形成される風の通路のうち、プロペラ後方の通路を斜め上方向きに配設し、回転軸を同ケーシングに貫通させ、プロペラの後方の通路外に配設した風力発電装置を有する走行車輌であるから、走行時に相対的に発生する風力を動力源として使用して電力を発生させ、燃料を使用しないで車内の電力を補うことができる。」(段落【0021】)との作用効果は引用例1、引用例2及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものであり、また、「特に、ケーシングのうち、プロペラの後方側に位置するケーシングを斜め上方向に向けて導風板とすべく、プロペラ後方の風の通路を斜め上方向きに形成したことによって、導風板となったケーシングにより、ケーシングの外側上部を流れる風の風速を高め、風速の早くなった風を利用して、ケーシング内の風速の低下した風を引き出すことができるので、プロペラの回転低下を防止するとともに、ケーシング内への空気の吹き込み量を増加させ、発電効率を向上させることができる。また、風の通路内の気流の乱れを防止すべく、発電機を通路外に配設することによって、気流の乱れを極力低減させた状態とし、プロペラ後方の風の引き出しをできるだけ効率的に行うことによって、プロペラの回転効率を高め、高効率の発電を行うことができる。」(段落【0022】)との作用効果はケーシング内にプロペラを配設したこと、発電機を風の通路外に配設したことによる作用効果であって、引用例1、引用例2及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものである。
4.むすび
以上のとおり、本願考案は引用例1、引用例2及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法3条2項の規定により拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-08-08 
結審通知日 2001-08-28 
審決日 2001-09-27 
出願番号 実願平5-1757 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B60L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長馬 望  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 岩本 正義
紀本 孝
考案の名称 風力発電装置を有する走行車輌  
代理人 松尾 憲一郎  
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