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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1051701
審判番号 不服2000-12806  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-07-10 
確定日 2001-12-12 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 81969号「ティッシュペーパー収納用紙箱」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 6月 7日出願公開、実開平 6- 42753]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年11月4日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成10年3月23日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである(以下「本願考案」という)。

「 ティッシュペーパー(6)を収納する紙箱(1)の上面(2)の中央部に形成される開口部(3)を閉塞しており取り出すティッシュペーパー(6)を保持するためのスリット(5)が設けられている窓材料(4)が、分子中にビニルアルコール単位をモル比で70?99%含み、水に溶け始める温度が40?100℃であって且つ厚さが40?60μmのポリビニルアルコール系樹脂製水溶解性フィルムで構成されており、紙箱(1)の上面(2)の裏面に水溶性接着剤で貼着されていることを特徴とするティッシュペーパー収納用紙箱。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された実願平3-29310号(実開平4-124977号参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「先願明細書」という)には、次の事項が記載されている。

A.(明細書【0001】項)、「【産業上の利用分野】ティシュカートンの切り取り可能な取出し口部内面に、中央部に取出し用切り込みを設けた、透明かつ弾力性を有する水溶性プラスチックフィルムを貼着した再パルプ化容易なティシュカートンに関するものである。」

B.(明細書【0007】項)、「更に、本考案で用いられる水容性ポリビニールアルコール樹脂フイルムは、冷水には容易には溶けず、40°C?60°Cの温水には容易に溶ける特性を持っているので、選別する必要はなくそのまま再パルプ化が可能となる。」

C.(明細書【0008】項)、「【実施例】 本考案を詳述するならば、ティシュカートンの本体は現行同様の板紙を用いることができる。また、本考案で使用する水溶性プラスチックフィルム(1)は、熱には溶けるが冷水には簡単に溶けない性質のものがよく、ハイセロン(日合フィルム株式会社製の商品名でATタイプ20μm厚、化学名水溶性ポリビニルアルコール樹脂)を用いた。このハイセロンフィルムを酢酸ビニール系エマルジョン接着剤でティシュカートン取出し口部(3)を覆うように貼着する。この展開図を図1に示す。
この場合フィルムの中央部に取出し用切り込み(2)を設けて、図1に示すブランクを組立てることによりティシュカートンの一実施例図2が完成する。」

D.(明細書【0011】項)、「更に本考案に用いる水溶性フィルムハイセロン(20μm厚)においてもティシュを一枚づつ取出すための弾力性による押え効果もあり実用的に優れている。」

そこで、上記記載A、C及び図面より、先願明細書には、ティッシュペーパーを収納する紙箱(ティッシュカートン)の、上面の中央部に形成される開口部(取出し口)を閉塞しており、取り出すティッシュペーパーを保持するためのスリット(取出し用切り込み)が設けられている水溶性プラスチックフィルムからなる窓材料が記載されていると認められる。
そして、上記記載Bより、上記水溶性プラスチックフィルムからなる窓材料は、冷水には容易には溶けず、40°C?60°Cの温水に容易に溶ける特性を持つ、水溶性ポリビニールアルコール樹脂フイルムでできており、上記記載Dより、該フィルムは、ティシュを一枚づつ取出すための弾力性による押え効果のある厚み(20μm厚)をもっていることが認められる。
さらに、上記記載Cより、窓材料は、酢酸ビニール系エマルジョン接着剤で、ティシュカートン取出し口部に貼着されていることが認められる。

3.対比
そこで、本願考案と、先願明細書に記載された考案(以下「先願考案」という)とを対比すると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「ティッシュペーパーを収納する紙箱の上面の中央部に形成される開口部を閉塞しており取り出すティッシュペーパーを保持するためのスリットが設けられている窓材料が、水に溶け始める温度が40?100℃のポリビニルアルコール系樹脂製水溶解性フィルムで構成されており、窓材料が紙箱の上面の裏面に接着剤で貼着されていることを特徴とするティッシュペーパー収納用紙箱。」

(形式上の相違点)

a.本願考案の、ポリビニルアルコール系樹脂製水溶解性フィルムは、分子中にビニルアルコール単位をモル比で70?99%含み水に溶け始める温度が40?100℃であるのに対し、先願考案の、水溶性ポリビニールアルコール樹脂フイルムは、冷水に溶けず、40°C?60°Cの温水に可溶であるが、分子中のビニルアルコール単位のモル比について不明である点。

b.本願考案の、ポリビニルアルコール系樹脂製水溶解性フィルムの厚さは40?60μmであるのに対し、先願考案の水溶性ポリビニールアルコール樹脂フイルムの厚さは、ティシュを一枚づつ取出すための弾力性による押え効果があるとされる20μmである点。

c.本願考案の窓材料は、紙箱の上面の裏面に水溶性接着剤で貼着されているのに対し、先願考案の水溶性フィルムは、酢酸ビニール系エマルジョン接着剤で貼着されている点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
(相違点aについて)
本願明細書の【0009】項には、次のように記載されている。
「この分子中にビニルアルコール単位をモル比で70?99%含むPVA系樹脂製水溶解性フィルムで構成された窓材料4としては、例えばポリ酢酸ビニルのケン化度が70?99%のもの,完全ケン化又は部分ケン化したPVAにエチレン基やブチレン基を導入し共重合体としたもの,PVAをカルボン酸変性したもの,PVAを部分アセタール化したもの等を示すことができるが、いずれにしてもビニルアルコール単位が分子中にモル比で70?99%含まれていることが必要である。ビニルアルコール単位が分子中にモル比で70?99%でなければならない理由は、ビニルアルコール単位がモル比で99%を超えると、分子内の水酸基同士間の水素結合が強くなって水に対する溶解性が著しく低下してしまうからであり、またビニルアルコール単位が分子中にモル比で70%未満では疎水性が高くなって水に対する溶解性が著しく低下するからである。」
してみると、相違点aに係る、「分子中にビニルアルコール単位をモル比で70?99%含」むという数値限定は、本願考案に係るポリビニルアルコール系樹脂製フィルムが水溶解性であることを、別の表現で言い換えたにすぎないものであり、先願考案の水溶性ポリビニールアルコール樹脂フイルムも水溶性であるのであるから、この点で両者に相違はないものである。

(相違点bについて)
ポリビニルアルコール系樹脂製水溶解性フィルムの厚さを40?60μmとすることの理由として、本願明細書の【0012】項には、概略、フィルムが薄すぎると、フィルムに腰が無く且つ容易にスリットの形状変化を起こし易く、ティッシュペーパー6のホールド性に劣り、一方、厚すぎると、フィルムが硬くなりティッシュペーパー6を取り出す時にティッシュペーパー6の引き裂けが起こり易くなる旨記載されている。
しかしながら、一般に、ティッシュペーパー容器の、取り出し口に貼附するフィルムの厚さを設計するに当たり、フィルムが弱すぎたり硬すぎたりしない範囲から、適当な厚みを選ぶことは、当業者が当然考慮する設計的事項にすぎないので、この点は設計上の微差にすぎず、両者に実質的な相違は認められない。

(相違点cについて)
酢酸ビニール系エマルジョン接着剤は、水溶性接着剤とはいえないものの、容易に吸水して再エマルジョン化し、水中で分散することは周知の事実である。
また、一般に、紙箱等の故紙の再パルプ化によるリサイクルを容易にするために、紙箱等に使用する接着剤を水溶性又は水分散性のものとすることは、例えば特公昭62-6595号公報に示すように周知となっている。該文献には、水溶性又は水分散性のホットメルト接着剤について記載されており、かかる接着剤を、包装用、段ボール張り合わせ用等に使用すれば、故紙回収の際には、水に溶け、あるいは水に分散するので障害とならない旨記載されている。
そこで、先願考案において、水分散性のある酢酸ビニール系エマルジョン接着剤に代え、水溶性の接着剤を用いることは、単なる設計変更にすぎないものである。

5.むすび
したがって、本願考案は、先願明細書に記載された考案と同一であり、しかも、本願考案の考案者が上記先願明細書に記載された考案の考案者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願考案は、実用新案法第3条の2の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-10-02 
結審通知日 2001-10-09 
審決日 2001-10-22 
出願番号 実願平4-81969 
審決分類 U 1 8・ 161- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 慧佐野 遵岩田 洋一  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 杉原 進
山崎 豊
考案の名称 ティッシュペーパー収納用紙箱  
代理人 野間 忠之  
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