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審決分類 審判 全部申し立て   G09F
審判 全部申し立て   G09F
管理番号 1053466
異議申立番号 異議2001-72076  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2002-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-07-25 
確定日 2002-02-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第2606888号「合成樹脂製ラベル」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2606888号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.本件実用新案登録第2606888号(以下「本件」という。)は、平成5年11月17日に出願されたものであって、平成12年11月24日に設定登録がされ、同13年1月29日に実用新案登録公報に掲載されたものであり、これに対して、実用新案登録異議申立人大和田百合子及び同押谷泰紀より各平成13年7月25日付けで、実用新案登録異議の申立てがされたものである。

2.本件考案は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された「スクイズ性を有する合成樹脂製壜体(11)の胴部表面に押圧貼着される合成樹脂製ラベルであって、ポリプロピレンフィルムから成る外層(2) と、ポリプロピレンフィルムもしくはポリエチレンフィルムから成る内層(3) と、該内層(3) と前記外層(2) との間に設けた印刷層(4) と、前記内層(3) の片面に設けた貼着剤層(5) と、から構成される合成樹脂製ラベル。」にある。
なお、本件考案は、外層フィルムと内層フィルムとの間に伸び率の差が発生しても、しわが発生しないラベルを得ることを、考案の課題としたものである。

3.これに対して、各異議申立人の申立ての理由は、以下のとおりである。
(1)異議申立人大和田百合子の申立ての理由は、本件考案は甲第1?3号証刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものであるから実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない、というにあるものと認められる。
(証拠方法)
甲第1号証:特許庁公報「周知・慣用技術集(接着)」第138頁、昭和59年6月15日
甲第2号証:「プラスチック読本」第140頁、株式会社プラスチックス・エージ、1980年5月10日
甲第3号証:特開昭61-97684号公報

(2)異議申立人押谷泰紀の申立ての理由は、本件考案は、甲第1号証刊行物に記載された考案であるから実用新案法第3条第1項第3号に該当し、あるいは、第1?2号証刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものであるから実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない、というにあるものと認められる。
(証拠方法)
甲第1号証:PCT/WO92/06836号パンフレット
甲第2号証:特開平5-46092号公報
ほかに、参考資料として、甲第1号証に対応した特表平6-504735号公報を提出している。

4.そこで、異議申立人の提出した甲号各証について検討する。
(1)異議申立人大和田百合子の提出した甲第1号証には、「ガスバリヤー層をサンドイッチした接着法」が接着技術の分野において周知・慣用技術であることが記載されている。そして、具体的な技術内容として、「2軸延伸ポリプロピレン、ポリエステル等のプラスチックフイルムに印刷を行った後、その面にアンカーコート、ポリ塩化ビニリデンコートを順に行い、ついで接着剤を塗布し、未延伸ポリオレフインフィルム等を貼合わせるガスバリヤー層をサンドイッチした接着法」が記載されている。
しかしながら、甲第1号証の接着法によって得られたものがラベルに使用されるものであるとの記載も示唆もないし、その構成(未延伸ポリオレフインフィルム等を貼合わせていることなど)からみて、これが本件考案のようなスクイズ性を有する合成樹脂製壜体の胴部表面に押圧貼着される合成樹脂製ラベルのためのものであるとは認められない。
次に、甲第2号証には、異議申立人のいうように、「主要プラスチックの性能一覧表(その2)においてポリプロピレンの伸び(%)等」主要プラスチックの性能が記載されている点は認められるが、本件考案の合成樹脂製ラベルの構成を想起させる何らの記載も見あたらない。
さらに、甲第3号証には、貼り替え防止用貼着材について、異議申立人のいう、「樹脂層の接着力に抗して、表面層が元の状態に復元しようとして剥離しないような比較的柔軟なものがよい」ことが開示されている点は認められるが、本件考案の合成樹脂製ラベルの構成を想起させる記載は見あたらない。
さらに、甲第1?3号証にいずれにも、本件考案の課題である、外層フィルムと内層フィルムとの間に伸び率の差が発生してもしわが発生しないラベルを得ることを示唆する何らの記載も見あたらない。
そうすると、本件考案が、かかる甲第1?3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものであるとは到底言い得ない。

(2) 次に、異議申立人押谷泰紀の提出した甲第1号証には、「変形可能な基材への高速ラベル貼付方法」について、第1?9図とともに記載されている。
異議申立人は、第3図ほかからみて、「core layer 52 」が本件考案の印刷層に相当することは明らかであるというが(異議申立書第6頁第5?7行)、甲第1号証の「core layer 52」は、本件考案の印刷層に相当するものではなく、表層52、56と同材料または高密度ポリエチレンからなる「中心層」である(異議申立人が参考資料として提出した特表平6-504735号公報第7頁右上欄第15行?同頁左下欄第18行参照)。したがって、甲第1号証に記載されたラベルは、本件考案の、外層(2) 、内層(3) 、内層(3) と外層(2) の間に設けた印刷層(4) 、及び内層(3) の片面に設けた貼着剤層(5) とから構成された合成樹脂製ラベルとは、基本構成において相違するものであるというべきである。
なお、異議申立人は、甲第1号証には、「表皮層のその他の材料としては、溶融可能なフィルムを形成する基材を単独で又は組み合わせて使用することもできる。例えば、ポリエチレン、…(中略)…ポリプロピレン…(中略)…熱可塑性樹脂が挙げられる。」旨記載されている(第13頁下から13行?最下行)から、skin layer 54 の材料としてPPを使用することが記載されているというが(異議申立書第5頁第14?22行)、上記甲第1号証中の記載は、多数の樹脂とともに「ポリエチレン」及び「ポリプロピレン」が例示されたものであって、本件考案のように、外層(2) をポリプロピレンフィルムとし内層をポリプロピレンフィルムもしくはポリエチレンフィルムとすることが特定して記載されたものではない。
さらに、甲第1号証記載のものは高速ラベル貼付方法を課題とするものであって、外層フィルムと内層フィルムとの間に伸び率の差が発生してもしわが発生しないラベルを得ることを目的とした本件考案とは考案の課題においても相違する。
次に、甲第2号証には、異議申立人のいう、「低密度ポリエチレン樹脂層又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層及び低密度ポリエチレン10?95重量%と直鎖状低密度ポリエチレン90?5重量%の組成物樹脂層を含有する多層複合フイルムを剥離材に感圧接着剤により貼着してなるスクイズ容器用ラベル」(請求項3)が記載されている。しかしながら、外層をポリプロピレンフィルムとした点、中間に印刷層を配した点などは記載されていない。
なお、異議申立人は、甲第2号証には、「ポリプロピレンラベルなどを使用するときは、ボトルに貼着するのが既に困難である上に、ボトルから内容物を絞り出すときのボトルの形状の大きな変形に貼着されたラベルが追従することができないので、ラベルとボトル表面の間にズレが生じて、ラベルが剥がれるという欠点が生じる。」(段落0002第13行?18行)と記載されているとして、PPはPEは劣る旨の記載があるから、外層の材料としてPPを使用することがPEを用いる場合に比較して効果の観点からも進歩性があるとはいえない旨主張する(異議申立書第8頁第6?13行)。しかしながら、甲第2号証に記載された考案(発明)は、「柔らかいスクイズボトルに、常用の紙製ラベル、PETラベル、合成ラベル、ポリプロピレンラベルなどを使用するときは、ボトルに貼着するのが既に困難である上に、ボトルから内容物を絞り出すときのボトルの形状の大きな変形に貼着されたラベルが追従することができないので、ラベルとボトル表面の間にズレが生じて、ラベルが剥がれるという欠点が生じる。」(段落0002第11行?18行)といえことから、「低密度ポリエチレンに直鎖状低密度ポリエチレンを特定量配合すること又は同じく直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層と低密度ポリエチレン樹脂層を含有する複合フイルムのラベル」としたものであり(段落0004)、しわが発生しないラベルを得る本件考案とは、考案の課題においても異なるものであるから、甲第2号証のかかる記載に基づいて、本件考案の進歩性が否定されることには到底ならない。
そうすると、本件考案が、甲第1号証に記載された考案であるとすることはできず、また、甲第1?2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることもできない。

6.以上のとおりであるから、各異議申立人の主張する申立ての理由及び提出した証拠方法によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2002-01-24 
出願番号 実願平5-61888 
審決分類 U 1 651・ 113- Y (G09F)
U 1 651・ 121- Y (G09F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 渋谷 善弘  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 和泉 等
岡田 和加子
登録日 2000-11-24 
登録番号 実用新案登録第2606888号(U2606888) 
権利者 株式会社吉野工業所
東京都江東区大島3丁目2番6号
考案の名称 合成樹脂製ラベル  
代理人 渡辺 一豊  
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