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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない F24F
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効としない F24F
管理番号 1055174
審判番号 審判1998-35644  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-12-16 
確定日 2000-09-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第1932434号実用新案「検査口付きダンパ-開閉器」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件登録実用新案
本件実用新案登録第1932434号は、昭和61年3月18日に実用新案登録出願され、平成3年12月24日に出願公告(実公平3-56850号公報)された後、平成4年10月14日に実用新案の設定登録がなされたもので、その考案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「火災等による温度又は煙を感知して開度調節可能な可動羽根を自動的に閉止方向へ回動するダンパー自動閉止機構(E)を備えたダンパー開閉器(A)において、該ダンパー開閉器(A)の器体(1)に覗き開口(2)を有する検査口(B)を一体に連設し、該検査口(B)の覗き開口(2)に蓋体(3)を着脱自由に設けてなる検査口付きダンパー開閉器。」(以下、「本件考案」という。)

2.当事者の主張
2-1請求人の主張
請求人は、本件考案は、本件考案の出願前に頒布された刊行物である下記甲第4号証に記載された考案と同一であって実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反して登録されたものであるから、若しくは、本件考案の出願前に頒布された刊行物である下記甲第2号証乃至甲第5号証、特に甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものであって実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであるから、本件実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第1号により無効とすべきものである、旨主張し、証拠方法として下記のものを提出している。
甲第1号証:本件登録実用新案の出願公告公報である実公平3-56850号公報
甲第2号証:特開昭54-37350号公報、
甲第3号証:特開昭60-242396号公報、
甲第4号証:実公昭60-940号公報、
甲第5号証:特開昭58-138939号公報

2-2被請求人の主張
これに対し、被請求人は、本件考案は、甲第4号証に記載され考案と同一でなく、また甲第2号証乃至甲第5号証に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものでもない、旨主張している。

3.甲各号証記載の考案
甲第2号証には、
「本発明システムは第1図に示す如く空調用ダクトDに接続されたところのダンパ-機構Aと該ダクトD内に設置された感知装置B(図ではダンパ-機構から離れた位置に設置しているが、後述する如くダンパ-機構部に設置しても良い)とこれの感知信号を受け該ダンパ-機構Aに動作指令を発することを主機能とする制御装置Cとから構成されるものである。」(第2頁右上欄14行?左下欄1行)こと、
「ダンパ-機構Aの構成を第2図に示す。
同図中1はケ-シングでダンパ-本体を形成する枠であり、側面には点検口2を有し内部には後述の羽根との機密を確保する為の方立て3が設けられ、外面には該羽根用駆動部4が配設されている。
5は前述の羽根で該ケ-シング1の中に軸止着されるものであってその角度を変じる事により空気流の調整並びに遮断するものであり、その構造はB図に示す如く芯棒5-aと断熱芯材5-bとを一体加工し、表面を鉄板5-cで被覆して耐熱性としたものであり、前記方立て3もこれに対応して耐熱、耐候性材をもって構成する。」(第2頁左下欄4行?16行)こと、
「該点検口2は法令に基づき羽根5の作動を点検する為に設けられるもので開閉自在の扉をもって構成し、C図に示す如くこれに該熱および煙感知装置B設置用の凹部6を付形しても良い。」(第2頁右下欄2行?5行)こと、
「駆動部4とリンク機構7等の駆動並びに動力伝達機構とからなるダンパ-自動開閉装置はスプリング付勢力を付加されていてストッパーで回動が阻止されているところの羽根5の芯棒5-aをストッパーを脱係させて回動させ、羽根5を方立て3に対して密接させてダンパ-閉とし、リセットにはモーターを作動してその変換動力でもって該スプリング付勢力に抗して芯棒5-aを逆回転させ、羽根5を元位置まで復帰させる様に構成するものである」(第2頁右下欄15行?第3頁左上欄4行)こと、が記載され、
図面第2図には、ケ-シング1内に羽根5を軸止着するとともに、ケ-シング1の側面に開閉自在の扉2を有する点検口2と羽根用駆動部4を設けたスモ-クダンパシステムが開示されている。
甲第3号証には、
「可動型中性子検出器を原子炉圧力容器の炉心に挿入しおよびこの炉心から引抜く検出器駆動機構と、この検出器駆動機構を囲むとともに上記検出器が挿入される案内管に連通した密閉されかカバーと、このカバーに上記検出器駆動機構の点検箇所に対応して形成される点検孔と、この点検孔を閉塞する着脱自在または開閉自在な蓋体とを具備したことを特徴とする原子炉の可動型中性子検出器駆動装置。」(特許請求の範囲)であって、原子炉の可動型中性子検出器駆動装置に関し、
「その目的とするところは検出器駆動装置の点検の際にカバーを外す必要がなく、作業者が放射化された固体潤滑剤の粉末に接触する機会を少なくして簡便な防護服を着用でき、作業を能率的におこなうことができるとともに作業時間の短縮により被曝線量を少なくすることができる原子炉の可動型中性子検出器駆動装置を得ることにある。」(第2頁左上欄7行?14行)こと、が記載されている。
甲第4号証には、
「ダンパ-羽根を閉方向に常時付勢するとともに同ダンパ-羽根を所定開度に保持できるハンドル機構をダクト外壁に備えたダンパー装置に於いて、ハンドル機構の所定開度保持ストッパーの解除力をダクト内風上側に配置した60°?70℃程度の設定記憶温度を有する記憶合金の復元力を使用するとともに、同記憶合金位置よりやや風上側ダクト外壁に温風送風器挿入点検口を設けたことを特徴とする防火ダンパ-装置。」(実用新案登録請求の範囲)であって、この防火ダンパ-装置に関し、
「以下実施例を図面に基いて説明する。
図中1はダクト、2はダクト壁、3はダンパ-羽根、4はダンパ-主軸、5はダンパ-羽根3を閉方向(開方向は閉方向の誤記である)に付勢するスプリング、6はダンパ-主軸4の先端に固着した開度調整ハンドル、7は目盛板、8は同目盛板と開度調整ハンドルとを所定ダンパ-開度で保持するための連結セット蝶ねじ、9は目盛板7を回転しないように保持するストッパー杆、10は同ストッパー杆の目盛板7との係止板、11は同係止板の係止孔、12はストッパー杆9のガイド壁2に固定された断面U形状ガイドフレーム、13はストッパー杆9の先端に取付けた室温下で湾曲され、設定記憶温度以上では直線状の平板に復帰する記憶合金板、14は同記憶合金板のストッパー杆9の先端の取付ピン、15は同記憶合金板のガイドフレーム11側の取付ピン、16は記憶合金板の湾曲復帰ガイドスプリング、17は温風送風器挿入点検口、18は点検口キャップ、19は伝熱式温風送風器である。」(第1頁2欄23行?第2頁3欄14行)こと、
「この実施例ではダンパー主軸4に取付けられたダンパー羽根3はスプリング5によって閉じる方向に回動する様に常時付勢されている。一方ダンパー主軸4はその先端の開度調整ハンドル6を回動させることによって所定開度とし、この状態で連結セット蝶ねじ8によって同開度調整ハンドル6を目盛板7に連結する。同目盛板7はその係止板10と突出した状態のストッパー杆10の先端とによって回動しない様に係止固定され、よってダンパー羽根5を所定開度の状態を保持している。」(第2頁3欄14行?24行)こと、が記載され、
図面には、ダクト外壁2に箱状の器体が取付けられ、この箱状の器体にダンパー羽根3を取付けたダンバー主軸4及びストッパー杆9をガイドするガイドフレーム12を取付けるとともに、箱状の器体の外面に開度調整ハンドル6、係止板10を取付けた目盛板7等を配し、さらに箱状の器体を貫通しかつ箱状の器体の平面視内に温風送風器挿入点検口17を設け、該温風送風器挿入点検口17に点検口キャップ18を設けた防火ダンパー装置が記載されていることが窺える。
甲第5号証には、
「本発明は防煙ダンパ装置、特にゲート板開閉を任意の開口角に遠隔制御可能な防煙ダンパ装置に関するものである。」(第1頁右下欄2行?4行)こと、
「第1図は本発明にかかる防災ダンパ装置の外観図でaは平面図、bは正面図を夫々示す。図中2はダクト管で断面は円形状のダクト路が形成される。このダクト管2の上方にはゲート板変位制御装置4を備え、当該制御装置4から回転変位が付与される回転駆動軸7及びこの駆動軸7に取付けられたゲート板1を備える。なお上記ゲート板変位制御装置4は断熱材8にてダクト管2から熱的に遮断される。また、ゲート板変位制御装置4の上方には開度設定装置5を備えるとともに制御装置4の近傍のダクト管面には検査口3が設けられている。」(第2頁右上欄3行?14行)こと、が記載され、
図面第1図(a)(b)には、防災ダンパ装置においてゲート板変位制御装置4に近接して検査口3を設けることが記載され、検査口3には蓋体を着脱自由に設けることが窺える。

4.対比、判断
(a)実用新案法第3条第1項第3号違反について
甲第4号証記載の「ダンパー羽根3」は開度が調節可能であって、本件考案の「開度調節可能な可動羽根」に相当し、甲第4号証記載の「スプリング5、開度調節ハンドル6、目盛板7、係止板10、ガイドフレーム12、ストッパー杆9、形状記憶合金板13、湾曲復帰ガイドスプリング16等を含み火災等による温度を感知しダンパー羽根3を自動的に閉止方向へ回動する機構」は、本件考案における「火災等による温度を感知して可動羽根を閉止方向へ回動するダンパー自動閉止機構」に相当し、また甲第4号証の図面に記載の「箱状の器体」は本件考案の「ダンパー開閉器の器体」に相当するものと認められる。しかしながら甲第4号証記載の「温風送風器挿入点検口17」が、防火ダンパー装置の閉鎖を確認するためのものであって点検をするための口であることは明らかであるが、該「点検口17」は図面の記載からみて比較的小径でかつ相当の長さを有する筒状体として記載されており本件考案における「覗き開口を有する検査口」と機能上同じものか否か明確でない上に、甲第4号証には「温風送風器挿入点検口17」を何に対しどのように取り付けたのか明確な記載はなく、しかも実用新案登録請求の範囲には「同記憶合金位置よりやや風上側ダクト外壁に温風送風器挿入点検口を設けた」と記載されており、これらの事項からみて、甲第4号証記載の「温風送風器挿入点検口17」が「箱状の器体」に一体に連設されているとは認めることができない。
そうしてみると、甲第4号証には、本件考案の必須の構成要件である「ダンパー開閉器の器体に覗き開口を有する検査口を一体に連設し、該検査口の覗き開口に蓋体を着脱自由に設けてなる」点、特に「ダンパー開閉器の器体に覗き開口を有する検査口を一体に連設し」た点について記載されておらず、本件考案が、甲第4号証に記載された考案と同一であるとは認めることができない。
(b)実用新案法第3条第2項違反について
本件考案と甲第2号証記載の考案とを対比すると、甲第2号証記載の「回転羽根5(羽根5)」は本件考案の「可動羽根」に相当し、甲第2号証記載の「駆動部4とリンク機構7等の駆動並びに動力伝達機構とからなるダンパ-自動開閉装置」は、本件考案の「可動羽根を自動的に閉止方向へ回動するダンパ-自動閉止機構」に相当する。また、甲第2号証記載の「点検口2」は、ケ-シングの側面に形成され羽根の作動を点検するものと認められるから本件考案の「覗き開口を有する検査口」に相当するものと認められる。そうしてみると、上記両者は、「火災等による温度又は煙を感知して開度調節可能な可動羽根を自動的に閉止方向へ回動するダンパー自動閉止機構を備えたダンパー開閉器において、覗き開口を有する検査口と、該検査口の覗き開口に蓋体を設けてなる検査口付きダンパー開閉器」の点で一致し、下記相違点で相違している。
相違点
本件考案では、ダンパー開閉器の器体に覗き開口を有する検査口を一体に連設し、該検査口の覗き開口に蓋体を着脱自由に設けてなるのに対し、甲第2号証記載のものでは、覗き開口を有する検査口をダンパー開閉器の器体と別体に構成して該検査口をケ-シング1に設けるとともに、該検査口の覗き開口に蓋体を開閉自在に設けてなる点。

そこで、上記相違点について検討する。
上記したとおり、甲第4号証には、本件考案の「開度調節可能な可動羽根」及び「火災等による温度を感知して可動羽根を閉止方向へ回動するダンパー自動閉止機構」に相当するものが記載され、また甲第4号証の図面に記載の「箱状の器体」が本件考案の「ダンパー開閉器の器体」に相当するものと認められるとしても、甲第4号証記載の「温風送風器挿入点検口17」が、本件考案における「覗き開口を有する検査口」と機能上同じものか否か上記したとおり明確でない上に、甲第4号証には「温風送風器挿入点検口17」を何に対しどのように取り付けたのか明確な記載はなく、しかも実用新案登録請求の範囲には「同記憶合金位置よりやや風上側ダクト外壁に温風送風器挿入点検口を設けた」と記載されており、これらの事項からみて甲第4号証には、「温風送風器挿入点検口17」が「箱状の器体」に一体に連設して設けられているとは認めることができない。したがって、「温風送風器挿入点検口17」が本件考案の「覗き開口を有する検査口」に相当するものであるとしても、甲第4号証には、本件考案の構成要件である「ダンパー開閉器の器体に覗き開口を有する検査口を一体に連設し、該検査口の覗き開口に蓋体を着脱自由に設けてなる」点について記載されておらず、またこの点を示唆するものでもない。
また、甲第5号証には、ダンパー開閉器に相当する防災ダンパ装置において、ダンパー自動閉止機構に相当する「ゲート板変位制御装置4」の近傍のダクト管面に「検査口3」を設けることは記載されているが、甲第5号証にも、上記相違点における本件考案の構成要件である「ダンパー開閉器の器体に覗き開口を有する検査口を一体に連設し、該検査口の覗き開口に蓋体を着脱自由に設けてなる」点について記載されておらず、またこの点を示唆するものでもない。
しかも、甲第3号証記載のものは、可動型中性子検出器駆動装置に関し、作業を能率的に行うことができると共に作業時間の短縮により被曝線量を少なくすることを目的とするものであって、本件考案と技術分野が相違し、かつ上記相違点における本件考案の構成要件が記載されてもいない。
そして、本件考案は、上記構成を具備したことにより「検査口(B)とダンパー開閉器(A)を各別に設けている従来に比べ2つの部品を1つにまとめたことによりその製作が容易かつ能率的に行えるため製品コストを著しく低廉とすることができ、また、その取付け設置も容易であり、さらに、検査口(B)がダンパー開閉器(A)と一体に隣接するから熱感知用ヒューズ(F)及び可動羽根(6)の作動状態等が近くで検査確認できる利便があるとともに、外観上の体裁を損うこともないので商品価値も向上する」という明細書記載の格別の効果を奏するものである。
したがって、本件考案が、甲第2号証、甲第4号証又は甲第5号証に記載のものから当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとも、また甲第2号証記載のものに甲第4号証、甲第5号証記載のものを適用することにより、さらには甲第3号証記載のものを適用することにより当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとも認めることができない。

5.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-06-28 
結審通知日 2000-07-07 
審決日 2000-07-19 
出願番号 実願昭61-39337 
審決分類 U 1 112・ 113- Y (F24F)
U 1 112・ 121- Y (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 佳弘  
特許庁審判長 滝本 静雄
特許庁審判官 冨岡 和人
大槻 清寿
登録日 1992-10-14 
登録番号 実用新案登録第1932434号(U1932434) 
考案の名称 検査口付きダンパ-開閉器  
代理人 小玉 秀男  
代理人 中村 敦子  
代理人 池田 敏行  
代理人 岡田 英彦  
代理人 岩田 哲幸  
代理人 長谷川 哲哉  
代理人 村瀬 裕昭  
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