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審決分類 |
審判 全部申し立て B62D |
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管理番号 | 1055182 |
異議申立番号 | 異議2000-74188 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2002-04-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-11-14 |
確定日 | 2001-12-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2604435号「除雪機の走行用クローラ」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2604435号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 実用新案登録第2604435号の請求項1及び2に係る考案についての出願は、平成5年4月5日に実用新案登録出願され、平成12年3月3日にその考案について実用新案の設定登録がされた。これに対し、請求項1及び2に係る実用新案登録に対して、登録異議の申立てがあったので、いずれも実用新案法第3条第2項の規定に違反する旨の取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成13年6月25日に訂正請求書が提出されたものである。 2.訂正の適否について (1)訂正の内容 実用新案権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 (訂正事項a) 実用新案登録請求の範囲の記載を次のように訂正する。 「【請求項1】除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体lb及び単数凸状体lcを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に、両側端部までクローラの全幅にわたって間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該複数凸状体lbと単数凸状体lcを雪上に押圧し、該複数凸状体lbと単数凸状体lc同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部laを構成し、該切欠部laは、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間であって、単数凸状体1cの両側に構成し、雪を踏み固めない部分を構成したことを特徴とする除雪機の走行用クローラ。」 (訂正事項b) 明細書の「考案の詳細な説明」の欄の段落番号0004に記載を、次のように訂正する。 「【課題を解決するための手段】 本考案は、以上の如き課題を解決するために、次のような構成とする。 除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体lb及び単数凸状体lcを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に、両側端部までクローラの全幅にわたって間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該複数凸状体lbと単数凸状体lcを雪上に押圧し、該複数凸状体lbと単数凸状体lc同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部laを構成し、該切欠部laは、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間であって、単数凸状体1cの両側に構成し、雪を踏み固めない部分を構成したものである。」 (訂正事項c) 明細書の「考案の詳細な説明」の欄の段落番号0011の記載を、次のように訂正する。 「【考案の効果】 本考案は以上のように構成することにより、次の如き効果を奏する。 第1に、除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体1b及び単数凸状体1cを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該凸状体1b・1cを雪上に押圧し、該凸状体1b・1c同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部1aを構成したので、まず、別々に構成した凸状体1bと凸状体1cにより雪を噛み込むので、グリップ力により走行駆動力を得ることができるのである。 第2に、走行用クローラの両側端部の全周にわたって切欠部1aを設けることにより、除雪機の走行駆動中において、該走行用クローラの両側端部の切欠部1aに雪が噛み込まれ、該両側端部においてもグリップ力が得られて走行駆動力を増大させることができ、該走行用クローラが雪内に沈み込んでも、側方へのグリップ力があるので脱出し易く、方向転換や旋回も容易にでき、除雪機を円滑に走行駆動できるようになったのである。 第3に、走行用クローラ1の両側端部に、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間を切り欠いて切欠部1aを構成し、該切欠部1a・1a・・・が全周にわたって所定間隔を開けて設けられ、雪を踏み固めない部分を構成したので、複数凸状体1bと切欠部1aとの間の段差を極端に大きく構成することができ、切欠部1aによる雪のグリップ力を大きくして、走行駆動力を大きくすることができたのである。」 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、拡張・変更の存否 訂正事項aについて: 「両側端部までクローラの全幅にわたって」及び「該切欠部laは、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間であって、単数凸状体1cの両側に構成し」の訂正は、いずれも出願当初明細書の段落番号0008,0010の記載及び図2の記載を根拠としたもので、減縮を目的としたものである。また、「該複数凸状体lbと単数凸状体lcを雪上に押圧し、該複数凸状体lbと単数凸状体lc同士」の部分の訂正は、出願当初明細書の「凸状体1b・1c」の記載を明瞭な記載に改めたものである。 したがって、この訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮及び不明瞭な記載の釈明を目的としたものである。そして、この実用新案登録請求の範囲の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、この訂正により実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項b及びcについて: これらの訂正は前記訂正に伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載とを整合させるためになされた訂正であって、考案の詳細な説明における明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。そして、この考案の詳細な説明の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、この訂正により実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正の容認 以上のとおりであるから、前記訂正事項a、b、cの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.実用新案登録異議の申立てについて (1)本件考案 前述のとおり、本件訂正は認められたので、本件請求項1に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体lb及び単数凸状体lcを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に、両側端部までクローラの全幅にわたって間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該複数凸状体lbと単数凸状体lcを雪上に押圧し、該複数凸状体lbと単数凸状体lc同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部laを構成し、該切欠部laは、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間であって、単数凸状体1cの両側に構成し、雪を踏み固めない部分を構成したことを特徴とする除雪機の走行用クローラ。」(以下、本件考案という) (2)刊行物記載の考案 当審で通知した取消理由で引用した刊行物1及び刊行物2には、それぞれ以下のような技術事項が記載されている。 刊行物1: 特開昭63-8080号公報 (異議申立人の提示した甲第1号証) 湿田用農作業機等の履帯であって、履帯5の接地表面には推進ラグ8及び補助ラグ13を、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、推進ラグ8は複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に両側端部まで履帯の全幅にわたって(公報第3頁左下欄第18,19行には、「推進ラグ8を本体6の略全幅に亘る長さに形成して」と記載されているので、この記載から、推進ラグは履帯の両側端部まで全幅にわたって突設されていると認定した。)間隔を開けて突設した構成とし、補助ラグ13は幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該推進ラグと補助ラグを軟弱地面のような不整地に押圧し、該推進ラグと補助ラグ同士の隙間に土を噛み込ませてグリップ力を得るように構成した履帯。 刊行物2: 特開平2-41989号公報 (異議申立人の提示した甲第7号証) 雪面の硬軟にかかわらず、常に高い牽引力を発揮するよう無端状ベルトの踏面に幅方向に延びる防滑突起を配列した除雪機用トラックベルト(本件考案の除雪機の走行用クローラに相当)。 また、同じく取消理由で引用した刊行物3(特開昭62-105786号公報)の第8図及び刊行物4(実願昭56-125041号(実開昭58-29583号)のマイクロフィルム)の第3図には、それぞれ弾性無限軌道帯(本件考案の走行用クローラに相当)またはクローラベルト(本件考案の走行用クローラに相当)において、該無限軌道帯またはクローラベルトの両側端部の全周にわたって形成した切欠部を、無限軌道帯またはクローラベルトの両側端部まで全幅にわたって突設したラグ(本件考案の複数凸状体に相当)の間に位置させたものが記載されている。 (3)対比・当審の判断 本件考案と刊行物1に記載の考案とを対比すると、刊行物1に記載の考案の履帯、推進ラグ及び補助ラグは、それぞれ、本件考案の走行用クローラ、複数凸状体及び単数凸状体に相当するから、両者は、走行用クローラであって、走行用クローラの接地表面には複数凸状体及び単数凸状体を、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体は複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に、両側端部までクローラの全幅にわたって間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体は幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該複数凸状体と単数凸状体を不整地に押圧し、該複数凸状体と単数凸状体同士の隙間に雪又は土を噛み込ませてグリップ力を得るように構成した走行用クローラである点で一致し、以下の(A)及び(B)で相違している。 (A)走行用クローラの適用対象として、本件考案では、除雪機としている のに対して、刊行物1記載の考案では、湿田用農作業機等である点 (B)本件考案が、走行用クローラの両側端部の全周にわたって、切欠部を 構成し、該切欠部は、複数凸状体と複数凸状体の間であって、単数凸状 体の両側に構成し、雪を踏み固めない部分を構成しているのに対して、 刊行物1記載の考案では、このような切欠部を形成していない点 前記相違点につき検討すると、 相違点(A)について: 一般にクローラは軟弱地面又は雪上のような不整地を走行する場合に用いられることが前提であり、そして、刊行物2には、走行用クローラを装備した除雪機が記載されているから、前記刊行物1記載の複数凸状体及び単数凸状体を有する湿田用農作業機等の走行用クローラを、そのまま前記刊行物2記載の除雪機の走行用クローラに適用することで、本件考案における前記相違点(A)に係る用途に転用することは当業者ならきわめて容易に推考しえたことである。 相違点(B)について: 走行用クローラの両側端部の全周にわたって形成した切欠部を、走行用クローラ両側端部まで全幅にわたって突設した複数凸状体の間に位置させた点は、刊行物3及び4に開示されているので、この走行用クローラの両側端部に切欠部を設けたという技術事項を、同じくクローラ全幅にわたって突設した複数凸状体を有する前記刊行物1に記載の走行用クローラの両側端部に適用して、そして、切欠部を走行用クローラの両側端部に形成するに際して、切欠部が単数凸状体の両側に位置するような配置となるのは必然の結果といえるから、それゆえ、本件考案における前記相違点(B)に係る構成とすることは当業者がきわめて容易に推考しえたものというべきである。 そして、本件考案の効果は、前記刊行物1乃至刊行物4に記載された考案から予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。 (4)むすび 以上のとおり、本件考案は、前記刊行物1乃至刊行物4に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 したがって、本件考案についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 除雪機の走行用クローラ (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体1b及び単数凸状体1cを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に、両側端部までクローラの全幅にわたって間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該複数凸状体1bと単数凸状体1cを雪上に押圧し、該複数凸状体1bと単数凸状体1c同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部1aを構成し、該切欠部1aは、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間であって、単数凸状体1cの両側に構成し、雪を踏み固めない部分を構成したことを特徴とする除雪機の走行用クローラ。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、除雪機の走行用クローラの構造に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、雪上を走行するためにクローラ走行装置を具備した除雪機において、走行用クローラは、雪上にて駆動力を得るために、接地表面に全周にわたって凸状部を設け、該凸状部が雪上に接地して、グリップ力を得て走行駆動していた。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 しかし、従来の走行用クローラでは、両側端部は直線状となっており、踏み固まっていない雪上では、走行とともに走行部が沈み込んでしまうことがあり、この場合走行跡は直線状のわだちとなり、旋回や方向転換する場合には、側方へのグリップがない為、そのわだちから抜け出ることができず、前後方向しか除雪できないことがあり、旋回性能も悪かったのである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本考案は、以上の如き課題を解決するために、次のような構成とする。 除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体1b及び単数凸状体1cを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に、両側端部までクローラの全幅にわたって間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該複数凸状体1bと単数凸状体1cを雪上に押圧し、該複数凸状体1bと単数凸状体1c同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部1aを構成し、該切欠部1aは、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間であって、単数凸状体1cの両側に構成し、雪を踏み固めない部分を構成したものである。 【0005】 【作用】 方向転換等を行う場合には、走行用クローラの両側端部の切欠部が雪に噛み込んでグリップを得て、クローラ表面の凸部とにより駆動力が得られ、旋回・方向転換を容易にできるのである。 【0006】 【実施例】 本考案の解決すべき課題及び構成は以上の如くであり、次に添付の図面に示した本考案の実施例を説明する。 図1は除雪機の全体斜視図、図2は本考案の走行用クローラの平面図、図3は同じく側面図、図4は同じく正面図、図5は同じく部分平面図、図6は同じく側面部分断面図、図7は図5におけるX-X線断面図、図8は図5におけるY-Y線断面図である。 【0007】 図1において、除雪機の全体構成を説明する。 走行用クローラ1を巻回したクローラ走行装置2のトラックフレーム上にエンジンE、バッテリーBを設置し、前部には雪を掻き込むオーガ部3を配設し、該エンジンEとオーガ部3との間にブロアを設け、該ブロアを被覆するブロアカバー4の上部より排雪シュート5を上方に突設している。 該オーガ部3より掻き込んだ雪をブロアにて吹き出し、該排雪シュート5により案内して排出するように構成している。また、エンジンEの後方に操向ハンドル6を配設し、走行クラッチレバー8、変速レバー9、及びシュート操作レバー10等を設けた操作パネル7を該操向ハンドル6の基端部に配置している。 【0008】 走行用クローラ1の形状について、図2乃至図8より説明する。 走行用クローラ1の接地表面には、複数凸状体1b及び単数凸状体1cが交互に全周にわたって突設されており、該複数凸状体1b及び単数凸状体1cを雪上に押圧し、該複数凸状体1b及び単数凸状体1c同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成している。 【0009】 また、裏面、即ち、クローラ走行装置のスプロケット、アイドラ、及び転輪を噛合する側には、中央の左右に転輪押さえ部(芯金)1d・1dを一定間隔をおいて内側全周にわたって突設しており、該転輪押さえ部1d・1d間において転輪が案内され、駆動スプロケットが嵌合して、該駆動スプロケットの回動により走行用クローラ1が回転されて走行駆動するように構成している。 【0010】 そして、本考案の走行用クローラは、更に、その両側端部において、切欠部1a・1a・・・が全周にわたって所定間隔を開けて設けられ、本実施例では複数凸状体1bと複数凸状体1bの間を切り欠いて、雪を踏み固めない部分を作っている。 こうして構成することにより、除雪機の走行中において、走行用クローラ1が雪上を走行駆動している際に、直進走行では複数凸状体1b及び単数凸状体1cが雪面にグリップして滑ることなく走行でき、旋回や方向転換では、該切欠き部1a・1a・・・があることによって、クローラ両側端部の側方の雪が噛み込まれ、また、切欠き部1a・1a・・・によってできた踏み固めない部分上を走行するので、凹凸部上を走行することになってグリップ力も増し、雪上で確実にグリップ力を得て走行できるのである。 【0011】 【考案の効果】 本考案は以上のように構成することにより、次の如き効果を奏する。 第1に、除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体1b及び単数凸状体1cを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該凸状体1b・1cを雪上に押圧し、該凸状体1b・1c同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部1aを構成したので、まず、別々に構成した凸状体1bと凸状体1cにより雪を噛み込むので、グリップ力により走行駆動力を得ることができるのである。 第2に、走行用クローラの両側端部の全周にわたって切欠部1aを設けることにより、除雪機の走行駆動中において、該走行用クローラの両側端部の切欠部1aに雪が噛み込まれ、該両側端部においてもグリップ力が得られて走行駆動力を増大させることができ、該走行用クローラが雪内に沈み込んでも、側方へのグリップ力があるので脱出し易く、方向転換や旋回も容易にでき、除雪機を円滑に走行駆動できるようになったのである。 第3に、走行用クローラ1の両側端部に、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間を切り欠いて切欠部1aを構成し、該切欠部1a・1a・・・が全周にわたって所定間隔を開けて設けられ、雪を踏み固めない部分を構成したので、複数凸状体1bと切欠部1aとの間の段差を極端に大きく構成することができ、切欠部1aによる雪のグリップ力を大きくして、走行駆動力を大きくすることができたのである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 除雪機の全体斜視図である。 【図2】 走行用クローラ1の平面図である。 【図3】 同じく側面図である。 【図4】 同じく正面図てある。 【図5】 同じく部分平面図である。 【図6】 同じく側面部分断面図である。 【図7】 図5におけるX-X線断面図である。 【図8】 図5におけるY-Y線断面図である。 【符号の説明】 1 走行用クローラ1 1a 切欠部 1b 凸状体 1c 凸状体 1d 転輪押さえ部 |
訂正の要旨 |
本件登録異議申立に係る訂正請求における訂正の要旨は、以下のとおりである。 1. 実用新案登録請求の範囲の記載を次のように訂正する。 「【請求項1】除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体1b及び単数凸状体1cを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に、両側端部までクローラの全幅にわたって間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該複数凸状体1bと単数凸状体1cを雪上に押圧し、該複数凸状体1bと単数凸状体1c同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部1aを構成し、該切欠部1aは、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間であって、単数凸状体1cの両側に構成し、雪を踏み固めない部分を構成したことを特徴とする除雪機の走行用クローラ。」 2. 明細書の「考案の詳細な説明」の欄の段落番号0004に記載を、次のように訂正する。 「【課題を解決するための手段】 本考案は、以上の如き課題を解決するために、次のような構成とする。 除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体1b及び単数凸状体1cを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に、両側端部までクローラの全幅にわたって間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該複数凸状体1bと単数凸状体1cを雪上に押圧し、該複数凸状体1bと単数凸状体1c同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部1aを構成し、該切欠部1aは、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間であって、単数凸状体1cの両側に構成し、雪を踏み固めない部分を構成したものである。」 3. 明細書の「考案の詳細な説明」の欄の段落番号0011の記載を、次のように訂正する。 「【考案の効果】 本考案は以上のように構成することにより、次の如き効果を奏する。 第1に、除雪機の走行用クローラ1であって、走行用クローラ1の接地表面には複数凸状体1b及び単数凸状体1cを、間隙を開けて交互に全周にわたって突設し、該複数凸状体1bは複数の凸状体を進行方向に直角の幅方向に間隔を開けて突設した構成とし、単数凸状体1cは幅方向の中央に1個を配置した構成とし、該凸状体1b・1cを雪上に押圧し、該凸状体1b・1c同士の隙間に雪を噛み込ませてグリップ力を得るように構成し、該走行用クローラ1の両側端部の全周にわたって、切欠部1aを構成したので、まず、別々に構成した凸状体1bと凸状体1cにより雪を噛み込むので、グリップ力により走行駆動力を得ることができるのである。 第2に、走行用クローラの両側端部の全周にわたって切欠部1aを設けることにより、除雪機の走行駆動中において、該走行用クローラの両側端部の切欠部1aに雪が噛み込まれ、該両側端部においてもグリップ力が得られて走行駆動力を増大させることができ、該走行用クローラが雪内に沈み込んでも、側方へのグリップ力があるので脱出し易く、方向転換や旋回も容易にでき、除雪機を円滑に走行駆動できるようになったのである。 第3に、走行用クローラ1の両側端部に、複数凸状体1bと複数凸状体1bの間を切り欠いて切欠部1aを構成し、該切欠部1a・1a・・・が全周にわたって所定間隔を開けて設けられ、雪を踏み固めない部分を構成したので、複数凸状体1bと切欠部1aとの間の段差を極端に大きく構成することができ、切欠部1aによる雪のグリップ力を大きくして、走行駆動力を大きくすることができたのである。」 |
異議決定日 | 2001-11-06 |
出願番号 | 実願平5-16662 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
ZA
(B62D)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 岡田 孝博 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 藤井 昇 |
登録日 | 2000-03-03 |
登録番号 | 実用新案登録第2604435号(U2604435) |
権利者 |
八鹿鉄工株式会社 兵庫県養父郡八鹿町朝倉200 |
考案の名称 | 除雪機の走行用クローラ |
代理人 | 矢野 寿一郎 |
代理人 | 矢野 寿一郎 |