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審決分類 |
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 無効としない G03B |
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管理番号 | 1056842 |
審判番号 | 無効2001-35289 |
総通号数 | 29 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2002-05-31 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2001-07-04 |
確定日 | 2002-03-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2039362号実用新案「オ?バ?ヘッド・プロジェクタ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯、本件考案 本件実用新案登録第2039362号の請求項1に係る考案(平成1年12月28日出願、平成6年11月21日設定登録)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「2つの光源と両光源のうち点灯した一方の光源の光を反射型の集光レンズへ向けて反射する第1の反射鏡と、集光レンズによって反射された光を第2反射鏡を介してスクリーンに投影する投影レンズとが、1つのオーバーヘッドキャビネットに、その長さ方向に並列して収められた構造のプロジェクタであって、前記2つの光源は、その光軸を第1反射鏡の鏡面中央部に向け、かつ前記オーバーヘッドキャビネット(オーバヘッド・キャビネットは、誤記と認める。)の幅方向に並列して取り付け、第1反射鏡は、鏡面中央部を中心に回動可能に取り付けたことを特徴とするオーバーヘッド・プロジェクタ。」(以下、本件考案という。) これに対し、請求人より、平成13年7月4日に実用新案登録無効審判が請求され、一方、被請求人は、平成13年8月27日に答弁書を提出し、さらに、請求人は、平成13年10月16日に弁駁書を提出した。 平成13年10月30日に特許庁審判廷において、口頭審理が実施された。 2.当事者の主張 (1)請求人 要点;請求項に記載の考案が考案の詳細な説明に記載されていないものを含んでおり、登録を受けようとする考案が明確でなく実用新案法第5条第4項第1号及び第2号の要件を満たしていないので、その登録は同法第37条第1項第3号により、無効とすべきである。(審判請求書においては、「実用新案法第5条第6項第1号及び第2号の要件を満たしていないので、その登録は同法第37条第1項第4号により」と記載されているところ、本件は、平成1年の出願であるので、上記のように読み替えることを、口頭審理で両当事者に求め、了承された。) ア、請求項1の「前記2つの光源は、その光軸を第1反射鏡の鏡面中央部に向け、かつ前記オーバーヘッドキャビネットの幅方向に並列して取り付け、」の記載が詳細な説明に記載されていないものを含み、かつ、不明瞭である。(以下、「理由ア」という。) イ、請求項1の「第1反射鏡は、鏡面中央部を中心に回動可能に取り付けた」の記載が詳細な説明に記載されていないものを含み、かつ、不明瞭である。(以下、「理由イ」という。) (2)被請求人 「請求項に記載の考案が考案の詳細な説明に記載されていないものを含んでおり」は、無効事由ではない。 「理由ア」、「理由イ」の構成要件とも、「考案の詳細な説明」における「課題を解決するための手段」、及び「実施例」の欄に明記され、それらの構成要件の意義は、考案の詳細な説明」における「作用」の欄の記載から明確である。 3.当審の判断 実用新案法第5条第4項第1号には、「実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものであること」と規定されており、請求人の主張する「請求項に記載の考案が考案の詳細な説明に記載されていないものを含んでおり」は、同号の無効事由とは言えない。詳細な説明中の実施例は、あくまでも実施の態様の一例であって、請求項の記載を、実施例に限定して記載する理由はない。 念のため、請求人が上記「理由ア」、「理由イ」で言及している請求項1の構成が、甲第1号証の「考案の詳細な説明」に記載されているかどうか検討する。 実用新案法第5条第4項第2号には、「実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分してあること」と規定されているが、考案の構成に欠くことができない事項のみが記載されているか否かは、請求人が上記「理由ア」、「理由イ」で言及している請求項1の構成が、考案が解決しようとする課題を解決するのに必要な構成がすべて記載されているか否か、すなわち、上記請求項1の構成で、如何にして課題を解決するための作用をするのかが明瞭であるか否かを検討することにより判断できる。 「理由ア」について 「前記2つの光源は、その光軸を第1反射鏡の鏡面中央部に向け、かつ前記オーバーヘッドキャビネットの幅方向に並列して取り付け、」は、「課題を解決するための手段」の欄に記載され、「実施例」の欄においても、「上記2つの光源11,12は、その光軸kを第1反射鏡13の鏡面中央部に向け、かつキャビネット15の幅W方向に並列して取り付けてある。」(第2頁右欄第27行から29行)と明記され、第2図、第4図にもこれに対応する構成が記載されている。そして、この構成が考案の構成に欠くことができない事項のみか、については、「作用」の欄に「点灯していた一方の光源が切れた場合には、他方の光源をスイッチ等で点灯し、その光軸に第1反射鏡を向けることにより、即座に再使用できる。また、上記2つの光源は、オーバーヘッドキャビネットの幅方向に並列して取り付けたので、従来に比べれば、キャビネットの幅が光源1個分だけ狭くなる。」と記載されているので、前記構成で課題を解決するための作用をすることが明瞭であり、前記構成は考案の構成に欠くことができない事項のみが記載されていると判断できる。 請求人は、甲第3号証として参考図2を示し、上記の構成とした場合でも、幅が光源1個分狭くならない場合があるので、不明瞭であると主張しているが、本願考案の課題、及び技術常識から考えて、敢えて参考図2のような構成とする理由はない。 「理由イ」について 「第1反射鏡は、鏡面中央部を中心に回動可能に取り付けた」は、「課題を解決するための手段」の欄に記載され、「実施例」の欄においても、「第1反射鏡13は、第3図のように、キャビネット15に固定したアーム16にユニバーサルジョイント17を介して取り付けてあり、したがって、鏡面中央部を中心に回動可能になっている。」(第2頁右欄第31行から35行)と明記され、第3図にもこれに対応する構成が記載されている。そして、この構成が考案の構成に欠くことができない事項のみか、については、「作用」の欄に「上記プロジェクタの使用中に、点灯していた一方の光源が切れた場合には、他方の光源をスイッチ等で点灯し、その光軸に第1反射鏡を向けることにより、即座に再使用できる。」と記載されているので、前記構成で課題を解決するための作用をすることが明瞭であり、前記構成は考案の構成に欠くことができない事項のみが記載されていると判断できる。 したがって、本件考案は、実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものであり、実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分してあるものであるので、実用新案法第5条第4項第1号、及び第2号の規定に違反していない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件請求人の上記主張及び証拠によっては、本件考案を無効とすることはできない。 また、審判に関する費用は、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項において更に準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 |
審理終結日 | 2001-12-05 |
結審通知日 | 2001-12-10 |
審決日 | 2002-01-24 |
出願番号 | 実願平1-150068 |
審決分類 |
U
1
112・
534-
Y
(G03B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 片寄 武彦 |
特許庁審判長 |
末政 清滋 |
特許庁審判官 |
高橋 美実 北川 清伸 |
登録日 | 1994-11-21 |
登録番号 | 実用新案登録第2039362号(U2039362) |
考案の名称 | オ?バ?ヘッド・プロジェクタ |
代理人 | 野口 忠夫 |
代理人 | 太田 純 |
代理人 | 毛受 久 |
代理人 | 丹羽 宏之 |
代理人 | 藤中 雅之 |
代理人 | 篠原 泰司 |