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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47B |
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管理番号 | 1056858 |
審判番号 | 不服2000-19659 |
総通号数 | 29 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2002-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-12-12 |
確定日 | 2002-04-08 |
事件の表示 | 平成 4年実用新案登録願第 37644号「回転収納ハンガー」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年12月 3日出願公開、実開平 5- 88340]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願考案 本願は平成4年5月7日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成12年12月12日付けの手続補正書によって補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された考案(以下、「本願考案」という。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】収納内部上方両側壁面に、奥行き方向に間隔を置いてその両端を支持・固定される、壁面取付け用支持部材(2a)および躯体取付け用支持部材(2b)の抜き差し自在な嵌合によってその長さを調節可能な複数本の支持部材(2)と、該支持部材(2)に固着・吊下され、その断面下部幅方向中央部にスリット状溝部(6)を有する、全体平面形状が楕円或は円形の躯体(1)と、その上部に前記躯体(1)断面内部空間に転動自在に格納される車輪(4)を有するとともに下部に吊り部を有する、躯体(1)に沿って移動自在な複数の可動式ハンガー(3)と、該複数の可動式ハンガー(3)における車輪(4)の軸相互を回動自在に連結する接続部材(5)とからなることを特徴とする回転収納ハンガー。」 2.引用例 これに対して、当審における、平成13年8月31日付けで通知した拒絶の理由に引用した本願の出願前の平成3年4月25日に頒布された実願平1-105618号(実開平3-44440号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、実用新案登録請求の範囲、第6頁第1行?第7頁第9行及び第1?11図の記載並びに当業者の技術常識からみて、「収納部の天井面に取りつけられ、その断面下部幅方向中央部にスリット状溝部を有する、全体平面形状が環状の吊下げレールと、その上部に前記吊下げレール断面内部空間に転動自在に格納される吊下げランナーを有するとともに下部に吊り部を有する、吊下げレールに沿って移動自在な複数の吊下げフレームと、該複数の吊下げフレームにおける吊下げランナーの軸相互を回動自在に連結する連結リンクとからなる収納装置」の考案が記載されている。 また、同じく、当審における、平成13年8月31日付けで通知した拒絶の理由に引用した本願の出願前の平成3年9月25日に頒布された実願平2-3680号(実開平3-94173号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、実用新案登録請求の範囲、第4頁第4行?第6頁第7行及び第1?7図の記載並びに当業者の技術常識からみて、「押入れの対向する壁面に、両端部に取り付けられたブラケットの固定用釘穴を介して支持・固定される、長さ方向に伸縮自在となされたポールと、ポールに固着・吊下される支持具と、支持具に沿って移動自在なハンガー掛け本体とからなるハンガー掛け装置」の考案が記載されている。 3.対比・判断 本願考案と引用例1に記載された考案とを対比すると、引用例1に記載された考案の「全体平面形状が環状の吊下げレール」、「吊下げランナー」、「吊下げフレーム」、「連結リンク」及び「収納装置」は、それぞれ、本願考案の「全体平面形状が楕円或は円形の躯体」、「車輪」、「可動式ハンガー」、「接続部材」及び「回転収納ハンガー」に相当するから、両者は、「収納内部上方に取りつけられ、その断面下部幅方向中央部にスリット状溝部を有する、全体平面形状が楕円或は円形の躯体と、その上部に前記躯体断面内部空間に転動自在に格納される車輪を有するとともに下部に吊り部を有する、躯体に沿って移動自在な複数の可動式ハンガーと、該複数の可動式ハンガーにおける車輪の軸相互を回動自在に連結する接続部材とからなる回転収納ハンガー」の点で一致し、下記の点で相違する。 (1)本願考案では、収納内部上方両側壁面に、その両端を支持・固定される、壁面取付け用支持部材および躯体取付け用支持部材からなり、長さを調節可能な支持部材に躯体を固着・吊下しているのに対し、引用例1に記載された考案では、躯体を直接天井面に取付けている点。 (2)本願考案では、支持部材が、壁面取付け用支持部材および躯体取付け用支持部材の抜き差し自在な嵌合によってその長さを調節可能としているのに対し、引用例1に記載された考案では、支持部材を有していない点。 (3)本願考案では、収納内部上方両側壁面に、奥行き方向に間隔を置いてその両端を支持・固定される複数本の支持部材を有するのに対し、引用例1に記載された考案では、支持部材を有していない点。 上記相違点について検討する。 相違点(1)に関して 引用例2に記載された考案のポールは、伸縮自在であるから、一方のブラケットおよび他方のブラケット付きポール本体からなっていると解されるので、引用例2に記載された考案の、「押入れの対向する壁面」、「一方のブラケット」、「ポール本体」、「ポール」は、それぞれ、本願考案の、「収納内部上方両側壁面」、「壁面取付け用支持部材」、「躯体取付け用支持部材」、「支持部材」に相当し、また、引用例2に記載された考案の「支持具」は、本願考案の「躯体」に相当するものであるから、相違点(1)に係る本願考案の構成は、引用例2に記載された考案に記載されているものと認められる。そして、引用例2に記載された考案におけるポールを引用例1に記載された考案の支持部材として用いることは、当業者が必要に応じてきわめて容易になしうる事項にすぎない。 相違点(2)に関して 引用例2の記載において、引用例2に記載された考案の支持部材は長さ方向に伸縮自在ではあるが、どのような長さ調節機構を有するものであるか明確には把握出来ないものの、一般に、棒状の支持部材を2つの部材に分割し、長さを調節可能とする際に、単に抜き差し自在な嵌合とすることは慣用されている手段であり、かつ、引用例2においても支持部材の両端部は支持・固定されているので、引用例2に記載された考案の支持部材を引用例1に記載された考案の躯体取付手段として採用するに際し、抜き差し自在な嵌合によってその長さを調節可能とすることにより、相違点(2)に係る本願考案の構成のようにすることは、当業者が必要に応じて適宜採用しうる程度の設計事項にすぎない。 相違点(3)に関して 引用例2に記載された考案は、支持部材を奥行き方向に対向する壁面にその両端を支持・固定するものであるが、支持部材を取り付ける方向や本数は、支持部材に支持される躯体を設置する方向や必要とされる重量によって決定されるものであるので、引用例2に記載された考案の支持部材を引用例1に記載された考案の躯体取付手段として採用するに際し、複数本の支持部材を収納内部上方両側壁面に、奥行き方向に間隔を置いてその両端を支持・固定することにより、相違点(3)に係る本願考案の構成のようにすることは設計事項にすぎず、当業者がきわめて容易になしうる程度のことである。 4.むすび したがって、本願考案は、引用例1及び2に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-12-17 |
結審通知日 | 2002-01-15 |
審決日 | 2002-01-29 |
出願番号 | 実願平4-37644 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(A47B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 長島 和子、林 茂樹、鈴木 公明 |
特許庁審判長 |
田中 弘満 |
特許庁審判官 |
鈴木 憲子 蔵野 いづみ |
考案の名称 | 回転収納ハンガー |