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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1056859
審判番号 不服2001-2173  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-15 
確定日 2002-04-10 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 66400号「化粧料収納用チューブ容器」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 5月30日出願公開、実開平 7- 28850]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成5年11月17日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成13年12月17日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の【請求項1】に記載された以下のとおりのものと認める(以下、「本願考案」という。)。
「胴部2下端を板状のシール部3とすると共に、その胴部上端から肩部を介して口頸部を起立し、該口頸部に上記胴部とほぼ同外径のキャップ4を嵌合させ、該キャップを下方に、かつ上記シール部を上方に位置させて容器を倒立状態に起立させるよう設けた、ほぼ同一形状で各容器内へそれぞれ異る化粧料を収納させた複数チューブ容器において、他の化粧料と区別して示すための各化粧料独自の表示部5を定め、該表示部をそれぞれの容器の化粧料に対応させて各容器のシール部3に体現させた
ことを特徴とする化粧料収納用チューブ容器。」

2.引用文献
当審が平成13年10月9日付けで通知した拒絶の理由に引用した、実願平1-102693号(実開昭3-40960号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という)には、「倒立形チューブ容器」について以下の事項が図面とともに記載されている。
(イ)「1は合成樹脂製のチューブ本体で、胴部2下端を押潰して、その前半胴部分2aと後半胴部分2bとを一枚の合わせ板状にシール3している。又その胴部上端からは肩部を介して起立する口頸部にキャップ4の内周壁を螺合させている。そのキャップ4の頂壁は上記胴部上方部分外径とほゞ同径の大外径としてその頂壁外周から垂下する外周壁5下端を胴部の上端部へ嵌合させている。頂壁上面は平坦な接地面として、図示のように倒立状態に起立させることが可能とする。」(第3頁第11?20行)
(ロ)「本案は……(中略)……胴部2下端から単数或いは複数の突片6を延長垂下し、その突片の内層壁2cを外方へ露出させた。その突片形状は第1図のように一半胴部分全体を三角片形状に突出してもよく、又第4図のように連続波形状に突出させてもよく、その他種々の形状とすることが出来る。」(第4頁第1?10行)
(ハ)「本案は……(中略)……胴部2下端から突片6を突出させたから、その突片の有無ないし形状の差異によってチューブ容器を差別化、つまり個性化することが出来、又、倒立形チューブ容器下端からその突片を突出させたから、その突片は容器起立時に上端に位置することとなってその容器起立の邪魔となることがないと共に容器上端から突出することとなるため、消費者の目を惹き易く、」(第5頁第2?10行)

3.対比・判断
本願考案と刊行物1に記載された考案を対比する。
上記刊行物1に記載された「倒立形チュ-ブ容器」は、胴部2下端を押し潰して板状にシール3しているので、「胴部2下端を板状のシール部3」とするものであり、胴部上端から肩部を介して口頸部を起立するものであり、該口頸部に螺合するキャップ4は、胴部外径とほぼ同径の、頂部外周から垂下する外周壁を有するものであるので、「胴部とほぼ同径」のものであり、キャップの頂面を接地面として倒立状態に起立させることができるものであり[摘示事項(イ)]、その胴部下端すなわちシール部の突片の有無あるいは形状の差異によってチューブ容器を差別化、つまり個性化するものであるので[摘示事項(ロ)、(ハ)]、シール部に容器を区別しうる表示部を体現しているものということができる。
したがって、本願考案と刊行物1に記載された考案とは、「胴部2下端を板状のシール部3とすると共に、その胴部上端から肩部を介して口頸部を起立し、該口頸部に上記胴部とほぼ同外径のキャップ4を嵌合させ、該キャップを下方に、かつ上記シール部を上方に位置させて容器を倒立状態に起立させるよう設けた、チューブ容器において、表示部を容器のシール部3に体現させたチューブ容器。」である点で一致しており、本願考案が、上記の構成のチューブ容器を化粧料の収納に用い、ほぼ同一形状の複数の容器の各容器内へそれぞれ異る化粧料を収納させ、それぞれの容器の化粧料に対応させて、他の化粧料と区別して示すための各化粧料独自の表示部5を定め、それをシール部に体現するのに対して、刊行物1には、上記の構成のチューブ容器を複数の異なる化粧料の収納に用いること、シール部の突片が、チューブ容器内の化粧料に対応して、他の化粧料と区別するように定められることについて記載されていない点で一応の相違があるものと認められる。
そこで上記の相違点について検討すると、刊行物1に記載されたような倒立形チューブ容器に化粧料を収納することは、本願出願前普通に行われており、上記刊行物1に記載された、チューブ容器のシール部に設けられる突片は、容器を差別化、個性化する、すなわち区別することで、内容物が収納された場合には、その内容物をも区別するものであることは明らかであり、また、ほぼ同一形状の複数の容器に複数の内容物を収納しセットとして使用すること、その場合、各容器に、各内容物に対応する表示によってその内容物を区別することは、たとえば、チューブ入りの絵の具のセットなどにみられるように本願出願前周知の事項である。
したがって、上記のような本願出願前周知の技術的事項を考慮すれば、刊行物1に記載された、シール部に容器の区別が可能な表示を体現したチューブ容器を化粧料の収納に用いること、及び、その場合、ほぼ同一形状の複数の容器内に、それぞれ異なる化粧料を収納し、その内容物を区別する表示を定め、シール部に体現することは、いずれも、当業者がきわめて容易に想到しうる程度の事項であり、また、そのことにより生じる効果も、技術常識からみて、当業者がきわめて容易に推測しうる範囲内のものと認められる。

4.まとめ
以上のとおりであるから、本願考案は、上記刊行物1に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-01-31 
結審通知日 2002-02-05 
審決日 2002-02-18 
出願番号 実願平5-66400 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 阿部 利英渡邊 豊英一ノ瀬 覚上尾 敬彦  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 鈴木 美知子
杉原 進
考案の名称 化粧料収納用チューブ容器  
代理人 今岡 良夫  

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