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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1058335
審判番号 不服2001-891  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-22 
確定日 2002-05-08 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 34986号「磁気テープ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 3月11日出願公開、実開平 6- 19136]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.本願考案
本願は、平成5年6月28日(パリ条約による優先権主張 1992年6月26日、オーストリア国)の出願であって、その請求項1?3に係る考案は、平成13年2月21日付け及び平成13年4月26日付け手続き補正書により補正された明細書及び図面の記載から見てその実用新案登録請求の範囲の請求項に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された考案(以下、本願考案という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
磁気テープを駆動するための回転駆動自在のキャプスタンを備え、更に、前記キャプスタンに押し付けるべき圧力ローラと、圧力ローラ支持体と、前記圧力ローラ支持体により担持した圧力ローラスピンドルと、及び前記圧力ローラを回転自在に支持し、また前記圧力ローラスピンドルに連係動作する内周面を有して前記圧力ローラスピンドルに配置したほぼ回転対称の軸受部材とを有する圧力ローラ装置を備え、
前記圧力ローラに内側軸受表面を設け、また前記軸受部材には前記内側軸受表面に連係動作する外側軸受表面を設け、前記圧力ローラに関連する前記内側軸受表面及び前記軸受部材の前記外側軸受表面の各々に、前記圧力ローラの軸線方向を前記キャプスタンの軸線方向に適合するよう前記圧力ローラが回動できる湾曲形状表面を設けた磁気テープ装置において、
前記内周面及び外側軸受表面を前記圧力ローラスピンドルの周りで摺動自在にし、前記圧力ローラに関連する内側軸受表面を所定の子午線半径を有する内側円環状表面により形成し、また前記軸受部材の前記外側軸受表面を所定の子午線半径を有する外側円環状表面により形成し、
前記軸受部材の前記円環状の外側軸受表面を前記圧力ローラに関連する前記円環状の内側軸受表面にクリアランスを有して嵌合する形状のものとして構成したことを特徴とする磁気テープ装置。」

2.引用例
これに対して、平成12年1月21日付けの拒絶理由には、下記1?4の引用例が示され、平成12年10月12日付けの拒絶査定においては引用例5が示されている。
1.実願平2-1006号(実開平3-94635号)のマイクロフィルム (以下、刊行物1という。)
2.実願昭63-70893号(実開平1-174731号)のマイクロフィルム (以下、刊行物2という。)
3.特開平1-307950号公報 (以下、刊行物3という。)
4.実願昭60-203455号(実開昭62-113434号)のマイクロフィルム (以下、刊行物4という。)
5.実開平2-72430号公報

3.引用刊行物に記載された事項
-刊行物1-
「1.外周面に環状係合部を有する軸受用円筒体ををローラ軸に回転自在に嵌装し、この円筒体の外周面に回転自在に且つ径方向に若干移動自在に嵌装されたピンチローラの内周面の環状被係合部を前記円筒体の環状係合部に転接自在に且つ軸方向に若干移動自在に嵌装し、前記ピンチローラがキャプスタンに圧着した状態で前記円筒体の環状係合部と前記ピンチローラの環状被係合部とが点接触となることを特徴とするピンチローラ支持構造
2.前記円筒体の環状係合部及び前記ピンチローラの環状被係合部のいずれか一方を断面三角形の環状突状とし、他方を断面V字形の環状溝とした請求項1記載のピンチローラ支持構造
3.前記円筒体の環状係合部及び前記ピンチローラの環状被係合部のいずれか一方を断面半円形の環状突状とし、他方を断面台形の環状溝とした請求項1記載のピンチローラ支持構造。」(実用新案登録請求の範囲)
「(産業上の利用分野)
本校案は、VTR(ビデオテープレコーダ)、或はテープレコーダ等に具備されるピンチローラ支持構造に係り、特に、軸受用円筒体の環状係合部とピンチローラの環状被係合部との接触状態を点接触として、キャプスタンに対するピンチローラの圧着状態を良好にしたピンチローラ支持構造に関する。」(第2頁第4行?第11行)
「本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、ピンチローラとキャプスタンとの自動調芯のなじみ性が良く、接触圧力分布が軸方向全体に亘って均一となり、テープ走行を安定せしめたピンチローラ支持構造を提供することを目的としている。」(第3頁第11行?第15行)
「(実施例)
以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。
第1図は本考案の第1実施例を示すピンチローラ支持構造の縦断側面図、第2図は第1図の要部拡大断面図であり、図中10は図示しない基板に回動自在に支持されたピンチローラアームで、その先端にはローラ軸11が上方に向けて突設されている。このローラ軸11は軸方向略中間部より下端側が上端側より大径となっている。ローラ軸11の小径部11aには、軸受用円筒体12が回転自在に嵌装されている。この円筒体12は、オイルレスメタル13の外周面に合成樹脂製外筒14を圧入嵌合してなる。・・・・・・・・・・・・・・・。円筒体12の外周面には、円筒状のピンチローラ18が回転自在に且つ径方向及び軸方向に若干移動自在に嵌装されている。このピンチローラ18は、合成樹脂製芯筒19の外周面にゴム製弾性筒20を嵌着固定してなる。芯筒19の軸線方向略中間部内周面には、断面V字形の環状溝(環状嵌合部)21が設けれており、この環状溝21は円筒体12の環状突条15に点接触状態で転接自在に嵌装されている。」(第5頁第5行?第6頁第16行)
「第4図及び第5図は本考案の第3実施例を示す。この実施例は円筒体12の外筒14の軸方向略中間部外周面に、断面半円形の環状突状15を一体形成し、且つ芯筒19を金属とし、この芯筒19の内周面にその上下端開口部から一対の合成樹脂製の抜止円筒25、26を圧入嵌合し、これら抜止円筒25、26の当接部近傍の内周面に、断面台形の環状溝21を設けたものである。そして、上側の抜止円筒25の下端内周縁部と下側の抜止筒体26の下端内周縁部とに、環状溝21を構成する傾斜面25a,26aがそれぞれ設けられている。
この第3実施例におけるその他の構成は、上述した第1実施例と同一であるから、図面の同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。」(第9頁第2行?第16行)

-刊行物2-
「(1)支持アームに固定されたシャフトと、該シャフトに内面が固定され、外面が球面状に形成された環状軸受と、前記環状軸受の外面に沿って滑動可能に嵌合された球面軸受座面を内面に有し、前記シャフトの外側に前記環状軸受を介して支持されたスリーブと、該スリーブの外周面に固定された弾性環とから成るピンチローラの構造。」(実用新案登録請求の範囲)

-刊行物3-
「作用
本発明は上記した構成によって、キャプスタンとピンチローラの支軸が相対的に大きく傾いても、凹球面状溝が支持部材の凸球面状膨出部の周面上を滑り回転し、ピンチローラは円筒状弾性体、保持部材,軸受とが一体になって回転するので、キャプスタンとピンチローラの平行度は自動的に調整され、・・・・・・ピンチローラ装置を提供することができる。」(第2頁右上欄第9行?第19行)

-刊行物4-
「(1) ローラ軸(1)の外周面に、該ローラ軸(1)の軸線(l)上に中心(O)を置く球面部(2a)を有する軸受兼調芯用内輪部材(2)が回転自在に嵌装され、外周面に円筒状弾性体(4)を固着した円筒状スリーブ(3)内に調芯用外輪部材(5)が密嵌され、かつその内周面に形成された球面状の環状凹溝(6)に前記軸受兼調芯用内輪部材(2)の球面部(2a)が摺接変位自在に嵌合されて前記内輪部材(5)の所定角度範囲内での傾動挙動を許容しうるものとなされているピンチローラ。」(実用新案登録請求の範囲)

4.刊行物の考案
上記3に摘記した刊行物1に記載された事項から、刊行物1の第3実施例に関して下記の考案(以下、刊行物1の考案という。)が記載されているものと認められる。
「磁気テープを駆動するための回転駆動自在のキャプスタンを備え、更に、前記キャプスタンに押し付けるべきピンチローラと、ピンチローラアームと、前記ピンチローラアームにより担持したローラ軸と、及び前記ピンチローラを回転自在に支持し、また前記ローラ軸に回転する内周面を有して前記ローラ軸に嵌装支持された円筒体とを有するピンチローラ支持構造を備え、
前記ピンチローラに環状被係合部を設け、また前記円筒体には前記環状被係合部に点接触する環状係合部を設け、前記ピンチローラの環状被係合部及び前記円筒体の環状係合部の各々に、前記ピンチローラの軸線方向を前記キャプスタンに軸線方向に自動調芯するよう前記ピンチローラが回動できる表面形状を点接触となるように設けた磁気テープ装置において、
前記内周面及び環状係合部を前記ローラ軸の周りで回動自在にし、前記ピンチローラの環状被係合部を断面台形の環状溝により形成し、また前記円筒体の前記環状係合部を断面半円形の環状突条により形成し、
前記円筒体の前記環状係合部にと前記ピンチローラの前記環状被係合部が転接自在に且つ軸方向に若干移動自在に嵌装した形状のものとして構成したことを特徴とする磁気テープ装置。」

5.対比
本願考案と刊行物1の考案を対比すると、両者はキャプスタンに磁気テープをキャプスタンの軸線方向に均一に圧着するローラに関する考案で共通し、
刊行物1の考案の「ピンチローラ」「ピンチローラアーム」「ローラ軸」「円筒体」「環状被係合部」「環状係合部」は、
本願考案の「圧力ローラ」「圧力ローラ支持体」「圧力ローラスピンドル」「軸受部材」「内側軸受表面」「外側軸受表面」に相当し、
刊行物1の考案の「前記ピンチローラの軸線方向を前記キャプスタンの軸線方向に自動調芯する」は、本願考案の「前記ピンチローラの軸線方向を前記キャプスタンの軸線方向に適合する」構造であり、刊行物1の考案の「前記円筒体の前記環状係合部を前記ピンチローラの前記環状被係合部に転接自在に且つ軸方向に若干移動自在」であることは、図面を参照すれば環状係合部と環状被係合部は互いにクリアランスを有して嵌合しているというものであり、刊行物1の考案の断面半円形は、地球の両極を縦に結ぶ経線の半分に似た形状で、子午線半径に他ならないことから、
本願考案の記載に従うと、両者は、
「磁気テープを駆動するための回転駆動自在のキャプスタンを備え、更に、前記キャプスタンに押し付けるべき圧力ローラと、圧力ローラ支持体と、前記圧力ローラ支持体により担持した圧力ローラスピンドルと、及び前記圧力ローラを回転自在に支持し、また前記圧力ローラスピンドルに連係動作する内周面を有して前記圧力ローラスピンドルに配置したほぼ回転対称の軸受部材とを有する圧力ローラ装置を備え、
前記圧力ローラに内側軸受表面を設け、また前記軸受部材には前記内側軸受表面に連係動作する外側軸受表面を設け、前記圧力ローラに関連する前記内側軸受表面及び前記軸受部材の前記外側軸受表面の各々に、前記圧力ローラの軸線方向を前記キャプスタンの軸線方向に適合するよう前記圧力ローラが回動できる表面形状を設けた磁気テープ装置において、
前記内周面及び外側軸受表面を前記圧力ローラスピンドルの周りで摺動自在にし、前記圧力ローラに関連する内側軸受表面を所定の形状を有する内側円環状表面により形成し、また前記軸受部材の前記外側軸受表面を所定の子午線半径を有する外側円環状表面により形成し、
前記軸受部材の前記円環状の外側軸受表面を前記圧力ローラに関連する前記円環状の内側軸受表面にクリアランスを有して嵌合する形状のものとして構成したことを特徴とする磁気テープ装置。」の考案で一致すると認められる。

両者の相違する点は、
本願考案では、内側軸受表面及び外側軸受表面のそれぞれの表面を湾曲した形状としているのに対して、刊行物1の考案では、本願考案の外側軸受表面に相当する環状被係合部の形状が断面台形であり、環状被係合部と環状係合部の各々の表面は点接触の形状である点で相違すると認められる。

6.当審の判断
キャプスタンに磁気テープを押しつける外輪と支軸に回転自在の内輪を傾動自在に嵌合したピンチローラにおいて、内輪と外輪とが嵌合する部分の表面がそれぞれ球面であること、すなわち湾曲形状表面を設けた形状が、刊行物2?4に記載されているように周知であり、刊行物1の考案において、環状被係合部の断面形状を、環状係合部の断面半円形に合わせて同一形状の断面半円形、すなわち本願考案でいうところの子午線半径を有する湾曲表面形状に変えることはきわめて容易に推考できることと認められる。
なお、平成13年2月21日付けの審判請求書の「3.本願考案と引用文献との対比」に、「しかし、単に軸受けを構成する部材間にクリアランスを設けただけでは本願考案のような『キャプスタンと圧力ローラとを円弧状ラインに沿ってのみ接触して圧力ローラを転動させる』という技術的思想に到達することには決してならないと考えます。」と記載しているが、『キャプスタンと圧力ローラとを円弧状ラインに沿ってのみ接触して圧力ローラを転動させる』点は、本願考案のいずれにも記載されていないことであり、上記の主張は認められない。

7.むすび
したがって、本願考案は、刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものと認められるので、実用新案法第3条2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-11-28 
結審通知日 2001-12-04 
審決日 2001-12-19 
出願番号 実願平5-34986 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山澤 宏  
特許庁審判長 麻野 耕一
特許庁審判官 犬飼 宏
相馬 多美子
考案の名称 磁気テープ装置  
代理人 杉村 興作  
代理人 杉村 暁秀  
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