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審決分類 審判 一部申し立て   A61H
管理番号 1059665
異議申立番号 異議2001-71743  
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2002-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-06-15 
確定日 2002-05-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第2606657号「起立訓練用フレーム」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2606657号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2606657号の請求項1に係る考案は、平成5年12月20日に実用新案登録出願され、平成12年10月6日にその実用新案登録の設定登録がなされ、羽鳥義一より実用新案登録異議の申立てがなされたものである。

2.実用新案登録異議申立てについて
(1)本件考案
実用新案登録第2606657号の請求項1に係る考案(以下本件考案という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりにあるものと認める。
「床面(1)に載置される左・右脚枠(2a)・(2b)と、該左・右脚枠(2a)・(2b)のそれぞれの先端に設けられた左・右車輪(3a)・(3b)と、左・右脚枠(2a)・(2b)に垂直状に立設される肋木(4)と、該肋木(4)の立設中途位置から水平方向に延設される平行棒(5)とから構成されたことを特徴とする起立訓練用フレーム。」

(2)実用新案登録異議の申立ての概要
実用新案登録異議申立人・羽鳥義一は、証拠方法として
甲第1号証(特開平3-23875号公報)、
甲第2号証(実願昭60-68248号(実開昭61-88758号)のマイクロフイルム)、
甲第3号証(実願昭62-125911号(実開昭64-31772号)のマイクロフイルム)を提示し、
本件考案は、甲第1?3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案登録法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、
本件考案についての実用新案登録は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過処置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。

(3)甲各号証記載の考案
甲第1号証:
甲第1号証には、「エアロビック運動と強さ向上のための装置であって、
自由端部を有する第1水平部材と、
第1水平部材と所定の間隔を存して配備され、自由端部を有する第2水平部材と、
第1及び第2の水平部材の前方にて、第1及び第2の水平部材と略直交する方向に配備された水平横棒部材と、
第1水平部材、第2水平部材及び水平横棒を支持するプラットフォームであって、第1水平部材がプラットフォームによって支持される第1の位置を通って伸びる第1の垂直軸と、第2水平部材がプラットフォームによって支持される第2の位置を通って伸びる第2の垂直軸と、水平横棒部材の下方に第1水平部材及び第2水平部材との間に亘って形成した開放部を備えており、使用者は、使用中において、第1及び第2部材の自由端部を掴みながら、第1及び第2部材の間の開放部の中を、妨げを受けることなく横棒部材に移動し、又は横棒部材下方の開放部から横棒部材を掴むことができるようにしているプラットフォームと、
第1部材及び第2部材は各々が高さ調節可能、かつ第1垂直軸及び第2垂直軸の周りを夫々回転可能となるように、第1部材、第2部材及び横棒部材をプラットフォームに取り付ける手段とから構成され、
使用者が、横棒部材と、第1及び第2水平部材との間を容易にかつ速やかに移動し、これら部材上にて所定の運動を実行し、複数の大きな筋肉群を同時に動かし、主たる重量抵抗として体重を利用してエアロビックキャパシティの増大と強さの向上を達成できるようにしていることを特徴とする身体の運動装置。」(請求項1)が、第1?3図と共に記載され、
さらに、「取付手段(60)は、更に水平横棒(16)を第3の柱(40)及び第4の柱(42)に各々取り付ける第3の手段(56)と第4の手段(58)を有している。従って、水平横棒(16)は高さを変えて固定することができる」(第9頁左上欄第11?15行)こと及び、
「より具体的に説明すると、第1水平部材(12)及び第2水平部材(14)は、使用者がこれらを掴んで移動させる操作を一層容易に行えるようにするため、中空筒状にすることが望ましい」(第8頁右上欄第2?5行)ことが記載されている。
甲第2号証:
甲第2号証には、「リハビリテーションにおいて、関節の運動や筋肉群全体の強化に使う肋木に関する」(明細書第3頁第5?7行)こと、及び「基本的に本肋木は垂直な格子状要素1と、段となった台2と、荷重のかかる弓形部3とより成る」(同頁第15?16行)ことが第1?12図と共に記載されている。
甲第3号証:
甲第3号証には、「横木の間隔を変則にした移動式円形ロクボク」(実用新案登録請求の範囲)が第1及び2図と共に記載され、
「この考案は学童の運動器具及び遊戯器具に用いられるものである」(明細書第1頁7?8行)こと、及び「従来屋外で使用されていたものを室内でも使用できるようにロクボクの台の下部にストッパー付ローラを取付けて移動式とした」(同第2頁第9?11行)ことが記載されている。

(4)対比・判断
本件考案と甲第1号証に記載される考案とを対比すると、
両者は床面に載置される左・右脚枠と、左・右脚枠に垂直状に立設される部材の立設中途位置から水平方向に延設される棒状の部材及び横棒部材を有する点で共通する構造を有しているが、
前者の平行棒は、「患者は機器を使用して起立訓練を行なうが、その際、患者は床面に垂直状に立設される肋木の立設中途位置から水平方向に延設される平行棒又は横バーのどちらかを掴んで起立する」(本件明細書第5段落)と記載されるように、起立訓練の患者がそれを掴んで立ち上がり、肋木を使って訓練するためのものであるのに対し、後者の第1水平部材及び第2水平部材は、使用者がこれらを掴んで移動させる操作をなして、エアロビックキャパシティの増大と強さの向上を達成するものであって、起立訓練用ではない。
また、後者における横棒部材は1本設けられているにすぎないことから前者における肋木の機能を有するとはいえないものである。
してみると、両者は、その使用方法を大きく異にしており、後者が、起立訓練用として肋木と平行棒との組合せを示唆しているとはいえない。
甲第2号証には、肋木をリハビリテーションに用いることが記載されているが、この肋木は段となった台と組み合わせて使用するものであり、患者が立ち上がるための平行棒を、肋木に設けることは記載されておらず、示唆もされていない。
また、甲第3号証も、肋木を学童の運動器具及び遊戯器具として用いることを開示するにとどまり、肋木と平行棒との組合せについては記載されておらず、示唆もされていない。
よって、甲第1号証に記載される考案の横棒部材及び第3の柱及び第4の柱を、甲第2及び3号証に記載されるような肋木とし、この肋木の立設中途位置から水平方向に平行棒を延設することが、当業者にとってきわめて容易にできたとはいえない。
そして本件考案は、その構成により明細書に記載の、肋木の立設中途位置から水平方向に延設される平行棒を掴んで起立する(本件明細書第3、5段落)、支柱を背面側に傾斜させれば車輪が接地し容易に移動できる(同第13段落)なる効果を奏すると認められる。
従って、本件考案が甲第1?3号証に記載される考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められない。
なお、実用新案登録異議申立人は、甲第1号証には、「バーガー他に付与された米国特許第2819755号はリハビリテーション装置を開示しており、これは使用者の歩行能力を発達させる補助装置に関するものである。」(第6頁右上欄第3?6行)と記載されており、甲第1号証に係る身体の運動装置は本件考案に係る起立訓練用フレームと技術関連性を有する旨主張しているが、当該記載は、発明の背景の項中のものであって、甲第1号証に記載の発明が米国特許第2819755号明細書記載のリハビリテーション装置を先行技術として参照したことを示すにとどまり、上述したように、甲第1号証に記載のものが、リハビリテーション用に肋木と平行棒の組み合わせを示唆するものではない以上、上記実用新案登録異議申立人の主張は採用できない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものとは認めない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2002-04-25 
出願番号 実願平5-73115 
審決分類 U 1 652・ 121- Y (A61H)
最終処分 維持    
前審関与審査官 土田 嘉一  
特許庁審判長 梅田 幸秀
特許庁審判官 千壽 哲郎
平上 悦司
登録日 2000-10-06 
登録番号 実用新案登録第2606657号(U2606657) 
権利者 オージー技研株式会社
岡山県岡山市海吉1835番地7
考案の名称 起立訓練用フレーム  

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