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審決分類 |
審判 A44C |
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管理番号 | 1061350 |
審判番号 | 無効2001-40019 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2002-08-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2001-08-15 |
確定日 | 2002-06-24 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3068459号実用新案「数珠」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 実用新案登録第3068459号の請求項に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
〔1〕手続の経緯・本件考案 本件実用新案登録第3068459号の請求項1?3に係る考案(平成11年10月25日出願、平成12年2月16日設定登録。以下、「本件考案1」?「本件考案3」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】所定数の数珠玉が環状に連結される数珠であって、前記数珠玉のうち少なくとも主玉の表面には、般若心経の経文の全文が適宜割り振って表示されることを特徴とする数珠。 【請求項2】請求項1に記載の数珠において、前記数珠は、本連二輪の数珠であることを特徴とする数珠。 【請求項3】請求項1に記載の数珠において、前記数珠は、腕輪数珠であることを特徴とする数珠。」 〔2〕請求人の主張 これに対して、請求人は、「実用新案登録第3068459号の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし請求項3に係る考案についての実用新案登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めるものであって、請求の理由として、「本件登録実用新案の請求項1または請求項2に係る考案は、本件考案の出願日の平成11年10月25日より前に公然実施された考案であり、実用新案法第3条第1項第2号に該当し実用新案登録を受けることができないものである。」(審判請求書第2頁第8?10行)旨、「本件登録実用新案の請求項1ないし請求項3に係る考案は、本件考案の出願の日の平成11年10月25日より前の平成11年4月15日に出願された他の特許出願の特願平11-107779号であって、本件登録実用新案の出願後の平成12年10月31日に出願公開された特開2000-301368公報の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件登録実用新案の考案者が上記の特許出願のその発明をした者と同一でなく、さらに、本件登録実用新案の出願時の出願人は上記の特許出願の出願人と同一でないので、実用新案法第3条の2の規定により実用新案登録を受けることができないものである。」(審判請求書第2頁第14?22行)旨を主張し、以下の証拠方法を提出している。 甲第1号証:納品書(写)、平成10年9月19日、有限会社藤井木工所発行 甲第2号証:特開2000-301368号公報 〔3〕被請求人の主張 一方、被請求人は、審判請求に対する答弁書を提出しないだけでなく、口頭審理手続にも出頭しなかった。 〔4〕引用例 ア.本願の出願日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平11-107779号(特開2000-301368号公報参照)の願書に最初に添付した明細書(以下「先願明細書」という。審判請求人が提出した甲第2号証参照。)又は図面には、以下の記載が認められる。 1)「本発明は、数珠玉などの球状体の球状面に経文、仏像或いは寺院名等の文字或いは図形などを彫刻する方法及びその用具並びに該方法により製造した数珠に関する。」(段落【0001】) 2)「数珠玉などの球状体に文字や図形を彫刻することは、被彫刻面が平面でなく球状面であり、かつ、数珠玉は小径の10mm前後の大きさの球状体であるので、このような球状面への小さな文字や図形の彫刻はたとえ手彫りで行うにしても熟練した技術が要求され困難な作業であった。従って一個の数珠玉に拾数文字の経文の一部を彫刻し、さらにこれらの経文の一部を彫刻した数珠玉を一連の隣合う数珠玉として連ねて長文の経文、例えば般若心経、を彫刻した数珠とすることなどは、容易に製造することができなかった。」(段落【0002】) 3)「本発明が解決しようとする課題は、数珠玉などの径が10mm前後の小径の球状体の球状面に拾数文字から成る語句や仏像などの図形を、かつ、一度に多数個の球状体に熟練を要することなく短時間で彫刻する方法を提供すること、この方法の実施に使用する多数個の球状体からなる被加工物を支持して加工を容易に行う用具を提供すること、および上記の加工方法により一連の文字や語句或いは図形等を彫刻した数珠を提供することである。」(段落【0003】) イ.図5には、般若心経が彫刻された一連の数珠玉8が図示されている。 ウ.そして、上記ア.1)および2)の記載からすると般若心経は全文が表示されているものであることは当業者に明白であるし、 一連の数珠玉8が周知の数珠における主玉に該当することも当業者に明らかである。 エ.してみると、先願明細書又は図面には次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認める。 「所定数の数珠玉(主玉)が環状に連結される数珠であって、数珠玉(主玉)の表面には、般若心経の経文の全文が適宜割り振って表示されることを特徴とする数珠。」 〔5〕対比・判断 (1)そこで、本件考案1と先願発明とを対比すると、全ての事項において一致しており、相違点は認められない。 そうすると、結局、本件考案1と先願発明とは、同一である。 (2)次に、本件考案2と先願発明とを対比すると、前者が本連二輪の数珠であるのに対し、後者は本連二輪のものではない点で一応相違し、その余の点では一致している。 しかし、本連二輪の数珠は、本願出願前周知のものであり、上記相違点は単なる表示対象物の変更にすぎないと言うべきである。 そうすると、本件考案2と先願発明とは実質的に同一である。 (3)更に、本件考案3と先願発明とを対比すると、前者が腕輪数珠であるのに対し、後者は腕輪数珠ではない点で一応相違し、その余の点では一致している。 しかし、腕輪数珠は、本願出願前周知のものであり、上記相違点は単なる表示対象物の変更にすぎないと言うべきである。 そうすると、本件考案3と先願発明とは実質的に同一である。 〔6〕むすび 以上のとおりであるから、本件考案1?3は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願考案の考案者が上記先願明細書に記載された発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本件考案1?3は、実用新案法第3条の2により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-01-28 |
結審通知日 | 2002-01-31 |
審決日 | 2002-05-14 |
出願番号 | 実願平11-8087 |
審決分類 |
U
1
121・
16-
Z
(A44C)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
梅田 幸秀 |
特許庁審判官 |
和泉 等 岩崎 晋 |
登録日 | 2000-02-16 |
登録番号 | 実用新案登録第3068459号(U3068459) |
考案の名称 | 数珠 |
代理人 | 横井 健至 |