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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て不成立) B41K
管理番号 1061361
判定請求番号 判定2001-60063  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2002-08-30 
種別 判定 
判定請求日 2001-05-28 
確定日 2002-06-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第2580743号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 イ号物件の説明書(イ号図面を含む)及びイ号図面代用顕微鏡写真に示すスタンプ台は、登録第2580743号実用新案の技術的範囲に属する。
理由 [1]請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号物件の説明書(イ号図面を含む)及びイ号図面代用顕微鏡写真に示すスタンプ台(以下、「イ号物件」という)が、登録実用新案第2580743号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

[2]本件考案
本件登録実用新案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、その請求項1に記載された考案は、以下の構成要件に分説するのが、相当である。
A.インキパッドにおける表面布帛に、
B.単繊維繊度が0.9デニール以下の極細繊維を主成分とし、
C.0.9デニールを越える繊維を副成分として混用し、
D.上記0.9デニール以下の極細繊維と上記0.9デニールを越える繊維とが、前者が実質的に布帛表面に配されるように交織・編されて構成された布帛を配した
E.ことを特徴とするスタンプ台。

[3]イ号物件
請求人 シャチハタ株式会社が提出した、平成13年5月28日付けの判定請求書に添付されたイ号物件の説明書(イ号図面を含む)及びイ号図面代用顕微鏡写真からみて、イ号物件は下記のとおりの構成を具備するものと認められる。
a.インキパッドにおける表面布帛に、
b.単繊維繊度が0.351デニール(0.9デニール以下)の極細繊維を主成分とし、
c.1.062デニール(0.9デニールを越える)の繊維を副成分として混用し、
d.上記0.351デニール(0.9デニール以下)の極細繊維と上記1.062デニール(0.9デニールを越える)繊維とが、2対1の割合で布帛表面に配されるようにツイル織に交織されて構成された布帛を配した
e.ことを特徴とするスタンプ台。

[3]本件考案及びイ号物件についての当事者の主張
本件考案が実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであって、その構成要件が上記[2]のとおりであることについて、請求人及び被請求人の間に争いはない。
また、イ号物件の構成が上記[3]のとおりであることについて、請求人及び被請求人の間に争いはない。
そして、イ号物件が本件考案の構成要件Dを除くほか全ての構成を充足していることについて、請求人及び被請求人の間に争いはない。
本件考案の構成要件Dと、イ号物件の構成dとの関係についての、請求人及び被請求人の主張は、以下のとおりである。

(一)請求人の主張
(1)本件実用新案の技術的範囲を定めるためには、前記した構成要件Dにおける「0.9デニール以下の極細繊維が実質的に布帛表面に配されるように交織・編されて構成された布帛」とはいかなる構成であるかについて考察する必要がある。そこで、本件実用新案の明細書を見ると、「極細繊維が実質的に布帛表面に配される」とはどの程度の範囲を意味するかの記載はなく、0.9デニール以下の極細繊維のみが布帛表面に配されている場合についてのみ記載されている。(判定請求書第4頁第16?22行)
(2)【0029】にある唯一の実施例では、ポリエステルとポリアミドからなる分割型複合繊維(75de/20fil:16分割/fil)の生糸と、75de/36filのポリエステル仮撚加工糸(ダブルヒーターによるセットヤーン)とを丸編機を用いて、表1の組織図で編成し、分割処理を施した。・・・)とある。(なお、この表1の組織図については、【0018】?【0020】の記載から、表目部分が極細繊維のみで編成されたモックロディア組織であることが明らかである。(判定請求書第5頁第5?11行)
(3)本件実用新案の出願から登録までの経緯や、スタンプ台の従来技術を考慮すると本件実用新案の新規な点は、前記した構成要件Dである「0.9デニール以下の極細繊維が実質的に布帛表面に配されるように交織・編されて構成された布帛」にあり、しかも、この構成要件Dにおける「0.9デニール以下の極細繊維が実質的に布帛表面に配される」とは、「0.9デニール以下の極細繊維のみ(或いは100%に近い極細繊維のみと言える程度の割合)が布帛表面に配された」ものに限定されるべきが相当である。(判定請求書第6頁第12?18行)
(4)イ号物件では、本件実用新案において唯一新規な構成要件Dである「0.9デニール以下の極細繊維が実質的に布帛表面に配されるように交織・編されて構成された布帛を配した」という構成を欠き、その代わりにイ号物件は前記構成要件dである「0.9デニール以下の極細繊維と0.9デニールを越える繊維とが、2対1の割合でツイル織に交織されて0.9デニール以下の極細繊維が布帛表面の2/3を占めるように配されて(「た」は、「て」の誤記と認められる。)いる布帛を配したスタンプ台であって、両者は構成が異なり、当然の帰結としてイ号物件からは本件実用新案の独特な作用効果を期待できないものであるから、イ号物件は本件実用新案の技術的範囲に属しないとするのが相当と確信する。(判定請求書第7頁第2?10行)

(二)被請求人の主張
(1)本件においては、数値の違いはあれ、イ号物件が、判定請求書に示された本件考案の構成要件のA,B,C,Eを充足することについては、請求人と被請求人との間に争いはない。・・・また、構成要件Dに関連して、イ号物件が「上記0.9デニール以下の極細繊維と上記0.9デニールを越える繊維とが、2対1の割合で表面に配されるようにツイル織に交織されて構成された布帛を配した」ものであることについても、現在まで被請求人は争っていない。また、この記述の曖昧な点などについて請求人が今後特異な主張をしない限り、争う意思はない。(平成14年5月2日付回答書第3頁第21行?第4頁第9行)
(2)構成要件Dは、均一で鮮明な印影が得られるという効果を奏する程度に極細繊維を布帛表面に配するという意味で、「前者(極細繊維)が実質的に布帛表面に配される」という言葉を採用したのである。(判定事件答弁書第6頁1?3行)
(3)本件明細書において、実施例として、通常の織物組織ではなく、モックロディア組織という複雑な編物組織を選んだのも、技術常識に属するものはあえて明記しなかったにすぎない。編物は布帛表面に露出する繊維の量を調整しようとするとどうしても複雑になるので明記したが、織物については綾織(ツイル)、朱子織など表面に露出する量も示される組織図を付した文献(一例として乙2号証)が多数出ているなど技術常識であったので明記しなかったのである。なお、本件明細書で、混用布帛の態様としては、【0011】?【0014】に詳細に記載している。(判定事件答弁書第6頁4?11行)
(4)被請求人の研究開発センターで平成7年5月及び12月頃、フォアコートスタンプ台を用いて押印のテストをした結果でもイ号で均一でムラのない鮮明な印影が得られることを確認した(乙5号証)。さらに、イ号は1/2ツイルを採用しており、極細繊維が少なくとも2/3、判定請求書添付の図面代用顕微鏡写真からは、それ以上が表面に露出するように交織された布帛を用いている。以上からすれば、イ号が0.9デニール以下の極細繊維と0.9デニールを越える繊維とが、前者が均一で鮮明な印影が得られるという効果を奏する程度に布帛表面に配されるように交織・編されて構成された布帛を配していることは明白で、イ号は構成要件Dを満たす。(判定事件答弁書第6頁18?27行)
(5)「実質的」とは、「実際に内容が備わっているさま。また、外見や型式よりも内容・本質に重点をおくこと」を意味し、「形式的」の反対語である(「広辞苑 第5版」1192頁)。(平成14年5月2日付回答書第4頁第17?19行)
(6)細デニール成分が「実質的」に表面布帛に配されているかどうかは、「実質的」の前記語義から、その「内容・本質」に重点をおいて判断しなければならない。(平成14年5月2日付回答書第5頁第5?6行)
(7)構成要件Dを「表面を100%細デニール成分とした編地」とか「実施例」に限定するという結論的な主張も、構成要件Dに「実質的に」と明記されていることから明確に排除されているというべきである。(平成14年5月2日付回答書第4頁第24行?第5頁第2行)

[4]対比・判断
(一)本件考案とイ号物件との対比
本件考案の構成要件とイ号物件とを対比すると、上記[3]でも述べたようにイ号物件は、本件考案の構成要件A、B、C、Eを充足していることは明らかである。しかしながら、本件考案の構成要件Dと、イ号物件の構成dとでは、布帛表面に配される0.9デニール以下の極細繊維の割合について、本件考案の構成要件Dが、「実質的に布帛表面に配される」としているのに対して、イ号物件の構成dでは「0.9デニール以下の極細繊維と0.9デニールを越える繊維とが、2対1の割合で布帛表面に配される」点で相違する。
(二)構成要件Dの「実質的」の解釈
(1)出願当初の明細書及び図面の記載
(イ)「このような問題を解決するため、本出願人は先に、単繊維繊度が0.9デニール以下の極細長繊維で構成された布帛を表面布帛として配したスタンプ台を提案した(実願平2-79887号)。この考案のポイントは、従来の木綿布等に比して格段の毛管力(浸透力)を有する布帛を用いたことにあり、これによりスタンプ回数(長期使用性)も、木綿布の12000回前後から20000回までに向上させ得たものである。・・・しかし、このようなスタンプ台でも、時として使用開始からその初期の間には、“印影の擦り汚れ”、紙質によっては“滲み”が起ることが判明した。」(段落【0004】、【0005】)
(ロ)「【考案が解決しようとする課題】本考案はインキパッドからのインキ転写量を可及的に平準化して、擦り汚れ、ベタ、ムラおよび滲みなどのない鮮明な印影が得られ、しかもインキ量が減少してもインキの出が良好で印影にカスレなどを生じさせることなく、より長期間使用でき、インキの残量も少なく無駄のないスタンプ台の提供を目的とする。」(段落【0006】)
(ハ)「本考案においては、上記スタンプ台の表面布帛として、単繊維繊度が0.9デニール以下の極細繊維を主成分として、単繊維繊度が0.9デニール以上の繊維を副成分として混用し、上記0.9デニール以下の極細繊維と上記0.9デニールを越える繊維とが、前者が実質的に布帛表面に配されるように交織・編されて構成した布帛を用いるものである。・・・ここで、上記“混用布帛”の態様としては、例えば以下のものが挙げられる。・・・A.単繊維繊度が0.9デニール以下の極細長繊維と単繊維繊度が0.9デニール以上の長繊維とを交編または交織する。・・・B.Aに挙げた2種の長繊維を混繊、合撚等の手段により得た複合長繊維糸で布帛を構成する。・・・C.Aに挙げた長繊維を夫々切断している短繊維同士を混綿して得た紡績糸で布帛を構成する。」(段落【0010】?【0014】)
(ニ)「そして、これら繊維が長繊維又は短繊維の形で混用された布帛においては、主成分たる極細繊維が50%を越え95%以下の範囲で占めるのが適当である。」(段落【0017】)
(ホ)「この表面布帛構造の好ましい一具体例を示すと、図2に示すような単繊維断面を有する貼り合せ複合繊維(ポリエステル8とナイロン9の交互貼り合せ)75de/20filとポリエステル仮撚加工糸75de/36filとを丸編機を用いて、下記表1に示すモックロディア組織にて編成する。この編布を例えば染色機(例えばサーキュラー染色機)中で揉むと、前記複合繊維の各成分間で剥離が生じ、75de÷(20fil×16分割)=0.23のデニール極細繊維が形成される。このとき、ナイロンの潤滑剤、ポリエステルの減量剤である苛性ソーダ等を併用してもよい。」(段落【0018】)
(ヘ)「図3は、このような編布の側面モデル図で、10は極細繊維で編成される表目部分、11は極細繊維12と、仮撚加工糸13とが共存する裏目部分である。この場合、編布において極細繊維が占める割合は約60重量%である。」(段落【0020】)
(ト)「なお、前述のBまたはCの混用布帛においては、複合繊維または混紡糸100%で布帛を構成するか、あるいは複合長繊維または混紡糸を図3の裏部11に配しかつ表部10は細デニール成分100%で構成したものが挙げられる。」(段落【0021】)
(チ)「スタンプ台からのゴム印等によるインキ転写の機構を考察するに、インキ吸蔵体に充分インキが保持されている時点(ステップ-1)・・・次いで、ステップ-1同様に押し付けた時、浮きでるインキがもはや存在せずインキ吸蔵体が圧縮されることでインキを吸いだしてくる段階(ステップ-2)・・・言い換えるとポンピングの段階であり、丁度良い印影が転写できる時期である。次いで最後のステップとして(ステップ-3)、ポンピングにおいて必要量のインキがゴム印等にまで到達せず転写インキがカスレてくる段階となり、何処までを終点とするかは判読できる範囲内で使用者の判断による。この段階での残留インキをいかに少なくするかが製造業者の工夫する所で、インキ吸蔵体を上下フェルトの密度の異なるものの重ね合わせにしたり、種々の方法がとられている。・・・従来の表面布帛では、ステップ-2以降の段階でゴム印等にてインキを転写させるのに必要十分な量を表面布帛に含ませる点において不充分であり、毛管力として必要な単糸番手および打込本数の布帛を用いると、布帛内の空隙量が少なくなり、ゴム印等に充分なインキを転写するだけの量を布帛内に保持できない。布帛内にゴム印等に充分なインキを転写するだけの量を確保できる空隙量を持たせた布帛を使用するとステップ-2以降において布帛の毛管力に限界を生じ、インキ吸蔵体からのインキ吸いだしに支障を来し、ゴム印等に均一に必要十分量を供給できなくなる上に残留インキ量も多いものとなり、結果としてインキ転写回数も少ない状態で終わる。・・・ところで、スタンプ台の表面布帛に用いる繊維の単繊維繊度が0.9デニール以下の極細長繊維100%である場合には、布帛内に形成される微小空隙孔による毛管力と保持インキ量の両方の機能が時として過大になる現象が生じることが確認された。」(段落【0023】?【0025】)
(リ)「この点から、本考案では、極細繊維のみでなく布帛の毛管力とインキ保持量をやや抑制するために、単繊維繊度が0.9デニールを越える(好ましくは1.2デニール、さらに好ましくは1.5デニール以上)繊維を副成分として混用するものである。」(段落【0026】)
(ヌ)「このことは、図3を参照すれば容易に理解される。つまり、実質的に極細繊維のみで構成される表目部10の裏目部11においては、極細繊維12と、仮撚加工糸(単繊維デニール>0.9デニール)13とが共存する。後者の微小空隙孔は前者に比して平均的に大きくなること、したがって毛管力によるインキの吸い上げ量が小さくなり、極細繊維のみの布帛の過大な毛管力を抑える。」(段落【0027】)
(ル)「このことから、主成分である極細繊維に対して、単繊維繊度が0.9デニールを越える繊維が何らかの形で混用されていれば、本考案の課題が解決されるわけである。」(段落【0028】)
(ヲ)「【実施例】ポリエステルとポリアミドからなる分割型複合繊維(75de/20fil:16分割/fil)の生糸と、75de/36filのポリエステル仮撚加工糸(ダブルヒーターによるセットヤーン)とを丸編機を用いて、表1の組織図で編成し、分割処理を施した。次に、この布帛を図1に示すインキパッドの表面布帛6として用い、これをケースに装填して市販のJIS 2号型タイプのものと同様のスタンプ台を完成させた。」(段落【0029】)
(ワ)「【考案の効果】本考案は以上の通りであり、インキパッドからのインキ転写量を程好く平準化して擦り汚れの懸念なく、印影品質の向上をもたらし、またインキ量が減少してもインキの出が良好なので紙質を問わず印影にカスレなどを生じさせることなく長期間使用でき、しかも上記のようにスタンプ回数も格段に増加させ得る。」(段落【0033】)
(2)「実質的」の解釈
実用新案法第26条で準用する特許法第70条は、実用新案の技術的範囲は願書に添付した明細書の「実用新案登録請求の範囲」の記載に基づいて定めなければならないとしており、実用新案法第5条第5項は、上記「実用新案登録請求の範囲」は、考案の詳細な説明に記載したものである考案の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならないこととしている。
それ故、実用新案登録請求の範囲の記載の文言自体から直ちにその技術的意味を確定するのに十分といえなくても、当業者において明細書の考案の詳細な説明に記載された考案の目的、構成、作用効果等を併せ検討することにより、客観的合理的にその技術的意義を確定できるときは、当該考案はこれにより確定された技術的内容のものと把握すべきである。
これを本件についてみると、以下のとおりである。
上記(1)の記載事項(イ)乃至(ワ)の点を総合的に考慮すると、本件考案は、上記(チ)に示された如く、スタンプ台からのゴム印等によるインキ転写の機構を考察するとともに、表面布帛に用いる繊維の単繊維繊度が0.9デニール以下の極細長繊維100%である場合には、布帛内に形成される微小空隙孔による毛管力と保持インキ量の両方の機能が時として過大になる現象が生じることが確認されたことから、極細繊維のみでなく布帛の毛管力とインキ保持量をやや抑制するために、単繊維繊度が0.9デニールを越える(好ましくは1.2デニール、さらに好ましくは1.5デニール以上)繊維を副成分として混用し、主成分である極細繊維に対して、単繊維繊度が0.9デニールを越える繊維が何らかの形で混用されていれば、本考案の課題が解決されるという認識でなされたものであると認められる。
そして、上記(ト)に記載の如く、上記(ハ)に示された“混用布帛”の態様として挙げられたBまたはCの混用布帛においては、複合繊維または混紡糸100%で布帛を構成するか、あるいは複合長繊維または混紡糸を図3の裏部11に配しかつ表部10は細デニール成分100%で構成したものも、本件考案の効果を奏するものである。そして、複合繊維または混紡糸100%で布帛を構成する場合、交織・編の仕方にも影響されるであろうが、主成分たる極細繊維が50%を越え95%以下の範囲で占めるのが適当であるとされていることをも勘案すると、布帛表面に極細繊維が配される程度が2/3≒67%になる場合も当然に視野に入っているものである。
そうすると、「実質的」に布帛表面に配されたとは、請求人が主張するように、0.9デニール以下の極細繊維のみ(或いは100%に近い極細繊維のみと言える程度の割合)が実質的に布帛表面に配されたものに限定されるべきものではなく、均一で鮮明な印影が得られるという効果を奏する程度に極細繊維が布帛表面に配された状態を意味するものと解するのが相当である。
してみると、イ号物件の構成dは、本件考案の構成要件Dを充足する。
したがって、イ号物件は、本件考案の構成要件AないしEの全てを充足している。

[5]むすび
以上のとおり、イ号物件は本件考案の構成要件を全て具備しているから、イ号物件は本件考案の技術的範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2002-06-18 
出願番号 実願平7-1538 
審決分類 U 1 2・ 1- YB (B41K)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 白樫 泰子中村 圭伸  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 佐田 洋一郎
渡辺 努
登録日 1998-07-03 
登録番号 実用新案登録第2580743号(U2580743) 
考案の名称 スタンプ台  
代理人 神田 正義  
代理人 宮尾 明茂  
代理人 山本 文夫  
代理人 綿貫 達雄  
代理人 名嶋 明郎  
代理人 藤本 英介  

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