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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) B05C
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効とする。(申立て全部成立) B05C
管理番号 1062946
審判番号 審判1999-35684  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-09-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-11-22 
確定日 2002-08-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第2600952号実用新案「自動糊付機」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2600952号の請求項1?5に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第2600952号は、平成10年11月13日に、平成5年改正前実用新案法第9条第1項において準用する平成5年改正前特許法第44条第1項の規定による実用新案登録出願〔原出願:実願平4-7365号、原出願の出願日:平成4年1月25日、原出願の出願公告日:平成8年1月17日〕として出願され、平成11年9月3日にその設定登録がなされ、その後、当審において、以下の手続を経たものである。
無効審判請求書 平成11年11月22日
訂正請求書 平成12年3月16日
答弁書 平成12年3月16日
弁駁書 平成12年7月18日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成13年3月6日
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成13年3月6日
口頭審理(特許庁小審判廷) 平成13年3月6日
弁駁書(第2回) 平成13年4月6日
答弁書(第2回) 平成13年5月14日
訂正拒絶理由通知書 平成13年9月19日
無効理由通知書 平成13年9月19日
訂正請求書(平成14年1月16日付けの手続補正書を含む)
平成13年11月22日
答弁書(第3回) 平成13年11月22日
訂正請求取下書(平成12年3月16日付けの訂正請求書の取下げ)
平成13年11月30日
無効理由通知書(平成13年11月22日付けの訂正請求に対する訂正
拒絶理由通知を兼ねる) 平成14年1月28日
職権審理結果通知書 平成14年2月5日
意見書(請求人) 平成14年4月9日
(但し、平成14年1月28日付け無効理由通知に対して、被請求人からの応答なし)

II.平成13年11月22日付け訂正請求の訂正の適否について
なお、平成12年3月16日付け訂正請求は、平成13年11月30日付け訂正請求取下書により取下げられている。
II-1.訂正拒絶理由の概要
平成13年11月22日付け訂正請求につき、平成14年1月28日付け訂正拒絶理由通知を兼ねる無効理由通知で通知した、訂正拒絶理由の概要は次のとおりである。
(1)訂正拒絶理由1
当該訂正は、訂正請求後の実用新案登録請求の範囲の請求項4(登録時では請求項5)において、表示する実行情報につき、「上記識別情報に対しての糊付済情報」を「糊付済情報」と、訂正する事項を含むものである。
しかし、この訂正事項は、実行情報に、識別情報以外の糊付済情報(例えば、総施工量等)を加えることになり、実質上登録請求の範囲を拡張し、変更することに該当する
(2)訂正拒絶理由2
訂正後の本件請求項1?4に係る考案は、引用例1?17〈後に掲載する〉に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、訂正後の本件請求項1?4に係る考案は、独立して実用新案登録を受けることができない。
したがって、平成13年11月22日付け訂正請求は認められない。

II-2.訂正事項
平成13年11月22日付け訂正請求は、本件実用新案登録第2600952号の明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書に記載の下記(a)?(e)のとおり訂正することを求めるものである。
(a)実用新案登録請求の範囲の請求項1における、
「【請求項1】水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して設け、糊付機本体には、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込または設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および設定情報および/または実行情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作することを特徴とする自動糊付機。」を、
「【請求項1】水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して別体で設け、糊付機本体には、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込みまたは設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および設定情報および/または実行情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作することを特徴とする自動糊付機。」と訂正する。
(b)実用新案登録請求の範囲の請求項3における、
「【請求項3】糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の自動糊付機。」を、
「【請求項3】糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の自動糊付機。」と訂正する。
(c)実用新案登録請求の範囲の請求項4を削除する。
(d)実用新案登録請求の範囲の請求項5における、
「【請求項5】糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および上記識別情報に対しての糊付済情報であることを特徴とする請求項1、2または3記載の自動糊付機。」を、
「【請求項4】糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および糊付済情報であることを特徴とする請求項1、2または3記載の自動糊付機。」と訂正する。
(e)明細書の考案の詳細な説明の欄の段落0005における、
「・・・。A.少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して設け、・・・。・・・。C.糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報であり、・・・。D.入力装置は、設定情報を表示する表示装置と、該情報を出力する出力装置を有すること。
E.糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付長さ、糊付済枚数、および識別情報に対しての糊付済情報であること。」を、
「・・・。A.少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して別体で設け、・・・。・・・。C.糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の情報であり、・・・。D.糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および糊付済情報であること。」と訂正する。

II-3.訂正拒絶理由1についての判断
-訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否-
II-3-1.上記(a)の訂正について
この訂正は、請求項1において、入力装置に入力される情報につき、「少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報」から「少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の設定情報」へと訂正し、また、入力装置の設置態様につき、「入力装置を糊付機本体と分離して設け」から「入力装置を糊付機本体と分離して別体で設け」へと訂正するものである。
(訂正の目的の適否)
上記訂正中、入力装置に入力される情報については、識別情報としての部屋番号または通し番号等とされていたものを、部屋番号と限定し、通し番号等の識別情報を該入力される情報から削除するものであって、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。次に、入力装置の設置態様については、入力装置を分離して設けるとしていたものを、別体で設けると、更に、限定するものであって、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(新規事項の有無)
上記訂正中、入力装置に入力される情報については、部屋番号と限定することは、上記したとおり、通し番号等の識別情報を該入力される情報から削除するだけのものであり、また、入力装置を別体で設けるとすることは、明細書の「・・・この考案では、本体とは別の入力装置を用意し、・・・」(段落0007)等との記載に基づくものであり、いずれのものも、本件の願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
(拡張・変更の存否)
上記訂正中、入力装置に入力される情報、及び、入力装置の設置態様に関する訂正事項の何れのものも、上記訂正の目的の項で説示したとおり、実用新案登録請求の範囲の記載を減縮するものであって、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
II-3-2.上記(b)の訂正について
この訂正は、請求項3において、表示する設定情報につき、それを、「少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報であり」から「少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の情報であり」へと訂正するものである。
(訂正の目的の適否)
表示する設定情報については、識別情報としての部屋番号または通し番号等とされていたものを、部屋番号と限定し、表示する設定情報から通し番号等の識別情報を削除するものであって、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(新規事項の有無)
表示する設定情報について、部屋番号と限定することは、上記したとおり、表示する設定情報から通し番号等の識別情報を削除するだけのものであって、本件の願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
(拡張・変更の存否)
表示する設定情報に関する訂正は、上記訂正の目的の項で説示したとおり、実用新案登録請求の範囲の記載内容を減縮するものであって、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
II-3-3.上記(c)の訂正について
この訂正は、請求項4を削除するものであって、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、この訂正は、単に請求項を削除するだけのものであるから、本件の願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、そして、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、明らかなことである。
II-3-4.上記(d)の訂正について
この訂正は、実行情報につき、それを、「少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および上記識別情報に対しての糊付済情報である」から「少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および糊付済情報である」へと訂正し、請求項番号を5から4へ訂正するものである。
(訂正の目的の適否)
当該訂正により、表示する実行情報について、「上記識別情報に対しての糊付済情報」としていたものが、「糊付済情報」となるものである。
そして、当該訂正は、「上記識別情報に対しての糊付済情報」とは、訂正前の請求項1及び3からみて、部屋番号または通し番号等の識別情報に対する糊付済情報と解されるところ、これを、情報の範囲を限定しない「糊付済情報」と訂正しようとするものである。
してみれば、当該訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、当該訂正は、誤記の訂正を目的とするものに該当せず、そして、明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。
(新規事項の有無)
当該訂正により、実行情報につき、上記するように、部屋番号または通し番号等の識別情報以外の糊付済情報が追加されることになるが、そのように追加される情報については、明細書又は図面に記載した事項から直接的かつ一義的に導き出すことができないものである。してみれば、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとすることはできない。
(拡張・変更の存否)
上記したことと一部重複するが、当該訂正により、実行情報について、「上記識別情報に対しての糊付済情報」としていたものが、「糊付済情報」となるものである。
そして、当該訂正は、「上記識別情報に対しての糊付済情報」とは、訂正前の請求項1及び3からみて、部屋番号または通し番号等の識別情報に対する糊付済情報と解されるところ、これを、情報の範囲を限定しない「糊付済情報」と訂正しようとするものである。
すなわち、当該訂正により、実行情報には、部屋番号または通し番号等の識別情報以外の糊付済情報、例えば、クロス総施工量情報、糊量情報、糊種類情報、作業者情報、施工主情報、予定工期情報、等の如き糊付済情報までもが、含まれることとなる。
してみれば、実行情報が、「上記識別情報に対しての糊付済情報」としていたものを、「糊付済情報」と訂正するところの当該訂正は、実用新案登録請求の範囲を拡張するものに該当する。
この外、ここでの訂正は、その請求項番号を、5から4へ訂正することを含むものであるが、当該請求項番号の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当することは明らかであり、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、そして、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、明らかなことである。
II-3-5.上記(e)の訂正について
ここでの訂正は、考案の詳細な説明の欄の段落0005における、
「・・・。A.少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して設け、・・・。・・・。C.糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報であり、・・・。D.入力装置は、設定情報を表示する表示装置と、該情報を出力する出力装置を有すること。
E.糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付長さ、糊付済枚数、および識別情報に対しての糊付済情報であること。」を、
「・・・。A.少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して別体で設け、・・・。・・・。C.糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の情報であり、・・・。D.糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および糊付済情報であること。」と訂正するものであって、請求項に係る上記訂正事項(a)?(d)の訂正に対応して、考案の詳細な説明の欄の記載をこれに整合させるものである。
そして、当該訂正中、上記(a)?(c)の訂正に整合させるところの訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、本件の願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、そして、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、明らかなことである。
しかし、上記(d)の訂正に整合させるところの「D.糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および糊付済情報であること。」と訂正する事項は、上記II-3-4.の箇所で説示したとおり、実用新案登録請求の範囲の減縮、誤記の訂正、及び明りょうでない記載の釈明の何れを目的とするものにも該当せず、また、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとすることはできないものである。
ただし、この訂正は、実用新案登録請求の範囲の欄の訂正でなく、また、実用新案登録請求の範囲の請求項の解釈に直接影響するものでもないから、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。

II-3-6.訂正拒絶理由1についての結論
以上のとおり、前記訂正事項(d)は、実行情報について、「上記識別情報に対しての糊付済情報」としていたものを、「糊付済情報」とする点で、実用新案登録請求の範囲を拡張するものである。

II-4.独立実用新案登録要件について
II-4-1.訂正請求後の考案
訂正請求される本件請求項1?4に係る考案(以下、それぞれ、「訂正考案1」?「訂正考案4」という)は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載される次のとおりのものである。
【請求項1】水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して別体で設け、糊付機本体には、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込みまたは設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および設定情報および/または実行情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作することを特徴とする自動糊付機。
【請求項2】入力装置を糊付機本体にも併設したことを特徴とする請求項1記載の自動糊付機。
【請求項3】糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の自動糊付機。
【請求項4】糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および糊付済情報であることを特徴とする請求項1、2または3記載の自動糊付機。
そして、請求項1の演算指示装置における「読込みまたは設定情報により」とは、その請求項1の前後の記載からみて明らかなように、「読込まれた設定情報により」と解されるものである。

II-4-2.証拠方法
引用例1:極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、第18及
び19頁(甲第2号証の2)、
引用例2:極東産機株式会社「総合カタログ」昭和61年2月1日、第12
及び13頁(甲第1号証)、
引用例3:極東産機株式会社「総合カタログ」昭和61年2月1日、第14
及び15頁(甲第1号証の2)、
引用例4:極東産機株式会社「総合カタログ」昭和61年2月1日、第18
及び19頁(甲第1号証の2)、
引用例5:シャープ株式会社製「電子手帳PA-9500」取扱説明書、別
冊(甲第3号証)、
引用例6:特開平3-189900号公報(参考資料1)、
引用例7:特開昭60-246467号公報(参考資料2)、
引用例8:特開昭64-86698号公報(参考資料3)、
引用例9:特開平3-262023号公報(参考資料4)、
引用例10:特開昭63-179671号公報、
引用例11:実公昭57-42527号公報、
引用例12:実願昭61-181749号(実開昭63-89103号)の
マイクロフィルム、
引用例13:特開平3-236817号公報、
引用例14:特開平3-71309号公報、
引用例15:「ヤヨイ総合カタログ 施工具」、第1頁(甲第4号証)、
引用例16:極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、第28
8及び289頁(甲第2号証の2)、
引用例17:極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、第74
頁(甲第2号証)、
引用例18:実願平4-7365号(実開平6-11865号)の
CD-ROM〔原出願の公開公報、甲第5号証〕、
引用例19:実公平8-1014号公報(原出願の公告公報、甲第7号証)、
引用例20:極東産機株式会社「総合カタログ」平成4年6月1日、第18
及び19頁(甲第6号証)、
引用例21:平成13年3月21日、相互企画印刷株式会社代表取締役社長
柳沢良三作成による証明書(甲第13号証)、
引用例22:平成13年3月29日、シャープ株式会社知的財産権本部副本
部長小池隆彌による「商品の販売時期等に関する件」
(甲第10号証)、
引用例23:「商品説明書 No.2-065」平成2年9月25日、
シャープ株式会社、第1?10頁(甲第11号証)、
引用例24:「商品カタログ ハイパー電子システム手帳DB-Z PA-
9500」、1990年10月、シャープ株式会社、第1?
14頁(甲第12号証)、
引用例5は、同引用例5の記載内容及び引用例22?24の記載内容からみて、少なくとも平成2年10月末日までには刊行物として頒布されていたものと認められ、また、引用例15は、同引用例末尾の910301の記載及び引用例21の記載内容からみて、少なくとも平成3年3月1日までには刊行物として頒布されていたものと認められる。
なお、引用例18については、実開平6-11865号公報と記載されていたが、これを正しい表示方法に改めて記載している。

II-4-3.証拠方法の記載内容
引用例1には、「全自動糊付機エース8」に関し、
(A-1)「仕様 高さ:840mm 奥行:385mm(脚440mm) 巾:1,343mm 重量:本体42.5kg スリッター12.3kg 脚9.8kg 糊付速度:0?8.9m/min 糊容量14.5l モーター:100V、50W 電源コード:2.5m」(第19頁左中段)、
(A-2)「ハイテンションローラを装着
従来糊の付きにくかったエンボスクロスでも、ハイテンションローラーがクロスを糊付ローラーに圧着させることにより、きれいに糊付ができます。」(第19頁右下段)、
(A-3)「最新型の操作パネル
表示部に大型LEDランプを使用しており、薄暗い現場でも数字が大変見易くなっています。寸法設定にはタッチキーを使用しており、操作性、耐久性に優れています。現場の電圧が低下(90V以下)したことを知らせるボルテージランプ、不意の停電でも数字の残るメモリーカウンター、一日の仕事量が一目で分かるトータルカウンターが装備されています。その他に枚数設定機能も付いており、同じ長さのクロスを何枚も糊付けする場合、枚数を数える必要がなく安心して使用できます。また、スピードコントロール機能が付いており、クロスの種類や現場の状況に合わせて調整することができます。」(第19頁左下段)との記載があり、
そして、この引用例において掲載される写真をみると、
(A-4)第18頁の全面の写真(以下、「写真1」という)では、前面からクロスを垂下する糊付機が示され、
(A-5)第19頁の左中段における上記(A-1)の記載の上方部分の写真(以下、「写真2」という)では、糊付機の全体写真が示され、
(A-6)第19頁の右下段における上記(A-2)の記載の直上部分の写真(以下、「写真3」という)では、水平方向に配置された多数のローラーが示される糊付機の要部が示され、
(A-7)第19頁の左下段における上記(A-3)の直上の写真(以下、「写真4」という)では、リセット、スタート、クリアー、トータル、セット、0?9等の部材と、表示部材等からなる糊付機の上部表面に設けられるパネル状部品が示される。
この場合、上記(A-3)の記載は、写真4の内容を説明するものであり、このことは、そこでの前後の記載からみて、明らかなことである。

引用例2には、「全自動糊付機 コンピューターエース」に関し、
(B-1)「コンピューターコントロール方式・・・といっても尻込まないで下さい。操作は至って簡単。プログラムセット、枚数セットも思いのまま。スイッチ一つで総使用量から残量チェックまで色々な使い方可能。さあ、貴方も今日からプログラマー気分。」(第12頁上段)、
(B-2)「スピードコントロール付
壁紙の種類、現場状況等に合わせて毎分2?8mまで自由にスピードが調整できますので効率のよい糊付作業ができます。
ハイテンションローラー
あらゆる種類のクロスに対応する為の新機構。凹凸クロス、発泡系クロスにも満足のいく糊付をお約束します。」(第13頁右上段)、
(B-3)「コンピューターコントロール方式
業界初のコンピューターコントロール方式を採用。9,800枚の記憶ができる外、枚数セット、総施工量、クロス施工残量等の施工管理までできます。しかも一度記憶させた内容は、電源を切っても1週間以上保持され、再度電源を入れれば直ちに呼び出すことができます。現場で寸法を取り、自宅で入力したものを後日現場に持ち込んで使用することも可能なわけです。操作は高級タッチスイッチキーの採用で軽く触れるだけでOK!」(第13頁左下段)との記載があり、
そして、この引用例に掲載される写真をみると、
(B-4)第12頁の全面の写真、及び、第13頁の左上段、右中段、右下段の写真では、糊付機に設けられる多数のロールが水平方向に配置されていることが示され、
(B-5)第12頁の全面の写真、及び、第13頁の左上段の写真では、糊付機本体に対して、ボックス体がその側端部に別部材として設置することが示され、また、第13頁左下段の写真では、そのボックス体は、糊付機本体から分離して単独で床上に載置されることが示され、
(B-6)第13頁左下における上記(B-3)の記載の直左の写真では、該ボックス体には、切入、0?9等のスイッチ部材、及び、表示部材が設けられていることが示されている。

引用例3には、「普及型全自動糊付機エース」に関し、
(C-1)「糊付機械の最高峰に君臨するコンピューターエース。
その姉妹機として、操作性・経済性を追求したエースの普及型、登場。
発売以来大きな反響を呼んでいるコンピューターエース。その技術と機能を受け継ぎ、コントロールボックスのみを普及型に交換した、扱いやすく経済的なエースです。」(第14頁上段)、
(C-2)「扱い易いコントロールボックス
大型スイッチの採用によりセットが簡単、間違いの無い操作ができます。・・・。コンピューターエースと同じくスピードコントロールが付いていますので壁紙の種類、現場の状況等に合わせて安心した糊付ができる様になりました。また、コントロールボックスは簡単に取外しができますので、運搬時や現場に機械を長時間置いておく場合等、取外して手元に置いておくと安心です。」(第15頁左下段)との記載があり、
そして、この引用例に掲載される写真をみると、
(C-3)第14頁全面の写真、及び、第15頁左下段における上記(C-2)の直左の写真では、糊付機本体の側端に設置されるボックス状体にはPOWER ON OFF等のスイッチが設けられていることが示される。
引用例4には、「フルチョイス糊付機ベーターマックスII」に関し、
(D-1)「あらゆる現場に対応できる新方式・・・スリーウェイ方式を初めて採用。自動では交流・直流で。更に手動でも。どんな現場にもマッチします。」(第18頁上段)、
(D-2)「簡単操作のコントロールボックス
新設計の操作ボックスは機械セットしたままでも、床に置いてでも使用できます。運搬時には取外して単独で保管も可能です。」(第19頁右中段)との記載があり、そして、この装置の全体及び部分を写した写真も掲載されている。
引用例5には、「ハイパー電子手帳システム手帳 DB-Z」に関し、
(E-1)「4.ほかの電子手帳とデータの送受信をする
別売の通信ケーブルCE-300L/CE-200Lで電子手帳を接続し、データの送受信(データ通信)を行うことができます。
PA-9500と通信できる機種(1990年12月現在)」(第40頁第1?5行)、
(E-2)「6.パソコンなどとデータの送受信をする
(1)オプションポート15での通信
PA-9500どうし、またはパソコンなどとのデータ通信をより高速で行うために、オプションポート15(15ピンの端子)が設けられています。
PA-9500どうしの通信は、別売りの通信ケーブルCE-4001で接続して行います。・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)パソコンリンク
特別機能のメニュー画面で 7パソコンリンク にタッチするとパソコンリンクの画面になります。
この機種は、パソコン側でコントロールされます。この機能を使用するためにはパソコンおよびコントロールソフト、接続用ケーブル等が必要です。
電子手帳のみでは使用できません。」(第49頁第1行?第50頁下から第4行)との記載がある。
引用例6には、
(F-1)「第1の注文情報の入力を行う携帯可能な入力手段と、前記入力手段により入力された前記第1の注文情報を転送する転送手段と、前記転送手段により転送を受けた前記第1の注文情報に基づき第2の注文情報の作成を行う制御手段と、前記第2の注文情報が書き込まれるべき印字面および磁気記録面を有する帳票と、前記制御手段の指示に従って、前記帳票の印字面に前記第2の注文情報の印字を行うと共に、磁気記録面に前記第2の注文情報の磁気記録を行う記録手段とを設けたことを特徴とする端末装置。」(特許請求の範囲)、
(F-2)「この発明の端末装置を飲食店で使用する場合を例にとれば、ウェイトレス(店員)は、客のテーブルへ行き、注文を受ける。ウェイトレスは、携行する入力手段を操作して、受けた注文品目など(第1の注文情報)を入力する。入力された注文品目などは、転送手段を介して、制御手段に取り込まれ、料金集計処理・編集処理がなされ、第2の注文情報に加工作成される。上記記録手段は、制御手段によって加工作成された第2の注文情報を、上記帳票に印字すると共に、磁気記録を行う。かくして、第2の注文情報が、上記帳票に、印字されると共に、磁気的に記録されるので、会計時には、この磁気的情報をPOS端末装置へ読込ませれば良く、これにより会計業務・商品管理業務の簡素化および時間短縮化を図ることができる。」(第2頁左上欄第15行?右上欄第9行)、
(F-3)「第1図は、この発明の一実施例である端末装置の電気的構成を示すブロック図である。・・・第2図に示すように、・・・入力内容を表示再生する表示部14と、・・・とから構成されている。上記表示部14は、液晶表示素子、プラズマ表示素子、蛍光表示素子などのいずれかにより構成されている」(第2頁右上欄第13行?左下欄第6行)との記載がある。
引用例7には、携帯型情報処理装置に関し、
(G-1)「操作入力部を備えた情報処理部に処理情報を印刷出力する印刷出力部と他の情報処理装置との間で光空間通信を行なう光通信部のどちらか一方を選択して装着し、一体化することを可能としたことを特徴とする携帯型情報処理装置。」(特許請求の範囲第1項)、
(G-2)「近年、半導体技術の進歩により、小型・軽量化が計られた各種の携帯型端末装置が提案されてきている。これら携帯型端末装置には他の装置との間でデータ伝送が可能なデータ通信機能を持つものもあり、伝送媒体としてはケーブル又は電波を用いたものがほとんどである。」(第1頁右下欄第8?13行)、
(G-3)「次に情報処理本体部1に光通信部2に変えて・・・プリンタ部を接続固定した本発明の他の実施例の平面図を第2図(A)に、その上面図を第2図(B)に示す。図中20はプリンタ部、・・・、23は記録紙である。プリンタ20は感熱式ドットマトリックス(5×7)であり、20桁/行であり、表示部5の表示桁と一致させており、表示部5への表示データがそのままプリントアウト可能である。」(第2頁右下欄第9行?第3頁左上欄第4行)との記載がある。
引用例8には、
(H-1)「プラント機器に運転指令を行い、このプラント機器から運転中の情報を読込み、その運転情報に応じて前記プラント機器を集中制御する制御装置において、前記制御装置に伝送線によって接続され、かつ前記プラント機器の近くに配置されて前記プラント機器への運転指令および前記プラント機器からの運転情報の伝送要求が生じた時にこの運転指令および運転情報の伝送中継をする複数の接続端子装置と、この複数の接続端子装置のうちのいずれかに接続可能であり、前記プラント機器への運転情報を要求する時は、キーボードの入力操作により前記接続端子装置を中継して前記制御装置に行い、この要求に対して前記制御装置から伝送されてくる応答情報を前記入力操作を行った前記キーボードの位置に対応させて画面表示し、前記プラント機器への運転指令を要求する時は、この要求に対して前記制御装置から伝送されてくる応答情報を入力操作可能な前記キーボードに対応させて画面表示し、このキーボードを操作することにより行う操作器とを備えたことを特徴とする携帯操作形制御装置。」(特許請求の範囲)、
(H-2)「(作用)
上記構成により、現場において、例えば、作業者が特定のプラント機器の運転情報を読んで、その運転状況を把握する場合、または、そのプラント機器の運転を制御する場合、はじめに、作業者はプラント工場に配されている任意の接続端子装置に操作盤を接続する。次に、作業者は操作盤のキーボードから入力操作をすることによって制御装置にプラント機器の運転情報を収集することを要求する。制御装置はプラント機器の運転情報を応答情報として操作器に伝送する。操作器は応答情報を入力操作したキーボードの位置に対応させて画面表示する。特定のプラント機器を運転制御する時は応答情報により画面表示されている指定されたキーボードから入力操作することによって制御装置に運転制御を指令する。」(第2頁左下欄第9行?右下欄第4行)との記載がある。
引用例9には、携帯型データ入力装置に関し、
(J-1)「キー入力用のキーボード部と、データを格納しておくデータ格納部と、通信用データを含む表示を行う液晶表示部と、・・・とを備えることを特徴とする携帯型データ入力装置。」(特許請求の範囲)、
(J-2)「従来の携帯型データ入力装置は、データを他の機器に転送するために、電気的な接続によるか、またはデータの電気光変換によってデータの転送を行っている。」(第1頁右下欄第9?12行)との記載がある。
引用例10には、多画面表示テレビジョン受像機につき、
(K-1)その第1、2、4及び5図とその関連の記載箇所には、本体側操作部とリモコン送信部の双方に、入力装置を設けることが記載されている。
引用例12には、制御機器の表示装置に関し、
(L-1)「所定の値を表示する表示器と、設定内容を設定入力する複数のキースイッチとを備えた制御機器であって、上記キースイッチは操作時に表示器による表示内容を現在値、設定値、残量値に変更する表示変更キーを備え、上記表示変更キーの操作出力に基づいて表示器の表示態様を現在値、設定値、残量値に変更制御する制御手段を設けた制御機器の表示装置。」(実用新案登録請求の範囲)との記載がある。
引用例13には、グリルの制御装置に関し、
(M-1)「使用者は、グリル4の使用時間を設定するために、必要に応じてタイマ設定キー24a、24bを操作すると、時間表示部25の表示時間が変化し、・・・タイマ部33aの作動終了時刻が、例えば時間tnと設定される。・・・。時間tnになると、タイマ部33aの作動時間Tが終了し、時間表示部25の表示時間は0分となり、・・・消火動作が行われる。」(第4頁右下欄第4行?第5頁左上欄第6行)との記載がある。
引用例14には、ガス機器の遠隔操作装置に関し、
(N-1)「この状態において、設定変更ボタンを押すと、例えば第6図(B)に示すように表示が変更される。・・・、そのときの各温度および水位が数字で表示されこの状態で「給湯温度」「浴槽水位」の何れかのボタンを押すことにより設定数字を変更することができる。・・・、液晶パネルの表示は第6図(D)に示すようにその全自動運転中の状況を示す表示に変更されて自動運転を継続し、設定水位、設定温度の湯張りが完了すると、保温運転に移行すると共に、その状態を第6図(E)に示すように表示する。」(第3頁左下欄第14行?右下欄第15行)との記載がある。
引用例15には、「オートフレッシュマン【クロスの自動糊付機】」に関し、
(O-1)「特長
・糊厚調整ローラー(ドクターローラー)のたわみが少なく粘度の高い糊でも一定した糊付が可能です。
・糊厚調整つまみが前面部にあるので左右の糊厚調整が取りやすくなっています。
・残量表示機能付のため残りのクロス量が一目でわかり、クロスが不足してきた場合などは早めに確認できます。
・トータル表示機能付のため一日の仕事量が一目で確認できます。
・枚数設定機能付のため連続した長さの糊付には大変便利です。
・時計表示がついているので、年月日、時間の確認に便利です。
・メモリー機能付のため電源を切ったり、停電などの場合でもトータル、残量などの数字が記憶されていますので安心して使用できます。
・異常自己診断回路の採用により電圧低下や本体の異常時などの場合は異常状態が表示されるため早めに対処ができます。
・設定枚数、クロス糊付長さ、トータル長さが印刷されて出てきます。印刷紙には年月日も同時印刷されるので、月間、年間の仕事量の管理にも大変便利です。(プリンター付きのみ)
・印刷紙は熱感応方式を採用し、リボン方式の様なリボンを取り替える面倒な操作もいりません。(プリンター付きのみ)
商品番号 商品名
308-01 オートフレッシュマン(プリンター付)
308-02 オートフレッシュマン(プリンター無)」(第1頁右上欄)との記載がある。
引用例16には、「インテリア工事店向け『当社開発ソフト例』 内装工事見積り計算と請求書発行業務ソフト“さくら”」(第289頁左上段)に関し、
(P-1)第289頁の右上欄の「見積入力」と表示される画面には、現場名として阪急上新庄南の地名が表示され、また、そこでは、0001、0002と番号分けされたうえで、工事場所と表示される行には洋室 天、洋室 壁が記載され、品番と表示される行にはK-CC-123、K-CC-234が記載され、品名と表示される行にはクロス、クロスが記載され、
(P-2)「・見積り計算 ・原価実績計算 ・・・ ・工事指図書」(第289頁左中段)が記載されている。
引用例18には、自動糊付機に関し、
(Q-1)「【請求項1】水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、設定情報および/または実行情報を表示する液晶表示装置を搭載してなることを特徴とする自動糊付機。
【請求項2】水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、別体として設定情報の入力装置を有し、この入力装置からの設定情報を読込むための読込み装置と、読込まれた設定情報に沿って作動させる演算指示装置とを搭載してなることを特徴とする自動糊付機。
【請求項3】通信ケーブルを介して設定情報が読込まれる請求項2の自動
糊付機。」(請求項1?3)、
(Q-2)「この考案の自動糊付機は、水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、
1)設定情報および/または実行情報を表示する液晶表示装置を搭載する。
2)別体として設定情報の入力装置を有し、この入力装置からの設定情報を読込むための読込み装置と、読込まれた設定情報に沿って作動させる演算指示装置とを搭載する。
3)設定情報も含めた情報のプリンター出力装置を備える。
4)設定値以上または以下の入力電圧に対する警報発生および/または電源自動カット装置を備える。・・・・。
これらの諸要素、そしてその組合わせにより、高度機能付与した自動糊付機が実現される。」(段落0006?0009)、
(Q-3)「液晶表示装置
従来より、自動糊付機には表示部が設置されていた。・・・そこで、この考案では、従来からの糊付長さや枚数だけでなく、各種機能の設定や選択、警報等の表示も行うことができ、複雑な設定もわかりやすく操作できるようにしている。
たとえば自動糊付機の操作壁には液晶表示パネルが配置される。この液晶表示パネルには、・・・ワンタッチで操作および表示が可能とされる。たとえば、図1は、・・・。壁紙糊付の長さ、枚数を設定し、自動糊付機をスタートさせる。この操作において、実行情報としての長さと枚数が表示されることになる。」(段落0010及び0011)、
(Q-4)「そこで、この考案では本体とは別の入力装置を用意し、この入力装置からの設定情報を読込むため、読込み装置と、読込まれた設定情報に沿って作動させる演算指示装置とを糊付機本体に搭載する。
この際の入力装置としては、まず電子手帳システムが考慮される。たとえば図3(a)(b)に例示したように、プログラムの入ったICカードを電子手帳に装着し、電子手帳にて現場名、部屋番号、壁番号、クロス品番、糊付長さ、枚数などを入力し、そのデータを糊付機に通信ケーブルで送信する。糊付時にはそのデータを読み出して糊付けする。」(段落0013)
(Q-5)「プリンタ出力装置
従来からもプリンタを内蔵した糊付機はあるが、今までのものは、糊付した1回ごとの長さと、そのトータル長さを打ち出すものであった。
それに対し、この考案においては、糊付した1回ごとの長さとそのトータル長さを打ち出せるのはもちろんのこと、データ入力した設定情報としての現場名、部屋番号、壁番号、壁紙品番というような内容も出力することができるようにする。このため、このプリンタ出力装置は、糊付した壁紙の使用量等の管理などにも役立つ。」(段落0014及び0015)との記載がある。
引用例19には、自動糊付機に関し、
(R-1)「【請求項1】水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、別体としての入力装置と、この入力装置からの設定情報を読込むための読込み装置、および読込まれた設定情報に沿って自動糊付機を作動させる演算指示装置を搭載し、入力装置は本体に接続され、かつ、前記の設定情報および/または実行情報の表示装置を備えていることを特徴とする自動糊付機。
【請求項2】入力装置からの設定情報が、着脱自在の通信ケーブルを介して読込み装置に読込まれる請求項1の自動糊付機。
【請求項3】別体としての入力装置は、その表示装置に表示された設定情報および/または実行情報のプリンター出力装置を備えている請求項1または2の自動糊付機。」(請求項1?3)、
(R-2)「【請求項11】表示装置が液晶表示装置である請求項1、2、3、8、9、または10の自動糊付機。」(請求項11)、
(R-3)「そこで、この考案では本体とは別の入力装置を用意し、この入力装置からの設定情報を読込むための読込み装置と、読込まれた設定情報に沿って糊付機を作動させる演算指示装置とを糊付機本体に搭載する。この際の入力装置としては、まず電子手帳システムが考慮される。たとえば図1(a)(b)に例示したように、プログラムの入ったICカードを電子手帳に装着し、電子手帳にて現場名、部屋番号、壁番号、クロス品番、糊付長さ、枚数などを入力し、そのデータを糊付機に通信ケーブルで送信する。糊付時にはそのデータを読み出して糊付けする。」(段落0012)、
(R-4)「入力装置は、液晶等による表示装置を備え、これにより設定情報や実行情報が表示されるようにする。・・・それに対し、この考案においては、入力装置に組込まれた表示装置について、糊付した1回ごとの長さとそのトータル長さを打ち出せるのはもちろんのこと、データ入力した設定情報としての現場名、部屋番号、壁番号、壁紙品番というような内容もプリント出力することができるようする。このため、このプリンタ出力装置は、糊付した壁紙の使用量等の管理などにも役立つ。
以上の通りのこの発明の別体としての入力装置、読込み装置、演算指示装置、そして、表示装置からなるシステムとしての自動糊付機は、・・・効率的な自動糊付機を構成することができる。」(段落0014?0016)、
(R-5)「これらの要素との組合わせでは、上記の別体としての入力装置の場合とともに、これとは別に、自動糊付機本体に、入力装置や、液晶等の表示装置を搭載することもできる。」(段落0017)、
(R-6)「従来より、自動糊付機には表示部が設置されていたが、・・・この考案では、従来からの糊付長さや枚数だけでなく、各種機能の設定や選択、警報等の表示も行うことができ、複雑な設定もわかりやすく操作できるようする。
たとえば自動糊付機の操作壁には液晶表示パネルが配置される。この液晶表示パネルには、・・・ワンタッチで操作および表示が可能とされる。たとえば、図2は、マニュアルモード(初期画面)を例示したものである。壁紙糊付の長さ、枚数を設定し、自動糊付機をスタートさせる。この操作において、実行情報としての長さと枚数が表示されることになる。」(段落0017及び0018)との記載がある。

II-4-4.訂正拒絶理由2についての判断
引用例1?17は、いずれも、本件出願前に頒布された刊行物に該当する。
II-4-4A.訂正拒絶理由2のA
II-4-4A-1.訂正考案1について
訂正考案1と、引用例1に記載されるものとを対比する。
まず、引用例1に記載される考案の全自動糊付機は、前記(A-2)により、糊付ローラにクロスを圧着させて糊付けするものである。
そして、この種の糊付ローラは、通常、糊付機に水平に軸支されて回転することにより作動するものである〔必要ならば、実願平2-15883号(実開平3-105963号)のマイクロフィルム、実願昭2-47277号(実開平4-6437号)のマイクロフィルム、実願昭63-73714号(実開平1-175900号)のマイクロフィルム、引用例11等を参照〕。
ついで、引用例1の全自動糊付機は、写真2及び3により、糊付機の上面に操作パネルを保持するものであり、前記(A-3)の記載及び写真4により、該操作パネルには表示手段が設けられているばかりでなく、そこに、タッチキー等の部材が設けられるので、入力手段も設けられているものである。そして、この糊付機は、前記(A-3)により、クロスの寸法設定と枚数設定ができるのであるから、該寸法と枚数を設定するところの情報が入力されることは明らかである。
また、該糊付機は、全自動であるので、その情報が入力された後、糊付作業がいずれかの段階まで自動的に遂行されるのであるから、この糊付機には、何らかの、入力された情報の読込手段と、その情報を実行するための演算制御手段とが存在するはずである。
更に、該糊付機は、全自動であって、前記(A-1)及び(A-3)により、電気により作動、運転されるものであるから、入力手段から入力された前記情報は、糊付機に送信され、そして、該情報に基づき糊付機が動作されるものである。
そうすると、引用例1には、訂正考案1に関し、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラにクロスを圧接して糊付けする自動糊付機において、少なくとも寸法と枚数を設定するところの情報を入力する入力手段、上記情報を読み込むための読込手段、読込まれた情報により自動糊付機の作動を指示する演算制御手段、および情報を表示する表示手段を設け、入力手段が上記情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作する、自動糊付機」からなる考案が記載されているものと認められる。
そして、引用例1の「クロス」、「寸法と枚数を設定するところの情報」、「入力手段」、「読込手段」、「演算制御手段」、「表示手段」は、本件考案の「壁紙」、「設定情報」、「入力装置」、「読込み装置」、「演算指示装置」、「表示装置」に、それぞれ、相当する。
してみれば、両者は、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、設定情報を入力する入力装置、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作する自動糊付機」である点で、共通する。
しかし、糊付機全体の構造につき、(1)訂正考案1では、入力装置を糊付機本体と分離して別体で設け、また、読込み装置、演算指示装置、及び表示装置を糊付機本体に設けるものであるのに対し、引用例1のものでは、入力手段、読込手段、演算制御手段、及び、表示手段のいずれの部材も、糊付機本体に設けられるものであり、したがって、その入力手段が糊付機本体と分離して別体で設けられていない点(相違点1)、
設定情報及びその利用につき、(2)訂正考案1では、入力装置に入力される設定情報を少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号からなるものと構成し、読込装置が上記設定情報を読み込むためのものとなし、そして、演算指示装置において、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示できる構成とするのに対し、引用例1のものでは、設定情報を入力する入力装置、設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置を具備するものであるが、その設定情報として、少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号を入力し、当該設定情報を読み込み、そして、読込まれた当該設定情報により自動糊付機の作動を指示することが具体的に示されない点(相違点2)、
表示装置につき、(3)訂正考案1では、設定情報および/または実行情報を表示するものとしているのに対し、引用例1のものでは、そのことが具体的に示されない点(相違点3)で、両者は相違する。
以下、これらの相違点がきわめて容易に想到できるか否かにつき検討する。
相違点1について
訂正考案1において、入力装置を糊付機本体と分離して別体で設けるとしているのは、本件明細書の記載(段落0006?0008)によれば、作業前に情報をまとめて入力しておき、作業現場ではこれを糊付機に呼び出して使うためになされるものである。
しかし、引用例2には、前記(B-6)により、スイッチ部材及び表示部材を設けたボックス体が記載され、このボックス体は、スイッチ部材を保有することから入力手段を含むものと解されるが、それが、前記(B-5)により、糊付機の側端部に別部材として設けられること、更に、単独で床上に載置されることが示され、このように、糊付機の入力手段を含む制御系(ボックス体)が、糊付機本体と分離して別体に設けられることが示されるものである。
そのうえ、引用例2においては、分離して別体に設けられるその制御系の写真の説明として、前記(B-3)により、「現場で寸法を取り、自宅で入力したものを後日現場に持ち込んで使用することも可能」と記載され、当該制御系は、「自宅で入力したものを後日現場に持ち込んで使用する」という本件考案と同一の目的で用いられるものである。
してみれば、引用例1における糊付装置においても、装置の操作性などを改善しようとして、その入力手段を含む制御系を、糊付機本体と分離して別体で設けることは、当業者が適宜なし得るものであり、その場合、情報の入力を容易にするために入力手段そのものを装置本体部と分離して別体に設けることは機械、機器の分野における、周知・慣用の技術に過ぎないものであり(必要ならば、引用例5?9を参照)、したがって、引用例1に記載の発明において、その入力手段を糊付機本体と分離して別体に設け、上記構成のようにすることは、当業者がきわめて容易になし得るものである。
また、引用例2に記載のボックス体と同じように、引用例3及び4では、入力手段を含むコントロールボックスを糊付機本体と分離して別体に設けることが示され、これら引用例3と4の記載、及び、上記周知・慣用技術からみても、上記の構成はきわめて容易に想到できるものであり、その場合、糊付機の操作性が本件考案のように改善されるということも、当業者がきわめて容易に予測できるものである。
相違点2について
そもそも、糊付に際して基本的な情報である糊付長さ、枚数の情報を糊付機において入力することは出願前に公知であり、このことは、本件の明細書の段落0006において、明示される。
ちなみに、引用例1の考案では、これら情報が具体的に示されないが、そこでは、クロスの寸法と枚数を設定するところの情報は入力するものである。このうち、後者の枚数を設定するところの情報は本件考案の枚数に相当する。一方、前者のクロスの寸法を設定するところの情報については、引用例1のようにクロス幅全域に亘り設けられるロールにより糊付される場合にあっては一方向だけの糊付によりクロスの糊付が完了するものであり、そうすると、1枚当たりのクロスの寸法の数値は1枚当たりのクロスの糊付長さの数値に対応するものであり、したがって、1枚当たりのクロスの寸法を設定することは、すなわち、1枚当たりのクロスの糊付長さを設定することに他ならないものである。そうすると、引用例1に記載の考案の寸法を設定するところの情報には、糊付長さも、実質上含まれることになる。
また、引用例15には、糊付機において、設定枚数、クロス糊付長さ、トータル長さが印刷されて出てきますと記載されるのであるから、枚数及び糊付長さを糊付機に入力することは周知ないしは公知の事項に過ぎない。
してみれば、糊付機に入力する設定情報として、糊付長さ及び枚数を用いることは当業者の適宜なし得るものである。
次いで、設定情報としての部屋番号を入力することについて検討する。
引用例1においては、前記(A-3)により、糊付装置のスピードは現場の状況に合わせて調整すると記載され、このように、糊付工事現場の情報は、糊付工事を行うに際して必要な情報であることが示され、また、引用例16のインテリア工事店における開発ソフトの例においては、クロスの見積を含む内装工事の見積に際しては、工事現場、区分けするための番号、工事場所、品番、品名等の情報が用いられており、このように、壁紙の工事に関しては、部屋番号に相当する工事場所等の各種の情報が示されるのである。してみれば、入力する設定情報として、工事現場に関する情報である、部屋番号を用いてみることは、当業者の適宜なし得るものである。
そして、当該糊付長さ、枚数、及び部屋番号は、いずれも糊付作業に関係する情報であり、したがって、入力する設定情報としてこれらを組み合わせて入力することは当業者が困難なく普通に採用することに過ぎない。
そうすると、引用例1に記載の考案の自動糊付機において、その入力手段(入力装置)において、少なくとも糊付長さ、枚数、及び部屋番号からなる設定情報を入力するように構成することは当業者が適宜なし得るものであり、そして、引用例1に記載の糊付機は全自動というように、自動で作動することを意図するものであるから、読込手段(読込み装置)が当該設定情報を読込めるように構成すること、更には、演算制御手段(演算指示装置)が読込まれた当該設定情報により自動糊付機の作動を指示できるように構成することは、当然のことであり、そこに、何らの困難性も存しない。
したがって、引用例1に記載の考案において、入力装置に入力される設定情報を少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号からなるものと構成し、読込装置が上記設定情報を読み込むためのものとなし、そして、演算指示装置において、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示できる構成とする程度のことは、当業者のきわめて容易になし得るものである。
相違点3について
表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、入力情報及び実行情報(処理情報)を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
そのうえ、引用例1に記載の考案の糊付機においては、少なくとも寸法と枚数を設定するところの設定情報が入力情報として入力されるものである。
したがって、引用例1に記載の考案において、上記の周知・慣用事項を適用して、設定情報および/または実行情報を表示することは適宜なし得ることに過ぎない。
以上のとおり、引用例1の発明において、上記相違点1、2及び3に関する構成を採択することは、当業者のきわめて容易に想到することができたものであり、そして、その構成を採択することにより、また、これら構成を組み合わせて具備することにより、格別顕著な効果を奏するものでもない。
よって、訂正考案1は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
II-4-4A-2.訂正考案2について
訂正考案2は、訂正考案1の構成に加え、更に、入力装置を、本体装置に設けるものである。
しかし、入力装置を備える機器の分野において、本体から分離し別体とした入力装置に加え、別途、入力装置を、本体装置に設けることは、例えば、引用例10等で示されるように、極く普通のことであるから、糊付機本体と分離して別体とした入力装置に加え、糊付機本体にも入力装置を付加する程度のことは当業者が適宜なし得るものである。
また、糊付機において、入力装置を糊付機本体に取り付けることは周知・慣用の事項に過ぎない(例えば、引用例15、極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、第20及び21頁等を参照)ものであり、分離し別体とした入力装置に加え、従来の糊付機本体の入力装置を糊付機に付加する程度のことは当業者が適宜なし得るものである。
しかも、上記構成を採用することにより、顕著な効果を奏するものであるということもできない。
そして、訂正考案2で引用する訂正考案1については当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、訂正考案2は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
II-4-4A-3.訂正考案3について
訂正考案3は、訂正考案1又は2の構成に加え、糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、および部屋番号の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設けるとするものである。
しかし、上記II-4-4A-1.で説示したとおり、糊付機には、その本体に設定情報を表示する表示装置が設けられており、また、糊付機には、糊付長さ、枚数、及び部屋番号の設定情報が入力されるものである。
そして、表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、入力情報を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
してみれば、糊付機において、その本体に設けられる表示装置で表示する設定情報として、入力情報であるところの少なくとも糊付長さ、枚数、及び部屋番号の情報を、そのまま表示することは、至極当然のこととであり、そのことに、何らの困難性も存しない。
また、表示装置を備える機器の分野において、その表示形式として、液晶を採用することは周知・慣用の事項(必要ならば、引用例6、9、14等を参照)であり、糊付機の本体に設けられた表示装置を液晶形式のものにすることも、当業者の適宜なし得るところに過ぎない。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
そして、訂正考案3で引用する訂正考案1又は2については当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、訂正考案3は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
II-4-4A-4.訂正考案4について
訂正考案4は、訂正考案1、2又は3の構成に加え、糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および糊付済情報であるとするものである。
しかし、II-4-4A-1.で説示したとおり、糊付機本体に表示装置が設けられ、また、糊付機には、糊付長さ、枚数、及び部屋番号の設定情報が入力されるものである。
そして、表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、実行情報(処理情報)を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
してみれば、当該周知・慣用技術に倣い、糊付機本体に設けられた表示装置で、実行情報を表示することは当業者が適宜なし得ることである。この場合、糊付長さ、枚数、及び部屋番号の設定情報が入力されているのであるから、これらの設定情報に対する実行(処理)状況等をただ表示して、訂正考案4の上記構成のようにすることには、何らの困難性もない。
そして、訂正考案4で引用する訂正考案1、2又は3については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
そして、訂正考案4で引用する訂正考案1、2又は3については当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、訂正考案4は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
以上のとおり、訂正考案1?4は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

II-4-4B.訂正拒絶理由2のB
II-4-4B-1.訂正考案1について
訂正考案1と引用例2に記載の考案とを対比する。
引用例2に記載される考案の全自動糊付機は、前記(B-2)により、クロスを糊付けするものである。
まず、引用例2の考案では、全自動糊付機に設けられたコンピュータ方式のボックス体(この項では、以下、「コントロールボックス」という)は、前記(B-5)により、糊付機本体に別部材として設置することができるし、また、糊付機本体から分離して単独で床上に載置されるものである。
そして、引用例2のものは、そのコントロールボックスに、前記(B-6)により、入力手段と表示手段とが設けられている。
ついで、引用例2に記載のコントロールボックスでは、前記(B-3)により、枚数セット等の施工管理までができ、また、自宅で入力したものを現場に持ち込んで使用することも可能なものであるから、そのコントロールボックスの入力手段からは、糊付枚数等の糊付作業の設定に関する情報が入力できるものと解される。
次に、引用例2に記載の考案の糊付機は、全自動であって、自動で作動するので、入力手段により設定に関する情報が入力された後、糊付作業がいずれかの段階まで自動的に遂行されるのであって、これらの糊付機には、何らかの、その情報の読込手段と、その情報を実行するための演算制御手段とが存在するはずである。更に、該糊付機は、全自動であって、電気により作動、運転されるものであるから、入力手段から入力された前記情報は、糊付機に送信され、そして、該情報に基づき糊付機が動作されるものである。
また、引用例2の糊付機は、前記(B-4)により、水平方向に多数のローラを有するものであり、そして、この種の糊付機は、通常、糊付機に水平に軸支されて回転する糊付ローラにクロス(壁紙)を圧接することにより糊付けされるものである〔必要ならば、実願平2-15883号(実開平3-105963号)のマイクロフィルム、実願昭2-47277号(実開平4-6437号)のマイクロフィルム、実願昭63-73714号(実開平1-175900号)のマイクロフィルム、引用例11等を参照〕。
そこで、訂正考案1と、以上の引用例2に記載された考案とを対比する。
引用例2に記載の「入力手段」、「読込手段」、「演算制御手段」、「表示手段」及び「糊付枚数等の糊付作業の設定に関する情報」は、それぞれ、訂正考案1の「入力装置」、「読込み装置」、「演算指示装置」、「表示装置」及び「設定情報」に相当する。
よって、訂正考案1と引用例2に記載の考案とは、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、設定情報を入力する入力装置、該設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作する自動糊付機」である点で、共通する。
しかし、糊付機全体の構造につき、(1)訂正考案1では、入力装置を糊付機本体と分離して別体で設け、また、読込み装置、演算指示装置、及び表示装置を糊付機本体に設けるものであるのに対し、引用例2のものでは、そのことが示されない点(相違点イ)、
設定情報及びその利用につき、(2)訂正考案1では、入力装置に入力される設定情報を少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号からなるものと構成し、読込装置が上記設定情報を読み込むためのものとなし、そして、演算指示装置において、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示できる構成とするのに対し、引用例2のものでは、設定情報を入力する入力装置、該設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置を実質上有するものであるが、その設定情報として、少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号を入力し、当該設定情報を読み込み、そして、読込まれた当該設定情報により自動糊付機の作動を指示することが具体的に示されない点(相違点ロ)、
表示装置につき、(3)訂正考案1では、設定情報および/または実行情報を表示するものとしているのに対し、引用例2のものでは、そのことが具体的に示されない点(相違点ハ)で、両者は相違する。
以下、これらの相違点がきわめて容易に想到できるか否かにつき検討する。
相違点イについて
引用例2のものにおいては、入力手段を含むコントロールボックスは、糊付機本体に対して別部材として構成されるものであるが、その入力手段を含むコントロールボックスは、装置本体に設置するだけでなく、前記(B-3)により、自宅で入力したものを後日現場に持ち込んで使用することができるのであるから、糊付機本体と分離して使用することも可能なものである。このように、引用例2に記載の考案は、その入力手段を含む制御系(コントロールボックス)を別部材として構成し、更に、糊付機本体と分離して設けることが示されるものである。
この外、糊付機の制御系を、その使用態様に応じて、糊付機本体と一体に用いたり、又は、分離して別体に用いたりすることは、引用例4の前記(D-2)で示されるとおり、糊付機の分野で公知である。
そして、情報の入力を容易にするために制御系の一要素である入力手段を装置本体部とは別体で分離して設けることは、機械、機器の分野における周知・慣用の技術に過ぎないものである(必要ならば、引用例5?9を参照)。
したがって、引用例2に記載の考案において、その入力手段を糊付機本体と分離して別体で設け、その結果、読込手段、演算制御手段及び表示手段を糊付機本体に設置し(係る読込手段、演算制御手段及び表示手段の如き制御手段を糊付機本体に設置することは、必要ならば、引用例1、15等を参照のこと)、上記構成のようにすることは、当業者がきわめて容易になし得るものである。
相違点ロについて
そもそも、糊付に際して基本的な情報である糊付長さ、枚数の情報を糊付機において入力することは出願前に公知であり、このことは、本件の明細書の段落0006において、明示される。
また、引用例15には、糊付機において、設定枚数、クロス糊付長さ、トータル長さが印刷されて出てきますと記載されるのであるから、枚数及び糊付長さを糊付機に入力することは周知ないしは公知の事項に過ぎない。
してみれば、糊付機に入力する設定情報として、糊付長さ及び枚数を用いることは当業者の適宜なし得るものである。
次いで、識別情報としての部屋番号を入力することについて検討する。
引用例2においては、前記(B-2)により、糊付装置のスピードは現場の状況に合わせて調整すると記載され、このように、糊付工事現場の情報は、糊付工事を行うに際して必要な情報であることが示され、また、引用例16のインテリア工事店における開発ソフトの例においては、クロスの見積を含む内装工事の見積に際しては、工事現場、区分けするための番号、工事場所、品番、品名等の情報が用いられており、このように、壁紙の工事に関しては、部屋番号に相当する工事場所等の各種の情報が示されるのである。
してみれば、入力する設定情報として、工事現場に関する情報である、部屋番号を用いてみることは、当業者の適宜なし得るものである。
そして、当該糊付長さ、枚数、及び部屋番号はいずれも糊付作業に関係する情報であり、したがって、設定情報としてこれらを組み合わせて入力することは当業者が困難なく普通になし得ることに過ぎない。
そうすると、引用例2に記載の考案の自動糊付機において、その入力手段(入力装置)において、少なくとも糊付長さ、枚数、及び部屋番号からなる設定情報を入力するように構成することは当業者の適宜なし得るものであり、そして、引用例2に記載の糊付機は自動というように、自動で作動することを意図するものであるから、読込手段(読込み装置)が当該設定情報を読込めるように構成すること、更には、演算制御手段(演算指示装置)が読込まれた当該設定情報により自動糊付機の作動を指示できるように構成することは、当然のことであり、そこに、何らの困難性も存しない。
したがって、引用例2に記載の考案において、入力装置に入力される設定情報を少なくとも糊付長さ、枚数、部屋番号からなるものと構成し、読込装置が上記設定情報を読み込むためのものとなし、そして、演算指示装置において、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示できる構成とする程度のことは、当業者のきわめて容易になし得るものである。
相違点ハについて
表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、入力情報及び実行情報(処理情報)を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
そのうえ、引用例2に記載の考案の糊付機においては、少なくとも糊付枚数の設定情報を入力情報として用いるものである。
したがって、引用例2に記載の考案において、上記の周知・慣用事項を適用して、設定情報および/または実行情報を表示することは適宜なし得ることに過ぎない。
以上のとおり、引用例2の発明において、上記相違点イ、ロ及びハに関する構成を採択することは、当業者のきわめて容易に想到することができたものであり、そして、その構成を採択することにより、また、係る構成を組み合わせて具備することにより、顕著な効果を奏するものであるということもできない。
よって、訂正考案1は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
II-4-4B-2.訂正考案2について
訂正考案2は、訂正考案1の構成に加え、更に、入力装置を、本体装置に設けるものである。
しかし、入力装置を備える機器の分野において、本体から分離して別体とした入力装置に加え、別途、入力装置を、本体装置に設けることは、例えば、引用例10等で示されるように、極く普通のことであり、したがって、糊付機において、分離して別体とした入力装置に加え、糊付機本体にも入力装置を設けることは当業者の適宜なし得るものである。。
また、糊付機において、入力装置を糊付機本体に取り付けることは周知・慣用の事項に過ぎない(例えば、引用例15、極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、第20及び21頁等を参照)ものであり、分離し別体とした入力装置に加え、従来の糊付機本体の入力装置を糊付機に付加する程度のことは当業者が適宜なし得るものである。
しかも、上記構成を採用することにより、顕著な効果を奏するものであるということもできない。
そして、訂正考案2が引用する訂正考案1については当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、訂正考案2は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
II-4-4B-3.訂正考案3について
訂正考案3は、訂正考案1又は2の構成に加え、糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、および部屋番号の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設けるとするものである。
しかし、上記II-4-4B-1.で説示したとおり、糊付機には、その本体に設定情報を表示する表示装置が設けられており、また、糊付機には、糊付長さ、枚数、及び部屋番号の設定情報が入力されるものである。
そして、表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、入力情報を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
してみれば、糊付機において、その本体に設けられる表示装置で表示する設定情報として、入力情報であるところの少なくとも糊付長さ、枚数、及び部屋番号の設定情報を、そのまま表示することは、至極当然のこととであり、そのことに、何らの困難性も存しない。
また、表示装置を備える機器の分野において、その表示形式として、液晶を採用することは周知・慣用の事項(必要ならば、引用例6、9、14等を参照)であり、糊付機の本体に設けられた表示装置を液晶形式のものにすることも、当業者の適宜なし得るところに過ぎない。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
そして、訂正考案3が引用する訂正考案1又は2については当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、訂正考案3は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
II-4-4B-4.訂正考案4について
訂正考案4は、訂正考案1、2又は3の構成に加え、糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および糊付済情報であるとするものである。
しかし、II-4-4B-1.で説示したとおり、糊付機本体に表示装置が設けられ、また、糊付機には、糊付長さ、枚数、及び部屋番号の設定情報が入力されるものである。
そして、表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、実行情報(処理情報)を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
してみれば、当該周知・慣用技術に倣い、糊付機本体に設けられた表示装置で、実行情報を表示することは当業者が適宜なし得ることである。この場合、糊付長さ、枚数、及び部屋番号の設定情報が入力されているのであるから、これらの設定情報に対する実行(処理)状況等をただ表示して、訂正考案4の上記構成のようにすることには、何らの困難性もない。
そして、訂正考案4で引用する訂正考案1、2又は3については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
したがって、訂正考案4は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
II-4-5.訂正拒絶理由2の結論
訂正考案1?4は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

II-5.訂正拒絶理由の結論〈訂正請求の結論〉
本件訂正請求のうち、前記訂正事項(d)は、実用新案登録請求の範囲を拡張するものに該当する。
訂正考案1?4は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであって、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものではない。
してみれば、平成13年11月22日付けの訂正請求は、平成5年法律第26号附則第4条第2項において読み替えるものとする旧実用新案法第40条第2項の規定で準用する同法第39条第2及び3項の規定に適合しないので、該訂正は認められない。

III.本件考案
上記II.で記載したとおり、本件の平成13年11月22日付け訂正請求は認められず(なお、平成12年3月16日付け訂正請求は取り下げられている)、したがって、本件請求項1?5に係る考案(以下、必要に応じて、それぞれ、「本件考案1」?「本件考案2」という)は、設定登録時の明細書の実用新案登録請求の範囲に記載される次のとおりのものである。

【請求項1】水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して設け、糊付機本体には、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込または設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および設定情報および/または実行情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作することを特徴とする自動糊付機。
【請求項2】入力装置を糊付機本体にも併設したことを特徴とする請求項1記載の自動糊付機。
【請求項3】糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の自動糊付機。
【請求項4】入力装置は、設定情報を表示する表示装置と、該情報を出力する出力装置を有することを特徴とする請求項1または2記載の自動糊付機。
【請求項5】糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および上記識別情報に対しての糊付済情報であることを特徴とする請求項1、2または3記載の自動糊付機。
そして、請求項1の演算指示装置における「読込または設定情報により」とは、その請求項1の前後の記載からみて明らかなように、「読込まれた設定情報により」と解されるものである。

IV.請求人の求めた審決及び主張
請求人は、登録実用新案第2600952号の請求項1?5に係る考案の登録は、これを無効とする、との審決を求め、証拠方法として下記の書証をもって、以下に示す無効理由により本件請求項1?5に係る考案の登録は無効にされるべきであると主張する。
(証拠方法)
甲第1号証:極東産機株式会社「総合カタログ」昭和61年2月1日、
第12及び13頁(引用例2)
甲第1号証の2:極東産機株式会社「総合カタログ」昭和61年2月1日
、第12?19、24、144、145、238及び239頁
(この内、第14及び15頁部分が引用例3、第18及び
19頁部分が引用例4)
甲第2号証:極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、
第74頁(引用例17)
甲第2号証の2:極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、
第18?23、74、178、190、191、288及び
289頁(この内、第18及び19頁部分が引用例1、第
288及び289頁部分が引用例16)
甲第3号証:シャープ株式会社製「電子手帳PA-9500」取扱説明書
、別冊(引用例5)
甲第4号証:「ヤヨイ総合カタログ 施工具」、第1頁(引用例15)
甲第5号証:実願平4-7365号(実開平6-11865号)の
CD-ROM〔原出願の公開公報〕(引用例18)
甲第6号証:極東産機株式会社「総合カタログ」平成4年6月1日、
第18及び19頁(引用例20)
甲第7号証:実公平8-1014号公報〔原出願の公告公報〕
(引用例19)
甲第8号証:登録異議の決定謄本(写し)
甲第9号証:極東産機株式会社「総合カタログ」昭和63年9月1日、
第18?25、156 、157、172、173、264
及び265頁
甲第10号証:平成13年3月29日、シャープ株式会社知的財産権本部
副本部長小池隆彌による「商品の販売時期等に関する件」
(引用例22)
甲第11号証:「商品説明書 No.2-065」平成2年9月25日、
シャープ株式会社、第1?10頁(引用例23)
甲第12号証:「商品カタログ ハイパー電子システム手帳DB-Z
PA-9500」、1990年10月、シャープ株式会社、
第1?14頁(引用例24)
甲第13号証:平成13年3月21日、相互企画印刷株式会社代表取締役
社長 柳沢良三作成による証明書(引用例21)
参考資料1:特開平3-189900号公報(引用例6)
参考資料2:特開昭60-246467号公報(引用例7)
参考資料3:特開昭64-86698号公報(引用例8)
参考資料4:特開平3-262023号公報(引用例9)
以上の証拠方法の内、甲第1号証の2、甲第2号証の2、甲第9?13号証は、弁駁書(第2回)により、提出されたものである。
(無効理由A)
本件請求項1?5に係る考案は、甲第1?4号証に記載された考案、及び、出願前の周知の技術により、当業者が極めて容易に考案することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
(無効理由B)
本件請求項1及び3の「少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の」における「等の」という語は権利関係を不明瞭にするものであり、当該請求項には、実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものとはいえず、この実用新案登録出願は実用新案法第5条第4項又は5項の規定を満たしていない。
(無効理由C)
本件請求項1の「入力装置を糊付機本体と分離して設け」における、「分離して設け」なる語は原出願の明細書又は図面中には何ら記載されていない。また、本件請求項4は、「入力装置は、設定情報を表示する表示装置と、該情報を出力する出力装置を有する」なる要件を備えたものであるが、このように、入力装置に出力装置を備えたものは、原出願の明細書又は図面中には何ら記載されていない。そうすると、本件考案は、実用新案法第9条で準用する特許法第44条に規定する適法な出願の分割ではなく、出願日の遡及は認められない。したがって、本件請求項1、2及び4に係る考案は、甲第5号証又は甲第6号証の記載に基づいて当業者が極めて容易に考案することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

V.被請求人の求めた審決及び反論
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として下記の書証をもって、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件登録実用新案第2600952号の登録を無効とすることはできないと主張する。
(証拠方法)
乙第1号証:特開平11-323281号公報
乙第2号証:特開平5-25898号公報
更に、被請求人は、答弁書(第2回)において、甲第9号証は審判請求書において提示されていない新たな証拠であるから採用されるべきでなく、また、甲第1号証の2及び甲第2号証の2においても、審判請求書における主張を逸脱した主張については、同様の理由により採用されるべきものではないと主張する。

VI.無効理由通知(職権審理)における無効理由の適否
VI-1.無効理由通知における無効理由の概要
平成14年1月28日の訂正拒絶理由通知を兼ねる無効理由通知における、無効理由は、前記II-4-2.の証拠方法の項で記載した引用例1?24を引用し、下記(1)及び(2)の具体的理由により、本件請求項1?5に係る考案の登録は、無効とすべきであるというものである。
(1)無効理由1
本件請求項に係る考案の出願は、原出願明細書又は図面に記載された考案を新たな実用新案登録出願としたものではなく、したがって、分割要件を満たしておらず、その出願日の遡及はない。その結果、引用例18又は19は、本件出願前に頒布された刊行物に該当することになり、本件請求項1?5に係る考案は、引用例18又は19に記載された考案であって、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、また、引用例18及び19に記載された考案に基づいて当業者が容易に考案することができたものであり、実用新案登録を受けることができない。
(3)無効理由2
本件請求項1?5に係る考案は、引用例1?17に記載された考案に基づいて当業者が容易に考案することができたものであって、実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件請求項1?5に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号、及び、同法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるので、実用新案法第37条第1項第1号に該当し無効とすべきである。

VI-2.無効理由通知における無効理由と、請求人の主張する無効理由との関係
職権審理による無効理由1及び同無効理由2は、請求人の主張する無効理由C及び同無効理由Aに、それぞれ、対応するものである。
まず、該無効理由1は、該無効理由Cにおける無効とすべき請求項が請求項1、2及び4と表示されていたところ、これを、請求項1?5となし、また、無効とすべき理由が実用新案法第3条第2項となっていたものを、実用新案法第3条第1項第3号及び同法第3条第2項となすものである。
次に、該無効理由2は、該無効理由Aにおいて審判請求時に提示されていなかった証拠方法である引用例1、3、4、10?14、16及び21?24を新たに追加するものであり、この内、引用例10?14は職権審理により提示されるものである。
このように、当該無効理由1及び2は、登録実用新案第2600952号の請求項1?5に係る考案の登録を無効とするという、当該無効審判の請求の趣旨の範囲内のものである。

VI-3.無効理由(職権審理)の判断
VI-3-1.証拠方法
引用例1?24の表示方法については、前記II-4-2.の証拠方法の項で記載したとおりであり、また、引用例1?10、12?16、18及び19の具体的な記載は、前記のII-4-3.の証拠方法の記載の項で、記載したとおりである。

VI-3-2.無効理由1の判断
VI-3-2-1.分割要件等について
本件請求項1?5に係る考案の出願は、実願平4-7365号の出願(原出願)を出願公告後に分割して、新たな実用新案登録出願としたものである。
しかし、分割出願が適法なものであるとするためには、分割された出願の考案が、分割直前の原出願の願書に添付された明細書又は図面に記載されているだけでなく、原出願の願書に最初に添付された明細書又は図面にも記載されている必要があり、原出願の明細書における記載要件については上記要件を満たさなければならないものである。
ところが、本件考案に係る次の(1)の点が、原出願の願書に最初に添付された明細書及び図面(引用例18がこれに当たる)に記載されていない。
(1)請求項4における「入力装置は、・・・、該情報を出力する出力装置を有する」とする点
すなわち、入力装置は出力装置を有するとのことは、原出願明細書において、平成7年6月20日の手続補正書(明細書の請求項3及び段落0015の箇所)により記載されるに至ったものであるが、原出願の願書に最初に添付された明細書及び図面には、該入力装置は情報を出力する出力装置を有するということは、具体的に記載されないし、また、それを示唆する記載もない。
そうすると、上記(1)の点については、原出願の願書に最初に添付された明細書及び図面に記載されたものであるとはいえない。
してみれば、本件出願は二以上の考案を包含する実用新案登録出願の一部を新たな実用新案登録出願としたものではないので、実用新案法第9条で準用する特許法第44条第1項の規定を満たさないものであって、その出願日の遡及はなく、したがって、本件出願の出願日は、現実の出願日である平成10年11月13日となるものである。
その結果、平成6年2月15日に出願公開された引用例18及び平成8年1月17日に出願公告された引用例19は、本件出願前に頒布された刊行物に該当することとなる。
VI-3-2-2.本件考案1について
引用例18には、前記(Q-2)により、「水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、
1)設定情報および/または実行情報を表示する液晶表示装置を搭載する。 2)別体として設定情報の入力装置を有し、この入力装置からの設定情報を読込むための読込み装置と、読込まれた設定情報に沿って作動させる演算指示装置とを搭載する。」ことが記載され、前記(Q-4)により、「入力装置としては、まず電子手帳システムが考慮される。電子手帳にて現場名、部屋番号、壁番号、クロス品番、糊付長さ、枚数などを入力し、そのデータを糊付機に通信ケーブルで送信する。糊付時にはそのデータを読み出して糊付けする。」が記載されるのである。
上記記載を総合して、本件考案1の構成に対応して表現すると、引用例18には、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、糊付長さ、枚数、現場名、部屋番号、壁番号、クロス品番などの設定情報を入力する電子手帳(入力装置)を糊付機本体と別体で設け、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報に沿って作動させる演算指示装置、および設定情報および/または実行情報を表示する表示装置を搭載し、電子手帳で入力した設定情報を糊付機本体に通信ケーブルで送信し糊付時にはその設定情報を読み出して糊付けする自動糊付機」である考案が、実質上、記載されているといえる。
そこで、本件考案1と引用例18に記載の考案とを対比する。
引用例18に記載の考案で用いられる電子手帳は、糊付機本体とは通信ケーブルで接続され、糊付装置本体から分け離すことができるものであって、糊付機本体とは分離して設けられるものであるといえる。
そして、引用例18に記載の考案で入力される設定情報は、少なくとも本件考案1における糊付長さ、枚数及び部屋番号等を含むものである。この場合、部屋番号という情報には識別機能があることは明らかなことである。
また、引用例18に記載の考案における、読込装置、演算指示装置、及び表示装置は、糊付機に搭載され、電子手帳(入力装置)のように別体ではないのであるから、これら装置は、糊付機本体に設けられているといえる。
更に、引用例18に記載の考案の糊付機は、電子手帳で入力した設定情報を糊付機に送信し糊付時にはその設定情報を読み出して糊付けするのであるから、本件考案1と同じように、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作するものである。
よって、両者は、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報を入力する入力装置を糊付機本体と分離して設け、糊付機本体には、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および設定情報および/または実行情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作する自動糊付機」であることで一致し、両者には構成上の差異はない。
また、引用例19に記載の考案を本件考案1に対応して表現すると、前記(R-1)及び(R-3)により、引用例19には、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、糊付長さ、枚数、現場名、部屋番号、壁番号、クロス品番などの設定情報を入力する電子手帳(入力装置)を糊付機本体と別体で設け、この電子手帳からの設定情報を読込むための読込み装置、および読込まれた設定情報に沿って自動糊付機を作動させる演算指示装置を搭載し、かつ、前記の設定情報および/または実行情報の表示装置を備えており、そして、電子手帳は本体に接続され、電子手帳で入力した設定情報を糊付機本体に通信ケーブルで送信し糊付時にはその設定情報を読み出して糊付けする自動糊付機」からなる考案が記載されているといえる。
そして、本件考案1と引用例19に記載の考案とを対比すると、上記した理由と同様の理由により、両者は一致するものである。
したがって、本件考案1は、引用例18に記載された考案であり、また、引用例19に記載された考案であって、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
VI-3-2-3.本件考案2について
本件考案2は、本件考案1に、「入力装置を糊付機本体にも併設した」との構成を更に付加するものである。
しかし、引用例19に記載のものにおいては、糊付機本体と分離して入力装置設け、更に、前記(R-5)により、これとは別に、自動糊付機本体に、入力装置を搭載することもできることが示されるものであり、この点で、両者は一致する。
そして、本件考案2で引用する本件考案1の構成については、引用例19に記載の考案もこれを具備するものであることは、上記したとおりである。
したがって、本件考案2は、引用例19に記載された考案であって、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
また、引用例18に記載の考案においては、「入力装置を糊付機本体にも併設した」することが示されず、この点で本件考案2と相違する。
しかし、糊付機の分野において、入力装置を糊付機の本体に設けることは周知・慣用の事項である。
してみれば、引用例18に記載のものにおいて、糊付機本体と分離して設けられる入力装置に加え、糊付機本体にも入力装置を設け、本件考案2の如くすることは当業者がきわめて容易に想到できるものである。
そして、本件考案2で引用する本件考案1の構成については、引用例18に記載の考案もこれを具備するものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案2は、引用例18に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
VI-3-2-4.本件考案3について
本件考案3は、本件考案1又は2に、「糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設ける」との構成を更に付加するものである。
しかし、引用例18及び19に記載の考案において、糊付機本体に設けられた表示装置では設定情報が表示されるものである(VI-3-2-2.)。そして、設定情報として、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号等の情報が糊付機に入力されているのであるから(VI-3-2-2.)、この情報を、糊付機本体の表示装置においてそのまま表示して、上記構成のようにすることは当業者の適宜なし得ることに過ぎない。
また、表示装置において液晶表示装置を用いることは、引用例18に記載のものにおいては前記(Q-2)により、また、引用例19に記載のものにおいて前記(R-2)により、示されるものである。
そして、本件考案3が引用する本件考案1及び2の構成については、引用例18及び19に記載の考案においても具備するものであり、ないしは、引用例18及び19に記載のものに基づいてきわめて容易に考案することができたものであり、これらのことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案3は、引用例18及び19のそれぞれに記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
VI-3-2-5.本件考案4について
本件考案4は、本件考案1又は2に、「入力装置は、設定情報を表示する表示装置と、該情報を出力する出力装置を有する」との構成を更に付加するものである。
しかし、引用例19には、前記(R-4)により、入力装置に設定情報を表示する表示装置を備えること、及び、前記(R-1)により、入力装置に設定情報のプリンター出力装置を備えることが示されるので、引用例19に記載される考案では、上記構成を具備するものである。
そして、本件考案4が引用する本件考案1及び2の構成については、引用例19のものにおいても具備するものであり、これらのことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案4は、引用例19に記載された考案であって、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
また、引用例18に記載の考案では、上記の「入力装置は、設定情報を表示する表示装置と、該情報を出力する出力装置を有する」との構成を具備していない。
しかし、情報処理機器分野において、その入力装置に表示装置と出力装置とを設けることは当該出願時において、周知・慣用の事項(必要ならば、引用例7等を参照)であり、引用例18に記載の考案に対して当該周知・慣用の事項を適用することは当業者の適宜なし得るものである。そして、引用例18に記載の考案においては、その入力装置に設定情報を入力するのであるから、そこに新たに適用された表示装置及び出力装置で当該設定情報を表示ないしは出力するようになすことは当然のことである。
そして、本件考案4が引用する本件考案1及び2の構成については、引用例18のものにおいても具備するものであり、ないしは、引用例18に記載のものに基づいてきわめて容易に考案することができたものであり、これらのことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案4は、引用例18に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
VI-3-2-6.本件考案5について
本件考案5は、本件考案1、2又は3に、「糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および上記識別情報に対する糊付済情報である」との構成を更に付加するものである。
しかし、引用例18及び19に記載の考案において、糊付機本体に設けられた表示装置では実行情報が表示されるものである(VI-3-2-2.)。
そして、引用例18の前記(Q-3)及び引用例19の前記(R-6)には、液晶表示装置又は表示部において、「この操作において、実行情報としての長さと枚数が表示される」と記載される。
そうすると、引用例18及び19に記載された考案において、糊付機本体に設けられた表示装置で表示する実行情報には糊付済長さ、及び糊付済枚数が含まれるものである。
これに加え、引用例18及び19に記載の考案の糊付機は、糊付作業を実施するものであるから、糊付機本体に設けられた表示装置における実行情報として、糊付作業に関連する部屋番号、通し番号等の識別情報に対する糊付済情報を表示することは当業者の適宜なし得るところである。この場合、糊付済長さ、糊付済枚数及び当該糊付済情報はいずれも糊付作業に関連するものであるから、当該糊付済情報を、糊付済長さ、及び糊付済枚数に加えて表示することは、これまた、当業者の適宜なし得るものである。
そして、本件考案5が引用する本件考案1、2及び3の構成については、引用例18及び19に記載の考案においても具備するものであり、ないしは、引用例18及び19に記載のものに基づいてきわめて容易に考案することができたものであり、これらのことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案5は、引用例18及び19のそれぞれに記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
VI-3-2-7.無効理由1の結論
以上のとおりであり、本件出願は分割要件を満たしておらず、したがって出願日の遡及はなく、よって、その本件考案1?5は、引用例18又は19に記載された考案であって、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、又は、引用例18又は19に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

VI-3-3.無効理由2
引用例1?17は、いずれも、本件の原出願の出願日である平成4年1月25日より前に頒布された刊行物に該当する。
すなわち、引用例1?17は、本件の現実の出願日前に頒布された刊行物に該当することはもとより、本件出願が仮に分割要件を満たしその出願がもとの特許出願(原出願)の時にしたものとみなされる場合にあっても、本件出願前に頒布された刊行物に該当するものである。
VI-3-3A.無効理由2のAの判断
VI-3-3A-1.本件考案1について
本件考案1と、引用例1に記載されるものとを対比する。
まず、引用例1に記載される考案の全自動糊付機は、前記(A-2)により、糊付ローラにクロスを圧着させて糊付けするものである。
そして、この種の糊付ローラは、通常、糊付機に水平に軸支されて回転することにより作動するものである〔必要ならば、実願平2-15883号(実開平3-105963号)のマイクロフィルム、実願昭2-47277号(実開平4-6437号)のマイクロフィルム、実願昭63-73714号(実開平1-175900号)のマイクロフィルム、引用例11等を参照〕。
ついで、引用例1の全自動糊付機は、写真2及び3により、糊付機の上面に操作パネルを保持するものであり、前記(A-3)の記載及び写真4により、該操作パネルには表示手段が設けられているばかりでなく、そこに、タッチキー等の部材が設けられるので、入力手段も設けられているものである。そして、この糊付機は、前記(A-3)により、クロスの寸法設定と枚数設定ができるのであるから、該寸法と枚数を設定するところの情報が入力されることは明らかである。
また、該糊付機は、全自動であるので、その情報が入力された後、糊付作業がいずれかの段階まで自動的に遂行されるのであるから、この糊付機には、何らかの、入力された情報の読込手段と、その情報を実行するための演算制御手段とが存在するはずである。
更に、該糊付機は、全自動であって、前記(A-1)及び(A-3)により、電気により作動、運転されるものであるから、入力手段から入力された前記情報は、糊付機に送信され、そして、該情報に基づき糊付機が動作されるものである。
そうすると、引用例1には、本件考案1に関し、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラにクロスを圧接して糊付けする自動糊付機において、少なくとも寸法と枚数を設定するところの情報を入力する入力手段、上記情報を読み込むための読込手段、読込まれた情報により自動糊付機の作動を指示する演算制御手段、および情報を表示する表示手段を設け、入力手段が上記情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作する、自動糊付機」からなる考案が記載されているものと認められる。
そして、引用例1の「クロス」、「寸法と枚数を設定するところの情報」、「入力手段」、「読込手段」、「演算制御手段」、「表示手段」は、本件考案1の「壁紙」、「設定情報」、「入力装置」、「読込み装置」、「演算指示装置」、「表示装置」に、それぞれ、相当する。
してみれば、両者は、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、設定情報を入力する入力装置、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作する自動糊付機」である点で、共通する。
しかし、糊付機全体の構造につき、(1)本件考案1では、入力装置を糊付機本体と分離して設け、また、読込み装置、演算指示装置、及び表示装置を糊付機本体に設けるものであるのに対し、引用例1のものでは、入力手段、読込手段、演算制御手段、及び、表示手段のいずれの部材も、糊付機本体に設けられるものであり、したがって、その入力手段が糊付機本体と分離して設けられていない点(相違点1)、
設定情報及びその利用につき、(2)本件考案1では、入力装置に入力される設定情報を少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等からなるものと構成し、読込装置が上記設定情報を読み込むためのものとなし、そして、演算指示装置において、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示できる構成とするのに対し、引用例1のものでは、設定情報を入力する入力装置、設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置を具備するものであるが、その設定情報として、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報を入力し、当該設定情報を読み込み、そして、読込まれた当該設定情報により自動糊付機の作動を指示することが具体的に示されない点(相違点2)
表示装置につき、(3)本件考案1では、設定情報および/または実行情報を表示するものとしているのに対し、引用例1のものでは、そのことが具体的に示されない点(相違点3)で、両者は相違する。
以下、これらの相違点がきわめて容易に想到できるか否かにつき検討する。
相違点1について
本件考案1において、入力装置を糊付機本体と分離して設けるとしているのは、本件明細書の記載(段落0006?0008)によれば、作業前に情報をまとめて入力しておき、作業現場ではこれを糊付機に呼び出して使うためになされるものである。
しかし、引用例2には、前記(B-6)により、スイッチ部材及び表示部材を設けたボックス体が記載され、このボックス体は、スイッチ部材を保有することから入力手段を含むものと解されるが、それが、前記(B-5)により、糊付機の側端部に別部材として設けられること、更に、単独で床上に載置されることが示され、このように、糊付機の入力手段を含む制御系(ボックス体)が、糊付機本体と分離して設けられることが示されるものである。
そのうえ、引用例2においては、分離して設けられるその制御系の写真の説明として、前記(B-3)により、「現場で寸法を取り、自宅で入力したものを後日現場に持ち込んで使用することも可能」と記載され、当該制御系は、「自宅で入力したものを後日現場に持ち込んで使用する」という本件考案1と同一の目的で用いられるものである。
してみれば、引用例1における糊付装置においても、装置の操作性などを改善しようとして、その入力手段を含む制御系を、糊付機本体と分離して設けることは、当業者が適宜なし得るものであり、その場合、情報の入力を容易にするために入力手段そのものを装置本体部と分離して設けることは機械、機器の分野における、周知・慣用の技術に過ぎないものであり(必要ならば、引用例5?9を参照)、したがって、引用例1に記載の発明において、その入力手段を糊付機本体と分離して設け、上記構成のようにすることは、当業者がきわめて容易になし得るものである。
また、引用例2に記載のボックス体と同じように、引用例3及び4では、入力手段を含むコントロールボックスを糊付機本体と分離して設けることが示され、これら引用例3と4の記載、及び、上記周知・慣用技術からみても、上記の構成はきわめて容易に想到できるものであり、その場合、糊付機の操作性が本件考案のように改善されるということも、当業者がきわめて容易に予測できるものである。
相違点2について
そもそも、糊付に際して基本的な情報である糊付長さ、枚数の情報を糊付機において入力することは出願前に公知であり、このことは、本件の明細書の段落0006において、明示される。
ちなみに、引用例1の考案では、これら情報が具体的に示されないが、そこでは、クロスの寸法と枚数を設定するところの情報は入力するものである。このうち、後者の枚数を設定するところの情報は本件考案1の枚数に相当する。一方、前者のクロスの寸法を設定するところの情報については、引用例1のようにクロス幅全域に亘り設けられるロールにより糊付される場合にあっては一方向だけの糊付によりクロスの糊付が完了するものであり、そうすると、1枚当たりのクロスの寸法の数値は1枚当たりのクロスの糊付長さの数値に対応するものであり、したがって、1枚当たりのクロスの寸法を設定することは、すなわち、1枚当たりのクロスの糊付長さを設定することに他ならないものである。そうすると、引用例1に記載の考案の寸法を設定するところの情報には、糊付長さも、実質上含まれることになる。
また、引用例15には、糊付機において、設定枚数、クロス糊付長さ、トータル長さが印刷されて出てきますと記載されるのであるから、枚数及び糊付長さを糊付機に入力することは周知ないしは公知の事項に過ぎない。
してみれば、糊付機に入力する設定情報として、糊付長さ及び枚数を用いることは当業者の適宜なし得るものである。
次いで、識別情報としての部屋番号または通し番号等を入力することについて検討する。
引用例1においては、前記(A-3)により、糊付装置のスピードは現場の状況に合わせて調整すると記載され、このように、糊付工事現場の情報は、糊付工事を行うに際して必要な情報であることが示され、また、引用例16のインテリア工事店における開発ソフトの例においては、クロスの見積を含む内装工事の見積に際しては、工事現場、区分けするための番号、工事場所、品番、品名等の情報が用いられており、このように、壁紙の工事に関しては、工事現場、区分けするための番号、等の各種の情報が示されるのである。この場合、工事場所は部屋番号に相当し、区分けするための番号は通し番号に相当する。
してみれば、入力する設定情報として、糊付の工事現場に関する情報である、識別情報としての部屋番号または通し番号等を用いてみることは、当業者の適宜なしうるものである。
そして、糊付長さ、枚数、及び識別情報としての部屋番号または通し番号等はいずれも糊付作業に関係する情報であり、したがって、設定情報として、これらの情報を組み合わせて入力することは当業者が困難なく普通に採用することに過ぎない。
そうすると、引用例1に記載の考案の自動糊付機において、その入力手段(入力装置)において、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報を入力するように構成することは当業者の適宜なし得ることであり、そして、引用例1に記載の糊付機は全自動というように、自動で作動することを意図するものであるから、読込手段(読込み装置)が当該設定情報を読込めるように構成すること、更には、演算制御手段(演算指示装置)が読込まれた当該設定情報により自動糊付機の作動を指示できるように構成することは、当然のことであり、そこに、何らの困難性も存しない。
したがって、引用例1に記載の考案において、入力装置に入力される設定情報を少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等からなるものと構成し、読込装置が上記設定情報を読み込むためのものとなし、そして、演算指示装置において、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示できる構成とする程度のことは、当業者のきわめて容易になし得るものである。
相違点3について
表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、入力情報及び実行情報(処理情報)を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
そのうえ、引用例1に記載の考案の糊付機においては、少なくとも、寸法と枚数を設定するところの設定情報が入力情報として入力されているものである。
したがって、引用例1に記載の考案において、上記の周知・慣用事項を適用して、設定情報および/または実行情報を表示することは適宜なし得ることに過ぎない。
以上のとおり、引用例1の発明において、上記相違点1、2及び3に関する構成を採択することは、当業者のきわめて容易に想到することができたものであり、そして、その構成を採択することにより、また、係る構成を組み合わせて具備することにより、顕著な効果を奏するものであるということもできない。
よって、本件考案1は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
VI-3-3A-2.本件考案2について
本件考案2は、本件考案1の構成に加え、更に、入力装置を、糊付機本体にも併設するものである。
しかし、入力装置を備える機器の分野において、本体から分離して設けられた入力装置に加え、別途、入力装置を、本体装置に設けることは、例えば、引用例10等で示されるように、極く普通のことであるから、糊付機本体と分離して設けられた入力装置に加え、糊付機本体にも入力装置を別途併設する程度のことは当業者の適宜なし得るところに過ぎない。
また、糊付機において、入力装置を糊付機本体に取り付けることは周知・慣用の事項に過ぎない〔例えば、引用例15、甲第2号証の2(極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、第20及び21頁)等を参照〕ものであり、入力の便宜を考え、糊付機本体と分離して設けられた入力装置に加え、従来の糊付機本体の入力装置を、糊付機に設ける程度のことは当業者が適宜なし得るものである。
しかも、上記構成を採用することにより、顕著な効果を奏するものであるということもできない。
そして、本件考案2で引用する本件考案1については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案2は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
VI-3-3A-3.本件考案3について
本件考案3は、本件考案1又は2の構成に加え、「糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設ける」とするものである。
しかし、上記VI-3-3A-1.で説示したとおり、糊付機には、その本体に設定情報を表示する表示装置が設けられており、また、糊付機には、糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報が入力されるものである。
そして、表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、入力情報を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
してみれば、糊付機において、その本体に設けられる表示装置で表示する設定情報として、入力情報であるところの少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報を、そのまま表示することは、至極当然のこととであり、そのことに、何らの困難性も存しない。
また、表示装置を備える機器の分野において、その表示形式として、液晶を採用することは周知・慣用の事項(必要ならば、引用例6、9、14等を参照)であり、糊付機の本体に設けられた表示装置を液晶形式のものにすることも、当業者の適宜なし得るところに過ぎない。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
そして、本件考案3で引用する本件考案1又は2については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案3は、引用例1?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
VI-3-3A-4.本件考案4について
本件考案4は、本件考案1又は2に、「入力装置は、設定情報を表示する表示装置と、該情報を出力する出力装置を有する」との構成を更に付加するものである。
しかし、上記VI-3-3A-1.で説示したとおり、糊付機では、そこに設けられる入力装置から設定情報を入力し、糊付機を動作するものである。
そして、情報処理機器分野において、入力装置に表示装置と出力装置とを設けることは、周知・慣用の事項(必要ならば、引用例7等を参照)に過ぎない。
してみれば、情報を扱う上記糊付機に、情報処理分野の当該周知・慣用の技術を適用して、糊付機に設けられた入力装置に、表示装置と出力装置を設けることは当業者の適宜なし得るものである。この場合、上記糊付機においては、その入力装置に設定情報が入力されているのであるから、そこに新たに適用された表示装置及び出力装置で、当該設定情報を、表示ないしは出力するようになすことは当然のことである。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
そして、本件考案4で引用する本件考案1又は2については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案4は、引用例1?17の記載に基づいて当業者が極めて容易に考案できたものである。
VI-3-3A-5.本件考案5について
本件考案5は、本件考案1、2又は3の構成に加え、「糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および上記識別情報に対しての糊付済情報である」という構成を具備するものである。
しかし、VI-3-3A-1.で説示したとおり、糊付機本体に表示装置が設けられ、また、糊付機には、糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報が入力されるものである。
そして、表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、実行情報(処理情報)を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
してみれば、当該周知・慣用技術に倣い、糊付機本体に設けられた表示装置で、実行情報を表示することは当業者が適宜なし得ることである。この場合、糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報が入力されているのであるから、これらの設定情報に対する実行(処理)状況等をただ表示して、本件考案5の上記構成のようにすることには、何らの困難性もない。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
そして、本件考案5で引用する本件考案1、2又は3については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案5は、引用例1?17の記載に基づいて当業者が極めて容易に考案できたものである。
VI-3-3A-6.無効理由2のAの結論
以上のとおりであり、本件考案1?5は、引用例1?17に記載される考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

VI-3-3B.無効理由2のBの判断
VI-3-3B-1.本件考案1について
本件考案1と引用例2に記載の考案とを対比する。
引用例2に記載される考案の全自動糊付機は、前記(B-2)により、クロスを糊付けするものである。
まず、引用例2の考案では、自動糊付機に設けられたコンピュータ方式のボックス体(この項では、以下、「コントロールボックス」という)は、前記(B-5)により、糊付機本体に別部材として設置することができるし、また、糊付機本体から分離して単独で床上に載置されるものである。
そして、引用例2のものは、そのコントロールボックスに、前記(B-6)により、入力手段と表示手段とが設けられている。
ついで、引用例2に記載のコントロールボックスでは、前記(B-3)により、枚数セット等の施工管理までができ、また、自宅で入力したものを現場に持ち込んで使用することも可能なものであるから、そのコントロールボックスの入力手段からは、糊付枚数等の糊付作業の設定に関する情報が入力できるものと解される。
次に、引用例2に記載の考案の糊付機は、全自動であって、自動で作動するので、入力手段により設定に関する情報が入力された後、糊付作業がいずれかの段階まで自動的に遂行されるのであって、これらの糊付機には、何らかの、その情報の読込手段と、その情報を実行するための演算制御手段とが存在するはずである。更に、該糊付機は、全自動であって、電気により作動、運転されるものであるから、入力手段から入力された前記情報は、糊付機に送信され、そして、該情報に基づき糊付機が動作されるものである。
また、引用例2の糊付機は、前記(B-4)により、水平方向に多数のローラを有するものであり、そして、この種の糊付機は、通常、糊付機に水平に軸支されて回転する糊付ローラにクロス(壁紙)を圧接することにより糊付けされるものである〔必要ならば、実願平2-15883号(実開平3-105963号)のマイクロフィルム、実願昭2-47277号(実開平4-6437号)のマイクロフィルム、実願昭63-73714号(実開平1-175900号)のマイクロフィルム、引用例11等を参照〕。
そこで、訂正考案1と、以上の引用例2に記載された考案とを対比する。
引用例2に記載の「入力手段」、「読込手段」、「演算制御手段」、「表示手段」及び「糊付枚数等の糊付作業の設定に関する情報」は、それぞれ、本件考案1の「入力装置」、「読込み装置」、「演算指示装置」、「表示装置」及び「設定情報」に相当する。
よって、本件考案1と引用例2に記載の考案とは、
「水平に軸支されて回転する糊付ローラに壁紙を圧接して糊付けする自動糊付機において、設定情報を入力する入力装置、上記設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置、および情報を表示する表示装置を設け、入力装置が上記設定情報を糊付機に送信し、該情報に基づき糊付機を動作する自動糊付機」である点で、共通する。
しかし、糊付機全体の構造につき、(1)本件考案1では、入力装置を糊付機本体と分離して設け、また、読込み装置、演算指示装置、及び表示装置を糊付機本体に設けるものであるのに対し、引用例2のものでは、そのことが示されない点(相違点イ)、
設定情報及びその利用につき、(2)本件考案1では、入力装置に入力される設定情報を少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等からなるものと構成し、読込装置が上記設定情報を読み込むためのものとなし、そして、演算指示装置において、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示できる構成とするのに対し、引用例2のものでは、設定情報を入力する入力装置、該設定情報を読み込むための読込み装置、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示する演算指示装置を具備するものであるが、その設定情報として、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報を入力し、当該設定情報を読み込み、そして、読込まれた当該設定情報により自動糊付機の作動を指示することが具体的に示されない点(相違点ロ)、
表示装置につき、(3)本件考案1では、設定情報および/または実行情報を表示するものとしているのに対し、引用例2のものでは、そのことが具体的に示されない点(相違点ハ)で、両者は相違する。
以下、これらの相違点がきわめて容易に想到できるか否かにつき検討する。
相違点イについて
引用例2のものにおいては、入力手段を含むコントロールボックスは、糊付機本体に対して別部材として構成されるものであるが、その入力手段を含むコントロールボックスは、装置本体に設置するだけでなく、前記(B-3)により、自宅で入力したものを後日現場に持ち込んで使用することができるのであるから、糊付機本体と分離して使用することも可能なものである。このように、引用例2に記載の考案は、その入力手段を含む制御系(コントロールボックス)を別部材として構成し、糊付機本体と分離して設けることが示されるものである。
この外、糊付機の制御系を、その使用態様に応じて、糊付機本体と一体に用いたり、又は、分離して用いたりすることは、引用例4の前記(D-2)で示されるとおり、糊付機の分野で公知である。
そして、情報の入力を容易にするために制御系の一要素である入力手段を装置本体部と分離して設けることは、機械、機器の分野における周知・慣用の技術に過ぎないものである(必要ならば、引用例5?9を参照)。
したがって、引用例2に記載の考案において、その入力手段を糊付機本体と分離して設け、その結果、読込手段、演算制御手段及び表示手段を糊付機本体に設置し(係る読込手段、演算制御手段及び表示手段の如き制御手段を糊付機本体に設置することは、必要ならば、引用例1、15等を参照のこと)、上記構成のようにすることは、当業者が極めて容易になしうるものである。
相違点ロについて
そもそも、糊付に際して基本的な情報である糊付長さ、枚数の情報を糊付機において入力することは出願前に公知であり、このことは、本件の明細書の段落0006において、明示される。
また、引用例15には、糊付機において、設定枚数、クロス糊付長さ、トータル長さが印刷されて出てきますと記載されるのであるから、枚数及び糊付長さを糊付機に入力することは周知ないしは公知の事項に過ぎない。
してみれば、糊付機に入力する設定情報として、糊付長さ及び枚数を用いることは当業者の適宜なし得るものである。
次いで、識別情報としての部屋番号または通し番号等を入力することについて検討する。
引用例2においては、前記(B-2)により、糊付装置のスピードは現場の状況に合わせて調整すると記載され、このように、糊付工事現場の情報は、糊付工事を行うに際して必要な情報であることが示され、また、引用例16のインテリア工事店における開発ソフトの例においては、クロスの見積を含む内装工事の見積に際しては、工事現場、区分けするための番号、工事場所、品番、品名等の情報が用いられており、このように、壁紙の工事に関しては、工事現場の各種の情報が示されるのである。この場合、工事場所は部屋番号に相当し、区分けするための番号は通し番号に相当する。
してみれば、入力する設定情報として、工事現場に関する情報である、部屋番号または通し番号等を用いてみることは、当業者の適宜なしうるものである。
そして、糊付長さ、枚数、及び識別情報としての部屋番号または通し番号等はいずれも糊付作業に関連する情報であり、したがって、設定情報として、これら情報を組み合わせて入力することは当業者が困難なく普通になし得ることに過ぎない。
そうすると、引用例2に記載の考案の自動糊付機において、その入力手段(入力装置)において、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報を入力するように構成することは当業者の適宜なし得ることであり、そして、引用例1に記載の糊付機は全自動というように、自動で作動することを意図するものであるから、読込手段(読込み装置)が当該設定情報を読込めるように構成すること、更には、演算制御手段(演算指示装置)が読込まれた当該設定情報により自動糊付機の作動を指示できるように構成することは、当然のことであり、そこに、何らの困難性も存しない。
したがって、引用例2に記載の考案において、入力装置に入力される設定情報を少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等からなるものと構成し、読込装置が上記設定情報を読み込むためのものとなし、そして、演算指示装置において、読込まれた設定情報により自動糊付機の作動を指示できる構成とする程度のことは、当業者のきわめて容易になし得るものである。
相違点ハについて
表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、入力情報及び実行情報(処理情報)を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
そのうえ、引用例2に記載の考案の糊付機においては、少なくとも糊付枚数の設定情報を入力情報として用いるものである。
したがって、引用例2に記載の考案において、上記の周知・慣用事項を適用して、設定情報および/または実行情報を表示することは適宜なし得ることに過ぎない。
以上のとおり、引用例2の発明において、上記相違点イ、ロ及びハに関する構成を採択することは、当業者のきわめて容易に想到することができたものであり、そして、その構成を採択することにより、また、係る構成を組み合わせて具備することにより、顕著な効果を奏するものであるということもできない。
よって、本件考案1は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
VI-3-3B-2.本件考案2について
本件考案2は、請求項1の構成に加え、更に、入力装置を、本体装置に設けるものである。
しかし、入力装置を備える機器の分野において、本体から分離して設けられた入力装置に加え、別途、入力装置を、本体装置に設けることは、例えば、引用例10等で示されるように、極く普通のことであるから、糊付機本体と分離して設けられた入力装置に加え、糊付機本体にも別途入力装置を設ける程度のことは当業者の適宜なし得るところに過ぎない。
また、糊付機において、入力装置を糊付機本体に取り付けることは周知・慣用の事項に過ぎない〔例えば、引用例15、甲第2号証の2(極東産機株式会社「総合カタログ」平成2年6月1日、第20及び21頁)等を参照〕ものであり、入力の便宜を考え、糊付機本体と分離して設けられた入力装置に加え、糊付機本体にも入力装置を設ける程度のことは当業者が適宜なし得るものである。
しかも、上記構成を採用することにより、顕著な効果を奏するものであるということもできない。
そして、本件考案2で引用する本件考案1については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案2は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
VI-3-3B-3.本件考案3について
本件考案3は、本件考案1又は2の構成に加え、「糊付機本体において表示する設定情報は、少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報であり、これらの設定情報を表示する液晶表示装置を設ける」とするものである。
しかし、上記VI-3-3B-1.で説示したとおり、糊付機には、その本体に設定情報を表示する表示装置が設けられており、また、糊付機には、糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報が入力されるものである。
そして、表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、入力情報を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
してみれば、糊付機において、その本体に設けられる表示装置で表示する設定情報として、入力情報であるところの少なくとも糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の情報を、そのまま表示することは、至極当然のこととであり、そのことに、何らの困難性も存しない。
また、表示装置を備える機器の分野において、その表示形式として、液晶を採用することは周知・慣用の事項(必要ならば、引用例6、9、14等を参照)であり、糊付機の本体に設けられた表示装置を液晶形式のものにすることも、当業者の適宜なし得るところに過ぎない。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
そして、本件考案3で引用する本件考案1又は2については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案3は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものである。
VI-3-3B-4.本件考案4について
本件考案4は、本件考案1又は2に、「入力装置は、設定情報を表示する表示装置と、該情報を出力する出力装置を有する」との構成を更に付加するものである。
しかし、上記VI-3-3B-1.で説示したとおり、糊付機では、そこに設けられる入力装置から設定情報を入力し、糊付機を動作するものである。
そして、情報処理機器分野において、その入力装置に表示装置と出力装置とを設けることは、周知・慣用の事項(必要ならば、引用例7等を参照)に過ぎない。
してみれば、情報を扱う上記糊付機に、情報処理分野の当該周知・慣用の技術を適用して、糊付機に設けられた入力装置に、表示装置と出力装置を設けることは当業者の適宜なし得るものである。この場合、上記糊付機においては、その入力装置に設定情報が入力されているのであるから、そこに新たに適用された表示装置及び出力装置で、当該設定情報を、表示ないしは出力するようになすことは当然のことである。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
そして、本件考案4で引用する本件考案1又は2については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
したがって、本件考案4に係る考案は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者が極めて容易に考案できたものである。
VI-3-3B-5.本件考案5について
本件考案5は、本件考案1、2又は3の構成に加え、「糊付機本体において表示する実行情報は、少なくとも糊付済長さ、糊付済枚数、および上記識別情報に対しての糊付済情報である」という構成を具備するものである。
しかし、VI-3-3B-1.で説示したとおり、糊付機本体に表示装置が設けられ、また、糊付機には、糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報が入力されるものである。
そして、表示機器ないしは表示装置を保有する機器において、その表示部で、実行情報(処理情報)を表示することは、周知・慣用の事項に過ぎない(必要ならば、引用例12?14等を参照)。
してみれば、当該周知・慣用技術に倣い、糊付機本体に設けられた表示装置で、実行情報を表示することは当業者が適宜なし得ることである。この場合、糊付長さ、枚数、識別情報としての部屋番号または通し番号等の設定情報が入力されているのであるから、これらの設定情報に対する実行(処理)状況等をただ表示して、本件考案5の上記構成のようにすることには、何らの困難性もない。
そして、本件考案5で引用する本件考案1、2又は3については、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、このことは、上記したとおりである。
しかも、上記構成を付加することにより、顕著な効果を奏するということもできない。
したがって、本件考案5は、引用例2、1及び3?17の記載に基づいて当業者が極めて容易に考案できたものである。
VI-3-3B-6.無効理由2のBの結論
以上のとおりであり、本件考案1?5は、引用例2、1及び3?17に記載される考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

VII.まとめ
本件請求項1?5に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号、及び、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、平成5年法法律第26号附則第4条第1項の規定により、なおその効力を有するとされる、改正前の実用新案法第37条第1項第1号に該当する。
したがって、上記IV.の項で記載した請求人の主張については検討するまでもなく、本件請求項1?5に係る考案の実用新案登録は、無効とすべきものである。
また、審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項の規定で更に準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人で負担すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-06-10 
結審通知日 2002-06-13 
審決日 2002-06-27 
出願番号 実願平10-9007 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (B05C)
U 1 112・ 113- Z (B05C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 早野 公惠細井 龍史  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 沼沢 幸雄
石井 良夫
登録日 1999-09-03 
登録番号 実用新案登録第2600952号(U2600952) 
考案の名称 自動糊付機  
代理人 西澤 利夫  
代理人 岡崎 謙秀  
代理人 佐藤 年哉  
代理人 佐藤 正年  
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