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審決分類 審判 全部申し立て   B01D
管理番号 1064505
異議申立番号 異議2000-72553  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2002-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-06-20 
確定日 2002-07-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2602080号「ドレン濾過装置」の請求項1ないし3に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2602080号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.本件手続の経緯
本件実用新案登録第2602080号は、平成5年12月16日に出願され、平成11年10月15日に設定登録されたものである。
これに対し、前田安昭から実用新案登録異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年11月1日に実用新案登録異議意見書および訂正請求書が提出されたため、これに対し審尋がなされ、登録異議申立人から平成13年1月23日付け回答書が提出されたものである。
2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正事項
平成12年11月1日付け訂正請求は、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、次の訂正事項(a)乃至(b-3)のとおりに訂正するものである。
(a)実用新案登録請求の範囲の請求項1の「上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、及び該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口を有するボウルと、上記ドレン流入口から流入したドレン中の異物を、ボウルに貯留したドレンの液面下において濾過するストレーナとを備えている、」を、「上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から該ストレーナ内に流入したドレン中の異物を、該容器に貯留したドレンの液面下において該ストレーナにより濾過する、」と訂正する。
(b-1)本件明細書の【0005】段落中の「上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、及び該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口を有するボウルと、上記ドレン流入口から流入したドレン中の異物を、ボウルに貯留したドレンの液面下において濾過するストレーナとを備えている」(本件公報の第3欄39?43行)を、「上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から該ストレーナ内に流入したドレン中の異物を、該容器に貯留したドレンの液面下において該ストレーナにより濾過する、」と訂正する。
(b-2)本件明細書の【0009】段落中の「上記ドレン濾過装置31は、環状のボデイ34と、該ボデイ34の下方に取付けられたボウル35と、ボデイ34の上方に嵌着された蓋36と、ボウル34内に挿入されたストレーナ37とを備えている。」(本件公報第4欄20?24行)を、「上記ドレン濾過装置31は、環状のボデイ34と、該ボデイ34の下方に取付けられたボウル35と、ボデイ34の上方に嵌着された蓋36と、ボウル34内に挿入されたストレーナ37とを備え、該ボデイ34とボウル35と蓋36とでドレンを貯留する容器を構成している。」と訂正する。
(b-3)本件明細書の【0009】段落中の「・・・ドレン入口に接続される。」と「ボウル35は、・・・」(本件公報第4欄28行)との間に、「上記蓋36は上記ドレン流入口39及びドレン流出口40より上方位置にあるため、上記ボデイ34はドレンの液面(ドレン流出口40の開口位置)より上方に十分大きな空間を有している。」を挿入する。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記(a)の訂正は、請求項1の「ドレン濾過装置」について、「及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え」という構成を追加すると共に、「ボウル」を「容器」と訂正する他、その表現ぶりを明確化したものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当する。また、上記(b-1)、(b-2)および(b-3)の訂正は、上記(a)の訂正に伴って、本件明細書の記載を上記(a)の内容と整合させたものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当する。
そして、上記訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから新規事項の追加に該当せず、また当該訂正によって実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2-3.むすび
以上のとおり、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.訂正後の本件考案
訂正後の請求項1?3に係る考案(以下、「本件訂正考案1?3」という)は、上記訂正を認容することができるから、平成12年11月1日付け訂正請求書に添付した全文訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】上方のドレン入口及び底部のドレン出口を有するケースと、該ケース内に設けたフロートと、該フロートの浮沈により駆動して上記ドレン出口を開閉するドレン弁体とを有するオートドレンの、上記ドレン入口に接続されるドレン濾過装置であって、上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から該ストレーナ内に流入したドレン中の異物を、該容器に貯留したドレンの液面下において該ストレーナにより濾過する、ことを特徴とするドレン濾過装置。
【請求項2】ストレーナに、ドレン中の磁性粉体を吸引するための、磁化された磁性体を設けた、ことを特徴とする請求項1に記載したドレン濾過装置。
【請求項3】磁化された磁性体を、ストレーナの上方に引き出し可能に設けた、ことを特徴とする請求項2に記載したドレン濾過装置。」
4.実用新案登録異議申立てについて
4-1.実用新案登録異議申立ての概要
実用新案登録異議申立人前田安昭は、甲第1?6号証を提出して、本件請求項1?3に係る考案は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1?6号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり取り消されるべきものであると主張している。
4-2.証拠の記載内容
実用新案登録異議申立人が提出した甲第1?6号証には、それぞれ次の事項が記載されている。
(1)甲第1号証:特開平5-118496号公報
(イ-1)「ドレイン容器(22)の底部にフロート弁機構(5)を取り付けると共に、ドレイン容器(22)の上部のドレイン導入口(23a、23b)とドレイン容器(22)内とをフィルタ(24)で区画し、ドレイン容器(22)内に溜まるドレインの水位に応じて昇降するフロート(12)の昇降変位によってドレイン排出口(6)を開閉するドレイン排出装置において、フィルタ(24)によってドレイン導入口(23a、23b)から区画されたドレイン容器(22)内の領域(22a)を放圧通路(23c、23d)で大気領域に接続すると共に、放圧通路(23c、23d)上に開閉弁(25)を介在したことを特徴とするドレイン排出装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)
(イ-2)「本発明は、ドレイン容器の底部にフロート弁機構を取り付けると共に、ドレイン容器の上部の導入口とドレイン容器内とをフィルタで区画し、ドレイン容器内に溜まるドレインの水位に応じて昇降するフロートの昇降変位によってドレイン排出口を開閉するドレイン排出装置に関するものである。」(【0001】段落の【産業上の利用分野】の欄)
(イ-3)「フロート12はドレイン容器2内に溜まるドレインによって上昇するが、その上昇位置が規定以下の場合にはオリフィス11は筒状弁10によって閉じられる。フロート12の上昇位置が規定以上になるとオリフィス11が開き、高圧エアが小径部7bに流入する。オリフィス8aの通過断面積はオリフィス11の通過断面積よりも小さくしてあり、この設定によって小径部7bが高圧になる。この高圧と圧縮ばね9のばね作用によって昇降体8が押し下げられ、排水管体6内の閉塞が解かれる。従って、ドレイン容器2内のドレインがパイロット筒体7の大径部7a上に透設された通口7cから排出管体6内に排出される。ドレイン容器2内のドレインが排出されれば昇降体8が排水管体6を直ちに閉塞し、大きなエア漏れは生じない。」(【0006】段落)
(イ-4)「ドレイン容器22の上部開口には円筒状のフィルタ24が介在されており、ドレイン容器22内の領域22aがフィルタ24によって導入口23a、23bから区画されている。(【0014】段落)
(イ-5)「フィルタ24の下部は有底となっており、この底24aはフロート弁機構5の上面全体を覆っている。従って、フィルタ24を通過したドレインはフロート弁機構5の周囲に落下する。」(【0015】段落)
(イ-6)「以上詳述したように本発明は、フィルタによってドレイン導入口から区画されたドレイン容器内を放圧通路で大気領域に接続すると共に、放圧通路上に開閉弁を介在したので、フィルタによってドレイン導入口から区画されたドレイン容器内が開閉弁を開けば放圧通路を介して大気に連通し、フィルタ上の目詰まりによるドレイン閉塞及びドレイン配管内のドレイン閉塞のいずれをも解消し得るという優れた効果を奏する。」(【0020】段落の【発明の効果】の欄)
(2)甲第2号証:実願昭61-105273号(実開昭63-13213号)のマイクロフィルム
(ロ-1)「液中に混在する鉄粉等の強磁性粉体を吸着除去するためのマグネットと、それよりも下流側において液中に残る異物を除去するフィルタ・エレメントとをケース内に備え、これらによって液中の異物を除去可能にしたマグネット付きフィルタにおいて、上記マグネットに、それに対する強磁性粉体の直接的な吸着を防止するマグネットカバーを着脱自在に被着して、該マグネットカバーの外表面に上記マグネットの磁力で強磁性粉体を吸着可能な吸着域を形成し、少なくとも上記マグネットカバー及びフィルタ・エレメントをケースに対して着脱自在に装着した、ことを特徴とするマグネット付きフィルタ。」(実用新案登録請求の範囲)
(ロ-2)「本考案は、圧油等の液中に鉄粉等の強磁性粉体を含む異物が混在する場合において、それらの異物を除去するためのマグネット付きフィルタに関するものである。」(第2頁4?7行)
(ロ-3)「本考案の目的は、液中の強磁性粉体をマグネットに直接的に吸着させることなく、容易に除去できる状態に捕捉するようにしたマグネット付きフィルタを提供することにある。」(第3頁8?11行)
(ロ-4)「図面は本考案の実施例を示し、第1図は本考案に係るマグネット付きオイルフィルタの第1実施例の組立状態を、第2図はその要部を分解して示している。このマグネット付きオイルフィルタは、入口ポート2と出口ポート3を有するケース1の上端開口部に、締付ボルト5,5によりフィルタカバー4を被着し、このフィルターカバー4と一体に形成して上記ケース1内に挿入した筒状部6の下端に、ケース1内に装着するフィルタ組立体7を取付けている。上記フィルタ組立体7は、フィルタカバー4の筒状部6の下端にOリング12を介して液密に、且つ挿脱自在に嵌着されるアダプタ11と、該アダプタ11の周囲に取付けたマグネット13と、該マグネット13を被覆するようにその周囲に着脱自在に被着した非磁性材からなるマグネットカバー14と、上記アダプタ11にOリング16を介して液密に、且つ着脱自在に装着したフィルタ・エレメント15とを備えている。」(第5頁8行から第6頁10行)
(ロ-5)「上記フィルタ・エレメント15は、筒状をなす濾材の底面が閉鎖された構造を有し、濾材を通してその内部に流入した被処理液を、前記フィルタカバー4における筒状部6内の流路に通じるアダプタ11内に導くように構成している。また、フィルターカバー4の筒状部6は、フィルターカバー4をケース1に装着したときに、該ケース1の出口ポート3と筒状部6内の流路を連通させる通口18を備えている。なお、図中、21はドレン取出部、22はエア・ベント部を示している。」(第7頁4?14行)
(ロ-6)「上記構成を有するオイルフィルタは、鉄粉等の強磁性粉体を含む汚れた圧油等がケース1の入口ポート2から流入してきた場合、液中の強磁性粉体がマグネット13の磁気作用により比較的粗い粒子からマグネットカバー14の外表面の吸着域に吸着され、フィルタ・エレメント15はマグネット13が捕捉できなかった比較的細かい強磁性体の粒子及び非磁性体の粒子のみを濾過すればよい。そのため、フィルタ・エレメント15の寿命を、マグネット13のない場合に比して2?3倍程度延命できる。」(第7頁15行から第8頁7行)
(ロ-7)「第3図及び第4図は、本考案の第2実施例を示している。この第2実施例のマグネット付きオイルフィルタは、第1実施例に比してフィルタ組立体7の構成を部分的に異にするもので、具体的には、フィルターカバー4の筒状部6の下端に嵌着したアダプタ11にマグネット13を設け、該マグネット13を被覆するマグネットカバー24をフィルタ・エレメント15と一体化して、マグネットカバー24を上記アダプタ11に着脱自在に被着している。」(第9頁9?17行)
(3)甲第3号証:実願昭60-199738号(実開昭62-108100号)のマイクロフィルム
(ハ-1)「掃気室のドレンをドレン排出管を経てウエイストタンクに貯留するようにした舶用デイーゼル機関において、上記ドレン排出管にドレン中のスラッジを分離するスラッジ除去タンクを挿入したことを特徴とする舶用デイーゼル機関のドレン処理装置。」(実用新案登録請求の範囲)
(ハ-2)「本考案の一実施例を図面について説明すると、第1図はその正面図、第2図は第1図のスラッジ除去タンクを示す断面図である。上図において、第3図と同一の記号はそれぞれ同図と同一の部材を示し、4はコック1とウエイストタンク3との間の排出管に挿入された本考案に係るスラッジ除去タンクで、左側上端後部にドレン入口5が、右側下端前部にドレン出口6がそれぞれ突設され、上端開口は蓋板7により開閉自在に閉塞され、左側下部にはのぞき窓8が設けられている。9は単数又は複数の平行フィルターで、各フィルター9の上端にはそれぞれ取手10が付設され、各フィルター9はスラッジ除去タンク内面に設けられフィルター9を囲繞する網状スクリーン11に支持されている。」(第3頁13行から第4頁8行)
(ハ-3)「このような構造において、ドレンはドレン入口5からスラッジ除去タンク4内に入り、フィルター9を通ってドレン出口からウエイストタンク3へ排出される。その際、ドレン中のスラッジは、フィルタ9により濾過されて沈殿するので、このスラッジの沈殿状況をのぞき窓8を通して監視する。スラッジの沈殿が多くなったならば、コック1を閉め、蓋板7を開いて、フィルタ9を取り出すことにより、スラッジを除去し、新しいフィルターを挿入する。」(第4頁9?20行)
(ハ-4)「要するに本考案によれば、掃気室のドレンをドレン排出管を経てウエイストタンクに貯留するようにした舶用デイーゼル機関において、上記ドレン排出管にドレン中のスラッジを分離するスラッジ除去タンクを挿入したことにより、排出管の詰まりを防止し、スラッジ含有ドレンを迅速に処理する省力的なデイーゼル機関のドレン処理装置を得るから、本考案は産業上極めて有益なものである。」(第5頁6?14行)
(4)甲第4号証:実願昭62-74695号(実開昭63-185430号)のマイクロフィルム
(ニ-1)「取り外し可能なキャップに組み付けられた金網筒の内部に、磁石を固定して成るガス及びエアー用のストレーナ。」(実用新案登録請求の範囲)
(ニ-2)「本考案は、ガス及びエアー配管中に用いられるストレーナの性能向上に関するものである。」(第1頁8?9行)
(ニ-3)「従来、ガス及びエアーのストレーナは、配管途中に用いられる為の両端ネジ部と掃除口を有した本体(1)と掃除口キャップ(2)、そしてその掃除口キャップ(2)に外側から順に組み込まれた小径孔抜き薄円筒(3)、金網筒(4)、及びガス洩れ防止の為のシーリング(5)で構成されていた。」(第1頁10?16行)
(ニ-4)「本考案はこうした従来のストレーナに対し、飛躍的な性能向上を目的としたもので、その構造を第2図において説明すれば、従来の金網筒(4)の内側に、支持リング(7)を介して磁石(6)を掃除口キャップ(2)に固定したものである。このストレーナは、金網筒(4)を通過してきた微少な鉄粉や、鉄粉のまわりを覆っているスラッジを、その軽さの故に、有効に磁石へ吸着せしめることが出来、非磁性体以外の全てのガスやエアー中の不純物を、ほぼ完ぺきその通過を妨げる効果を有するものである。従って、本考案のストレーナは従来の金網筒(4)に加えて、磁石(6)の鉄粉吸着作用により、2重のフィルター効果を有し、ストレーナとしての性能を飛躍的に向上させることができた。」(第2頁11行から第3頁5行)
(ニ-5)「尚、磁石(6)は第3図に示すようにネジ締結による固定、あるいは第4図に示すように接着剤による固定方法でもよい。」(第3頁5?7行)
(5)甲第5号証:実願昭62-105988号(実開昭64-12612号)のマイクロフィルム
(ホ-1)「フィルタ部材を内装したケース内にオイルを流入させ、このオイルを上記フィルタ部材に通してからケース外部に流出させるオイルストレーナにおいて、上記ケース内のオイル流路中に磁石を設けたことを特徴とするオイルストレ-ナ。」(実用新案登録請求の範囲)
(ホ-2)「本考案は、一般工作機械や産業用小型ボイラー等に使用され、オイル中に含まれている塵埃やスラッジ等を捕獲して除去するオイルストレーナに関する。」(第1頁14?17行)
(ホ-3)「本考案では、ケース内に流入させたオイル中に含まれる塵埃やスラッジ等をフィルタ部材で捕獲すると共に、このフィルタ部材で捕獲困難な微粉末鉄粉を含む磁性体を磁石によって吸着することにより、オイル中における不純物の除去を行うものである。」(第4頁3?8行)
(6)甲第6号証:特公平3-35559号公報
(ヘ-1)「圧力システムに接続されたドレン溜め容器と、該ドレン溜め容器に設けられた液面高さを検出しうるメータおよび排出バルブとを有し、前記排出バルブが前記メータによって自動的に制御され、該排出バルブが前記ドレン溜め容器内の圧力で作動し、該排出バルブが圧力媒体を用いる駆動部を有し、該駆動部には外側により大きな面積を有し気体の充満するチャンバーが形成され、前記排出バルブの閉止圧力を与えるために該チャンバーとドレン溜め容器の常時気体が充満する上部とを接続する導圧ラインが設けられ、前記排出バルブの開放を制御し得る大気開放バルブとしての機能を有する三方弁が前記チャンバーに設けられてなるドレン排出装置であって、(a)前記メータが前記ドレン溜め容器内に取付けられ電気制御信号を発生する複数のセンサからなり、(b)前記複数のセンサは、前記三方弁を制御するためのコントロールボックスに接続されており、(c)前記排出バルブがドレン溜め容器の下部に接続された排出口およびダイヤフラムの弁体を有し、該ダイヤフラムが該排出口の断面積よりも大きな面積を有することを特徴とする圧縮気体または蒸気などの圧力システム用ドレン排出装置。」(特許請求の範囲第1項)
(ヘ-2)「本発明の目的はドレンを溜めておくことができ、溜められたドレンを自動的に、圧力媒体の好ましくないロスがないように排出することができ、しかも常時制御する必要がない圧力システム用のドレン排出装置を提供することにある。」(第3欄37?41行)
(ヘ-3)「そのような目的は、圧力システムに結合されるドレン溜め容器(以下、単に容器という)と、該容器に設けられ時々開かれる排出バルブと、該排出バルブを自動的に制御するために前記容器内の液面高さを検出しうるメータとを有する本発明の装置によって達成される。」(第3欄42行から第4欄3行)
(ヘ-4)「第2図の実施例において、容器1は第1図の実施例と同様な形状を呈している。かかる第2図の実施例と第1図の実施例とのもっとも本質的な相違点は、ダイヤフラムバルブ19が容器1の下部4に設けられておらず、容器1の上部に設けられていることである。それに伴って容器1には昇水管32が設けられている。かかる昇水管32は下端が容器1内に開口されており、上端がダイヤフラムバルブ19に連通する孔33に開口されている。そのばあい、圧力システムの圧力は液面が昇水管32の下端34の開口部よりも下に下がらない限り液体を昇水管32を経てダイヤフラムバルブ19および排出口22へ圧するもので、昇水管32の下端34は容器1内のもっとも低い液位を決め、制限する。」(第8欄37行から第9欄7行)
4-3.当審の判断
(1)本件訂正考案1について
甲第1号証は、「ドレイン排出装置」に関するものであるが、そこには、本件訂正考案1の「容器」に相当する構成について記載がないから、この「容器」に関する甲第2号証について検討すると、甲第2号証には、その第1図に、その考案に係るマグネット付きオイルフィルタの第1実施例の組立状態、第2図には、その要部を分解して示す断面図が記載され、上記(ロ-4)及び(ロ-5)の記載によれば、甲第2号証には、(a)入口ポート2と出口ポート3を有するケース1と、(b)ケース1の出口ポート3と内部の流路を連通させる通口18を備えているケース1内に挿入した筒状部6を有し、ケース1の上端開口部に、締付ボルト5、5により被着したフィルタカバー4と、(c)フィルタカバー4の筒状部6の下端にOリング12を介して液密に、且つ挿脱自在に嵌着されるアダプタ11と、アダプタ11の周囲に取付けたマグネット13と、マグネット13を被覆するようにその周囲に着脱自在に被着した非磁性材からなるマグネットカバー14と、アダプタ11にOリング16を介して液密に、且つ着脱自在に装着したフィルタ・エレメント15とを備えているフィルタ組立体7からなるマグネット付きオイルフィルタが記載されていると云える。そして、そのフィルタ・エレメント15は、筒状をなす濾材の底面が閉鎖された構造を有し、濾材を通してその内部に流入した被処理液を、フィルタカバー4における筒状部6内の流路に通じるアダプタ11内に導くように構成されている。また、第3図および第4図には、その考案の第2実施例が記載されており、上記(ロ-7)の記載によれば、第2実施例のマグネット付きオイルフィルタは、第1実施例と、フィルターカバー4の筒状部6の下端に嵌着したアダプタ11にマグネット13を設け、該マグネット13を被覆するマグネットカバー24をフィルタ・エレメント15と一体化して、マグネットカバー24を上記アダプタ11に着脱自在に被着している点を異にするだけである。
そうすると、甲第2号証の第1実施例及び第2実施例における「ケース1」、「フィルターカバー4」、「入口ポート2」、「出口ポート3」、「フィルタ・エレメント15」及び「フィルタ」は、本件訂正考案1の「容器」、「蓋」、「流入口」、「流出口」、「ストレーナ」および「濾過装置」にそれぞれ相当するから、甲第2号証のこれら記載を、本件訂正考案1の記載ぶりに則って整理すると、甲第2号証には、「ドレン流入口、該ドレン流入口とほぼ同じ高さにあるドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から流入したドレン中の異物を、液面下において該ストレーナにより濾過する、ことを特徴とするドレン濾過装置。」という考案(以下、「甲2考案」という)が記載されていると云える。
そこで、本件訂正考案1と甲2考案とを対比すると、両者は、「ドレン流入口、ドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から流入したドレン中の異物を、液面下において該ストレーナにより濾過するドレン濾過装置」という点で一致し、次の点で相違していると云える。
(イ)本件訂正考案1は、「上方のドレン入口及び底部のドレン出口を有するケースと、該ケース内に設けたフロートと、該フロートの浮沈により駆動して上記ドレン出口を開閉するドレン弁体とを有するオートドレンの、上記ドレン入口に接続されるドレン濾過装置」であるのに対し、甲2考案は、オートドレンに接続されるものか明らかでない点
(ロ)本件訂正考案1では、ドレン流出口がドレン流入口よりも下方に設けられているのに対し、甲2考案では、ドレン流出口がドレン流入口とほぼ同じ高さに設けられている点
(ハ)本件訂正考案1では、ドレンがドレン流入口からストレーナ内に流入されるからドレン中の異物をストレーナの内側で濾過するのに対し、甲2考案では、ドレンがストレーナを通してその内部に流入されるから、ドレン中の異物をストレーナの外側で濾過する点
次に、これら相違点について他の証拠を検討すると、少なくとも上記相違点(ロ)及び(ハ)の点を示唆する証拠はない。
すなわち、甲第3号証には、舶用デイーゼル機関のドレン排出管の配管途中に設けられた「スラッジ除去タンク」が記載されているが、この「スラッジ除去タンク」では、左側上端部にドレン入口を、また右側下端部にドレン出口をそれぞれ設けることにより、基本的にはスラッジ除去タンクの下端底部からドレンを排出するというものであるから、この位置関係では、本件訂正考案1の「ドレン流入口から該ストレーナ内に流入したドレン中の異物を、該容器に貯留したドレンの液面下において該ストレーナにより濾過する」という機能が達成できないことは明らかである。
してみると、甲第3号証は、上記(ロ)及び(ハ)の相違点を何ら示唆するものではない。
また、甲第4号証や甲第5号証には、磁石付の濾過装置が記載されているだけであり、甲第6号証にも、電気制御式の圧力システム用ドレン排出装置が記載されているだけであるから、これら証拠も、上記(ロ)及び(ハ)の相違点を示唆するものではない。
してみると、甲第1?6号証には、本件訂正考案1の少なくとも上記(ロ)及び(ハ)の相違点については、何ら示唆されていないと云えるから、本件訂正考案1は、これら証拠に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
なお、実用新案登録異議申立人は、甲第7号証(実願平3-43084号(実開平4-134409号)のマイクロフィルム)をも提出しているが、この甲第7号証は、一般の産業機械に付随する循環水配管系に用いられる「フィルタ装置」に関するものであり、本件訂正考案1の上記相違点(イ)乃至(ハ)を具体的に示唆しているものではないから、この証拠も上記結論に影響を及ぼすものではない。
(2)本件訂正考案2及び3について
これら考案は、いずれも請求項1を引用してなるものであるから、上記(1)で述べたと同様の理由により、甲第1?6号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
5.むすび
以上のとおり、実用新案登録異議申立の理由及び証拠方法によっては、本件訂正考案1?3についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正考案1?3についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴っう経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、上記結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
ドレン濾過装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上方のドレン入口及び底部のドレン出口を有するケースと、該ケース内に設けたフロートと、該フロートの浮沈により駆動して上記ドレン出口を開閉するドレン弁体とを有するオートドレンの、上記ドレン入口に接続されるドレン濾過装置であって、
上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から該ストレーナ内に流入したドレン中の異物を、該容器に貯留したドレンの液面下において該ストレーナにより濾過する、
ことを特徴とするドレン濾過装置。
【請求項2】 ストレーナに、ドレン中の磁性粉体を吸引するための、磁化された磁性体を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載したドレン濾過装置。
【請求項3】 磁化された磁性体を、ストレーナの上方に引き出し可能に設けた、
ことを特徴とする請求項2に記載したドレン濾過装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、オートドレンのドレン入口に接続するドレン濾過装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は公知のオートドレンを示し、このオートドレン1は、ドレンを貯留するケース2と、ケース2の上端開口に嵌着したドレン入口4を有するカバー3と、底部開口に嵌着したドレン出口6を有するドレンハウジング5とを備え、ドレン出口6にドレン弁座7を構成するシール部材が取付けられている。
上記ドレンハウジング5に嵌着されたチャンバ9は、ピストン10の拡径部によって、ばね12が縮設されたパイロット室11と、連通孔14,・・によってボウル2内に連通する受圧室13とに区画され、ピストン10の先端に、ドレン弁座7を開閉するドレン弁体15が形成されている。上記パイロット室11は、パイロット弁座17によってボウル2内に連通するとともに、ピストン10に設けた流路中のオリフィス19によって外部に連通し、パイロット弁体18は、レバー20とホルダ21とによってフロート22に連結され、フロート22の浮沈によってパイロット弁座17を開閉するものとして構成されている。
また、カバー3とバッフル23の間に、ドレン入口4からボウル2に流入するドレンを濾過するための第1ストレーナ24が、チャンバ9の外周に上記連通孔14,・・を覆う第2ストレーナ25が、取付けられている。
【0003】
上記オートドレン1は、ドレン入口4から流入するドレン中の異物(錆、金属粉、炭化物、空気中の塵埃)が、ストレーナ24と25で濾過されるので、ドレン弁体15がドレン弁座7との間にこれらの異物を噛み込んでシール不良や作動不能になることが防止される。
しかしながら、上記異物は、水や油と混合して、ヘドロ状となってストレーナ24,25に到達することが多く、このヘドロがストレーナで捕捉されて水分が除去されるとさらに粘性が高くなるために、ストレーナに固着して目詰まりを早め、かつストレーナの清掃を困難にしている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案が解決しようとする課題は、濾過物の除去が容易でかつ目詰まりを起こしにくい、オートドレン用のドレン濾過装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本考案のドレン濾過装置は、上方のドレン入口及び底部のドレン出口を有するケースと、該ケース内に設けたフロートと、該フロートの浮沈により駆動して上記ドレン出口を開閉するドレン弁体とを有するオートドレンの、上記ドレン入口に接続されるドレン濾過装置であって、上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から該ストレーナ内に流入したドレン中の異物を、該容器に貯留したドレンの液面下において該ストレーナにより濾過することを特徴としている。
【0006】
また、同様の課題を解決するため、上記ドレン濾過装置のストレーナに、ドレン中の磁性粉体を吸引するための磁化された磁性体を設けたこと、及びこの磁性体を、ストレーナの上方に引き出し可能としたことを特徴としている。
【0007】
【作用】
ドレン流入口から流入したドレンはボウル内に貯留され、このドレンは、該ボウル内にのストレーナによって異物が濾過される。ボウル内のドレンの液位がドレン流出口より高くなると、異物が濾過されたドレンが、ドレン流出口からオートドレンのドレン入口に流出する。
この場合、ストレーナが、ボウルに貯留されたドレンの異物をドレンの液面下において濾過するために、異物は常にストレーナ内のドレン中を漂う状態となってストレーナに固着しにくいので、目詰まりが起こりにくく、かつストレーナからの異物の除去が容易である。
【0008】
また、異物中の磁性粉体は、ストレーナに設けた磁化された磁性体に吸引されて捕捉されるので、ストレーナが目詰まりするまでの時間を長くすることができる。
さらに、ストレーナを取り外すことなく、磁性体のみを上方に出して、吸着した磁性粉体を取り除くことができる。
【0009】
【実施例】
図1は本考案の第1実施例を示し、このドレン濾過装置31は、図2に示すように、後記するオートドレン32に接続される。
上記ドレン濾過装置31は、環状のボディ34と、該ボディ34の下方に取付けられたボウル35と、ボディ34の上方に嵌着された蓋36と、ボウル34内に挿入されたストレーナ37とを備え、該ボディ34とボウル35と蓋36とでドレンを貯留する容器を構成している。
上記ボディ34は、上方のドレン流入口39と、該ドレン流入口より下方に開口するドレン流出口40と、下端のボウルの係合部41,・・とを備え、ドレン流出口40は、適宜の手段によってオートドレン32の後記するドレン入口に接続される。上記蓋36は上記ドレン流入口39及びドレン流出口40より上方位置にあるため、上記ボディ34はドレンの液面(ドレン流出口40の開口位置)より上方に十分大きな空間を有している。ボウル35は、上面開口部の外周に上記係合部41,・・に係合する係合部43,・・を、底部にドレンを排出するための手動操作弁44を備え、ストレーナ37を外部から目視できるように、透明または半透明の素材によって一体に形成されている。
上記ストレーナ37は、ドレン中の主として鉄粉よりなる異物やオイルを濾過するもので、網等の適宜の濾材によって形成され、上方のフランジ37aがドレン流入口39とドレン流出口40との間にあり、該フランジ37aに取出用の把手46が、底に磁石45が取付けられている。
【0010】
図2は上記ドレン濾過装置31が接続されるオートドレンの一例を示し、このオートドレン32は、上記ドレン流出口40に連通するドレン入口51を有するケース50と、該ケース50の上方開口を覆うカバー52とを備え、ケース50の底部開口に嵌着されたドレンハウジング53に、ドレン出口54が形成されている。
上記カバー53内は、受圧体(図示の例ではダイヤフラム)55によって区画された、パイロット弁座57を通ってケース50内に連通するパイロット室56と、ケース50内に直接連通する受圧室58とに区画され、受圧体55と一体に変位するロッド59の先端に、上記ドレン出口54を開閉するドレン弁体60が取付けられており、パイロット室56は、パイロット弁座57より小径のオリフィス61によって外部に連通している。
上記パイロット弁座57を開閉するパイロット弁体63は、中間が枢支されたレバー64の一端に枢着され、該レバー64の他端は、遅延機構65を介してフロート66に連結されている。図中の符号68は、フロート66を囲む円柱状のストレーナで、その一部がドレン入口51と遅延装置65との間を通って、上方に延長している。
【0011】
上記第1実施例は、ドレン流入口39からストレーナ37内に流入したドレンは、ストレーナ37によって異物が濾過されてボウル35に貯留され、ボウル35内のドレンの液位がドレン流出口40よりも高くなると、ドレン入口51からオートドレン32のケース50に流入する。したがって、オートドレン32に流出するドレンは、ストレーナ37によって主な異物が濾過されている。また、ボウル35内のドレンの液位はドレン流出口40の開口位置に保たれるので、ドレン中の異物は、ボウル35内に貯留されたドレンの液面より下において濾過される。
したがって、ストレーナ37によって濾過された異物は、常にストレーナ内のドレン中を漂ってストレーナ37に固着しにくいいので、目詰まりが起こりにくくてかつその除去が容易であり、ストレーナ37の目詰まり程度は、透明または半透明のボウル35を通して外部から目視することができる。
【0012】
また、アキュムレータや鉄製配管またはその他の容器等から排出されるドレン中の異物は、主として鉄錆及び鉄粉であるが、この鉄錆及び鉄粉は、ストレーナ37の底部に設けた磁石45に吸引されるので、ストレーナ37が目詰まりするまでの時間を長くすることができる。
【0013】
オートドレン32のケース50は、ドレン濾過装置31のボウル35に連通しているために、加圧されている。したがって、ケース50内のドレンの液位が低いときは、フロート66が沈下してパイロット弁体63がパイロット弁座57を閉鎖している。このため、受圧室58の空気圧が、オリフィス61によって外部に連通しているパイロット室56の空気圧より高いので、受圧体58及びロッド59が上動して、ドレン弁体60がドレン出口54を閉鎖している。
ケース50内のドレンの液位が高くなってフロート66が浮上すると、パイロット弁体63がパイロット弁座57を開放してパイロット室56にケース50内の加圧空気が供給され、これによって受圧室58とパイロット室56の空気圧がほぼ等しくなるので、ドレンの自重によりドレン弁体60がドレン出口54を開放してドレンが外部に排出され(右側参照)、ケース50内のドレンの液位が低くなると、フロート66が沈下して左側の状態に戻るので、ドレンの排出が終了する。
【0014】
上記遅延装置65は、フロート66の僅かな浮沈によってパイロット弁体63がパイロット弁座57を妄りに開閉しないためのものであるが、その作動は本願考案と関係がないので、説明は省略する。
なお、上記ドレン濾過装置31が接続されるオートドレンは、図示のものに限定されるものではなく、フロートの浮沈によってドレン弁体がドレン出口を開閉するものであればよい。
【0015】
図3は本考案の第2実施例を示し、このドレン濾過装置71は、ストレーナ底部の磁石に代えて、蓋72に、磁性体で形成した棒または板よりなり、ストレーナ73内に伸びる吸引体74と、この吸引体74に磁力を付与する磁石75とが取付けられている。
第2実施例の他の構成は第1実施例と同じであるから、図の主要な同一の箇所に同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
第2実施例は、ドレン中の鉄錆等がストレーナ73内を沈下中に、吸引体74に吸引されるので、広い範囲にわたって鉄錆等を吸引することができ、かつストレーナ73への付着量を少なくすることができる。
また、蓋72を外すと、吸引体74がストレーナ73から取り出せるので、鉄錆等の除去が容易であり、磁石75を取り外すと吸引体74に吸引された鉄錆等が落下するので、これらの除去が一層容易である。
【0016】
図4は本考案の第3実施例を示し、このドレン濾過装置78は、蓋79に、ストレーナ80内に伸びる、非磁性体で形成した管81が取付けられ、先端が閉鎖されたこの管81内に、蓋79を通る紐82が挿入され、その先端に磁石83が取付けられている。
第3実施例は、紐82により磁石83を取り出して、鉄錆等をストレーナ80内に落としてからストレーナを取り出すことにより、これらの処理が一層容易である。
第3実施例の他の構成及び作用は第2実施例と同じであるから、図の主要な同一の箇所に同一に符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0017】
図5は本考案の第4実施例を示し、第4実施例のドレン濾過装置86は、ドレン流出口40に、ボウル35の底部に伸びるドレン排出管87が取付けられている。また、ストレーナ88には、上記ドレン排出管87のための凹みが形成されている。
第4実施例は、ドレン排出管87によって、ボウル35の底部のドレンを排出することができる。
第4実施例の他の構成及び作用は、磁石がない以外は第1実施例と同じであるから、詳細な説明は省略する。
なお、図示を省略しているが、蓋を、第3実施例に示す管81、紐82及び磁石83を有する蓋72として、磁石を設けたものとすることができる。
【0018】
【考案の効果】
本考案は、ボウルに貯留したドレン中の異物を、ドレンの液面下においてストレーナが濾過するために、ストレーナへの異物の粘着力が小さいので、ストレーナが目詰まりしにくく、かつストレーナに詰まった異物の除去が容易である。
【0019】
また、ストレーナに設けた磁化された磁性体が、異物中の磁性粉体を吸引して捕捉するので、磁性粉体によるストレーナの目詰まり時期を遅らせることができる。
さらに、該磁性体をストレーナの上方に引き出すことによって、ストレーナを外すことなく、磁性体が吸引捕捉した磁性粉体を取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
第1実施例の縦断正面図である。
【図2】
使用状態の要部縦断正面図である。
【図3】
第2実施例の縦断正面図である。
【図4】
第3実施例の縦断正面図である。
【図5】
第4実施例の縦断正面図である。
【図6】
公知のオートドレンの縦断正面図である。
【符号の説明】
31,71,78,86 ドレン濾過装置
32 オートドレン
35 ボウル
37,68,73,80,88 ストレーナ
39 ドレン流入口
40 ドレン流出口
45,75,83 磁石
50 ケース
51 ドレン入口
54 ドレン出口
60 ドレン弁体
66 フロート
74 吸引体
82 管
訂正の要旨 訂正の要旨
本件訂正の要旨は、本件実用新案登録第2602080号考案の実用新案登録明細書を平成12年11月1日付け訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、次の訂正事項(a)乃至(b-3)のとおりに訂正するものである。
(a)実用新案登録請求の範囲の請求項1の「上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、及び該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口を有するボウルと、上記ドレン流入口から流入したドレン中の異物を、ボウルに貯留したドレンの液面下において濾過するストレーナとを備えている、」を、「上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から該ストレーナ内に流入したドレン中の異物を、該容器に貯留したドレンの液面下において該ストレーナにより濾過する、」と訂正する。
(b-1)本件明細書の【0005】段落中の「上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、及び該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口を有するボウルと、上記ドレン流入口から流入したドレン中の異物を、ボウルに貯留したドレンの液面下において濾過するストレーナとを備えている」(本件公報の第3欄39?43行)を、「上記ドレン濾過装置が、ドレン流入口、該ドレン流入口よりも下方で上記ドレン入口に連通するドレン流出口、及び該ドレン流入・流出口より上方位置にある蓋を有する容器と、該容器内に挿入されたストレーナを備え、該ドレン流入口から該ストレーナ内に流入したドレン中の異物を、該容器に貯留したドレンの液面下において該ストレーナにより濾過する、」と訂正する。
(b-2)本件明細書の【0009】段落中の「上記ドレン濾過装置31は、環状のボデイ34と、該ボデイ34の下方に取付けられたボウル35と、ボデイ34の上方に嵌着された蓋36と、ボウル34内に挿入されたストレーナ37とを備えている。」(本件公報第4欄20?24行)を、「上記ドレン濾過装置31は、環状のボデイ34と、該ボデイ34の下方に取付けられたボウル35と、ボデイ34の上方に嵌着された蓋36と、ボウル34内に挿入されたストレーナ37とを備え、該ボデイ34とボウル35と蓋36とでドレンを貯留する容器を構成している。」と訂正する。
(b-3)本件明細書の【0009】段落中の「・・・ドレン入口に接続される。」と「ボウル35は、・・・」(本件公報第4欄28行)との間に、「上記蓋36は上記ドレン流入口39及びドレン流出口40より上方位置にあるため、上記ボデイ34はドレンの液面(ドレン流出口40の開口位置)より上方に十分大きな空間を有している。」を挿入する。
異議決定日 2002-06-26 
出願番号 実願平5-72555 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B01D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 西村 和美  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 野田 直人
山田 充
登録日 1999-10-15 
登録番号 実用新案登録第2602080号(U2602080) 
権利者 エスエムシー株式会社
東京都港区新橋1丁目16番4号
考案の名称 ドレン濾過装置  
代理人 林 宏  
代理人 後藤 正彦  
代理人 後藤 正彦  
代理人 林 宏  

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