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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H01H
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H01H
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H01H
管理番号 1067649
審判番号 訂正2002-39144  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2002-06-21 
確定日 2002-09-11 
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2535165号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2535165号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、実用新案登録第2535165号考案(平成2年9月12日実用新案登録出願、平成9年2月13日設定登録)の願書に添付した明細書及び図面を審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおり、すなわち、下記(a)?(c)のとおり訂正することを求めるものである。
(a)明細書の実用新案登録請求の範囲の「請求項1」に「上記ケースの側壁の一部又は全部を下方に延出して延出部を形成し、」とあるのを、「上記ケースの側壁の一部を下方に延出して延出部を形成し、」と訂正する。
(b)[課題を解決するための手段]の項に、「側壁の一部又は全部を下方に延出して」とあるのを、「側壁の一部を下方に延出して」と訂正する。[考案の効果]の項に、「側壁の一部又は全部を延出して」とあるのを、「側壁の一部を下方に延出して」と訂正する。
(c)考案の詳細な説明の「考案が解決しようとする課題」の項の第7行(願書に添付した明細書第4頁第5行、以下同じ。)の「全天候型とそて、」とあるのを「全天候型として、」と訂正する。また、「考案の効果」の項の第3行(第7頁第20行)、第4行(第8頁第1行)及び第5行(第8頁第2行)の「基板等」とあるのを「基台等」と訂正する。

2.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について検討すると、
まず、上記(a)の訂正は、請求項1の「延出部」について、「上記ケースの側壁の一部又は全部を下方に延出して」形成されるものから、「上記ケースの側壁の一部を下方に延出して」形成されるものへと限定したものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、ケースの側壁の一部を下方に延出して延出部を形成することは、願書に添付した明細書又は図面(以下、登録明細書という。)の[実施例]の項中「(16)はケース(1)の長編の側壁の一部をaだけ下方に延出した延出部」という記載並びに第1、2図の記載からすると、この訂正は、登録明細書に記載した事項の範囲内でなされているものであるし、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

次に、上記(b)の訂正は、上記(a)の訂正による実用新案登録請求の範囲の減縮に伴って、対応する考案の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、上記(a)の訂正と同様に、この訂正は、登録明細書に記載した事項の範囲内でなされているものであるし、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

そして、上記(c)の訂正ついて、「全天候型とそて、」とあるのを「全天候型として、」と訂正することは、明らかな誤記の訂正を目的とするものであるし、「基板等」とあるのを「基台等」と訂正することは、登録明細書の「考案が解決しようとする課題」の項中「上記のような近接スイッチは、・・・ケース(1)の下端部と充填した合成樹脂(13)とを基台等(14)に当接させ、基台等(14)に挿通したビスを取付部(4)に螺入して取付けられるが、・・・基台等(14)に雨水が流れたり溜まったりすると、」という記載、[作用]の項中「近接スイッチを基台等に取付けると、基台等にはケース側壁の延出部が当接し、基台等とケース内に充填された合成樹脂との間に空間部が形成される。」という記載、及び[実施例]の項中「上記のように構成した近接スイッチを基台等(14)取付けると、・・・基台等(14)には延出部(16)とスペーサ脚(4a)が当接し、合成樹脂(13)の下面は間隙aを隔てて基台等(14)と対向する。このため、基台等(14)上に雨水が流れたり溜まったりしても・・・浸水するおそれはない。」という記載からみて、「基板等」が「基台等」の誤記であることが明白であるから、誤記の訂正を目的とするものである。そして、この訂正は、登録明細書に記載した事項の範囲内でなされているものであるし、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、訂正前の本件考案については、拒絶理由が通知されることなく登録に至ったものであるところ、訂正後の本件考案についても登録を受けることができないとする理由は発見できないから、訂正後の本件考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案であるということはできない。

3.むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされ、同附則第4条第2項の規定により読み替えて適用される改正前の実用新案法第39条第1項ただし書き並びに同条第2項及び第3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
近接スイッチ
(57)【実用新案登録請求の範囲】
下部に開口部を有するほぼ箱状のケース内に検出コイル、検出回路等を収容し、前記開口部から前記ケース内に合成樹脂を充填してなる近接スイッチにおいて、
上記ケースの側壁の一部を下方に延出して延出部を形成し、前記合成樹脂を前記延出部の基部まで充填したことを特徴とする近接スイッチ。
【考案の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本考案は、底面を基台等に取付けて被検出物の接近、存在、通過等を検出する角形の近接スイッチに係り、さらに詳しくは、全天候用に使用して特に有効な近接スイッチに関するものである。
[従来の技術]
近接スイッチは、通常、検出コイルと、発振回路、検出回路、スイッチング回路、増幅回路等からなる検出回路部と、電源ラインや信号ラインを形成するケーブル等からなり、検出コイルの検出面に被検出物が接近すると発振回路の発振状態が変化するので、この変化を検波回路で検出してスイッチング回路を作動させ、これを増幅回路で増幅し、検出信号としてケーブルから出力するように構成したものである。
第5図(a)は従来の角形近接スイッチの一例を示す従断面図、(b)はその底面図である。図において、(1)は合成樹脂を成型してなり、下方が開口されて開口部(2)が形成された箱状のケースで、下面には側壁の下端部と同一平面上に基台等への取付部(4)が設けられている。(5)は検出コイルで、中心部に貫通穴(7)を有するコア(6)にコイル(8)を装着したものである。(9)はコア(6)の貫通穴(7)に挿入され、コア(6)と一体的に結合された支持部材で、コア(6)と反対側には支持片(10)が突設され、この支持片(10)には発振回路部等(図示せず)が設けられたプリント基板(11)が取付けられている。(12)はプリント基板(11)に接続されたケーブル、(13)はケース(1)内にケース(1)の下端部と同一平面まで充填された合成樹脂である。
上記のような近接スイッチを組立てるには、例えばプリント基板(11)を取付けた支持部材(9)が一体的に結合された発振コイル(5)を開口部(2)からケース(1)内に収容し、ケーブル(12)をプリント基板(11)に接続する。このとき、検出コイル(5)の端面はケース(1)の側壁(検出面)(3)の内壁に密着するか、又は僅かな間隙を隔てて対向している。この状態で溶融状態にある合成樹脂をケース(1)の開口部(2)から、ケース(1)の側壁の下端部と同一平面になるまで注入充填し、固化させる。これにより、検出コイル(5)、プリント基板(11)等はケース(1)内に位置決めされ、かつ封止される。
[考案が解決しようとする課題]
上記のような近接スイッチは、通常第6図に示すようにケース(1)の下端部と充填した合成樹脂(13)とを基台等(14)に当接させ、基台等(14)に挿通したビスを取付部(4)に螺入して取付けられるが、温度変化などにより検出面(3)と合成樹脂(13)との間に隙間を生ずることがある。
このような近接スイッチは全天候型として、例えば屋外の駐車場に設置され、自動車の出入りの検出器として使用されることがあるが、基台等(14)に雨水が流れたり溜ったりすると、雨水(15)が第6図に示すように毛細管現象により検出面(3)に沿って上昇し、検出コイル(5)の端面まで浸入してコイル(6)に悪影響を及ぼし、寿命が短かくなるばかりでなく、検出不良などを生ずることもあった。
本考案は、上記の課題を解決すべくなされたもので、全天候型として使用しても雨水等の影響を受けるおそれのない近接スイッチを得ることを目的としたものである。
[課題を解決するための手段]
本考案に係る近接スイッチは、ケースの側壁の一部を下方に延出して延出部を形成し、この延出部の基部まで合成樹脂を充填したものである。
[作 用]
近接スイッチを基台等に取付けると、基台等にはケース側壁の延出部が当接し、基台等とケース内に充填された合成樹脂との間に空間部が形成される。このため、基板等に雨水等が流れたり溜ったりして毛細管現象により延出部に沿って雨水が上昇しても合成樹脂まで達しないので、検出コイルに悪影響を与えることはない。
[実施例]
第1図(a)は本考案実施例の従断面図、(b)はその底面図である。なお、第5図の従来例と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。(16)はケース(1)の長辺の側壁の一部をaだけ下方に延出した延出部、(4a)は取付部(4)の一部をaだけ下方に突設したスペーサ脚で、合成樹脂(13)はケース(1)の側壁の下端部と同一平面まで、したがって延出部(16)とスペーサ脚(4a)の基部までケース(1)内に充填されている。実施例では上記aを5mmとした。
上記のように構成した近接スイッチを基台等(14)取付けると、第2図に示すように基台等(14)には延出部(16)とスペーサ脚(4a)が当接し、合成樹脂(13)の下面は間隙aを隔てて基台等(14)と対向する。このため、基台等(14)上に雨水が流れたり溜ったりしても検出面(3)から検出コイル(5)に浸水するおそれはない。若し、毛細管現象により延出部(16)に沿って雨水が上昇しても合成樹脂(13)まで達せず、したがって、検出コイル(5)に悪影響を与えることはない。
なお、上記の実施例ではケース(1)の長辺の側壁に支持脚(16)を設けた場合を示したが、短辺の側壁(検出面(3))に支持脚を設けてもよい。
第3図(a),(b)は本考案の他の実施例の従断面図及び底面図である。本実施例はケース(1)の側壁を第1図の実施例の側壁よりそれぞれaだけ長くして延出部(16a)を形成すると共に、取付部(4)の一部をaだけ突出させてスペーサ脚(4a)とし、合成樹脂(13)をケース(1)の側壁の下端部よりaだけ上方まで充填したものである。
上記のように構成した本実施例の雨水等に対する効果は、第1図で示した実施例の場合と同様である。
第4図(a),(b)は本考案のさらに他の実施例の縦断面図及び底面図である。本実施例においては、ケース(1)の長辺側の両側壁を短辺側のよりaだけ長くして延出部(16b)を形成すると共に、取付部(4)の一部をaだけ突出させてスペーサ脚(4a)とし、短辺側の側壁の下端部と同一平面まで合成樹脂(13)を充填したもので、その雨水等に対する効果は、第1図、第2図の実施例の場合と同様である。
なお、長辺側の両側壁を従来と同じ長さに形成し、短片側の側壁の一方(検出面(3))又は両側壁をaだけ長くして延出部を形成してもよい。
[考案の効果]
以上詳記したように、本考案はケースの側壁の一部を下方に延出して延出部を形成し、この延出部の基部まで合成樹脂を充填したので、基台等に取付けたとき基台等と合成樹脂の下面との間に空間部が形成される。このため、基台等に雨水が流れたり溜ったりしてもケース内に浸入するおそれがなく、また、若し延出部に沿って毛細管現象により雨水が上昇してもケース内まで達しないので、検出コイルに悪影響を与えることがない。
また、基台等が鉄等の磁性材料の場合は、検出コイルが基台等に近接しているため磁界の影響を受け易く、このため従来は基台等と近接スイッチとの間にシールド板を介装していたが、本考案は延出部により基台等と検出コイルとの間が離れているので、シールド板を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図、第3図及び第4図は本考案の実施例を示すもので、それぞれ(a)は従断面図、(b)は底面図である。第2図は本考案の作用説明図、第5図(a)は従来の近接スイッチの一例の縦断面図、(b)はその底面図、第6図は従来の近接スイッチの雨水の影響を説明するための模式図である。
(1):ケース、(2):開口部、(3):検出面、(4):取付部、(4a):スペーサ脚、(5):検出コイル、(11):プリント基板、(12):ケーブル、(13):合成樹脂、(14):基台等、(16),(16a),(16b):延出部。
【図面】






訂正の要旨 (a)明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1の「上記ケースの側壁の一部又は全部を下方に延出して延出部を形成し、」とあるのを、「上記ケースの側壁の一部を下方に延出して延出部を形成し、」と訂正する。
(b)明細書の[課題を解決するための手段]の項中、「側壁の一部又は全部を下方に延出して」とあるのを、「側壁の一部を下方に延出して」と訂正する。また、[考案の効果]の項中、「側壁の一部又は全部を延出して」とあるのを、「側壁の一部を下方に延出して」と訂正する。
(c)考案の詳細な説明の「考案が解決しようとする課題」の項の第7行(第4頁第5行)の「全天候型とそて、」とあるのを「全天候型として、」と訂正する。また、「考案の効果」の項の第3行(第7頁第20行)、第4行(第8頁第1行)及び第5行(第8頁第2行)の「基板等」とあるのを「基台等」と訂正する。
審理終結日 2002-08-14 
結審通知日 2002-08-19 
審決日 2002-08-30 
出願番号 実願平2-95041 
審決分類 U 1 41・ 851- Y (H01H)
U 1 41・ 852- Y (H01H)
U 1 41・ 853- Y (H01H)
最終処分 成立    
前審関与審査官 川嵜 健  
特許庁審判長 梅田 幸秀
特許庁審判官 千壽 哲郎
和泉 等
登録日 1997-02-13 
登録番号 実用新案登録第2535165号(U2535165) 
考案の名称 近接スイッチ  
代理人 木村 三朗  
代理人 小林 久夫  
代理人 小林 久夫  
代理人 大村 昇  
代理人 大村 昇  
代理人 佐々木 宗治  
代理人 木村 三朗  
代理人 佐々木 宗治  

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