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審決分類 審判    F21V
管理番号 1067655
審判番号 無効2002-40002  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-04-10 
確定日 2002-10-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第3082651号実用新案「装飾用電球」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3082651号の請求項1乃至9に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件登録第3082651号実用新案の請求項1乃至9に係る考案(平成13年6月6日出願、平成13年10月3日設定登録。以下「本件考案1乃至9」という。)は、登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至9に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
【請求項1】フィラメントに接続された二本のリード線と、前記フィラメントに直流電流を供給する二本のコードとを有する装飾用電球であって、
少なくとも前記リード線と前記コードとの接続部の間に、絶縁性部材が設けられている装飾用電球。
【請求項2】前記絶縁性部材は、絶縁性成形体である請求項1記載の装飾用電球。
【請求項3】前記絶縁性部材は、絶縁性常温硬化型樹脂である請求項1記載の装飾用電球。
【請求項4】前記リード線と前記コードとの接続部の外周に樹脂チューブが挿入され、前記絶縁性部材が前記樹脂チューブ内に充填されている請求項1乃至3の何れかに記載の装飾用電球。
【請求項5】前記樹脂チューブを包含すると共に、一端が前記電球に延在し他端が前記コードに延在するように熱収縮性樹脂チューブが挿入されている請求項4記載の装飾用電球。
【請求項6】前記絶縁性常温硬化型樹脂がシリコーン樹脂である請求項3乃至5の何れかに記載の装飾用電球。
【請求項7】前記樹脂チューブが塩化ビニル樹脂製チューブである請求項5または6記載の装飾用電球。
【請求項8】フィラメントに接続された二本のリード線と、前記フィラメントに直流電流を供給する二本のコードとを有する装飾用電球であって、
前記電球のリード線と前記コードとの二カ所の接続部の位置が、リード線方向にずれている装飾用電球。
【請求項9】前記リード線と前記コードとの一方の接続部が、他方のコードを被覆する絶縁体と並んだ位置に設けられている請求項8記載の装飾用電球。

2.請求人の主張
これに対して、請求人は、本件考案1乃至9についての登録を無効とする、との審決を求め、その理由として、本件考案1乃至9は、本件出願前に頒布された刊行物に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その登録は無効とされるべきであると主張し、証拠方法として甲第1乃至4号証を提出している。

3.被請求人の主張
被請求人に対しては、平成14年5月7日付けで請求書副本の送達通知をし、期間を指定して答弁書の提出を求めたが、被請求人からは、何等の応答もなされなかった。

4.甲各号証

(ア)甲第1号証(実用新案登録第3067726号公報、平成12年4月11日発行)には、「装飾用電球」に関するものであって、次の事項が図面と共に記載されている。
・「図4に示すように、装飾用電球は、通常、一対の電線40と、電線40の末端41に電気的に接続されたバルブ42と、電線40の外側に接着された接着層43と、接着層43にしっかり取り付けられ、電線40を囲んでいる第1の絶縁チューブ44と、第1の絶縁チューブ44にしっかり結合された第2の絶縁チューブ45とを有する。第1の絶縁チューブ44及び第2の絶縁チューブ45を取り付けた後、バルブ42は第1の絶縁チューブ44及び第2の絶縁チューブ45の一方の端部から部分的に突出している。接着層43が第1の絶縁チューブ44をしっかり取り付け、第2の絶縁チューブ45が第1の絶縁チューブ44をしっかり取り付けているために、装飾用電球は防水されている。」(段落【0002】)
・「図1及び図2に示すように、本考案に係る装飾用電球は、一対の電線10と、これら電線10のそれぞれの末端と電気的に接続されるバルブ20と、電線10間の短絡を回避するように電線10にストッパとして機能するべく電線10間にしっかり取り付けられるプラグ30と、組み立てられた電線10とバルブ20とプラグ30との外側をしっかり取り囲む筒状の保護フィルム40と、取り付けられた、つまり組み立てられたバルブ20及び電線10の外側に一体に形成される覆い50とを有する。」(段落【0008】)
・「バルブ20と電線10との間の接続が終わったとき、電線10間の短絡を回避するようにプラグ30が2本の電線10間に差し込まれる。電線10とバルブ20との接続が終わり、プラグ30の差し込みが終わった後、筒状の保護フィルム40が前記構造を囲んで固定するべく加熱される。その後、プラグ30及び保護フィルム40だけでなく、電線10を接続したバルブ20がポリ塩化ビニル(PVC)で満ちた型(図示せず)内に差し込まれる。バルブ20と、バルブ20に接続されている電線10の一部とが型内に埋められているため、型内のPVCが冷却して形作られるとき、バルブ20と電線10の一部とは、プラグ30及び保護フィルム40と一緒にPVCの透明な覆い50の層によってしっかり取り囲まれる。…覆い50内の要素は、覆い50内の要素が保護されるだけでなく、組立て品の全体が防水となるように密封される。」(段落【0010】)
・また、第4図には、バルブ42のフィラメント(符号なし)に二本の末端41が接続され、二本の電線40と前記末端41との接続部(符号なし)の間及びその周囲に接着層43が設けられ、前記接続部の外周に第1の絶縁チューブ44が挿入されており、前記接着層43が前記第1の絶縁チューブ44内に充填されており、前記第1の絶縁チューブ44を包含すると共に、一端が前記バルブ42に延在し他端が前記電線40に延在するように第2の絶縁チューブ45が挿入されている構成の装飾用電球が図示されている。
・さらに、第1乃至3図には、バルブ20のフィラメント(符号なし)に二本の末端(符号なし)が接続され、二本の電線10と前記末端との接続部(符号なし)の間にプラグ30が設けられた構成の装飾用電球が図示されている。
上記の記載事項によれば、甲第1号証には、第4図従来技術に基づく下記考案A、及び、第1乃至3図実施例に基づく下記考案Bが記載されているものと認められる。
[考案A]
フィラメントに接続された二本の末端41と、前記フィラメントに電流を供給する二本の電線40とを有する装飾用電球であって、少なくとも前記末端41と前記電線40との接続部の間に、接着層43が設けられ、前記接続部の外周に第1の絶縁チューブ44が挿入され、前記接着層43が前記第1の絶縁チューブ44内に充填され、前記第1の絶縁チューブ44を包含すると共に、一端が前記電球に延在し他端が前記電線40に延在するように第2の絶縁チューブ45が挿入され、第2の絶縁チューブ45が第1の絶縁チューブ44をしっかり取り付けている装飾用電球。
[考案B]
バルブ20のフィラメントに接続された二本の末端と、前記フィラメントに電流を供給する二本の電線10とを有する装飾用電球であって、少なくとも前記末端と前記電線10との接続部の間にプラグ30が設けられ、組み立てられた電線10とバルブ20とプラグ30との外側をしっかり取り囲んで加熱により固定する筒状の保護フィルムと、それらの外側に一体に形成されるポリ塩化ビニルの覆い50を有する装飾用電球。

(イ)甲第2号証(実公昭57-17474号公報)には、「無口金形管球」に関するものであって、次の事項が図面と共に記載されている。
・「第1図において、1はガラス管であり、このガラス管1に設けられる二本のリード線2,3を封着部4にて封着している。」(2欄4?6行)
・「ガラス管1の封着部4には第2図に示すような絶縁ブロック9が装着されている。この絶縁ブロック1は例えばステアタイトのごときセラミック等の耐熱性絶縁材料よりなり、前記封着部4が嵌合する嵌合部10と、前記固定極側リード線2および可動極側リード線3が貫通する貫通孔11とが設けられている。貫通孔11同士の間隔はリード線間隔に等しい。12は前記ガラス管1の一部および絶縁ブロック9が嵌挿した熱収縮性のプラスチック管であり、ガラス管1と絶縁ブロック9とを連結している。」(2欄14?25行)
・「このプラスチック管12は、第3図に示すような例えばテトロン系のプラスチック直管12aにガラス管の一部および絶縁ブロック9を挿入した後、ある温度で熱処理を行うと、プラスチック直管12aは熱収縮によって、ガラス管1および絶縁ブロック9に密着し、ガラス管1に対し、絶縁ブロック9が固定される。なお、絶縁ブロック9より外部に導出された固定極側リード線2および可動極側リード線3の各端部にはそれぞれシリコン等の絶縁材料で被覆されたリード線13,14が接合されており、両者の直接的な短絡が鼓止されている。」(2欄26?36行)
・「上記構成から明らかなように、ガラス管1の封着部4は絶縁ブロック9により保護された構造となっているため、外部からの衝撃やリード線13,14の折曲げや、引っ張りによってもクラックが発生しにくい。また、プラスチック管12によってガラス管1と絶縁ブロック9との固定が行なわれ、組立てが簡単であるとともにこのプラスチック管12によっても封着部4が外部衝撃から保護される。」(2欄37行?3欄8行)
・「なお、このように本考案はサーマルプロテクタに限ることなく、一般の管球においても同様の効果を呈するものである。」(4欄6?8行)
・また、第1図には、ガラス管1を装着した絶縁ブロック9の下端外方で、リード線2,3とリード線13,14とがそれぞれ接合され、そのガラス管1の一部、絶縁ブロック9の側面及びリード線13,14の一部を熱収縮性のプラスチック管12により被覆した構成が図示されている。

(ウ)甲第3号証(大阪市立工業研究所プラスチック読本編集委員会,プラスチック技術協会共編『プラスチック読本改訂第9版』p.95及びp.364?367、(株)ブラスチックス・エージ、1974年2月10日発行)には、次の事項が記載されている。
・「3.3 シリコーン樹脂
有機溶剤溶液としてワニス状で用いられ,処理,成形後に熱硬化を行なうのが普通であり,常温硬化性のものも販売されている.電気絶縁性にすぐれ…H種絶縁用…として用いられている.」(p.95左欄6?11行)
・「シリコーン系接着剤も縮合型の接着剤であり,空気中の湿気によって室温で硬化し,耐水性や耐熱性を要求する分野に使用される.」(p.366右欄6?8行)

(エ)甲第4号証〔実願昭63-119850号(実開平2-42310号)のマイクロフィルム〕には、「両口金型ランプ用反射鏡」に関するものであって、次の事項が図面と共に記載されている。
・「リード線28aの露出部と電気導入線16の露出部との間で放電を防ぐ必要もあり、このため、第9図に示す反射鏡においてはリード線28a、電気導入線16の露出部に長短差を設け隔離配置している。」(明細書第6頁3?7行)
・また、第9図には、ハロゲンランプ10を反射鏡20に装着したものであって、リード線28aと電気導入線16とが互いに平行に配置され、リード線28aとコード(符号なし)との接続部、及び、電気導入線16とコード(符号なし)との接続部を有しており、前記二カ所の接続部の位置がリード線方向にずれている構成、及び、リード線28aとコード(符号なし)との一方の接続部が、他方の接続部のコード(符号なし)を被覆する絶縁体に対峙している構成が図示されている。

5.対比・判断

(1)本件考案1について
本件考案1と上記考案Aとを比較すると、考案Aにおける「末端41」が本件考案1における「リード線」に相当し、以下同様に、「電線40」が「コード」に、「接着層43」が「絶縁性部材」に、それぞれ相当している。
そうすると、両者は、
「フィラメントに接続された二本のリード線と、前記フィラメントに電流を供給する二本のコードとを有する装飾用電球であって、
少なくとも前記リード線と前記コードとの接続部の間に、絶縁性部材が設けられている装飾用電球」
である点で一致し、
フィラメントに供給される電流に関し、本件考案1が「直流電流」としたのに対し、考案Aでは、電流の種類が明確にされていない点で相違する。
しかしながら、一般に、電球に対する供給電流としては、直流電流と交流電流の双方が想定されるところであり、その何れを採用するかは当業者が必要に応じて適宜選定し得る事項であるから、考案Aにおける供給電流を直流電流とすることも任意である。
そして、本件考案1により奏される効果は、考案Aから予測される範囲のものである。
したがって、本件考案1は、甲第1号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(2)本件考案2について
本件考案2は、本件考案1において、「絶縁性部材は、絶縁性成形体である」とする構成をさらに限定したものである。
しかしながら、上記考案Bには、末端(「リード線」に相当。)と電線10(「コード」に相当。)との接続部の間にプラグ30(「絶縁性成形体」に相当。)を設ける構成が具備されている以上、考案Aにおいて、リード線とコードとの接続部の間の絶縁性部材として、絶縁性成形体を採用することは、当業者がきわめて容易になし得るところである。
したがって、上記(1)での検討内容を踏まえれば、本件考案2も、甲第1号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(3)本件考案3について
本件考案3は、本件考案1において、「絶縁性部材は、絶縁性常温硬化型樹脂である」点をさらに限定したものである。
しかしながら、甲第3号証に見られるように、シリコーン樹脂系接着剤が常温硬化性のものとして、絶縁用に採用されていることは良く知られているところであるから、考案Aにおいて、絶縁性部材を絶縁性常温硬化型樹脂とすることも任意である。
したがって、上記(1)での検討内容を踏まえれば、本件考案3は、甲第1及び3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(4)本件考案4について
本件考案4は、本件考案1乃至3の何れかにおいて、「リード線とコードとの接続部の外周に樹脂チューブが挿入され、絶縁性部材が前記樹脂チューブ内に充填されている」構成をさらに限定したものである。
しかしながら、上記限定された構成は、「接続部の外周に第1の絶縁チューブ44(「樹脂チューブ」に相当。)が挿入され、接着層43(「絶縁性部材」に相当。)が前記第1の絶縁チューブ44内に充填され」る構成として、既に考案Aが具備しているものである。
したがって、上記(1)乃至(3)での検討内容を踏まえれば、本件考案4も、甲第1及び3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(5)本件考案5について
本件考案5は、本件考案4において、「樹脂チューブを包含すると共に、一端が電球に延在し他端がコードに延在するように熱収縮性樹脂チューブが挿入されている」構成をさらに限定したものである。
ところで、考案Aは、「第1の絶縁チューブ44(「樹脂チューブ」に相当。)を包含すると共に、一端が電球に延在し他端が電線40(「コード」に相当。)に延在するように第2の絶縁チューブ45が挿入され、第2の絶縁チューブ45が第1の絶縁チューブ44をしっかり取り付けている」構成を具備するものである。
そして、考案Bには、「外側をしっかり取り囲んで加熱により固定する筒状の保護フィルム(「熱収縮性樹脂チューブ」に相当。)」が使用されており、また、甲第2号証には、一端がガラス管1(「電球」に相当。)に延在し他端がリード線13,14(「コード」に相当。)に延在するように熱収縮性のプラスチック管(「熱収縮性樹脂チューブ」に相当。)を用いて固定及び保護する構成が示されているように、固定及び保護のために熱収縮性樹脂チューブを使用することは、電球の分野における周知慣用の技術であるといえる。
そうすると、考案Aにおいて、「第2の絶縁チューブ45」を、熱収縮性樹脂チューブとして固定及び保護を図ることは、当業者がきわめて容易に想到し得るところである。
したがって、上記(4)での検討内容を踏まえれば、本件考案5は、甲第1乃至3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(6)本件考案6について
本件考案6は、本件考案3乃至5の何れかにおいて、「絶縁性常温硬化型樹脂がシリコーン樹脂である」点をさらに限定したものである。
しかしながら、甲第3号証に見られるように、シリコーン樹脂系接着剤が常温硬化性のものとして、絶縁用に採用されていることは良く知られているところであるから、考案Aにおいて、絶縁性部材を絶縁性常温硬化型のシリコーン樹脂とすることも任意である。
したがって、上記(3)乃至(5)での検討内容を踏まえれば、本件考案6も、甲第1乃至3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(7)本件考案7について
本件考案7は、本件考案5又は6において、「樹脂チューブが塩化ビニル樹脂製チューブである」点をさらに限定したものである。
しかしながら、塩化ビニルは、樹脂材料として、ごく普通に使用されている物質であるから、考案Aにおける「第1の絶縁チューブ44(「樹脂チューブ」に相当。)」を、「塩化ビニル樹脂製チューブ」とすることも任意である。
したがって、上記(5)又は(6)での検討内容を踏まえれば、本件考案7も、甲第1乃至3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(8)本件考案8について
本件考案8と上記考案Aとを比較すると、考案Aにおける「末端41」及び「電線40」が、本件考案8における「リード線」及び「コード」に、それぞれ相当している。
そうすると、両者は、
「フィラメントに接続された二本のリード線と、前記フィラメントに電流を供給する二本のコードとを有する装飾用電球であって、
前記電球のリード線と前記コードとの二カ所の接続部の位置が(存在する)装飾用電球」
である点で一致し、
・フィラメントに供給される電流に関し、本件考案8が「直流電流」としたのに対し、考案Aでは、電流の種類が明確にされていない点(以下、「相違点a」という。)、
・上記二カ所の接続部に関し、本件考案8が、その「位置がリード線方向にずれている」としたのに対し、考案Aでは、そのような位置ずれが生じていない点(以下、「相違点b」という。)、
で相違する。
しかしながら、相違点aについては、上記(1)で既に検討したとおり、「直流電流」とすることは当業者が任意に選定し得ることである。
また、相違点bについては、甲第4号証に、リード線とコードとの接続部と、電気導入線(「リード線」に相当。)とコードとの接続部との間の放電を防止するために、前記二カ所の接続部の位置がリード線方向にずれている構成が開示されているところであるから、考案Aにおいて、二カ所の接続部の間の絶縁性を高めるために、該接続部の位置をリード線方向にずらすことは当業者がきわめて容易に想到し得ることである。
したがって、本件考案8は、甲第1及び4号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(9)本件考案9について
本件考案9は、本件考案8において、「リード線とコードとの一方の接続部が、他方のコードを被覆する絶縁体と並んだ位置に設けられている」構成をさらに限定したものである。
しかしながら、上記限定された構成は、甲第4号証に、リード線28aとコード(符号なし)との一方の接続部が、他方の接続部のコード(符号なし)を被覆する絶縁体に対峙している構成として開示されているところである。
したがって、上記(8)での検討内容を踏まえれば、本件考案9も、甲第1及び4号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

6.むすび
以上のとおりであって、本件考案1乃至9についての登録は、いずれも、実用新案法第3条の規定に違反してされたものであり、同法第37条第1項の規定により、これを無効にすべきものとする。
また、審判費用については、実用新案法第41条の規定により準用する特許法第169条第2項の規定によりさらに準用する民事訴訟法第61条の規定を適用する。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-08-22 
結審通知日 2002-08-27 
審決日 2002-09-09 
出願番号 実願2001-3646(U2001-3646) 
審決分類 U 1 111・ 121- Z (F21V)
最終処分 成立    
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 平上 悦司
門前 浩一
登録日 2001-10-03 
登録番号 実用新案登録第3082651号(U3082651) 
考案の名称 装飾用電球  
代理人 清水 千春  
代理人 尾股 行雄  
代理人 清水 千春  
代理人 清水 千春  
代理人 尾股 行雄  
代理人 尾股 行雄  

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