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審決分類 審判 全部無効 1項2号公然実施 無効としない B29C
審判 全部無効 2項進歩性 無効としない B29C
管理番号 1067657
審判番号 審判1999-35603  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-10-27 
確定日 2001-03-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第2149899号実用新案「樹脂成形機」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続きの経緯・本件登録実用新案
本件登録第2149899号実用新案は、実願平2-56792号として平成2年5月29日に出願され、平成5年11月22日付手続補正書(以下、単に「補正書」という。)の採用を経て、実公平6-24178号として平成6年6月29日に出願公告された後、平成10年7月17日に設定登録されたものであり、その考案(以下、「本件考案」という。)は、出願公告された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「樹脂成形機の長手方向および幅方向に延びる軌道に沿って成形品取出チャック部を往復運動させる成形品取出装置が当該樹脂成形機の固定金型ホルダに搭載された樹脂成形機において、該樹脂成形機の前記長手方向の中心軸線より前記幅方向の一方側と他方側から選択されたいずれかに変位し、かつ前記固定金型ホルダの金型取付面より射出装置側に偏った位置に設定して電動サーボモータ用ドライバーボックスが前記成形品取出装置に取付けられていることを特徴とする樹脂成形機。」

2.請求人の主張
これに対し、請求人は、甲第1号証(土手 康彦他1名編著「ブラシレスサーボモータの基礎と応用」、総合電子出版社(昭和62年3月30日第2版発行)、104頁)、甲第2号証(株式会社スター精機作成の「射出成形機用取出機「TW-BM Series」カタログ」)、甲第3号証(同「横走行型自動取出機取扱説明書TW-3000BM」)、甲第4号証(同「取出機組立て手順TW-3000BM」)、甲第5号証(同「TW-3000BM仕様取出機用制御ボックスSTEC-311Mc取扱説明書」)、甲第6号証(日本ポリケム株式会社研究開発部取締役部長・服部 祥三(以下、単に「服部」と記す。)による平成11年10月21日付証明書)、甲第7号証(上記服部が取締役の一人であることを示す日本ポリケム株式会社の法人登記簿謄本)、甲第8号証(株式会社スター精機作成の「三菱油化(株)四日市事業所殿向TW-3000BM取扱説明書」抜粋)、甲第9号証の1?4(三菱油化(株)四日市事業所(平成2年3月27日当時。現在、日本ポリケム株式会社)に設置されたTW-3000BMの写真。平成12年5月31日撮影、撮影者:株式会社スター精機 横田 尚視)、甲第10号証(「プラスチックス」、Vol.41,No3、工業調査会(平成2(=1990)年3月1日発行)、株式会社スター精機の広告(=資料請求番号 0141)頁)、甲第11号証(株式会社スター精機作製の「取出機用制御ボックスSTEC-311M取扱説明書」抜粋)、甲第12号証(同「取出機用制御ボックスSTEC-311Mc取扱説明書」抜粋)、甲第13号証(前記平成11年10月21日付証明書を作成する際の状況についての前記服部の供述書)、甲第14号証(機械手配書 レポート)を提出し(以下、甲第m号証を「甲m」のように略記する。)、
1)本件考案は、甲1?14により本件実用新案登録出願前に日本国内において公然実施されたことの明らかな考案と同一か、又は該考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第1項(第2号)又は第2項の規定に違反してされたものであり(以下、「無効理由1」という。)、
2)認容された前記補正書による補正は、出願当初明細書の要旨を変更するものである結果、本件考案の出願日は、準用する特許法第40条(昭和45年法)の規定により該手続補正書提出の平成5年11月22日まで繰り下がることとなり、そうすると、本件考案は、その実用新案公開公報(実開平4-15516号公報)に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである(以下、「無効理由2」という。)、
と主張する。

3.被請求人の主張
一方、被請求人は、乙第1号証(NTT大阪06地域の市内局番4ケタ化案内配布チラシ)、乙第2号証の1(甲8の抜粋頁)、乙第2号証の2(甲5の抜粋頁)、乙第2号証の3(甲11の抜粋頁)、乙第3号証(甲8の「制御ボックス STEC311M」の取扱説明書の抜粋頁)、乙第4号証の1(甲11の1頁「1.ご使用の前に」の抜粋頁)、乙第4号証の2(甲8の1頁「1.ご使用の前に」の抜粋頁)を提出し(以下、乙第n号証を「乙n」のように略記する。)、
請求人の主張する理由及び提出された証拠のいずれによっても、本件実用新案登録を無効とすることはできない、
と主張する。

4.当審の判断
4の1.無効理由1について
A.請求人の主張
請求人の最終的主張は、下記1)?3)に帰着する。
1)主として甲2及び甲10に示されるとおり、成型品取出機「TWS-2000BM」及び「TW-3000BM」は、本件考案の出願日前に公然実施されていた。
2)主として甲5及び甲8に示されるとおり、成型品取出機「TW-3000BM」に搭載される「制御ボックス STEC-311M(c)」は、「制御ボックス」(本件考案における「電動サーボモータ用ドライバーボックス1」)と「操作ボックス」(同「制御ボックス1A」)とを当初から別体とする構成であり、その「制御ボックス」を床置き式としていない。
なお、主に甲2及び甲11から明らかなとおり、成型品取出機「TWS-2000BM」に搭載される「制御ボックス STEC-311M(c)」は、その「制御ボックス」を床置き式としている。
3)甲6、甲9の1?4、甲13及び甲14に主として示されているとおり、上記成型品取出機「TW-3000BM」は、本件考案の出願日前に三菱油化(株)(当時)四日市事業所(以下、「油化四日市」という。)に納入され、それに付随する「制御ボックス」は、本件考案と同様、「走行レールの射出ユニット側に固定されたステップの金型側端部に固定された構造」であった。
4)したがって、本件考案は、該成型品取出機「TW-3000BM」からその出願日前に公然実施された考案であり、あるいは、該「TW-3000BM」から当業者がきわめて容易に考案することができたものである。
B.当審の判断
1.1)について
甲2のカタログには、「STAR ACT TW-BM Series?超大型成形機の生産効率FA化をリードする最新鋭超大型自動取出機?」との表題下、「TW-3000BM(対象射出成形機2200?5000ton)」、「TW(S)-2000BM(同1600?2200ton)」が並列的に記載され、そのオプションリスト掲載頁の右下には「900320」との表記があるところ、通常、この種表記は左より2桁毎に順次、カタログの西暦表記での発行年、月、日を示すから、該カタログ自体の頒布日は、1990年3月20日と推認される。
また、本件考案の出願日(=1990年5月29日)前頒布された事実の明らかな甲10の前記製品PR頁には、甲2と同様、「超大型成形機の生産効率を大幅にリードする最新鋭機」として、TW-3000BM、TW-2000BMが紹介されている。
したがって、成型品取出機「TW(S)-2000BM」及び「TW-3000BM」は、本件考案の出願日前に公然実施されていた、との請求人の主張は、是認することができる。
2.2)について
まず、甲5については、それ自体の頒布日が不明であり、そこに記載のTW-3000BM仕様取出機用制御ボックス「STEC-311Mc」が本件考案の出願日前に確かに存在したものと認めるに足る根拠はない。
そうすると、甲5は、その内容如何にかかわらず、本件考案の新規性及び進歩性判断の資料とすることはできないから、以後、これについては言及しない。
次に甲8に関し、請求人は、甲8は甲6の証明書で立証すべき事実(後述)と関係し、油化四日市に本件考案の出願日前に納入された「TW-3000BM」の制御ボックスの取扱説明書である旨、主張する。
しかしながら、
a.甲8(=乙2の1)の「制御ボックス STEC-311M」(現実には、上記下線付与部は「ホックス」と記載されているものの、前後の記載より、これが「ボックス」の誤記であることは明らかである。)と記載された頁の2頁後の「もくじ」頁には、
「2.各部の名称
2-1.制御ボックス …………3
2-2.操作パネル …………5
2-3.ペンダント分離方法 …………8」
とありながら、現実の「2-1」(=3)頁をみると、「制御ボックス」のみならず、取り外して遠隔操作可能なペンダント(7)(3頁に続く4頁参照。ただし、現実には該かっこ付き数字は、丸付き数字で表記されている。)の付いた「操作ボックス」も同一頁中に記載されている点で、前後の記載が矛盾する(「各部の名称」として「制御ボックス」が挙げられた頁には、「制御ボックス」のみが記載されるのが自然、かつ当然であることについては、その実例を示す甲11(=乙2の3)の、甲8(=乙2の1)に対応する「もくじ」並びに「2-1.制御ボックス」(=3)頁を対比参照)、
b.同じく、甲8(=乙2の1)の上記「2-3.ペンダント分離方法 」(=8)頁には、その左欄の図面と共に「2.制御ボックスからペンダントを取り出し、……」と説明されており、この説明は、甲8の前記3頁における「制御ボックスと操作ボックスが別個に存在し、ペンダントは操作ボックスに取り付けられている」旨の記載とまったく矛盾する、
等の点で、ずさん、かつ、不自然極まりないものであり、到底、正しい製品取扱説明書として油化四日市に手交されたものと認めることはできないから、結局、甲8も、本件考案の新規性及び進歩性判断の材料とすることはできない。
このように、甲5及び甲8が検討対象外となる以上、「甲5及び甲8より、公然実施された事実立証の対象たる成型品取出機「TW-3000BM」に搭載される「制御ボックス STEC-311M(c)」は、「制御ボックス」(本件考案における「電動サーボモータ用ドライバーボックス1」)と「操作ボックス」(同「制御ボックス1A」)とを当初から別体とする構成であり、その「制御ボックス」を床置き式としていない」とする請求人の主張は、格別根拠のあるものとはいえない。
ここで、請求人は、前記甲11の「もくじ」頁の次の次の「1.ご使用の前に」頁の「1-1.取扱のご注意」項に「制御ボックスの設置は……特にヒーターの近く、振動の多い場所は避けて下さい。」とあることを根拠に、本件争点外の成型品取出機「TWS-2000BM」に搭載される「制御ボックス STEC-311M(c)」は床置き式である旨、主張する。
しかしながら、上記「ヒーターの近く……を避けるべし」云々の文言は、そっくりそのまま甲8の「もくじ」頁の次の次の「1.ご使用の前に」頁の「1-1.取扱のご注意」項(対応する乙4の2参照)中にも存在し、してみれば(請求人の伝によれば)、請求人が「床置き式ではない」旨主張する成型品取出機「TW-3000BM」に搭載される「制御ボックス STEC-311M(c)」もまた、原則的には床置き式のものと解するのが相当である。
3.3)について
甲14の機械手配書・レポートによると、甲6の証明書で前記服部が証明しようとする油化四日市への成型品取出機「TW-3000BM」の据付工事完了日(平成2年3月27日。甲9の2でもある甲6添付の工事報告書参照)に符合する時点(手配日が89年10月17日、納期が90年3月15日)で、該「TW-3000BM」並びに「別置操作ボックス」(甲2中の「オプションリスト」において、「TW-3000BM」用の制御ボックス「STEC-311M」についてオプションとして挙げられたもの)が手配されている。
上記事実及び甲6の証明書作成の状況に係る甲13の前記服部の供述書の内容を考え合わせると、甲6の服部による証明のとおり、本件考案の出願日前の平成2年3月27日の時点で、油化四日市に別置操作ボックスを持つ制御ボックス「STEC-311M」を備えた成型品取出機「TW-3000BM」が、射出成形機(日鋼製、機種番号J4000EV-C5。前記工事報告書参照)に設置された事実が存在することは認められる。
そして、公然実施か否かが問題の制御ボックス「STEC-311M」については、甲6の証明書並びに甲9の1?4の写真からみて、何らかの理由により、「原則的に床置式」との上記4の1のBの2での検討結果とは相違して、「走行レールの射出ユニット側に固定されたステップの金型側端部に制御ボックスを固定した構造」(甲6中の証明事項3参照。なお、該「ステップ」は、同じく甲2中の「オプションリスト」に挙げられた「点検ステップ」に相当する。)であったと推認することができる。
4.4)について
以下、本件考案と上記「走行レールの射出ユニット側に固定されたステップの金型側端部に制御ボックスを固定した構造」との関係について検討する。
本件考案(前者)と、前者の出願日前公然実施された、上記特定の取付状況にある制御ボックスを備えた射出成形機に係る考案(後者)とを対比すると、
後者の「TW-3000BM」が「樹脂成形機の長手方向及び幅方向に延びる軌道に沿って成形品取出チャック部を往復運動させる成形品取出装置」であることは明らかであるから、
両者は、
「樹脂成形機の長手方向及び幅方向に延びる軌道に沿って成形品取出チャック部を往復運動させる成形品取出装置が当該樹脂成形機の固定金型ホルダに搭載された樹脂成形機」
に係る点で一致するものの、
後者は、前者の必須の構成である、
「該樹脂成形機の前記長手方向の中心軸線より前記幅方向の一方側と他方側から選択されたいずれかに変位し、かつ前記固定金型ホルダの金型取付面より射出装置側に偏った位置に設定して電動サーボモータ用ドライバーボックスが前記成形品取出装置に取付けられている」
旨の構成を有さない。
すなわち、前者の電動サーボモータ用ドライバーボックスは、前記特定の位置で成形品取出装置そのものに取付けられているところ、該ドライバーボックスに相当する後者の制御ボックスは、成形品取出装置そのものではなく、該装置にオプションとして備えられたステップの金型側端部に固定されているにすぎないから、両者は、電動サーボモータ用ドライバーボックス(=後者における制御ボックス)の取付位置の点で明らかに相違する。
そして、後者の樹脂成形機において、その制御ボックス(=前者の電動サーボモータ用ドライバーボックス)を成形品取出装置そのものに取付けるべきものとする技術的動機を見出すことはできない。
一方、前者は、後者にはない上記特定の必須の構成を備えることにより、電動サーボモータやエンコーダに対するノイズの影響度が小さくなり、成形品取出装置の誤作動を防止して、成形品の取出精度の低下を抑えることができる等の、本件登録実用新案明細書中の「考案の効果」欄記載の顕著な効果を奏するものと認められる。
なお、直接言及しなかった他の甲、乙すべての証拠をみても、上記の判断結果を左右するものは存在しない。
以上のとおりであるから、前者は、後者と同一の考案ということはできず、また、後者に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものということもできない。
4の2.無効理由2について
A.請求人の主張
請求人は、以下のように主張する。
1)当初明細書2頁1?7行には、本件考案に係る「制御ボックス1」(補正後の「電動サーボモータ用ドライバーボックス1」)について、「樹脂成形機では、第5図に示すように、例えばDCサーボモータ、ACサーボモータなどの電子制御を必要とする制御機器類が格納されている制御ボックス1を、樹脂成形機本体2における操作側の床面……に設置した、所謂、床置き式が採用されている。」と記載されると共に、当初図面の第5図には、「制御ボックス1」と「樹脂成形機2」との間に信号線(信号伝達経路)を示す実線矢印が、また、図示された「操作ボックス1A」の「左側ユニット」と「成形品取出装置3」との間には同様に信号線を示す実線が、それぞれ記載されている。
また、本件考案の実施例に関する記載個所である当初明細書5頁14?19行には、「本考案の特徴は、制御ボックス1の取付け構造に係り、これを除く他の部材及びその構成は従来例と異ならないので、第1図ないし第3図において、第5図……と対応する部分にそれぞれ同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。」と記載されている。
そして、当初明細書の本件考案の実施例及び図面の第1?4図にそれぞれ記載された本件考案の構成要素である「制御ボックス」には、第5図に示された「制御ボックス1」と同一の符号「1」が付されているところから、当初明細書及び図面に記載された本件考案の「制御ボックス1」と、従来例として図5に記載された「制御ボックス1」とは、制御対象及び制御機能が同一のものである。
2)上述したところより、当初明細書及び図面に記載された「制御ボックス1」は、樹脂成形機に搭載された電子機器類の主コントロールシステム及び電動サーボモータの駆動制御装置を含む制御機器類を収容するボックスであり、「成形品取出装置」に搭載された電子機器の制御機器類を収容するボックスではなかった。
成形品取出装置に搭載された電子機器類を制御する制御機器が収容された制御ボックスは、当初図面の第5図中に記載された信号線から明らかなとおり、「操作ボックス1A」の図示する「左側ユニット」に他ならない。
3)被請求人は、前記補正書により、上記した当初明細書及び図面の全体を補正し、当初明細書の「制御ボックス1」を、成形品取出装置に搭載された電動サーボモータを駆動制御する駆動制御装置を収納する「電動サーボモータ用ドライバーボックス1」に、また、当初明細書の「操作ボックス1A」を、「電動サーボモータ用ドライバーボックス1」に制御信号を出力する「制御ボックス1A」にそれぞれ訂正すると共に、当初図面の第5図中に記載された「制御ボックス1」と「樹脂成形機2」とを結ぶ信号線矢印及び「操作ボックス1A」中の図示する「左側ユニット」と「成形品取出装置3」とを結ぶ信号線実線をそれぞれ削除したうえで、「電動サーボモータ用ドライバーボックス1」(当初明細書中の「制御ボックス1」)と「成形品取出装置3」とを結ぶ信号線を追加した。
4)上記補正は、当初明細書及び図面に記載された「制御ボックス1」が、「樹脂成形機」用の「主コントロールシステム」と「駆動制御装置」からなる制御機器類を収容する「制御ボックス」で、成形品取出装置の制御機器類を収容する部材が「操作ボックス1A」の「左側ユニット」であったにもかかわらず、該「制御ボックス1」を、成形品取出装置に搭載された電動サーボモータ及びこれに付設されたエンコーダへ制御信号を出力する「成形品取出装置」用の駆動制御装置のみからなる制御機器を収容する「電動サーボモータ用ドライバーボックス」という、当初明細書及び図面に一切記載されていない、まったく新規な制御対象及び制御機能を有した制御機器を収容するものとする旨、技術事項を変更したものであり、こうした補正は、当初明細書及び図面に記載された考案の要旨を変更するものである。
B.当審の判断
1.1)について
現実の当初図面の第5図をみると、「制御ボックス1」から出た信号線(信号伝達経路)の先端は「樹脂成形機2」に連結されておらず、成形機手前で止まっており、当初明細書には、該信号線が「樹脂成形機2」に連結されている旨記載したところはない。
一方、当初明細書には、前記従来技術に相当する「このような床置き式では、……特に、制御ボックス1と成形品取出装置3間は、配線距離が長いためにノイズ発生の原因となるとともに、配線数量が多いので経済的にも不利である」(2頁9?19行)問題点があったところ、本件考案の実施例を示す当初図面の第1?4図のような「制御ボックス1」の配置とすれば、「制御ボックス1と成形品取出装置3間の配線距離が短縮されるから、配線のコンパクト化を図って、ノイズの発生を防止することができる」(7頁11?14行及び9頁7?10行)ことが、繰り返し明記されている。
そうすると、当初図面の第5図において、本来、「制御ボックス1」から「成形品取出装置3」に向かい、該装置3と連結した信号線が表記されているべきことは当業者にとって自明の技術事項と認められる。
また、当初図面の第5図において、「操作ボックス1A」の「右側ユニット」から出た信号線は「制御ボックス1」と連結しているが、この「操作ボックス1A」と「制御ボックス1」と(本来、該「制御ボックス1」と信号線で連結されているべきことが自明の)「成形品取出装置3」との関係をみれば、制御信号の流れが「操作ボックス1A」(=補正後の「制御ボックス1」)→「制御ボックス1」(=同「電動サーボモータ用ドライバーボックス1」)→「成形品取出装置3」となっている(したがって、「操作ボックス1A」の「左側ユニット」から出て、「成形品取出装置3」と連結する信号線は不要、かつ、誤記されたものである)ことは、同じく当業者に自明のことと解される。
2.2)について
上記1の判断結果に反する請求人の主張は、採用できない。
3.4)について
上記1で詳述したとおり、第5図についての補正は、本来、そのように記載されるべきことが当業者に自明の、前記「操作ボックス1A」(=補正後の「制御ボックス1」)→「制御ボックス1」(=同「電動サーボモータ用ドライバーボックス」)→「成形品取出装置3」という信号線の連結状態をそのまま保ちつつ(したがって、それに必要な信号線は追加し、不要な信号線は削除し)、制御対象を一層明確化すべく、当初の用語「制御ボックス1」、「操作ボックス1A」を一括して、順次、「電動サーボモータ用ドライバーボックス1」、「制御ボックス1A」と書き換えただけにすぎず、もとより、それによって考案の目的、構成、効果に何ら変更、拡張を生じるものではない。
そうすると、請求人が問題にする補正は、当初明細書及び図面に記載された考案の要旨を変更するものとはいえないから、該補正が要旨変更であることを前提とする請求人の主張2)もまた、採用することはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び証拠方法によっては、本件請求項1に係る実用新案登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-12-19 
結審通知日 2001-01-05 
審決日 2001-01-16 
出願番号 実願平2-56792 
審決分類 U 1 112・ 112- Y (B29C)
U 1 112・ 121- Y (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多喜 鉄雄野村 康秀  
特許庁審判長 小林 正巳
特許庁審判官 喜納 稔
石井 克彦
登録日 1998-07-17 
登録番号 実用新案登録第2149899号(U2149899) 
考案の名称 樹脂成形機  
代理人 玉田 修三  
代理人 伊藤 研一  
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