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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない F23N
管理番号 1067663
審判番号 審判1999-35682  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-11-19 
確定日 2002-11-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第2106398号実用新案「ロ?スタ?における立消え安全装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件実用新案登録第2106398号は、出願日が平成1年1月20日であって、平成8年2月21日に設定登録されたものである。
そして、本件実用新案登録第2106398号の請求項1に係る考案は、実用新案登録明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「燃焼部に設けたバーナーの点火部の高さ位置と同一平面上にしてドレンパン、内箱、外箱の各側壁に貫通孔を貫設し、外箱の貫通孔の外方でテーブルの底部にバーナーの炎から照射される紫外線を検知する炎センサーを対向配置し、該炎センサーを燃焼ガスを供給するガス流入経路中に配設した電磁弁に炎センサーの作動によりガス流入経路を開閉する様に接続したことを特徴とするロースターにおける立消え安全装置。」

2.請求人の主張
請求人は、本件実用新案登録第2106398号を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする趣旨の無効審判を請求し、
「本件実用新案権は、特開昭59-176526号公報(以下甲第1号証という。)、特開昭63-210520号公報(以下甲第2号証という。)、実願昭58-70148号(実開昭59-175860号)のマイクロフィルム(以下甲第3号証という。)、特開昭57-155022号公報(以下甲第4号証という。)および実願昭49-99347号(実開昭51-26520号)のマイクロフィルム(以下甲第5号証という。)に記載された発明または考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであり、本件実用新案権は実用新案法第37条第1項の規定により、無効とすべきものであります。」
と主張している。

3.甲号各証に記載された考案
請求人が提出した甲第1号証(特開昭59-176526号公報)には、多目的ロースターに関して、図面とともに、「(1)はロースター本体であり、テーブル(2)の略中央位置に上部が調理部(3)に開口し下部が適宜吸引装置(図示せず)により吸引作用せられる排気部(4)に開口した外箱(5)を嵌合支持せしめ、該外箱(5)の内部に所定間隔の吸引流路(6)を外箱(5)との間に有せしめる様にして円筒状に成した内箱(7)を取付けている。」(第1頁下段右欄第15行?第2頁上段左欄第1行)こと、「尚(16)は内箱(7)内方と外箱(5)外方を連通せしめた採気孔であり、又該採気孔(16)を貫通して外部より導入せしめたガス管(17)先端のバーナー(18)を内箱(7)の底部中央に収容せしめている。(19)は内箱(7)上端開口部に対向した開口部(20)を有するトッププレートであり、その周囲に外箱(5)の上方開口部(21)より延設せしめてテーブル(2)上に載置される枠体(22)を形成すると共に開口部(30)より内箱(7)の上部周囲に接して垂設された周壁(23)を一体形成し、該周壁(23)の上端方部位置に全周に渉り外箱(5)内に連通する所定数の給気孔(24)(24)’・・・を貫設形成せしめている。」(第2頁上段左欄第16行?同右欄第8行)こと、が記載されている。
同じく甲第2号証(特開昭63-210520号公報)には、石油ボイラーに関して、図面とともに、「第4図、第5図において、1は送風ファン、2はファンケース、3は給気口、4はファンモータ、5は燃料噴霧ノズル、6はノズルアダプター、7は点火電極、8はスタビライザー、9は燃焼部、10はブローチューブ、11は空気整流穴、12は透明板、13はバーナーヘッド部、14は火炎検出器、15は火炎検出部を示す。」(第2頁上段左欄第1行?同第7行)こと、「燃焼が開始すると、前記ブローチューブ10の空気整流穴11が形成されている側の面と相面したファンケース2表面に、前記燃焼部9の火炎が発っする火を、ブローチューブ10の空気整流穴11が形成されている面の周辺部にあけられた火炎検出窓15に取付けられた透明板12ごしに検出できるよう、前記燃焼部9と透明板12を結ぶ直線の延長方向で、かつその直線に対して、直交するように、ある角度θをもって取付けられた火炎検出器14が、前記燃焼部9の火炎の発っする光を検出し、火炎の輝度を電圧に変換し、制御器(図略)へ送信する。制御器は、燃焼が正常に行なわれているか否かを判別するものである。」(第2頁上段右欄第2行?同第15行)こと、「送風ファン19が回転することで、燃焼空気は、吸気口21から吸入され、バーナーヘッド部31に導かれる。燃焼空気は、筒状のブローチューブ28の一端に設けられた多数の空気整流穴29でその流れを整流され、燃焼部27に至る。」(第3頁下段左欄第9行?同第14行)こと、「一方、前記火炎検出器33は、前記ノズルアダプター24自身の有する取付フランジと、前記ノズルアダプター24が固定されているブローチューブ28に連通してあけられた穴であり、この穴は、前記透明板30が、前記ノズルアダプター24の取付フランジと、前記ブローチューブ25の両者で挟持された形で閉鎖している。また、前記火炎検出器32は、前記火炎部27から、前記火炎検出器33へ結ぶ直線の延長線上(この直線は、前記ファンケース20面に対し垂直をなしている。)に位置し、かつ前記火炎検出器32は、前記ファンケース20面に平行をなして取付けられている。 燃焼が開始すると、前記燃焼部27の発っする光は、前記スタビライザー26の中央部にあいている穴から、前記火炎検出器33を経て、前記火炎検出器32に達っする。該火炎検出器32は、前記燃焼部27の発っする光を電圧に変換し、制御器(図示せず)へ送信する。制御器は、火炎検出器32より送られてきた電圧値により、燃焼が正常に行なわれているか否かが判別するものである。」(第3頁下段左欄第19行?同右欄第19行)こと、が記載されている。
同じく甲第3号証(実願昭58-70148号(実開昭59-175860号)のマイクロフィルム)には、ガス器具に用いられているガスバーナーに関して、図面とともに、「第1図は、本考案のガスバーナーを示したものであって、1はそのガスバーナー本体である。2はバーナーヘッドであり、炎口3が設けてある。5はバーナーヘッド2の炎口3にかぶせる熱盤である。このような構造から成るバーナーヘッド2は、従来のものと同じであり、本考案の特徴とするところは、従来のバーナーヘッド2に更にセンサー用炎口4を設けたところにある。このセンサー用炎口4は、バーナーヘッド2の先端部に小孔を形成することによって、ガスが炎口3と同時にこのセンサー用炎口4から放出するようにしてある。 第2図は、本考案のガスバーナーバーナーの使用状態を示したものであり、6は光センサーである。この光センサー6は、本願出願人が開発した、ガスの供給を自動的に遮断する装置(特願昭56-40200号燃焼用供給燃料の自動停止方法およびその装置)の作動に用いたものである。すなわち、ガスの炎から発する光をセンサーで以て常時キャッチさせ、キャッチしている間はガスの平常どおり安定供給し、キャッチ不可能(ガスの炎が停止し、ガス漏れの状態)になつたならば、センサーが光をキャッチできないので遮断装置が作動し、ガスの供給は自動停止される。」(第2頁第10行?第3頁第13行)こと、が記載されている。
同じく甲第4号証(特開昭57-155022号公報)には、燃焼器具に取付る燃焼用供給燃料の自動停止方法とその装置に関して、図面とともに、「一方、燃焼器の燃焼火が何かの原因により消火した場合は、上記熱応動作動装置が冷却されて、流体遮断器は自動的に密閉状態(常時ガス管内に流出されているガスを遮断する状態)を保持する。」(第2頁上段左欄第5行?同第9行)こと、「本願発明は、燃焼器より発火するガスの炎を直接受光せず、このガス炎をニクロム線、銅線等の物質に感熱させる感熱発光媒体を介して受光させることによって、いかなるガスの炎(どんなに小さな炎でも効果は同じである)であっても常に一定の光線に代えてから、光センサーに受信することができるので、その効果においては全く完全なものとなつた。」(第2頁下段左欄第4行?同第12行)こと、「従来装置では、バーナーヘッド43の炎口44から発光するガス炎の炎光を直接光センサー12に受信させていたために、炎光の光度の不安定、特に炎が小さいときには光センサー12の受信が不良となるばかりか、光線受信送電機構が全く作動せず、その効果が得られない欠陥があった。」(第3頁下段左欄第9行?同第15行)こと、「次に炎口44のガス炎が何かの原因で消火した場合(ガスが漏出する状態)は、感熱発光媒体(N)の光線が消火され、同時に光センサー12が作動し、センサー回路13を介して永久磁石8が電磁作動し、遮断弁6が押圧用バネ5を押圧しながら電磁石摺動筒3の方向に移動し、同時に電磁石7が永久磁石8の方向に移行連着し、更に電磁石7の磁気作用によって遮断弁6は、ガスの流出口を閉塞する。つまり、第2図(a)および第3図(b)に示す状態となり、ガスの供給を自動停止させることができる。」(第4頁下段左欄第4行?同第14行)こと、が記載されている。
同じく甲第5号証(実願昭49-99347号(実開昭51-26520号)のマイクロフィルム)には、燃焼安全制御装置に関して、図面とともに、「燃焼検出器に紫外線受光素子を設けて、燃焼炎の有無の検出を行うと共に、点火持に点火器の点火火花を検知して燃料弁を開き、一定時間内に着火しなかった場合は燃料の供給を停止する事を特徴とする燃焼安全制御装置。」(実用新案登録請求の範囲の記載事項)であること、「種火炎17がパイロットバーナ13に形成されると紫外線受光素子15に入る光量が変化するために、燃焼検知器6が炎の着火を確認する。」(第4頁第3行?同第5行)こと、「種火17が正常に形成された場合にはメインバーナー12によって主燃焼が継続されるが何らかの原因で炎が消滅した時には燃焼検出器6が紫外線受光素子15からの信号によって燃焼非検出を行いそれまで開放してた6aの接点を閉じ遮断器5を動作させ、点火時の着火ミスと同様に燃料の供給を停止する。」(第4頁第16行?第5頁第3行)こと、が記載されている。

4.当審の判断
本件実用新案登録第2106398号の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)と請求人の提出した、甲第1号証乃至甲第5号証に記載されたものとを対比し、検討する。
甲第1号証に記載された多目的ロースターは、テーブル(2)の略中央位置に、外箱(5)を嵌合支持し、該外箱(5)の内部に所定間隔吸引流路(6)を有するようにして内箱(7)を取付け、該内箱(7)の上端開口部に突設した突片(8)、(8)’・・・上にプレート(9)の鍔部(10)を載置して環状の段部(11)を形成し、該段部(11)にロストル(12)または五徳(14)を載置し得るようにしたものということができ、かつ、上記プレート(9)は、図面の第2図に記載された形状から、上方の外周縁部に鍔部(10)が設けられ、下方の中央部のバーナー(18)の開口部側は心持ち上方に曲げられて環状の溝部を形成していることが窺えるから、調理物の油汁等を受けるような作用を有しているということができる。
そこで、本件考案と甲第1号証とを対比すると、甲第1号証に記載された、「プレート(9)」、「内箱(7)」、「外箱(5)」、「テーブル(2)」は、それぞれ本件考案の、「ドレンパン」、「内箱」、「外箱」、「テーブル」に相当するものといえるから、両者は、
「燃焼部に設けたバーナー、ドレンパン、内箱、外箱、テーブルを備えたロースター。」
であることでは一致している。
しかしながら、本件考案は、次に挙げた構成(イ)乃至(ニ)を考案の構成要件としている点で甲第1号証記載のものとは相違する。
(イ)「燃焼部に設けたバーナーの点火部の高さ位置と同一平面上にしてドレンパン、内箱、外箱の各側壁に貫通孔を貫設し」ている構成。
(ロ)「外箱の貫通孔の外方でテーブルの底部にバーナーの炎から照射される紫外線を検知する炎センサーを対向配置し」ている構成。
(ハ)「該炎センサーを燃焼ガスを供給するガス流入経路中に配設した電磁弁に炎センサーの作動によりガス流入経路を開閉する様にした」ことの構成。
(ニ)「ロースターにおける立消え安全装置」である構成。

そこで、これらの相違点について検討する。
本件考案は、その実用新案登録明細書に、「従来、家庭用のガスコンロにはバーナー付近に立消えセンサーを設置して点火操作時の点火ミス或いは立消えによるガス放出を防止していたが、かかる立消えセンサーをロースターのバーナー付近に取付けることは出来なかった。 それはロースターの燃焼部は洗浄の為に、毎日バーナー、ドレンパン、内箱、トッププレート等各構成部品の脱着を要し、かかる洗浄時に立消えセンサーを損傷させたり、その精度を損なう等の欠点を有するためで、その結果立消えの発見が出来なかったり、又は遅れることがある危険性を有していた。」(実用新案登録明細書第2頁第3行?同第14行)こと、「本考案は点火操作時の点火ミス或いは立消えによる未燃焼ガスの放出を遮断すると共に、洗浄の為の各構成部品の脱着を容易としたロースターにおける立消え安全装置を提供せんとするものである。」(実用新案登録明細書第2頁第16行?同第20行)こと、と記載しているように、本件考案の課題が、洗浄の為のロースターの各構成部品の脱着を容易とし、その洗浄時に、立消えセンサーを損傷させないようにするとともに、立消えセンサーによる検出精度を損なわないようにして、点火ミス或いは立消えによる未燃焼ガスの放出を遮断することにあるといえる。
・相違点(イ)について
この相違点の構成において、「バーナーの点火部の高さ位置」としたことは、炎センサーの検出位置を、バーナーの点火部としているということであり、この点火部と「同一平面上にしてドレンパン、内箱、外箱の各側壁に貫通孔を貫設し」たことは、ロースターのドレンパン、内箱、外箱のそれぞれの機能を損なうことなく、それぞれに貫通孔を貫設し、この貫通孔を通して、バーナー点火部の炎を炎センサーで検出できるようにしているということができる。
この構成に対して、請求人は、甲第2号証を提出して、「炎センサーと炎の間に介在する部材に適宜貫通孔を設ける構想」をロースターまたは石油ボイラーに採用するに当たっては、これら燃焼機器を構成する部材が着脱自在であるか否かには全く関係のないことでありまして、炎センサーと炎の間に介在するロースターまたは石油ボイラーの各構成部材は、脱着自在であるか否かを問わず、その果たすべき機能が確保される限り、適宜貫通孔を設けることができるのであります。」(審判請求書第10頁第9行?同第14行)と主張しているが、本件考案は各構成部材を、ロースターのドレンパン、内箱、外箱と特定して、これらの構成部材に貫通孔を設けたものであって、炎センサーと炎との一般的な構想(技術思想)を考案の構成要件としているものではないし、請求人が提出した甲第2号証に示された「石油ボイラー」には、本件考案の課題に相当する記載も見当たらない。そして、甲第2号証に開示されている構成をみても、ブローチューブ28又は10の底部の火炎検出窓15を通して火炎を検出しているものであるから、火炎検出窓15がバーナーの点火部の高さ位置にあるということはできないし、甲第2号証のファンケース20又は2、ブローチューブ28又は10が、それぞれ本件考案の外箱7、内箱6に相当するとしても、底部から空気整流穴11を通して燃焼空気を供給するブローチューブ28又は10の構成では、本件考案のドレンパンのように底部で調理物の油汁等を受ける機能を備えているものということもできない。さらに、本件考案のロースターのドレンパン、内箱は、実用新案登録明細書に記載されているように、洗浄時に脱着し得るようにされているものであるのに対して、甲第2号証に記載されたブローチューブは、バーナーヘッド部に取り付けられているものと考えられることからも、両者の構成部品の取扱い態様、取付け構造においても共通するところが認められない。
このように、本件考案と甲第2号証に記載されているものとには、考案の課題に対して共通するようなところもなく、さらに、本件考案のロースターのドレンパン、内箱の各構成部品、機能と甲第2号証記載のブローチューブなる構成部品、機能とが相違するような場合には、両者の構成(構成部品)に関連性を示すような記載或いは示唆がされてなければ、甲第2号証に記載された技術を甲第1号証記載のものに適用することがきわめて容易であるということもできない。
両者は、強いて挙げれるとすれば、本件考案のバーナーの炎から照射光を検出するための貫通孔が、甲第2号証に記載された火炎を検出する火炎検出窓と似ているにすぎないだけである。
・相違点(ロ)について
この相違点(ロ)の構成である、「バーナーの炎から照射される紫外線を検知する炎センサー」については、実用新案登録明細書に、「従来の赤外線検出センサー、光センサーに比して、紫外線量、或いは飲食時におけるガス火力の強弱に影響されず、点火ミス等の検出を確実に行うことが出来ると共に、炎を直接検出しているために、赤外線検出センサーの場合に必要であった反応向上のための別途部材を必要とせず構造簡易にすることが出来る。」(〔考案の効果〕の項)と記載されているように、バーナーの炎を直接に紫外線検出するようにして点火ミス等を確実に検知し得るようにしたもいえるから、請求人の提出した甲第5号証に、種火炎17を紫外線受光素子15で直接検知し、着火ミスがあったとき燃料の供給を停止するものが記載されているので、この「紫外線受光素子15」が、本件考案に用いられている「紫外線を検知する炎センサー」とに格別な相違があるとは認められないし、甲第5号証記載のものが、種火炎17を紫外線受光素子15によって検知するようにしてはいるが、メインバーナーの炎を検出するようにすることも甲第1号証の記載から当業者がきわめて容易に想到し得るものといえる。
しかし、本件考案は、さらに、炎センサーの配置箇所を、「外箱の貫通孔の外方でテーブルの底部」としているところにある。請求人の提出した甲第2号証に記載された火炎検出器32又は14は、ファンケース20又は2に取り付けられており、このファンケース20又は2が本件考案の外箱に相当するとしても、本件考案の炎センサーは、その外箱の外方のテーブルの底部に配置したものである。この構成は、請求人の提出した他の甲各号証を検討しても何も記載もされていない。さらに、甲各号証には、バーナーに脱着し得る構成部品を備えた箇所における炎センサーの配置について示唆する記載も認められない。
本件考案は、このような位置に炎センサーを配置することによって、実用新案登録明細書に記載されている、「洗浄時におけるロースター本体16の各構成部品の脱着に際し、炎センサー11を損傷させることなく」(〔考案の効果〕の項)という作用効果を奏するものである。
・相違点(ハ)について
本件考案は、この相違点の構成によって、点火ミス或いは立消えの際に、炎センサーによって電磁弁にてガス流入経路を閉口させる作用を奏するものということができるので、これは、甲第3号証の光センサー6がガスの炎をキャッチできなくなったらガスの供給を自動停止する旨の構成、甲第4号証の従来技術として挙げてあるガス炎の炎光を直接光センサー12により受信して、ガス供給燃料を自動停止する旨の構成、甲第5号証の紫外線受光素子15からの信号によって着火ミス、炎消滅時に燃料供給を停止させる旨の構成、と格別な差異があるとはいえないので、これらの甲第3号証乃至甲第5号証に記載されたものを甲第1号証記載のロースターに適用することは当業者がきわめて容易になし得るものといえる。
・相違点(ニ)について
ガス機器に立消え安全装置を備えることは、甲第3号証および甲第4号証に、燃焼器の燃焼炎が何かの原因により消火した場合にガスの供給を遮断する旨の構成が示されていること、甲第5号証に、ガス炎を紫外線受光素子で検知し、炎がない場合にガスの供給を遮断する旨の構成を示されていること、から周知の技術といえるので、ガス機器の一つであるロースターに立消え安全装置を備えるようにすることは、これら甲第3号証乃至甲第5号証に記載されたものから当業者がきわめて容易になし得るものといえる。

以上のとおりであるから、上記相違点(イ)、(ロ)について、請求人の提出した甲第1号証乃至甲第5号証に記載も示唆もされているとは認められないから、本件考案は、甲第1号証乃至甲第5号証に記載されたものに基づき当業者がきわめて容易に考案できたものとすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件考案の登録を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-11-07 
結審通知日 2000-11-17 
審決日 2000-11-30 
出願番号 実願平1-5835 
審決分類 U 1 112・ 121- Y (F23N)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 二宮 千久井上 哲男  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 櫻井 康平
滝本 静雄
登録日 1996-02-21 
登録番号 実用新案登録第2106398号(U2106398) 
考案の名称 ロ?スタ?における立消え安全装置  
代理人 西山 聞一  
代理人 西山 聞一  
代理人 土川 晃  

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