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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1067666
異議申立番号 異議2002-71278  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2002-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-05-13 
確定日 2002-10-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第2607505号「ヒンジキャップ」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2607505号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯の概要
本件実用新案登録第2607505号考案は、平成5年12月28日に実用新案登録出願され、平成13年7月13日に設定登録(平成13年11月12日実用新案登録公報発行)がなされ、その後、平成14年5月13日付けで岩井満より実用新案登録異議の申立がなされたものである。

2.本件実用新案登録考案
本件実用新案登録第2607505号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という)は、明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 容器に装着する合成樹脂製の、筒部1を有する基体2;該基体3の上部に形成される蓋体3との係止部4;上記筒部1の上部5に、外ヒンジ6、6を介して一体に設けられた上記蓋体3;上記外ヒンジ6、6の内側下方に位置し、かつ上記基体2と蓋体3間に設けられた内ヒンジ7;蓋体3が開放され前記外ヒンジ6、6の上面8が水平の状態にされた場合に、前記基体2及び蓋体3の側壁にそれぞれほぼ直角に設けられた内ヒンジ7の基体腕9及び蓋体腕10;該両腕9、10の先端部11、12を弧状部13で一体に接合した内ヒンジ7;から成ることを特徴とするヒンジキャップ。」

3.実用新案登録異議の申立の概要
申立人岩井満は、概略、本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、(1)本件の考案の構成に基づきその明細書に記載されたとおりの効果を奏することは実現不可能であって、実用新案法第3条柱書きの考案に該当するものではないから、同条の規定により実用新案登録を受けることができない(以下、「申立理由1」という)、(2)出願前公知の甲第2号証に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない(以下、「申立理由2」という)、及び、(3)出願前公知の甲第3号証から甲第8号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない(以下、「申立理由3」という)ものである旨主張している。
<証拠方法>
甲第1号証:本件の説明図
甲第2号証:実願昭63-30117号(実開平1-134053号)のマイクロフィルム
甲第3号証:実願昭57-134598号(実開昭59-38254号)のマイクロフィルム
甲第4号証:実公平2-4056号公報
甲第5号証:特開昭56-106758号公報
甲第6号証:実願昭55-7736号(実開昭56-109944号)のマイクロフィルム
甲第7号証:米国特許第4386714号明細書
甲第8号証:米国特許第4047495号明細書

4.甲各号証の記載事項
(4-1)甲第1号証:本件考案の説明図
本件考案の説明図【図2】を準備するとともに、「本件考案の図2中に思案点を描いたところの説明図において、弧状部13は、当該思案点にて直状に伸延して所定の必要長さを確保するものであらねばならないが、それは、基体腕9、蓋体腕10はそれぞれ基体2および基体3に直角に設けられているために、前記基体腕9、蓋体腕10の先端で折り曲る態様にて成し遂げられることとなる。つまり、両端の基体腕9、蓋体腕10の首振りの援助を受けることなく、弧状部13の伸び変形のみで目的を達成せねばならない。しかして、弧状部13はその要求される伸び変形量を確保するためには、その湾曲の度合は大きなものとならざるを得ない。もし、他の多くの同種品におけるが如く、基体腕9、蓋体腕10が基体2および基体3に対して予め思案点方向に設けられていたり、または、その基端を首振り援助可能にヒンジ構成としているのならば、弧状部13に課せられる伸び変形量の軽減は可能であり、「曲率半径をごく小さく形成することができる。」となるが、既述した本件考案にあっては実現不可能な現象である。」旨、異議申立書の中で理由Iとして主張している。
(4-2)甲第2号証(実願昭63-30117号(実開平1-134053号)のマイクロフィルム)
「本考案は、上記目的を達成すべく、例えば、前記ヒンジ2を、弛みをもたせてキャップ本体1と蓋体3を連結した中央の弛み連結片4と、該弛み連結片4とは切り欠き部5、5を介してその両脇部位にてキャップ本体1と蓋体3を連結する平板状の直結連結片6、6と、から構成した。(作用) 上記ヒンジ2に対して、キャップ本体1と蓋体3を引き離す方向に過大な力がかかった場合、まず前記直結連結片6、6が切断するが、当初に受けた強い力が、該切断時に一部消費され、弛み連結片4には弱められた力がかかることになるから、ヒンジ2全体の切断が起こりにくい。」(第2頁14行?第3頁6行)
(4-3)甲第3号証(実願昭57-134598号(実開昭59-38254号)のマイクロフィルム)
「次に図中17は主ヒンジ、18は副ヒンジであり、19は該両者17、18間の穴を示す。そして上記両ヒンジ17、18は夫々外蓋7、蓋体15間に、それぞれ一体に設けられており、該両者17、18は夫々その長さが異ることにより、長さの長い方の副ヒンジ13(注:18の誤記)は、主ヒンジ17に対してスナップショット作用、即ち蓋体14の回動の際、或る一点をこえると、急激に、回動方向に回動させられるようになっており、又両者17、18は蓋体14の回動に逆らうように、蓋体14を付勢している。」(第3頁末8行?第4頁3行)
(4-4)甲第4号証(実公平2-4056号公報 )
「ヒンジ5により一体的に外蓋6を設けたポリプロピレン製の筒体3を、裂溝13により通孔となる裂取部を形成したポリエチレン製注出蓋2の筒部1の外周に、上下方向の長さの大部分を密接して設け、筒体3の上部内側の被係合部9を、前記注出蓋2に形成した溝状の係合部8に嵌着させ、又前記筒部1の下端部を半径方向外方に突起11させ、該突起部11上に前記筒体3の下端部を相互に平面状に接しさせて位置せしめ、前記突起部11の下端を、瓶口に形成した半径方向外方に向く突出部上に相互に平面状に接しさせて位置せしめたことを特徴とする瓶蓋。」(実用新案登録請求の範囲)
(4-5)甲第5号証(特開昭56-106758号公報)
「(1)流出口を備えていて、びんの口部にはめ込まれているスリーブ状のキャップと、前記流出□を閉じる部分をもち、前記キャップの1部に蝶番い状に取り付けられている蓋板と、少くとも曲げられるか傾けられていて、その一側は前記キャップに、他側は前記蓋板に、回転し得るように取り付けられている板ばねから成り、前記蓋板が回転した状態においては、前記板ばねがもっとも強く弾力を作用している状態になっており、前記板ばねと前記蓋板との間の枢動点(FD)、蓋板とキャップの間の枢動点(DK)、およびキャップおよび板ばねの間の枢動点(FK)が、直線Gの上にあり、かつ前記キャップ、蓋板および板ばねは、合成物質によって一体的に製造されるとともに、蝶番ばねによって互いに結合されているびんの蓋であって、前記蓋板が開いている状態、および板ばねが弛緩した場合に、前記枢動点(FD)および(DK)を通つている直線と、前記直線Gとの間の角度(α)は、前記蓋板が閉じている場合の角度(β)よりも大きいことを特徴とするびんの蓋。」(特許請求の範囲)
(4-6)甲第6号証(実願昭55-7736号(実開昭56-109944号)のマイクロフィルム)
「 容器口部(22)に組付く組付き筒(2)の上端から注出口(4)を形成する注出口筒片(3)を一体に立設し、該注出口筒片(3)の内周面に係止条(5)を周設して成る組付き体(1)と、頂板(9)の下面中央から前記注出口(4)内に密に嵌入する栓筒片(11)を垂下設し、該栓筒片(11)が注出口(4)内に密に嵌入した際に、前記係止条(5)よりも下位となる栓筒片(11)の下端部に割溝(13)を設け、該割溝(13)を設けた栓筒片(11)の先端部外周面に前記係止条(5)に下方から係止する係止条(12)を条設し、さらに前記頂板(9)の側端から指掛け片(14)を側方に延出設して成る栓板体(8)と、前記組付き筒(2)外周面上端と前記頂板(9)の指掛け片(14)とは反対側の側端との間をヒンジ(16)により連結し、前記栓板体(8)を前記組付き体(1)に対して書籍状に回動すべく結合するヒンジ体(15)とから成る栓体。」(実用新案登録請求の範囲)
(4-7)甲第7号証(米国特許第4386714号明細書)
異議申立書添付の証拠は、翻訳文がついていないアブストラクト記載のフロント頁と図面のみのものであるが、容器蓋に関して概略「蓋体と本体とを内ヒンジとその下位レベル内側の外ヒンジとで連結し、その外ヒンジの連結部を結ぶ直線が内ヒンジの回動中心を越えると蓋体に閉口方向の弾力を生じる」構成が開示されている。
(4-8)甲第8号証(米国特許第4047495号明細書)
異議申立書添付の証拠は、翻訳文がついていないアブストラクト記載のフロント頁と図面のみのものであるが、容器蓋に関して概略「蓋体と本体とを内ヒンジとその下位レベル内側の外ヒンジとで連結し、その外ヒンジの連結部を結ぶ直線が内ヒンジの回動中心を越えると蓋体に閉口方向の弾力を生じる」構成が開示されている。

5.異議申立理由に対する当審の判断
(1)申立理由1について
弧状部13に関しては、「弧状部13は、当該思案点にて直状に伸延して所定の必要長さを確保するものであらねばならないが、それは、基体腕9、蓋体腕10はそれぞれ基体2および基体3に直角に設けられているために、前記基体腕9、蓋体腕10の先端で折り曲る態様にて成し遂げられることとなる。つまり、両端の基体腕9、蓋体腕10の首振りの援助を受けることなく、弧状部13の伸び変形のみで目的を達成せねばならない。しかして、弧状部13はその要求される伸び変形量を確保するためには、その湾曲の度合は大きなものとならざるを得ない。」という異議申立人の主張する点については、湾曲の度合を大きくせざるを得ないとする点など理解できるところもある。しかし、本件考案の弧状部は合成樹脂製であって十分な伸長が確保可能なものとして弾性的に設計することは設計的に可能であり、本件考案ではその構成として「基体2及び蓋体3の側壁にそれぞれほぼ直角に設けられた内ヒンジ7の基体腕9及び蓋体腕10;該両腕9、10の先端部11、12を弧状部13で一体に接合した内ヒンジ7」という特有の構成を記載していて、この記載から、基体腕9及び蓋体腕10を基体2及び蓋体3の側壁にそれぞれほぼ直角に設けることに伴いそれらの腕の長さの合計分だけ弧状部の水平部分の長さは短くなることは自明であるから、その結果、弧状部の曲率半径を小さくすることができることになるので、本件明細書で記載する「両腕を結合している弧状部13は曲率半径をごく小さく形成することができる。このため蓋体3の開閉のスプリング作用を強く形成することができる。このため蓋体3開閉の際のスプリング作用を強く形成でき、かつ思案点を過ぎた場合の、付勢方向への回動を急激に、すなわち爽快にすることができる。」という作用やそれに伴う効果は技術事項として理解できるところである。したがって、本件考案の上記特有の構成に起因して、明細書に記載されている作用・効果は機能するものと認められるから、異議申立人が主張する、本件考案が実用新案法第1条柱書きの考案に該当するものでないという主張は採用できない。

(2)申立理由2について
甲第2号証には「容器に装着する合成樹脂製の筒部を有する基体(甲第2号証のキャップ本体1);該基体の上部に形成される蓋体(蓋体3)の上部に形成される蓋体との係止部(注出筒9);上記筒部の上部に、外ヒンジ(直結連結片6)を介して一体に設けられた上記蓋体;上記ヒンジの内側下方に位置し、かつ上記基体と蓋体間に設けられた内ヒンジ(弛み連結片4);蓋体が開放され前記外ヒンジの上面が水平の状態にされた場合に、前記基体及び蓋体を弧状部(弛み連結片の弧状部)で接合して成ることを特徴とするヒンジキャップ。」である点が記載されているから、この点で甲第2号証記載の考案は本件考案と一致している。
異議申立人は、甲第2号証の「弛み連結片4」と本願考案の「内ヒンジ7」とは、互いに機能は違えても「連結体」の点で全く同一であり、かつ、共に「ヒンジ」であって、甲第2号証の「弛み連結片4」を本願考案の「内ヒンジ7」に転用することは当業者にとってきわめて容易になし得ることである旨主張する。
しかしながら、本件考案の構成の「基体2及び蓋体3の側壁にそれぞれほぼ直角に設けられた内ヒンジ7の基体腕9及び蓋体腕10;該両腕9、10の先端部11、12を弧状部13で一体に接合した内ヒンジ7」について検討すると、甲第2号証記載の「弛み連結片4」は連結体である点では同じであるが、あくまで弛み連結片を開示しているものであって、本件考案の構成である「内ヒンジ7の基体腕9及び蓋体腕10」を有する構成のものではないし、又、「該両腕9、10の先端部11、12を弧状部13で一体に接合した内ヒンジ7」の構成を有するものでもない。
そして、本件考案は、基体腕9と蓋体腕10及びこれらを弧状部13で一体的に接合する内ヒンジ7の構成を有することによって、本件考案の明細書に記載された「ヒンジ7の基体腕9、蓋体腕10は基体2及び蓋体3の側壁にそれぞれ直角に設けられてあり、このため両腕を結合している弧状部13は曲率半径をごく小さく形成することができる。このため蓋体3の開閉のスプリング作用を強く形成することができる。このため蓋体3開閉の際のスプリング作用を強く形成でき、かつ思案点を過ぎた場合の、付勢方向への回動を急激に、すなわち爽快にすることができる。」という特有の作用・効果を奏するものと認められるから、本件考案は甲第2号証記載の考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めがたい。

(3)申立理由3について
異議申立人は、本件考案は本件の出願前公知の甲第3?8号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定によって実用新案登録を受けることができないものであると主張するが、甲第3?8号証には、主ヒンジや副ヒンジで蓋体を回動閉止する瓶装置(甲第3号証)、ヒンジや落下回動防止部を有する瓶蓋(甲第4号証)、蝶番ばねや板ばねを有するびんの蓋(甲第5号証)、及び、ヒンジ体や保持片を有する栓体(甲第6号証)等が記載されてはいるが、いずれも、本件考案の構成「基体2及び蓋体3の側壁にそれぞれほぼ直角に設けられた内ヒンジ7の基体腕9及び蓋体腕10;該両腕9、10の先端部11、12を弧状部13で一体に接合した内ヒンジ7」については何ら記載されていないし、示唆もされていない。
そして、本件考案はその構成によって明細書に記載されたとおりの特有の作用・効果を奏するものと認められるから、本件考案は甲第3?8号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めがたい。

6.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由1?3及び証拠によっては本件実用新案登録請求の請求項1に係る考案を取り消すことができない。
また、他に本件実用新案登録請求の請求項1に係る考案を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論の通り決定する。
異議決定日 2002-09-24 
出願番号 実願平5-70735 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B65D)
U 1 651・ 1- Y (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中島 成池田 貴俊  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 祖山 忠彦
市野 要助
登録日 2001-07-13 
登録番号 実用新案登録第2607505号(U2607505) 
権利者 三笠産業株式会社
奈良県北葛城郡広陵町大字寺戸53番地
考案の名称 ヒンジキャップ  
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