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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認めない。無効とする(申立て全部成立) A01K
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 訂正を認めない。無効とする(申立て全部成立) A01K
管理番号 1069049
審判番号 審判1999-35239  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-05-24 
確定日 2002-11-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第2548502号「釣竿」の実用新案登録無効審判事件についてされた平成12年7月7日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成12(行ケ)年第327号平成14年2月7日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。   
結論 登録第2548502号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件登録第2548502号実用新案は、昭和62年9月19日に出願された実願昭62-143192号出願(以下、「原出願」という)の一部を、実用新案法第9条第1項の規定において準用する特許法第44条第1項の規定により、平成3年4月11日に新たな実用新案登録出願(実願平3-24000号)としたものであって、その実用新案権は平成9年5月30日に設定登録された。
これに対してリョービ株式会社(以下「請求人」という)より無効審判が請求されたところ、平成11年8月30日に被請求人より審判事件答弁書の提出とともに訂正請求がなされ、これに対し審判事件弁駁書が提出され、当審において訂正拒絶理由を通知したところ、平成12年5月19日に訂正明細書についての補正書が提出され、更に訂正拒絶理由を通知したところ、平成14年7月26日に訂正明細書についての補正書が提出された。

2.訂正請求について
2-1.訂正明細書の補正について
2-1-1.平成12年5月19日付け補正について
この補正は、訂正明細書における明らかな誤記である、実用新案登録請求の範囲の「第1嵌台部(7)」、4頁21行の「竿尻Ia」及び7頁20?21行の「長くすることによリ」を、「第1嵌合部(7)」、「竿尻1a」及び「長くすることにより」とそれぞれ補正するものであって、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
2-1-2.平成14年7月26日付け補正について
この補正は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された「第3嵌合部(5)を設け、」を「第3嵌合部(5)を一体に設けた尻栓(3)を取付け、」と補正することを含み、訂正明細書の考案の構成要件となっていない「尻栓(3)」を、訂正明細書の考案の構成要件としようとするものであり、訂正請求の要旨を変更するものであるから、実用新案法第41条によって準用する特許法第134条第5項によって更に準用する特許法第131条第2項の規定により認められない。

2-2.訂正明細書の考案
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正明細書の考案」という)は、平成12年5月19日付け手続補正書で補正された訂正明細書及び図面の記載からみてその実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「魚釣りを行っている使用状態で進出操作及び後退操作が行われる緩円錐形手元側竿体(1)と緩円錐形の補助竿体(2)とからなり竿体の長さと釣り糸の相対的長さを前記使用状態時に調整するための釣竿であり、
前記緩円錐形手元側竿体(1)の外周に、前記緩円錐形の補助竿体(2)を前記手元側竿体(1)に対して後方に向かって進出可能に套嵌し、
前記手元側竿体(1)の外周と前記補助竿体(2)の先端部内周とに、該補助竿体(2)の進出時に嵌合する第1嵌合部(7)を設けると共に、
前記補助竿体(2)の前記先端部内周と前記手元側竿体(1)の中間位置の外周とに、前記補助竿体(2)の後退時、互いに嵌合する第2嵌合部(8)を設ける一方、
前記補助竿体(2)を前記手元側竿体(1)よりも短く形成して、前記手元側竿体(1)の先側部分に、前記補助竿体(2)の前記後退時に、前記手元側竿体(1)が前記補助竿体(2)に対して前記第2嵌合部(8)の前方に露出させ、握って前記補助竿体(2)を手元側竿体(1)に対して進出させるための非套嵌部(13)を形成すると共に、
前記手元側竿体(1)の手元側端部の外径を前記補助竿体(2)の後端部の内径よりも小径とし、
前記補助竿体(2)の後端部に、前記補助竿体(2)の前記先端部内周と手元側竿体(1)の外周とが前記第2嵌合部(8)により嵌合する前記後退時に、前記手元側竿体(1)の竿尻内周面(14)に外周面が嵌合する第3嵌合部(5)を設け、かつ、第3嵌合部(5)の嵌合長さを、第2嵌合部(8)の嵌合長さより長くしたことを特徴とする釣竿。」
により特定されるものである。

2-3.引用例記載の考案
訂正拒絶理由で引用した実願昭59-108218号(実開昭61-25772号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、「釣竿」に関し、次の事項が記載されている。
(a-1)「本考案は、第5図に示すような継ぎ部品4によって竿の長さを伸ばし得るようにした釣竿に於て、この伸縮機構を竿と一体化しようとするものである。しかも伸張操作がし易いように握り部分に続いて直ちに設けて伸長操作をスムーズに行いうるようにしようとするものである。」(4頁6?11行)、
(a-2)「第2図は元竿1bと握り部1cとの連結構造を示す。第2図(a)の如く元竿1bはその基部に振出し合せ部・・・6を有し、この振出し合せ部6と一定寸法離れたところに並継合せ部・・・7を有している。元竿1bの上述した構造に対応して握り部1cはその先端部に振出し合せ用のテーパー部6′とこのテーパー部6′の先に隣接して並継ぎ合せ用の筒状部7′を備えている。第2図(b)は元竿1bの振出し合せ部6と握り部1cのテーパー部6′とが係合した状態、即ち、竿が伸長した状態を示している。第2図(c)は第2図(b)の状態から竿を縮めた状態で、元竿1bの並継合せ部7が握り部1cの筒状部7′と係合している。」(5頁1?15行)、
(a-3)「第3図は第2図に於ける並継合せ部の別の例を示す。この場合並継合せ部を合せ部と考えないで、一種のがた防止と考え、握り部1cの基部に並継用の部品8を固着し、該部品8に対し元竿1bの端を並継ぎ合せするようにしてもよい。」(6頁1?5行)、
(a-4)「以上の如く、本考案は伸長機構を元竿と握り部との間に竿と一体的に設けたので、伸縮がきわめて容易である。」(6頁11?13行)。
(a-5)第2図、第3図に元竿と握り部の連結構造が示されていて、元竿1bの先側部分に、握り部1cの前記後退時に、前記元竿1bが、前記握り部1cの筒状部7′の前方に露出し、握って前記握り部1cを元竿1bに対して進出させることのできる部分を有していることが認められる。
そして、引用例記載の釣竿が、魚釣りを行っている使用状態で進出操作及び後退操作を行うことができることは明らかであるから、上記記載及び図面の記載によると、引用例には、
魚釣りを行っている使用状態で進出操作及び後退操作が行える緩円錐形の元竿1bと緩円錐形の握り部1cとからなり竿体の長さと釣り糸の相対的長さを前記使用状態時に調整できる釣竿であり、前記元竿1bの外周に、前記握り部1cを前記元竿1bに対して後方に向かって進出可能に套嵌し、前記元竿1bの振出し合せ部6と前記握り部1cのテーパー部6′とに、該握り部1cの進出時に嵌合する嵌合部分を設けると共に、前記握り部1cの筒状部7′と前記元竿1bの中間位置にある並継合せ部7とに、前記握り部1cの後退時、がたを防止する程度に互いに嵌合する並継合せ部分を設ける一方、前記握り部1cを前記元竿1bよりも短く形成して、前記元竿1bの先側部分に、前記握り部1cの前記後退時に、前記元竿1bが、前記握り部1cの筒状部7′の前方に露出し、握って前記握り部1cを元竿1bに対して進出させることのできる部分を有すると共に、前記元竿1bの手元側端部の外径を前記握り部1cの後端部の内径よりも小径とし、前記握り部1cの後端部に、前記握り部1cの先端の前記筒状部7′内周と元竿1bの並継合せ部7の外周とが嵌合する前記後退時に、前記元竿1bの竿尻内周面に外周面が嵌合する部品8の並継ぎ合せ部を設けた釣竿(以下、「引用例の考案」という)が記載されていると認められる。

2-4.対比・判断
訂正明細書の考案と引用例の考案とを対比すると、引用例の考案の「元竿1b」が訂正明細書の考案の「手元側竿体(1)」に対応し、同様に、「握り部1c」が「補助竿体(2)」に、「元竿1bの振出し合せ部6と前記握り部1cのテーパー部6′と・・・嵌合する嵌合部分」が「手元側竿体(1)の外周と前記補助竿体(2)の先端部内周と・・・嵌合する第1嵌合部(7)」に、「握り部1cの筒状部7′と前記元竿1bの中間位置にある並継合せ部7とに・・・互いに嵌合する並継合せ部分」が「補助竿体(2)の前記先端部内周と前記手元側竿体(1)の中間位置の外周とに、・・・互いに嵌合する第2嵌合部(8)」に、「進出させることのできる部分」が「進出させるための非套嵌部(13)」に、「元竿1bの竿尻内周面に外周面が嵌合する部品8の並継ぎ合せ部」が「手元側竿体(1)の竿尻内周面(14)に外周面が嵌合する第3嵌合部(5)」にそれぞれ対応しているから、両者は、
魚釣りを行っている使用状態で進出操作及び後退操作が行われる緩円錐形手元側竿体と緩円錐形の補助竿体とからなり竿体の長さと釣り糸の相対的長さを前記使用状態時に調整するための釣竿であり、前記緩円錐形手元側竿体の外周に、前記緩円錐形の補助竿体を前記手元側竿体に対して後方に向かって進出可能に套嵌し、前記手元側竿体の外周と前記補助竿体の先端部内周とに、該補助竿体の進出時に嵌合する第1嵌合部を設けると共に、 前記補助竿体の前記先端部内周と前記手元側竿体の中間位置の外周とに、前記補助竿体の後退時、互いに嵌合する第2嵌合部を設ける一方、前記補助竿体を前記手元側竿体よりも短く形成して、前記手元側竿体の先側部分に、前記補助竿体の前記後退時に、前記手元側竿体が前記補助竿体に対して前記第2嵌合部の前方に露出させ、握って前記補助竿体を手元側竿体に対して進出させるための非套嵌部を形成すると共に、前記手元側竿体の手元側端部の外径を前記補助竿体の後端部の内径よりも小径とし、前記補助竿体の後端部に、前記補助竿体の前記先端部内周と手元側竿体の外周とが前記第2嵌合部により嵌合する前記後退時に、前記手元側竿体の竿尻内周面に外周面が嵌合する第3嵌合部を設けた釣竿で一致し、
訂正明細書の考案が、「第3嵌合部(5)の嵌合長さを、第2嵌合部(8)の嵌合長さより長くし」ているのに対し、引用例の考案は前記構成を備えていない点で構成が相違する(なお、前記一致点及び相違点については被請求人も認めていることである(平成12年(行ケ)第327号 審決取消請求事件の判決参照)。
なお、被請求人は、「本件考案の構成要件における『第1嵌合部(7)をなす補助竿体(2)の先端部内周』と、構成要件における『第2嵌合部(8)をなす前記補助竿体(2)の前記先端部内周』とは同一の部分により構成されているのに対して、引用例の考案においては、本件考案の補助竿体に相当する握り部lcには、元竿lbの構造に対応してその先端部に振出し合せ用のテーパー部6′と、このテーパー部6′の先に隣接して並継ぎ合せ用の筒状部7′を別々に備えている」(下記の「4-2.被請求人の主張」参照)と主張する。
しかしながら、訂正明細書の考案の第1嵌合部(7)をなす「補助竿体(2)の先端部内周」は、補助竿体(2)の後方への進出時に手元側竿体(1)の第2合わせ部(12)と嵌合するから、先端の内径より後方の内径が大きいテーパー状をしており、また、第2嵌合部(8)をなす「補助竿体(2)の先端部内周」は、補助竿体(2)の後退時に第1合わせ部(11)と嵌合するから、先端の内径が後方の内径より大きいテーパー状をしていると考えられる。したがって、第1嵌合部(7)をなす「補助竿体(2)の先端部内周」と第2嵌合部(8)をなす「補助竿体(2)の先端部内周」は、そのテーパーの形状が異なっており、同一の部分により構成されているとは認められないから、訂正明細書の考案と引用例の考案とに被請求人の主張するような構成の差異があるとは認められない(訂正明細書の考案の「補助竿体(2)の先端部内周」は、上記「第1嵌合部(7)をなす『補助竿体(2)の先端部内周』」と上記「第2嵌合部(8)をなす『補助竿体(2)の先端部内周』」を含むものということができる)。
上記相違点について検討する。
上記(a-1)ないし(a-4)の記載と第2図、第3図が図示するところによれば、引用例の第3図に示された実施例には、握り部(訂正明細書の考案の「補助竿体」に相当)の基部に設けた部品8と元竿1b(訂正明細書の考案の「手元側竿体」に相当)の振出合せ部6とが嵌合されて並継ぎ合わせられ、第2図において元竿の並継合せ部7として示された竿径を大きくした部分を、合わせ部ではなく、「がた防止手段」とした釣竿が開示されていると認められる(訂正明細書の考案と対応させると、竿を縮めた状態における上記がた防止手段(並継合せ部7)と筒状部7′との嵌合部分が、訂正明細書の考案の「第2嵌合部」に、元竿1bの振出合せ部6と部品8との並継ぎ合せ部分が訂正明細書の考案の「第3嵌合部」にそれぞれ相当する。以下、〔 〕内は対応する訂正明細書の考案の部位名称)
そして、部品8と元竿1bの振出合せ部6との並継ぎ合せ部〔第3嵌合部〕が、部品8に対して元竿1bの振出合せ部6をしっかりと嵌着させる機能を有するのに対し、がた防止手段と筒状部7′との嵌合部分〔第2嵌合部〕は、がたを防止する程度、すなわち音を立てて揺れ動くことがないという程度に嵌合されていれば足りるものであるから、上記並継ぎ合わせ部〔第3嵌合部〕の嵌合力が、がた防止手段と筒状部7′との嵌合部分〔第2嵌合部〕の嵌合力よりも強いことは、当業者にとって自明であるというべきである。
そうすると、引用例には、部品8と元竿1bの振出合せ部6との並継ぎ合せ部〔第3嵌合部〕の嵌合力を「がた防止手段」と筒状部7′との嵌合部分〔第2嵌合部〕の嵌合力よりも強くすることが実質的に記載されていると認められる。
引用例には、訂正明細書の考案の「第2嵌合部」に相当する「がた防止手段と筒状部7′との嵌合部分」の長さ、同じく「第3嵌合部」に相当する「元竿1bの振出合わせ部6と部品8との並継ぎ合わせ部分」の長さについては、明示の記載がない。
しかしながら、可撓性のある材料から成る釣竿を圧入により嵌合する場合、その嵌合面に作用する嵌合力とは、圧入によって嵌合部分の内外面に発生した歪みに基づく応力であると考えられるから、その嵌合力を大きくするための1つの手段として、嵌合する接触面積を大きくすることは、当業者にとって自明ないし極めて自然な選択に属する技術的手段であると認められる。また、がた防止のための嵌合部は、嵌合長さが短くてよいことも当然のことであり(極端にいえば短い突起でも足りる)、その長さをどの程度にするかは、当業者が適宜選択し得る設計事項にすぎない。
してみると、引用例の考案において、訂正明細書の考案の第3嵌合部に相当する「元竿1bの振出合わせ部6と部品8との並継ぎ合わせ部分」の嵌合長さを長くし、第2嵌合部に相当する「がた防止手段と筒状部7′との嵌合部分」の嵌合長さを短くし、結果として、前者の嵌合長さを後者の嵌合長さより長いものとすることは、各嵌合部分について当業者が極めて自然に選択する技術的手段の単純な組み合わせという程度のものであって、当業者が極めて容易に想到することができたものというべきである。
そして、訂正明細書の考案が引用例の考案と格別に異なる効果を奏すると認めることはできない。
したがって、訂正明細書の考案は上記引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められる。
なお、竿体に対して伸縮させる手元側竿体の後退時に、手元側竿体の竿尻内周面に外周面が嵌合する嵌合部を一体に設けた尻栓を、竿体の後端部に取付けることは、周知であり(例えば、実公昭47-26390号公報、特開昭59-125831号公報、参照)、引用例の考案において、部品8を前記周知な尻栓にすることは当業者ならきわめて容易に想到できることであるから、平成14年7月26日付け補正が訂正請求書の要旨を変更するものではないとしても、訂正明細書の考案は上記引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

2-5.むすび
以上のとおり、訂正明細書の考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない。
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第2項で読み替えた実用新案法第40条第5項で準用する実用新案法第39条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.無効審判について
3-1.請求人の主張
請求人は、下記の証拠方法を提示し、本件実用新案登録は、次の理由により昭和62年改正前の実用新案法第37条第1項第2号に該当するから、無効にされるべきである旨主張している。
(A)本件実用新案登録に係る考案は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当し、実用新案登録を受けることができない。
(B)本件実用新案登録に係る考案は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

甲第1号証:実願昭59-108218号(実開昭61-25772号)のマイクロフィルム
甲第2号証:実願昭52-39196号(実開昭53-135392号)のマイクロフィルム
甲第3号証:特開昭58-146224号公報

3-2.被請求人の主張
(1)「本件考案の構成要件における「第1嵌合部(7)をなす補助竿体(2)の先端部内周」と、構成要件における「第2嵌合部(8)をなす前記補助竿体(2)の前記先端部内周」とは同一の部分により構成されているのに対して、引用例の考案においては、本件考案の補助竿体に相当する握り部lcには、元竿lbの構造に対応してその先端部に振出し合せ用のテーパー部6′と、このテーパー部6′の先に隣接して並継ぎ合せ用の筒状部7′を別々に備えているものであり、その構造は、それに対応する元竿lbの構造をもふくめて複雑であり、両者は明らかに相違している。」(平成14年7月26日付け意見書3頁27行?4頁7行)、
(2)「本件考案の構成要件『前記補助竿体(2)の後端部に、前記補助竿体(2)の前記先端部内周と手元側竿体(1)の外周とが前記第2嵌合部(8)により嵌合する前記後退時に、前記手元側竿体(1)の竿尻内周面(14)に外周面が嵌合する第3嵌合部(5)を一体に設けた尻栓(3)を取付け、かつ、第3嵌合部(5)の嵌合長さを、第2嵌合部(8)の嵌合長さより長くした』ことは、引用例には記載されておらず、それを示唆する記載もない。」(平成14年7月26日付け意見書4頁11?16行)、
(3)本件考案は、上記構成により、「正確な寸法精度で一体成形され、また一体成形された尻栓(3)により補助竿体(2)の後端に正確に取付けられた第3嵌合部(5)の外周面に、成形用芯金に接して成形されることにより正確な寸法精度に形成された手元側竿体(1)の竿尻内周面(14)を嵌合させることにより、後退した補助竿体(2)を正確、有効に保持することができるものである。
そのように寸法精度の高い嵌合部が確保できる第3嵌合部(5)の嵌合長さを長くすることにより、寸法精度の出ない手元側竿体(1)の外周面が嵌合する第2嵌合部(8)の嵌合長さを短くできるのである。」(平成14年7月26日付け意見書6頁12行?20行)。

3-3.本件考案
訂正請求が認められないから、本件の請求項1に係る考案の要旨(以下、「本件考案」という)は、登録明細書及び図面の記載からみてその実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの、
「魚釣りを行っている使用状態で進出操作及び後退操作が行われる緩円錐形手元側竿体(1)と緩円錐形の補助竿体(2)とからなり竿体の長さと釣り糸の相対的長さを前記使用状態時に調整するための釣竿であり、
前記緩円錐形手元側竿体(1)の外周に、前記緩円錐形の補助竿体(2)を前記手元側竿体(1)に対して後方に向かって進出可能に套嵌し、
前記手元側竿体(1)の外周と前記補助竿体(2)の先端部内周とに、該補助竿体(2)の進出時に嵌合する第1嵌合部(7)を設けると共に、
前記補助竿体(2)の前記先端部内周と前記手元側竿体(1)の中間位置の外周とに、前記補助竿体(2)の後退時、互いに嵌合する第2嵌合部(8)を設ける一方、
前記補助竿体(2)を前記手元側竿体(1)よりも短く形成して、前記手元側竿体(1)の先側部分に、前記補助竿体(2)の前記後退時に、前記手元側竿体(1)が前記補助竿体(2)に対して前記第2嵌合部(8)の前方に露出させ、握って前記補助竿体(2)を手元側竿体(1)に対して進出させるための非套嵌部(13)を形成すると共に、
前記手元側竿体(1)の手元側端部の外径を前記補助竿体(2)の後端部の内径よりも小径とし、
前記補助竿体(2)の後端部に、前記補助竿体(2)の前記先端部内周と手元側竿体(1)の外周とが前記第2嵌合部(8)により嵌合する前記後退時に、前記手元側竿体(1)の竿尻内周面(14)に外周面が嵌合する第3嵌合部(5)を設けたことを特徴とする釣竿。」
であると認められる。

3-4.甲号証記載の考案
甲第1号証は、訂正拒絶理由で引用した引用例であり、甲第1号証には、「2-3.引用例記載の考案」に記載した考案が記載されている。

3-5.対比・判断
本件考案と甲第1号証記載の考案とを対比すると、甲第1号証記載の考案の「元竿1b」が本件考案の「手元側竿体(1)」に対応し、同様に、「握り部1c」が「補助竿体(2)」に、「元竿1bの振出し合せ部6と前記握り部1cのテーパー部6′と・・・嵌合する嵌合部分」が「手元側竿体(1)の外周と前記補助竿体(2)の先端部内周と・・・嵌合する第1嵌合部(7)」に、「握り部1cの筒状部7′と前記元竿1bの中間位置にある並継合せ部7とに・・・互いに嵌合する並継合せ部分」が「補助竿体(2)の前記先端部内周と前記手元側竿体(1)の中間位置の外周とに、・・・互いに嵌合する第2嵌合部(8)」に、「進出させることのできる部分」が「進出させるための非套嵌部(13)」に、「元竿1bの竿尻内周面に外周面が嵌合する部品8の並継ぎ合せ部」が「手元側竿体(1)の竿尻内周面(14)に外周面が嵌合する第3嵌合部(5)」にそれぞれ対応しているから、両者は、
魚釣りを行っている使用状態で進出操作及び後退操作が行われる緩円錐形手元側竿体と緩円錐形の補助竿体とからなり竿体の長さと釣り糸の相対的長さを前記使用状態時に調整するための釣竿であり、前記緩円錐形手元側竿体の外周に、前記緩円錐形の補助竿体を前記手元側竿体に対して後方に向かって進出可能に套嵌し、前記手元側竿体の外周と前記補助竿体の先端部内周とに、該補助竿体の進出時に嵌合する第1嵌合部を設けると共に、前記補助竿体の前記先端部内周と前記手元側竿体の中間位置の外周とに、前記補助竿体の後退時、互いに嵌合する第2嵌合部を設ける一方、前記補助竿体を前記手元側竿体よりも短く形成して、前記手元側竿体の先側部分に、前記補助竿体の前記後退時に、前記手元側竿体が前記補助竿体に対して前記第2嵌合部の前方に露出させ、握って前記補助竿体を手元側竿体に対して進出させるための非套嵌部を形成すると共に、前記手元側竿体の手元側端部の外径を前記補助竿体の後端部の内径よりも小径とし、前記補助竿体の後端部に、前記補助竿体の前記先端部内周と手元側竿体の外周とが前記第2嵌合部により嵌合する前記後退時に、前記手元側竿体の竿尻内周面に外周面が嵌合する第3嵌合部を設けた釣竿で一致し、構成の差異は認められない。
したがって、本件考案は、甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当し、実用新案登録を受けることができない。

3-6.むすび
以上のとおりであるから、本件実用新案登録は、昭和62年改正前の実用新案法第37条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-06-08 
結審通知日 2000-06-20 
審決日 2000-07-07 
出願番号 実願平3-24000 
審決分類 U 1 112・ 113- ZB (A01K)
U 1 112・ 121- ZB (A01K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 斉藤 達夫郡山 順小島 寛史  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 村山 隆
二宮 千久
登録日 1997-05-30 
登録番号 実用新案登録第2548502号(U2548502) 
考案の名称 釣竿  
代理人 石川 泰男  
代理人 山本 晃司  
代理人 小林 茂雄  
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