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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G01J
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない G01J
管理番号 1069053
審判番号 訂正2002-39020  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-01-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2002-01-23 
確定日 2002-11-25 
事件の表示 実用新案登録第2149473号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2149473号の請求項1に係る考案についての出願は、昭和63年2月1日に出願され、平成6年5月18日に出願公告され、平成10年2月27日に、その考案について実用新案の設定登録がなされた。
その後、平成12年11月6日に、その実用新案登録を無効とすることについて審判が請求され(無効2000-35609号)、平成13年11月13日付けで、その実用新案登録を無効とする旨の審決がなされた。その理由は、その考案は、出願前頒布された刊行物に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、平成5年改正前の実用新案法第37条第1項の規定に該当する、というものである。
平成13年12月25日に、この審決に対する訴えが東京高等裁判所に提起された。
本件審判請求は、平成14年1月23日になされたもので、実用新案登録第2149473号の明細書を請求書に添付した明細書のとおりに訂正することを求めるものである。これに対して、訂正拒絶理由が通知され、意見書が提出された。
2.訂正の内容
本件審判請求に係る訂正事項は、次のとおりである。
訂正事項1
登録明細書の請求項1の記載
「【請求項1】窓部が形成されている箱体と、赤外線センサが設けられている基板と、赤外線集光レンズとを備え、前記基板は箱体に内蔵され、前記赤外線集光レンズは前記赤外線センサを全周から覆うごとく基板に取り付けられると共に、前記箱体の窓部から外部に露出して設けられ、前記赤外線集光レンズと基板には、赤外線集光レンズの焦点が赤外線センサの位置になるように、互いの相対位置を位置決めする位置決め用係合部が設けられている事を特徴とする赤外線感知装置。」を、
「【請求項1】窓部が形成されている箱体と、赤外線センサが設けられている基板と、赤外線集光レンズとを備え、前記基板は箱体に内蔵され、前記赤外線集光レンズは、前記赤外線センサを全周から覆うごとく、かつ赤外線集光レンズの焦点が赤外線センサの位置になるように、赤外線集光レンズと基板に、互いの相対位置を位置決めする位置に配置されて設けられた、互いに抜け防止状態で係合する位置決め用係合爪と位置決め用係合穴によって、基板に係合されると共に、前記箱体の窓部から外部に露出して設けられている事を特徴とする赤外線感知装置。」に訂正する。
訂正事項2
登録明細書の(課題を解決するための手段)の欄(公告公報第3欄11行-16行)の
「前記赤外線集光レンズは前記赤外線センサを全周から覆うごとく基板に取り付けられると共に、前記箱体の窓部から外部に露出して設けられ、前記赤外線集光レンズと基板には、赤外線集光レンズの焦点が赤外線センサの位置になるように、互いの相対位置を位置決めする位置決め用係合部が設けられている手段とした。」を、
「前記赤外線集光レンズは、前記赤外線センサを全周から覆うごとく、かつ赤外線集光レンズの焦点が赤外線センサの位置になるように、赤外線集光レンズと基板に、互いの相対位置を位置決めする位置に配置されて設けられた、互いに抜け防止状態で係合する位置決め用係合爪と位置決め用係合穴によって、基板に係合されると共に、前記箱体の窓部から外部に露出して設けられている手段とした。」に訂正する。
訂正事項3
登録明細書の(作用)の欄(公告公報第3欄19行-20行)の
「赤外線集光レンズと基板の位置決め用係合部」を、
「赤外線集光レンズと基板に設けた位置決め用係合爪と位置決め用係合穴」に訂正する。
3.判断
3-1.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項1は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2,3は、訂正事項1により訂正された実用新案登録請求の範囲の記載に整合するように考案の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項1-3は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3-2.独立登録要件
3-2-1.訂正後の考案
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正考案」という。)は、訂正された明細書及び図面の記載からみて実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
【請求項1】窓部が形成されている箱体と、赤外線センサが設けられている基板と、赤外線集光レンズとを備え、前記基板は箱体に内蔵され、前記赤外線集光レンズは、前記赤外線センサを全周から覆うごとく、かつ赤外線集光レンズの焦点が赤外線センサの位置になるように、赤外線集光レンズと基板に、互いの相対位置を位置決めする位置に配置されて設けられた、互いに抜け防止状態で係合する位置決め用係合爪と位置決め用係合穴によって、基板に係合されると共に、前記箱体の窓部から外部に露出して設けられている事を特徴とする赤外線感知装置。
3-2-2.引用刊行物
無効2000-35609号の審決の理由で引用された刊行物は次のものである。
引用例1:特開昭62-147325号公報
引用例2:特開昭59-82780号公報
引用例3:欧州特許出願公開98521号公報
引用例1には、人体等を検知する熱線感知器に関する技術が記載されており、以下のような記載がある。
(1)第2頁、右上欄3-16行
「第1図乃至第10図は本発明の一実施例を示す図であり、光学系としてフレネルレンズ2を用いることにより小型化を図るものであり、器具本体としてベース3、ボディ10、カバー5にて構成したものである。........本実施例では第3図に示すように背面が開口された箱型のボディ10である。そしてボディ10の前面に熱線素子1に熱線を集光するフレネルレンズ2が取着される部分を開口し、この前面の開口上下縁を半円形状に突出させた突部11を設け、この突部11の曲面形状はフレネルレンズ2の曲面と合わせてある。」
(2)第2頁、左下欄15行-右下欄2行
「次にベース3に関して説明する。このベース3は後述するプリント基板ブロック9が収納される第2のベース31と、実際に造営物の壁面などに取り付けられる第1のベース32との2ピースにて構成され、両ベース31、32ともに前面が開口された箱型であり、第2のベース31の背面の下辺と第1のベース32の開口の下辺とがヒンジ機構による結合してある。」
(3)第3頁、左上欄9行-右上欄16行
「ここで、ボディ10とプリント基板ブロック9とベース3との組み立て状態を説明しておく。プリント基板4は第2のベース31内に収納され、このときプリント基板4とベース3とは何等のねじ止めなどの取付手段を昂じない。そして第2のベース31にプリント基板ブロック9が収納された状態で第2のベース31の側面の内面側にボディ10の側面が摺接するようにして第2のベース31にボディ10を被着する。このときボディ10の側面に形成された爪13の係止片14は第2のベース31の内側面にて押圧されて内方にたわむ。ここで、第7図に示すように第2のベース31の内側面と背面の裏側とが交わるコーナ部分に開口方向に凹所35が穿設してあり、さらに内側面から開口方向に直交する方向に突起36が突設してある。したがって、ボディ10の爪13が第2のベース31の突起36を乗り越えるようにボディ10を押し込むことにより爪13が凹所35内に嵌合されるとともに、係止片14が外方に復帰して突起36に当接してボディ10が第2のベース31に固着される。......
第9図及び第10図はカバー5を示す図であり、フレネルレンズ2を挿通する開口部51が穿設された前面を有した背面開口の箱型の形状を呈している。」
(4)第3頁、左下欄6-14行
「上記カバー5とベース3との被着は次のように行う。ここで第2のベース31の開口縁にはリブ(図示せず)が突設してあり、このリブの外形がカバー5の開口部の内径と等しく形成してあり、カバー5の開口部をベース3の開口部に圧入することにより第1のベース3とカバー5とを被着することができるものである。上述のようにして組み立てれた熱線感知器の組み立て後の外観図を第2図に示す。」
引用例2には、電磁波源と共に使用するためのレンズ及び装着具に関する技術が記載されており、以下のような記載がある。
(1)第2頁、右下欄7-13行
「本発明は、概して放射線の放出器及びセンサと及び関係したレンズの装着に関し、詳細には放出された放射線あるいは検出されるべき放射線(例えば赤外線)をコリメートあるいは収束させるためのレンズを備えたレンズ・キャップ内にそのような放出器及びセンサをコンパクトに装着することに関する。」
(2)第3頁、右上欄6-13行
「本発明の別の目的は、少なくとも2つの後方に延びたばね指状部(レンズに対し片持式に装着されている)を定めるスロット付きスカート部を備えたキャップを提供することであり、これら指状部は放出器デバイスあるいは検出器デバイスを側方で受けるように互いに離間するように適合されており、かつこれら指状部はデバイスをレンズに対し精密に位置決定するための溝を定める。」
(3)第3頁、左下欄7行-第4頁、左上欄2行
「第1図乃至第5図において、レンズ・キャップ10は前方レンズ11と、レンズとの接合部13から後方に突き出た2つの同じばね指状部12と、レンズとの接合部15から後方に突き出たおおい指状部14と、を含む。指状部12及び14は、ゾーン16を定めるスカートを形成すると考えることができ、このゾーン16は赤外線の検出器又は放出器(即ちデバイス)を受ける。これらレンズ及び指状部(即ちスカート)は、..........注目すべきことは、指状部の平らな下方縁部12aが回路板25の表面25aに着座するように適合されていること、並びにレンズ11の1体となった下方突起部26が回路板の穴27内に位置してレンズ・キャップを回路板上に位置決めする。更に、端子28は、デバイス20から下方へ延びて回路板25の1以上の開口29を通して突き出て、回路板の「半田付け側」の半田層30と接触してこれにより位置決めされる。」
(4)第4頁、左上欄11行-右上欄9行
「カム面31はデバイス20と係合してこれを前方へ肩部38に向かって押し付け、それによってデバイスを軸100に沿って正確に位置決めする。
おおい指状部14は、上向きの円筒状の凸部35に加えて、平らな下方面36を有しており、この面はデバイス20の上面20bと係合可能であり、このデバイスを垂直方向においてゾーン16内に位置決めする。溝22の下方の縁部又は肩部22bもまたデバイスを垂直方向において主として位置決めするように作用し、この目的のため、指状部14もまたばね指状部(片持ち式)から成ってもよく、それによってゾーン16内へのデバイス20の上方挿入に応じて上方に弾性的に曲がりそしてデバイスを下方に肩部22bに押し当てて保持する。
指状部12の前方肩部38は、第3図に示すように前方に即ち軸100に沿ってデバイスを位置決めする。」
(5)第4頁、右上欄10-18行
「次に第2図、第8図、及び第11図を参照すると、見られるように1体プラスチック・レンズ11は前面11aを有し、この曲率は後面11bよりも大きい。前面11aは代表的には非球面であるが、後面11bは球面である。これら面は、平行な光線40(第8図)を受けてこれら光線を41で正確にデバイス20(この場合、放射線検出器)の検出素子42に向けて収束させるように構成または形成される。」
引用例3には、フレネルレンズ9がその焦点に位置する赤外線感知器1を全周から覆うことが記載されている。
3-2-3.訂正考案と引用刊行物記載の考案との比較、判断
訂正考案の「赤外線集光レンズ」は、訂正明細書及び図面の記載からみて、レンズ作用を有する部分のみをいうのではなく、レンズ作用を有しない部分(実施例のフラット面31に相当する部分)をも含めたものをいうものと理解される。また、「赤外線集光レンズの焦点」は、「赤外線集光レンズのうちレンズ作用を有する部分の焦点」をいうものと理解される。
引用例2には、デバイス20が設けられている回路板25とレンズ・キャップ10とを備えた装置が記載されている。そして、引用例2の記載から明らかなように、デバイス20は、赤外線の検出器又は放出器であり、レンズ・キャップ10は、前方レンズ11とばね指状部12とおおい指状部14とを含み、レンズ11の焦点がデバイス20の位置になるように配置されている。また、位置決めについて次のイ?ハのような構成が採用されている。
イ.レンズ11の1体となった下方突起部26が回路板の穴27内に位置してレンズ・キャップを回路板上に位置決めする。
ロ.端子28は、デバイス20から下方へ延びて回路板25の1以上の開口29を通して突き出て、半田層30と接触して位置決めされる。
ハ.おおい指状部14の平らな下方面36はデバイス20の上面20bと係合可能であり、このデバイスを垂直方向においてゾーン16内に位置決めし、溝22の下方の縁部又は肩部22bもまたデバイスを垂直方向において主として位置決めするように作用する。指状部12の前方肩部38は、第3図に示すように前方に即ち軸100に沿ってデバイスを位置決めする。
訂正考案と引用例2に記載された装置(以下、「引用考案」という。)とを比較すると、引用考案のデバイスである赤外線の検出器、回路板、レンズ・キャップは、それぞれ、訂正考案の赤外線センサ、基板、赤外線集光レンズに相当するから、引用考案は、赤外線センサが設けられている基板と、赤外線集光レンズとを備える赤外線感知装置である。また、引用考案において、レンズ・キャップと回路板は上記イのように、デバイスと回路板は上記ロのように、それぞれ位置決めされており、そして、引用例2の記載(5)からも明らかなように、レンズ11の焦点がデバイス20の検出素子42の位置になるように位置決めされている。したがって、引用考案において、赤外線集光レンズは、赤外線集光レンズの焦点が赤外線センサの位置になるように、赤外線集光レンズと基板に、互いの相対位置を位置決めする位置に配置されて設けられた、位置決め用係合部によって、基板に係合される、ものである、ということができる。
そうすると、訂正考案と引用考案は、
赤外線センサが設けられている基板と、赤外線集光レンズとを備え、赤外線集光レンズは、赤外線集光レンズの焦点が赤外線センサの位置になるように、赤外線集光レンズと基板に、互いの相対位置を位置決めする位置に配置されて設けられた、位置決め用係合部によって、基板に係合されることを特徴とする赤外線感知装置
である点で一致し、次の3点で相違する。
相違点1 訂正考案は、窓部が形成されている箱体を備え、基板は箱体に内蔵され、赤外線集光レンズは、箱体の窓部から外部に露出して設けられている、のに対し、引用考案は、そのような構成を有しない点。
相違点2 訂正考案は、赤外線集光レンズは赤外線センサを全周から覆うごとく、基板に係合されている、のに対し、引用考案は、そのような構成を有しない点。
相違点3 位置決め用係合部が、訂正考案は、互いに抜け防止状態で係合する位置決め用係合爪と位置決め用係合穴、であるのに対し、引用考案は、そのようなものではない点。
相違点について検討する。
相違点1について、
部品の保護や取扱いの便宜等のため部品を箱体に内蔵することは、技術分野を問わずなされている周知技術であり、引用考案においても必要があれば、箱体を備えるようにし、基板等の部品を箱体に内蔵させるようにしてもよいことは、当業者に明らかである。その際、赤外線集光レンズは箱体から外部に露出しなければならないことは当然であり、そのため箱体は窓部が形成されているものでなければならないこともまた、当然である。しかも引用例1には、開口部51が穿設されたカバー5とベースからなるもの(訂正考案の箱体に相当)に熱線素子1(訂正考案の赤外線センサに相当)が設けられたプリント基板4(訂正考案の基板に相当)が内蔵された熱線感知器が記載されているように、赤外線感知装置において、窓部が形成されている箱体を備え、赤外線センサが設けられている基板を箱体に内蔵するようになすことは知られている。したがって、引用考案において、相違点1に係る構成を採用することは、当業者であれば格別の工夫を要することなくなしえる設計上の事項である。
相違点2について、
引用考案でも、レンズ・キャップ10はデバイス20をほぼ全周から覆うごとくなされており、塵、埃や風の侵入防止、デバイスや回路板の保護、集光効率の向上、等の効果を高めるため全周からの覆いをより確実なものとすることは、当業者にとって、十分考えられることである。しかも、引用例1には、フレネルレンズ2を取着したボディ10により、熱線素子1が設けられたプリント基板4を全周から覆うことが記載されている。そして、前記のように、訂正考案の赤外線集光レンズは、レンズ作用を有する部分とレンズ作用を有しない部分とからなるものをいうのであるから、引用例1のフレネルレンズ2を取着したボディ10は、訂正考案の赤外線集光レンズに相当するものであり、したがって、引用例1では、赤外線集光レンズが赤外線センサを全周から覆うごとく構成されている、ということができる。また、引用例3には、フレネルレンズ9がその焦点に位置する赤外線感知器を全周から覆うことが記載されている。したがって、引用考案において相違点2に係る構成を採用することは、当業者が格別の工夫を要することなくなしうる設計上の変更である。
相違点3について
係合爪と係合穴により抜け防止状態で係合することは、技術分野を問わず採用されている周知技術であり(必要ならば、実公昭34-19633号公報、実公昭34-20543号公報、実公昭43-20423号公報を参照されたい。なお、引用例1においても、爪13と凹所35により抜け防止状態で係合することが記載されている。)、引用考案において、このような周知技術を採用して位置決め用係合部の構成を相違点3に係るものとすることは当業者が格別の工夫を要することなくなしうることである。
以上のとおりであるから、訂正考案は、引用例1-3及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
なお、請求人は、意見書において、「引用例2には、「位置決め」に関して、大きく分けて3カ所の記載が認められる。第1は、........下方突起部26を回路板の穴27内に挿入してレンズ・キャップ10を回路板25上に位置決めすることであり、第2は、........デバイス20の端子28を回路板25の開口29で半田層30と接触して位置決めすることであり、第3は、........おおい状部14の下方面36でデバイス20の上面20bと係合してデバイスを垂直方向においてゾーン16内に位置決めし、溝22の下方縁部、肩部22bによってデバイス20を垂直方向に弾性的に位置決めし、さらに第3図に示すように、指状部12の前方肩部38によってデバイス20を軸方向100に沿って位置決めすることである。」(意見書、第4頁、12-21行)と述べ、この第3の位置決めによって、焦点位置を正確に設定するために必要な位置決めが行われているものであり、焦点位置を正確に設定するために必要な位置決めは、この位置決めで終了していると考えられるもので、第1の位置決めは、あくまでもレンズキャップ10と回路板25間での位置決めに過ぎないものであって、検出素子42とプラスチックレンズ11間の焦点位置を正確に設定するための位置決めには何ら関与していないものである、とし、したがって、訂正考案と引用考案の比較において、一致点、相違点の認定に誤りがある、と主張している。
しかしながら、訂正考案は、上記3-2-1で認定したとおりのものであり、位置決めに関しては、赤外線集光レンズと赤外線センサが設けられている基板の係合について具体的構成を特定するものであって、赤外線センサと基板の係合あるいは、赤外線集光レンズと赤外線センサの係合について具体的構成を特定するものではないから、引用例2に、赤外線センサと基板の係合あるいは、赤外線集光レンズと赤外線センサの係合について具体的構成が記載されているからといって、そのような具体的構成を特定しない訂正考案と引用考案が相違することにはならない。また、引用例2には、第3の位置決めですべての位置決めが終了しており、他の位置決めが不要であるという記載はないし、そもそも、訂正考案は、位置決めの手順を構成とするものでもない。そして、赤外線集光レンズと赤外線センサが設けられている基板の係合の具体的構成については上記のとおりであり、一致点についての認定に誤りはない。
したがって、意見書の主張は採用できない。
4.むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされる、平成5年改正前の実用新案法第39条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-09-27 
結審通知日 2002-10-02 
審決日 2002-10-16 
出願番号 実願昭63-12296 
審決分類 U 1 41・ 121- Z (G01J)
U 1 41・ 856- Z (G01J)
最終処分 不成立    
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 関根 洋之
後藤 千恵子
橋場 健治
森 竜介
登録日 1998-02-27 
登録番号 実用新案登録第2149473号(U2149473) 
考案の名称 赤外線感知装置  
代理人 河備 健二  
代理人 七條 耕司  

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