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審決分類 審判 全部申し立て   E04G
審判 全部申し立て   E04G
管理番号 1070566
異議申立番号 異議1999-74558  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2003-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-11-30 
確定日 2002-12-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第2595978号「作業用足場台」の請求項1ないし3に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2595978号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を取り消す。
理由 第1 経緯

本件実用新案登録第2595978号は、平成5年1月12日に出願され、平成11年3月26日に実用新案の設定登録がなされ、その後、粟野道敬及びアルインコ株式会社より、それぞれ請求項1ないし3に係る考案に対して実用新案登録異議の申立がなされ、平成12年6月28日付けで取消理由通知がなされ、平成12年9月11日付けで意見書とともに訂正請求書が提出され、平成13年5月7日付けで訂正拒絶理由通知がなされ、平成13年7月17日付けで意見書が提出され、平成13年9月17日付けで取消理由通知がなされ、平成13年11月27日付けで意見書とともに訂正請求書が提出され、平成14年7月22日付けで取消理由通知を兼ねる訂正拒絶理由通知がなされ、平成14年10月1日付けで意見書が提出された。なお、平成12年9月11日付け訂正請求書は平成14年6月3日に取り下げられた。

第2 平成13年11月27日付け訂正請求書による訂正の適否について

1.本件訂正考案
平成13年11月27日付けの訂正請求書による訂正事項は、(登録時の)実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする事項を含むものであり、訂正された考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める(以下、請求項1、2に係る考案を「本件訂正考案1、2」という。)
「【請求項1】長手状とした足場板(2)の両側部に、折畳接手具(10)を介して下面が湾曲面(23b)の脚体(3)を折畳自在に取付けてなる作業用足場台において、
前記折畳接手具(10)を、足場板(2)側に連結した固定側連結板(11)と、脚体(3)側に連結した可動側連結板(12)とを回動ピン(13)を介して回動自在に連結して構成すると共に、同折畳接手具(10)を足場板(2)に固定するストッパーピン(16)を、足場板(2)の左右側壁(6),(6)の内側に進退自在に取付け、脚体(3)を、折畳位置と、足場板(2)に対して直角となる位置と、直角位置よりも開脚した位置とに固定可能としたことを特徴とする作業用足場台。
【請求項2】脚体(3)を、C型状の支柱(8)内に入れ子式に装着した伸縮支柱(23)と、伸縮支柱(23)の内側面に形成した凸凹状のラック面(25)と、支柱(8)の溝部で、かつ最下端の踏桟(9)の上部に取付けた三角形状のケース(27)内に収納した凸凹状のラックシュ(26)とにより構成し、
ラックシュ(26)とラック面(25)との嵌合・解除を操作部(a)を介して行うように構成することにより脚体(3)の伸縮調節を行うべく構成したことを特徴とする請求項1記載の作業用足場台。」

2.本件訂正考案1について
(1)異議申立人アルインコ株式会社が異議申立書において提出した甲第4号証は、アルインコ株式会社代表取締役井上雄策の株式会社村上商店代表取締役村上嘉昭あての証明願であって、同号証に添付した添付資料2及び3によれば、株式会社ナカオは「台場GT100」、「台場GT130」(それぞれ、ダイバピッチGT100、同130を意味していることは明らかである。)を本件実用新案登録出願前の平成5年1月8日に株式会社村上商店に納入していることが認められ、当該納入によって、ダイバピッチGT100、同130は、公然と知られたものとなったと推認され、平成14年10月1日付けの意見書においても、この点に関する意見はない。
(2)また、同甲第4号証に添付した添付資料1である株式会社ナカオの「四脚調節式アルミ製台場 ダイバピッチGT」のパンフレット(以下、引用例1という。)には、長手状とした足場板の両側部に、折畳接手具を介して脚体が折畳自在に取付けられるとともに、同脚体には一定の間隔をあけた左右の支柱に複数の踏桟の両端部が連結された作業用足場台が記載され、1頁及び2頁の写真によれば、折畳接手具を、足場板側に連結した固定側連結板と、脚体側に連結した可動側連結板とを回動ピンを介して回動自在に連結して構成すると共に、同折畳接手具を足場板に固定するストッパーピンを、足場板の左右側壁の内側に進退自在に取付け、脚体を、少なくとも折畳位置と、直角位置よりも開脚した位置とを含む複数位置に固定可能とした構造、及び、1頁の写真及び2頁の右下の図面によれば、脚体を、支柱内に入れ子式に装着した伸縮支柱と、伸縮支柱の内側面に形成した凸凹状のラック面と、支柱の溝部で、かつ最下端の踏桟の上部に取付けた三角形状のケース内に収納した凸凹状のラックシュとにより構成され、ラックシュとラック面との嵌合・解除を操作部を介して行うようにした構造が認められる。
また、同甲第4号証に添付した株式会社ナカオの「四脚調節式アルミ製台場 ダイバピッチGT1300」の写真及び図面によれば、上記認定の構造が明確に記載されている。
(3)対比、判断
(ア)本件訂正考案1と、引用例1記載のものとを比較すると、両者は次の点で一致し、相違していると認められる。
一致点:
長手状とした足場板の両側部に、折畳接手具を介して脚体を折畳自在に取付けてなる作業用足場台において、
前記折畳接手具を、足場板側に連結した固定側連結板と、脚体側に連結した可動側連結板とを回動ピンを介して回動自在に連結して構成すると共に、同折畳接手具を足場板に固定するストッパーピンを、足場板の左右側壁の内側に進退自在に取付け、脚体を、折畳位置と、直角位置よりも開脚した位置とに固定可能としたことを特徴とする作業用足場台。
相違点1:
本件訂正考案1においては脚体の下面が湾曲面となっているのに対し、引用例1記載のものの脚体の下面は湾曲面となっているのかどうか明確でない。
相違点2:
本件訂正考案1においては、脚体を足場板に対して直角となる位置にも固定可能となっているのに対し、引用例1記載のものの脚体は、足場板に対して直角となる位置に固定可能となっていない。
(イ)相違点1について
本件訂正考案1は、明細書の段落番号0031において、脚体の支柱の下部の載置台23aの下面を相違点1のように湾曲面とすることにより、脚体の角度を調節しても足場台を安定させることができる旨記載しているが、湾曲面の形状が特定されていないことから、いかなる湾曲面であっても、そのことが直ちに明細書記載の上記作用効果を生じさせることに結びつくのか明確ではないものの、脚立において脚部下端部の下面を湾曲面とすることは、実願昭61-123494号(実開昭63-28798号)のマイクロフィルム(以下、引用例2という。)(第4図に示された脚立のパイプ脚1、2の下端部に設けられたキャップ16の下面は外側に向かって凸状の湾曲面となっている。)にも記載されているように本件実用新案登録出願前に公知であり、引用例1に記載された脚立に引用例2記載の技術的事項を適用すれば本件訂正考案1と同様な作用効果を奏すると考えられ、相違点1に係る構成とすることは当業者がきわめて容易にできたことにすぎない。
(ウ)相違点2について
異議申立人アルインコ株式会社が異議申立書において提出した甲第2号証(昭和3年実用新案出願公告第10394号公報)(以下、引用例3という。)(注:旧字体は適宜新字体を用いた)には、実用新案ノ性質、作用及効果ノ要領及び第1図ないし第4図の記載からみて、「支脚2´の一側部に折畳接手具を介して支脚2を連結しており、該折畳接手具を、支脚2´側に連結した固定側の圓盤4と、支脚2側に連結した可動側の取附金具3とを軸6を介して回動自在に連結して構成すると共に、同折畳接手具の固定側の圓盤4に設けた数個の杆孔7の一つに選択的に挿脱する支杆9を進退自在に取付け、支脚2を、折畳位置と、直角位置よりも開脚した位置を含む任意の角度位置に固定可能とするとともに、支脚2´の他側部に折畳接手具を介して繼梯子12を連結し、支脚2´に対して繼梯子12を回動させて、支杆16を折畳接手具の半圓盤14の杆孔15の一つに挿通させ、繼梯子12を折畳位置と、直角位置を含む任意の角度位置に固定可能とする、足場に使用する三折脚立梯子。」の考案が記載されていると認められ、第1図及び第3図には、支脚2´(本件訂正考案2の足場に相当)に対して繼梯子12を直角位置に固定することが記載されており、上記相違点2に係る構成は、引用例3に記載されている。
そして、引用例1に記載された脚立に引用例3記載の技術的事項を適用することは当業者がきわめて容易にできたことにすぎない。
また、本件訂正考案1が奏する明細書記載の作用効果は、引用例1に記載されたものに引用例2及び同3に記載されたものを適用することにより当然に生じる作用効果にすぎない。
(エ)したがって、本件訂正考案1は、引用例1ないし引用例3に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に該当する。

3.本件訂正考案2について
本件訂正考案2は本件訂正考案1を引用して「脚体を、C型状の支柱内に入れ子式に装着した伸縮支柱と、伸縮支柱の内側面に形成した凸凹状のラック面と、支柱の溝部で、かつ最下端の踏桟の上部に取付けた三角形状のケース内に収納した凸凹状のラックシュとにより構成し、ラックシュとラック面との嵌合・解除を操作部を介して行うように構成することにより脚体の伸縮調節を行うべく構成した」と限定したものであるが、上記引用例1には、当該限定に係る構成が記載されており、本件訂正考案2のその他の事項については、上記「2.本件訂正考案1について」で判断したとおりである。
したがって、本件訂正考案2は、引用例1ないし引用例3に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に該当する。

4.まとめ
以上のように、本件訂正考案1、2はいずれも実用新案法第3条第2項の規定に該当することから、本件実用新案登録出願前に独立して実用新案登録を受けることができないものである。
したがって、平成13年11月27日付け訂正請求書による訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第3項の規定(いわゆる独立特許要件)に適合しないので、適法な訂正とはいえない。

第3 異議の申立について

1.本件考案
本件考案は、登録時の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものと認める。(なお、平成12年9月11日付け訂正請求書は平成14年6月3日に取り下げられた。)
【請求項1】長手状とした足場板(2)の両側部に、折畳接手具(10)を介して脚体(3)を折畳自在に取付けてなる作業用足場台において、
前記折畳接手具(10)を、足場板(2)側に連結した固定側連結板(11)と、脚体(3)側に連結した可動側連結板(12)とを回動ピン(13)を介して回動自在に連結して構成すると共に、同折畳接手具(10)を足場板(2)に固定するストッパーピン(16)を進退自在に取付け、脚体(3)を、少なくとも折畳位置と、直角位置よりも開脚した位置とを含む複数位置に固定可能としたことを特徴とする作業用足場台。
【請求項2】脚体(3)を、足場板(2)に対して直角となる位置とに固定可能としたことを特徴とする請求項1記載の作業用足場台。
【請求項3】脚体(3)を、C型状の支柱(8)内に入れ子式に装着した伸縮支柱(23)と、伸縮支柱(23)の内側面に形成した凸凹状のラック面(25)と、支柱(8)の溝部で、かつ最下端の踏桟(9)の上部に取付けた三角形状のケース(27)内に収納した凸凹状のラックシュ(26)とにより構成し、
ラックシュ(26)とラック面(25)との嵌合・解除を操作部(a)を介して行うように構成することにより脚体(3)の伸縮調節を行うべく構成したことを特徴とする請求項1記載の作業用足場台。」
(以下、請求項1ないし3に係る考案を「本件考案1ないし3」という。)

2.本件考案1及び3について
(1)異議申立人アルインコ株式会社が異議申立書において提出した甲第4号証は、アルインコ株式会社代表取締役井上雄策の株式会社村上商店代表取締役村上嘉昭あての証明願であって、同号証に添付した添付資料2及び3によれば、株式会社ナカオは「台場GT100」、「台場GT130」(それぞれ、ダイバピッチGT100、同130を意味していることは明らかである。)を本件実用新案登録出願前の平成5年1月8日に株式会社村上商店に納入していることが認められ、当該納入によって、ダイバピッチGT100、同130は、公然と知られたものとなったと推認される。
(2)また、同甲第4号証に添付した添付資料1である株式会社ナカオの「四脚調節式アルミ製台場 ダイバピッチGT」のパンフレット(引用例1)には、上記「第2」、「2」、「(2)」に記載した事項が記載されていると認められる。
また、同甲第4号証に添付した株式会社ナカオの「四脚調節式アルミ製台場 ダイバピッチGT1300」の写真及び図面によれば、上記認定の構造が明確に記載されている。
(3)対比、判断
以上の認定によれば、引用例1には本件考案1及び3と同一の構成をしているものが記載されていると認められ、実用新案法第3条第1項第1号の規定に該当する。

3.本件考案2について
本件考案2は、本件考案1を引用して、「脚体(3)を、足場板(2)に対して直角となる位置に固定可能とした」と技術的に限定したものである。
しかしながら、上記引用例3には上記「第2」、「2」、「(3)」、「(ウ)」に記載した事項が記載されていると認められ、本件考案2における上記限定に係る構成は、引用例3に記載されている。
また、本件考案2が奏する明細書記載の作用効果は、引用例1に記載されたものに引用例3に記載されたものを適用することにより当然に生じる作用効果にすぎない。
したがって、本件考案2は、引用例1に記載された脚立に引用例3に記載された技術的事項を適用することにより当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に該当する。

4.まとめ

以上のように、本件考案1及び3は、実用新案法第3条第1項第1号の規定に該当し、本件考案2は実用新案法第3条第2項の規定に該当するので、本件考案1ないし3に係る実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものであって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2002-10-29 
出願番号 実願平5-504 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (E04G)
U 1 651・ 111- ZB (E04G)
最終処分 取消  
前審関与審査官 新井 夕起子  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 憲子
藤原 伸二
登録日 1999-03-26 
登録番号 実用新案登録第2595978号(U2595978) 
権利者 株式会社ナカオ
山口県下関市長府才川1丁目39番10号
考案の名称 作業用足場台  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 藤川 忠司  
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