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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) A45C |
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管理番号 | 1070571 |
判定請求番号 | 判定2002-60052 |
総通号数 | 38 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案判定公報 |
発行日 | 2003-02-28 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2002-05-15 |
確定日 | 2002-12-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3069620号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「ビーズおもちゃ」は、登録第3069620号の請求項3に係る登録実用新案の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1.本件請求の趣旨 イ号図面及びその説明書に示す「ビーズおもちゃ」(以下、「イ号物件」という。)は、実用新案登録第3069620号の請求項3に係る登録実用新案の技術的範囲に属さない、との判定を求める。 2.本件考案 (イ)実用新案登録第3069620号については、無効審判の請求がなされ(審判2001-40011号)、「請求項1、2、4に係る考案についての実用新案登録を無効とする。請求項3に係る考案についての審判請求は、成り立たない。」との審決が確定しており、本件登録実用新案として存続しているのは、請求項3に係る考案のみである。 (ロ)本件の願書に添付した明細書(以下、「本件登録明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲の請求項3には次のように記載されている。 「雄型連結部材の紐留め部に対して細紐及び太紐の留め構造が複数の留め構造を有することを特徴とする請求項1のストラップ。」 また、この請求項3で引用されている同請求項1には、次のように記載されている。 「キャラクター本体内に雌形連結部材が形成されていることを特徴とするストラップ。」 (ハ)上記請求項3の記載からでは、「複数の留め構造」なる用語の意味が必ずしも明白であるとはいえない。すなわち、「複数の留め構造」とは複数の「紐留め部」を指していうのか、一つの「紐留め部」であっても細紐又は太紐のいずれもが留められるのであれば複数の「留め構造」といえるのか、また、「複数の留め構造」とは紐の太さに係わらない複数の「紐の留め方」をいうのかが明白でない。 (ニ)そこで、考案の詳細な説明についてみると、段落【0009】及び【0012】には、次のように記載されている。 「図4a乃至図4cでは細紐又は太紐の結合状態を多種類に行うことのできることを示している。図4aでは細紐2が雄形連結部材5の先端部より連結される。また図4bでは細紐2が紐留め部51に取り付けられる。そして図4cでは太紐6が紐留め部51に取り付けられている。即ち雄形連結部材5の紐留め部51に対して細紐2及び太紐6の留め構造が複数の留め構造を行えることを示している。」(段落【0009】) 「なお、図8aでは雄形連結部材5の先端部に細紐留め部10が形成されており、細紐2を図示のように細紐留め部10に掛けて引っ張ると図8bのように細紐2が細紐留め部10に引っ掛かりながら曲がり、雄形連結部材5の上部の穴の中に納まるので、細紐2の先端に結び目をつける手間が省けるように構成されている。」(段落【0012】) (ホ)段落【0009】の「雄形連結部材5の紐留め部51に対して細紐2及び太紐6の留め構造が複数の留め構造を行える」という記載からすると、一つの紐留め部51に対して、細紐2又は太紐6のいずれかを留めた場合を一種類の「留め構造」と数えていることが明らかであるから、「複数の留め構造」とは、複数の「紐留め部」及び複数の「紐の留め方」を意味するのではなく、太紐又は細紐のそれぞれを留める複数種類の「紐留め態様」を意味していると認められ、段落【0012】の記載も合わせ考慮すると、実施例においては、「紐留め部51」における、太紐又は細紐を留める2態様が、「細紐留め部10」における、細紐を留める1態様が、また、雄形連結部材5の先端部(上部の穴の中)における、細紐2の先端に結び目をつける1態様が、上記「紐留め態様」に該当するものと認められる。 なお、雄型連結部材の紐留め部とは、上記「紐留め態様」が得られる雄型連結部材の部分と解すべきであり、実施例においては、「紐留め部51」、「細紐留め部10」及び「先端部(上部の穴の中)」がこれに該当するものと認められる。 (ヘ)そこで、上記認定を踏まえ、本件請求項3についてみると、「雄型連結部材の紐留め部に対して細紐及び太紐の留め構造」とは、「雄型連結部材の紐留め部に対する細紐及び太紐の留め態様」を意味するものと解されるから、本件請求項3に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、以下のとおりのものと認められる(なお、分説して符号を付してある。)。 「(A)キャラクター本体内に雌形連結部材が形成されているストラップであって、 (B)雄型連結部材の紐留め部に対する細紐及び太紐の紐留め態様が複数種類とされていることを特徴とするストラップ。」 3.イ号物件 イ号図面及びイ号説明書の記載を総合すると、イ号物件は次のとおりのものと認められる。 「(a-1)吊下紐7を一体に取付けた第2の雌型連結部材8と、 (a-2)色や模様が異なる複数個のビーズ1と様々な形状を呈する複数個の飾り体2とを挿通させた輪状の長い取付紐3を一体に取付けた第1の雌型連結部材4とを有するビーズおもちゃであって、 (b-1)上端部に凹孔9を、下端部に連結環12を設け、この凹孔9の底部と連結環12の下面間に通孔13を貫設してなる雄型連結部材5と、 (b-2)輪状の長い取付紐3の雄型連結部材5への取付け構造が、連結環12への取付け構造及び通孔13に挿通した取付紐3の先端部を係止体6に引っ掛け、凹孔9内において通孔13の切縁に係止体6を支え止めする取り付け構造を有するビーズおもちゃ。」 4.当事者の主張 (1)請求人の主張 (イ)イ号物件においては、第1及び第2の各雌型連結部材4及び8が、他の部材(「キャラクター」を指すものと認められる。)とは非一体的な単独部材として形成されており(上記(a-1)、(a-2))、雌型連結部材はキャラクター本体内に形成されているといえないため、イ号物件は、本件考案における構成要件(A)を充足しない。 (ロ)雄形連結部材に設けた凹孔(本件考案の実施例において雄形連結部材5上部の穴に相当する。)及び通孔(本件考案の実施例において雄形連結部材5を上下に貫通する孔(図3中上より三番目の図参照)に相当する。)が紐留め部に該当しないことは、審決(審判2001-40011号)にも示されており、「紐の留め構造」とは、「太紐若しくは細紐を他に格別の固定手段を必要とせずに紐止め部に直ちに止め付けが可能な構造を具えた部分」と解すべきところ、イ号物件における凹孔9は、掛止体6を嵌合して支え止めするものであって、直ちに紐自体の留め付けに供するものではないから(上記(b-1)、(b-2))、イ号物件は、かかる紐の留め構造として、「連結環12」のみを有するものということができ、本件考案における構成要件(B)を充足しない。 (2)被請求人の主張 (イ)イ号物件における雄型連結部材5は、連結環12、通孔13を備えており、本件考案における雄形連結部材とまったく同じ形状であり、まったく同じ機能を有するものである。また、連結環12には、本件の願書に添付した図面(以下、「本件登録図面」という。)図4bに示した留め方が可能である。したがって、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属する。 5.当審の判断 キャラクターとは、人物、動植物などをかたどったもののほか、図柄、文字等、他の商品と区別し得るような特徴を備えたものを指していうものであるところ(例えば、実願平3-30315号(実開平4-117699号公報)のマイクロフィル参照)、イ号物件における第1の雌型連結部材4及び第2の雌型連結部材8は、かかる特徴を備えた部分を有していない。したがって、上記第1の雌型連結部材4及び第2の雌型連結部材8は、「キャラクター本体内に雌形連結部材が形成されている」ものといえないから、イ号物件の構成(a-1)及び(a-2)は、本件考案の構成要件(A)を充足しない。 よって、イ号物件の構成(b-1)及び(b-2)が、本件考案の構成要件(B)を充足するかどうかの判断を行うまでもなく、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属さないというべきである。 6.むすび 以上のとおりであるから、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属さない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2002-11-27 |
出願番号 | 実願平11-10134 |
審決分類 |
U
1
2・
1-
ZA
(A45C)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
梅田 幸秀 |
特許庁審判官 |
千壽 哲郎 和泉 等 |
登録日 | 2000-03-29 |
登録番号 | 実用新案登録第3069620号(U3069620) |
考案の名称 | ストラップ |