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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A44C |
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管理番号 | 1074994 |
審判番号 | 訂正2002-39215 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2003-05-30 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2002-10-10 |
確定日 | 2003-02-24 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2149768号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 実用新案登録第2149768号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.経緯 実用新案登録第2149768号は、平成2年7月27日に出願され、平成7年8月9日に出願公告(実公平7-34570号)され、平成10年6月5日に設定登録されたものであって、平成14年1月23日に無効審判の請求があり、特許庁において無効2002-35019号事件として審理され、平成14年7月19日付けで実用新案登録第2149768号の請求項1?4に係る考案についての実用新案登録を無効とする旨の審決がされ、この審決に対する訴えが平成14年8月27日付けで東京高等裁判所になされた(平成14年(行ケ)第442号)。 そして、上記訴えの継続中である平成14年10月10日付けで本件訂正審判が請求され、その請求の趣旨は、登録第2149768号実用新案の明細書及び図面第4?11図を請求書に添付した明細書及び図面第4?9図のとおり訂正することを求めるものである。 2.訂正の内容 本件訂正審判の請求により訂正しようとする内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項a 明細書の【考案の名称】の欄の「ネックレス等の装飾具」を「ネックレス」と訂正する。 (2)訂正事項b 明細書の【実用新案登録請求の範囲】の請求項1の 「適宜の長さを有する長尺部材を磁性材で成形し、この長尺部材の外表面を薄膜で被覆し、かつ、この長尺部材の長さ方向に沿った断面分割面にS極とN極をそれぞれ着磁すると共に、この長尺部材を巻回して長さ方向の周面に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させて環状装飾部材を構成することにより、この環状装飾部材の径を適宜に調整可能に設けたことを特徴とするネックレス等の装飾具。」(本件公告公報(実公平7-34570号公報、以下同じ)第1欄2?9行参照)を、 「適宜の長さを有する長尺部材をフェライト粉末に樹脂を混合して押出成形により断面円形で全体がフレキシブルな1本の線形状に成形し、この長尺部材の外表面を薄膜で被覆し、かつ、この長尺部材の長さ方向に沿って断面円形半分にS極を、他の断面円形半分にN極を着磁すると共に、この長尺部材を巻回して断面円形の周面を長さ方向に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させることにより環状装飾部材を構成し、巻回された長尺部材の周面同志をずらしながら前記環状装飾部材の径を適宜に調整可能に設けたことを特徴とするネックレス。」と訂正する。(以下、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された考案を「本件訂正考案1」という。) (3)訂正事項c 明細書の【実用新案登録請求の範囲】の請求項2及び請求項3(本件公告公報1欄10?13行参照)を削除する。 (4)訂正事項d 明細書の【実用新案登録請求の範囲】の請求項4の 「長尺部材の両端部と略中央部に適宜の飾体を設けた請求項1記載のネックレス等の装飾具。」(本件公告公報1欄14?15行参照)を、 「前記長尺部材の両端部に飾体を設け、かつ前記長尺部材の略中央部に装入したリング部に飾りを設けた請求項1記載のネックレス。」と訂正し、請求項2とする。(以下、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項2に記載された考案を「本件訂正考案2」という。) (5)訂正事項e 明細書の【産業上の利用分野】の欄の 「例えばネックレス、ブレスレット、指輪、ループタイ、ベルト或いはその他の長尺状を呈するような装飾具」(明細書2頁15?17行、本件公告公報2欄4?6行参照)を、「ネックレス」と訂正する。 (6)訂正事項f 明細書の【考案が解決しようとする課題】の欄の 「環形状の装飾具に止着部等の部位を一切除去して、装飾具としての機能美の向上を図り、しかも装飾具の環形の径を任意に変えることができるようにし、もって装飾具の環形状を適宜に伸縮できるようにすることを目的としている。」(明細書3頁末行?4頁4行、本件公告公報3欄10?14行参照)を、 「環形状のネックレスに止着部等の部位を一切除去して、ネックレスとしての機能美の向上を図り、しかもネックレスの環形の径を任意に変えることができるようにし、もってネックレスの環形状を適宜に伸縮できるようにすることを目的としている。」と訂正する。 (7)訂正事項g 明細書の【課題を解決するための手段】の欄の 「適宜の長さを有する長尺部材を磁性材で成形し、この長尺部材の外表面を薄膜で被覆し、かつ、この長尺部材の長さ方向に沿った断面分割面にS極とN極をそれぞれ着磁すると共に、この長尺部材を巻回して長さ方向の周面に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させて環状装飾部材を構成することにより、この環状装飾部材の径を適宜に調整可能に設けたものである。」(明細書4頁7?11行、本件公告公報3欄17?24行参照)を、 「適宜の長さを有する長尺部材をフェライト粉末に樹脂を混合して押出成形により断面円形で全体がフレキシブルな1本の線形状に成形し、この長尺部材の外表面を薄膜で被覆し、かつ、この長尺部材の長さ方向に沿って断面円形半分にS極を、他の断面円形半分にN極を着磁すると共に、この長尺部材を巻回して断面円形の周面を長さ方向に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させることにより環状装飾部材を構成し、巻回された長尺部材の周面同志をずらしながら前記環状装飾部材の径を適宜に調整可能に設けたネックレスである。」と訂正する。 (8)訂正事項h 明細書の【作用】の欄の「ネックレスやブレスレット等の装飾具等」(明細書5頁11行、本件公告公報3欄41?42行参照)を「ネックレス」と訂正する。 (9)訂正事項i 明細書の【作用】の欄の 「装飾具としての止着部は一切必要としないので、装飾的効果は大きい。また、長尺部材の磁性部は、フレキシブルな材質であるから、ネックレス等の装飾具としての使用に一切影響することなく、通常のネックレスと同様に用いることができる。更に、長尺部材には、両端部や中央部に飾体を設けることによって、通常の装飾具として使用に供せられる。」(明細書5頁16行?6頁4行、本件公告公報3欄46行?4欄4行参照)を、 「ネックレスとしての止着部は一切必要としないので、装飾的効果は大きい。また、長尺部材の磁性部は、フレキシブルな材質であるから、ネックレスとしての使用に一切影響することなく、通常のネックレスと同様に用いることができる。更に、長尺部材には、両端部や中央部に飾体を設けることによって、通常のネックレスとして使用に供せられる。」と訂正する。 (10)訂正事項j 明細書の【実施例】の欄の「以下に、本考案における装飾具をネックレスに適用した」(明細書6頁8?9行、本件公告公報4欄8行参照)を、「本考案をネックレスに適用した」と訂正する。 (11)訂正事項k 明細書の【実施例】の欄の「フレキシブルな線材を呈し、かつ磁性部1aを設けている。」(明細書6頁16?17行、本件公告公報4欄15?16行参照)を、「フレキシブルな線材を呈している。」と訂正する。 (12)訂正事項l 明細書の【実施例】の欄の 「第8図」(明細書7頁3行、本件公告公報4欄22行参照)を「第6図」、 「第8図」(明細書7頁13行、本件公告公報4欄30行参照)を「第6図(イ)」、 「第7図」(明細書7頁15行、本件公告公報4欄33行参照)を「第5図」、 「第5図」(明細書8頁4行、本件公告公報4欄41行参照)を「第4図」、 「第9図」(明細書8頁4行、本件公告公報5欄3行参照)を「第7図」、 「第10図」(明細書9頁8行、本件公告公報5欄11行参照)を「第8図」、 「第8図」(明細書9頁16行、本件公告公報5欄18行参照)を「第6図」、 「第11図」(平成5年6月25日付手続補正書1頁5行、本件公告公報5欄32行参照)を「第9図」とそれぞれ訂正する。 (13)訂正事項m 明細書の【実施例】の欄の「第4図は、ブレスレットに適用した場合を示したもので、長尺部材8を飾り部材11のパイプ9,10に挿入して腕首に巻回し、飾り11aにより装飾的効果を表現したものである。」(明細書8頁7?10行、本件公告公報4欄43?46行参照)を削除する。 (14)訂正事項n 明細書の【実施例】の欄の「第6図は、リング12内に小リング13を吊り下げ、この小リング13を磁性体として、筒状飾り14を吸着させながら転動させた例であり、吊り下げリング12aに長尺部材1,1をリング12bを介して取付けた例であり、この長尺部材1,1は、上記の例と同様に伸縮自在に吸着させて使用に供するものである。」(明細書8頁11?17行、本件公告公報4欄47行?5欄2行参照)を削除する。 (15)訂正事項o 明細書の【実施例】の欄の「装飾具」(明細書8頁18行、本件公告公報5欄3行参照)を「ネックレス」と訂正し、以下同様に、「装飾具」(明細書9頁8行、本件公告公報5欄11行参照)を「ネックレス」と、「ネックレス等の装飾具」(明細書10頁4行、本件公告公報5欄25行参照)を「ネックレス」と、「ネックレス等の装飾具」(明細書10頁10?11行、本件公告公報5欄30行参照)を「ネックレス」とそれぞれ訂正する。 (16)訂正事項p 明細書の【実施例】の欄の「これを重ねて吸着したり、平面的に吸着するようにする。」(明細書9頁18?19行、本件公告公報5欄19?20行参照)を、「これを重ねて吸着するようにする。」と訂正する。 (17)訂正事項q 明細書の【実施例】の欄の「このように長尺部材1の磁性部1a、1a同志、又は磁性部1aと吸着部が吸着して、」(明細書9頁末行?10頁1行、本件公告公報5欄21?22行参照)を、「このように長尺部材1の磁性部同志が吸着して、」と訂正する。 (18)訂正事項r 明細書の【考案の効果】の欄の「装飾具」(明細書10頁15行、本件公告公報6欄8?9行参照)を「ネックレス」と訂正し、「装身具」(明細書10頁16行、本件公告公報6欄10行参照)を「ネックレス」と訂正する。 (19)訂正事項s 明細書の【考案の効果】の欄の「そのまゝ装飾価値の大きいネックレス等の装飾具を提供することができる。」(平成7年2月2日付手続補正書3頁2?3行、本件公告公報6欄20?22行参照)を、 「そのまゝ装飾価値の大きいネックレスを提供することができる。 また、長尺部材は、線形状でフレキシブルな材質であるから、ネックレスとして使用する場合には、通常のネックレスと同様に用いることができると共に、環形状のネックレスに止着部等の部位を一切除去して、ネックレスとしての機能美の向上を図ることができる。」と訂正する。 (20)訂正事項t 明細書の【図面の簡単な説明】の欄の「第4図はブレスレットの一部切欠き平面図、第5図はネックレスの他例を示す一部切欠き正面図、第6図はネックレスの他例を示す正面図、第7図は長尺部材の一部切欠き正面図、第8図(イ)、(ロ)、(ハ)は、長尺部材同志を吸着した断面図、第9図及び第10図は、本考案における装飾具の他の実施例を示す一部切り欠き拡大正面図、第11図は他例を示す一部切欠き拡大正面図である。」(明細書11頁4?11行、本件公告公報6欄27?33行参照)を、 「第4図はネックレスの他例を示す一部切欠き正面図、第5図は長尺部材の一部切欠き正面図、第6図(イ)、(ハ)は、長尺部材同志を吸着した断面図、第7図及び第8図は、本考案における装飾具の他の実施例を示す一部切り欠き拡大正面図、第9図は他例を示す一部切欠き拡大正面図である。」と訂正する。 (21)訂正事項u 明細書の【図面の簡単な説明】の欄の符合説明の 「1 長尺部材、1a 磁性部 1b薄膜、lc 被覆層 3、6、7 飾部」(明細書11頁12?14行、本件公告公報6欄34?36行参照)を、 「1 長尺部材 1b 薄膜 1c 被覆層 3、6、7 飾部」と訂正する。 (22)訂正事項v 図面の「第4図」、「第6図」、「第8図(ロ)」を削除し、 「第5図」、「第7図」、「第8図(イ)、(ハ)」、「第9図」、「第10図」、「第11図」の図番をそれぞれ「第4図」、「第5図」、「第6図(イ)、(ハ)」、「第7図」、「第8図」、「第9図」に繰り上げ、訂正した第4図の右側の符号「2a」の引き出し線を中央上部の符号2aの引き出し線が指す部材と同形状を有し、並列に示される部材の右端の部材を指すように添付する訂正後の第4図のとおり訂正する。 (23)訂正事項w 明細書の【実施例】の欄の「長尺部材1は断面円形・角形その他の形状を呈し、」(明細書9頁16?17行、本件公告公報5欄18?19行参照)を、「長尺部材1は断面円形状を呈し、」と訂正する。 (なお、この訂正事項wは、請求人の訂正事項として列挙していないが、訂正明細書からみてこの訂正が明らかであるところ、ここに訂正事項として認定した。) 3.当審の判断 3-1 本件実用新案登録は、平成2年7月27日の出願で、本件訂正審判の請求は平成14年10月10日であることから、本件訂正審判の請求は、平成5年法律第26号附則第4条第2項で読み替えられた平成5年改正前の実用新案法(以下、旧実用新案法という。)第39条の規定、つまり、 (ア)旧実用新案法第39条第1項ただし書きの規定である、 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内で、かつ、次に掲げる事項を目的とするもの。 一 実用新案登録請求の範囲の減縮、 二 誤記の訂正、 三 明りょうでない記載の釈明。 (イ)同条第2項の規定である、 実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならず、 (ウ)同条第3項の規定である、 同条第1項第1号の場合は、訂正後の考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるもの、という規定に適合することを要するので、 この点につき以下検討する。 3-2 最初に上記訂正事項a?wについて、上記3-1(ア)(イ)の規定に適合するかどうか検討する ・訂正事項bは、請求項1において、「磁性材で」を「フェライト粉末に樹脂を混合して押出成形により断面円形で全体がフレキシブルな1本の線形状に」と訂正して長尺部材の成形構造を限定し、「断面分割面にS極とN極」を「断面円形半分にS極を、他の断面円形半分にN極」と訂正して長尺部材の着磁構造を限定し、また「長さ方向の周面に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させて環状装飾部材を構成することにより」を「断面円形の周面を長さ方向に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させることにより環状装飾部材を構成し、巻回された長尺部材の周面同志をずらしながら」と訂正して環状装飾部材の径を調整可能とする構成を限定し、さらに「ネックレス等の装飾具」を「ネックレス」と訂正して考案の対象物をネックレスに限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この訂正事項については、明細書6頁10?17行(本件公告公報4欄12?15行参照)、明細書7頁12?14行(本件公告公報4欄30?32行参照)、平成7年2月2日付手続補正書1頁5行(本件公告公報6欄13?15行参照)、第1、6、8図に記載されているものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ・訂正事項cは、請求項2及び請求項3を削除するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ・訂正事項dは、請求項4において、「略中央部に適宜の飾体を設けた」を「略中央部に装入したリング部に飾りを設けた」と略中央部の飾体の構成を限定し、また「ネックレス等の装飾具」を「ネックレス」と訂正して考案の対象物をネックレスに限定し、さらに前記した請求項1を引用するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この訂正事項については、明細書8頁4?6行(本件公告公報4欄41?42行参照)、第2図に記載されているものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ・訂正事項aは、この上記訂正事項b?dの実用新案登録請求の範囲の減縮に伴い、考案の名称を整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ・訂正事項e?wは、実用新案登録請求の範囲を訂正したことによって生じる明細書及び図面の記載の不整合を整える訂正であって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 そして、訂正事項a?wは、いずれも実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、旧実用新案法第39条第1項ただし書き及び同条第2項の規定に適合するものである。 3-3 次に、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とした上記訂正事項b?dによる本件訂正考案1及び2について、上記3-1(ウ)の規定に適合するかどうか検討する。 3-3-1 本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物 本件実用新案登録に対する上記無効審判事件(無効2002-35019号)においてその無効審判請求人が提出した、本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第1号証乃至甲第3号証には、それぞれ次の記載が認められる。 ア)甲第1号証(米国特許第4941236号明細書)には、 ・明細書1欄43行?2欄11行に、 「これまで、永久磁石は、宝飾品や動物の首輪等に、離脱可能な留め具を提供する為、提案されてきた。 ・・・ 保持具なしで離脱可能にしようとした、別の磁性留め具は、1971年6月29日特許されたUSP3589341、Krebsに示すように、動物の首輪に提供されている。プラスチックのさやの中に、2つの硬質な、相互作用磁石を有する、更に他の宝飾品用磁性留め具は、磁性で引き付け合う部材が横滑りして離脱するのを防ぐ為、様々な機械的に噛み合う突起や、刻み目について、開示している。 1981年5月17日特許されたUSP4255837、Holtzと、1986年11月4日特許されたUSP4620725、Maehaskiは、それぞれ、柔軟な合成樹脂製の一組の片を示し、両片内の磁化可能な粒子を永久磁化させ両片間に保持力を与える、磁極を交互に替える列を形成することを示している。しかし、磁性で引き付け合う部材が横滑りして離脱するのを防ぐ、畝や突起、歯についての記載は無い。 従って、本発明の目的の一つは、腕時計用の、改良された柔軟なストラップ及び留め具を提供することにある。 本発明の他の目的は、バックルや他の種類の突起部材を無くし、より薄く、より快適で柔軟なストラップ具を可能にする、柔軟なストラップ用の、改良された留め金を提供することである。」(翻訳については、上記無効審判請求人の提出した訳文参照、以下同様。)、 ・明細書2欄66行?3欄12行に、 「図1を参照すると、図1及び2に示す腕時計は、ストラップ装着用突部2を備えた時計ケース1と、熱可塑性樹脂材料の柔軟なストラップ3を有している。ストラップは、折曲し、装着者の手首の周りに湾曲するようにしている。本発明は、時計の爪部の環を通って2つのストラップ端部に至る、1つのストラップ部材も考慮しているが、このストラップ3は、通常のばね棒で突部2に装着される、2つの別個のストラップ端部4,5から成る。ストラップ端部4,5は相互に重なり合っており、ストラップ端部4上に均一間隔で横方向に設けられ、外方向へ向くリブ4aを、同様にストラップ端部5上に均一間隔で横方向に設けられ、内方向へ向くリブ5aと互いに噛み合わせることで、重なり部6を形成する。」、 ・明細書3欄29?62行に、 「本発明によれば、ストラップ部材は、時計のストラップに通常使用される種類の、柔軟で熱可塑性の材料が好ましい。これら材料の例には、ポリウレタン、PVC(塩ビ)、ABS樹脂、或はポリプロピレンがある。熱可塑性のストラップ部材には、細かく分割された磁性化材料の粒子が埋め込まれ、それらは永久的磁性材のため、実質的磁性残留物を有するよう選択され、 ・・・ 好適な材料は、これらの永久的或は実質的副産物誘導(残留物)を有する”硬質”磁性材料であり、好適な永久的的磁性材料としては、アルニコ(永久磁石の商標名)、フェライトや、希土磁石がある。 ・・・ 永久的磁性材料粒子は、好ましくは粒子径0.1から100ミクロン(SI単体の0.0001mmから0.1mm)で、通常の重合工程の間に、液体プレポリマー内で相互に混合され、ストラップ端に成形される。」、 ・明細書4欄47?67行に、 「図7において、ストラップ端部9と、それに重なり合ったストラップ端部10には、長さ方向に延長するリブ9aと10aが設けられている。ストラップ端部9aと10aを構成する柔軟な熱可塑性樹脂材料に内蔵されている永久的に着磁可能な粒子が、ストラップ端部9において複数の交互磁極9b,9cから成る横列形式で、ストラップ端部10においては、同機な交互列10b,10cとから成る形式で、着磁形成されている。図5及び6の配列に反し、磁極は縦方向に交互に配設され、ストラップを挟んで横方向に延びている。本件の場合、相互にロックしている凸部9a,10aにより、重なり合う端部が横方向に整合し、それにより、両磁極が保持力と長さ方向の調整をする一方、側面方向乃至横方向の滑りを阻止している。ストラップ端部9のストラップ端部10に対する離反や復位によってのみ、両極が適正に整列する複数の均一な間隔位置が決まって、南北両極間の相互吸引による保持力が与えられる。長さ方向に離間する位置の一例を点線9'で示す。」、旨それぞれ記載されていると認められる。 また、第2図には、適宜の長さを有する腕時計用のストラップを巻回して長さ方向の周面に沿って重ね合わせて環状部材を構成したものが示され、第5図には、板形状で断面角形のストラップの長さ方向に沿って上面側をN極に下面側をS極にそれぞれ着磁した磁極部と、ストラップの長さ方向に沿って上面側をS極に下面側をN極にそれぞれ着磁した磁極部とをストラップの幅方向に交互に配列すると共に、このストラップを重ね合わせて異極同志を吸着させ、ストラップを重ね合わせる位置を長さ方向に異ならせることにより位置決めがなされるようにしたものが示されている。 また、明細書1欄43行?2欄11行には、従来技術として「動物の首輪等」の記載が認められ、これは本件訂正考案1、2の「ネックレス」と一見類似するものの、この「動物の首輪等」に用いられるものは単なる磁石の留め具であるし、甲第1号証の発明の詳細な説明からみて、ストラップにおける断面形状の着磁に関しては専ら腕時計用を意図していると認められる。 そして、明細書の上記記載事項及び第2、5図の図示内容から、甲第1号証には次の考案(以下、「甲第1考案」という。)が記載されていると認められる。 「適宜の長さを有する腕時計用のストラップを細かく分割された磁性化材料の粒子の好適な材料としてのフェライトに熱可塑性樹脂材料を混合して、断面角形で全体が柔軟なストラップを1本の板形状に成形し、この断面角形のストラップの長さ方向に沿って上面側をN極に下面側をS極にそれぞれ着磁した磁極部と、ストラップの長さ方向に沿って上面側をS極に下面側をN極にそれぞれ着磁した磁極部とをストラップの幅方向に交互に配列すると共に、このストラップを巻回して断面角形の周面を長さ方向に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させることにより環状部材を構成し、ストラップの離反や復位によって重ね合わせる位置を長さ方向に異ならせることにより位置決めがなされることを特徴とする腕時計。」 イ)甲第2号証(特開平1-110303号公報)には、「弾性を備えた金属合金線により、両端部をオーバーラップさせて略円環状に形成して巻回リングに形成したことを特徴とする装身具」において、巻回リングにメッキ等の表面処理を施して付加価値を付与したものが記載されている。(以下、「甲第2考案」という。) ウ)甲第3号証(特開昭60-68867号公報)には、「永久磁石粒子が埋設された、皮膚適合性のゴム状軟質プラスチックより成り、その場合シートの有効面が交番極性の複数の磁極で磁化されている磁気シートにおいて、交番極性の複数の磁極2が幾何学模様の形状を有し、その場合これら磁極2がシート1上で、同心に、角度をなしておよび/または半径方向に延びる複数の平面中に配置されていることを特徴とする医療用の軟質磁気シート」において、該シートの少なくとも片面に蒸着金属被覆等からなる金属被覆が設けられており、なおかつ金属被覆には保護層を設けて金属被膜の損耗を回避するようにしたものが記載されている。(以下、「甲第3考案」という。) 3-3-2 対比・判断 (1)本件訂正考案1について 本件訂正考案1と甲第1考案とを対比すると、甲第1考案における「ストラップ」、「細かく分割された磁性化材料の粒子」の好適な材料としての「フェライト」、「熱可塑性樹脂材料」、「柔軟な」、はそれぞれその作用・機能からみて、本件訂正考案1の「長尺部材」、「フェライト粉末」、「樹脂」、「フレキシブル」に相当する。 そして、甲第1考案におけるストラップの「重ね合わせる位置を長さ方向に異ならせることにより位置決めがなされる」ことは、本件訂正考案1における環状装飾部材の「径を適宜に調整可能に設けた」ことと、構造及び機能において等価である。 また、甲第1考案における腕時計は、本件訂正考案1における「環状」装飾「部材」というべきものである。 したがって、両者は、「適宜の長さを有する長尺部材をフェライト粉末に樹脂を混合して全体がフレキシブルな1本に成形し、この長尺部材の長さ方向に沿ってS極とN極を着磁すると共に、重ね合わせた異極同志を吸着させることにより環状部材を構成し、環状部材の径を適宜に調整可能に設けた環状部材」である点で一致し、次の点で両者は相違している。 (相違点A) 長尺部材の成形手段において、本件訂正考案1が「押出成形」するのに対し、甲第1考案は、かかる手段が明確でない点。 (相違点B) 本件訂正考案1が「長尺部材の外表面を薄膜で被覆」したのに対し、甲第1考案は、かかる被覆がなされていない点。 (相違点C) 環状部材に関し、本件訂正考案1が、環状「装飾」部材としたのに対し、甲第1考案は、「装飾」との特定がなされていない点。 (相違点D) 環状部材の径を適宜に調整可能とする手段として、本件訂正考案1が「巻回された長尺部材の周面同志をずらしながら」であるのに対し、甲第1考案が「長尺部材の離反や復位によって」である点。 (相違点E) 本件訂正考案1が「断面円形で全体が線形状に成形」され「断面円形半分にS極を、他の断面円形半分にN極を着磁」し「長尺部材を巻回して断面円形の周面を長さ方向に沿」わせる「ネックレス」であるのに対し、甲第1考案が「断面角形で全体が板形状に成形」され「断面角形の長さ方向に沿って、上面側をN極に下面側をS極にそれぞれ着磁した磁極部と上面側をS極に下面側をN極にそれぞれ着磁した磁極部とを長尺部材の幅方向に交互に配列」し「長尺部材を巻回して断面角形の周面を長さ方向に沿」わせる「腕時計」である点。 そこでまず相違点Eについて検討してみる。 本件訂正考案1は、従来はその径の調節を「巻回」数単位で行なわざるを得なかったところのネックレスという宝飾品において、止着部等を一切除去しつつ、使用者の好みに応じてその環形状を適宜伸縮するために、「断面円形で全体」を「線形状」としつつ「断面円形半分にS極を、他の断面円形半分にN極を着磁」といった長さ方向に両極を着磁させることにより、単なる磁力による着脱調整ではなく、「巻回」されたネックレスの「断面円形の周面を長さ方向に沿」わせて、この周面同志をずらしながら環状部材の径を任意に調節可能とする機能を達成するものであり、この周面を沿わせながらの径調節はできず、しかも段階的な調節しかできない甲第1考案とは、径調節の機能において全く異なる。かかる機能は、甲第2乃至3考案にも記載されておらず、また、本件の出願前に当業者において既に知られていた技術的事項であるとも認められないから、かかる機能について当業者がきわめて容易に想到し得たとすることはできない。 さらに、本件訂正考案1は、相違点Eにかかる構成としたことにより、次の効果を奏すると認められる。 「本考案によると環状ネックレスにおいて、止着部等の部位を除去して機能美の向上を図ると共に、ネックレスの環形の径を任意に変えることができるため、環形状に止めることができる。」(訂正明細書「考案の効果」の欄。) さらにまた、「甲第2考案」乃至「甲第3考案」にも上記技術思想を開示乃至示唆する事項を見出し得ない。 よって、本件訂正考案1は、相違点A乃至Dの検討を待つまでもなく、甲第1乃至3考案に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものとすることはできない。 (2)本件訂正考案2について 本件訂正考案2は、本件訂正考案1の技術事項の全てを引用するとともに、更に、「前記長尺部材の両端部に飾体を設け、かつ前記長尺部材の略中央部に装入したリング部に飾りを設けた」と構成を限定したものである。 そして、本件訂正考案1が、甲第1乃至3考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができないことは、上記したとおりである。 したがって、本件訂正考案2も、甲第1乃至3考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。 3-3-3 独立実用新案登録要件のまとめ 以上のとおり、本件訂正考案1乃至2は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものとすることはできない。また、他に本件訂正考案1乃至2について、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないとする理由も見当たらない。 4.むすび したがって、本件訂正審判請求は、旧実用新案法第39条の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 ネックレス (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】適宜の長さを有する長尺部材をフェライト粉末に樹脂を混合して押出成形により断面円形で全体がフレキシブルな1本の線形状に成形し、この長尺部材の外表面を薄膜で被覆し、かつ、この長尺部材の長さ方向に沿って断面円形半分にS極を、他の断面円形半分にN極を着磁すると共に、この長尺部材を巻回して断面円形の周面を長さ方向に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させることにより環状装飾部材を構成し、巻回された長尺部材の周面同志をずらしながら前記環状装飾部材の径を適宜に調整可能に設けたことを特徴とするネックレス。 【請求項2】前記長尺部材の両端部に飾体を設け、かつ前記長尺部材の略中央部に装入したリング部に飾りを設けた請求項1記載のネックレス。 【考案の詳細な説明】 「考案の目的」 【産業上の利用分野】 本考案は、ネックレスに関するものである。 【従来の技術】 通常、この種の装飾具は、身体に装着する場合に、環形状にした装飾具を止着部を介して止着し、これを首に装着して使用に供している。 例えば、ネックレスを例に説明すると、チェーンや紐状部の両端部に設けたフックや止着具で環状にしたり、又は無端の環形状のネックレスを2連又は3連に巻回して使用しているのが一般的な使用方法である。 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、上記した従来の装飾具は、止着部が極めて小さく、かつ複雑であるため、これの装着や取外しが面倒であるばかりでなく、環状装飾具の径は商品ごとに決まっているので、使用者の好みに応じて、その径を伸縮させて使用でき得るものではなかった。 また、もともと無端環状のネックレスは、2連又は3連に首に巻回して使用するのみであり、これもまた、装身径を任意に伸縮できるものではなかった。 本考案は、上記の実情に鑑みて、従来の課題と要望を検討した結果、開発に至ったものであり、環形状のネックレスに止着部等の部位を一切除去して、ネックレスとしての機能美の向上を図り、しかもネックレスの環形の径を任意に変えることができるようにし、もってネックレスの環形状を適宜に伸縮できるようにすることを目的としている。 「考案の構成」 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するため、本考案は、適宜の長さを有する長尺部材をフェライト粉末に樹脂を混合して押出成形により断面円形で全体がフレキシブルな1本の線形状に成形し、この長尺部材の外表面を薄膜で被覆し、かつ、この長尺部材の長さ方向に沿って断面円形半分にS極を、他の断面円形半分にN極を着磁すると共に、この長尺部材を巻回して断面円形の周面を長さ方向に沿って重ね合わせた異極同志を吸着させることにより環状装飾部材を構成し、巻回された長尺部材の周面同志をずらしながら前記環状装飾部材の径を適宜に調整可能に設けたネックレスである。 上記した長尺部材の外表面に、アクリル樹脂、シリコン樹脂、金等の薄膜をコーティング又は蒸着等の手段で設けたり、又は、長尺部材の外表面に金等の線材を巻回して被覆層を形成するのが好ましい。又は、長尺部材を熱収縮筒膜に入れ、この筒膜を加熱することにより該長尺部材に被覆層を形成するようにしても良い。 更に、長尺部材の磁性部は、磁性材または粉末磁性材で形成しており、例えば磁鉄鉱に樹脂を混入して成形したり、又は、フェライト粉末や希土類・コバルト合金粉末に、結合剤として樹脂を混合し、押出し成形により設けるようにしてもよい。また、長尺部材の両端部に強磁性力を有する磁性部材を設けるのが好ましい。 【作用】 従って、本考案によると、長尺部材を任意の径を有するように一部を重ねて環形状に構成すると、長尺部材の磁性部同志が吸着して長尺部材を環形状にすることができるので、ネックレスのように長尺状を呈する装飾具として用いることができる。 また、長尺部材の外表面は、シリコン樹脂、アクリル樹脂、金メッキや金線材或は熱収縮筒膜で被覆しているので、装飾的機能を有効に発揮すると共に、ネックレスとしての止着部は一切必要としないので、装飾的効果は大きい。 また、長尺部材の磁性部は、フレキシブルな材質であるから、ネックレスとしての使用に一切影響することなく、通常のネックレスと同様に用いることでがきる。 更に、長尺部材には、両端部や中央部に飾体を設けることによって、通常のネックレスとして使用に供せられる。また、長尺部材の両端部に強磁性力を有する磁性部材を設けることにより吸磁性が確実に機能する。 【実施例】 以下に、本考案をネックレスに適用した一例を図面に従って詳述する。 第1図における長尺部材1は、磁性材又は粉末磁性材を押出し成形手段により形成する。例えば、磁鉄鉱に樹脂を混合し、押出成形により線形状に成形したり、フェライト粉末や希土類・コバルト合金粉末に結合剤として樹脂を混合して押出成形により線形状に設けるようにし、長尺部材1は全体がフレキシブルな線材を呈している。 この例以外に、長尺部材1の一部に上記の素材で形成した磁性部又は吸着部(吸磁性線材)を設けるようにしても良い。更に、この長尺部材1は地金と磁性材よりなる合金も含まれる。 また、上記のように押出し成形後の長尺部材1の外表面に、第6図に示すように、例えば、適宜の色彩や光沢を施したシリコン樹脂又はアクリル樹脂等で12μm程度塗布又は蒸着等の手段でコーテイングして薄膜1bを形成する。その他、金等の薄膜1bをコーテイング又はスパッタリング等の蒸着手段で設けるようにしてもよい。コーテイング後の長尺部材1に着磁を施して磁性材とする工程を経ることにより、コーテイングの際に着磁していないので、塵等の異物が付着する恐れがなく歩留まりの向上を図ることができる。この着磁の構造は、第6図(イ)に示すように断面半分に異極が位置するように着磁すると良い。 更に、第5図は上記の例以外に、金等の線材を巻回して被覆層1cを形成した例である。 また、第1図において、長尺部材1の中央部に装入管2を設け、この装入管2の下端にハート型の飾部3がネックレスとして首に装着したときに、前面中央に位置するようにしており、両端部の固着部4、5に飾部6、7を設け、第2図に示すように長尺部材1を重ね回ししたときに、飾部6、7が前面に位置するように設けている。 第4図は、飾部3の例以外に、長尺部材1にリング部2aを装入し、このリング部2aに飾り3aを設けた例である。 第7図は本考案におけるネックレスの他例を示したもので、長尺部材1の両端部に有底のキャップ12、13を嵌着し、このキャップ12、13の内部に強い磁性力を有する磁性部材14、15を回転可能に収納して、吸着面が回転することによりキャップ12、13の両端面を吸着するようにしたり、また、第2図に示すように飾部6、7が重量がある場合に、磁性部材14、15が回転吸着して長尺部材1から離脱することなく確実に吸着させるようにしている。 第8図は本考案におけるネックレスの他例を示したもので、長尺部材1の両端部に有底のキャップ16、17を嵌着し、このキャップ16、17の内部に、強い磁性力を有する磁性部材18、19を収納してキャップ16、17の両端面を吸着するようにしている。 次に、上記実施例の作用を説明する。 長尺部材1を任意の径を有するように一部を重ねて環形状にする。この場合、第6図に示すように長尺部材1は断面円形状を呈し、これを重ねて吸着するようにする。 このように長尺部材1の磁性部同志が吸着して、第2図に示すように環形状に組み合わせることができる。 また、長尺部材はフレキシブルな材質であるから、ネックレスとして使用する場合には、通常のネックレスと全く同様に用いることができる。 しかも、長尺部材1の外表面にシリコン樹脂又はアクリル樹脂等で12μm程度塗布又は蒸着等の手段でコーテイングして薄膜1bを形成し、または金メッキや金線材で被覆しているので、ネックレスとしての装飾機能を有効に発揮することができる。 また、第9図は他の例を示したもので、長尺部材1の一端に先端に嵌合筒部20を有するキャップ21を設け、このキャップ21内に磁性部材22を収納し、更に、嵌合筒部20には、断面L字形状の係合溝23を形成し、一方、長尺部材1の他端には、先端に係合溝23に係止する突起部24を設けた小径のキャップ25を設け、このキャップ25内に磁性部材26を収納する。 そして、接続する場合は、キャップ25をキャップ21内に嵌合しながら突起部24を係合溝23に係止し、かつ磁性部材22、26の反発により確実に係止され、離脱する場合は、突起部24を係合溝23より外す際に、磁性部材の反発により確実に離脱させることができる。 「考案の効果」 以上のことから明らかなように、本考案によると環状ネックレスにおいて、止着部等の部位を除去して機能美の向上を図ると共に、ネックレスの環形の径を任意に変えることができるため、環形状に止めることができる。 また、長尺部材の両端部を持って、略中央部を交叉するように首に巻回すと、長尺部材の周面に着磁された異極同志が即座に吸着し、また、吸着後、やゝずらすようにするのみで、使用者の首に合った径に容易に形成でき、しかも、長尺部材の外表面を薄膜で被覆しているので、装飾性を高めることができるばかりでなく、錆等による劣化防止ができ、長期間の使用に耐えることができると共に、装着が簡単であり、長尺部材の両端部や中央部分に飾部を設けることによって、そのまゝ装飾価値の大きいネックレスを提供することができる。 また、長尺部材は、線形状でフレキシブルな材質であるから、ネックレスとして使用する場合には、通常のネックレスと同様に用いることができると共に、環形状のネックレスに止着部等の部位を一切除去して、ネックレスとしての機能美の向上を図ることができる。 【図面の簡単な説明】 図面は本考案の一実施例を示したもので、第1図はネックレスの正面図、第2図は第1図のネックレスを重ねて吸着した状態を示す正面図、第3図は第2図の側面図、第4図はネックレスの他例を示す一部切欠き正面図、第5図は長尺部材の一部切欠き正面図、第6図(イ)、(ハ)は、長尺部材同志を吸着した断面図、第7図及び第8図は、本考案における装飾具の他の実施例を示す一部切り欠き拡大正面図、第9図は他例を示す一部切り拡大正面図である。 1・・・長尺部材 1b・・・薄膜 1c・・・被覆層 3、6、7・・・飾部 【図面】 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2003-01-27 |
結審通知日 | 2003-01-30 |
審決日 | 2003-02-12 |
出願番号 | 実願平2-79285 |
審決分類 |
U
1
41・
856-
Y
(A44C)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 平瀬 博通、阿部 寛 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
藤原 直欣 平上 悦司 大元 修二 千壽 哲郎 |
登録日 | 1998-06-05 |
登録番号 | 実用新案登録第2149768号(U2149768) |
考案の名称 | ネックレス |
代理人 | 板井 典子 |
代理人 | 石川 善一 |
代理人 | 板井 典子 |
代理人 | 小林 哲男 |
代理人 | 田中 成志 |
代理人 | 田中 成志 |
代理人 | 石川 善一 |
代理人 | 小林 哲男 |