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審決分類 審判 全部無効 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否 無効としない F23D
管理番号 1076561
審判番号 無効2000-35070  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-02-01 
確定日 2001-12-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第1858417号実用新案「気化管式燃焼装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第1858417号に係る考案についての出願は、昭和59年1 0月11日に実用新案登録出願され、平成2年8月7日に出願公告され、平成3年7月10日にその設定登録がなされたものである。その後、平成7年1 2月27日に無効審判の請求がなされ、平成8年4月23日付け訂正請求書により実用新案登録明細書の訂正が請求され、平成9年1月24日に訂正を認めて、上記無効審判の請求は成り立たないとする審決がなされたものである。

2.平成8年4月23日付けの訂正事項
平成8年4月23日付けの実用新案登録明細書の訂正(以下、「本件訂正」という。)は、平成7年1 2月27日付けの無効審判係属中に平成5年改正前実用新案法第40条第2項(平成5年法律第26号附則第4条第2項による読み替え)に基づき答弁書提出期間内の平成8年4月23日に行った訂正であり、その訂正は、実用新案登録明細書の考案の詳細な説明の欄(実公平2-29379号公報 第2頁第4欄第29行?同第34行)に記載された、
「なお、上記実施例では、電磁ポンプ3をソレノイド8の右方に配置したが、ソレノイド8の前部に配置しても良い。要は前パネル1 5をはずした時に前方に露出するように容易に修理、交換ができれば良く前記実施例と同様の効果を奏する。」
を削除するというものである。

3.請求人の主張
請求人は、実用新案登録第1858417号の実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする趣旨の無効審判を請求し、証拠方法として、後記の書証をもって、以下の理由により無効にされるべきである旨の主張している。
(理由)
(1)本件訂正は、不明瞭な記載の訂正ではなく、実用新案登録請求の範囲に記載された考案の構成要件である、「その本体内前面側のスペースに前記気化管、ノズル、電磁ポンプ等の機能部品をほぼ横-列にして配設したこと」の構成と図面に示された実施例とに不整合のある本件考案の「ほぼ横-列」の「ほぼ」がどのような構成まで含むのかを解釈するにあたっては、明細書、図面を参酌して本考案の目的・作用・効果及び実施例等を考慮して解釈しなければならないから、他の実施例を削除する本件訂正は、本件考案の解釈を不明瞭にするものである。
(2)平成9年1月24日付け審決書のおいて、実用新案登録請求の範囲には、横並びする機能部品として限定列挙しているにも拘わらず、ノズルと気化管とは一体物であると認定した審決書の認定は誤りである。

したがって、本件訂正は、平成5年改正前の実用新案法第39条第1項ただし書若しくは同条第2項又は第3項の規定に違反し、平成5年改正前実用新案法第37条第1項第2号の2(平成5年法律第26号附則第4条第2項による読み替え)の規定により無効とされるべきである。
(証拠方法)
・請求人が、審判請求書とともに提出した証拠
甲第1号証:平成8年4月23日付けの訂正請求書の写し
甲第2号証:平成9年1月24日付け平成7年審判第28111号審決書の写し
甲第3号証:平成11年(ワ)第24433号事件訴状の写し
・請求人が、無効審判弁駁書とともに提出した証拠
甲第4号証:平成8年9月9日付け審尋書の写し
甲第5号証:平成8年11月25日付け回答書の写し
甲第6号証:実願昭54-37742号(実開昭55-141713号)のマイクロフィルム
甲第7号証:特公平1-44962号公報
甲第8号証:実願昭61-19289号公報
甲第9号証:実願昭58-83214号(実開昭59-191030号)のマイクロフィルム
甲第10号証:実公平2-32982号公報
甲第11号証:実願昭61-31155号(実開昭62-142618号)のマイクロフィルム
甲第12号証:美公平8-582号公報
甲第13号証:実願平4-1666号(実開平5-61610号)のCD-ROM
甲第14号証:シャープ OK一H30X(製造年97年)の写真
甲第15号証:日立 OVF-SC30(製造年97年)の写真
甲第16号証:長府 FH-251(製造年96年)の写真
甲第17号証:松下 OH-C33(製造年97年)の写真

4.被請求人の主張
被請求人は、次のような旨の主張をしている。
(1)本件無効審判の請求は、先の無効審判事件(平成7年審判第28111号)において弁駁主張したものであるから、実用新案法第41条が準用する特許法第167条「同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。」という規定に該当する。
(2)本件訂正は、実用新案登録請求の範囲には、「機能部品をほぼ横-列にして配設した」とあり、ある程度の幅を許容しうる文言である「ほぼ」という文言が用いられているところ、本件訂正部分の実施例は、機能部品である「電磁ポンプ」を機能部品である「ソレノイド」の前部に配置するという、「ほぼ横-列」という文言の通常の語義からは逸脱しているので、「ほぼ横-列」が許容しうる限界を明らかにしたものであって、実用新案法第39条第1項ただし書き第3号にいう「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(3)気化管とノズルとが一体物であることは、証拠方法として、後記の書証を提出し、請求人の製品(乙第1号証)においてもそうであるように、ノズルが気化管に固着されていることから当然のことである。
(証拠方法)
乙第1号証:気化式石油ファンヒーター ダイニチブルーヒータ一 FA-261 FA-325 FA-525 販売店用テキストの写し

5.証拠の内容
・請求人が、審判請求書とともに提出した証拠の内容は次のとおりである。
甲第1号証は、平成8年4月23日付け訂正請求書の写しであり、訂正明細書が添付されている。
甲第2号証は、平成9年1月24日付けの平成7年審判第28111号の審決書の写しである。
そこには、「上記訂正請求は、考案の詳細な説明中の実施例に関する記載のうち、「なお、上記実施例では、電磁ポンプ3をソレノイド8の右方に配置したが、ソレノイド8の前部に配置しても良い。要は前パネル15をはずした時に前方に露出するようにして容易に修理、交換ができれば良く前記実施例と同様の効果を奏する。」なる記載を削除しようとするものである。上記記載は、第1、2図に示されたように、電磁ポンプをソレノイドの右横に配置する構成以外に、ソレノイドの前に配置する構成も別の実施例として可能である旨述べたものであるが、これを削除することは、電磁ポンプとソレノイドの配置構成に関しては、電磁ポンプをソレノイドの前に配置するものは含まれないことになり、実用新案登録請求の範囲の「機能部品をほぼ横-列にして配設した」なる記載の意味をより明確にするものとみることができる。」こと(第2頁第8行?第3頁第5行)、「ここで本件考案の実施例を示す第1図を参照すると、ノズルは電磁ポンプやソレノイドと横一列に並んでいるものの、気化管はノズルに対してその手前に配置されていて、上記実用新案登録請求の範囲の記載と整合していないかの如くである。しかしながら本件明細書において、本件考案の前提となる従来技術について第3、4図を用いて説明された中で、「また気化管5の端にはノズル6が固着されている。」と記載されていて、これ以外の部分でこの両者の係合関係にふれる記載は特段なされていないこと、また本件考案にかかる気化管式燃焼装置の技術分野にあっては、審尋にたいする回答書で被請求人が述べているように気化管とノズルとは一体に組み付けられているのが普通とみられること、等からみれば、本件考案において気化管とノズルとは一体物として構成されてなるものと解される。そうすると実用新案登録請求の範囲には「気化管、ノズル、電磁ポンプ等の機能部品」と記載されてはいるけれども、上にみたように気化管とノズルとは実質上一体物を形成するのであるから、該記載は気化管とノズルとの一体物と電磁ポンプ等とを並列的に記載したものとみるべきである。したがって「気化管、ノズル、電磁ポンプ等の機能部品をほぼ横-列にして配設した」なる記載は、気化管とノズルとの一体物と電磁ポンプ等とが横にほぼ一列となるように配置されていることを意味すると捉えるべきであり、」(第7頁第4行?第8頁第13行)ということ、が記載されている。
甲第3号証は、特許第1841614号の特許権侵害並びに実用新案登録第1858417号の実用新案権侵害の特許権侵害に基づく損害賠償等請求事件の訴状の写しであり、原告は三菱電機株式会社、被告はダイニチ工業株式会社である。

・請求人が、無効審判弁駁書とともに、提出した証拠の内容は次のとおりである。
甲第4号証は、平成7年審判第28l11号について、平成8年9月9日付けの審尋書の写しである。
そこには、「本件考案における気化管とノズルの構造的関係について、釈明されたい。」という趣旨の審尋がされている。
甲第5号証は、上記審尋書に対する平成8年11月25日付けの回答書である。
そこには、「気化管式燃焼装置において、気化管とノズルとは一体に組み立てられているのが一般的であり、それぞれが単独で取り外せるような構成にはなっていない。」という趣旨の回答がされている。
甲第6号証は、実願昭54-37742号(実開昭55-141713号)のマイクロフィルム(公開日昭和55年10月9日)である。
そこには、「ヒータおよび気化パイプならびにこのパイプと連通するノズル機構を埋設し、ノズル機構の噴出孔を外部に露出させた偏平金属製の気化器と、この気化器の少なくとも一方の側面に並設され、上記噴出孔から噴出させる気化ガスを導いて燃焼させる偏平状のバーナとからなる気化式燃焼装置。」(実用新案登録請求の範囲の記載事項)に関して、図面とともに、「ノズル機構4は、気化器1に一体形成された膨出突部1a内に円筒状のホルダ5を嵌入し、このホルダ5内にニードル弁6を摺動自在に収納し、ホルダ5の先端にノズル7を取付け、このノズル7を膨出突部1aの周側面に露出させてなる。」(第3頁第8行?同第1 3行)こと、が記載されている。 甲第7号証は、特開平1-44962号公報(公告日平成1年10月2日)である。
そこには、石油を加熱により気化器内で予め気化し、これをノズルを介してバーナーに供給して燃焼させるようにした気化式石油燃焼器に関して、図面とともに、「1は気化室2を形成する黄銅製の気化器本体にして、その上部にはノズル孔3を有するガス噴射ノズル4を着脱自在に螺着すると共に、その下部側壁の接続部5,6には送油ポンプ7に連通する送油パイプ8及び通電時「閉」となる常開型の電磁弁9に連通する戻りパイプ1 0を接続してなる。」こと、が記載されている。
甲第8号証は、実公昭61-19289号公報(公告日昭和61年6月11日、実開昭57-195516号(公開日昭和57年12月11日))である。
そこには、ガス化石油燃焼器等における石油を気化する気化器に関して、図面とともに、「1は中央部にオリフィス4を有するノズル3を螺着してなる黄銅製気化器本体であり、下方部にはろう付けにより連設してなるステンレス製のパイプよりなる気化筒7が設けられている。」(第1頁第1欄18行?同第22行)こと、が記載されている。
甲第9号証は、実願昭58-83214号(実開昭59-191030号)のマイクロフィルム(公開日昭和59年12月18日)である。
そこには、液体燃料気化式燃焼器の気化器が記載されている。
甲第10号証は、実公平2-32982号公報(公告日平成2年9月6日)である。
そこには、気化燃油を生成噴流する石油燃焼器用気化器に関して、図面とともに、「気化管2の先端部には噴出口3aを有する噴出体3が螺合されており、噴流孔1eより噴流する気化燃油は気化管2の内部に設けられる図示せぬ弁杆先端の針弁の動作により適宜噴出口3aより噴出するようになっている。」(第2頁第4欄第28行?同第32行)こと、が記載されている。
甲第11号証は、実願昭61-31155号(実開昭62-142618号)のマイクロフィルム(公開日昭和62年9月9日)である。
そこには、燃料油を予熱気化して噴出口より混合管内に噴出し、バーナーで燃焼させる気化式石油燃焼器における気化装置に関して、図面とともに、「ヒーター1の発熱部分の略中央部に噴出口2をもつ噴出筒3と一体化している気化器リング4を取り付け、気化器リング4よりヒーター1の先端側に送油パイプ7を接続した円筒状の外管5を取り付けて、外管5の先端部に金網13と一体化している蓋14を設けて気化室6を形成する。」(第4頁第19行?第5頁第5行)こと、「噴出口を取りはずすことができるので、噴出口の掃除あるいは噴出口周辺のタールを掃除することができる。」(第6頁第13行?同第1 5行)こと、が記載されている。
甲第12号証は、実公平8-582号公報(公告日平成8年1月10日)である。
そこには、灯油を気化してノズルより噴出させ、そのノズルの噴流により一次空気を吸引し、予混合ガスを燃焼させる灯油気化ブンゼンバーナに関して、図面とともに、「ノズル2は気化器1の先端にネジ部6により締付され、先端に噴出口8が設けられている。」(第2頁第3欄第37行?同第38行)こと、が記載されている。
甲第13号証は、実願平4-1666号(実開平5-61610号)のCD-ROM(公開日平成5年8月1 3日)である
そこには、気化器に液体燃料を供給し、この気化器で液体燃料を気化して燃焼させる石油ファンヒータ等の気化式燃焼器具の気化装置に関して、図面とともに、「前記気化ガス出口部15にはその先端部に噴出口19を有するノズル20が螺着されて、気化フィル夕9から送られる気化ガスを噴出口19から噴出させ、一方、気化ガス入口部16には筒状の中継パイプ21が溶着される。」(段落【0009】の記載の一部)こと、が記載されている。
甲第14号証は、メーカーがシャープ、製造年が97年、型式がOK-H30Xの外観図とノズル部の写真である。
甲第1 5号証は、メーカーが日立、製造年が97年、型式がOVF-SC30の外観図とノズル部の写真である。
甲第1 6号証は、メーカーが長府、製造年が96年、型式がFH-251の外観図とノズル部の写真である。
甲第1 7号証は、メーカーが松下、製造年が97年、型式がOH-C33の外観図とノズル部の写真である。

被請求人の提出した乙第1号証は、気化式石油ファンヒーター ダイニチブルーヒータ一 FA-261 FA-325 FA-525の販売店用テキストである(公知日不明)。
その第3頁の4.気化器の項の図面には、横断面図において、ノズルと気化器本体とが横-列になったものが示されている。

6.当審の判断
先ず、本件無効審判の請求が、被請求人の主張する実用新案法第41条において準用する特許法第167条の規定に該当するか否かを検討する。
本件無効審判は、先の無効審判事件(平成7年審判第28111号)で認められた訂正が訂正の要件に違反してなされたものであるから、本件実用新案登録を無効とすべきとする審判事件であって、先の無効審判事件(平成7年審判第28111号)と同一の事実及び同一の証拠に基づいた審判事件ということはできないし、また、被請求人の主張する先の審判事件において弁駁主張をしたことをもって、同一の事実及び同一の証拠に基づいた無効審判事件であるということもできない。
したがって、本件無効審判は、実用新案法第41条において準用する特許法第167条の規定に該当しない。

次に、本件訂正が、願書に添付した明細書又は図面(以下、「登録明細書」という。)の明りようでない記載の釈明にあたるか否かを検討する。
本件訂正によって削除される記載の内容を分説すると、
(イ)「なお、上記実施例では、電磁ポンプ3をソレノイド8の右方に配置したが、」
(口)「ソレノイド8の前部に配置しても良い。」
(ハ)「要は前パネル15をはずした時に前方に露出するようにして容易に修理、交換ができれば良く前記実施例と同様の効果を奏する。」
ということができる。
上記事項(イ)については、登録明細書の〔考案の実施例〕において「図に示すように電磁ポンプ3はソレノイド8の右方に位置して設けてあり、」(実公平2-29379号公報第4欄第7行?同第9行)と記載されているように、登録明細書の他の箇所にも記載されているものであるから、この事項(イ)の削除は、登録明細書に何等影響を及ぼすものではない。
上記事項(口)について、登録明細書の〔考案の実施例〕に記載された以外の他の実施例を記載したものであるが、「ソレノイド8」は、登録明細書において、「気化管、ノズル、ソレノイド、電磁ポンプ等の機能部品」(〔作用〕の欄)、「機能部品である気化管5、ソレノイド8、電磁ポンプ3」(〔考案の実施例〕の欄)と記載されているように、「ソレノイド8」は機能部品であって、上記事項(口)の構成は、このソレノイド8の「前部」に、前段(イ)に記載された機能部品である「電磁ポンプ」を配置するものであるから、「機能部品をほぼ横-列にして配設した」といい得るか明らかではなく、明りょうな記載であるとはいえない。
したがって、この事項(口)の削除は、実用新案登録請求の範囲に記載された「機能部品をほぼ横-列にして配設した」という構成と登録明細書の考案の詳細な説明の記載事項とを整合させるものといえるから、登録明細書の明りようでない記載の釈明に基づいた訂正ということができる。
上記事項(ハ)について、登録明細書には、「機能部品である気化管5、ソレノイド8、電磁ポンプ3がすべて本体前部に集中しており、万一故障した場合でも、前面パネル1 5をあげると、すべて露出するので、容易に交換、修理ができ、メンテナンス性が向上できる。」(〔考案の実施例〕の欄)、「機能部品を本体前部に集中することができるため、故障時の修理や部品交換が容易に行なえ、サービス性が向上できる。」(〔考案の効果〕の欄)と記載されているように、登録明細書の他の箇所にも記載されているものであるから、この事項(ハ)の削除は、登録明細書に何等影響を及ぼすものではない。

しかしながら、請求人は、上記訂正について、上記3.請求人の主張の(理由)の欄に記載した旨の主張をしている。
そこで、この請求人の主張について検討する。
実用新案請求の範囲に記載された、機能部品である「気化管」と「ノズル」とが「ほぼ横-列にして配設した」という構成は、文言通り解釈すると、ノズル6の前方に気化管5を配設した、第1図、第2図の図面に示された実施例とは一致しているとはいえない。
しかしながら、登録明細書の考案の詳細な説明の欄の〔従来技術〕には、「気化管5の端にはノズル6が固着されている。」と記載されているように、ノズルは気化管の端に固着されているものであるし、請求人が弁駁書とともに提出した、本件考案の出願前に公知である甲第6号証の図面を参酌すると、ノズルと気化管とは、部品として見れば、請求人の言うように、各々は別体であるということができるとしても、燃焼装置として構成されたものは、両者は組み付けられて、気化管とノズルとを一体に固着して連通されているものということができる。
さらに、本件考案の出願後に公知となった、甲第7号証から甲第17号証を参考にしてみても、気化管とノズルとの結合関係は、甲第6号証に記載されたものと同様に、両者は固着されたものであって構造上に格別な差異があるとは認められないし、特に、甲第14号証乃至甲第17号証に示された各社のノズルと気化管の写真をみても、ノズルは、気化管に比べて小さく、その一部を気化管の本体内に埋設されるように螺着されていて、全体としてみれば、ノズルは気化管の一部をなしているように窺える。
そうしてみると、燃焼装置において、ノズルと気化管とは、気化管の端部にノズルを取付けた一体物ということができるから、登録明細書の第1図、第2図に示された本件考案の実施例においても、ノズル(指示番号6)は、バーナー10と向かい合った端部を指しているものと解すべきであって(第2図の指示番号6はそのように指示していると窺える)、それと気化管5とが連通して一体化されている一体物として捉えることが適当である。
したがって、本件考案の「気化管、ノズル、電磁ポンプ等の機能部品をほぼ横-列にして配置した」という構成は、一体物と構成される気化管とノズルの機能部品と、他の機能部品とほぼ横一列にして配置されたものと解することが適当であるから、この構成以外の実施例の記載を削除した本件訂正によって、本件考案の解釈が不明瞭になったということはできない。

なお、被請求人の提出した乙第1号証には、横断面図において、ノズルと気化器本体とが横-列になったものが示されているが、本件考案の出願前に公知であったか否か不明なため、証拠として採用できない。

よって、被請求人が平成8年4月23日付けで登録明細書を訂正した訂正事項は、登録明細書の明りようでない記載の釈明を目的とした訂正であり、先の審決において、「気化管、ノズル、電磁ポンプ等の機能部品をほぼ横-列にして配設した」なる構成は、気化管とノズルとの一体物と電磁ポンプ等とが横にほぼ一列となるように配置されていることを意味すると捉えるべきと認定したことは妥当なものといえるから、請求人の主張は採用できない。

7.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件考案を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
審理終結日 2001-10-25 
結審通知日 2001-10-30 
審決日 2001-11-15 
出願番号 実願昭59-153414 
審決分類 U 1 112・ 831- Y (F23D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河合 厚夫  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 櫻井 康平
滝本 静雄
登録日 1991-07-10 
登録番号 実用新案登録第1858417号(U1858417) 
考案の名称 気化管式燃焼装置  
代理人 吉井 剛  
代理人 柳 誠一郎  
代理人 近藤 恵嗣  
代理人 吉井 雅栄  
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