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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) B22D
管理番号 1076569
判定請求番号 判定2003-60012  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2003-06-27 
種別 判定 
判定請求日 2003-01-23 
確定日 2003-05-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2048110号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「金型冷却用パイプ」は、登録第2048110号実用新案の技術的範囲に属する。
理由 1.請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号図面及びイ号図面説明書に示す株式会社ジェイエフティ製の「金型冷却用パイプ」(以下、「イ号物件」という)が、請求人所有の実用新案登録第2048110号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

2.被請求人の応答
当審は、被請求人に対し、判定請求人の提出した判定請求書を送達し、期間を指定して答弁書を提出する機会を与えたが、被請求人からは何らの応答もなかった。

3.本件考案
本件考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであって、これを構成要件毎に分説すると次のとおりのものである。
「A:外パイプ内に内パイプを同芯状に配置せしめて冷却水の往路と復路を構成すると共に、外パイプ及び内パイプの一端に、往路に連通する入水口と復路に連通する出水口とを備えたホ一ス接続口金を取付けてなる金型冷却用パイプにおいて、
B:前記ホ一ス接続口金に、上記入水口に連通する入水室と上記出水口に連通する出水室とを外パイプの軸芯線上に並列状に形成せしめ、
C:上記入水室内に連通孔を開口した保持管を軸方向に抜き挿し可能に設置し、
D:前記外パイプの一端を上記出水室に螺合接続させ、
E:前記内パイプの一端を上記出水室を貫通させて上記保持管に連通接続させてなる事を特徴とする
F:金型冷却用パイプ。」

4.本件考案の目的及び効果
従来の金型冷却用パイプは、「外パイプa_(1)及び内パイプa_(2)が往路3に連通する入水口1と復路4に連通する出水口2とを備えたホース接続用口金a_(3)に分離不能状態に一体化されているため、冷却水の往路3や復路4に水垢等が付着堆積して冷却水の流れが悪くなったり、外パイプまたは内パイプのどちらか一方が破損したような場合には、全体が使用不能となった破棄せねばならず、非常に不経済であった。」(実用新案公告公報2欄9?末行)という問題点があった。本件考案の目的は、この問題点を解決して「外パイプと内パイプ及びホース接続口金を互いに容易に分解可能となして、冷却水の往路や復路に水垢等が付着しても容易に除去して再使用することが出来ると共に、外パイプ及び内パイプのどちらか一方が破損した場合でも他方のパイプのみを新しいものと交換して再使用することが出来る経済的な金型冷却用パイプを提供せんとする」(実用新案公告公報3欄3?9行)というものである。
また、本件考案の効果は、「外パイプと内パイプ及びホース接続口金が互いに容易に分解可能となる。従って、冷却水の往路や復路に水垢等が付着しても、各構成部品ごとに水垢等を容易に除去して再使用することが出来ると共に、外パイプ及び内パイプのどちらか一方が破損した場合でも他方のパイプのみを新しいものと交換して再使用することが出来、非常に経済的に使用することが出来る。」(実用新案公告公報4欄21?28行)というものである。

5.イ号物件
イ号図面及びイ号図面説明書によれば、イ号物件は、次のとおりの構成を具備するものである。
「a:外パイプ内に内パイプを同芯状に配置せしめて冷却水の往路と復路を構成すると共に、外パイプ及び内パイプの一端に、往路に連通する入水口と復路に連通する出水口とを備えたホ一ス接続口金を取付けてなる金型冷却用パイプにおいて、
b:前記ホ一ス接続口金に、上記入水口に連通する入水室と上記出水口に連通する出水室とを外パイプの軸芯線上に並列状に形成せしめ、
c:上記入水室内にコイルばねを軸方向に抜き挿し可能に設置し、
d:前記外パイプの一端を上記出水室に螺合接続させ、
e:前記内パイプの一端を上記出水室を貫通させて上記コイルばねに連通接続させてなる
f:金型冷却用パイプ。」

6.対比・判断
(1)イ号物件の各構成が本件考案の各構成要件を充足するか否かについて 本件考案とイ号物件とを対比すると、イ号物件の構成a、b、d、fは、それぞれ本件考案の構成要件A、B、D、Fを充足することは明らかである。
次に、本件考案の構成要件Cは、「連通孔を開口した保持管」を軸方向に抜き挿し可能に設置しているのに対して、イ号物件の構成cは、「コイルばね」を軸方向に抜き挿し可能に設置しており、この点で両者は異なり、イ号物件の構成cは、本件考案の構成要件Cを充足していない。
また、本件考案の構成要件Eは、内パイプの一端を「保持管」に連通接続させているのに対して、イ号物件の構成eは、内パイプの一端を「コイルばね」に連通接続させており、この点で両者は異なり、イ号物件の構成eは、本件考案の構成要件Eを充足していない。

(2)本件考案の構成要件C、Eに係る上記相違部分が均等であるか否かについて
上記相違部分は、本件考案の構成要件Cが「連通孔を開口した保持管」を用いているのに対して、イ号物件の構成cが「コイルばね」を用い、本件考案の構成要件Eが「保持管」を用いているのに対して、イ号物件の構成eが「コイルばね」を用いているのであるから、結局のところ、両者は、本件考案の構成要件C、Eが「保持管」としているのに対して、イ号物件の構成c、eが「コイルばね」としている部分で相違しているといえる。
ここで、上記相違する部分があるにもかかわらず、イ号物件が本件考案の構成と均等なものとして、その技術的範囲に属するということができるかどうかを、最高裁平成6年(オ)第1083号、平成10年2月24日第三小法廷判決(民集52巻1号113頁)を参照して、検討する。
(2a)本質的部分について
本件考案の本質的部分は、上記「4.本件考案の目的及び効果」欄の記載に照らせば、外パイプと内パイプ及びホース接続口金を互いに容易に分解可能である構造とした点であり、本件考案の構成要件C、E中の「保持管」については、本件明細書の記載に徴すれば、該三つの部材を互いに容易に分解可能とするための一部材であって、他の部材としても全体として本件考案の技術思想は何ら変わるものではないから、本件考案の「保持管」部分は、本件考案の本質的部分をなす構成であるとはいえない。
(2b)置換可能性について
本件考案の構成要件Cでの「連通孔を開口した保持管」は、実用新案公告公報4欄14?17行「ホース接続口金a_(3)の入水口1から供給される冷却水は、入水室10から保持管8の連通孔18を通り内パイプa_(2)の内部すなわち往路3を通って金型Bの冷却穴19に至り、・・・」の記載、同3欄38?44行「内パイプa_(2)の一端を出水室5から仕切壁14の挿通穴7を貫通させて入水室10内の保持管8に連通接続させる。この際、内パイプa_(2)の一端に係止鍔9を一体的に取付け、その係止鍔9を仕切壁14に設置したパッキング15と保持管8の端面とで挟持させることにより内パイプa_(2)を保持管8に連通接続させる」の記載を参酌すると、連通孔を開口したことにより冷却水を通す作用と、内パイプを保持、固定する作用をなしている。
これに対して、イ号物件の「コイルばね」は、通常巻き線間に間隙を有し、この間隙を冷却水が通過できるもので、イ号物件においても入水口から供給された冷却水は、入水室にあるコイルばねの間隙を通って、内パイプ内の往路に流されるから、本件考案の冷却水を通す作用を有している。また、イ号物件では、内パイプの一端に係止鍔を一体的に取付け、この係止鍔をホース接続口金の入水室一端に、他端からのコイルばねを介して栓蓋をねじ込むことにより、入水室一端に押付け挟持させている。このことにより、内パイプが、入水室において、保持、固定され、コイルばねに連通接続されている。即ち、本件考案の内パイプを保持、固定する作用を有している。
更に、イ号物件は、外パイプ、内パイプ、ホース接続口金を互いに容易に分解可能になっており、本件考案と同一の作用効果を奏し、同一の目的を達成している。
そうすると、上記相違する構成部分をイ号物件におけるものと置き換えても、本件考案の目的を達成することができ、これと同一の作用効果を奏するものである。
(2c)置換容易性について
本件考案出願前に、コイルばねを用いてある部材を保持、固定することは、例えば、ケース付タンク用フィルタのフィルタエレメントを、ケース内で「エレメント押えばね」を用い、保持、固定すること(「JISハンドブック 油圧・空気圧-1979」1978年11月1日、第1版第1刷、財団法人日本規格協会発行、289頁付図2ケース付タンク用フィルタ(例)、「油空圧便覧」昭和50年4月20日、第1版第1刷、株式会社オーム社発行、571頁図IVA-411ケース付タンク用フィルタ(例))にもあるように周知技術にすぎず、これを考慮すれば、本件考案の上記相違する構成部分をイ号物件におけるものと置き換えことは、イ号の実施の時点において当業者が、きわめて容易に想到することができたものである。
(2d)公知技術と同一、又は同技術からの容易推考性について
本件考案の本質的部分は、上記(2a)で示したとおり外パイプと内パイプ及びホース接続口金を互いに容易に分解可能である構造とした点であり、本件の審査過程を示す、甲第3号証(本件出願に対する拒絶理由通知書に引用された実公昭63-47383号公報)、甲第4号証(同拒絶理由通知書)、甲第5号証(平成5年10月1日付意見書)、及び甲第6号証(平成5年10月1日付手続補正書)を参酌しても、上記本件考案の本質的部分について記載ないし示唆する文献などはなく、本件考案は公知技術と同一又は当業者が公知技術からきわめて容易に推考できたものではない。
そうすると、同様にイ号物件も公知技術と同一又は当業者が公知技術からきわめて容易に推考できたものではない。
(2e)意識的除外等の特段の事情について
本件考案の出願手続において、実用新案登録請求の範囲から意識的にイ号物件を除外するなどの、特段の事情は認められない。
(2f)まとめ
以上によれば、イ号物件の構成c、eは、本件考案の構成要件C、Eとそれぞれ均等なものと認められる。

7.むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件登録実用新案に係る考案の技術的範囲の属する。
よって、結論のとおり判定する。



イ号物件

判定日 2003-04-23 
出願番号 実願平1-29408 
審決分類 U 1 2・ 1- YA (B22D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 後藤 政博  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 石井 良夫
三崎 仁
登録日 1995-01-23 
登録番号 実用新案登録第2048110号(U2048110) 
考案の名称 金型冷却用パイプ  
代理人 石渡 英房  
代理人 長南 満輝男  
代理人 細井 貞行  
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