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審決分類 |
審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) B65D |
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管理番号 | 1078061 |
審判番号 | 無効2002-35216 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2003-07-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-05-27 |
確定日 | 2003-04-14 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2142052号実用新案「サンドイッチ等食品の包装用袋」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 実用新案登録第2142052号の請求項1ないし8に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件登録実用新案第2142052号の考案は、平成4年1月22日に実願平4-1849号として出願されたものであって、平成7年11月29日に出願公告され、平成8年11月13日に実用新案の設定登録がなされたものであり、平成14年5月27日に本件登録実用新案に対する無効審判請求(請求項10に係る考案を除く請求項1乃至9に係る考案に対して無効を主張)がなされ、平成14年10月7日付けで答弁書の提出とともに、訂正請求がなされ、平成15年1月28日に口頭審理が行われたものである。 口頭審理においては、請求人及び被請求人の双方より口頭審理陳述要領書が提出された。 2.訂正の適否 (1)訂正の内容 平成14年10月7日付けの訂正請求は、以下のア.?ウ.の内容の訂正を行おうとするものである。 ア.訂正事項a 無効審判請求の対象となっている実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至9項を訂正するもので、請求項毎に整理すれば、以下のものとなる。 【請求項1】 訂正前の「表フィルム2と裏フィルム3との両側縁が熱溶着され且つ該両フィルム2,3の一端側にシール部5を有し、他端側に開口部12を有して袋本体1が形成され、且つ該シール部5から前記表裏両フィルム2,3がそれぞれ延設されて2枚の突出片6,7が形成されたサンドイッチ等食品の包装用袋において、前記一方の突出片と他方の突出片とがシールされることにより両突出片6,7が一体化されて把持用ヘッダー20が形成され、且つ前記突出片6,7のうち少なくとも何れか一方の突出片には、前記袋本体1の開裂起点となる舌片状の摘み片11が、分離手段を介して前記把持用ヘッダー20から分離可能に形成されてなることを特徴とするサンドイッチ等食品の包装用袋。」を、「表フィルム2と裏フィルム3との両側縁が熱溶着され且つ該両フィルム2,3の一端側にシール部5を有し、他端側に開口部12を有して袋本体1が形成され、且つ該シール部5から前記表裏両フィルム2,3がそれぞれ延設されて2枚の突出片6,7が形成されたサンドイッチ等食品の包装用袋において、前記一方の突出片と他方の突出片とがシールされることにより両突出片6,7が一体化されて把持用ヘッダー20が形成され、且つ前記突出片6,7のうち少なくとも何れか一方の突出片には、前記袋本体1の開裂起点となる舌片状の摘み片11が、前記シール部5と前記上端縁6a,7aに形成されたシール部間に、分離手段を介して前記把持用ヘッダー20から分離可能に形成されてなることを特徴とするサンドイッチ等食品の包装用袋。」とする訂正(下線部は、訂正個所)。 【請求項2乃至7】 それぞれの請求項において特定している記載事項を直接訂正するものではないが、請求項1を引用、あるいは結果的に引用している記載形式のものであるので、上記請求項1に関する訂正が結果としてなされているもの。 【請求項8】 訂正前の請求項8を削除する訂正。 【請求項9】 請求項2乃至7に係る訂正と実質同じ内容の訂正であるが、訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項8が削除されたため、訂正後は、請求項8となる訂正。 イ.訂正事項b 無効審判請求の対象となっていない請求項10の記載を、訂正前の「【請求項10】前記把持用ヘッダー20を構成する両突出片6,7間の隙間17に、ティッシュペーパー18が収納されてなる請求項1乃至9のいずれかに記載のサンドイッチ等食品包装用袋。」から、「【請求項9】前記把持用ヘッダー20を構成する両突出片6,7間の隙間17に、ティッシュペーパー18が収納されてなる請求項1乃至8のいずれかに記載のサンドイッチ等食品包装用袋。」とする訂正。 ウ.訂正事項c 段落【0008】の記載を、訂正事項1の記載の訂正に対応させて、訂正前の「【問題を解決するための手段】本考案は、このような課題を解決するためになされたもので、その課題を解決するための手段は、表フィルム2と裏フィルム3との両側縁が熱溶着され且つ該両フィルム2,3の一端側にシール部5を有し、他端側に開口部12を有して袋本体1が形成され、且つ該シール部5から前記表裏両フィルム2,3がそれぞれ延設されて2枚の突出片6,7が形成されたサンドイッチ等食品の包装用袋において、前記一方の突出片と他方の突出片とがシールされることにより両突出片6,7が一体化されて把持用ヘッダー20が形成され、且つ前記突出片6,7のうち少なくとも何れか一方の突出片には、前記袋本体1の開裂起点となる舌片状の摘み片11が、分離手段を介して前記把持用ヘッダー20から分離可能に形成されてなることにある。」を、「【問題を解決するための手段】本考案は、このような課題を解決するためになされたもので、その課題を解決するための手段は、表フィルム2と裏フィルム3との両側縁が熱溶着され且つ該両フィルム2,3の一端側にシール部5を有し、他端側に開口部12を有して袋本体1が形成され、且つ該シール部5から前記表裏両フィルム2,3がそれぞれ延設されて2枚の突出片6,7が形成されたサンドイッチ等食品の包装用袋において、前記一方の突出片と他方の突出片とがシールされることにより両突出片6,7が一体化されて把持用ヘッダー20が形成され、且つ前記突出片6,7のうち少なくとも何れか一方の突出片には、前記袋本体1の開裂起点となる舌片状の摘み片11が、前記シール部5と前記上端縁6a,7aに形成されたシール部間に、分離手段を介して前記把持用ヘッダー20から分離可能に形成されてなることにある。」とする訂正。 なお、この訂正は、訂正請求書の訂正の要旨には明記されていないが、提出された全文訂正明細書の記載からみて明らかである。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア.訂正事項aについて 【請求項1に関して】 摘み片11を形成する位置を「前記シール部5と前記上端縁6a,7aに形成されたシール部間に」限定する訂正であるので、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。 そして、この形成位置を限定する訂正個所は、訂正前の請求項8に記載されたものであるので、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 【請求項2乃至7及び請求項9に関して】 請求項1に関する訂正と実質上同じ訂正であるので、実用新案登録の範囲の減縮を目的とする訂正であり、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 【請求項8に関して】 削除されたので、明らかに実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。 イ.訂正事項bについて 訂正前の請求項10(訂正後の請求項9)は、請求項1を直接あるいは間接的に引用しているので、請求項1に関してで述べたと同様の理由から実用新案登録の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 さらに、独立実用新案登録要件について検討すると、「ティッシュペーパーを突出片の隙間に収納すること」は、本件審判請求において請求人が提出した証拠には全く記載されておらず、又、他に格別の証拠があるとも認められないので、訂正後の請求項9に係る考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができたものである。 ウ.訂正事項cについて 請求項1の記載に対応させての訂正であるので、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正であり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)むすび よって、平成14年10月7日付け訂正請求による訂正は、平成11年5月14日法律第41号第3項の規定により改正された平成5年4月23日法律26号附則4条2項の規定により読み替えられるとされる旧実用新案法第40条第2項の規定並びに同条第5項において準用する旧実用新案法第39条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.請求人の主張 請求人は、下記の甲第1号証?甲第8号証を提出するとともに、本件の請求項1乃至9に係る考案は、甲第1号証あるいは甲第2号証に記載されたものであるので、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反して実用新案登録をされたものであると主張し、さらに、本件の請求項1乃至9に係る考案は甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録がなされたものであると主張している。 -請求人の提出した証拠- 甲第1号証:実願昭58-191324号(実開昭60-99273号)のマイクロフィルム 甲第2号証:実願昭61-129237号(実開昭63-34058号)のマイクロフィルム 甲第3号証:実願平1-48307号(実開平2-141344号)のマイクロフィルム 甲第4号証:平成8年審判第18103号審決公報 甲第5号証:実願平4-69297号(実開平6-61757号)のCD-ROM 甲第6号証:平成9年11月1日差し出しの実願平4-69297号の手続補正書の特許庁電子ファイル 甲第7号証:本件実用新案権者から件外株式会社ファミリーマートへの警告書 甲第8号証:件外株式会社ファミリーマートから本件実用新案権者への回答書 4.被請求人の主張 被請求人は、本件考案は摘み片の位置を上端縁からずらした点に特徴があり、甲第1号証、甲第2号証何れの刊行物にもその点に関する記載がないので、請求人の主張は失当である旨主張している。 5.本件考案 無効審判が請求された考案は、訂正前の請求項1乃至9に係る考案であり、訂正により請求項8が削除されたので、無効審判請求の対象となる訂正後の本件考案は、平成14年10月7日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載された事項により特定される次のものである。(以下、訂正考案1乃至8という。) 【請求項1】 表フィルム2と裏フィルム3との両側縁が熱溶着され且つ該両フィルム2,3の一端側にシール部5を有し、他端側に開口部12を有して袋本体1が形成され、且つ該シール部5から前記表裏両フィルム2,3がそれぞれ延設されて2枚の突出片6,7が形成されたサンドイッチ等食品の包装用袋において、前記一方の突出片と他方の突出片とがシールされることにより両突出片6,7が一体化されて把持用ヘッダー20が形成され、且つ前記突出片6,7のうち少なくとも何れか一方の突出片には、前記袋本体1の開裂起点となる舌片状の摘み片11が、前記シール部5と前記上端縁6a,7aに形成されたシール部間に、分離手段を介して前記把持用ヘッダー20から分離可能に形成されてなることを特徴とするサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項2】 前記分離手段が切込線10である請求項1記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項3】 前記切り込み線10が、逆U字状に形成されてなる請求項2記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項4】 前記摘み片11が略馬蹄形に形成されてなる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項5】 前記摘み片11が把持用ヘッダー20の略中央に形成されてなる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項6】 前記突出片6,7のシールが、該突出片6,7の上端縁6a,7a及び両側縁6b,7b,6c,7cに形成されてなる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項7】 前記両突出片6,7のシールが、該突出片6,7の上端縁6a,7aに形成されてなる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項8】 前記突出片6,7のシールが、前記摘み片11を除く両突出片6,7の略全面に形成されてなる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 6.当審の判断 (1)甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項 a.甲第1号証(実願昭58-191324号(実開昭60-99273号)のマイクロフィルム、以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。 記載イ: 「本考案は、サンドイッチや食パン等を包装する合成樹脂製の包装袋に関し、手で容易に開封できるようにした開封部を設けてなるものである。」(1頁8?11行参照) 記載ロ: 「本考案は上記の欠点を解消するため第2図に示すように包装袋(1)に適宜間隔で平行にミシン目(2)等を入れて開封部(3)を形成して、そこから容易に開封できるようにしたものである。以下本考案を図面に示す実施例に基づき説明する。 本考案の包装袋(1)には袋本体部(4)と保持部(5)とが形成されている。この包装袋の製造方法は各種あるが、例えば第3図(イ)に示すミシン目(2)が入っていない合成樹脂フィルム(6)と第3図(ロ)に示すミシン目(2)が入っている合成樹脂製フィルム(7)とを重合し、両フィルム(6)(7)の袋本体部(4)の両側縁(8)(9)と、保持部(5)の両側縁(10)(11)と保持部(5)の上縁(12)と、袋本体部(4)と保持部(5)の連接部(13)とを第3図(ハ)(ニ)に一点鎖線で示すように熱溶着し、底縁(14)は熱溶着せずにそのまま開口したものである。 開封部(3)は保持部(5)の上端から縦方向に袋本体部(4)の中程或は底までミシン目(2)を入れて形成してある。開封部(3)の形成位置や開封部(3)の幅等は包装袋(1)の形状、構造、大きさ等に合せて適宜選定する。」(2頁11?3頁11行参照)、 記載ハ: 「第3図(ニ)に示すものは連接部(13)の幅方向中間部(16)をも溶着してあり、この場合は開封部(3)を下方に下げて開封すると容易に剥がれる程度に軽く熱溶着してある。」(3頁17?20行参照) 記載ニ: 「包装袋(1)を開封するには、第2図(ロ)に示すように保持部(5)の上縁(12)の幅方向中間部(15)を開き、開封部(3)の上端部(18)を指でつまんで開封部(3)を下方に引下げればよく、これにより開封部(3)がミシン目によって開封される。 上記のように本考案の包装袋(1)は、包装袋(1)に開封部(3)を形成し、しかも開封部(3)の上端部(18)を溶着せずに開口状態にしてあるため、その上端部(18)をつまんで引き下げるだけで包装袋を極めて容易に開封することができる。」(4頁9?18行参照) 引用例1に記載された考案は、2枚のフィルムの両側縁を熱溶着して形成したサンドイッチ等食品の包装用袋であり、袋本体部(4)と保持部(5)の連接部(13)は熱溶着され、また、保持部の上縁(12)も熱溶着されており、保持部は一体化されて形成されている。そして、保持部(5)の上縁にある開封部(3)の上端部(18)を摘んで引き下げると開封部がミシン目に沿って開封されるものである。 b.甲第2号証(実願昭61-129237号(実開昭63-34058号)のマイクロフィルム、以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。 記載ホ: 「本考案の食品包装袋は第1図、第2図のように、所定方向に裂け易い性質のプラスチックフィルムで形成され、周縁シール部1と上方シール部2が熱シールされ、底面に収納口3が開口され、プラスチックフィルムに切り込み4を入れて同フィルムを裂け易い方向に開口する舌片5を形成してなる包装袋6に、食品(例えばサンドイッチ)7と脱酸素材8とを入れ、その後に収納口3を熱シールして密封してなるものである。」(3頁13行?4頁1行参照)、 記載ヘ: 「サンドイッチを食べるときは第3図の舌片5を第4図のように下方(フィルムの裂け易い方向)に引いて開封する。この場合、包装袋6は舌片5の幅で開口される。」(第5頁第11?14行参照) 記載ト: 「本考案ではこのフィルムに切り込み4を入れて舌片5を形成してある。切り込み4は上方シール部2の上に形成してある。このようにすれば上方シール部2の機密性が損なわれない。」(6頁2?5行参照)、 引用例2に記載された考案は、2枚のフィルムの両側縁1と上方シール部2を熱溶着して形成したサンドイッチ等食品の包装用袋であり、上方シール部2の上方には切り込み4が形成され、舌片5が形成されている。舌片5を下に引くことで開封が行われるが、上方シールの上方部分がどのように構成されているかについては、詳しい説明がない。 (2)対比・判断 (2-1)訂正考案1について (2-1-1)訂正考案1が引用例1に記載された考案であるかについての検討 引用例1に記載された考案は、2枚のフィルムの両側縁を熱溶着して形成したサンドイッチ等食品の包装用袋であり、袋本体部(4)と保持部(5)の連接部(13)は熱溶着され、また、保持部の上縁(12)も熱溶着されており、保持部は一体化されて形成されている。そして、保持部(5)の上縁にある開封部(3)の上端部(18)を摘んで引き下げると開封部がミシン目に沿って開封されるものである。 引溶例1に記載された考案の、連接部(13)、保持部(5)、保持部の上縁(12)、開封部(3)の上端部(18)は、それぞれ、訂正考案の、「シール部5」、「突出片6,7が一体化された把持用ヘッダー20」、「上端縁6a,7a」、「摘み片11」に相当するが、引用例1記載の考案においては、摘み片が、把持用ヘッダー(突出片)の上端縁に設けられており、訂正考案1のように、「シール部5と上端縁6a,7aに形成されたシール部間に」設けられてはいない。 訂正考案1の「シール部5と上端縁6a,7aに形成されたシール部間に」とは、摘み片の形状が舌片状と特定されていることからも、上端縁6a,7aに切り込みをしないで摘み片を設けるものと解されるので、訂正考案1は、引用例1に記載された考案ではない。 (2-1-2)訂正考案1が引用例2に記載された考案であるかについての検討 引用例2に記載された考案は、2枚のフィルムの両側縁1と上方シール部2を熱溶着して形成したサンドイッチ等食品の包装用袋であり、上方シール部2の上方には切り込み4が形成され、舌片5が形成されている。舌片5を下に引くことで開封が行われるが、上方シールの上方部分がどのように構成されているかについては、詳しい説明がない。 引用例2に記載された考案における上方シールの上方部分は、訂正考案1の把持用ヘッダーに相当するが、訂正考案1においては、把持用ヘッダーは2つの突出片6,7を熱溶着により一体化して形成するものである。一方、引用例2記載の考案においては、把持用ヘッダーの具体的構成は明らかではない。訂正考案にと同様の構成であることの蓋然性は高いと言えるものの、その具体的構成は、引用例2には記載されていない。 よって、訂正考案1は引用例2に記載された考案ではない。 (2-1-3)訂正考案1が引用例1及び引用例2に記載された考案から容易に考案できたものであるかについての検討 訂正考案1と引用例1に記載された考案とを対比すると、引例1に記載された考案の、ミシン目が入っているフィルム(7)、ミシン目が入っていないフィルム(6)、底縁(14)に設けられた開口、連接部(13)、保持部(5)、保持部の上縁(12)、開封部(3)の上端部(18)は、それぞれ、訂正考案の、「表フィルム2」、「裏フィルム3」、「開口部12」、「シール部5」、「突出片6,7が一体化された把持用ヘッダー20」、「上端縁6a,7a」、「摘み片11」に相当するので、両者は、「表フィルムと裏フィルムとの両側縁が熱溶着され且つ該両フィルムの一端側にシール部を有し、他端側に開口部を有して袋本体が形成され、且つ該シール部5から前記表裏両フィルムがそれぞれ延設されて2枚の突出片が形成されたサンドイッチ等食品の包装用袋において、前記一方の突出片と他方の突出片とがシールされることにより両突出片が一体化されて把持用ヘッダーが形成され、且つ前記突出片のうち少なくとも何れか一方の突出片には、前記袋本体の開裂起点となる摘み片が、分離手段を介して前記把持用ヘッダー20から分離可能に形成されてなることを特徴とするサンドイッチ等食品の包装用袋。」である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点: 訂正考案1においては、舌片状の摘み片をシール部5と上端縁6a,7aに形成されたシール部間に設けているのに対し、引用例1に記載された考案においては、摘み片は把持用ヘッダー(突出片)の上端縁に切り込みを設けて設けられている点。 相違点について検討をすると、引用例2には、舌片状の摘み片5を本件考案のシール部5に相当する上方シール部の上方に設けることが記載されており、第2図?第4図の記載からみて明らかに上端縁に切り込みを設けるのではなく、上端縁とシール部との間に舌片が形成されていることが理解できる。そして、引用例2に記載されたものも本件考案と同様にサンドイッチ等食品の包装用袋であり、その舌片5も包装袋を開封するために用いられるものであるので、引用例1に記載された摘み片を、引用例2に記載された形式の摘み片とすることに格別の困難があったとはいえない。 よって、訂正考案1は引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものである。 訂正考案2乃至8について以下検討するに、これら考案は何れも訂正考案1をさらに限定する考案であるので、(2-1-1)及び(2-1-2)で述べたと同様の理由により、引用例1に記載された考案でもないし、引用例2に記載された考案でもない。 そこで、訂正考案2乃至8に関しては、引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものであるかについて検討を行う。 (2-2)訂正考案2について 訂正考案2は、訂正考案1を「分離手段が切込線」であると特定するものであるが、引用例2に記載された考案においても、切り込み4により舌片5が形成されており、切り込み4は訂正考案2における「切込線」に相当するものであるので、訂正考案2は引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものである。 (2-3)訂正考案3について 訂正考案3は、訂正考案2の切込線を「逆U字状に形成されてなる」と特定するものであるが、明細書にも「摘み片11を摘むことが可能であればよい意味であって、その「舌片」の形状は問わない趣旨である。」と述べているように(本件明細書の段落【0027】を参照されたい。)、舌片の形状には格別の意味があるものではないので、この点に考案があるとは認められない。 よって、訂正考案3は引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものである。 (2-4)訂正考案4について 略馬蹄形も逆U字形状の一つであり、(2-3)で述べたと同様の理由から、訂正考案4は引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものである。 (2-5)訂正考案5について 訂正考案5は、訂正考案1乃至4の摘み片11の位置を「把持用ヘッダー20の略中央に形成されてなる」と特定するものであるが、シール部5と上端縁6a,7aに形成されたシール部間のどの位置にするかは当業者が適宜選択できる程度の設計的事項であり、この点には格別のものはない。このことは、明細書においても、「要は、切取線10を介して分離可能で、その引張力によって袋本体1を開裂する開裂起点となる舌片状の摘み片11が、前記突出片6に形成されていればよいのである。」(本件明細書段落【0027】参照)と述べているように、シール部5と上端縁6a,7aの間であれば、どこの位置であろうと格別の差異がないというべきである。 よって、訂正考案5は引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものである。 (2-6)訂正考案6について 訂正考案6は、訂正考案1乃至5の突出片のシールを、「突出片6,7の上端縁6a,7a及び両側縁6b,7b,6c,7cに形成されてなる」と特定するものであるが、引用例1記載の考案も突出片(把持用ヘッダー)に相当する保持部(5)の両側縁と上端縁がシールされているので、訂正考案6は引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものである。 (2-7)訂正考案7について 訂正考案7は、訂正考案1乃至5の突出片のシールを、「突出片6,7の上端縁6a,7aに形成されてなる」と特定するものであるが、引用例1記載の考案も突出片(把持用ヘッダー)に相当する保持部(5)の上端縁がシールされているので、訂正考案7は引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものである。 (2-8)訂正考案8について 訂正考案8は、訂正考案1乃至5の突出片のシールを「摘み片11を除く両突出片の略全面に形成されてなる」と特定するものであるが、シール面積をどの程度にするかは当業者が必要に応じて適宜選択できる程度の設計的事項であるので、この点に格別のものがあるとは認められない。このことは、被請求自身が「何れにしてもシールの態様は問うものではなく、要は両突出片6,7がシールにより一体化されて把持用ヘッダー20が形成されていればよいのである。」(本件明細書段落【0025】参照)と認識している点と同じである。 よって、訂正考案8は引用例1及び引用例2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものである。 7.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正考案1乃至8は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、訂正考案1乃至8に係る実用新案登録は、旧実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、同法第41条で準用する特許法第169条第2項の規定で更に準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 サンドイッチ等食品の包装用袋 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 表フィルム2と裏フィルム3との両側縁が熱溶着され且つ該両フィルム2,3の一端側にシール部5を有し、他端側に開口部12を有して袋本体1が形成され、且つ該シール部5から前記表裏両フィルム2,3がそれぞれ延設されて2枚の突出片6,7が形成されたサンドイッチ等食品の包装用袋において、前記一方の突出片と他方の突出片とがシールされることにより両突出片6,7が一体化されて把持用ヘッダー20が形成され、且つ前記突出片6,7のうち少なくともいずれか一方の突出片には、前記袋本体1の開裂起点となる舌片状の摘み片11が、前記シール部5と前記上端縁6a,7aに形成されたシール部8間に、分離手段を介して前記把持用ヘッダー20から分離可能に形成されてなることを特徴とするサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項2】 前記分離手段が切込線10である請求項1記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項3】 前記切込線10が、逆U字状に形成されてなる請求項2記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項4】 前記摘み片11が略馬蹄形に形成されてなる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項5】 前記摘み片11が把持用ヘッダー20の略中央に形成されてなる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項6】 前記両突出片6,7のシールが、該両突出片6,7の上端縁6a,7a及び両側縁6b,7b,6c,7cに形成されてなる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項7】 前記両突出片6,7のシールが、該両突出片6,7の上端縁6a,7aに形成されてなる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項8】 前記両突出片6,7のシールが、前記摘み片11を除く両突出片6,7の略全面に形成されてなる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のサンドイッチ等食品の包装用袋。 【請求項9】 前記把持用ヘッダー20を構成する両突出片6,7間の隙間17に、ティッシュペーパー18が収納されてなる請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のサンドイッチ等食品包装用袋。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本考案は、サンドイッチ等の食品を包装するための包装用袋に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種のサンドイッチ等食品の包装用袋としては、たとえば実公平2-32587号公報所載のものがある。 【0003】 すなわち、この包装用袋は、図15に示すように先端に形成された2枚の突出片6d,7dのうち、一方の突出片6dに2条の切込線21,21を形成し、その切込線21,21を起点として該切断線21,21間の摘み片22を把持して図16に示すようにフィルム23を引き裂くことによって袋本体1dを開裂するものである。 【0004】 【考案が解決しようとする課題】 しかし、上記のような包装用袋は、上記切断線21,21が一方の突出片6dのみに形成され、しかも上記2枚の突出片6d,7dが相互に離間した別体のものであるため、上記切断線21を探索するのが必ずしも容易ではなく、従って袋本体1dの開裂時において上記摘み片22を容易に摘むことができない。 【0005】 また、摘み片22を摘んで開裂する際には、その摘み片22が形成されていない他方の突出片7dが把持されるが、上記のような包装用袋ではフィルムによって構成される2枚の突出片6d,7dがそれぞれ離間した別体のものであるため、それぞれの突出片6d,7d自体には腰がなく、従って上記摘み片22によって開裂する場合において、他方の突出片7dを安定した状態で保持することができない。 【0006】 従って、上記のような要因によって、摘み片22によって袋本体1dを開裂する作業が容易に行えないという問題点を生じていた。 【0007】 本考案は、このような問題点を解決するためになされたもので、摘み片の探索が容易で、その摘み片を容易に摘むことができ、また突出片に腰を生じさせ、全体として摘み片による袋本体の開裂作業を容易に行わしめることを課題とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本考案は、このような課題を解決するためになされたもので、その課題を解決するための手段は、表フィルム2と裏フィルム3との両側縁が熱溶着され且つ該両フィルム2,3の一端側にシール部5を有し、他端側に開口部12を有して袋本体1が形成され、且つ該シール部5から前記表裏両フィルム2,3をそれぞれ延長して2枚の突出片6,7が形成されたサンドイッチ等食品の包装用袋において、前記一方の突出片と他方の突出片とがシールされることにより両突出片6,7が一体化されて把持用ヘッダー20が形成され、且つ前記突出片6,7のうち少なくともいずれか一方の突出片には、前記袋本体1の開裂起点となる舌片状の摘み片11が、前記シール部5と前記上端縁6a,7aに形成されたシール部8間に、分離手段を介して前記把持用ヘッダー20から分離可能に形成されてなることにある。 【0009】 【作用】 すなわち、上記2枚の突出片6,7のうちの一方の突出片の少なくとも上端縁が他方の突出片側にシールされて両突出片6,7の一体化により把持用ヘッダー20が形成されてなるため、両突出片6,7は相互に分離することがなく、従ってその一体化によって形成された把持用ヘッダー20に対し、上記分離手段を介して舌片状の摘み片20が容易に分離され、その摘み片20を容易に探索して把持することができる。 【0010】 そして、前記把持用ヘッダー20から分離された摘み片11を摘んで袋本体1を開裂する際には、該把持用ヘッダー20が把持されることとなるが、その把持用ヘッダー20は前記両突出片6,7の一体化によって形成されているため、該把持用ヘッダー20には腰が生じ、よって該把持用ヘッダー20を安定した状態で保持することができるのである。 【0011】 【実施例】 以下、本考案の実施例について説明する。図1乃至図3において、1は略台形状の袋本体で、一軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる表フィルム2と、同材の裏フィルム3とが両側縁4,4で溶着されることによって構成されている。 【0012】 5は、前記袋本体1の上端側横方向に形成されたシール部で、袋本体1を構成する表フィルム2と裏フィルム3とを弱く熱シールすることによって両フィルム2,3が接離可能となるように形成され、さらにそのシール部5の上部には、前記表フィルム2と裏フィルム3とが延長されて略長方形状の突出片6,7が形成されている。 【0013】 そして、この両突出片6,7のそれぞれ上端縁6a,7a及び両側縁6b,6c,7b,7cが熱シールされることにより上端縁と両側縁にシール部8及びシール部9,9が形成されて、両突出片6,7の一体化によって把持用ヘッダー20が形成されている。 【0014】 10は、前記一方の突出片6の略中央に逆U字状に形成された切込線で、その切込線10の内側は、袋本体1の開裂起点となる舌片状の摘み片11として形成されている。 【0015】 12は袋本体1の開口部で、該袋本体1の下端側に形成されている。 【0016】 そして、このような構成からなる包装用袋13は、図4に示すようにサンドイッチ14を袋本体1内に収納し、サンドイッチ14から飛び出た余剰部分を折り畳んで図5に示すようにサンドイッチ14を包装して使用されるものである。 【0017】 次に、このような包装用袋14を開封する場合には、図7に示すように上端縁及び両側縁のシール部8,9,9でシールされて両突出片6,7の一体化によって形成された把持用ヘッダー20を把持した状態で、一方の突出片6に切込線10を介して形成された摘み片11を摘んで引っ張ると、袋本体1を構成する表フィルム2は、一軸延伸ポリプロピレンフィルムによって形成された袋本体1のフィルムの引き裂き方向に沿って裂断されることとなる。 【0018】 この場合において、上記2枚の突出片6,7の上端縁及び両側縁にシール部8,9,9が形成されて両突出片6,7の一体化により把持用ヘッダーが形成されてなるため、その把持用ヘッダー20に対し、図6に示すように上記切込線10を介して舌片状の摘み片11のみが容易に分離され、その摘み片11を容易に探索して把持することが可能となる。 【0019】 そして、把持用ヘッダー20から分離された摘み片11を摘んで袋本体1を開裂する際には、その把持用ヘッダー20が把持されることとなるが、その把持用ヘッダー20は、上述のように両突出片6,7の一体化によって形成されたものであるため、把持用ヘッダー20に腰が生じ、よって把持用ヘッダー20を安定した状態で把持することができるのである。 【0020】 また、本来別体の両突出片6,7を一体化するためのシールが、摘み片11による引き裂き方向と交差する方向である突出片6,7の上端縁6a,7aに形成されているため、摘み片11による袋本体1の開裂時において、シールされた両突出片6,7が分離することも決してなく、よって把持用ヘッダー20を安定した状態で把持することができる。 【0021】 さらに、摘み片11は、前記シールされた把持用ヘッダー20の上端縁から離間して形成されているため、該把持用ヘッダー20の把持と摘み片11の把持とを同時に行う場合に何ら支障を生ずることもない。 【0022】 尚、上記実施例では、両突出片6,7を一体化するためのシール部8,9,9が、両突出片6,7の上端縁と両側縁に形成されているため、両突出片6,7が略完全に一体化されるという好ましい効果が得られたが、シール部は必ずしも上端縁と両側縁の3周縁に施す必要はなく、たとえば図8に示すように上端縁のみにシール部8が形成されていてもよい。 【0023】 また、シール部は、上記実施例のように周縁のみに施す場合に限らず、たとえば図9及び図10に示すように、摘み片11の近辺の除く突出片6,7の略全面がシールされていてもよい。この場合は、シール部15の面積は、非シール部16の面積よりもかなり大きくなり、両突出片6,7の一体化がより完全となる。ただし、摘み片11を摘む作業が可能となるように、上記非シール部16は切込線10を含んでいる必要がある。 【0024】 また、両突出片6,7の一体化のためのシール部は、直線状のものに限らず、たとえば円弧線状に形成されたようなものであってもよい。 【0025】 いずれにしてもシールの態様は問うものではなく、要は両突出片6,7がシールにより一体化されて把持用ヘッダー20が形成されていればよいのである。 【0026】 さらに、上記実施例では、両突出片6,7の上端縁6a,7aが同一線上に位置するように形成されていたが、該上端縁6a,7aは必ずしも同一線上に位置する必要はなく、たとえば図11に示すように他方の突出片7の上端縁7aが一方の突出片6の上端縁6aよりも上側に位置するように、該一方の突出片6の上端縁6aが他方の突出片7側にシールされていてもよく、この場合でも摘み片11の把持の容易さには支障がなく、また両突出片6,7の一体化に支障を生ずることもない。ただし、上端縁6a,7aが同一線上に位置する場合には、両突出片6,7を形成する場合にフィルムの溶断とシールとを同時に行なえるため、製袋上は好都合である。 【0027】 さらに、上記実施例では、切込線10が逆U字状に形成されていたが、切込線10の形状も該実施例に限定されるものではなく、たとえば図12(イ)に示すように略コ字状に形成されていてもよく、また同図(ロ)に示すように逆W字状に形成されていてもよい。要は、切取線10を介して分離可能で、その引張力によって袋本体1を開裂する開裂起点となる舌片状の摘み片11が、前記突出片6に形成されていればよいのである。尚、ここに舌片状とは、シールが必要な両突出片6,7の上端縁等の周縁から摘み片11が離間して、摘み片11を摘むことが可能であればよい意味であって、その「舌片」の形状は問わない趣旨である。 【0028】 尚、図14(イ)に示すように、両突出片6,7間の隙間17に、ティッシュペーパー18を収納することも可能であり、この場合には、切取線10を介して摘み片11を摘み上げて袋本体1を開裂した後に、その摘み片11の除去によって形成される開口部19から、同図(ロ)のようにティッシュペーパー18を摘み出すことができ、従ってその両突出片6,7間の隙間18がティッシュボックスとして機能し、袋本体1内に収納されているサンドイッチ14を喫食する際に上記ティッシュペーパー18をお手拭きとして使用できるという利点がある。 【0029】 さらに、水分で湿潤し且つ袋に収納されたお手拭き(図示せず)を、上記摘み片11の上面に貼着することも可能であり、この場合には、前記お手拭きを収納する袋を把持して引っ張ることにより、摘み片11が同時に引っ張られて袋本体1を開裂することが可能となる。この場合には、袋本体1の開裂と同時に袋入りのお手拭きを包装用袋13から脱離させることができ、サンドイッチ14の喫食時に同時にお手拭きを使用することができるという利点がある。 【0030】 さらに、上記実施例では、摘み片11を分離する分離手段が、切込線10によって形成されていたが、この分離手段としては該実施例の切込線10以外に、たとえばミシン目等のものであってもよく、さらにはハーフカット、すなわち熱によって脆弱化された裂断線のようなものであってもよく、その分離手段は問わない。たとえば図13に示すように切込線10とミシン目10aとの双方で構成されたようなものであってもよい。また、該実施例では、切込線10等の分離手段がシール部5から離間して形成されているが、この分離手段はシール部5に接するように形成されていてもよい。 【0031】 要は、シールによって一体化された両突出片6,7から摘み片11を分離しうるような手段であればよい。 【0032】 さらに、上記実施例では、袋本体1が一軸延伸ポリプロピレンフィルムで構成されていたが、袋本体1の材質はこれに限定されるものではなく、二軸延伸或いは無延伸のポリプロピレンフィルムであってもよく、さらにはポリエチレン等他の合成樹脂製フィルムであってもよく、その材質は問うものではない。 【0033】 ただし、一軸延伸ポリプロピレンフィルムのようにフィルムに引き裂き方向が存在する場合には、上記切込線10に包囲されて形成される摘み片11の引張力によって袋本体1の開裂が容易に行なえるが、フィルムに方向性のない汎用性のあるフィルムであっても摘み片11が馬蹄形に形成されている場合には引張応力によってフィルムを引き裂き方向に直線状に引き裂くことができる作用効果がある。ただし、フィルムに引き裂き方向がない場合には、上記摘み片11の引張力によって誘導されるミシン目やハーフカット等の誘導開裂線が袋本体1に形成されるいることが好ましい。 【0034】 さらに、上記実施例では、袋本体1と突出片6,7との境界部分のシール部5が弱い熱シールによって形成されていたが、熱シールに限らず、接着剤等によるパートコート等のものであってもよく、そのシールのための手段は問わない。 【0035】 さらに、上記実施例では、被包装物としてサンドイッチを使用する場合について説明したが、被包装物の種類もこれに限定されるものではなく、たとえば握飯等のようなものであってもよく、その種類は問わない。要は、食品が被包装物として使用されていればよいのである。 【0036】 さらに、上記実施例ではサンドイッチの形態に沿って好適に包装するために、袋本体1が略台形状に形成されているが、袋本体1の形状もこれに限定されるものではなく、包装される食品の種類に応じて任意に変更可能である。 【0037】 さらに、上記実施例では、摘み片11が一方の突出片のみに形成されているが、この摘み片11は両方の突出片6,7に形成されていてもよい。 【0038】 さらに、上記実施例では、摘み片11を形成する切込線10が、シール部5から離離間して形成されていたが、この切込線10の端部はシール部5に連続して形成されていてもよい。 【0039】 【考案の効果】 叙上のように、本考案は、上記2枚の突出片のうちの一方の突出片の少なくとも上端縁を他方の突出片側にシールして両突出片を一体化することによって把持用ヘッダーを形成し、且つその突出片のうち少なくともいずれか一方の突出片には、袋本体の開裂起点となる舌片状の摘み片を分離手段を介して前記把持用ヘッダーから分離可能に形成したものであるため、上記分離手段を介して舌片状の摘み片が把持用ヘッダーから容易に分離され、その摘み片を容易に探索して把持することができる。 【0040】 そして、把持用ヘッダーから分離された摘み片を摘んで袋本体を開裂する際には、上記把持用ヘッダーが把持されることとなるが、その把持用ヘッダーは上記両突出片のシール一体化によって形成されたものであるため、その把持用ヘッダーには腰が生じ、よって把持用ヘッダーを安定した状態で保持することができるのである。 【0041】 よって、このような要因によって、本考案では、上記のような従来の包装用袋に比べると、摘み片によって袋本体を開裂する作業が著しく容易且つ確実に行なえるという顕著な効果を有するに至った。 【図面の簡単な説明】 【図1】一実施例としての包装用袋の正面図。 【図2】図1のA-A線断面図。 【図3】図1のB-B線拡大断面図。 【図4】サンドイッチを袋本体内に収納した状態の斜視図。 【図5】包装完成状態の斜視図。 【図6】摘み片が突出片から分離された状態を示す要部斜視図。 【図7】袋本体の開裂状態を示す斜視図。 【図8】他実施例の要部正面図。 【図9】他実施例の要部正面図。 【図10】図9のC-C線拡大断面図。 【図11】他実施例の要部断面図。 【図12】他実施例の要部正面図。 【図13】他実施例の要部正面図。 【図14】他実施例を示し、(イ)は要部拡大断面図、(ロ)はティッシュペーパーを引き抜く状態の要部拡大断面図。 【図15】従来の包装用袋の正面図。 【図16】従来の包装用袋の開裂状態を示す斜視図。 【符号の説明】 1…袋本体 2…表フィルム 3…裏フィルム 5…シール部 6…突出片 7…突出片 8…シール部 10…切込線 11…摘み片 12…開口部 13…包装用袋 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2003-02-18 |
結審通知日 | 2003-02-21 |
審決日 | 2003-03-04 |
出願番号 | 実願平4-1849 |
審決分類 |
U
1
122・
121-
ZA
(B65D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原 慧 |
特許庁審判長 |
吉国 信雄 |
特許庁審判官 |
山崎 豊 松縄 正登 |
登録日 | 1996-11-13 |
登録番号 | 実用新案登録第2142052号(U2142052) |
考案の名称 | サンドイッチ等食品の包装用袋 |
代理人 | 大中 実 |
代理人 | 鈴木 活人 |
代理人 | 藤本 昇 |
代理人 | 岩田 徳哉 |
代理人 | 薬丸 誠一 |
代理人 | 中谷 寛昭 |
代理人 | 大中 実 |
代理人 | 神保 欣正 |
代理人 | 藤本 昇 |
代理人 | 薬丸 誠一 |
代理人 | 保科 敏夫 |
代理人 | 岩田 徳哉 |
代理人 | 中谷 寛昭 |
代理人 | 鈴木 活人 |