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審決分類 |
審判 A45F 審判 A45F 審判 A45F |
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管理番号 | 1078067 |
審判番号 | 無効2003-40001 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2003-07-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-12-27 |
確定日 | 2003-06-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3081528号実用新案「コンパクト型フレーム付きハンモック」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3081528号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本件考案 本件実用新案登録第3081528号に係る考案(平成13年4月3日出願、平成13年8月22日設定登録。以下、本件考案という。)は、本件明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載の次のとおりのものである。 「土台管(1)と支柱管(2A2B,2C2D)は回し軸(7)によって接続され、回転可能になっているので折りたたみ可能。支柱管2A2Bと2C2D間の上部に横揺れの為のベアリングとハンモックを吊るす為のフックをつけた接続軸(5)は支柱管に対し斜めに取り付けてある為、それぞれの支柱管と土台管の二本間は開閉が可能。土台管の両側面に取り付けられている補助管(3)は回し軸(8)により設けられ、支柱管に設けられている受け軸(9)に挿入することにより支柱管と土台管は使用可能な角度に固定できる。さらに、左右二本一組の支柱管の開き角度を固定させる為に固定バー(4)を一方の支柱管(2A,2C)に回し軸(10)により設け、もう一方の支柱管(2B,2D)の受け軸(11)に挿入することにより支柱管及び土台管の2本間の開き角度が固定し、安全に使用出来る状態になる。そして、接続軸(5)に付いているフックにハンモックを吊るせば使用可能状態となる。以上のごとく構成された、コンパクト型フレーム付きハンモック。」 2.請求人の主張 これに対して、請求人は、本件考案の実用新案登録を無効とする、との審決を求め、その理由として、次の点を挙げている。 (1)本件考案は、本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(公表意匠第3787号:工業所有権公報,(ヴィエトナム国),ヴイエトナム特許庁発行,2000年6月発行,第A巻,第147号,第84頁-第85頁(Publication No.3787:The Industrial Property Gazette NO.147,Volume Apublished on June,2000 by The Vietnam National office of lndustrlaI Property,pp84‐85)の写)に記載された考案であることから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができるない。 または、本件考案は、上記甲第1号証に記載された考案に基づいて、当業者によってきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 (2)本件考案の明細書における考案の詳細な説明の記載は、経済産業省令で定めるところにより、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないため、実用新案法第5条第4項の記載要件を具備していない。 また、本件実用新案登録の明細書における実用新案登録請求の範囲の記載は、実用新案登録を受けようとする考案が明確でないため、実用新案法第5条第6項第2号の記載要件を具備していない。 3.被請求人の主張 被請求人は、平成15年3月8日付けの答弁書において、次のように主張する。 本件考案は、1996年7月9日にベトナム特許庁においてクヲ-ン、ボ・タング、ディーン・M・ウエハラ、マーテイン・E・ヒサジョンソン美起、スタンレージョンソンの所属するグループが既に申請したものである(申請番号KD0024/96)。 それを日本において被請求人が代表で申請したものであり、請求人が証拠提示する甲第1号証の刊行物に記載された考案以前の4年前に考案しており、証拠物件とは何ら関係ない。 また請求人の考案(甲第1号証)は、ベトナム特許庁において既に我々の考案が出されている為、2001年6月25日に却下されていることを、乙第1号証(ベトナム特許庁のK20000219(乙第1号証)の申請却下の証明書)により立証する。 4.甲第1号証 甲第1号証の写真1.1ないし1.5には、ハンモックが展開された状態が、写真1.6及び1.7には、ハンモックが折り畳まれた状態が、それぞれ記載されていることから、甲第1号証には、次の発明が記載されていると認められる。 「管(A)と管(BC,DE)は軸(F)によって接続され、回転可能になっているので折りたたみ可能であり、管BCとDE間の上部に軸(G)が取り付けてある為、それぞれの管(BC,DE)と管(A)の二本間は開閉が可能であり、管(A)の両側面に取り付けられている管(H)は軸(I,J)により設けられ、管(BC,DE)と管(A)は使用可能な角度に固定でき、さらに、左右二本一組の管(BC,DE)の開き角度を固定させる為にバー(K)を一方の管(BD)に軸(L)により設け、もう一方の管(EC)に軸(M)を設けることにより、管(BC,DE)及び管(A)の2本間の開き角度を固定した、コンパクト型フレーム付きハンモック。」(なお、符号は、甲第2号証に拠り、部分名称は本件考案に即して付した。) 5.対比・判断 本件考案と甲第1号証記載の考案とを比較すると、両者は、次の一致点及び相違点を有する。 (一致点) 「土台管(1)と支柱管(2A2B,2C2D)は回し軸(7)によって接続され、回転可能になっているので折りたたみ可能。支柱管2A2Bと2C2D間の上部に接続軸(5)は支柱管に対し取り付けてある為、それぞれの支柱管(2A2B,2C2D)と土台管(1)の二本間は開閉が可能。土台管の両側面に取り付けられている補助管(3)は支柱管と土台管は使用可能な角度に固定できる。さらに、左右二本一組の支柱管の開き角度を固定させる為に固定バー(4)を支柱管と土台管の間に設けることにより支柱管及び土台管の2本間の開き角度が固定されるコンパクト型フレーム付きハンモック。」 (相違点1) 本件考案が、横揺れの為のベアリングとハンモックを吊るす為のフックをつけた接続軸(5)は支柱管に対し斜めに取り付けてあり、接続軸(5)に付いているフックにハンモックを吊るせば使用可能状態となるのに対し、甲第1号証記載の考案はこのような構成を有することが明確でない点。 (相違点2) 本件考案が、土台管の両側面に取り付けられている補助管(3)は回し軸(8)により設けられ、支柱管に設けられている受け軸(9)に挿入することにより支柱管と土台管は使用可能な角度に固定できるのに対し、甲第1号証記載の考案はこのような構成を有することが明確でない点。 (相違点3) 本件考案が、左右二本一組の支柱管の開き角度を固定させる為に固定バー(4)を一方の支柱管(2A,2C)に回し軸(10)により設け、もう一方の支柱管(2B,2D)の受け軸(11)に挿入することにより支柱管及び土台管の2本間の開き角度が固定し、安全に使用出来る状態になるのに対し、甲第1号証記載の考案はこのような構成を有することが明確でない点。 上記相違点1を検討すると、甲第1号証記載の考案も、本件考案と同様に、フレーム付きハンモックであるから、接続軸(5)に対応する位置に横揺れの為のベアリングとハンモックを吊すフックを設けることは適宜なしうることであり、また、甲第1号証記載の考案も、本件考案と同様に、収納可能なフレーム付きハンモックであるから、それぞれの支柱管(2A2B,2C2D)と土台管(1)の二本間は開閉が可能であれば足り、接続軸(5)を支柱管に対しどのような角度で取り付けるかは単に設計的事項にすぎない。 上記相違点2を検討すると、甲第1号証記載の考案も、本件考案と同様に、部品を切り離すことのない収納可能なフレーム付きハンモックと認められるから、補助管(3)は、その一端を一方の部品に取り付け、他端を他方の部品に着脱自在にしたものである。その際に、補助管(3)の一端を回し軸とし、他端を受け軸に挿入する構成とすることは、固定手段として、機械設計上、きわめて普通に行われることである。 上記相違点3は上記相違点2の検討と同様である。 したがって、本件考案は、その実用新案登録出願前に外国において、頒布された刊行物に記載された考案に基いて、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものである。 被請求人は、請求人の考案(甲第1号証)は、ベトナム特許庁において既に我々(被請求人)の考案が出されている為、却下されている(乙第1号証参照)から、甲第1号証は証拠とはなり得ない旨、主張しているようであるが、実用新案法第3条の規定によれば、本件考案の実用新案登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物であれば足り、刊行物 (甲第1号証)が却下されたか否かは、同条を適用するにあたって関係のないことである。 6.むすび 以上のとおりであるから、本件実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条において重ねて準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-03-31 |
結審通知日 | 2003-04-03 |
審決日 | 2003-04-15 |
出願番号 | 実願2001-2869(U2001-2869) |
審決分類 |
U
1
111・
121-
Z
(A45F)
U 1 111・ 531- Z (A45F) U 1 111・ 534- Z (A45F) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
鈴木 憲子 新井 夕起子 |
登録日 | 2001-08-22 |
登録番号 | 実用新案登録第3081528号(U3081528) |
考案の名称 | コンパクト型フレーム付きハンモック |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 野田 久登 |