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審決分類 審判    G10K
管理番号 1081497
審判番号 無効2001-40021  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-09-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-08-23 
確定日 2002-11-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第3029593号実用新案「携帯用無線映像歌謡伴奏器」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件登録第3029593号実用新案の請求項1乃至請求項11に係る考案は、平成8年3月29日に出願され、平成8年7月17日にそれらの考案について実用新案登録の設定登録がなされたものである。これに対して、平成13年8月23日に請求人エンターテク株式会社より、本件の請求項1乃至請求項11に係る考案の実用新案登録について無効審判の請求がなされ、平成14年2月26日付けで被請求人より答弁書が提出され、それに対する弁駁書は請求人から提出されなかった。さらに平成14年5月29日に口頭審理を予定していたところ、実用新案登録権者の出席が中止となったため口頭審理を中止し、以後書面審理とした。
2.本件考案
本件の請求項1乃至請求項11に係る考案(以下、「本件考案1」乃至「本件考案11」という。)は、願書に添付された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至請求項11に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】
映像、字幕、伴奏信号をテレビに無線出力することができる装置をマイクボディに内蔵させた携帯用無線映像歌謡伴奏器であって、マイクボディに内蔵された上記装置は、
上記マイクボディの表面に露出させて設けた操作手段と、
映像/字幕データを貯蔵する映像字幕データメモリと、
伴奏データを貯蔵する伴奏データメモリと、
上記映像字幕データメモリ(40)からの映像/字幕データに基づきビデオ信号を作成し出力するビデオプロセッサと、
上記伴奏データメモリからの伴奏データを処理してオーディオ信号を作成し出力する音源回路と、
上記操作手段からの入力命令により上記映像歌謡伴奏器のシステムを制御し、上記映像字幕データメモリからの映像/字幕データを上記ビデオプロセッサに電送し処理させるとともに、上記伴奏データメモリからの伴奏データを上記音源回路で処理させる制御手段と、
マイクを介して得られた音声信号と上記オーディオ信号と上記ビデオ信号を無線出力するアンテナと、
を備えたことを特徴とする携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項2】
上記制御手段の制御命令を受けて選曲状態、予約状態等の情報を表示するディスプレイをもマイクボディの表面に露出させて設けた請求項1記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項3】
マイクを介して得られた音声信号と上記オーディオ信号と上記ビデオ信号のうちの少なくとも2つの信号に基づき混合信号を作成するミキシング手段を備えた、請求項1または2記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項4】
上記ビデオプロセッサは、VDPチップと、圧縮されたデータを解いて一時貯蔵するビデオRAMと、ビデオ信号同期分離回路とからなる請求項1から3までのいずれかに記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項5】
上記音源回路は、
上記制御手段からの制御命令を受けて音源回路のすべての機能を制御するミディインターフェース(52)と、
パルス変調されたPCMデータを貯蔵するPCMデータメモリ(53)と、
上記伴奏データメモリからの伴奏データと上記PCMデータメモリ(53)からのPCMデータを使用してデジタル化したオーディオ信号を作成するデジタルシグナルプロセッサ(51)と、
からなる請求項1から4までのいずれかに記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項6】
上記ミディインターフェース(52)と上記PCMデータメモリ(53)と上記デジタルシグナルプロセッサ(51)とが一つのパッケージに形成されている請求項5記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項7】
上記制御手段は制御ユニット(20)とビデオオーディオ制御メモリ(30)とからなり、上記制御ユニット(20)は上記映像歌謡伴奏器のシステムのオペレーティングプログラムを貯蔵するプログラムメモリ(21)と上記プログラムメモリ(21)から上記オペレーティングプログラムを読み取って上記映像歌謡伴奏器のシステムを制御するための制御信号を作成し出力するMPU(22)とで構成され、ビデオオーディオ制御メモリ(30)はP.L.C.データメモリ(31)とP.L.C.(32)とで構成されている、請求項1から6までのいずれかに記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項8】
上記プログラムメモリ(21)と上記MPU(22)とが一つのパッケージで形成されている請求項7記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項9】
上記P.L.C.データメモリ(31)と上記P.L.C.(32)とが一つのパッケージで形成されている請求項7または8記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項10】
上記オーディオ信号またはこれと上記音声信号がステレオ変調されてアンテナからFMラジオに無線出力されるようになっている請求項1から9までのいずれかに記載の携帯用無線映像歌謡伴奏器。
【請求項11】
映像、字幕、伴奏信号をテレビ、FMラジオに無線出力することができる装置をマイクボディに内蔵させた携帯用無線映像歌謡伴奏器であって、上記マイクボディに内蔵させた装置は、プログラムメモリ(21)と上記映像歌謡伴奏器システムを制御するMPU(22)とからなる制御ユニット(20)と、P.L.C.データメモリ(31)とP.L.C.(32)とからなるビデオオーディオ制御メモリ(30)と、貯蔵する映像/字幕データを上記ビデオオーディオ制御メモリ(30)に出力する映像字幕データメモリ(40)と、歌の選曲、予約、指定状態等をLCD上に表すLCDディスプレイ(41)と、オーディオ信号を発生させる音源回路(50)と、上記MPU(22)からの制御を受ける上記P.L.C.(32)の制御命令により上記映像字幕データメモリ(40)から映像/字幕データを読み取り、これを信号に作るビデオキャプションボード(71)に出力させるビデオプロセッサ(70)と、入力した音声をEQアンプ及び音声検出器(60)とエコーシステム(81)を介して処理して得られる音声信号をDAC及びプリアンプ(55)で出力したオーディオデータとミキシングするオーディオミキサ(80)と、出力したビデオデータを上記オーディオミキサ(80)から出るデータとミキシングして2遞倍RFパワーアンテナ(92)を介してテレビに出力させるRFミキサ(90)とを備えたことを特徴とする携帯用無線映像歌謡伴奏器。」

3.請求人の主張
請求人は、登録第3029593号実用新案の請求項1乃至請求項11に係る考案についての登録を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求め、その理由として、本件実用新案登録は、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し無効とすべきものであって、甲第2号証にもほぼ同様の見解が示されていると主張し、証拠方法として、以下の甲第1号証乃至甲第2号証を提出している。

甲第1号証 : 実用新案登録第3010370号公報
甲第2号証 : 実用新案登録第3029593号にかかる
平成12年5月12日付作成の技術評価書

なお、審判請求書においては、「当業者が容易に発明することができた」「当業者が容易に考案することができた」なる記載がなされているが、実用新案法3条2項に規定により実用新案登録を受けることができないという無効の理由の趣旨からすれば、これらの記載は、「当業者がきわめて容易に考案することができた」の明らかな誤記であると考えられるので、上記のごとく言い換える。

4.被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由として、本件考案は、甲第1号証に記載の考案とは明らかに相違し、充分に実用新案登録性を有する考案であると主張している。
なお、答弁書においては、「甲第1号証に記載の発明」なる記載がなされているが、実用新案法3条2項に規定により実用新案登録を受けることができないという無効の理由に対し答弁する趣旨からすれば、この記載は、「甲1号証に記載の考案」の明らかな誤記であると考えられるので、上記のごとく言い換える。

5.甲第1乃至2号証に記載された事項
本件の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
「この課題は、あらかじめ記憶されている歌曲データを出力して入力しその伴奏音楽信号を第一電気信号に変換する総合MIDI(音楽デジタルインターフェイス)音源モジュールと、外部(ユーザー)音声を入力して第二電気信号に変換する装置と、第一電気信号および第二電気信号を混合して第三電気信号として出力する装置と歌曲データの記憶装置とこの歌曲データ記憶装置から伴奏音楽と歌詞を検索出力し伴奏音楽信号は前記総合MIDI音源モジュールへ歌詞はLCD(液晶)表示装置あるいはテレビ表示装置へ送るCPU(中央処理装置)とを備えたマイクロホンを提供することにより解決できる。総合MIDI音源モジュールあるいはCPUは小型のIC(集積)回路で構成可能であるので、マイクロホンに組込むことができる。従ってこの一体型ポータブルマイクロホンは外部カラオケ機器を必要とせずに直接従来の増幅システムと併用して完全なカラオケシステムを作ることができる。」(段落【0004】)
「キーボード121はマイクロホン10を制御して歌曲を選択又は演奏するために使用するがLCD122は歌曲およびマイクロホン10の機能又は状態を表示する。拡張スロット15は後に説明する取り外し可能なLCD字幕表示装置200またはテレビ字幕表示装置300の接続用である。マイクロホン10が歌曲を演奏しているとき、歌曲の歌詞は取り外し可能なLCD字幕表示装置200又はテレビ字幕表示装置300に同時に表示される。RF出力16はマイクロホン10が発信するFM信号を発射するのに使用する。前記MIDIポート17はコンピュータ又はMIDI機器に接続してMIDI信号を受信し処理するために使用できる。この場合マイクロホン10は高音質のコンピュータ化した音源として働き、そのオーディオ出力は増幅システムに無線で送ることができる。ROM拡張スロット20は図3に示すように拡張カセット21を接続してマイクロホン10の歌曲の記憶量を増やすことができる。」(段落【0007】)
「演奏していない時はキーボード121を使用して歌曲のコードを入力するか歌曲リストへの歌曲の挿入又は削除を行う。歌曲の演奏中はキーボード121を使用して調整、トーンの変更又はテンポの変更を行うことができる。音声電気信号変換装置60は音声を受けてそれを反響回路61に送るのに使用する。反響効果を付加してから音声はミキサ65へ送られて音楽音と混合されFM変調器70へ出力される。反響効果は制御パネル12で調整できる。ユーザーの音声および音楽音のオーディオ周波数信号はFM変調器70にてFM信号に変調され有線または無線で出力される。」(段落【0012】)
「図15はテレビ字幕表示装置300の回路構造を示し、CPU301,文字フォントを記憶するROM302,RAM303,文字表示バッファ304、グラフィックデータを記憶したROM308,表示マトリックスのテレビ信号への変換モジュール305、ビデオ周波数の超高周波数(VHF)または極超高周波(UHF)への変換モジュール309、ビデオ信号ミキサ306、オーディオ信号ミキサ307、アンテナ316およびUARTポート315を備えている。テレビ字幕表示装置300は更にビデオ信号入力310、二つのステレオオーディオ信号入力311および312、ビデオ信号出力313およびステレオオーディオ信号出力を備えている。ビデオ信号をVHFまたはUHF信号に変換しアンテナ316から発信することができる。テレビ字幕表示装置300はUARTポート315を経由して字幕表示装置用拡張スロット15に接続される。ROM308はビデオ源がビデオ信号入力310の中にないときに歌詞と共にテレビ画面上に背景として表示する幾つかの静止グラフィック画像を記憶する。」(段落【0015】)
なお、甲第2号証は、本件考案についての技術評価書であり、その公知事実は甲第1号証と実質的に同じであるから、その記載事項についての言及は省略する。

6.対比、判断
(1)本件考案1について
本件考案1(以下、前者という)と上記甲第1号証に記載されたもの(以下、後者という)を対比すると、後者の「一体型ポータブルマイクロホン」は、前者の「携帯用無線映像歌謡伴奏器」に相当し、後者の「キーボード」は、前者の「操作手段」に相当し、後者の「総合MIDI(音楽デジタルインターフェイス)音源モジュール」は、前者の「伴奏データメモリ」「音源回路」に相当し、後者の「変換モジュール(305)」は、前者の「ビデオプロセッサ」に相当し、後者の「ROM(308)」は、前者の「映像データメモリ」に相当し、後者の「CPU」は、前者の「制御手段」に相当し、後者の「アンテナ」は、前者の「アンテナ」に相当するから、結局のところ、両者は、「映像、字幕、伴奏信号をテレビに無線出力することができる装置を有する携帯用無線映像歌謡伴奏器であって、上記装置は、マイクボディの表面に露出させて設けた操作手段と、映像データを貯蔵する映像データメモリと、伴奏データを貯蔵する伴奏データメモリと、上記映像データメモリからの映像データに基づきビデオ信号を作成し出力するビデオプロセッサと、上記伴奏データメモリからの伴奏データを処理してオーディオ信号を作成し出力する音源回路と、上記操作手段からの入力命令により上記映像歌謡伴奏器のシステムを制御し、上記伴奏データメモリからの伴奏データを上記音源回路で処理させる制御手段と、マイクを介して得られた音声信号と上記オーディオ信号と上記ビデオ信号を無線出力するアンテナと、を備えたことを特徴とする携帯用無線映像歌謡伴奏器。」である点で一致する。
そして、後者については、そのテレビ字幕表示装置は取り付け取り外しをするものであって、マイク本体のROM内の歌曲データのうち歌詞データは、字幕表示用拡張スロットを介してテレビ字幕表示装置に転送され、テレビ字幕表示装置の、文字フォントを記憶するROMを接続しているCPUにより、文字表示バッファに字幕データとして出力されるものであり、テレビ字幕表示装置にあるグラフィックデータ記憶用のROMからは、ビデオ源がテレビ字幕表示装置にないときにその静止画グラフィック画像が出力されるものであるとともに、どの静止画がどのように出力されるかについては明確でないものである。
したがって、前者は、後者にない以下の主要事項を有している。
「マイクボディに内蔵させた、映像/字幕データを貯蔵する映像字幕データメモリを有する点、および、操作手段からの入力命令により映像歌謡伴奏器のシステムを制御し、上記映像字幕データメモリからの映像/字幕データをビデオプロセッサに電送し処理させる点」
そして、上記主要事項によって、本件考案1は「音源に合わせて字幕を出力し字幕裏面に映像を出力する」(明細書段落【0025】)ことができ、「メモリからは、操作手段により選択された特定曲に合わせて、制御ユニットによるコントロールで、特定曲に対応するデータが取り出される」(答弁書3頁)という顕著な作用・効果を奏するものである。
してみれば、本件考案1は、上記甲第1号証刊行物に記載の考案から当業者がきわめて容易に推考しえた考案であるということはできない。
また、甲第2号証は、本件考案についての技術評価書であり、その公知事実は甲第1号証と実質的に同じであり、上記判断に影響をあたえるものではない。
(2)本件考案2乃至11について
本件考案2乃至10については、請求項1の考案に請求項2乃至10に記載の限定事項がそれぞれ付加されたものであるから、本件考案1と同様に、上記甲第1号証刊行物に記載の考案から当業者がきわめて容易に推考しえた考案であるということはできない。
さらに、本件考案11については、本件考案1と同様に、上記主要事項を実質的に有していると解されるから、本件考案1について言及したのと同様に、上記甲第1号証刊行物に記載の考案から当業者がきわめて容易に推考しえた考案であるということはできない。

7.むすび
以上のとおり、請求項1乃至11に係る考案は請求人の提出した甲第1号証刊行物に記載の考案からきわめて容易に考案をすることができたということができないから、請求人の主張を採用できない。
また、審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-06-28 
結審通知日 2002-07-03 
審決日 2002-07-16 
出願番号 実願平8-2346 
審決分類 U 1 111・ 121- Y (G10K)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 谷川 洋
山本 章裕
登録日 1996-07-17 
登録番号 実用新案登録第3029593号(U3029593) 
考案の名称 携帯用無線映像歌謡伴奏器  
代理人 萩原 康司  
代理人 亀谷 美明  
代理人 松本 武彦  
代理人 金本 哲男  
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