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審決分類 審判 全部無効  無効としない E05C
管理番号 1084970
審判番号 無効2000-35660  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-11-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-12-07 
確定日 2003-10-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第1928926号実用新案「扉錠」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第1928926号(以下、本件実用新案登録という。)に係る考案についての出願は、昭和58年11月9日に出願され、平成3年8月20日に出願公告(実公平3-39585号)され、平成4年9月9日にその実用新案の設定登録がなされ、平成12年12月7日に美和ロック株式会社から実用新案登録無効審判が請求されたものである。
2.本件考案
本件考案は、出願公告時の明細書及び図面(以下、本件明細書等という。)の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのもの(以下、本件考案という。)である。
「(A)本施錠用の受孔32を形成した受部材30と、用心錠用の係合孔41を形成した規制部材35と、2段階に突出できる錠杆3を出没自在に嵌装した錠ケース1とを備え、(B)前記錠杆3の最小突出時にはその係止部3aを規制部材35の用心錠用の係止孔41に係合して扉の一定角度の開放を可能とし、錠杆3の最大突出時には受部材30の本施錠用の受孔32に係合して本施錠されるようにした扉錠において、(C)前記受部材30は、扉枠ロの正面側の前部から後部に向けて埋設するとともに、前面には規制部材35収納用の収納凹部31を、下部には錠杆3の係止部3a係合用の前記受孔32を形成し、(D)規制部材35は、上端部を枢支するとともに下端部に前記係合孔41を形成し、(E)錠ケース1は扉イの正面側の前部から後部に向けて埋設してなることを特徴とする扉錠。」
なお、上記記載中符号(A)乃至(E)は、以後の検討の便宜のために付したもので、以下、構成要件(A)乃至(E)という。
3.請求人の主張の概要
本件実用新案登録は、実用新案法5条4項の規定に違反してなされたものであるから、同法37条1項3号に該当し、無効とされるべきものである。
すなわち、本件考案の構成要件(E)は、客観的な文理解釈上、一義的に、「屋外から見て、扉の正面側の前部から後部に向けて埋設してなる」という意味であり、また、本件考案の構成要件(C)は、「前記受部材は、屋外から見て、扉枠の正面側の前部から後部に向かって埋設するとともに」という意味である。
一方、本件考案の構成要件(B)によれば、錠杆3の最小突出時、扉枠ロの正面側に露出した規制部材35の下端に形成された係合孔41に錠杆3の係止部3aが係合するのであるから、規制部材35は扉と扉枠との間の隙間(所謂チリ)を跨いで斜めに延在することになり、かかる構成自体扉錠として不合理である上、扉を開けようとすると規制部材35が板厚方向に曲げモーメントを受けるので、規制部材35の剛性が大きければ規制部材35がストッパーとなって扉を開けることができないし、剛性が小さければ、規制部材は曲げるので扉は少し開くが、以後規制部材がその長さ方向の抵抗を呈し、矢張りストッパーとして機能するので扉を開けることができない。
このように、本件考案の扉錠は扉錠として機能しないのであり、本件明細書の実用新案登録請求の範囲には、考案の詳細な説明に記載した考案に欠くことができない事項が記載されていないことは明らかである。
4.被請求人の反論の概要
請求人が主張する「正面側」の用語の意義については、扉や錠ケースや受部材をどちらの方向を正面と見るかの問題であって、請求人が主張するように「正面側」は屋外から見て決定しなければならないという固定観念はない。本件考案では、甲第1号証(実用新案公報)の記載から判る通り、錠ケース1は扉イに取り付けた状態で錠杆3が突出する面を正面とし、受部材30は扉枠ロに取り付けた状態で前記錠杆3を受け入れる面を正面としたものであり、これは本件考案の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明に一貫して記載している。この点、甲第1号証(実用新案公報)の図面の簡単な説明の記載において、「第1図は縦断側面図、第11図は正面図」と記載していることからも明らかである。
請求人の主張は、構成要件C、Eの「正面側」の意義について独自の解釈をし、その上で構成要件Bについても独自の解釈を展開しているものにすぎない。
5.当審の判断
本件考案の受部材30は扉枠ロに埋設され、該受部材30に扉イに埋設された錠ケースから2段階に突出できる錠杆3の係止部3aが、その最大突出時に係合する受孔32が形成されるものであること及び本件考案は開き扉の扉錠であることは、本件考案の構成要件(A)及び(B)の記載に照らして明らかである。
また、実用新案登録請求の範囲には、受部材30に形成された本施錠用の受孔32に対して錠杆がどの方向から出没してその係止部3aが受孔32に係合するのかについて規定するところはないが、本件考案が属する技術分野である開き扉の扉錠において、扉枠に埋設された受部材の露出した面に形成された(錠杆の)受孔に、扉に埋設された錠ケースから出没する錠杆を係合させるのに、特段の事情がない限り、錠杆を受孔に対して直線状に出没させて扉錠として機能させること、すなわち、受孔が形成される受部材の面と錠ケースの錠杆が突出する扉の面とを相対向させること、つまりは、扉枠の扉と相対向する面に受部材の受孔が露出するように埋設されることは本件考案の出願時の技術水準として当業者の認識するところである。このことと、本件明細書に添付された図面の第11図(規制部材及び受部材の正面図)及び第10図(規制部材及び受部材の縦断面図)に示されている受部材30に形成された受孔32と錠杆3及び係止部3aとの係合態様から、本件考案の構成要件C中の「前面」との用語、すなわち、受部材30の前面は、扉に埋設された錠ケースから出没する錠杆に対向して露出する面を意味すると解するのが相当である。
ところで、本件考案の構成要件C中の「前記受部材30は、扉枠ロの正面側の前部から後部に向けて埋設するとともに、」との記載は、扉枠ロに対する受部材30の埋設の仕方(方向)を規定するものといえるところ、この点に関し、本件明細書には「30は扉枠ロの正面側の前部から後部に向けて埋め込んだ受部材で、」(公告公報5欄17行乃至18行)と記載するのみで、「扉枠ロの正面側」とは扉枠をどの方向から見て正面とするのか定義するところがなく、また、図面第11図及び第2図は受部材と規制部材の正面図を示すものではあるが、この両図から直ちに扉枠の扉と相対向する面が扉枠の正面を意味するものともいえないので、そうすると、「扉枠ロの正面側」とは、請求人が主張するように「屋外から見て、扉枠の正面側」とも解釈でき、したがって、受部材30は屋外から見て扉枠ロの正面の前部から後部にかけて埋設される、と解する余地もあり得るということができる。
そこで、この点について検討するに、本件考案が属する技術分野である開き扉の扉錠は、不法侵入者の侵入を防止するために設けられるものであるから、扉錠の扉あるいは扉枠に対する取付けは堅固で、また、外部からの不法な操作を防止できるものでなければならず、このため少なくとも錠杆の受孔を備える受部材は扉枠から外部に露出されて埋設されるべきではないことは当業者が技術常識として理解できることであり、このことは本件考案の用心錠用機能を備えた扉錠においても変わるところはないのである。しかしながら、本件考案の構成要件Cにおいて「扉枠ロの正面側」を屋外から見て扉枠の正面側とすると、受部材30は屋外から見た扉枠の正面側角部に形成した凹部に露出して設けられことになる。となると、前示した扉錠本来の機能が達成できないことになる。
このように、本件考案の構成要件Cの「扉枠ロの正面側」を請求人が主張するように「屋外から見て、扉枠の正面側」と解するのは、当業者の技術常識とする扉錠の機能、本件考案の目的の観点から見て、技術的に合理的な解釈ということはできず、むしろ、本件明細書等に接した当業者であれば、構成要件Cの「扉枠ロの正面側」は扉枠の扉と相対向する面を正面側と解するのが自然というべきである。
また、このことは本件考案の構成要件Eの解釈についても同様である。
そして、実用新案登録請求の範囲に記載された構成要件(A)乃至(E)は、本件考案が解決しようとする課題(2欄19行乃至3欄19行)を達成する上において、必要かつ十分な構成要件といえるから、かかる記載をもって本件明細書の実用新案登録請求の範囲には、考案の詳細な説明に記載した考案の構成に欠くことができない事項が記載されていないという請求人の主張は採用することができない。
6.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張のよっては、本件考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、実用新案法41条の規定で準用し特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟方61条の規定により、審判請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-10-30 
結審通知日 2001-11-05 
審決日 2001-12-07 
出願番号 実願昭58-173884 
審決分類 U 1 112・ 533- Y (E05C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋吉 達夫高橋 三成  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 鈴木 憲子
鈴木 公子
登録日 1992-09-09 
登録番号 実用新案登録第1928926号(U1928926) 
考案の名称 扉錠  
代理人 玉利 冨二郎  
代理人 飯田 岳雄  
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