• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1088178
審判番号 不服2003-2551  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-15 
確定日 2003-11-28 
事件の表示 平成11年実用新案登録願第 10114号「特定日若しくは特定期間専用の暦表」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 7月28日出願公開]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1.手続の経緯・本願考案

本願は、平成2年8月8日の出願である特願平2-210947号を平成5年法律第26号による改正前の実用新案法第8条第1項の規定により平成11年12月13日に実用新案登録出願に変更したものであって、その請求項1、2に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1には以下のとおり記載されている。
「【請求項1】暦の一部が記載された用紙が複数枚束ねられ、時の経過とともに前記用紙が順次使用される暦表において、前記複数枚の用紙の各用紙は、前記暦の一部とともに予め記載された当該暦の一部に関する個人についての特定日若しくは特定期間から決まる情報及び当該特定日若しくは特定期間の表示を有するとともに前記複数枚の用紙の各用紙に記載された個人についての特定日若しくは特定期間から決まる情報は同種類であることを特徴とする特定日若しくは特定期間専用の暦表。」(以下「本願考案」という。)

第2.引用例

これに対して、当審における、平成15年4月24日付けで通知した拒絶の理由に引用した実願昭53-107063号(実開昭55-23774号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、以下のとおり記載されている。
a「本考案は天体現象に基いて人間の運命や将来を占う占星の星座(黄道十二宮)別により順次月毎にめくつて各月の運勢が一見に読み取れるようにしたスタンド式月別運勢カレンダーに関するものである。」(明細書第1頁18行?第2頁2行)、
b「カード片5には一枚毎に一月のカレンダー6と共に当月の星座の運勢文字7を表示したカードを1月?12月まで一組にした運勢カレンダーセットBを星座別にそれぞれセットして用意し、個人の生年月日(出生時)に対応する星座の運勢カレンダーセットBを器体2...仕切板3上に載置し...外部からカードを読めるように構成してあり、月替りしたときはキャップ4を脱してその前月のカードを取り外して当月のカードを表出するものである。」(明細書第2頁11行?第3頁2行)、
c「各月毎の運勢を当月のカレンダーと共に表示できる」(明細書第3頁10?11行)。
引用例1における前記摘示の事項を含む明細書及び図面の記載によれば、引用例1には、以下の考案が記載されていると認められる。
「一月のカレンダー6が表示されたカード片5が1月?12月まで一組にされ、月替りしたときは、その前月のカードを取り外して当月のカードを表出するカレンダーセットBにおいて、各カード片5は、一月のカレンダー6と共に個人の生年月日(出生時)に対応する当月の星座の運勢文字7が表示されており、カレンダーセットBは、星座別にそれぞれセットして用意されている月別運勢カレンダー。」(以下、「引用考案」という。)

第3.対比

本願考案と引用考案を対比すると、
引用考案における「一月のカレンダー6が表示されたカード片5」、「月替りしたときは、その前月のカードを取り外して当月のカードを表出するカレンダーセットB」、「一月のカレンダー6と共に個人の生年月日(出生時)に対応する当月の星座の運勢文字7が表示」、「星座別にそれぞれセットして用意されている運勢カレンダーセットB」はそれぞれ、
本願考案における「暦の一部が記載された用紙」、「時の経過とともに前記用紙が順次使用される暦表」、「暦の一部とともに予め記載された当該暦の一部に関する個人についての特定日若しくは特定期間から決まる情報の表示」、「特定日若しくは特定期間専用の暦表」に相当する。
また、引用考案における、前記摘示の記載「カード片5には一枚毎に一月のカレンダー6と共に当月の星座の運勢文字7を表示したカードを1月?12月まで一組にした」より、星座の運勢文字7は各カード片5に同じように記載されていることが明らかであるから、本願考案の「複数枚の用紙の各用紙に記載された個人についての特定日若しくは特定期間から決まる情報は同種類である」に相当する構成が引用考案に記載されている。
そうすると、本願考案と引用考案の両者は、以下の点でそれぞれ、一致ならびに相違するものと認められる。
一致点.「暦の一部が記載された用紙が、時の経過とともに順次使用される暦表において、前記複数枚の用紙の各用紙は、前記暦の一部とともに予め記載された当該暦の一部に関する個人についての特定日若しくは特定期間から決まる情報の表示を有するとともに前記複数枚の用紙の各用紙に記載された個人についての特定日若しくは特定期間から決まる情報は同種類であることを特徴とする特定日若しくは特定期間専用の暦表。」
相違点1.暦の一部が記載された複数枚の用紙が、本願考案では、束ねられたのに対して、引用考案では、一組にされた点。
相違点2.各用紙が、本願考案では、特定日若しくは特定期間の表示を有するのに対して、引用考案では、この点について明示の記載がない点。

第4.当審の判断

上記相違点について検討する。
相違点1について
暦の一部が記載された用紙を複数枚束ねることは、従来から慣用されている手段(実願昭51-96079号(実開昭53-15827号)のマイクロフィルム参照)であり、引用考案における暦の一部が記載された用紙を複数枚器体2の仕切板3上に載置した構成に変えて、前記慣用手段を採用して、相違点1にかかる本願考案の構成のように束ねることは、当業者がきわめて容易に想到しうる事項であり、その効果も当業者の予測しうる程度のものであって格別のものではない。
なお、請求人は、引用考案は「スタンド式」であるので、来月、2ヶ月後や半年後の暦表を即座に知ることができず、「複数枚の用紙が束ねられた暦表」を前提とする本考案の効果を達成することはできない旨、主張している。本願の実用新案登録請求の範囲の請求項1には「用紙が複数枚束ねられ...暦表」と記載されているが、「束ねる」について、本願明細書中には説明がなく、どのような状態をもって束ねられたというのか定かでないが、本願考案の詳細な説明の欄に「本考案は...手帳等の暦表に関するもの」(【考案の属する技術分野】の欄)と記載されていること、審判請求書の上記主張等を勘案すれば、本願考案の「束ねる」は、引用考案の如く複数枚を有する暦表を1組にする(1つに纏める)ことではなく、1つに綴じることを意味するものと解される。しかしながら、暦表において、複数枚の用紙を綴じることは、従来から極一般的に行われており来月、2ヶ月後や半年後の暦表を即座に知ることができるという効果も、該構成から必然的に生じるものである。そして、「特定期間」により専用化した暦表であっても、上記暦の一部が記載された用紙を複数枚束ねる(綴じる)ことが周知であることに変わりはない。(上記実願昭51-96079号(実開昭53-15827号)のマイクロフィルム[「自分の星に対応した筆記帳を求めて、普通の手帳、日記帳と同様に用いながら」(明細書第3頁の13?15行)]参照)。
相違点2について
暦の一部とともに当該暦の一部に関する個人についての特定日若しくは特定期間から決まる情報の表示を予め記載する際に、特定日若しくは特定期間の表示をなすことは、当業者が所望により適宜なしうる設計事項にすぎない。
なお、請求人は、引用考案は「暦の一部に関する個人についての特定日若しくは特定期間の表示」が予め記載されていないので、特定日若しくは特定期間の表示をなした、本願考案の、暦表は特定日若しくは特定期間専用のものとなり、購入者はこの暦表を購入するだけで、即ち、購入後、購入者個人は何ら記載を要せずして自己に有意にこの暦表を利用することができるという効果を達成することができない旨主張している。しかしながら、引用考案の第1図に記載されたカード片5には、1月のカレンダー6と1月の星座の運勢文字7の表示の間に牡羊座のマークがみられる。一方、本願考案の詳細な説明の欄には「星座が共通する期間を特定期間としたものである」(第3実施例についての記載)と記載され、本考案の第3実施例を示す図5の暦表を構成する用紙には「1月 おひつじ座専用 1日、3日は、絶不調...」と記載されている。「暦の一部に関する個人についての特定期間」の表示という点で引用考案の「牡羊座のマーク」も、本願考案の「おひつじ座専用」の記載も、共通するものである。そして、暦表が「特定期間専用」のものとなり、購入者はこの暦表を購入するだけで、即ち、購入後、購入者個人は何ら記載を要せずして自己に有意にこの暦表を利用することができるという作用効果において、両者に差異はない。

第5.むすび

したがって、本願考案は、その出願前日本国内において頒布された引用考案及び周知技術に基づいて、その出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
すなわち、本願考案は実用新案登録を受けることができないものであるから、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-09-16 
結審通知日 2003-09-24 
審決日 2003-10-07 
出願番号 実願平11-10114 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 三輪 学木村 史郎  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 藤井 靖子
鈴木 秀幹
考案の名称 特定日若しくは特定期間専用の暦表  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ