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審決分類 |
審判 一部申し立て H04B |
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管理番号 | 1089962 |
異議申立番号 | 異議1999-72890 |
総通号数 | 50 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2004-02-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-07-27 |
確定日 | 2000-02-26 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2589253号「FM多重放送受信機」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件実用新案登録異議の申立てを却下する。 |
理由 |
(1)手続きの経緯 本件実用新案登録第2589253号の請求項1に係る考案は、平成5年12月27日に出願されたものであって、平成10年11月13日に設定登録され、その後、実用新案登録異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年12月7日に訂正請求がなされたものである。 (2)訂正の適否について ア.訂正の内容 上記訂正は、 (i)実用新案登録請求の範囲の請求項1を削除する、 (ii)実用新案登録請求の範囲の請求項2に、「請求項1に記載されたFM多重放送受信機において、前記周波数切換信号が出力されると、前記選局された周波数を前記周波数リストから削除する周波数削除手段を備えることを特徴とする」とあるを、「同一内容放送局の周波数リスト情報を含むFM信号を受信する受信手段と、所定の周波数を選局して復調する復調手段とを有するFM多重放送受信機において、前記受信手段で受信した前記FM信号から、前記周波数リスト情報を検出して周波数リストを作成する周波数リスト作成手段と、前記周波数リストに基づいて選択された周波数の電界強度を所定周期ごとに測定する電界強度測定手段と、前記所定周期よりも長い所定期間ごとに、前記測定された電界強度の平均値を演算する平均値演算手段と、この平均値演算手段によって演算された平均値が所定値よりも小さく、かつ該平均値が前記所定期間前に演算された前記平均値よりも所定の基準量以上小さいときに判定信号を出力する判定手段と、前記判定信号が出力されたときに、前記周波数リストに基づいて他の周波数を選局するように前記復調手段を制御する選局制御手段と、前記判定信号が出力されたときに選局されていた周波数を前記周波数リストの選局対象から除外する周波数除外手段とを備えることを特徴とする」と訂正する、 (iii)明細書の【0006】に、「実施例を示す図1に対応づけて本考案を説明すると、本考案は」とあるを、「実施例を示す図1に対応づけて本考案を説明すると、請求項2の考案は」と訂正し、「この平均値演算手段12によって演算された平均値が所定値よりも小さく、かつ該平均値が所定期間前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さいと判定されると、周波数切換信号を出力する判定手段12とを備え、周波数切換信号が出力されると、周波数リストに基づいて他の周波数を選局するように復調手段6を構成することにより、上記目的は達成される。 請求項2に記載の考案は、請求項1に記載されたFM多重放送受信機において、周波数切換信号が出力されると、選局された周波数を周波数リストから削除する周波数削除手段12を備えるものである。」とあるを、「この平均値演算手段12によって演算された平均値が所定値よりも小さく、かつ該平均値が所定期間前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さいと判定されると判定信号を出力する判定手段12と、判定信号が出力されたときに、周波数リストに基づいて他の周波数を選局するように復調手段6を制御する選局制御手段12と、判定信号が出力されたときに選局されていた周波数を周波数リストの選局対象から除外する周波数除外手段12とを備えることにより、上記目的を達成する。」と訂正する、 (iv)明細書の【0007】に、「請求項1に記載の考案では、」とあるを、「請求項2に記載の考案では」と訂正し、「請求項2に記載の考案では、演算された平均値が所定の基準値よりも小さく、かつ所定周期前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さいと判定手段12によって判定された周波数が、周波数削除手段12によって周波数リストから削除されるため、周波数リストの検索が高速に行える。」とあるを、「また、演算された平均値が所定の基準値よりも小さく、かつ所定周期前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さいと判定手段12によって判定された周波数は周波数除外手段12によって周波数リストの選局対象から除かれるため、周波数リストの検索が高速に行える。」と訂正する、 (v)明細書の【0017】に、「このステップS59の判定が肯定されることにより、」とあるを、「このステップS59の判定が否定されることにより、」と訂正する、 (vi)明細書の【0026】に、「図2のステップS12,S13が判定手段に、図3のフローチャートが周波数削除手段に、それぞれ対応する。」とあるを、「図2のステップS12,S15が判定手段に、図3のステップS58が周波数除外手段に、図2のステップS16が選局制御手段にそれぞれ対応する。」と訂正する、 (vii)明細書の【0027】に、「以上説明したように、本考案によれば、」とあるを、「以上説明したように、請求項2の考案によれば」と訂正し、「請求項2に記載された考案では、電界強度の平均値が所定の基準値よりも小さく、かつこのこの平均値が所定期間前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さい周波数を周波数リストから削除するようにしたため、周波数リストの検索を高速に行えるようになる。」とあるを、「また、電界強度の平均値が所定の基準値よりも小さく、かつこのこの平均値が所定期間前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さい周波数を周波数リストの選局対象から除外するようにしたため、周波数リストの検索を高速に行えるようになる。」と訂正する、 というものである。 イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記(i)の訂正は、実用新案登録時の請求項1を削除するものであり、実用新案登録請求の範囲に減縮に該当し、また、上記訂正(ii)は、請求項1の削除に伴い、実用新案登録時の請求項2を独立形式に書き改め、かつ、明細書及び図面の記載に基づき不明りょうな記載を訂正したものであり、上記(iii)(iv)(vii)の訂正は、上記(i)(ii)の訂正に伴い明細書の記載を訂正するものであり、さらに、上記(v)(vi)の訂正は、明細書及び図面の記載に基づき明細書の不明りょうを訂正するものであるから、上記訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明に該当し、また、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでない。 ウ.独立要件について 訂正明細書の請求項2に係る考案は、次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項2】同一内容放送局の周波数リスト情報を含むFM信号を受信する受信手段と、所定の周波数を選局して復調する復調手段とを有するFM多重放送受信機において、前記受信手段で受信した前記FM信号から、前記周波数リスト情報を検出して周波数リストを作成する周波数リスト作成手段と、別記周波数リストに基づいて選択された周波数の電界強度を所定周期ごとに測定する電界強度測定手段と、前記所定周期よりも長い所定期間ごとに、前記測定された電界強度の平均値を演算する平均値演算手段と、この平均値演算手段によって演算された平均値が所定値よりも小さく、かつ該平均値が前記所定期間前に演算された前記平均値よりも所定の基準量以上小さいときに判定信号を出力する判定手段と、前記判定信号が出力されたときに、前記周波数リストに基づいて他の周波数を選局するように前記復調手段を制御する選局制御手段と、前記判定信号が出力されたときに選局されていた周波数を前記周波数リストの選局対象から除外する周波数除外手段とを備えることを特徴とするFM多重放送受信機。」 当審が通知した取消通知において引用した特開平4-280509号公報(以下、刊行物1という。)には、「このラジオデータシステムにおいては、FM変調波の周波数帯域外で19KHzのステレオパイロット信号の3次高調波である57KHzを副搬送波とし、この副搬送波をフィルタリングされかつバイフェーズ(Biphase)コード化された番組内容等の放送に関連する情報を示すデータ信号により振幅変調してラジオデータ信号とし、この振幅変調された副搬送波を主搬送波に周波数変調して放送するようになされている。」(第3パラグラフ)、「ラジオデータ信号は、そのべースバンドコーディング構造を示す図5から明らかなように、104ビットを1グループとして繰り返し多重伝送される。(中略)。図6において、ブロック1にはネットワークを表わす番組認識(PI)コードが、ブロック2には交通番組認識(TP)コードや交通アナウンス認識(TA)コードが、ブロック3には同一番組を放送しているネットワーク局群の周波数(AF)データが、ブロック4には放送局名やネットワーク名等の番組サービス名情報(PS)データがそれぞれ配置される。」(第4パラグラフ)、「トンネル内で受信できるRDS放送波の受信信号レベルが設定レベルより低ければ、常に同一番組追従動作が行なわれる訳であり、その同一番組追従動作により受信周波数が変化する期間では聴取内容たる番組が途切れて非常に聞き辛くなる。」(第6パラグラフ)、「【発明の効果】本発明のRDS受信機の制御方法においては、例えば、車両がトンネルに入ったとき又は抜けたときに現受信放送波の受信信号レベルが低下したことにより、受信信号レベルの前回の平均レベルが第1所定値を上回っていても今回の平均レベルが第2所定値を下回ることになれば、現受信放送波の放送局が属するネットワーク局群のうちの1の周波数データをメモリから選択的に読み出し、読み出した1の周波数データが示す周波数に受信周波数を切り換えることが開始される。」(第9パラグラフ)、「【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示した本発明の制御方法を適用したRDS受信機においては、アンテナ1で受信されたFM多重放送波はフロントエンド2で希望の局が選択され、中間周波数(IF)に変換された後、IFアンプ3を介してFM検波器4に供給される。フロントエンド2は、混合器2bへの局発信号をプログラマブル分周期を含むPLL回路2aを用いたPLLシンセサイザー方式により得ており、プログラマブル分周期の分周比が後述するコントローラ14によって制御されることにより選曲動作を行なう構成となっている。FM検波器4の検波出力はMPX(マルチプレクス)復調回路5に供給され、ステレオ放送の場合にはL(左),R(右)チャネルのオーディオ信号に分離される。」(パラグラフ10)、「FM検波器4の検波出力がフィルタ6を通過することにより、バイフェーズコード化されたデータ信号によって振幅変調された57KHzの副搬送波、すなわちラジオデータ信号が抽出されPLL回路7で復調される。」(パラグラフ11)、「コントローラ14はマイクロコンピュータによって構成され、グループ単位で順次入力されるラジオデータ中の各ブロックのコード情報、すなわち現在受信中の放送局の番組内容に関連するラジオデータ情報(上記したPIコード、AFデータ、PSデータ等)を取り込んでメモリ15に記憶しておく。この動作により現受信放送局と同一ネットワーク局のAFデータリスト(AFデータf(1),f(2)……,f(n))が形成される。また、操作部16からの選局指令に基づいてフロントエンド2の一部を構成するPLL回路2aのプログラマブル分周器(図示せず)の分周比を定める受信周波数データ値を制御することによって選局動作を行なう。」(パラグラフ13)、「レベル検出回路19はIFアンプ3におけるIF信号レベルに基づいて受信信号レベル(電界強度)を検出する。」(パフグラフ14)、「プロセッサは、操作部16の同一番組追従ボタン(図示せず)が操作されたことを検出すると同一番組追従モードとなり、所定タイミング毎に図2及び図3に示したAFチェックルーチンを実行する。AFチェックルーチンにおいてプロセッサは、先ず、タイマの計測値Tを初期値(例えば、0)にリセットし(ステップS1)、AFチェックトリガフラグFTR及びPIサーチ要求フラグFRQを共に0にリセットする(ステップS2)。タイマはステップS1,S4及びS6等のステップの実行により形成されるものである。ステップS2の実行後、変数mを1に等しくさせ(ステップS3)、タイマの計測値Tを単位時間T1だけ増加させ(ステップS4)、レベル検出回路19から出力されている受信信号レベルVsを取り込みVs(m)としてメモリ15に記憶させる(ステップS5)、タイマの計測値Tがオーバフローしたか否かを判別する(ステップS6)。すなわち、 したがって、これら記載からみて、上記刊行物1には、少なくとも、「受信したFM多重放送波から希望の局を選択するフロントエンド2出力をIFアンプ3を介してFM検波器4に供給して検波し、その検波出力をMPX(マルチプレクス)復調回路5に供給して、ステレオ放送の場合にはL(左),R(右)チャネルのオーディオ信号に分離するようにするとともに、上記検波出力をフィルタ6にも供給してラジオデータ信号を抽出し、その抽出信号をPLL回路7で復調するようにしたRDS受信機において、現在受信中の放送局の番組内容に関連するラジオデータ情報を取り込んで、同一番組を放送しているネットワーク局群の周波数データ(AFデータ)のリスト(AFデータf(1),f(2)……,f(n))を形成する手段と、現受信放送波の受信信号レベルを所定周期毎に検出する手段と、所定時間内における平均レベルを所定のタイミング毎に検出する手段と、前回の平均レベルが第1の所定値を上回りかつ今回の平均レベルが第1所定値より小なる第2所定値を下回ったことを判定し、その判定結果を出力する手段とを備え、その判定する手段の判定結果により、現受信放送波の放送局が属するネットワーク局群の中の1の周波数データをメモリから選択的に読み出し、読み出した1の周波数データが示す周波数に受信周波数を切り換えるようにしたRDS受信機」の考案が実質的に記載されている。 そこで、訂正明細書の請求項2に係る考案と上記刊行物1記載の考案とを対比・検討すると、 (a)訂正明細書の請求項2に係る考案のFM多重放送受信機は、上記刊行物1記載のRDS受信機と同一技術分野に属するものである、 (b)上記刊行物1記載の考案においては、受信したFM多重放送波から希望の局を選択するフロントエンド2出力をIFアンプ3を介してFM検波器4に供給して検波し、その検波出力をMPX(マルチプレクス)復調回路5に供給して、ステレオ放送の場合にはL(左),R(右)チャネルのオーディオ信号に分離するようにするとともに、上記検波出力をフィルタ6にも供給してラジオデータ信号を抽出し、その抽出信号をPLL回路7で復調するようにしており、これら構成は、訂正明細書の請求項2に係る考案の同一内容放送局の周波数リスト情報を含むFM信号を受信する受信手段と、所定の周波数を選局して復調する復調手段とを有する点に相当する、 (c)上記刊行物1記載の考案においては、現在受信中の放送局の番組内容に関連するラジオデータ情報を取り込んで、同一番組を放送しているネットワーク局群の周波数データ(AFデータ)のリスト(AFデータf(1),f(2)……,f(n))を形成する手段を備えているところ、この手段は、訂正明細書の請求項2に係る考案の、受信手段で受信した前記FM信号から、前記周波数リスト情報を検出して周波数リストを作成する周波数リスト作成手段に相当する、 (d)上記刊行物1記載の考案においては、現受信放送波の受信信号レベルを所定周期毎に検出する手段を備えているところ、この手段は、訂正明細書の請求項2に係る考案の、周波数リストに基づいて選択された周波数の電界強度を所定周期ごとに測定する電界強度測定手段に相当する、 (e)上記刊行物1記載の考案においては、所定時間内における平均レベルを所定のタイミング毎に検出する手段を備えているところ、この手段は、訂正明細書の請求項2に係る考案の、所定周期よりも長い所定期間ごとに、前記測定された電界強度の平均値を演算する平均値演算手段に相当する、 (f)上記刊行物1記載の考案においては、前回の平均レベルが第1の所定値を上回りかつ今回の平均レベルが第1所定値より小なる第2所定値を下回ったことを判定し、その判定結果を出力する手段とを備えているところ、今回の平均レベルが第1所定値より小なる第2所定値を下回ったことの判断は、本件考案の「平均値演算手段によって演算された平均値が所定値よりも小さく」との判断に相当し、また、前回の平均レベルが第1の所定値を上回りかつ今回の平均レベルが第1所定値より小なる第2所定値を下回ったというは、第1所定値から第2所定値を引いた値以上に今回の平均レベルが下がったということであって、訂正明細書の請求項2に係る考案の、「該平均値が前記所定期間前に演算された前記平均値よりも所定の基準量以上小さいと判定される」とする点に相当する。したがって、結局のところ、上記刊行物1記載の考案において、前回の平均レベルが第1の所定値を上回りかつ今回の平均レベルが第1所定値より小なる第2所定値を下回ったことを判定し、その判定結果を出力する手段とを備えるとする点は、訂正明細書の請求項2に係る考案の、平均値演算手段によって演算された平均値が所定値よりも小さく、かつ該平均値が前記所定期間前に演算された前記平均値よりも所定の基準量以上小さいときに判定信号を出力する判定手段を備えるとする点に相当する、 (g)上記刊行物1記載の考案においては、判定する手段の判定結果により、現受信放送波の放送局が属するネットワーク局群の中の1の周波数データをメモリから選択的に読み出し、読み出した1の周波数データが示す周波数に受信周波数を切り換えるようしているところ、この点は、訂正明細書の請求項2に係る考案において、「前記判定信号が出力されたときに、前記周波数リストに基づいて他の周波数を選局するように前記復調手段を制御する選局制御手段」を備えるとする点に相当する。 しかし、上記刊行物1記載の考案には、訂正明細書の請求項2に係る考案の「判定信号が出力されたときに選局されていた周波数を前記周波数リストの選局対象から除外する周波数除外手段」に関する構成が見あたらず、また、このような構成を備えることが本件出願前普通に行われていたとする証拠も見あたらない。 そして、訂正明細書の請求項2に係る考案は、上記周波数除外手段を備えることにより、周波数リストの検索を高速に行えるようになるという効果を有するものであるから、訂正明細書の請求項2に係る考案が上記刊行物1記載の考案から当業者が容易に導き出せるものであるとすることはできない。 よって、訂正後の実用新案登録範囲の範囲の請求項2に係る考案は、出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。 エ.まとめ 以上のとおりであるから、上記訂正は適法になされたものであり、当該訂正を認める。 (3)実用新案登録異議申立について 実用新案登録時の請求項1は、訂正の結果削除されており、実用新案登録異議申立の対象が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 FM多重放送受信機 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項2】 同一内容放送局の周波数リスト情報を含むFM信号を受信する受信手段と、所定の周波数を選局して復調する復調手段とを有するFM多重放送受信機において、 前記受信手段で受信した前記FM信号から、前記周波数リスト情報を検出して周波数リストを作成する周波数リスト作成手段と、 前記周波数リストに基づいて選択された周波数の電界強度を所定周期ごとに測定する電界強度測定手段と、 前記所定周期よりも長い所定期間ごとに、前記測定された電界強度の平均値を演算する平均値演算手段と、 この平均値演算手段によって演算された平均値が所定値よりも小さく、かつ該平均値が前記所定期間前に演算された前記平均値よりも所定の基準量以上小さいときに判定信号を出力する判定手段と、 前記判定信号が出力されたときに、前記周波数リストに基づいて他の周波数を選局するように前記復調手段を制御する選局制御手段と、 前記判定信号が出力されたときに選局されていた周波数を前記周波数リストの選局対象から除外する周波数除外手段とを備えることを特徴とするFM多重放送受信機。 【請求項3】 同一内容放送局の周波数リスト情報を含むFM信号を受信する受信手段と、所定の周波数を選局して復調する復調手段とを有するFM多重放送受信機において、 前記受信手段で受信した前記FM信号から、前記周波数リスト情報を検出して周波数リストを作成する周波数リスト作成手段と、 前記周波数リストに基づいて選択された周波数の電界強度を、所定期間ごとに3回以上の所定回数測定する電界強度測定手段と、 前記所定回数測定された電界強度が1回目の測定から順次に増大し、かつ最後に測定された電界強度が所定の基準値以上であると判定されると、周波数選択信号を出力する判定手段とを備え、 前記復調手段は、前記周波数選択信号が出力されたときに前記電界強度測定手段によって選択されている周波数を選局することを特徴とするFM多重放送受信機。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、同一内容放送局の周波数リスト情報を含むFM信号を受信するFM多重放送受信機に関する。 【0002】 【従来の技術】 FM多重放送によって送信されるFM信号の中には、本来の放送信号の他に、付加情報として同一内容放送局の周波数リスト情報や番組索引データ等が含まれている。そして、これら付加情報を受信し、受信した情報を分類して表示する装置が知られている(例えば実開平1-102999号公報参照)。この種の装置によれば、例えば電波状態が悪い場合に、ディスプレイ画面に表示された周波数リストから操作者が所望の周波数を選択することで、受信感度の良い他の同一内容放送局を受信することができる。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、同一内容放送局の周波数リストが画面上に表示されても、そのリストの中の各周波数がどの程度の電界強度を有するかを知るのは容易ではない。このため、同一内容放送局の数が多い場合には、その検索に多大の時間を要する。特に、この種の受信機を車載用として用いる場合、運転中に上記のような煩わしい操作を行う必要がある。 【0004】 この問題を解決する1つの手段として、受信周波数の電界強度が所定値以下になると、周波数リストに挙げられた周波数を順次受信して電界強度を測定し、この測定結果に基づいて、電界強度が最も大きい放送局周波数を選局することが考えられる。ところが図5に示すように、車載用のFM多重放送受信機等においては、ビル等に遮蔽されて一時的に電界強度が低下する場合があり、またこれとは逆に、瞬間的に電界強度が増大する場合もある。したがって、上記のようにして選局すると、受信周波数が頻繁に切り替わったり、あるいは本来は弱電界である周波数を誤って選局するおそれがある。 【0005】 本考案の目的は、電界強度の瞬間的な変動に影響されず、また電界強度が増大傾向にある周波数を受信するようにしたFM多重放送受信機を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 実施例を示す図1に対応づけて本考案を説明すると、請求項2の考案は、同一内容放送局の周波数リスト情報を含むFM信号を受信する受信手段5と、所定の周波数を選局して復調する復調手段6とを有するFM多重放送受信機に適用され、受信手段5で受信したFM信号から、周波数リスト情報を検出して周波数リストを作成する周波数リスト作成手段12と、周波数リストに基づいて選局された周波数の電界強度を所定周期ごとに測定する電界強度測定手段12と、所定周期よりも長い所定期間ごとに、測定された電界強度の平均値を演算する平均値演算手段12と、この平均値演算手段12によって演算された平均値が所定値よりも小さく、かつ該平均値が所定期間前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さいと判定されると判定信号を出力する判定手段12と、判定信号が出力されたときに、周波数リストに基づいて他の周波数を選局するように復調手段6を制御する選局制御手段12と、判定信号が出力されたときに選局されていた周波数を周波数リストの選局対象から除外する周波数除外手段12とを備えることにより、上記目的を達成する。 請求項3に記載の考案は、同一内容放送局の周波数リスト情報を含むFM信号を受信する受信手段5と、所定の周波数を選局して復調する復調手段6とを有するFM多重放送受信機に適用され、受信手段5で受信したFM信号から、周波数リスト情報を検出して周波数リストを作成する周波数リスト作成手段12と、周波数リストに基づいて選局された周波数の電界強度を、所定期間ごとに3回以上の所定回数測定する電界強度測定手段12と、所定回数測定された電界強度が1回目の測定から順次に増大し、かつ最後に測定された電界強度が所定の基準値以上であると判定されると周波数選択信号を出力する判定手段12と、周波数選択信号が出力されたときに電界強度測定手段12によって選択されている周波数を選局するように復調手段を構成することにより、上記目的は達成される。 【0007】 【作用】 請求項2に記載の考案では、周波数リスト作成手段12によって作成された周波数リストに基づいて選択された周波数の電界強度が、電界強度測定手段12によって所定周期で測定され、その測定された電界強度の所定周期よりも長い所定期間ごとの平均値が、平均値演算手段12によって演算される。このように電界強度の平均値を求めることにより、電界強度の瞬間的な変動による影響が回避される。演算された平均値が所定の基準値よりも小さく、かつ所定周期前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さいと判定手段12によって判定されると、復調手段6は周波数リストに基づいて他の周波数を選局する。これにより、現在の電界強度が十分に小さく、かつ電界強度が低下傾向にあるときに、受信周波数が切り換えられる。また、周波数除外手段12は、演算された平均値が所定の基準値よりも小さく、かつ所定周期前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さいと判定手段12によって判定された周波数を周波数リストの選局対象から除くため、周波数リストの検索が高速に行える。 請求項3に記載の考案では、周波数リスト作成手段12によって作成された周波数リストに基づいて選択された周波数の電界強度が、電界強度測定手段12によって所定期間ごとに3回以上の所定回数測定され、測定された電界強度が一回目から順次に増大し、かつ最後の測定値が所定の基準値を越えたと判定手段12によって判定されると、復調手段6はその周波数を選局する。これにより、電界強度が十分に大きくて、かつ電界強度が増大傾向にある周波数が選局される。 【0008】 【実施例】 -第1の実施例- 図1?図4により、本考案の第1の実施例を説明する。図1は、本考案に係るFM多重放送受信機を示すブロック図である。図1に示すFM多重放送受信機1は、アンテナ2で受信されたFM多重放送信号をFMステレオ音声信号と付加情報信号とに分離し、音声信号はスピーカ3から、付加情報信号はディスプレイ4からそれぞれ出力する。 【0009】 以下、図1に示すFM多重放送受信機の内部構成を説明する。5はFMフロントエンド部であり、アンテナ2で受信したFM多重放送信号から所定の周波数信号を選局すると共に、この選局した周波数信号を中間周波信号に周波数変換して出力する。6は検波部であり、中間周波信号を検波してステレオ音声信号およびステレオ音声信号に多重化された付加情報信号を出力する。7はステレオ音声信号からノイズ成分を除去するノイズキャンセラ7である。8はマルチプレクサであり、ノイズキャンセラ7から出力されるステレオ音声信号を加減算処理することにより、右チャンネル及び左チャンネルのオーディオ信号に変換する。9は右チャンネル及び左チャンネルのオーディオ信号を増幅してスピーカ3を駆動する増幅部9である。 【0010】 10は検波部6から出力される付加情報信号を復調するFM多重デコーダ10、11は復調された付加情報をディスプレイ4に表示する制御を行う描画コントローラ11である。12は、後述する図2,3,6,7の処理を行うCPU、13はCPU12の制御プログラム等を記憶するROM、14はCPU12によって演算された結果等を記憶するRAM、15は割り込み処理に用いるタイマである。 【0011】 CPU12は、ユーザの選局操作に応動して、あるいは後述する図2,6の処理に基づいて受信周波数を決定し、その周波数に応じてコントロール電圧VCを変化させてFMフロントエンド部5に出力する。またCPU12は、FMフロントエンド部5のAGC電圧をモニタして受信周波数の電界強度を測定する。 【0012】 CPU12は、不図示の電源スイッチが投入されると図2の処理を開始する。また、CPU12が図2の処理を行っている最中にタイマ割り込みがあると、CPU12は図2の処理をいったん停止して図3の処理を行う。以下、図2,3に基づいて本実施例の動作を説明する。 図2のステップS1では、後述する図3の処理によって作成される周波数リストを検索するためのポインタを、周波数リストの1番目に設定する。なお、この第1の実施例の周波数リストは、図4に示すように、ポインタと、放送局周波数と、受信周波数の電界強度と、電界強度の変化を示す差分と、放送局の放送内容を示す識別コードと、受信可能か否かを示すフラグとによって構成される。ステップS2では、ポインタで示される周波数のFM多重放送の受信を開始する。 ステップS3では、変数M2(0)を所定値に初期設定する。変数M2(t)(t=0,1・・・)には、時間単位ごとの電界強度の平均値が入力される。ステップS4では、時間カウンタtを「1」に設定し、ステップS5ではサンプリングカウンタiを「1」に設定する。ステップS6では受信周波数の電界強度Vを測定し、ステップS7では、ステップS6で測定した電界強度Vを変数M2(i)に格納する。ステップS8では、サンプリングカウンタiを1加算する。 【0013】 ステップS9では、サンプリングカウンタiの値が規定値2nを越えたか否かを判定し、判定が否定されるとステップS6に戻る。以下、ステップS9の判定が肯定されるまでステップS6?S9の処理手順を繰り返す。 ステップS9の判定が肯定すなわち電界強度Vを2n回継続して測定するとステップS10に移り、2n回測定した電界強度Vの平均値M2(t)を演算して電界強度測定結果を平滑化する。これにより、図5に示すように、電界強度が瞬間的に小さくなっても、平均値M2(t)は図示の階段波形のようになる。 【0014】 ステップS11では、ステップS10で演算した平均値M2(t)と、その直前に演算した平均値M2(t-1)との差分Δmを演算する。ステップS12では、ステップS10で演算した平均値M2(t)が所定の閾値V_(LOW)より小さいか否かを判定する。判定が否定されるとステップS13に移り、時間カウンタtを1加算してステップS14に移る。ステップS14では、電界強度Vの測定を開始してから所定期間M以上経過したか否かを判定し、判定が否定されるとステップS5に戻り、一方判定が肯定されるとステップS4に戻る。すなわち、時間カウンタtがオーバーフローを起こさないようにする。 ステップS12の判定が肯定されるとステップS15に移り、差分Δmが所定の閾値ΔLOWより小さいか否かを判定する。判定が否定されるとステップS13に移り、判定が肯定されるとステップS16に移る。このステップS15の判定が肯定されることにより、受信周波数の電界強度Vが低下傾向にあり、かつ現在の電界強度が十分に小さいと判断される。 【0015】 ステップS16では、周波数リスト検索用のポインタを1加算する。ステップS17では、ポインタで示される周波数が、同一内容を放送しているか否かを判定する。この判定は、周波数リスト内の識別コード(図4参照)によって行う。ステップS17の判定が肯定されるとステップS2に戻る。一方、ステップS17の判定が否定されるとステップS16に戻る。 【0016】 CPU12が上記図2のフローチャートの処理を行っている最中にタイマ15から割り込みが入ると、CPU12は図3に示すタイマ割り込み処理を開始する。ステップS51では、受信したFM信号に含まれる周波数リスト情報を検出する。ステップS52では、ポインタを周波数リストの1番目に設定する。ステップS53では、図2のステップS3と同様に、電界強度の判定に用いる変数M4(0)を所定値に初期設定する。ステップS54では、図2のステップS6?S9と同様に、ポインタで示される周波数の電界強度を2n回継続して測定し、測定した電界強度を変数M3(k)(k=1・・・2n)に記憶する。 ステップS55では、図2のステップS10と同様に、2n回の電界強度測定結果の平均値M4(t)を演算する。ステップS56では、ステップS55で演算した平均値M4(t)と、その直前に測定した平均値M4(t-1)との差分Δmを演算する。 【0017】 ステップS57では、平均値M4(t)が所定の閾値V_(LOW)より小さいか否かを判定し、判定が肯定されるとステップS58に移り、この放送局を選局対象から除外するため、この周波数に対応するフラグを「1」に設定して周波数リストに格納する。同様に、周波数リスト中の電界強度を平均値M4(t)に更新する。 一方、ステップS57の判定が否定されるとステップS59に移り、差分Δmが所定の閾値ΔLOWより小さいか否かを判定する。ここで判定が肯定されるとステップS58に移るのに対して、判定が否定されるとステップS60に移る。このステップS59の判定が否定されることにより、受信周波数の電界強度が上昇傾向で、かつ電界強度が十分に強いと判断される。ステップS60では、ポインタで示される周波数リスト中の電界強度を、ステップS55で演算した平均値M4(t)に更新する。 【0018】 ステップS61ではポインタを1加算し、ステップS62ではポインタ値が周波数リストのリスト数を越えたか否かを判定し、判定が否定されるとステップS53に戻り、次局について電界強度を測定する。 ステップS62の判定が肯定されるとステップS63に移り、周波数リストを電界強度の大きい順に並び換える。その際、フラグが「0」の放送局すなわち受信状態の良い放送局を電界強度順に並べた後、フラグが「1」の放送局について電界強度順に配列してRAM14に記憶する。これにより、図4に示す周波数リストが完成する。 【0019】 このように、第1の実施例では、電界強度を平均化して受信周波数の電界強度を推測するようにしたため、電界強度が瞬間的に変動してもその影響を受けずに済む。また、電界強度が所定値以下で、かつ電界強度が低下傾向にある場合に受信周波数を切り換えるようにしたため、受信環境が劣化しつつあることを正しく判断して即座に受信周波数を切り換えることができる。さらに、FM多重放送によって送信される周波数リスト情報を用いて、タイマ割り込みによって電界強度順に周波数を並べた周波数リストを作成するため、同一内容放送局を即座に選択できる。 【0020】 -第2の実施例- 以下に説明する第2の実施例は、現在の電界強度と過去2回分の電界強度とを比較して受信周波数の切り換え処理を行うものである。 この第2の実施例は、CPU12の処理を除いて第1の実施例と共通するため、以下では図6,7に基づいて、CPU12の処理のみを説明する。 図7のステップS101では、後述する図7の処理で作成される周波数リストを検索するためのポインタを、周波数リストの1番目に設定する。この第2の実施例の周波数リストは、図8に示すように、ポインタ、放送局周波数、現在の電界強度、前回の電界強度および前々回の電界強度により構成される。ステップS102では、図2のステップS1と同様にFM信号を受信するとともに、その周波数の電界強度を測定する。 【0021】 ステップS103では、ポインタで示される周波数リスト領域を検索し、前回の電界強度および前々回の電界強度を読み込む。ステップS104では、前回の電界強度が前々回の電界強度より大きいか否かを判定する。判定が肯定されるとステップS105に移り、現在の電界強度が前回の電界強度より大きいか否かを判定し、判定が肯定されるとステップS106に移り、現在の電界強度が所定の基準値より大きいか否かを判定する。判定が肯定されるとステップS107に移り、ポインタで示される周波数を選局してステップS102に戻る。 【0022】 一方、ステップS104?S106の判定が否定された場合、いずれもステップS108に移りポインタを1加算する。ステップS109では、ポインタ値が周波数リストのリスト数を越えたか否かを判定し、判定が否定されるとステップS102に戻り、判定が肯定されるとステップS110に移り、周波数リストの1番目の周波数を選局して、ステップS1に戻る。 【0023】 図7は第2の実施例における周波数リスト作成処理を示すフローチャートである。 ステップS201では、受信したFM信号に含まれる周波数リスト情報を検出する。ステップS202では、ポインタを周波数リストの1番目に設定する。ステップS203では、図8に示す「前回の電界強度」が記憶されているRAM14上の記憶領域の値を、「前々回の電界強度」の記憶領域に格納し、「現在の電界強度」の記憶領域に格納されている値を「前回の電界強度」の記憶領域に格納する。また、ポインタで示される周波数のFM信号を受信し、その電界強度を「現在の電界強度」の記憶領域に格納する。 ステップS204では、ポインタを1加算する。ステップS205では、ポインタ値が周波数リストの総数を越えたか否かを判定する。判定が否定されるとステップS203に移り、判定が肯定されるとステップS206に移り、作成した周波数リストを電界強度が大きい順に並べ換えて処理を終了する。 【0024】 このように第2の実施例では、周波数リストに挙げられたすべての周波数について、現在の受信周波数の電界強度、前回の電界強度および前々回の電界強度をそれぞれ比較し、電界強度が増大傾向にあり、かつ現在の電界強度が基準値を越える周波数を選局するようにしたため、将来的に電界強度の増大が見込めるような周波数を選局することができる。 また、現在の受信周波数の電界強度だけでなく、前回および前々回の電界強度も考慮に入れて周波数を選局するようにしたため、例えば受信中の電界強度が瞬間的に大きくなっても、その周波数を誤って選局するおそれはない。さらに、第1の実施例と異なり、電界強度の所定時間の平均値を演算する手間が省けるため、周波数の選局が即座に行える。 【0025】 なお上記第1の実施例では、電界強度測定結果を平滑化した後、差分Δmを検出するようにしたが、これに代え先ず差分を検出してこの差分を平滑化してもよく、さらには電界強度測定結果を累積した後、この累積値間で減算して差分を検出してもよい。 また上記実施例では、タイマ割り込みにより周波数リストの作成および整列を行うようにしたが、CPUによるメインルーチンの中でこの処理を行ってもよい。 さらに第2の実施例では、現在・前回・前々回の3回の電界強度測定結果を比較しているが、4回以上の測定結果を比較するようにしてもよい。また、各回の測定間隔を任意に変えられるようにしてもよい。 【0026】 このように構成された実施例にあっては、FMフロントエンド部5が受信手段に、検波部6が復調手段に、図3のフローチャートが周波数リスト作成手段に、図2のステップS6が電界強度測定手段に、図2のステップS10が平均値演算手段に、図2のステップS12,S15が判定手段に、図3のステップS58が周波数除外手段に、図2のステップS16が選局制御手段にそれぞれ対応する。 【0027】 【考案の効果】 以上詳細に説明したように請求項2の考案によれば、受信周波数の電界強度の平均値に基づいて受信周波数の電界強度を推定するようにしたため、電界強度が瞬間的に変動しても、その影響を受けずに済む。また、電界強度の平均値が所定の基準値よりも小さく、かつこの平均値が所定期間前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さい場合に、周波数リストに基づいて他の周波数を選局するようにしたため、今後の電界強度の変化を予測した周波数の設定が行える。すなわち、現在の電界強度が十分に小さく、かつ電界強度が低下傾向にあるときに、自動的に周波数を切り換えることができる。また、周波数除外手段によって、電界強度の平均値が所定の基準値よりも小さく、かつこのこの平均値が所定期間前に演算された平均値よりも所定の基準量以上小さい周波数を周波数リストの選局対象から除外するようにしたため、周波数リストの検索を高速に行えるようになる。 請求項3に記載された考案によれば、3回以上の所定回数測定された電界強度が1回目から順次に増大し、かつ最後に測定された電界強度が所定の基準値以上である周波数を選局するようにしたため、電界強度が増大傾向にあり電界強度も十分に大きい受信状態の良い周波数を選局できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案によるFM多重放送受信機の全体構成を示すブロック図。 【図2】 第1の実施例におけるCPUのメイン動作を示すフローチャート。 【図3】 第1の実施例におけるCPUのタイマ割り込み処理を示すフローチャート。 【図4】 図3の処理によって作成される周波数リストを示す図。 【図5】 電界強度の変化を示す図。 【図6】 第2の実施例におけるCPUのメイン動作を示すフローチャート。 【図7】 第2の実施例におけるCPUのタイマ割り込み処理を示すフローチャート。 【図8】 図7の処理によって作成される周波数リストを示す図。 【符号の説明】 1 FM多重放送受信機 5 FMフロントエンド部 6 検波部 10 FM多重デコーダ部 12 CPU 13 ROM 14 RAM 15 タイマ |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2000-02-02 |
出願番号 | 実願平5-70142 |
審決分類 |
U
1
652・
121-
XA
(H04B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 瀬津 太朗 |
特許庁審判長 |
川名 幹夫 |
特許庁審判官 |
橋本 正弘 吉見 信明 |
登録日 | 1998-11-13 |
登録番号 | 実用新案登録第2589253号(U2589253) |
権利者 |
株式会社ザナヴィ・インフォマティクス 神奈川県座間市広野台2丁目6番35号 |
考案の名称 | FM多重放送受信機 |
代理人 | 永井 冬紀 |
代理人 | 永井 冬紀 |