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審決分類 審判    A63H
審判    A63H
審判    A63H
管理番号 1094774
審判番号 無効2003-40003  
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2004-05-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-02-10 
確定日 2004-03-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第3086003号実用新案「市松人形の髪型構造」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件登録実用新案第3086003号(平成13年6月27日出願)は、平成14年3月6日に実用新案権の設定登録後、平成15年2月10日付で請求人・佐藤誠一より請求項1乃至請求項6に係る考案の実用新案登録につき登録無効の審判請求を受けた後、実用新案権者・斉藤大司は実用新案技術評価書(平成15年3月10日作成)を提出すると共に、平成15年7月31日付けで請求項の削除を目的として実用新案登録訂正書を提出し、請求項1、請求項3、請求項4、請求項6を削除したものである。

2.本件考案
上記実用新案登録訂正書による請求項の削除により、本件登録実用新案第3086003号の請求項2及び請求項5に記載された考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項2及び請求項5に記載されたとおりのものである。
「【請求項2】前記頭部における両耳の上の結髪の一部を糸で結括してヘアピース取り付け用突子を形成することを特徴とする請求項1記載の市松人形の髪型構造。
【請求項5】前記ヘアピースの根元は、柔軟性ワイヤー等の芯材に絡巻きされ、接着または、縫着等の手段により固定されることを特徴とする請求項1記載の市松人形の髪型構造。」(以下、それぞれ「本件考案2」、「本件考案5」という。)

尚、請求項1は、「【請求項1】桐塑、石膏、プラスチック等の材料により成形される女児姿市松人形の頭部に結髪される髪型と、頭部における両耳の上の結髪部分に接着固定されるヘアピースと、からなることを特徴とする市松人形の髪型構造。」である。

3.請求人の主張
3-1.無効理由1
訂正前の請求項1乃至請求項6に係る考案は、甲第1号証に記載された考案と同一であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、その実用新案登録は実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し無効とすべきである。
3-2.無効理由2
訂正前の請求項1乃至請求項6に係る考案は、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、その実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反し、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し無効とすべきである。
3-3.無効理由3
訂正前の請求項1乃至請求項6に係る考案に係る人形は、株式会社公司人形(埼玉県岩槻市愛宕町10-3)において開催された2002年度新作見本市(平成13年6月18日?同月29日の平日)に出品され、不特定多数の第三者が出品された人形の構造を手にとって確認できたものであり、それらの者が当該人形の具体的な構造を知り得たことは疑いがないことから、訂正前の請求項1乃至請求項6に係る考案は本件の出願前公然実施をされた考案に該当するから、実用新案法第3条第1項第2号に該当し、その実用新案登録は実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し無効とすべきである。

(証拠方法)
甲第1号証:「にんぎょう日本」、社団法人日本人形協会、平成13年5月20日発行、’01、6月、No320、第31頁

4.被請求人の主張
4-1.無効理由1及び無効理由2について
甲第1号証には、市松人形の頭部の結髪部分に形成されたヘアピース取り付け用突子とヘアピースとの関連構成が記載されておらず、またこれを示唆する記載もないから、請求人の主張する無効理由1及び無効理由2には理由がない。
4-2.無効理由3について
請求人が主張する前記新作見本市の会期、開催場所については否定しないが、本件考案2及び本件考案5に係る髪型構造の詳細は、不特定多数の者に知られ得る状態ではなかった。
即ち、被請求人は前記新作見本市において、甲第1号証に記載された人形を出品し、全国各地の有力人形関連業者を招待し、その人形のPRに努めた。
しかし、前記新作見本市の会期中に、被請求人は、当該人形の特徴に関する説明は一切行わなかったし、逆に、会期中の来訪者から、当該人形の髪型の詳細説明を求められることもなかった。この理由は、人形の良し悪しは、人形の外見(人形の外観)で決め、人形の仕入、注文に臨むといったことが、人形関係者に古くから定着しているためである。また、当該人形を当業者に販売した事実も皆無である。
したがって、請求人の主張する無効理由3には理由がない。

5.甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、下記の事項が記載されている。
a.頭部における両耳の上の結髪部分がカールしたツーテール状とされ、髪飾りが取り付けられている女児姿人形が記載されている。

6.当審の判断
6-1.無効理由1及び無効理由2について
甲第1号証には、本件明細書に添付された図面の第1図とほぼ同一の容貌の人形の頭が記載されているが、甲第1号証の記載からだけでは、女児姿人形の頭部の髪型が、頭部に結髪される髪型と、頭部における両耳の上の結髪部分のヘアピースとが接着固定された構造のものなのか、頭部の髪型全体が一つの髪型ユニットとされているものなのか否か判然としない。
これに対して、請求人は、以下の主張をしている。
本件請求項2及び請求項5に係る市松人形の髪型構造は、当該技術分野において一般的に行われている周知の構成であり、また、被請求人はこの主張に対して反論していないから、事実上、上記本件請求項2及び請求項5に係る市松人形の髪型構造が当業者が極めて容易に想到し得たものであると認めている。
そこで、この主張について検討する。
請求人は、本件請求項2及び請求項5に係る市松人形の髪型構造は、当該技術分野において一般的に行われている周知の構成であると主張をしているに止まり、これを証明する証拠が何ら提出されておらず、また、被請求人は、「甲第1号証には、・・・結髪の一部を糸で結括してヘアピース取り付け用突子を形成すること(請求項2)、・・・ヘアピースの根元には、柔軟性ワイヤー等の芯材が絡巻きされ、接着または縫着等の手段により固定される(請求項5)という具体的記載・・・がない。」(平成15年3月27日付け答弁書第2頁8?15行)と反論しているから、被請求人がこの主張に対して反論していないとはいえず、請求人の上記主張は採用することができない。
してみれば、上記実用新案技術評価書(平成15年3月10日作成)をも勘案すると、本件考案2及び本件考案5は、甲第1号証に記載された考案と同一であるとも、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるともいえない。
したがって、請求人の主張は理由がないものであり採用できない。

6-2.無効理由3について
本件考案2及び本件考案5は、いずれも市松人形の髪型の内部構造に係るものであり、内部構造については、人形の外見からだけではその構造を知ることは出来ないものであり、しかも、必要部位を分解するか、しかるべき者から説明を受けることにより、その部分を知らなければ本件考案2及び本件考案5の具体的構造は把握され得ないものである。
この点に関して、請求人は、株式会社公司人形(埼玉県岩槻市愛宕町10-3)において開催された2002年度新作見本市(平成13年6月18日?同月29日の平日)の展示状況について、ただ単に「不特定多数の第三者が出品された人形の構造を手にとって確認できたものであり、それらの者が当該人形の具体的な構造を知り得たことは疑いがない。」(平成15年2月10日付け審判請求書第7頁20?22行)とするだけで、具体的な展示状況あるいは展示形態が、請求人において充分に立証がなされていない。
即ち、請求人ないしは請求人に関係する者が、出品された人形の内部構造を見ること、又は展示者に対して市松人形の髪型の具体的構造について説明を求めることが可能な状況(展示者が拒否しない)にあったことについて、請求人において充分に立証されていない。
さらに、該新作見本市の会期が平成13年6月18日?同月29日の平日であり、本件登録実用新案第3086003号に係る考案の出願日が、該会期中の平成13年6月27日であること、並びに、被請求人が該新作見本市を開催した株式会社公司人形の常務取締役であることを斟酌すると、本件考案の出願日以前から出願準備に取りかかっていたと推察されることから、該新作見本市の観覧者から本件考案2及び本件考案5の内容の説明を求められれば、当然これを拒否するはずであると考えるのが自然である。
現実にも、被請求人は、「当該人形の特徴に関する説明は一切行わなかったし、逆に、会期中の来訪者から、当該人形の髪型の詳細説明を求められることもなかった。この理由は、人形の良し悪しは、人形の外見(人形の外観)で決め、人形の仕入、注文に臨むといったことが、人形関係者に古くから定着しているためである。また、当該人形を当業者に販売した事実も皆無である。」(平成15年3月27日付け審判答弁書第3頁18?25行参照)としている。
してみれば、該新作見本市において、甲第1号証に記載された人形が展示されたからといって、人形の内部構造が開示されていないのであるから、本件考案2及び本件考案5が「公然知られる状況」で実施されたものであるとはいえないばかりか、「公然知られるおそれのある状況」で実施されたものでもないとも言わざるを得ないので、本件考案2及び本件考案5は公然実施をされた考案であるとはいえない。
したがって、請求人の主張は理由がないものであり採用できない。

6-3.公序良俗違反について
尚、請求人は、「ナイロン」は登録商標であるから、訂正前の請求項3に係る考案は、公序良俗に違反しているから実用新案法第4条に該当し、その実用新案登録は実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し無効とすべきである旨主張しているが(平成15年2月10日付け審判請求書第6頁11?17行参照)、請求項3は削除されたので、請求人の主張は理由がないものであり採用できない。

7.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由および提出した証拠方法によっては、本件登録実用新案を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-01-27 
結審通知日 2004-01-30 
審決日 2004-02-12 
出願番号 実願2001-5070(U2001-5070) 
審決分類 U 1 111・ 121- YA (A63H)
U 1 111・ 113- YA (A63H)
U 1 111・ 112- YA (A63H)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 清水 康司
番場 得造
登録日 2002-03-06 
登録番号 実用新案登録第3086003号(U3086003) 
考案の名称 市松人形の髪型構造  
代理人 丸山 幸雄  
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