ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) G06K |
---|---|
管理番号 | 1099779 |
審判番号 | 無効2002-35461 |
総通号数 | 56 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2004-08-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-10-25 |
確定日 | 2004-06-28 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3082666号実用新案「外部接続型USB2.0仕様フラッシュメモリカードの読取機」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 実用新案登録第3082666号の請求項1,3,4に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件実用新案登録第3082666号は、平成13年6月13日に実願2001-3842号として出願され、平成13年10月3日に設定登録(考案の数4)がなされたものである。 これに対して、平成14年10月25日に請求人萬国電脳股有限公司より、本件実用新案登録を無効とするとの審決を求める本件審判の請求がなされ、平成15年5月27日に被請求人(実用新案登録権者)より、本件無効審判請求は成り立たないとの審決を求める答弁書が提出された。更に、平成15年9月10日に口頭審理が実施され、その後、平成15年10月14日付けで被請求人より上申書と請求項2を削除する旨の実用新案登録訂正書が提出され、平成15年11月4日付けで請求人より上申書が提出されたものである。 2.本件実用新案登録 前記実用新案登録訂正書は、請求項の削除を目的とするものであり、実用新案法第14条の2の規定に適合するので当該訂正を認める。 本件実用新案登録は、前記実用新案登録訂正書を踏まえて、本件明細書及び図面の記載における実用新案登録請求の範囲の請求項1、3及び4に記載された以下のとおりのものである(以下、「本件考案1」「本件考案3」「本件考案4」という。)。 【請求項1】 差し込みカートリッジと、USB2.0接続線とを備え、 前記差し込みカートリッジの一端には外部接続型メモリカードが接続されるフラッシュメモリカードの挿入口が設けられ、USB2.0インターフェースを介しコンピュータの主フレームのUSBポートに接続されることを特徴とする外部接続型USB2.0仕様フラッシュメモリカードの読取機。 【請求項3】 前記USB2.0接続線は、前記コンピュータのフレームと分離可能であることを特徴とする請求項1記載の外部接続型USB2.0仕様フラッシュメモリカードの読取機。 【請求項4】 前記差し込みカートリッジの内部に前記USB2.0接続線が固定され、前記USB2.0接続線はUSB接続端子を有し、そのUSB接続端子および前記USBポートは連結されることを特徴とする請求項1記載の外部接続型USB2.0仕様フラッシュメモリカードの読取機。 3.審判請求人の主張 本件登録実用新案は、甲第1号証?甲第3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その登録実用新案は、実用新案法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである。 4.審判被請求人の主張 被請求人の答弁書の主張は以下のとおりである。 (1)甲第1号証には、USBインターフェースを備えるカード読み取り機については、何ら記載されていない。 (2)甲第2号証には、IEEE1394インターフェースをUSB2.0インターフェースに置き換えることが容易である点については何ら記載されていない。 また、口頭弁論における陳述および平成15年10月14日付け上申書によれば、本件請求項に係る考案と、実施例の関係を含め、以下のとおり主張している。 (3)第3実施例において、明細書では「USB2.0接続線」への言及はないものの、図3に示すようにメモリカードを挿入することができる「挿入口」、ならびにコンピュータ主フレームのUSBポートに挿入できる接続端子を有している。第3実施例では、外部に「USB2.0接続線」が露出していないものの、構成要素として「挿入口」と「接続端子」とを接続する「USB2.0接続線」を「差し込みカートリッジ1」の内部に備えている。 (4)本件請求項1,3に係る考案は、第1実施例、第2実施例及び第3実施例を包含するものであり、本件請求項4に係る考案は、第3実施例に対応するものである。 (5)各実施例の記載から明確となった本件請求項1,3,4に係る考案は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載の発明に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものではない。よって、本件実用新案登録は無効にされるべきではない。 5.証拠方法 甲第1号証(登録実用新案第3074562号公報、平成13年1月19日公報発行)には、以下の事項が図面と共に記載されている。 (A)「【請求項1】 IEEE1394仕様インターフェースに適用される外部接続型IEEE1394インターフェース仕様フラッシュカードの読取機であって、 外部接続型フラッシュカードを挿入するための挿接口が一端に形成され、前記挿接口の近傍の壁にリジェクトキーが形成されているカートリッジケースと、 IEEE1394接続線と、 前記カートリッジケースの内部に設けられ、一端が前記IEEE1394接続線によって前記コンピュータのIEEE1394ポートへ接続される情報伝送回路とを備え、 前記外部接続型フラッシュカードは、前記カートリッジケースに挿入され、前記情報伝送回路および前記コンピュータによって情報の読取または書入れ伝送が行われ、前記リジェクトキーが押された場合、前記情報伝送回路から離れて前記挿接口から離脱することを特徴とする外部接続型IEEE1394インターフェース仕様フラッシュカードの読取機。」(実用新案登録請求の範囲請求項1) (B)「図1は、本考案の一実施例によるコンピュータの1394仕様に適用される外部接続型フラッシュカードの読取機の斜視図であり、この図面から分かるように、外観上、カートリッジケース1ならびにそのカートリッジケース1の末端から伸出する1394接続線2がある。カートリッジケース1の一端にはフラッシュカードなど各種外部接続メモリカードを挿入する挿接口10が設けられ、フラッシュカードの情報はケース内の情報伝送回路(図面には示されていない)によって読取または書き入れすることができ、また挿接口10の傍らのケース壁にはリジェクトキー11が設けられており、そのリジェクトキー11を押すと、挿入されていたフラッシュカードは情報伝送回路から離れて挿接口10から離脱する。1394接続線2には1394コンピュータの1394ポートへ挿入されるコネクタ20が設けられ、接続線の他端はカートリッジケース1内の情報伝送回路に おいてコンピュータの1394ポートへ接続される一端に連結されている。 」(【0005】段落) 以上の記載から、甲第1号証には以下の考案が記載されている。 カートリッジケースと、IEEE1394接続線とを備え、 前記カートリッジケースの一端には外部接続型メモリカードを挿入するフラッシュカードの挿接口が設けられ、IEEE1394接続線のコネクタによってコンピュータの1394ポートへ接続されることを特徴とする外部接続型IEEE1394インターフェース仕様フラッシュカードの読取機 甲第2号証(塩田紳二、遅いコンピュータはもういらない 高速時代のI/Oアーキテクチャ動向、NEYWORK MAGAGINE、株式会社アスキー、2001年6月1日、第6巻、第6号、第24頁)には、以下の事項が記載されている。 (C)「そこで登場するのがシリアルバスである。USB2.0やIEEE1394などはシリアルバスでありながら、高速な転送が可能だ。これは1つの信号線しかないために周波数を上げやすく、回路も簡単になるからである。」(24頁中欄?右欄) 甲第3号証(登録実用新案3075863号公報、平成13年3月6日公報発行)には、以下の事項が図面と共に記載されている。 (D)「 【0025】 カードリーダ20は、略直方体に形成され、その一側面に薄型軽量の略平板形状とされたメモリカード29を挿入可能な挿入穴21が設けられている。そして、挿入穴21に挿入されたメモリカード29にデータを記憶させたり、記憶されたデータを読み出したりする。メモリカード29は薄型のフラッシュメモリを内蔵しており、電源が供給されなくても書き込まれたデータは保持されるようになっている。 【0026】 また、カードリーダ20には、挿入穴21が設けられた側面の反対側面に、インタフェースケーブル10のコンピュータ側コネクタ12と同形状の本考案にいう周辺機器コネクタであるカードリーダコネクタ22が立設されている。すなわち、カードリーダコネクタ22は、コンピュータ30のUSBコネクタ31に接続可能であるとともに、USBコネクタ31と同形状であるインタフェースケーブル10のカードリーダ側コネクタ13bにも接続可能となっている。」(【0025】【0026】段落) (E)「【0030】 そこで、予め、インタフェースケーブル10のコンピュータ側コネクタ12をコンピュータ30のUSBコネクタ31に接続し、カードリーダ側コネクタ13bを前面に向けてスタンド13を設置すると、カードリーダ20をスタンド13に設けられたカードリーダ側コネクタ13bに接続してコンピュータ30とインタフェース信号の授受を行うことができる。したがって、カードリーダ20をコンピュータ30の背面パネルに設けられたUSBコネクタ31に接続する必要がなくなり、カードリーダ20をコンピュータ30に接続する手間を少なくさせることができる。また、図8に示すように、カードリーダ20を複数のインタフェースケーブル10に繋ぎかえたり、ノート型のコンピュータ40のUSBコネクタ41に繋ぎかえたりすることも容易になる。その結果、カードリーダ20を持ち運んで種々のコンピュータに接続するのに好適である。」(【0030】段落) 以上の記載から、甲第3号証には以下の考案が記載されている。 カードリーダ20と、 前記カードリーダ20の一端にはフラッシュメモリを内蔵したメモリカードを挿入可能な挿入穴21が設けられ、前記挿入穴21が設けられた側面の反対側面にカードリーダコネクタ22によってコンピュータのUSBコネクタ41に接続される外部接続型USBフラッシュメモリカードのカードリーダ 6.対比・判断 6-1.本件考案1と甲第1号証に記載された考案とを比較すると、 甲第1号証に記載された考案の「カートリッジケース」「フラッシュカード」「外部接続型メモリカード」「フラッシュカードの読取機」は、それそれ、本件考案1の「差し込みカートリッジ」「フラッシュメモリカード」「外部接続型メモリカード」「フラッシュメモリカードの読取機」に相当する。 インターフェースの接続位置は通常はコンピュータの主フレームであるから、甲第1号証に記載された考案の「コンピュータ」と本件考案1の「コンピュータの主フレーム」には実質的な差異はない。 また、コネクタは所定のインターフェース形式に適合しているものであるから、甲第1号証に記載された考案がコネクタによって接続されることと、本件考案のインターフェースを介して接続されることは同等のものである。 また、甲第1号証に記載された考案と本件考案1とは、コンピュータの主フレームとフラッシュメモリカードの読取機が、接続線およびポートによって接続される点で対応している。 してみると、本件考案1と甲第1号証に記載された考案とは、以下の点で一致している。 差し込みカートリッジと、接続線とを備え、 前記差し込みカートリッジの一端には外部接続型メモリカードが接続されるフラッシュメモリカードの挿入口が設けられ、インターフェースを介しコンピュータの主フレームのポートに接続されることを特徴とする外部接続型フラッシュメモリカードの読取機。 一方、本件考案1と甲第1号証に記載された考案とは、以下の点で相違している。 (相違点) コンピュータの主フレームとフラッシュメモリカードの読取機が、甲第1号証に記載され考案では、IEEE1394接続線と1394ポートによって接続されるのに対し、本件考案1では、USB2.0接続線とUSBポートによって接続される点 6-1-1.相違点についての判断 甲第1号証に記載された考案は、コンピュータとの間で高速伝送可能なフラッシュカード読取機を得ることを目的としており、その目的のためにインターフェースとしてIEEE1394仕様を採用している。そして、甲第2号証によれば、本件出願当時、高速のシリアルバスとしてUSB2.0とIEEE1394は共に周知であると認められる。 してみると、コンピュータとフラッシュカード読取機のインターフェースとして、IEEE1394の代わりに同じ範疇に属するUSB2.0を用いることは、当業者がきわめて容易に想到し得るものと認められるから、この相違点を格別のものということはできない。 6-2.本件考案3と甲第1号証に記載された考案とを比較すると、 甲第1号証に記載された考案の「カートリッジケース」「フラッシュカード」「外部接続型メモリカード」「フラッシュカードの読取機」は、それそれ、本件考案1の「差し込みカートリッジ」「フラッシュメモリカード」「外部接続型メモリカード」「フラッシュメモリカードの読取機」に相当する。 インターフェースの接続位置は通常はコンピュータの主フレームであるから、甲第1号証に記載された考案の「コンピュータ」と本件考案3の「コンピュータの主フレーム」には実質的な差異はない。 また、コネクタは所定のインターフェース形式に適合しているものであるから、甲第1号証に記載された考案がコネクタによって接続されることと、本件考案のインターフェースを介して接続されることは同等のものである。 また、甲第1号証に記載された考案では、接続線とコンピュータとはコネクタによって接続されているから、本件考案3の「接続線は、前記コンピュータのフレームと分離可能である」ことと実質的に同等である。 また、甲第1号証に記載された考案と本件考案3とは、コンピュータの主フレームとフラッシュメモリカードの読取機が、接続線およびポートによって接続される点で対応している。 してみると、本件考案3と甲第1号証に記載された考案とは、以下の点で相違している。 (相違点) コンピュータの主フレームとフラッシュメモリカードの読取機が、甲第1号証に記載され考案では、IEEE1394接続線と1394ポートによって接続されるのに対し、本件考案1では、USB2.0接続線とUSBポートによって接続される点 6-2-1.相違点についての判断 前記6-1-1.で論じた理由によりこの相違点を格別のものということはできない。 従って、本件考案1,3は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案することができたものである。 6-3.本件考案4と甲第3号証に記載された考案とを比較すると、 甲第3号証に記載された考案の「カードリーダ20」「挿入穴21」「USBコネクタ41」は、それぞれ、本件考案4の「差し込みカートリッジ」「挿入口」「USBポート」に相当する。 また、甲第3号証に記載された考案では、カードリーダコネクタ22はコンピュータのUSBコネクタ41に接続されるのであるから、カードリーダコネクタ22もUSB形式となっており本件考案4の「USB接続端子」に相当し、カードリーダコネクタ22とUSBコネクタ41が接続されるのであるから、これは本件考案4の「USB接続端子とUSBポートは連結される」ことに相当する。 そこで、本件考案4と甲第3号証に記載された考案とは、以下の点で相違している。 相違点1 本件考案4では、インターフェース形式がUSB2.0であるのに対し、甲第3号証に記載された考案では、インターフェース形式がUSBである点 相違点2 本件考案4では、USB2.0接続線を備え、そのUSB2.0接続線が差し込みカートリッジ内部に固定され、USB接続端子を有しているのに対し、甲第3号証に記載された考案では差し込みカートリッジの内部については不明である点 6-3-1.相違点についての判断 相違点1について USB等のインターフェースの規格には、種々のバージョンがあり、また、本件出願当時USB2.0の規格は周知のものであるから、甲第3号証に記載された「USB」をUSB2.0とすることは格別のことではない。 相違点2について 本件考案4におけるUSB2.0接続線に関する構成については、本件明細書においても十分な説明がなされていない。この点についての被請求人の主張は、図3に示すようにメモリカードを挿入することができる「挿入口」、ならびにコンピュータ主フレームのUSBポートに挿入できる接続端子を有している。第3実施例では、外部に「USB2.0接続線」が露出していないものの、構成要素として「挿入口」と「接続端子」とを接続する「USB2.0接続線」を「差し込みカートリッジ1」の内部に備えているというものである。前述の主張は、当業者の技術常識として妥当なものであり、してみると、甲第3号証に記載の考案においても、本件考案4の「挿入口」と「接続端子」に相当する「挿入穴21」と「カードリーダコネクタ20」を備えているから、内部にUSB接続線を有していると考えられ、相違点2を実質的な相違ということはできない。 従って、本件考4は、甲第3号証に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案することができたものである。 7.むすび 以上のとおりであるから、本件考案1、3及び4は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである。 審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-02-03 |
結審通知日 | 2004-02-06 |
審決日 | 2004-02-17 |
出願番号 | 実願2001-3842(U2001-3842) |
審決分類 |
U
1
112・
121-
Z
(G06K)
|
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
吉岡 浩 |
特許庁審判官 |
前田 典之 吉見 信明 |
登録日 | 2001-10-03 |
登録番号 | 実用新案登録第3082666号(U3082666) |
考案の名称 | 外部接続型USB2.0仕様フラッシュメモリカードの読取機 |
代理人 | 太田 明男 |
代理人 | 南島 昇 |
代理人 | 服部 雅紀 |