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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) C02F
管理番号 1099781
判定請求番号 判定2003-60044  
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2004-08-27 
種別 判定 
判定請求日 2003-06-07 
確定日 2004-07-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第2607867号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「スカム除去装置」は、登録第2607867号実用新案の技術的範囲に属する。
理由 1.請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号図面(図1乃至図6)に示すスカム除去装置(以下「イ号装置」という)は、実用新案登録第2607867号の技術範囲に属する、との判定を求めるものである。
2.本件実用新案登録
本件実用新案登録第2607867号の請求項1に係る考案(以下「本件考案」という)は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであり、その構成を符合を付して分節して記載すると以下のとおりとなる。
(イ)沈澱池内の水面付近には、樋状のトラフが固定して設置されるとともに同トラフ一側の開口が水面下に位置され、
(ロ)このトラフの前記一側の開口には、筒状のガイドに対して進退駆動されるロッドを備えた堰駆動手段と同駆動手段の進退運動を揺動運動に変えて堰に伝達するアームとにより水面を境に浮沈する堰が設けられ、
(ハ)この堰が水面より沈むことにより水面上を浮遊するスカムをトラフ内に誘引する一方同堰が浮くことによりスカムの誘引を停止させるように構成されているスカム除去装置であって、
(ニ)前記アームは、トラフの長手方向に平行に軸心を向けて回転自在に装架された支持軸の回りに往復回転するように設けられ、
(ホ)同アームの上部は、沈澱池を形成する躯体の上壁面よりも高く伸びて堰の浮沈する幅より増幅した幅のもとで前後に往復回転運動するように突き出し、
(ヘ)前記アームの上端に前記堰駆動手段から発生する力が作用するようになっていることを特徴とする
(ト)スカム除去装置。

3.イ号物件
請求人が提出した、判定請求書に添付されたイ号図面(図1ないし図6)の記載からみて、イ号装置は次のとおり特定されるものと認める。
なお、平成15年8月1日付で請求書副本を被請求人に送達し、本判定請求に対する答弁を求めたが、被請求人からは何の応答もなかった。
【イ号装置の構成】
(i)図1及び図2によれば、イ号装置は、池Sの水面3付近に、トラフ20が端部側壁1に固定されて設けられており、該トラフ20は図2の断面形状からみて樋状のトラフと云える。
(ii)該トラフ20の一側に設けられた誘引口29は、図1及び図2の2点鎖線で示されるように、該誘引口から池の水面3付近の水が前記トラフ内に流入するものであるから前記トラフ20の開口部と云え、図2からみて、該誘引口の下端位置は池の水面3より下に位置している。
(iii)図2によれば、トラフ20の前記誘引口29には、堰33が設けられている。
(iv)図3によれば、回転軸38は、トラフ20の後壁20cに固定された軸受ブラケット37に回転自在に支承されている。
(v)図2によれば、作動アーム41の先端部は、池の上壁6よりも高い。

【イ号装置の動作】
(vi)図2及び図3によれば、駆動源43によるシリンダ43a内に収容されたロッド43bの進退運動が、回転軸38に嵌着された作動アーム41、固定軸38に固定された2本の連動アーム40、及びそれぞれの連動アーム40の先端部と堰33に固着されたブラケット44を連結する連結ロッド45、を介して伝えられることにより、該堰33が上下動し、図4によれば、該堰33は、側面シールゴム32及び誘引ガイド30の変形により水面3上から水面下まで上下動可能となっている。
(vii)図3によれば、回転軸38はトラフ20の後壁20cに固定された軸受ブラケット37に回転自在に、トラフの長手方向に平行に支承されており、ロッド43bの進退運動は回転軸38を中心とする作動アーム41及び連動アーム40の揺動運動に変換される。
(viii)図2によれば、池内の水はトラフ20の後方(図で右側)の溝内に流入し、池外へ流出しているものと認められるから、池内の水は全体として該溝方向に流れ、池内の水にスカムが存在する場合、堰33が水面上に浮いていれば、スカムは該堰33によって堰き止められ、堰33が水面下に沈んでいれば、該堰33を溢流してトラフ20内に誘引される。
(ix)図4に示された堰33の動きから、アーム40,41は回転軸38の回りに往復回転していることは明らかである。また、これらのアームの回動幅は回転軸からの距離に比例するから、図2からみて、作動アーム41先端の回動幅は、連動アーム40先端の回動幅よりも大きい。
(x)図2、図3によれば、駆動源43により、進退運動するロッド43bの力は作動アーム41の先端部に作用し、回転軸38を支点として連動アーム40の先端部に作用する。

4.対比・判断
4-1.イ号装置の構成が本件特許発明の各構成要件を充足するか否かについての検討
(1)構成(イ)について
イ号装置の動作(viii)によれば、イ号装置における池Sは、処理水が水面付近から溝内に溢流して池外へ排出されているのであるから、沈殿地としての機能を有していることは明らかであり、構成(i)及び(ii)によれば、池S内の水面3付近に、樋状のトラフ20が固定して設置され、トラフ20の一側に開口である誘引口29が水面下に位置されているから、イ号装置は本件考案の構成(イ)を充足する。
(2)構成(ロ)について
イ号装置の構成(iii)によれば、イ号装置は、トラフ20の一側の開口である誘引口29には堰3が設けられ、動作(vi)及び(vii)によれば、シリンダ43に対して進退駆動するロッド43bを備えた駆動源43と、作動アーム41、連動アーム40により同駆動源43の進退運動を揺動運動に変えて、前記堰33に伝達することにより、前記堰33が水面3を境に浮沈しているのであり、シリンダ43aはロッド43bの進退運動のための筒状のガイドと云え、駆動源43はロッドを備えた堰駆動手段と云えるから、イ号装置は本件考案の構成(ロ)を充足する。
(3)構成(ハ)について
イ号装置の動作(viii)によれば、イ号装置におけるトラフ20に設けられた堰33は、池内の水にスカムが存在する場合、堰33が水面下に沈んでいれば、該堰33を溢流してトラフ20内に誘引され、堰33が水面上に浮いていれば、スカムは該堰33によって堰き止められるのであるから、スカム除去装置の機能を有することは明らかであり、イ号装置は、本件考案の構成(ハ)を充足する。
(4)構成(ニ)について
イ号装置の動作(iv)、(ix)によれば、回転軸38はその軸心をトラフの長手方向に平行に向けて回転自在に装架されており、連動アーム40及び作動アーム41は該回転軸38の回りに往復回転するように設けられているから、前記回転軸38は、これらアームの支持軸としての役割を果たしており、イ号装置は、本件考案の構成(ニ)を充足する。
(5)構成(ホ)について
イ号装置の構成(v)によれば、イ号装置における作動アーム41の先端部は、池Sを形成する躯体の一部である上壁6よりも高く突き出ており、また動作(ix)をも加味すれば、作動アーム41先端の回動幅は、連動アーム40先端の回動幅、すなわち堰33の浮沈する幅よりも大きい幅で、回転軸38の回り、すなわち池Sの流れ方向に向かって前後に往復回転運動しているのであるから、イ号装置は、本件考案の構成(ホ)を充足する。
(6)構成(ヘ)について
イ号装置の動作(x)によれば、イ号装置における連動アーム40及び作動アーム41の上端に駆動源43から発生する力が作用するようになっているから、イ号装置は、本件考案の構成(ヘ)を充足する。
(7)構成(ト)について
構成(ハ)で検討したように、イ号装置はスカム除去装置の機能を備えているのであるから、イ号装置は、本件考案の構成(ト)を充足する。

5.本件考案の作用効果
本件明細書によれば、本件考案は、スカム除去装置に関するものであり、最初あるいは最終沈殿池には、水面上に多量のスカムが溜まるため、これらを効率的に除去してやることが必要であり、これらのスカムを除去するため、本出願人は、水面には樋状のトラフが固定して設けられ、同トラフの前側に開口を設けるとともに、同前側に、水面を境に浮沈する堰(フロート)を設け、該堰は、池内で循環駆動されるフライトに応動する伝達アーム機構により浮沈連動されるように構成されたスカム除去装置を提案したが、前記除去装置は、伝達アーム機構により堰を浮沈連動させる構成であるため、アーム機構が複雑になりやすく、コストが高くなるという問題があり、本考案はこうした問題を解決するためになされたもの(実用新案登録公報第1頁2欄6行?第2頁3欄8行)であり、本件考案の効果は、現行のスカム除去装置のような複雑な伝達アーム機構は一切不要であり、前記アームの上部は、沈澱池を形成する躯体の上壁面よりも高く伸びて堰の浮沈する幅より増幅した幅のもとで前後に往復回転運動するように突き出し、前記アームの上端に前記堰駆動手段から発生する力が作用するようになっているので、フライトから伝達アーム機構を介して堰を連動させるものに比べて装置全体が非常に簡易化することは勿論、特に、堰の運動は非常に緩やかでしかも沈澱池内の水面近くに位置するため離れた位置からは容易に視認しがたいが、揺動するアーム上部を沈澱池を形成する躯体の上壁面よりも高く伸びて堰の浮沈する幅より増幅した幅のもとで前後に往復回転運動するように突き出していると、堰の動きを遠方からでも大きく速い動きとして確認することができ、したがって、堰の異常な動きがあってもすぐに確実にキャッチすることができてトラブルが発生した場合にも対処が早く行える(実用新案登録公報第3頁6欄40?第4頁7欄10行)というものである。
そして、イ号装置も、本件考案と同一の構成を採用している以上、本件考案と同一の作用効果を奏することは明らかである。

6.むすび
以上のとおりであるから、判定請求書に添付の図面に記載されたイ号装置は、本件考案の構成をすべて充足するから、本件登録実用新案の技術的範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2004-07-06 
出願番号 実願平9-10376 
審決分類 U 1 2・ 1- YA (C02F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 増田 亮子繁田 えい子  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 中村 泰三
岡田 和加子
登録日 2003-02-28 
登録番号 実用新案登録第2607867号(U2607867) 
考案の名称 スカム除去装置  
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