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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する E03F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する E03F
管理番号 1101294
審判番号 訂正2004-39086  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2004-09-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-04-28 
確定日 2004-07-13 
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2588433号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2588433号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2588433号の考案は、平成4年12月3日に出願された実願平4-89723号に係り、平成10年10月30日に実用新案権の設定登録がなされたものである。
本件訂正審判請求は、平成16年4月28日付けでなされ、その請求の趣旨は、実用新案登録第2588433号の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものである。

2.訂正の内容
本件訂正審判の請求により求めている訂正の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲に記載された【請求項1】ないし【請求項3】の
「【請求項1】マンホール本体と、ソケットとを含むマンホールであって、前記マンホール本体は、直壁及び底塊を有し、前記直壁及び底塊が予め設けられた孔を有し、前記ソケットは、通孔と、本体部とを有し、前記孔に挿入して取付けられており、前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっており、前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有しており、更に、前記通孔は、第1の貫通路と、第2の貫通路とを含み、前記第1の貫通路が前記本体部を直線状に貫通し一端側に前記挿入側端面を有すると共に、他端側に前記段付受部を有し、前記第2の貫通路が前記第1の貫通路の途中から分岐して前記第1の貫通路と異なる端面に開口し開口側に前記段付受部を有するマンホール。
【請求項2】マンホール本体と、ソケットとを含むマンホールであって、前記マンホール本体は、直壁及び底塊を有し、前記直壁及び底塊が予め設けられた孔を有し、前記ソケットは、通孔と、本体部とを有し、前記孔に挿入して取付けられており、前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっており、前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有し、前記通孔は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられているマンホール。
【請求項3】請求項1または2の何れかに記載されたマンホールであって、連結管を含み、前記連結管が前記直壁の孔に取付けられたソケットと、前記底塊の孔に取付けられたソケットとを連結するマンホール。」
の記載を、
「【請求項1】マンホール本体と、ソケットとを含むマンホールであって、前記マンホール本体は、直壁及び底塊を有し、前記直壁及び底塊が予め設けられた孔を有し、前記ソケットは、通孔と、本体部とを有し、前記孔に挿入して取付けられており、前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっており、前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有しており、更に、前記直壁の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、第1の貫通路と、第2の貫通路とを含み、前記第1の貫通路が前記本体部を直線状に貫通し一端側に前記挿入側端面を有すると共に、他端側に前記段付受部を有し、前記第2の貫通路が前記第1の貫通路の途中から分岐して前記第1の貫通路と異なる端面に開口し開口側に前記段付受部を有し、前記底塊の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられているマンホール。
【請求項2】請求項1に記載されたマンホールであって、連結管を含み、前記連結管が前記直壁の孔に取付けられたソケットと、前記底塊の孔に取付けられたソケットとを連結するマンホール。」
と訂正する。
(2)訂正事項b
上記訂正事項aに伴い、明細書の明りようでない記載の釈明を目的として、実用新案登録請求の範囲と明細書の考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、段落【0007】の
「【0007】【課題を解決するための手段】上述した課題解決のため、本考案に係るマンホールは、マンホール本体と、ソケットとを含む。前記マンホール本体は、直壁及び底塊を有し、前記直壁及び底塊が予め設けられた孔を有する。前記ソケットは、通孔と、本体部とを有し、前記孔に挿入して取付けられている。前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっている。前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有する。更に、前記通孔は、第1の貫通路と、第2の貫通路とを含み、前記第1の貫通路が前記本体部を直線状に貫通し一端側に前記挿入側端面を有すると共に、他端側に前記段付受部を有し、前記第2の貫通路が前記第1の貫通路の途中から分岐して前記第1の貫通路と異なる端面に開口し開口側に前記段付受部を有する。本発明に係るマンホールのもう一つの態様において、前記ソケットの前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっている。前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有する。前記通孔は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられている。」
の記載を、
「【0007】【課題を解決するための手段】上述した課題解決のため、本考案に係るマンホールは、マンホール本体と、ソケットとを含む。前記マンホール本体は、直壁及び底塊を有し、前記直壁及び底塊が予め設けられた孔を有する。前記ソケットは、通孔と、本体部とを有し、前記孔に挿入して取付けられている。前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっている。前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有する。更に、前記直壁の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、第1の貫通路と、第2の貫通路とを含み、前記第1の貫通路が前記本体部を直線状に貫通し一端側に前記挿入側端面を有すると共に、他端側に前記段付受部を有し、前記第2の貫通路が前記第1の貫通路の途中から分岐して前記第1の貫通路と異なる端面に開口し開口側に前記段付受部を有する。前記底塊の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられている。」
と訂正する。

3.当審の判断
(1)平成6年改正前の実用新案法第39条第1項ただし書の訂正要件(新規事項の有無及び訂正の目的の適否)について
上記訂正事項a及び訂正事項bに係る訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。
そして、訂正事項aに係る訂正は、旧請求項2を削除するとともに、旧請求項3を新請求項2に繰り上げ、旧請求項1の「前記通孔」を新請求項1に記載の「前記直壁の孔に挿入された前記ソケットの通孔」に限定的に減縮し、さらには、旧請求項2に係る考案の構成の一部を旧請求項1に繰り入れることにより旧請求項1に係る考案の構成を限定的に減縮しているから、訂正事項aに係る訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、訂正事項bに係る訂正は、訂正事項aに係る訂正に伴い、明細書の実用新案登録請求の範囲と考案の詳細な説明とが明りようでないものとなった記載を整合させるための、明りようでない記載の釈明を目的とする訂正である。
(2)同実用新案法第39条第2項の訂正要件(実質拡張・変更の存否)について
上記訂正事項a及び訂正事項bに係る訂正は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)同実用新案法第39条第3項の訂正要件(独立実用新案登録要件)について
本件実用新案登録第2588433号に係る実用新案登録出願〔実願平4-89723号〕に対する原審での審査過程において提示され、本件実用新案登録出願前に頒布された引用刊行物と対比し、検討する。
(3-1)本件訂正考案
訂正明細書の請求項1及び請求項2に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたとおりのものである(以下、請求項の順に「本件訂正考案1」及び「本件訂正考案2」という。)。
(3-2)引用刊行物及び引用刊行物に記載の考案
(a)引用刊行物1〔実願昭58-83771号(実開昭59-188580号)のマイクロフィルム〕には、落差型マンホールに関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「下水の流入位置と流出位置に大なるレベルの差があるマンホールに於て、流入管1の挿入される長ソケット4の内腔13の中間筒3に接する内端を着脱自在の閉鎖蓋14で閉鎖し内腔13に続いて長ソケット4に下方開口15を穿設し、流路8と受け部7を備えた底部筒5に流出管2を接続し、長ソケット4の下方開口15と底部筒5の受け部7を流下管6で接続して成る落差型マンホール。」(明細書1ページ4?12行)
「第1図に従いその構造を説明すると、1は流入管、2は流出管、3は長ソケット4を備えたマンホールの中間筒、5は流下管6の受け部7と流路8を備えたマンホールの底部筒、9は中間筒3と底部筒5の間に介置された調節筒、10は中間筒に附設された蓋体、12は足場を示している。
中間筒3の長ソケット4は勿論内腔13を有し、中間筒3への出口には開口を閉鎖する閉鎖蓋14が着脱自在に附設され、且つ、長ソケット4には下方開口15が穿設されている。また図中16は流入管1内端部に施された目地部を示している。
流入管1は長ソケット4に挿入され、流出管2は底部筒5の流路8末端に接続されている。更に、長ソケット4の下方開口15と底部筒5の受け部7を流下管6により接続する事によって、流入管1を流路8に接続する。
各接続部分には必要且つ十分な防水加工を施す。
以上の如く設置した本案品によると、流量の多少にかかわらずすべての下水は図中矢印の如く、「流入管1」-[長ソケット4の内腔13」-「下方開口15」-「流下管6」-「受け部7」-「流路8」-「流出管2」の順序で流れるため、マンホールの内壁がぬれたり、ハネが上がったり或いは浸蝕されたりする恐れがない。また、長ソケット4の下方開口15に流下管6を接続するのであるから、流下管6の径が流入管1の径により制約を受ける事はなく、十分径の大な流下管6を使用できるので、すべての流入下水を完全に通過させる事ができると共に、現場打ちコンクリートによる第2図の補強Gも必要なくなり、そのため施工時間を大幅に短縮する事もできる。
尚、閉鎖蓋14は流入管1の点検並にその内部清掃の際に必要な開口部を得るために附設されている。
以上の如く本案によると、内部が常に望ましい状態に乾燥した落差型マンホールを得る事ができ、加えて現場に於る施工作業時間を大幅に短縮できる効果がある。」(明細書3ページ18行?6ページ1行)
そうすると、上記引用刊行物1の摘記事項及び第1図の記載からみて、引用刊行物1には、「上から順に蓋体11が附設された上部筒10、中間筒3、調節筒9及び流路8と受け部7を一体に備えた底部筒5のマンホール積層体から構成され、流入管1が長ソケット4を介して中間筒3の開口部に接続される下水の流入位置と流出管2が底部筒5の流路8末端に接続される下水の流出位置とに大なるレベルの差があるマンホールにおいて、前記長ソケット4は内腔13と筒体とで構成され、中間筒3の開口部に長ソケット4の内端が接続されるとともに、該長ソケット4の外端に形成された段付受部に前記流入管1が接続され、前記長ソケット4の内端と外端との間に長ソケット4の内腔13に続く下方開口15が穿設され、段付受部が形成された長ソケット4の前記下方開口15と底部筒5の前記受け部7の開口部とを流下管6で接続して成る落差型マンホール」の考案(以下、「引用考案1」という。)の記載が認められる。
(b)引用刊行物2〔実願平3-34526号(実開平4-130337号)のマイクロフィルム〕には、管端整形リングに関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0004】【課題を解決するための手段】このため、この考案においては、管端整形リングの構成を、合成樹脂材料またはエラストマー材料により、一端面に管端面と嵌合する受口部を、また他端面にマンホール内径面に等しい曲率を有する内向きフランジ部をそれぞれ備えると共に、その外周面を粗面に形成することにより、前記目的を達成するようにしたものである。
【0005】【作用】以上のような構成の整形リングを管端に装着し、前記フランジ部をマンホール内径円弧に整合させた状態で配管をモルタール等を用いてマンホールに固着することにより、後工程を要することなく目的を達成することができ、管口の補強効果をも有する。
【0006】【実施例】以下に、この考案を実施例に基づいて説明する。図1に、この考案に係る管端整形リングの一実施例を用いたマンホール接続部の破断断面図、図2(a),(b)に、その管端整形リングの断面図及び平面図を示す。
(構成)1は半径Rの内径を有するコンクリート製マンホール、2は、その壁面に穿設された穴1a中に挿入された垂直管端を有する下水管、4は、一端面にこの配管の垂直な管端部を受口部4aに挿入して接着するための緩いテーパ面を有し、反対端面は、曲率半径Rを有する内向きフランジ面4bを有する管端整形リングで、その外周面は例えば砂吹き面等、細かい凹凸を有する粗面4cに形成された合成樹脂またはエラストマー材料製である。3は、配管2及びこの整形リング4の各外周面と穴1aとのすきまを充填して固定するためのモルタールまたは接着剤である。
【0007】このため、管端部はこの整形リング4によりマンホール1の内径面と整合し、後加工等が不要である。またその外周面4cは粗面のためモルタール3等が密着し、また管端部の受口4aは適当なテーパの存在によって止水性が高められ、また管端部の補強効果をも有する。」
(c)引用刊行物3〔特開昭62-25621号公報〕には、可撓性耐震ジョイントに関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「図面において10は本発明耐震ジョイントでゴム、合成樹脂等比較的硬質の弾性材で、ほぼ円管状に構成する。11はマンホール等への取付部、12は張出し(片持)梁としてマンホール等より突出するように形成した突出部、13はヒューム管等を挿し込む受口である。受口内奥はマンホール取付口壁面外周と少くとも同一、もしくはそれより外側に位置するように設ける。」(2ページ右上欄8?15行)
「14は止水パッキングの嵌着溝、15はU溝でジョイントにかかる過重負荷を吸収緩和する作用をもつ。16は本体外周面に環設した突条で、マンホールの取付口からの水洩れ防止と密着性を図る作用をする。17はジョイントとこれに接続したコンクリート管を結束する高張力バンド、18は取付部外周に張出したつばで、マンホール等取付口内壁周面に密着するように整形され取付施工を容易にし併せて水洩れ防止作用を果す。桝構造体に応じて適宜附設し第3図、第4図のようにつばなしのジョイン体とすることもある。第5図?第7図の施工例において20はヒューム管とマンホールの間隙を充填するモルタルである。充填剤は接着剤その他の充填剤でもよい。
尚21はマンホール、22はヒューム管、23はマンホール取付口、25は基礎を示す。
本発明は叙上のようにその構造は(1)全体として円管状の可撓体であること、(2)マンホール等に取付けた際取付口より突出する突出部を有していること、(3)マンホール等とヒューム管等をつなぐフレキシブルな継手体として機能し、ヒューム管の挿口内奥はマンホール取付口壁面と同一もしくはこれより外側に位置して接続されていること。
以上の3点を構成する可撓性耐震ジョイントである点に特長がある。」(2ページ左下欄2行?2ページ右下欄8行)

(3-3)対比・判断
(a)本件訂正考案1について
(ア)対比及び一致点・相違点
本件訂正考案1と引用考案1とを対比すると、引用考案1の「マンホール積層体」「中間筒3」「流路8と受け部7を備えた底部筒5」「開口部」「長ソケット4」「内腔13」「筒体」「内端」「外端」「段付受部」「内腔13」「下方開口15」及び「落差型マンホール」は、それぞれ、本件訂正考案1の「マンホール本体」「直壁」「底塊」「予め設けられた孔」「前記直壁の孔に挿入された前記ソケット」「通孔」「本体部」「一端側」「他端側」「内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部」「第1の貫通路」「第2の貫通路」及び「マンホール」に対応する。
そうすると、引用考案1と本件訂正考案1の両者は、「マンホール本体と、ソケットとを含むマンホールであって、前記マンホール本体は、直壁及び底塊を有し、前記直壁及び底塊が予め設けられた孔を有し、前記ソケットは、通孔と、本体部とを有し、前記孔に挿入して取付けられており、前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有しており、更に、前記直壁の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、第1の貫通路と、第2の貫通路とを含み、前記第1の貫通路が前記本体部を直線状に貫通すると共に、他端側に前記段付受部を有し、前記第2の貫通路が前記第1の貫通路の途中から分岐して前記第1の貫通路と異なる端面に開口し開口側に前記段付受部を有するマンホール」である点で一致し、次の点で相違している。
相違点1:本件訂正考案1が「前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっており、」としているのに対し、引用考案1は、長ソケット4の筒体の内端側の端面形状が不明である点。
相違点2:本件訂正考案1のマンホールが「前記底塊の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられている」のに対し、引用考案1のマンホールは、通孔がほぼ直交する2面に開口するように設けられているソケットが底塊の孔に挿入されていない点。
(イ)相違点1の検討
引用刊行物2をみると、引用刊行物2には、「管端整形リングの構成を、………他端面にマンホール内径面に等しい曲率を有する内向きフランジ部をそれぞれ備える」「1は半径Rの内径を有するコンクリート製マンホール、………反対端面は、曲率半径Rを有する内向きフランジ面4bを有する管端整形リング」及び「管端部はこの整形リング4によりマンホール1の内径面と整合し、後加工等が不要である。」が記載され、また、引用刊行物3にも、「13はヒューム管等を挿し込む受口である。受口内奥はマンホール取付口壁面外周と少くとも同一、もしくはそれより外側に位置するように設ける。」及び「(3)マンホール等とヒューム管等をつなぐフレキシブルな継手体として機能し、ヒューム管の挿口内奥はマンホール取付口壁面と同一もしくはこれより外側に位置して接続されていること。」が記載されていて、マンホールに用いられる管端整形リング或いはジョイントなどのソケットの内端側の端面形状をマンホールの内周曲率に適合する曲面にしておくことは、本願の実用新案登録出願時の周知技術である。
そうしてみると、引用考案1の長ソケット4に上記周知技術を適用して、本件訂正考案1の上記相違点1に係る前記「前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっており、」の構成を得ることは、当業者が容易に想到できることである。
(ウ)相違点2の検討
本件訂正考案1の相違点2に係る構成の「前記底塊の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられている」点については、引用刊行物1ないし引用刊行物3のいずれにも何ら記載がなく、それを示唆する記載もない。
そして、本件訂正考案1は、上記相違点2に係る構成によって、訂正明細書に記載の「また、通孔2は本体部1を貫通し、一端側が本体部の挿入側端面11に開口し、他端側に流入管6を接続するための段付受部12を有するから、マンホールの孔にソケット4を取付けた状態で、流入管6を段付受部12に接続できる。段付受部12の深さは、直壁31の厚み左右されることなく、ソケット4自体によって定めることができる。このため、直壁31の厚み増大、それによるコストアップ、作業の困難化等を招くことなく、流入配管6の機械的接続強度を増大させることができる。ソケット5においても同様である。」(段落【0020】)及び「………ソケット5の通孔2は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられているから、連結管10を充分な機械的接続強度をもって接続できる。」(段落【0021】)という格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。
(エ)まとめ
したがって、本件訂正考案1は、実用新案法第3条第2項の規定により、引用刊行物1、引用刊行物2及び引用刊行物3にそれぞれ記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない。

(b)本件訂正考案2について
本件訂正考案2は、請求項1を引用する形式で記載されていることからみて、本件訂正考案1の下位概念の考案であって、本件訂正考案2が、本件訂正考案1の構成を具備することは明らかである。
そして、上記「(エ)まとめ」において前述したとおり、本件訂正考案1が「実用新案法第3条第2項の規定により、引用刊行物1、引用刊行物2及び引用刊行物3にそれぞれ記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない」ものである以上、本件訂正考案1の下位概念の考案である本件訂正考案2についても、同様に、実用新案法第3条第2項の規定により、引用刊行物1、引用刊行物2及び引用刊行物3にそれぞれ記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない。

(c)まとめ
以上のとおりであり、また、本件訂正考案1及び本件訂正考案2について、他に独立して実用新案登録を受けることができないとする理由もないから、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものと認める。

4.むすび
以上のとおり、本件審判請求による訂正は、平成6年改正前の実用新案法第39条第1項ただし書に規定する訂正要件(新規事項の有無)を満たし、また、同条第1項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項をその訂正の目的とし、そして、同条第2項に規定する訂正要件(実質拡張・変更の存否)に適合し、さらに、同条第3項に規定する訂正要件(独立実用新案登録要件)に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
マンホール
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 マンホール本体と、ソケットとを含むマンホールであって、
前記マンホール本体は、直壁及び底塊を有し、前記直壁及び底塊が予め設けられた孔を有し、
前記ソケットは、通孔と、本体部とを有し、前記孔に挿入して取付けられており、
前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっており、
前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有しており、
更に、前記直壁の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、第1の貫通路と、第2の貫通路とを含み、前記第1の貫通路が前記本体部を直線状に貫通し一端側に前記挿入側端面を有すると共に、他端側に前記段付受部を有し、前記第2の貫通路が前記第1の貫通路の途中から分岐して前記第1の貫通路と異なる端面に開口し開口側に前記段付受部を有し、
前記底塊の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられている
マンホール。
【請求項2】 請求項1に記載されたマンホールであって、
連結管を含み、前記連結管が前記直壁の孔に取付けられたソケットと、前記底塊の孔に取付けられたソケットとを連結する
マンホール。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、マンホールに関する。
【0002】
【従来の技術】
汚水流入管をマンホール本体に接続する場合、直壁または底塊に予め孔を設けておき、この孔内に流入管の一端を挿入し、モルタルや他の接着剤を用いて固定するのが一般的である。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような流入管接続構造では、充分に大きな流入管接続強度を確保することができない。埋め戻し後の土圧や地震等の衝撃によって、流入間接続部分に亀裂が入ったり、破損したりする恐れがあった。
【0004】
また、流入管を直壁や底塊に取付ける場合、流入管の先端位置によって、接続部分の機械的強度の変動、流動障害またはマンホール内部の空間容積の変動等を招き易い。例えば、流入管の先端位置が直壁の内周面から突き出た場合、マンホール内部の容積が実質的に縮小され、マンホール内に入った作業員の行動障害を招く。逆に、流入管の先端位置が直壁の内周面よりも後退した場合、孔の内周面が部分的に露出し、流動障害を生じたり、直壁と流入管との間の接続面積が不足し、機械的接続強度が低下する。
【0005】
直壁や底塊の厚みを増大させれば、上述した問題点はある程度は解決できる。しかし、この場合には、直壁や底塊の厚み増大による重量増大及びコストアップを招く。
【0006】
そこで、本考案の課題は、上述する従来の問題点を解決し、直壁や底塊の厚みを増大させることなく、管の機械的接続強度を増大でき、しかもマンホール内容積減縮を生じることのないソケットを有するマンホールを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題解決のため、本考案に係るマンホールは、マンホール本体と、ソケットとを含む。前記マンホール本体は、直壁及び底塊を有し、前記直壁及び底塊が予め設けられた孔を有する。
前記ソケットは、通孔と、本体部とを有し、前記孔に挿入して取付けられている。前記本体部は、挿入側端面が前記直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっている。
前記通孔は、前記本体部を貫通し、一端側が前記本体部の前記挿入側端面に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部を有する。
更に、前記直壁の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、第1の貫通路と、第2の貫通路とを含み、前記第1の貫通路が前記本体部を直線状に貫通し一端側に前記挿入側端面を有すると共に、他端側に前記段付受部を有し、前記第2の貫通路が前記第1の貫通路の途中から分岐して前記第1の貫通路と異なる端面に開口し開口側に前記段付受部を有する。
前記底塊の孔に挿入された前記ソケットの通孔は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられている。
【0008】
【作用】
本体部は、挿入側端面が直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっているから、マンホールの直壁または底塊に予め設けられた孔に挿入して取付けた場合、ソケットの挿入側端面が直壁または底塊の内周面と、ほぼ同一の曲面を構成するように取付けることができる。このため、ソケットの先端面がマンホール内で作業障害となることがない。しかも、ソケットの挿入端側が、隙間を生じることなく、確実に孔内に挿入されるので、機械的接続強度が向上し、埋め戻し後の土圧や地震衝撃にも、充分に耐えることができるようになる。
【0009】
通孔は本体部を貫通し、一端側が本体部の挿入側端面に開口し、他端側に管接続用の段付受部を有するから、マンホールの孔に取付けた状態で、流入管を段付受部に接続できる。このため、段付受部の深さは、直壁や底塊の厚み左右されることなく、ソケット自体によって定めることができる。このため、直壁や底塊の厚み増大、それによるコストアップ、作業の困難化等を招くことなく、流入配管接続の機械的強度を増大させることができる。
【0010】
【実施例】
図1は本考案に係るマンホールに用いられるソケットの平面図、図2は図1のA2-A2線上における断面図である。図において、1は本体部、2は通孔である。このソケットは、後で説明するように、予め孔を設けた直壁または底塊の、孔に挿入して取付けられる。
【0011】
本体部1は挿入側端面11がマンホー直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっている。本体部1は、直壁及び底塊と同一の材料または異なる材料によって構成できる。
【0012】
通孔2は、本体部1を貫通し、一端側が本体部1の挿入側端面11に開口し、他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部12、13を有する。図示の通孔2は、第1の貫通路21と、第2の貫通路22とを含んでいる。第1の貫通路21は本体部1を直線状に貫通し、一端側に挿入側端面11を有すると共に、他端側に段付受部12を有する。第2の貫通路22は第1の貫通路21の途中から分岐して第1の貫通路21と異なる端面14に開口し、開口側に段付受部13を有する。
【0013】
図3は本考案に係るマンホールに用いられるソケットの別の実施例を示す平面図、図4は図3のA4-A4線上における断面図である。通孔2は、ほぼ直交する方向にある2端面15及び16に開口するように設けられている。通孔2は一端側が本体部1の挿入側端面15に開口し、端面16のある他端側に内周を繰広げて形成した管接続用の段付受部12を有する。挿入側端面15はマンホールの直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっている。
【0014】
図5は本考案に係るマンホールの正面部分断面図である。3はマンホール本体、4は図1及び図2に示してソケット、5は図3及び図4に示したソケットである。6は汚水流入管、7は汚水流出管である。マンホール本体3は直壁31、底塊32及び斜壁35等を有する。マンホール本体3の構成は図示に限らず、これまで提案され、またはこれから提案されることのある型式の何れであってもよい。直壁31及び底塊32は予め設けられた孔33、34を有する。直壁31及び底塊32は、通常、コンクリートによって構成されている。36は昇降用足場、37は蓋、38は底板、39は栗石である。
【0015】
ソケット4は、直壁31に設けられた孔33に挿入して取付けられている。図6にソケット4の具体的な取付構造を拡大して示してある。ソケット4は、マンホール本体3の直壁31に設けられた孔33に挿入して取付けられる。両者4、33の間は接着剤8によって接合する。ソケット4の段付受部12には汚水流入管6が挿入される。汚水流入管6は接着剤9等によってソケット4の内部に接合する。
【0016】
ソケット5は底塊32に設けられた孔34に挿入して設けられている。底塊32に対するソケット5の取付は図6で説明したのと同様に実行される。
【0017】
ソケット4とソケット5との間には連結管10が接続されている。連結管10は、図6に拡大して示すように、その一端がソケット4の段付受部13に挿入され、接着剤9によって固定されている。連結管10は他端がソケット5に形成された管接続用段付受部12に接続され、接着剤9によって固定される。
【0018】
上記構造のマンホールは、汚水流入管6を通って流入する汚水量が少ない場合は、汚水が連結管10を通ってソケット5を通過し、底塊32の内部に流れ込み、汚水流出管7を通って外部に排出される。汚水量が多いと、ソケット4を通ってマンホール本体3内に入る溢流流路をとる。
【0019】
ここで、ソケット4の本体部1は、挿入側端面11が直壁31の内周曲率に適合する曲面となっているから、直壁31の孔33に挿入して取付けた場合、ソケット4の挿入側端面11が直壁31の内周面と、ほぼ同一の曲面を構成するように取付けられる。このため、ソケット4の先端面11がマンホール内で作業障害となることがない。しかも、ソケット4の挿入端側が、隙間を生じることなく、孔33内に確実に挿入されるので、機械的接続強度が向上し、埋め戻し後の土圧や地震衝撃にも、充分に耐えることができるようになる。ソケット5においても、同様の作用効果を奏する。
【0020】
また、通孔2は本体部1を貫通し、一端側が本体部の挿入側端面11に開口し、他端側に流入管6を接続するための段付受部12を有するから、マンホールの孔にソケット4を取付けた状態で、流入管6を段付受部12に接続できる。段付受部12の深さは、直壁31の厚み左右されることなく、ソケット4自体によって定めることができる。このため、直壁31の厚み増大、それによるコストアップ、作業の困難化等を招くことなく、流入配管6の機械的接続強度を増大させることができる。ソケット5においても同様である。
【0021】
実施例において、ソケット4の通孔2は、第1の貫通路21と、第2の貫通路22とを含み、第1の貫通路21が本体部1を直線状に貫通し一端側に挿入側端面11を有すると共に、他端側に段付受部12を有し、第2の貫通路22が第1の貫通路21の途中から分岐して第1の貫通路21と異なる端面に開口し開口側に段付受部13を有するから、副管路構成に必要な連結管10を、簡単、かつ、確実に接続できる。ソケット5の通孔2は、ほぼ直交する2面に開口するように設けられているから、連結管10を充分な機械的接続強度をもって接続できる。
【0022】
【考案の効果】
以上述べたように、本考案によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)本体部は、挿入側端面が直壁または底塊の内周曲率に適合する曲面となっているから、ソケットの先端面がマンホール内における作業の障害となることがない。
(b)ソケットの挿入端側が、隙間を生じることなく、確実に孔内に挿入されるので、機械的接続強度が向上し、埋め戻し後の土圧や地震衝撃にも、充分に耐えることができる。
(c)通孔は本体部を貫通し、一端側が本体部の挿入側端面に開口し、他端側に管接続用の段付受部を有するから、直壁や底塊の厚み増大、それによるコストアップ、作業の困難化等を招くことなく、流入配管接続の機械的強度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案に係るマンホールに用いられるソケットの平面図である。
【図2】
図1のA2-A2線上における断面図である。
【図3】
本考案に係るマンホールに用いられるソケットの別の実施例を示す平面図である。
【図4】
図3のA4-A4線上における断面図である。
【図5】
本考案に係るマンホールの正面部分断面図である。
【図6】
マンホールに対するソケットの具体的な取付構造を拡大して示す図である。
【符号の説明】
1 本体部
2 通孔
11 挿入側端面
12 段付受部
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2004-07-01 
出願番号 実願平4-89723 
審決分類 U 1 41・ 853- Y (E03F)
U 1 41・ 851- Y (E03F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤原 伸二  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 佐藤 昭喜
新井 夕起子
登録日 1998-10-30 
登録番号 実用新案登録第2588433号(U2588433) 
考案の名称 マンホール  
代理人 阿部 美次郎  
代理人 阿部 美次郎  
代理人 武井 義一  
代理人 武井 義一  
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