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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認めない。無効とする(申立て全部成立) B65G
管理番号 1113062
審判番号 無効2004-35058  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2005-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-01-30 
確定日 2005-02-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第2536049号実用新案「片支持コンベヤ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2536049号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1.手続の経緯
(1)本件実用新案登録第2536049号に係わる考案についての出願は、平成2年2月27日に出願され、平成5年4月7日付けで補正がなされたのち、平成5年7月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成5年8月16日付けで補正がなされ、平成9年2月21日に実用新案権の設定登録がなされた。
(2)請求人マルヤス機械株式会社は、平成16年1月30日付けで本件実用新案登録第2536049号に係わる考案の実用新案登録の無効の審判を請求した。被請求人株式会社テムスに対し、平成16年2月20日付けで請求書副本の送達通知が行われ、請求人の提出した審判請求書副本が送達されたが、被請求人は答弁書及び訂正請求書の提出を行わなかった。
(3)平成16年6月17日付けで(発送日平成16年6月22日)、被請求人に対し職権により無効の理由が通知され、また、同日付けで請求人に職権審理結果が通知された。被請求人は、その指定期間内である平成16年7月22日付けで意見書及び訂正請求書を提出した。
(4)この訂正請求に対して、平成16年9月9日付けで(発送日平成16年9月13日)、被請求人に対し職権により訂正拒絶理由が通知され、また、同日付けで請求人に職権審理結果が通知された。被請求人は、その指定期間内である平成16年10月13日付けで意見書及び手続補正書を提出した。

第2.請求人の主張の概要
請求人は、「登録第2536049号実用新案の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、以下のように主張している。
証拠方法として、甲第1号証(特開昭62-196211号公報)、甲第2号証(実願昭61-188522号(実開昭63-93321公報)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実願昭62-132078号(実開昭64-36315公報)のマイクロフィルム)、甲第4号証(実願昭62-187561号(実開平1-90712公報)のマイクロフィルム)、甲第5号証(実願昭63-69700号(実開平1-172513公報)のマイクロフィルム)、甲第6号証(塩見弘平著「ローラ・チエンコンベアの設計」1974年9月10日株式会社工業調査会発行、50から53頁)、甲第7号証(実願昭48-98589号(実開昭50-45868公報)のマイクロフィルム)を提出し、本件実用新案登録第2536049号に係わる考案は、その出願前に頒布された刊行物である甲1号証ないし甲第7号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、旧実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、同法第37条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
なお、請求人は、平成5年8月16日付けの手続補正書における実用新案登録請求の範囲の請求項1の「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成は要旨変更であると主張するも、出願日の認定については何ら主張していない。

この審判請求書の副本送達後の最初の答弁としては、被請求人は、答弁及び訂正請求は行わなかった。

第3.職権で通知した無効理由及び訂正拒絶理由と、被請求人の主張概要
1.職権で通知した無効理由
平成16年6月17日付けで職権で被請求人に通知した無効の理由の概要は以下の(1)ないし(3)のとおりである。(以下、これを「無効理由」という。)

(1)出願日の認定と本件考案
平成5年8月16日付けの補正における実用新案登録請求の範囲の請求項1の「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成は、本件実用新案登録第2536049号に係わる考案についての出願当初明細書又は図面に記載されておらず、また、同明細書又は図面からみて自明とも認められない。
したがって、平成5年改正前の実用新案法第9条により準用される平成5年改正前の特許法第40条の規定に基づき、平成5年8月16日付けの補正が、明細書の要旨を変更するものと実用新案権の設定登録があった後に認められたので、本件実用新案登録第2536049号に係わる考案についての出願は、平成5年8月16日にしたものとみなす。
そして、本件実用新案登録第2536049号に係わる考案は、平成5年8月16日付けの補正における実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。(以下、「本件考案」という。)

(2)証拠方法
ア.実願平2-19160号(実開平3-110010号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)
イ.実願昭57-148194号(実開昭59-54412号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)

(3)無効の理由
本件考案は、その出願前日本国内または外国において頒布された前記刊行物1、2に基づいて、その出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、平成5年改正前の実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、同法第37条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。

2.前記無効の理由に対する被請求人の主張概要と訂正請求
(1)平成16年7月22日付け訂正請求
被請求人が求めている平成16年7月22日付け訂正請求は、「実用新案登録第2536049号の明細書及び図面を請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおりに訂正することを求めます。」というもので、その訂正請求の内容は、訂正請求書においては、以下のア.ないしシ.のとおりであり、訂正明細書又は図面においては、以下のス.のとおりである。(以下、これを「本件訂正請求」という。)

ア.訂正事項a
本件実用新案登録時の明細書(「本件実用新案登録時の明細書」とは、平成5年8月16日付けで補正された明細書をさし、以下、「登録明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲の記載である「(1)中空の角柱鋼材からなるL字型脚柱部材と、前記L字型脚柱部材の垂直部の上部に前記L字型脚柱部材の水平部材側に前記水平部と平行に立設された主フレーム固定部と、一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、前記主フレームの他端部に上方向に回動自在に軸着され端部に従動ローラが軸着された補助フレームと、前記L字型脚柱部材の前記主フレームの下側に前記水平部側に前記主フレーム固定部と平行に固定されたローラ取付部材と、前記ローラ取付部材に軸架された受けローラと、前記水平部間に架設固定された水平部補強部材と、前記水平部と前記垂直部に装設された垂直部補強部材と、前記水平部の下面に装設された上下動自在な足部及び/又はキャスタと、を備えていることを特徴とする片支持コンベヤ。」を、
「【請求項1】中空の角柱鋼材からなるL字型脚柱部材と、前記L字型脚柱部材の垂直部の上部に前記L字型脚柱部材の水平部材側に前記水平部と平行に立設された主フレーム固定部と、一端部に駆動ローラが軸架され横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ前記主フレーム固定部に片持ち支持された主フレームと、前記主フレームの他端部に上方向に回動自在に軸着され端部に従動ローラが軸着された補助フレームと、前記L字型脚柱部材の前記主フレームの下側に前記水平部側に前記主フレーム固定部と平行に固定されたローラ取付部材と、前記ローラ取付部材に軸架された受けローラと、前記水平部間に架設固定された水平部補強部材と、前記水平部と前記垂直部に装設された垂直部補強部材と、前記水平部の下面に装設された上下動自在な足部及び/又はキャスタと、を備えていることを特徴とする片支持コンベヤ。」と訂正する。

イ.訂正事項b
登録明細書の5頁20行ないし6頁2行(実用新案登録公報2頁4列7、8行)「一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、」を「一端部に駆動ローラが軸架され横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ前記主フレーム固定部に片持ち支持された主フレームと、」と訂正する。

ウ.訂正事項c
登録明細書の5頁10行(実用新案登録公報2頁3列48行)「主フレームや」を削除する。

エ.訂正事項d
登録明細書の6頁18行ないし20行(実用新案登録公報2頁4列22ないし24行)「主フレームはL字型脚柱部材に脱着自在に挿設されているのでフレーム毎脚柱部材から外すことができる。」を削除する。

オ.訂正事項e
登録明細書の6頁20行(実用新案登録公報2頁4列24、25行)「主フレーム及び」を削除する。

カ.訂正事項f
登録明細書の8頁9行ないし10行(実用新案登録公報2頁4列50行)「挿脱自在に」を削除する。

キ.訂正事項g
登録明細書の10頁3行ないし6行(実用新案登録公報3頁5列28ないし31行)「主フレーム固定部41は垂直部19の正面壁の穿孔部にシャフトを嵌挿し背面壁の当接面と嵌挿部の背部を熔接固定され立設されている。」を削除する。

ク.訂正事項h
登録明細書の10頁16行(実用新案登録公報3頁5列40行)「挿脱自在に」を削除する。

ケ.訂正事項i
登録明細書の13頁11行ないし17行(実用新案登録公報3頁6列37ないし42行)「また、主フレーム2とL字型脚柱部材4との間や受けローラ7とローラ取り付け部材21との間の洗浄を行うときは主フレーム2を主フレーム固定部材41から外すことによりまた、受けローラ7をローラ取り付け部材21から外すことにより隅々まで容易に洗浄を行うことができる。」を削除する。

コ.訂正事項j
登録明細書の14頁17行ないし18行(実用新案登録公報4頁7列10、11行)「や主フレーム、L字型脚柱部材」を削除する。

サ.訂正事項k
本件実用新案登録時の第1図を、訂正請求書に添付の第1図のとおりに訂正する。

シ.訂正事項l
本件実用新案登録時の第3図を、訂正請求書に添付の第3図のとおりに訂正する。

ス.訂正明細書又は図面は、訂正請求書における前記訂正事項aないしe、前記訂正事項gないしlのとおりに訂正されているが、前記訂正事項fについては訂正明細書において訂正されていない。

(2)前記訂正請求の訂正要件についての被請求人の主張の概要
前記訂正事項aが、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと主張し、また、前記訂正事項bないしlは、前記訂正事項aに伴って考案の詳細な説明の記載との整合を図るための明りょうでない記載の釈明を目的とするものと主張している。

(3)前記無効の理由に対する被請求人の主張の概要
被請求人は、「前記のように、本件訂正は、登録明細書及び登録図面の当該要旨変更部分を要旨変更とならないようにしたものであり、」(平成16年7月22日付け意見書の22頁)と主張し、本件訂正請求は、本件実用新案登録時の明細書及び図面を要旨変更とならないようにしたものであり、かつ、訂正要件に適合したものであるから、本件実用新案登録第2536049号に係わる考案は、現実の出願日である平成2年2月27日に出願されたものであるから、前記刊行物1は、出願前日本国内または外国において頒布された刊行物とはいえないと主張している。

3.訂正拒絶理由通知
平成16年7月22日に被請求人が行った、願書に添付した明細書又は図面の訂正の請求に対して、被請求人に通知した訂正拒絶理由の概要は次のとおりである。

前記訂正事項aは、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の記載の「一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、」を、「一端部に駆動ローラが軸架され横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ前記主フレーム固定部に片持ち支持された主フレームと、」と訂正するものであり、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の記載の「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成要件は、訂正請求書の実用新案登録請求の範囲の何れの記載にも記載されていない。
そして、「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成要件により、登録明細書の「主フレームはL字型脚柱部材に脱着自在に挿設されているのでフレーム毎脚柱部材から外すことができる。」、同「また、主フレーム2とL字型脚柱部材4との間や受けローラ7とローラ取り付け部材21との間の洗浄を行うときは主フレーム2を主フレーム固定部材41から外すことによりまた、受けローラ7をローラ取り付け部材21から外すことにより隅々まで容易に洗浄を行うことができる。」なる作用効果を生じるものである。
よって、訂正事項aは、構成要件の一部を削除するものであり、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当しない。
また、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の記載の「一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、」なる記載は、それ自体の意味は明らかであり、また、それ自体の記載内容が、その他の明細書の記載との関係において不備を生じさせているとも認められない。さらに、前記訂正事項aは誤記の訂正とも認められない。
したがって、前記訂正事項aは、実用新案登録請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明の何れにも該当しない。
また、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の記載の「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成要件は、訂正請求書の実用新案登録請求の範囲の何れの記載にも記載されていないことから、前記訂正事項aは、実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものである。
前記訂正事項aの訂正が認められない以上、前記訂正事項bないしlは、前記訂正事項aに伴って考案の詳細な説明の記載との整合を図るための明りょうでない記載の釈明とは認められない。
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、平成5年改正前の実用新案法第40条の2第1項ただし書、及び同第40条の2第5項において準用する、同第39条第4項(平成15年法律第47号附則第12条の読替え表「第39条から第41条まで」の欄を参照。)の規定に適合しないから、当該訂正は認められない。

4.前記訂正拒絶理由通知に対する被請求人の主張概要と手続補正
(1)平成16年10月13日付け手続補正書
平成16年10月13日付け手続補正書は、平成16年7月22日付け訂正明細書を次のように補正するものである。
訂正明細書第4ページ第9行「を挿脱自在に支持する」を「を支持する」と補正する。(訂正明細書第4ページ第9行の「を挿脱自在に支持する」とは、登録明細書の8頁9行ないし10行、又は実用新案登録公報2頁4列50行から3頁5列1行の「を挿脱自在に支持する」を指している。)
そして、これ以外に訂正明細書又は図面の補正、若しくは訂正明細書又は図面に関する新たな訂正事項はない。
さらに、平成16年10月13日付け手続補正書は、平成16年7月22日付け訂正請求書において、訂正の目的に関し、「明瞭でない記載の釈明」を、「実用新案請求の範囲の減縮」又は「実用新案請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明」と補正するものである。

(2)前記訂正拒絶理由通知に対する被請求人の主張概要
被請求人は、前記訂正拒絶理由通知に対し、概要として次のア.ないしエ.のように主張している。

ア.前記訂正事項aが、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としていると主張し、
『訂正事項aは、訂正前の実用新案登録請求の範囲の記載である「一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、」を、「一端部に駆動ローラが軸架され横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ前記主フレーム固定部に片持ち支持された主フレームと、」と訂正するものであり、文言的には、訂正前の実用新案登録請求の範囲の構成要件の一部である「(前記主フレーム固定部に)挿脱自在に挿着された(主フレーム)」なる構成を削除しています。
しかしながら、訂正事項aは、訂正前の実用新案登録請求の範囲に記載された「(前記主フレーム固定部に)挿脱自在に挿着された(主フレーム)」という機能的な構成を、「横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ(前記主フレーム固定部に)片持ち支持された(主フレーム)」という構成として、直接的かつ一義的に導き出せる事項で明確にするとともに減縮したものです。
即ち、垂直部に取付けられた主フレーム固定部に主フレームが「挿脱自在に挿着された」ということは、実用新案登録時の第3図から明らかなように、主フレームは、垂直部とは反対側の主フレーム固定部の先端側から挿入され、必然的に、主フレーム固定部に「片持ち支持された」ことになります。主フレーム固定部は、先端が開放され、基部が垂直部に取付けられているため、主フレームは先端側からしか挿脱できず、この結果、主フレーム固定部に片持ち支持されるからです。
よって、「主フレーム固定部に片持ち支持された」という考案特定事項は、訂正前の「主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」という構成から直接的かつ一義的に導き出されるものであり、実質的に同一なものであると思料いたします。
さらに「横断面が略コ字状に形成され」という考案特定事項を直列的に付加したことにより、「横断面が略コ字状に形成され・・・主フレーム固定部に片持ち支持された主フレーム」とする訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当するものであると思料いたします。
また、主フレームは、主フレーム固定部に挿脱自在であるといっても、主フレーム固定部、垂直部等の内のいずれか1箇所以上に固着されていなければなりません。いずれかに主フレームが固着されていなければ、主フレームは、運転中等に主フレーム固定部からずれたり抜け落ちたりするからです。訂正前の登録明細書には、これが明確に記載されていませんでした。
「長手方向一側が前記垂直部に取付けられ」という考案特定事項は、主フレームの長手方向一側が垂直部に取付けられているため、片支持コンベヤの運転中等に主フレームがずれたり抜け落ちたりしないことを明確にするとともに、考案特定事項の直列的付加に該当し、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当するものであると思料いたします。
よって、「横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ前記主フレーム固定部に片持ち支持された主フレーム」とする訂正事項は、主フレームの構成を明確にするとともに減縮するものであり、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正に相当すると思料いたします。』(平成16年10月13日付け意見書6頁6行から7頁18行)と主張している。

イ.前記訂正事項aが、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてなされていると主張している。

ウ.前記訂正事項aが、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないと主張し、
『訂正前の登録明細書の請求項1に記載された考案は、この重大な技術課題を解決するもので、「(ア)片支持機構でベルト等の搬送部を高い位置に設置することができ、(イ)主フレームからベルトの取り付け取り外しが容易にでき、(ウ)脚柱部材から主フレーム毎取り付け取り外しができる片支持コンベヤの提供」を目的として、請求項1記載の構成を採用したものであることが認められます。
一方、上記訂正事項aは、「片支持コンベヤ」の考案の構成に欠くことができない主フレームの構成を「一端部に駆動ローラが軸架され横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ前記主フレーム固定部に片持ち支持された主フレーム」と限定し、上記の(ア)(イ)(ウ)の技術課題の内、(ア)片支持機構でベルト等の搬送部を高い位置に設置することができ、(イ)主フレームからベルトの取り付け取り外しが容易にできるという技術課題とその解決のための構成に限定したものです。
なお、補正された訂正請求書に実用新案登録請求の範囲に、訂正前の「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成要件が記載されていないことは、(3)欄で説明しましたように、主フレームの構成を明確にするとともに減縮する訂正を行ったことによって生じたものであり、実用新案登録請求の範囲に記載した事項をより広い意味を表す表現に入れ替えたり、それによって実用新案登録請求の範囲をずらす訂正等ではなく、実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではありません。』(平成16年10月13日付け意見書9頁17行から10頁1行)と主張している。

エ.また、前記訂正事項bないしlは、前記訂正事項aに伴って、考案の詳細な説明に記載との整合を図るための明りょうでない記載の釈明であると主張している。

第4.刊行物1、2記載の考案
1.刊行物1記載の考案
(1)前記無効理由の証拠方法としてあげた前記刊行物1の実願平2-19160号(実開平3-110010号)のマイクロフィルム(平成3年11月12日公開。本件実用新案登録第2536049号に係わる考案についての出願当初明細書又は図面の記載と同じ。)には、次の記載事項が図面とともに記載されている。

ア.「所要長さを有するフレームに駆動ローラと従動ローラとを設け、これらのローラにベルトを巻回し、前記駆動ローラを駆動する駆動装置を設けたコンベヤにおいて、前記フレームを主フレームとこの主フレームの一端に軸着され上方向に回動可能とした補助フレームとで構成し、これら主フレームおよび補助フレームに駆動ローラおよび従動ローラを軸着し、前記主フレームの長手方向一側に脚柱部材を取付けて前記フレームを片持支持としたことを特徴とするコンベヤ。」(実用新案登録請求の範囲)

イ.「(考案が解決しようとする課題)
しかるに上記のようなコンベヤを使用して前処理食品、例えば、パン粉のころもを付けたえびなどを搬送する場合、パン粉がベルトに付着したりフレームに落下したりするので、ベルトやフレームを衛生上からも時々洗浄する必要がある。そのためには、ベルトをローラから外すことが必要になる。ところが、上記のようなコンベヤではベルトをローラから外す場合およびローラへ取付ける場合には、フレームに設けられている門形の脚柱部材が邪魔になるとともに、ベルトを弛める手段がないので、ベルトの取外しあるいは取付けに多大の時間と労力を必要とする等の問題点があった。
本考案はこれに鑑み、フレームに脚柱部材が設けられていても、ベルトのローラからの取外し、あるいは取付けが簡単に短時間でできるようにしたコンベヤを提供することを目的としてなされたものである。」(明細書2頁13行から3頁10行)

ウ.「(作用)
上記構成により、補助フレームを主フレームに対して上方向に回動させるとベルトが弛むので、このベルトを主フレームの脚柱部材が取付けられていない巾方向側へローラから外すことにより、脚柱部材に邪魔されることなくベルトの取外しおよび取付けがおこなえる。」(明細書4頁4行から10行)

エ.「(実施例)
以下、本考案を第1図ないし第4図に示す実施例を参照して説明する。
コンベヤ1は、フレームを構成する主フレーム2、補助フレーム3と、主フレーム2に取付けられる脚柱部材4と、駆動ローラ5、従動ローラ6、受けローラ7と、これらのローラに巻回されるベルト8と、駆動ローラ5を駆動する駆動装置9とを備えている。
主フレーム2は、ステンレス鋼板等よりなり長方形形状(例えば長さ約8.5m程度、巾約0.4m程度)で、一方の端部には駆動ローラ5が軸着されており、他方の端部には補助フレーム3が軸着されている。そして、補助フレーム3には従動ローラ6が設けられている。
補助フレーム3はステンレス鋼板等よりなり長方形形状(例えば長さ約0.5m程度、巾約0.4m程度)で、第4図に示すように、一端は主フレーム2にピン10によって軸着され上方向に回動可能とされている。また、他端にはガイドスリット11が補助フレーム3の長手方向に平行に形成されており、このガイドスリット11には従動ローラ6が軸着された軸受部12がスライド可能として嵌入されている。また、この軸受部12にはロッド13が固着されており、このロッド13は補助フレーム3に設けられたロッド保持部材14に遊貫されている。そして、ロッド保持部材14には止めボルト15が設けられており、軸受部12をガイドスリット11でスライドさせてベルト8に最適の張力が与えられる位置へ軸受部12を固定させるようになっている。
また、補助フレーム3の長手方向の側面には切欠部16が形成されており、この切欠部16を主フレーム2に設けられている凸部材17へ係止させることにより補助フレーム3は主フレーム2へ位置決めされる。
脚柱部材4は、主フレーム2の長手方向の複数箇所(本実施例では6箇所)に設けられており、脚柱部材4間には補強部材18が設けられている。そして、この脚柱部材4は、第3 図に示すように、ステンレスの角パイプ等によりなり、L形で例えば、垂直部19は約0.5m程度、水平部20は約0.4m程度に形成されている。そして、水平部19が主フレーム2の長手方向と直角で、かつ、主フレーム2 の下に位置するようにして垂直部19の端部を主フレーム2の長手方向一側に取付けフレームを片持ち支持している。そして、主フレーム2下部近傍の垂直部19には、水平部20と平行にローラ取付部材21が設けられており、このローラ取付部材21には受けローラ7が軸着されている。また、水平部20の下面にはキャスタ22とジャッキボルト23の両方あるいはいずれかが装着されている。
ベルト8は、ゴムベルト等よりなり、主フレーム2の端部に軸着されている駆動ローラ5と、補助フレーム3の端部の軸受部12に軸着されている従動ローラ6に巻回されるとともに、巻回されたベルト8の下面を受けローラ7によって支持してベルト8のたれ下がりを防止している。
駆動装置9は、モータ24と、駆動スプロケット25と、従動スプロケット26と、チェーン27とを有している。モータ24は駆動ローラ5側の2本の脚柱部材4間に設けられた台板28上に載置されており、駆動スプロケット25はモータ24に取付けられ、従動スプロケット26は駆動ローラ5に取付けられている。そして、駆動スプロケット25と従動スプロケット26との間にはチェーン27がかけわたされている。また、駆動スプロケット25、従動スプロケット26およびチェーン27を囲んでチェーンカバー29が設けられている。」(明細書4頁11行から8頁1行。審決注、「そして、水平部19が主フレーム2の長手方向と直角で、かつ、主フレーム2 の下に位置するようにして垂直部19の端部を主フレーム2の長手方向一側に取付けフレームを片持ち支持している。」の「水平部19が」は「垂直部19が」の誤り。)

オ.「[考案の効果]
以上説明したように本考案によるコンベヤは、フレームを主フレームとこの主フレームの一端に軸着され上方向に回動可能とした補助フレームとで構成し、これら主フレームおよび補助フレームに駆動ローラおよび従動ローラを軸着し、主フレームの長手方向一側に脚柱部材を取付けて前記フレームを片持ち支持したので、フレームに設けられている脚柱部材が邪魔になることがなく簡単にベルトを弛めてベルトのローラへの取付けおよび取外しをおこなうことができる。したがって、労力と時間とを大幅に短縮させることができるとともに簡単な構造によって所期の目的が達成できるなどの優れた効果がある。」(明細書10頁4行から17行)

カ.図面の簡単な説明において、「第1図乃至第4図は本考案にかかるコンベヤの一実施例を示し、第1図は側面図、第2図は平面図、第3図は第1図のA-A線縦断面図、第4図は補助フレーム部分の斜視図である。1・・・コンベヤ、2・・・主フレーム、3・・・補助フレーム、4・・・脚柱部材、5・・・駆動ローラ、6・・・従動ローラ、7・・・受けローラ、8・・・ベルト、9・・・駆動装置。」と記載されている。
そして、第3図において、下向きに開放したコ字状の断面には2と表示されており、このコ字状の内部空間内において、19と表示された部材に対して、20と表示された部材と同じ側であり、かつ20と表示された部材と平行状に柱状部材が表示されている。(以下、これを「柱状部材」という。)この柱状部材の右端部は、2と表示された下向きに開放したコ字状断面の右側を貫いて、19と表示された部材に接している。2と表示された下向きに開放したコ字状断面の右側は、1と表示された矢印近傍の薄板状断面部を除き、19と表示された部材に対して直接接していない。21と表示された部材は、19と表示された部材に対して20と表示された部材と同じ側で、20と表示された部材と平行状である。
20と表示された部材の中央部に18と表示された部材が設けられている。19と表示された部材と、20と表示された部材との直角接合部には三角形部材が表示されている。(以下、これを「三角形部材」という。)(図面の簡単な説明、第1ないし4図)

(2)ここで前記記載事項ア.、ウ.、カ.、及び第1ないし4図から、次のことがわかる。

所要長さを有するフレームに駆動ローラ5と従動ローラ6とを設け、これらのローラにベルト8を巻回し、前記駆動ローラ5を駆動する駆動装置9を設けたコンベヤ1において、前記フレームを主フレーム2とこの主フレーム2の一端に軸着され上方向に回動可能とした補助フレーム3とで構成し、これら主フレーム2および補助フレーム3に駆動ローラ5および従動ローラ6を軸着し、前記主フレーム2の長手方向一側に脚柱部材4を取付けて前記フレームを片持支持としたことを特徴とするコンベヤ1。
脚柱部材4は、ステンレスの角パイプ等によりなり、L形で例えば、垂直部19は約0.5m程度、水平部20は約0.4m程度に形成されている。垂直部19の端部を主フレーム2の長手方向一側に取付けフレームを片持ち支持している。
主フレーム2は、一方の端部には駆動ローラ5が軸着されており、他方の端部には補助フレーム3が軸着されている。補助フレーム3には従動ローラ6が設けられている。 補助フレーム3は、一端は主フレーム2にピン10によって軸着され上方向に回動可能とされている。
主フレーム2下部近傍の垂直部19には、水平部20と平行にかつ同じ側にローラ取付部材21が設けられ固定されており、このローラ取付部材21には受けローラ7が軸着されている。
脚柱部材4の水平部20間には補強部材18が設けられている。補強部材であるから当然固定されていることがわかる。
水平部20の下面にはキャスタ22とジャッキボルト23の両方あるいはいずれかが装着されている。
垂直部19の端部を主フレーム2の長手方向一側に取付けフレームを片持ち支持していることと、前記記載事項カ.、第3図から、脚柱部材4の垂直部19の上部に脚柱部材4の水平部20側に水平部20と平行に設けられた前記柱状部材が存在していることがわかる。また、水平部20と垂直部19には前記三角形部材が設けられている。

(3)刊行物1記載の考案
前記記載事項(2)より、前記刊行物1には次の考案が記載されていると認められる。
「ステンレスの角パイプからなるL形の脚柱部材4と、脚柱部材4の垂直部19の上部に脚柱部材4の水平部20側に水平部20と平行に設けられた柱状部材と、一端部に駆動ローラ5が軸着された主フレーム2と、主フレーム2の他端部に上方向に回動可能に軸着され端部に従動ローラ6が軸着された補助フレーム3と、脚柱部材4の主フレーム2の下側に水平部20側に水平部20と平行に固定されたローラ取付部材21と、ローラ取付部材21に軸着された受けローラ7と、水平部20間に固定された補強部材18と、水平部20と垂直部19に設けられた三角形部材と、水平部20の下面に装着されたジャッキボルト23及び/又はキャスタ22を備えている片持支持コンベヤ。」(以下、「刊行物1記載の考案」という。)

2.刊行物2記載の考案
(1)前記無効理由の証拠方法としてあげた前記刊行物2の実願昭57-148194号(実開昭59-54412号)のマイクロフィルム(昭和59年4月10日公開)には、次の記載事項が図面とともに記載されている。

ア.「本考案はベルトコンベア、ローラコンベアなどの搬送コンベアの改良に関する。」(明細書1頁10行から11行)

イ.「斯る本考案の搬送コンベアは搬送コンベアの一端に、該コンベアと搬送装置の搬出側との位置決めを行なう装着金具を設けると共に、該搬送コンベアの他端側に高さ調整自在な脚部材を設けたことを特徴とする。
尚、本考案における搬送装置とは搬送機構を組込んだものであればよく、包装機構をも有する包装搬送装置、計量機構をも有する包装搬送装置、又単なる搬送コンベアでもよく任意である。
本考案実施の一例を図面により説明すれば、図中(1)は包装搬送機などの搬出側に既設された位置決めバーであり、該バー(1)にローラコンベア(2)を配設する例について述べる。」(明細書2頁6行から19行)

ウ.「第5実施例を第8図により説明すれば、本実施例は先ず位置決めバー(1’)にEリング(44)を嵌める環溝(45)を形成する。環溝(45)はローラーコンベア(2)の幅が変わってもよいように複数設けるとよい。
又、ローラーコンベア(2)にはローラー(6)を挿通する孔(46)を設け、該孔(46)を位置決めバー(1’)に挿通させてEリング(44)にてロックする。
第6実施例を第9図により説明すれば、本実施例は先ず位置決めバー(1’’)にねじ(55)を形成する。
ローラーコンベア(2)にはローラー(6)を挿通する孔(56)を設け、該孔(56)を位置決めバー(1’’)に挿通させてナット(54)にてロックする。
上記実施例は何れもローラーコンベアとしたがベルトコンベアでもよく任意である。
又、脚部材の取付位置も搬送コンベアの一端側であれば、中央寄りでもよく任意である。
本考案は以上のように、搬送装置の搬出側と搬送コンベアとを位置決めさせる装着金具を搬送コンベアの一端に設けると共に、該搬送コンベアの他端側に高さ調整自在な脚部材を設けてなる搬送コンベアに構成したので、搬送コンベアを確実に位置決めでき安定した搬送を行なうことができる。
又、構造が簡単で安価であると共に、軽量で運搬性がよい。」(明細書6頁4行から7頁8行)

エ.図面の簡単の説明において、第8図は第5実施例の要部立体図、第9図は第6実施例の要部立体図であり、(1)(1’)(1’’)・・・位置決めバーと記載されている。第8図には、1’と表示された棒の先端部に45と表示された溝が3箇所設けられており、溝に対して一点鎖線で44のEリングが結ばれている。第8、9図に、46、56と表示された部分は円筒状端部に描かれている。(図面の簡単の説明、第8図、第9図)

(2)刊行物2記載の考案
ここで前記記載事項ア.ないしエ.、及び第1ないし9図から、次のことがわかる。
(1)は包装搬送機などの搬出側に既設された位置決めバーである。第8図の第5実施例では、ローラーコンベア(2)にはローラー(6)を挿通する孔(46)を設け、該孔(46)を位置決めバー(1’)に挿通させてEリング(44)にてロックし、第9図の第6実施例では、ローラーコンベア(2)にはローラー(6)を挿通する孔(56)を設け、該孔(56)を位置決めバー(1’’)に挿通させてナット(54)にてロックする。上記実施例は何れもローラーコンベアとしたがベルトコンベアでもよく任意である。
これらローラーコンベア又はベルトコンベアは、軽量で運搬性がよいことから、可搬型のものであり、位置決めバー(1’)にEリング(44)を嵌める環溝(45)を形成し、環溝(45)はローラーコンベア(2)の幅が変わってもよいように複数設けるとよいとされている。このことから、ローラーコンベア(2)に設けた孔(46)、(56)に位置決めバー(1’)、(1’’)を挿通させて、Eリング(44)又はナット(54)でロックして、ローラーコンベア(2)を脱着自在にしていることがわかる。

したがって、前記刊行物2には次の考案が記載されている。
「ベルトコンベアに孔を設け、該孔を既設されたバーに挿通させて、ベルトコンベアを取り着け、脱着自在にした可搬型ベルトコンベア。」(以下、「刊行物2記載の考案」という。)

第5.当審の判断
1.訂正の適否について
(1)平成16年7月22日付け訂正請求の内容
平成16年10月13日付け手続補正書における『訂正明細書第4ページ第9行「を挿脱自在に支持する」を「を支持する」と補正する。』なる訂正事項は、平成16年7月22日付け訂正請求書に訂正事項fとして記載されていたことであり、前記第3.2.(1)ス.の齟齬を解消する極めて明らかな誤記の補正であるから、平成16年10月13日付け手続補正書による、平成16年7月22日付け訂正請求書、及び訂正明細書又は図面の補正を認める。
これにより、平成16年7月22日付け訂正請求の内容は、前記第3.2.(1)ア.ないしシ.の前記訂正事項aないしlと認める。(以下、これを、「本件訂正請求1」という。)

(2)訂正の適否の判断
前記訂正事項aは、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の記載の「一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、」を、「一端部に駆動ローラが軸架され横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ前記主フレーム固定部に片持ち支持された主フレームと、」と訂正するものである。
被請求人は、『文言的には、訂正前の実用新案登録請求の範囲の構成要件の一部である「(前記主フレーム固定部に)挿脱自在に挿着された(主フレーム)」なる構成を削除しています。』としているが、「主フレーム固定部に片持ち支持された」という構成は、訂正前の「主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」と実質的に同一なものであると主張している。
これに対して、一般に、取付手段には溶接のような恒久的に取り付ける取付手段が慣用的に用いられており、この場合には「挿脱自在に挿着された」取付手段とはいえないことは明らかである。そして、前記訂正事項aにより訂正する「一端部に駆動ローラが軸架され横断面が略コ字状に形成され長手方向一側が前記垂直部に取付けられ前記主フレーム固定部に片持ち支持された主フレームと、」という構成においては、「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、」という構成が存在しなくなり、主フレームが前記垂直部に取り付けられた取付手段には、溶接のような取付手段を含む取付構成となった。その他、前記訂正事項aにより訂正する実用新案登録請求の範囲の記載全体を考慮しても、前記訂正事項aにより訂正する実用新案登録請求の範囲には「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、」という構成は存在しない。
そして、「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成により、登録明細書に記載されているように「主フレームはL字型脚柱部材に脱着自在に挿設されているのでフレーム毎脚柱部材から外すことができる。」、「また、主フレーム2とL字型脚柱部材4との間や受けローラ7とローラ取り付け部材21との間の洗浄を行うときは主フレーム2を主フレーム固定部材41から外すことによりまた、受けローラ7をローラ取り付け部材21から外すことにより隅々まで容易に洗浄を行うことができる。」なる作用効果を生じるものである。しかも、訂正事項bないしlにより、訂正事項aに関する構成、作用効果を削除するとともに、前記第3.4.(2)ウ.において、被請求人は目的までも削除したと主張している。
したがって、訂正事項aは、構成要件の一部を削除するものであり、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当しない。

また、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の記載の「一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、」なる記載は、主フレーム固定部に主フレームが「挿着」(挿入させて取り着けること)されて取り着けられているものであり、それ自体の意味は明らかであり、また、それ自体の記載内容が、その他の明細書の記載との関係において不備、又は技術的不備を生じさせているとも認められない。
よって、前記訂正事項aは、明りょうでない記載の釈明とは認められない。さらに、前記訂正事項aは誤記の訂正とも認められない。

したがって、前記訂正事項aは、実用新案登録請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明の何れにも該当しない。また、以上述べたように、前記訂正事項aは、実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものと認められる。

前記訂正事項aの訂正が認められない以上、前記訂正事項bないしlは、前記訂正事項aに伴って考案の詳細な説明の記載との整合を図るための明りょうでない記載の釈明とは認められない。よって、前記第3.4.(2)の被請求人の主張は採用できない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求1は、特許法等の一部を改正する法律(平成15年法律第47号)附則第12条の規定により改正された、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号、以下「平成5年改正法」という。)附則第4条 第1項の規定によりなおその効力を有するとされ、平成5年改正法附則第4条 第2項において平成5年改正前の実用新案法(以下「旧実用新案法」という。)の第39条から第41条までの読替えとして規定された、旧実用新案法第40条の2第1項ただし書、及び、旧実用新案法第40条の2第5項において準用する、旧実用新案法第39条第4項(平成15年法律第47号附則第12条の読替え表「第39条から第41条まで」の欄を参照。)の規定に適合しないから、本件訂正請求1は認められない。

2.出願日の認定と本件考案
(1)平成5年8月16日付けの補正の内容
設定登録前の平成5年8月16日付けの補正において、以下のア.ないしエ.を含む補正がなされた。
ア.「【請求項1】中空の角柱鋼材からなるL字型脚柱部材と、前記L字型脚柱部材の垂直部の上部に前記L字型脚柱部材の水平部材側に前記水平部と平行に立設された主フレーム固定部と、一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、前記主フレームの他端部に上方向に回動自在に軸着され端部に従動ローラが軸着された補助フレームと、前記L字型脚柱部材の前記主フレームの下側に前記水平部側に前記主フレーム固定部と平行に固定されたローラ取付部材と、前記ローラ取付部材に軸架された受けローラと、前記水平部間に架設固定された水平部補強部材と、前記水平部と前記垂直部に装設された垂直部補強部材と、前記水平部の下面に装設された上下動自在な足部及び/又はキャスタと、を備えていることを特徴とする片支持コンベヤ。」(実用新案登録請求の範囲)

イ.「主フレームはL字型脚柱部材に脱着自在に挿設されているのでフレーム毎脚柱部材から外すことができる。ベルトや主フレーム及び受けローラが脱着自在で分解が可能なので、各パーツの洗浄や取り換えを容易に行うことができる」(平成5年8月16日付けの補正書6頁18行から11頁2行。実用新案登録公報2頁4列22行から26行。)

ウ.「垂直部19の主フレーム固定部41で主フレーム2を上面と面一にして挿脱自在に、主フレーム2を片持ちで支持している。」(同補正書10頁15行から17行。同公報3頁5列38行から41行。)

エ.「また、主フレーム2とL字型脚柱部材4との間や受けローラ7とローラ取り付け部材21との間の洗浄を行うときは主フレーム2を主フレーム固定部材41から外すことによりまた、受けローラ7をローラ取り付け部材21から外すことにより隅々まで容易に洗浄を行うことができる。更に、ベルト8や受けローラ7、主フレーム2等の一部が破損したときは容易にその部分を取り代えることもできる。」(同補正書13頁11行から19行。同公報3頁6列37行から42行)

(2)出願日の認定と本件考案
平成5年8月16日付けの補正における実用新案登録請求の範囲の請求項1の「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成、および前記第5.2.(1)イ.ないしエ.の記載に係わる考案の構成に関する技術的事項は、本件実用新案登録第2536049号に係わる考案についての出願当初明細書又は図面に記載されておらず、また、「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」なる構成に係わる考案の目的、効果は、同当初明細書又は図面に何ら記載されていないから、同当初明細書又は図面からみて自明とも認められない。
よって、平成5年8月16日付けの補正により、出願当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内でないものとなったので、当該補正は明細書の要旨変更するものと認められる。
被請求人は、前記第3.2.(3)にみられるように主張し、この点に関する特段の主張はない。

したがって、特許法等の一部を改正する法律(平成15年法律第47号)附則第12条の規定により改正された、平成5年改正法附則第4条 第1項の規定によりなおその効力を有するものとして、旧実用新案法第9条第1項において準用する、平成5年改正法附則第2条第2項の規定によりなお従前の例によるとされる平成5年改正前の特許法第40条の規定に基づき、平成5年8月16日付けの補正が、明細書の要旨を変更するものと実用新案権の設定登録があった後に認められたので、本件実用新案登録第2536049号に係わる考案についての出願は、平成5年8月16日にしたものとみなす。

そして、本件実用新案登録第2536049号に係わる考案は、平成5年8月16日付けの補正における実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(これは、前記第3.1.(1)で示した「本件考案」と同じものであり、以下同じく、これを「本件考案」という。)

「【請求項1】中空の角柱鋼材からなるL字型脚柱部材と、前記L字型脚柱部材の垂直部の上部に前記L字型脚柱部材の水平部材側に前記水平部と平行に立設された主フレーム固定部と、一端部に駆動ローラが軸架され前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレームと、前記主フレームの他端部に上方向に回動自在に軸着され端部に従動ローラが軸着された補助フレームと、前記L字型脚柱部材の前記主フレームの下側に前記水平部側に前記主フレーム固定部と平行に固定されたローラ取付部材と、前記ローラ取付部材に軸架された受けローラと、前記水平部間に架設固定された水平部補強部材と、前記水平部と前記垂直部に装設された垂直部補強部材と、前記水平部の下面に装設された上下動自在な足部及び/又はキャスタと、を備えていることを特徴とする片支持コンベヤ。」

3.前記無効理由について
以上のことから、刊行物1は、出願前日本国内において頒布された刊行物となり、前記第3.2.(3)の被請求人の主張は理由がなくなった。
(1)対比
そこで、本件考案と刊行物1記載の考案を対比するに、刊行物1記載の考案における「ステンレスの角パイプ」、「脚柱部材4」、「柱状部材」、「補強部材18」、「三角形部材」、「ジャッキボルト23」、「片持支持コンベヤ」は、本件考案における「中空の角柱鋼材」、「L字型脚柱部材」、「主フレーム固定部」、「水平部補強部材」、「垂直部補強部材」、「上下動自在な足部」、「片支持コンベヤ」にそれぞれ相当する。本件考案における「水平部材」は、刊行物1記載の考案の「水平部20」に相当する。本件考案における「立設された」、「軸架」、「架設固定」、「装設された」、「装設」は、刊行物1記載の考案における「設けられた」、「軸着」、「固定」、「設けられた」、「装着」とそれぞれ実質的に同義といえる。刊行物1記載の考案において、「柱状部材」と「水平部20」とは平行であるから、「ローラ取付部材21」は「柱状部材」と平行といえる。

したがって、本件考案と、刊行物1記載の考案は、
「中空の角柱鋼材からなるL字型脚柱部材と、前記L字型脚柱部材の垂直部の上部に前記L字型脚柱部材の水平部材側に前記水平部と平行に立設された主フレーム固定部と、一端部に駆動ローラが軸架された主フレームと、前記主フレームの他端部に上方向に回動自在に軸着され端部に従動ローラが軸着された補助フレームと、前記L字型脚柱部材の前記主フレームの下側に前記水平部側に前記主フレーム固定部と平行に固定されたローラ取付部材と、前記ローラ取付部材に軸架された受けローラと、前記水平部間に架設固定された水平部補強部材と、前記水平部と前記垂直部に装設された垂直部補強部材と、前記水平部の下面に装設された上下動自在な足部及び/又はキャスタと、を備えていることを特徴とする片支持コンベヤ」である点で一致し、次のア.の相違点で相違している。

ア.相違点
本件考案では、「前記主フレーム固定部に挿脱自在に挿着された主フレーム」であるのに対して、刊行物1記載の考案では、そのような構成がない点。

(2)判断
前記相違点について検討する。
刊行物2記載の考案は、「ベルトコンベアに孔を設け、該孔を既設されたバーに挿通させて、ベルトコンベアを取り着け、脱着自在にした可搬型ベルトコンベア。」であり、ベルトコンベアを既設のバーに挿通させ取り着けて、脱着自在にした技術思想が示されている。「挿通させ取り着けて、脱着自在にした」とは、「挿脱自在に挿着された」と実質的に同義である。また、食品用装置においては、各パーツを分解洗浄しなければならないことは周知技術にすぎない。(例、実願昭61-160200号(実開昭63-67513号)のマイクロフィルム、実願昭61-76924号(実開昭62-189307号)のマイクロフィルム)
そして、前記周知技術を踏まえれば、刊行物1記載の考案において、主フレームを本体から分解できるようにし、さらに前記技術思想を適用して、主フレーム固定部に挿脱自在に挿着して、前記相違点に係る本件考案のように構成することは、当業者がきわめて容易に想到しうる程度のものと認められる。
以上のように、本件考案は、刊行物1記載の考案、前記技術思想、及び前記周知技術に基づいて、当業者がきわめて容易に想到することができたものと認められ、しかも、本件考案は、全体構成でみても、刊行物1記載の考案、前記技術思想、及び前記周知技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものとも認められない。

第6.むすび
したがって、本件考案は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物1記載の考案、前記技術思想、及び前記周知技術に基づいて、その出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、旧実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、特許法等の一部を改正する法律(平成15年法律第47号)附則第12条の規定により改正された、平成5年改正法附則第4条 第1項の規定によりなおその効力を有するとされ、平成5年改正法附則第4条 第2項において旧実用新案法の第37条の読替えとして規定された、旧実用新案法第37条第1項第1号(平成15年法律第47号附則第12条の読替え表「第37条」の欄を参照。)の規定に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法等の一部を改正する法律(平成15年法律第47号)附則第12条の規定により改正された、平成5年改正法附則第4条 第1項の規定によりなおその効力を有するとされ、平成5年改正法附則第4条 第2項において旧実用新案法の第39条から第41条までのの読替えとして規定された、旧実用新案法第41条(平成15年法律第47号附則第12条の読替え表「第39条から第41条まで」の欄を参照。)において準用する、平成5年改正前の特許法169条第2項の規定においてさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-12-08 
結審通知日 2004-12-09 
審決日 2004-12-21 
出願番号 実願平2-19160 
審決分類 U 1 112・ 121- ZB (B65G)
最終処分 成立  
特許庁審判長 大橋 康史
特許庁審判官 亀井 孝志
西野 健二
登録日 1997-02-21 
登録番号 実用新案登録第2536049号(U2536049) 
考案の名称 片支持コンベヤ  
代理人 榎本 一郎  
代理人 長南 満輝男  
代理人 細井 貞行  
代理人 石渡 英房  
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