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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) G01N
管理番号 1114712
審判番号 無効2003-35440  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2005-05-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-24 
確定日 2005-04-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2547410号実用新案「医療検査用カセット」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2547410号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2547410号の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という)の出願は、平成2年11月8日に出願され、平成9年5月23日にその考案について実用新案権の設定登録がなされた。その後、請求人により平成15年10月24日に本件無効審判が請求され、被請求人は平成16年1月9日に答弁書を提出し、請求人は平成16年3月31日に弁駁書を提出しているものである。

2.本件考案
本件考案は、本件明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】耐薬品性合成樹脂からなるカセット本体と蓋とを具備してなり、前記カセット本体は上面を開放した方形の容器で底部に多数の透孔を有し、且つ少なくとも対向する側壁の外側に係止部を有するとともに、アダプター固定用突起を有してなり、前記蓋は多数の透孔を有する板状体からなり、その裏面の少なくとも対向する2辺に、前記係止部に係脱可能に係合する舌片状係止部を垂設してなることを特徴とする医療検査用カセット。」

3.請求人の主張及び証拠方法
請求人は次のような無効理由を主張し、証拠方法として甲第1-4号証を提出している。
<無効理由>
本件考案は、甲第1-3号証に記載された考案に基づき当業者がきわめて容易に考案できたものであり、本件実用新案は、旧実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから無効とすべきものである。
<証拠方法>
甲第1号証:実願昭59-7701号(実開昭60-120358号)のマ イクロフィルム
甲第2号証:「染色法のすべて」( ’88.7.21 筑波大学付属図書 館受け入れ「Medical Technology16 付別冊 1988 筑波 大学」に収納
甲第3号証:米国特許第3940219号明細書(1976年)
甲第4号証:実用新案登録第2547410号公報

4.被請求人の主張
被請求人は、本件発明は、甲第1-3号証に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案することができたものでなく、実用新案法第3条第2項の規定に該当せず、請求人の主張する無効理由はない、と主張している。

5.甲1、2号証の記載事項
(イ)甲第1号証には、次の事項が記載されている。
「本考案は顕微鏡による病理組織学的検査を行う際の、臓器生検用極小組織細片を安全かつ迅速に採収して、各分配包埋できる生検組織片の収容器に関するものである。」(明細書第1頁第17-末行)、
「本考案は、可撓性の樹脂材を用いて、図示の如く、底部2を簀の子状に多数の通気孔3を穿設して、……容器1を形成し、該容器1の蓋体7の面へも、多数の通気孔8を穿設すると共に、該容器1と、該蓋7を合着係止する突起片9と、爪片10を蓋体7の裏側に設け、これと相対する受穴部5,及び爪片10を係止する切欠片6を、夫々末端辺と、先端近傍辺へ形設して本考案を構成したものである。」(明細書第3頁第17行-第4頁第6行)、 「容器1と、蓋体7とを、樹脂弾性を介して離脱着自在に成る如く形成し、加えて容器の先端に若干テーパを付した簡易な手段を以て構成したものである。」(明細書第4頁第8-11行)、
が記載されている。

(ロ)甲第2号証には次のことが記載されている。
使い易くなったユニ・カセットと題する写真中での説明文として、
「……カセット内の薬液交換を十分に行います。」、
「ふたの取手が大きくなり開け易くなりました。スナップ式のふたとロック機構のため、片手で確実に操作ができます。」、
「傾斜角度が緩やかになった正面スペースと左右両側面に記入できますので種々の情報を記録するのに便利です。記入面は特別な表面処理がされています。」、
が記載され、該ふたを開いた状態のユニ・カセット(スタンダード)の写真をみると、底部に多数の透孔を有し、上面を開放した方形の容器と、板状であって多数の透孔を有したふたがヒンジ結合したものが示され、ふたの一端にスナップ式の係合[注:snap(スナップ)は、株式会社小学館発行のランダムハウス英和大辞典に「〈ドア、蓋、鍵などが〉バチン(カチッ)と閉まる。(パチンと閉まる)留め金,掛け金,尾錠」と記載されているとおりの意味と認められる]を達成するための舌片状係合部が垂設され、容器側壁にはその頂部側から受穴が掘られており、この受穴に前記舌片状突起が挿入されて係合することが明かであり、また前記受穴を設けた壁の頂部からは、傾斜角度が緩やかになった情報記録用の面が外側に延びて形成されていることが明かである。
そして、「ユニ・カセット、検体に合わせて3種類」と題することに係る写真中には「厚い検体には〈ユニ・カセット〉メガ・タイプ 厚さが8?9mmの検体も効率良くブロック作成ができます。専用の包埋皿も用意してあります。」と記載があり、この記載にかかるメガ・タイプのユニ・カセットの写真をみると、これは、前記ユニ・カセット(スタンダード)よりも背の高いものであって、ふたの開閉方向とは平行をなす容器の両側壁の各外側面において、下部側に対して上部側を段差をもって厚くすることで形成された突起があることが明かである。

6.本件考案と甲第2号証記載の考案との対比
本件考案と甲第2号証に記載されたメガ・タイプのユニ・カセットの考案を対比すると、甲第2号証のメガ・タイプのユニ・カセットは、医療用検体等を収容し、包埋処理に供するのに利用するものであって、本件考案の医療検査用カセットと技術分野・利用分野が同じものと認められ、甲第2号証の「方形の容器」、「ふたの開閉方向とは平行をなす容器の両側壁の各外側面において、下部側に対して上部側を段差をもって厚くすることで形成された突起がある」が本件考案の「方形の容器であるカセット本体」、「カセット本体の少なくとも対向する側壁の外側に突起を有する」に相当することが明かであり、甲第2号証において、ふたで容器を閉める際のスナップ式の係合は、ふたの裏面側に設けた舌片状係止部に対して、それに対応する係止部を側壁頂部側から掘った受穴に設けることで達成されるものと認められるから、両者は、
「カセット本体と蓋とを具備してなり、前記カセット本体は上面を開放した方形の容器で底部に多数の透孔を有し、且つ少なくとも対向する側壁の外側に突起を有してなり、前記蓋は多数の透孔を有する板状体からなり、側壁に設けた係止部と蓋の裏面に垂設した舌片状係止部とが係合するようになっている医療検査用カセット」、
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1
本件考案は、カセット本体と蓋とが耐薬品性合成樹脂からなるものであるのに対し、甲第2号証には耐薬品性合成樹脂について記載がない点。

相違点2
本件考案は、カセット本体の少なくとも対向する側壁の外側に係止部を設け、蓋はその裏面の少なくとも対向する2辺に、前記係止部と係脱可能に係合する舌片状係止部を垂設したものであるのに対し、甲第2号証の考案は、蓋とカセット本体は、一端側では互いにヒンジ結合し、他端側では、蓋の裏面に舌片状係止部が垂設され、カセット本体の側壁に掘った受穴に設けた係止部により該舌片状係止部を係合するものである点。

相違点3
本件考案は、カセット本体は、少なくとも対向する側壁の外側にアダプター固定用突起を有しているのに対し、甲第2号証の考案は、カセット本体の少なくとも対向する側壁の外側に突起を有しているものの、その突起がアダプター固定用かどうか、記載がない点。

7.相違点についての検討
相違点1について
相違点1について検討すると、医療用検体を収容したり、包埋処理に供したりするのに使用するカセット本体とふたが、薬品に曝されるものであることは従来周知のことであり、それらカセット本体とふたの材料として、耐薬品性の合成樹脂を採用することは従来周知である。[例として、前記5.(イ)で抜粋した甲第1号証の明細書第3頁第17行-第4第6行の記載「……可撓性の樹脂材を用いて……」、および、実願昭62-23007号(実開昭63-135166号)のマイクロフィルムの明細書第1頁第5-10行「耐薬品性を有する合成樹脂からなる容器本体と、これに係止・係脱可能な蓋体からなり、……医療検査用器」を参照]

相違点2について
相違点2について検討すると、医療用検体を収容したり、包埋処理に用いる方形の容器(カセット本体)と蓋体の関係に関して、容器と蓋体とをヒンジ結合でなく、分離した別体のものとすることはよく採用される従来周知技術であり[例として、甲第1号証、特開昭-118531号公報および実願昭57-28534号(実開昭58-132870号)のマイクロフィルムを参照]、甲第1号証には、容器と蓋体との結合関係について、蓋体の裏側の両端に突起片9,爪片10(いずれも舌片状係合部である)を設け、容器の両壁には突起片、爪片を合着係止するための受穴部5、切欠片6(いずれも合着係止部である)を設け、蓋体で容器を閉じる際には、両壁の箇所で、蓋体と容器を合着係止させることが記載されており、この甲第1号証において、合着係止のための技術手段として、受穴部5を設けその穴に突起片9を挿入して合着係止する、という構成を採用しているのは、収容した医療用検体認識のための表示欄を見易くするために、壁頂部から表示欄用のテーパ(傾斜)面を外側に延ばして設けた関係上、このテーパ(傾斜)面に合着係止部を設けるのが不適当であるという理由からと認められ、医療用検体の収容という本質機能さえ達成できればよいということであれば、表示欄用のテーパ(傾斜)面を設ける必要がないことは明かであるから、甲第2号証に記載されたメガ・タイプのユニ・カセットにおいて、ふたを容器と別体のものとし、壁に表示欄用のテーパ(傾斜)面を設けない単純な方形の容器として、容器を容器外縁側から蓋でパチンとスナップ式で閉じれるような従来周知の係合関係[国際特許分類第4版(1985年に発効)にも、取り外し可能な蓋またはカバーについて「B65D43/08・・容器の口縁上に係合する周フランジをもつもの、B65D43/10・・・かつ、ビードまたは突出部上にスナップ止めされることにより保持されるもの」と分類があるくらいである]、を採用することは、当業者がきわめて容易に想到できた事項である。

相違点3について
本件特許明細書の第2図において、対向する側壁の外側に、下部側に対して上部側に段差をもってより厚くすることで形成された突起26,27がアダプター固定用になるのと同様に、これと同様の段差をもって形成された甲第2号証のメガ・タイプのユニ・カセットの突起を、アダプター固定用とすることは、当業者がきわめて容易に想到できたことである。

そして、相違点1-3を総合的に判断しても、それによる効果は予想範囲内のものであり、本件考案は甲第1,2号証に記載された考案および従来周知技術にもとづいて当業者がきわめて容易に考案できたものと認められる。

8.むすび
したがって、本件考案は、甲第1,2号証に記載された考案および従来周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件実用新案登録は平成5年改正法附則第4条第1項の規定によりなお効力を有する旧実用新案法第37条第1項第1号に該当し無効とすべきものである。
審判に関する費用については実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-04-27 
結審通知日 2004-04-30 
審決日 2004-05-11 
出願番号 実願平2-117934 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (G01N)
最終処分 成立  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 水垣 親房
菊井 広行
登録日 1997-05-23 
登録番号 実用新案登録第2547410号(U2547410) 
考案の名称 医療検査用カセット  
代理人 村林 隆一  
代理人 井上 裕史  
代理人 伊藤 文彦  
代理人 斉藤 侑  
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