• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   B42D
管理番号 1121200
異議申立番号 異議2002-72190  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2005-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-09-03 
確定日 2005-07-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2607691号「三つ折りシークレットはがき」の請求項1ないし4に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2607691号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を取り消す。
理由 第一.手続の経緯
出願 平成 5年10月17日
設定登録 平成13年11月30日
異議の申立て 申立人 塚田雅夫 平成14年 9月 3日
取消理由通知 平成14年12月 6日
刊行物提出書 平成14年12月18日付け訂正請求書及び異議意見書 平成15年 2月17日
(訂正請求書取下げ 平成15年12月 1日)
嘱託書 平成15年 7月15日
調査回答書 平成15年 8月22日
取消理由通知 平成15年 9月16日
訂正請求書及び異議意見書 平成15年12月 1日

第二.訂正の適否についての判断

[1].平成15年12月1日付け訂正請求の内容
訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の請求項1を次のとおり訂正する。
「【請求項1】「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字(4)を表面に記載したはがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記裏面添付物と連接する上記はがき本体の側端部に記載し、上記表面添付物を長辺の長さが上記はがき本体の長辺の長さと同じ長さであり短辺の長さが上記はがき本体に密着した後も「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる長さに形成し、上記はがき本体並びに両端辺に連接する上記表面添付物及び裏面添付物が全体で1つの長方形を形成し、上記表面添付物は上記はがき本体に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面側端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されることを特徴とする三つ折りシークレットはがき。」
訂正事項b
実用新案登録請求の範囲の請求項2を次のとおり訂正する。
「【請求項2】「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字(4)を表面に記載したはがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記はがき本体の上端部に記載し、上記表面添付物を上記はがき本体の形状から「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字の表記部分を除いた形状として上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように形成し、上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面上端部に「郵便はがき」 又は「POST CARD」の文字が表記されることを特徴とする三つ折りシークレットはがき。」
訂正事項c
実用新案登録請求の範囲の請求項3を次のとおり訂正する。
「【請求項3】「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字(4)を表面に記載したはがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記裏面添付物と連接する上記はがき本体の側端部又は上端部に記載し、上記表面添付物は上記はがき本体に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字(4)が読み取れる孔(5)を設けて上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように形成し、上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が上記孔を介して表記されることを特徴とする三つ折りシークレットはがき。」
訂正事項d
明細書の段落【0008】を次のとおり訂正する。
「【0008】【課題を解決するための手段】解決手段の第1は、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を表面に記載したはがき本体の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物及び裏面添付物を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記裏面添付物と連接する上記はがき本体の側端部に記載し、上記表面添付物を長辺の長さが上記はがき本体の長辺の長さと同じ長さであり短辺の長さが上記はがき本体に密着した後も「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる長さに形成し、上記はがき本体並びに両端辺に連接する上記表面添付物及び裏面添付物が全体で1つの長方形を形成し、上記表面添付物は上記はがき本体に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面側端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されることを特徴とする。」
訂正事項e
明細書の段落【0009】を次のとおり訂正する。
「【0009】解決手段の第2は、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を表面に記載したはがき本体の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物及び裏面添付物を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記はがき本体の上端部に記載し、上記表面添付物を上記はがき本体の形状から「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字の表記部分を除いた形状として上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように形成し、上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面上端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されることを特徴とする。」
訂正事項f
明細書の段落【0010】を次のとおり訂正する。
「【0010】解決手段の第3は、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を表面に記載したはがき本体の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物及び裏面添付物を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記裏面添付物と連接する上記はがき本体の側端部又は上端部に記載し、上記表面添付物は上記はがき本体に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる孔を設けて上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように形成し、上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が上記孔を介して表記されることを特徴とする。」

[2].訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、登録明細書の請求項1を削除し、登録明細書の請求項2を請求項1に繰り上げるとともに、請求項の記載形式を引用形式から、独立形式にし、登録明細書の請求項2に記載されていた表面添付物の構成を、「上記表面添付物は上記はがき本体に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし」と更に限定し、「上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面側端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記される」と、密着後の三つ折りシークレットはがきの構成を記載したものであって、明りょうでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものである。
訂正事項bは、登録明細書の請求項3を請求項2に繰り上げるとともに、請求項の記載形式を引用形式から、独立形式にし、登録明細書の請求項3に記載されていた表面添付物の構成を、「上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし」と更に限定し、「上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面上端部に「郵便はがき」 又は「POST CARD」の文字が表記される」と、密着後の三つ折りシークレットはがきの構成を記載したものであって、明りょうでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものである。
訂正事項cは、登録明細書の請求項4を請求項3に繰り上げるとともに、請求項の記載形式を引用形式から、独立形式にし、登録明細書の請求項4に記載されていた表面添付物の構成を、更に、「上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし、」と更に限定し、「上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が上記孔を介して表記される」と、密着後の三つ折りシークレットはがきの構成を記載したものであって、明りょうでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものである。
また、訂正事項d?fは上記訂正事項a?cと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。
そして、上記訂正事項a?fは、登録明細書(特に「【0006】図1は本考案の実施例1の平面図であり、...表面に密着させる添付物「1」をつながった状態で設定し...「1」には、図1に現れる部分に料額印面「4」を設ける。」、「【0007】...「1」に宛名を記入することにより、はがきとして郵送できる。」の記載)又は図面(特に図1、4、7、8)に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではない。

[3].むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第三.登録異議の申立てについての判断

[1].本件考案
前記「第二.」で示したように前記訂正が認められるものであるから、本件の請求項1ないし3に係る考案は、前記訂正に係わる平成15年12月1日付け訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものである。(上記[1].訂正の内容 訂正事項a、訂正事項b、訂正事項c参照。)。

[2].引用刊行物に記載された考案
(1).当審が平成15年9月16日に通知した取消しの理由において引用した刊行物1(実願平3-29975号(実開平4-117782号)のマイクロフィルム)には、以下の事項が記載されている。
1-イ「【請求項1】隣接する一対の貼り合わせ紙片11、12を貼り合わせる葉書であって、両方の紙片11、12が貼り合わせ面11a、12aの全面に形成されたホットメルト接着剤層2と、その上に形成された印刷または印字面3と、該印刷印字面3および上記接着剤層2の全面を覆う樹脂保護膜4とからなり、上記ホットメルト接着剤層2が少なくとも上記貼り合わせ面11a、12aの開封端部11b、12bにおいて二段積層形成され、上記開封端部11b、12bがそれ以外の部分より強く接着する構成をなすことを特徴とする貼り合わせメール。」(【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】)
1-ロ「【0002】【従来の技術】第三者に知られたくない情報を郵送する時は封書が使用されるのが常であるが、葉書を使用できると郵送費の節減となって好ましい。しかしながら、このためには必要な情報を記載した部分を何等かの手段を講じて隠蔽し、郵送後適宜隠蔽部分を解除して必要な情報を見ることができるようにする必要がある。」(【0002】)
1-ハ「【0006】【実施例】図1は第1実施例であるところの葉書紙面の下半分を貼り合わせる、いわゆるチョット折り形式の葉書で、宛名10aが印字されるための左半分の紙片10と秘密にされるデータ31が印字される貼り合わせ面11aを有する右半分の紙片11と該紙片11と折り畳み線Lを介して連設され、上記張り合わせ面11aに剥離可能に接着される貼り合わせ面12aを有する紙片12とからなる。」(【0006】)
1-ニ「【0009】上記構成では、いま、貼り合わせ面11a、12aが全面貼り合わせされているので、葉書料金で郵送されるが、貼り合わせ面の周縁部は強く接着しているので、郵送時に誤って剥離することがない。」(【0009】)
1-ホ「【0010】上記構成は図3(決定注:図4の誤記と認められる)に示す、葉書大の一対の紙片11’、12’とが互いに全面接着されて貼り合わせ葉書を形成するものおよび図4(決定注:図5の誤記と認められる)に示す、葉書大の三葉の紙片10’、11’、12’がZ折形式に作成され、貼り合わせる葉書など、貼り合わせ面を全面接着する必要のある貼り合わせ紙面11’a、12’aの接着に適用することができるのは勿論である。」(【0010】)
上記摘示の記載1-イ?1-ホを含む明細書の記載及び図面によれば、刊行物1には、以下のとおりの考案が記載されていると認められる。
「「郵便はがき」の文字を表面に記載した左半分の紙片10、秘密にされるデータが印字される右半分の紙片11と、該紙片11と折り畳み線Lを介して連設され該紙片11に剥離可能に接着される紙片12とからなる、葉書紙面の下半分を張り合わせるチョット折り形式の葉書であって、「郵便はがき」の文字を紙片10に記載し、上記紙片12の形状を紙片11に貼り合わせた後も「郵便はがき」の文字が読み取れる形状とした葉書。」(以下、「引用考案」という。)

(2).同じく引用した刊行物2(特開平3-104697号公報)には以下の事項が記載されている。
2-イ「第1?6図は、何れも本発明に係る再剥離性の感圧接着性葉書を示すもので、図中左側に記載しているものは、葉書に構成する前段の感圧接着性葉書用シートを示しており、ミシン目cを境にして折り、接合させた場合に非接合部分bが出来るようにシートの一部に切り欠き部d又は切り抜き部eを設けると共に、接合した場合に該切り欠き部又は切り抜き部に対応するシート部分に隠蔽を望まない情報fを表示し、接合部分となるところには機密情報を表示した状態を示している。図中右側に記載しているものは、前記の感圧接着性葉書用シートのミシン目cを境にして折り、接合し葉書に構成し状態を示したものである。」(図面の簡単な説明)
上記摘示の記載を含む明細書の記載及び図面によれば、刊行物2には、以下のとおりの考案が記載されていると認められる。
「感圧接着性葉書用シートに隠蔽を望まない情報fを表示し、ミシン目cを境にして折り接合させた場合に、該情報f表示部に非接合部分が出来るようにシートの一部に切り欠き部d又は切り抜き部eを設けた再剥離性の感圧接着性葉書」

(3).同じく引用した刊行物3-1、3-2、3-3には、それぞれ、以下の事項が記載されている。
刊行物3-1:実願平1-148118号(実開平3-87279号)のマイクロフィルム
3-1-イ「第1図及び第2図に示すように、隠蔽情報表示用カードたる年賀葉書1は、折り部たる折り用ミシン目2を境にして、隠蔽情報を表示するための隠蔽情報表示部3を有する表示片4と、この表示片4の前記隠蔽情報表示部3に記載された隠蔽情報を被覆隠蔽するための隠蔽片5とを連接してなる。...隠蔽片5を折り用ミシン目2で表示片4に折り重ねると、前記隠蔽情報表示部3に重なり合い、この部分を被覆隠蔽することになる。...隠蔽片5は、...その大きさは表示片4よりは小さく」(明細書第5頁17行?第6頁10行)
3-1-ロ「第2図に示すように、隠蔽片5における前述した折り用ミシン目2で表示片4に折り重ねたときに隠蔽情報表示部3に対接する面には、前記隠蔽情報表示部3に対して剥離可能に接着するための接着構造が設けられている。」(明細書第7頁6?10行)
3-1-ハ「第3図に示すように、表示片4の隠蔽情報表示面とは反対側の面は、年賀葉書1の宛名人及び差出人の住所、氏名を記載するための郵送情報表示面12となっている。」(明細書第8頁4?7行)
3-1-ニ「年賀葉書1は通常の葉書と同様に投函可能となる。」(明細書第9頁7?8行)
刊行物3-2:特開昭64-16692号公報
3-2-イ「本発明は、郵便法に規定する第二種郵便物の内の通常はがきを作成するための通常はがき材に関する。...従来の通常はがきは、封書などの第一種郵便物に比べて郵便料金が安価である反面、情報の伝達量が少ない上に情報の機密性は全く考慮されていない。」(第1頁右欄7?14行)
3-2-ロ「第1A図及び第1B図は、本発明に係る通常はがき材を構成するシート材の一例の各々表面図及び裏面図であり、同図において、シート材(1)は、折り易いように筋付けされた折り線(2)で裏面を内側に折り重ねることができる第一葉(101)及び第二葉(201)からなり、第一葉(101)は通常はがき規格を満足する寸法を有し、第二葉(201)は、第一葉(101)に比べて、折り線(2)と対向する端縁の矩形部分(K)(一点鎖線で示す)だけ縮小されている。従って、第一葉(101)と第二葉(201)の対向裏面(9)を重ね合せたとき、第一葉(101)の端縁における矩形部分(K)が第二葉(201)と対向しない状態で残ることになる。第一葉(101)の表面には、郵便はがき文字(3)、郵便番号記入枠(4)、切手貼付枠(5)...が各々表示されている。...表裏面に所要事項が記載されたシート材(1)の第一葉(101)と第二葉(201)が折り線(2)で疑似接着積層体(23)を介して折り重ねられている。...通常はがき規格を満足するように、各々の寸法、重量、材質などが予め所要範囲に選択されている。」(第3頁右上欄18行?右下欄17行)
刊行物3-3:実願平2-66333号(実開平4-24387号)のマイクロフィルム
3-3-イ「第1図ないし第5図は本考案の一実施例による...1はダイレクトメール用ハガキで、該ダイレクトメール用ハガキ1は普通ハガキと同寸法のハガキ本体(第一紙面部)10を有し、該ハガキ本体10の両側方には普通ハガキの略半分の幅を有する折返片(第2、第3紙面部)11、12が折り返し可能に連続して設けられ、該両折返片11、12は両者によってハガキ本体10の裏面(一面)13の略全面を覆うようになっている。...上記折返片11、12はハガキ本体10の一面13側に折り返されて剥離可能に貼着される。」(明細書第7頁5行?第8頁3行)
「折返片11、12を第3図(b)に示すようにハガキ本体10との境界線16からハガキ本体10の裏面13側に折曲げ」(明細書第9頁5?8行)
上記摘示の記載及び図面によると、刊行物3-1、3-2、3-3には、それぞれ、「はがき本体(表示片4、第一葉101、ハガキ本体10)に裏面添付物(隠蔽片5、第二葉201、折返片11、12)を連接し、裏面添付物をはがき本体の端縁を折れ線(折り用ミシン目2、折り線2、境界線16)として裏面に折り返し、剥離可能な接着で密着するシークレットはがき(年賀葉書1、通常はがき、ダイレクトメール用ハガキ1)」が記載されている。

[3].本件請求項1に係る考案(前者1)と引用考案(後者)との対比・判断
(1).両者の構成上の対応関係
後者の「「郵便はがき」の文字を表面に記載した左半分の紙片10及び秘密にされるデータが印字される右半分の紙片11」、「折り畳み線L」、「連設」、「剥離可能に接着される」、「紙片12」、「チョット折り形式の葉書」は、それぞれの機能に照らして、各々前者1の「「郵便はがき」の文字を表面に記載したはがき本体」、「折れ線」、「連接」、「剥離可能な接着で密着する」、「表面添付物」、「シークレットはがき」に相当するものと認められる。
なお、権利者は、平成15年12月1日付け意見書第4頁15?22行において「本件考案の「はがき本体」が、引用考案(実願平3-29975号(実開平4-117782号)のマイクロフィルム)の紙片10,11に相当していると認定していますが、引用考案には本件考案の「表面添付物」が存在していません。なぜなら、本件考案の「表面添付物」に相当すると認定された紙片12は、本件考案の「はがき本体」に相当すると認定された紙片10,11の裏面に貼付されるものであって、裏面に貼付された紙片12から紙片10の表面に記載した「郵便はがき」の文字を読み取ることは出来ないからであります。」と主張している。しかしながら、引用考案は、紙片12の貼り合わせ面12aと、紙片11の貼り合わせ面11aが貼り合わされる(前記摘示の記載1-ニ)もので、紙片12が貼付された紙片10の表面に記載した「郵便はがき」の文字は読み取れるようになっている。そして、郵便はがきの文字や宛名10aが記載される面及びそれに続く貼り合わせ面11aが「はがき本体」に相当する紙片10,11の表面と認められるので、紙片11の表面に貼付される紙片12は表面添付物に相当する。したがって、引用考案に表面添付物が存在しないという権利者の主張は採用できない。
(2).両者の一致点、相違点
(i).一致点
「「郵便はがき」の文字を表面に記載したはがき本体の端縁に該端縁を折れ線として折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物を連接し、上記表面添付物の形状をはがき本体に密着した後も「郵便はがき」の文字が読み取れる形状とし、上記はがき本体並びに添付物が全体で1つの長方形を形成し、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着して当該はがき本体の表面に「郵便はがき」の文字が表記されるシークレットはがき。」
(ii).相違点
イ.全体で1つの長方形を形成するシークレットはがきが、前者1では、はがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線とし表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、断面Z字状に折り畳んで三つ折りにされるのに対し、後者では、裏面添付物を連接しておらず、はがき本体の1端に表面添付物を連接し、二つ折りにされる点
ロ.前者1では、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を、裏面添付物と連接するはがき本体の側端部に記載し、表面添付物を長辺の長さがはがき本体の長辺の長さと同じ長さであり短辺の長さがはがき本体に密着した後も、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる長さに形成し、はがき本体の側端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されるのに対し、後者では、表面添付物の短辺の長さがはがき本体に密着した後も、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる長さに形成されている点は同じであるが、「郵便はがき」の文字が記載される位置がはがき本体の側端部とはいえず、表面添付物の長辺の長さもはがき本体の長辺の長さと同じ長さではない点
ハ.表面添付物は、前者1では、はがき本体に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面としたのに対し、後者では、料額印面について記載がなく、宛名記載面は表面添付物ではなく、はがき本体に設けられている点
(3).相違点の検討
(i).相違点イ.について、
はがき本体に裏面添付物を連接し、裏面添付物をはがき本体の端縁を折れ線として裏面に折り返し、剥離可能な接着で密着するシークレットはがきは、前記刊行物3-1、3-2、3-3に記載されているように従来から周知である。また、シークレットはがきにおいて、断面Z字状に折り畳んだ三つ折りのものも、従来から周知(引用考案を認定した刊行物1の図5の第3実施例、異議申立人提出の甲第1号証である実願平2-65791号(実開平4-24386号)のマイクロフィルム、刊行物2である特開平3-104697号公報の第1頁右欄最下行、実開平4-67081号公報の第3図、特開平4-126786号公報、特開平5-4474号公報参照)であり、しかも、葉書の表面及び裏面に添付物を貼付することは禁止されておらず(郵便規則第16条、内国郵便約款第25条第2項)、はがきの表面及び裏面に添付物を貼付することが行われている(必要ならば、実願昭59-174164号(実開昭61-87981号)のマイクロフィルム、はがき20の表面にあて名印字部14を設けたタック、裏面に通信文印字部16を設けたタックが接着される点参照)ことを勘案すると、後者に従来から周知のはがき本体に裏面添付物を貼付する技術を組み合わせて、はがき本体の折り畳み線Lと反対側の端縁に裏面添付物を連接し、断面Z字状に折り畳んだ三つ折りとすることは当業者ならばきわめて容易に想到し得るものであって格別なものとは認められない。
(ii).相違点ロ.について、
前記刊行物2の第6図には、シートの右部分を折り線cを境にして折りシートの左部分に接合した後も住所、氏名のような隠蔽を望まない情報fをシートの左側端部に記載し、シートの左部分に接合するシートの右部分を長辺の長さがシートの左部分の長辺の長さと同じ長さであり短辺の長さがシートの左部分に接合した後も隠蔽を望まない情報が読み取れる長さに形成したものが記載されている。そして、葉書本体の「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字は、添付物が貼付された場合でも隠蔽されてはならないものであること(郵便規則第13条第1項第5号、内国郵便約款第22条第1項第6号)、表面貼付物を密着後も「郵便はがき」等の文字を読み取れるようにすることは当然考慮されること(後者、前記実願昭59-174164号(実開昭61-87981号)のマイクロフィルム、特開平5-4474号公報の「往信」の文字参照)を勘案すると、刊行物2記載の隠蔽を望まない情報の記載位置、及びシートの右部分の隠蔽を望まない情報の表記部分に対応する構成を後者の「郵便はがき」の文字の記載位置及び表面貼付物の「郵便はがき」の文字の表記部分に対応する構成に適用し、前者1のように構成することは、当業者であればきわめて容易に想到することができたものである。
(iii).相違点ハ.について、
葉書表面に料額印面及び宛名記載面を設けることは当然なされるべきこと(内国郵便約款第11条第1項)であり、料額印面及び宛名記載面を表面のどこに設けるかは、見やすい個所等を考慮して当業者が適宜選択する設計事項にすぎない。したがって、前者1が表面添付物に料額印面及び宛名記載面を設けた点は、表面添付物の大きさを考慮すれば、当業者の当然の選択である。(必要ならば、前記実願昭59-174164号(実開昭61-87981号)のマイクロフィルムの表面添付物に宛名記載面を設けた点を参照)
(4).まとめ
したがって、本件請求項1に係る考案は、前記刊行物1,刊行物2及び周知事項に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

[4].本件請求項2に係る考案(前者2)と引用考案(後者)との対比・判断
(1).両者の構成上の対応関係
前者2と後者との構成上の対応関係は、前者1についての場合と同様である。([3].本件請求項1に係る考案(前者1)と引用考案(後者)との対比・判断(1).両者の構成上の対応関係を参照)
(2).両者の一致点、相違点
(i).一致点
「「郵便はがき」の文字を表面に記載したはがき本体の端縁に該端縁を折れ線として折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物を連接し、上記表面添付物を上記はがき本体の形状から「郵便はがき」の文字の表記部分を除いた形状として上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」の文字が読み取れるように形成し、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着して当該はがき本体の表面に「郵便はがき」の文字が表記されるシークレットはがき。」
(ii).相違点
イ.シークレットはがきが、前者2では、はがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線とし表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、断面Z字状に折り畳んで三つ折りにされるのに対し、後者では、裏面添付物を連接しておらず、はがき本体の1端に表面添付物を連接し、二つ折りにされる点
ロ.前者2では、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字をはがき本体の上端部に記載し、表面添付物を上記はがき本体の形状から「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字の表記部分を除いた形状とし、はがき本体の表面に上記表面添付物を密着して、当該はがき本体の表面上端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されるのに対し、後者では、「郵便はがき」の文字が記載される位置がはがき本体の上端部ではなく、畢竟、表面添付物の形状も違ってくる点
ハ.表面添付物は、前者2では、はがき本体に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面としたのに対し、後者では、料額印面について記載がなく、宛名記載面は表面添付物ではなく、はがき本体に設けられている点
(3).相違点の検討
(i).相違点イ.について
相違点イ.については、前者1についての場合と同様である。([3].本件請求項1に係る考案(前者1)と引用考案(後者)との対比・判断(3).相違点の検討(i).相違点イ.についてを参照)
(ii).相違点ロ.ついて
前記刊行物2の第4図には、住所、氏名のような隠蔽を望まない情報fをシートの左部分上端部に記載し、シートの右部分を折り線cを境にして折りシートの左部分に接合した後も、隠蔽を望まない情報fが読み取れるように、隠蔽を望まない情報fの記載部分に対応するシートの右部分に切り欠き部dを設けたものが記載されている。そして、葉書本体の「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字は、添付物が貼付された場合でも隠蔽されてはならないものであること(郵便規則第13条第1項第5号、内国郵便約款第22条第1項第6号)、表面貼付物を密着後も「郵便はがき」等の文字を読み取れるようにすることは当然考慮されること(後者、前記実願昭59-174164号(実開昭61-87981号)のマイクロフィルム、特開平5-4474号公報の「往信」の文字参照)を勘案すると、刊行物2記載の隠蔽を望まない情報の記載位置、及び隠蔽を望まない情報の表記部分に対応するシートの右部分の切り欠き部dの構成を後者の「郵便はがき」の文字の記載位置及び表面貼付物の「郵便はがき」の文字の表記部分に対応する構成に適用し、前者2のように構成することは、当業者であればきわめて容易に想到することができたものである。
(iii).相違点ハ.について、
相違点ハ.については、前者1についての場合と同様である。([3].本件請求項1に係る考案(前者1)と引用考案(後者)との対比・判断(3).相違点の検討(i).相違点ハ.についてを参照)
(4).まとめ
したがって、本件請求項2に係る考案は、前記刊行物1,刊行物2及び周知事項に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

[5].本件請求項3に係る考案(前者3)と引用考案(後者)との対比・判断。
(1).両者の構成上の対応関係
前者3と後者との構成上の対応関係は、前者1についての場合と同様である。([3].本件請求項1に係る考案(前者1)と引用考案(後者)との対比・判断(1).両者の構成上の対応関係を参照)
(2).両者の一致点、相違点
(i).一致点
「「郵便はがき」の文字を表面に記載したはがき本体の端縁に該端縁を折れ線として折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物を連接し、「郵便はがき」の文字を上記はがき本体に記載し、上記表面添付物は上記はがき本体の形状から「郵便はがき」の文字の表記部分を除いた形状として上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」の文字が読み取れるように形成し、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着して当該はがき本体の表面に記載した「郵便はがき」の文字が表記されるシークレットはがき。」
(ii).相違点
イ.シークレットはがきが、前者3では、はがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線とし表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、断面Z字状に折り畳んで三つ折りにされるのに対し、後者では、裏面添付物を連接しておらず、はがき本体の1端に表面添付物を連接し、二つ折りにされる点
ロ.前者3では、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を裏面添付物と連接するはがき本体の側端部又は上端部に記載し、表面添付物に、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる孔(5)を設け、はがき本体の表面に表面添付物を密着して当該はがき本体の表面に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が上記孔を介して表記されるのに対して、後者では、「郵便はがき」の文字の記載位置が裏面添付物と連接するはがき本体の側端部又は上端部いずれでもなく、表面添付物には読み取り孔は設けておらず、畢竟、はがき本体の表面に表面添付物を密着しても「郵便はがき」の文字は孔を介して表記されない点
ハ.表面添付物は、前者3では、はがき本体に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面としたのに対し、後者では、料額印面について記載がなく、宛名記載面は表面添付物ではなく、はがき本体に設けられている点
(3).相違点の検討
(i).相違点イ.について
相違点イ.については、前者1についての場合と同様である。([3].本件請求項1に係る考案(前者1)と引用考案(後者)との対比・判断(3).相違点の検討(i).相違点イ.についてを参照)
(ii).相違点ロ.について
前記刊行物2の第1図及び第2図には、シートの右部分をシートの左部分に接合した後も住所、氏名のような隠蔽を望まない情報fをシートの左部分の折り線cと反対の側端部(第2図)や上端部(第1図)に記載し、シートの右部分に隠蔽を望まない情報fが読み取れる孔eを形成したものが記載されている。そして、葉書本体の「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字は、添付物が貼付された場合でも隠蔽されてはならないものであること(郵便規則第13条第1項第5号、内国郵便約款第22条第1項第6号)、表面貼付物を密着後も「郵便はがき」等の文字を読み取れるようにすることは当然考慮されること(後者、前記実願昭59-174164号(実開昭61-87981号)のマイクロフィルム、特開平5-4474号公報の「往信」の文字参照)を勘案すると、刊行物2記載の隠蔽を望まない情報の記載位置、及び隠蔽を望まない情報の表記部分に対応するシートの右部分の孔eの構成を後者の「郵便はがき」の文字の記載位置及び表面貼付物の「郵便はがき」の文字の表記部分に対応する構成に適用し、前者3のように構成することは、当業者であればきわめて容易に想到することができたものである。
(iii).相違点ハ.について、
相違点ハ.については、前者1についての場合と同様である。([3].本件請求項1に係る考案(前者1)と引用考案(後者)との対比・判断(3).相違点の検討(i).相違点ハ.についてを参照)
(4).まとめ
したがって、本件請求項3に係る考案は、前記刊行物1,刊行物2及び周知事項に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第五.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1ないし3に係る考案は、いずれも実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件請求項1ないし3に係る考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してなされたものであり、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
三つ折りシークレットはがき
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字(4)を表面に記載したはがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記裏面添付物と連接する上記はがき本体の側端部に記載し、上記表面添付物を長辺の長さが上記はがき本体の長辺の長さと同じ長さであり短辺の長さが上記はがき本体に密着した後も「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる長さに形成し、上記はがき本体並びに両端辺に連接する上記表面添付物及び裏面添付物が全体で1つの長方形を形成し、上記表面添付物は上記はがき本体に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面側端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されることを特徴とする三つ折りシークレットはがき。
【請求項2】「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字(4)を表面に記載したはがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記はがき本体の上端部に記載し、上記表面添付物を上記はがき本体の形状から「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字の表記部分を除いた形状として上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように形成し、上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面上端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されることを特徴とする三つ折りシークレットはがき。
【請求項3】「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字(4)を表面に記載したはがき本体(1)の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物(2)及び裏面添付物(3)を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記裏面添付物と連接する上記はがき本体の側端部又は上端部に記載し、上記表面添付物は上記はがき本体に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字(4)が読み取れる孔(5)を設けて上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように形成し、上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面(6)を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が上記孔を介して表記されることを特徴とする三つ折りシークレットはがき。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、情報、特に親展情報を大量に記載することができ、かつ、郵便はがきとして郵送可能なシークレットはがきに関している。
【0002】
【従来の技術】
従来、親展情報を郵便はがきで郵送するための方法として、郵便はがきに記載された親展情報部分に剥離可能な特殊シールを添付物として貼付し、親展情報を隠蔽する方法が知られていた。
【0003】
又、親展情報を郵送するためのシークレットはがきとして、はがき本体の片端に当該はがき本体と同じ大きさの添付用紙を連接したはがき2枚大の大きさのシークレットはがきが知られている。これは、2つ折りに畳んではがき本体と添付用紙とを剥離可能に貼付することにより、貼付面に記載された親展情報を隠蔽するものである。
【0004】
しかしながら、はがき2枚大の大きさのシークレットはがきでは、情報を記載することができる面は最大で片面4面、うち親展情報を記載することができる面は貼付面である片面2面であり、それ以上の情報の記載は不可能であった。
【0005】
情報を記載することができる面を増やすため、はがき本体に連接する添付用紙にさらに添付用紙を連接した発明が提案されたことがある(特開平4-59395号公報第5図及び第6図、特開平3-108594号公報第1図)。
【0006】
ところで現行の郵便規則によれば、はがき本体には添付物を1枚に限り貼付することができるから、はがき本体に連接する添付用紙にさらに添付用紙を連接して各々の用紙を剥離可能とした構成では、郵便はがきの取り扱いが受けられないため、提案された発明は郵便はがきとして郵送ができないという問題がある。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
本考案が解決しようとする課題は、情報を記載することができる面が片面6面分、このうち親展情報を記載することができる面が片面4面分あり、かつ、郵便はがきとして郵送可能なシークレットはがきを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
解決手段の第1は、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を表面に記載したはがき本体の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物及び裏面添付物を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記裏面添付物と連接する上記はがき本体の側端部に記載し、上記表面添付物を長辺の長さが上記はがき本体の長辺の長さと同じ長さであり短辺の長さが上記はがき本体に密着した後も「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる長さに形成し、上記はがき本体並びに両端辺に連接する上記表面添付物及び裏面添付物が全体で1つの長方形を形成し、上記表面添付物は上記はがき本体に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面側端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されることを特徴とする。
【0009】
解決手段の第2は、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を表面に記載したはがき本体の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物及び裏面添付物を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記はがき本体の上端部に記載し、上記表面添付物を上記はがき本体の形状から「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字の表記部分を除いた形状として上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように形成し、上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面上端部に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が表記されることを特徴とする。
【0010】
解決手段の第3は、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を表面に記載したはがき本体の両端に該両端縁を折れ線として断面Z字状に折り畳んで剥離可能な接着で密着する表面添付物及び裏面添付物を連接し、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を上記裏面添付物と連接する上記はがき本体の側端部又は上端部に記載し、上記表面添付物は上記はがき本体に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れる孔を設けて上記はがき本体の表面に密着したとき当該「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように形成し、上記表面添付物は上記はがき本体の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の表記面に現れる面に料額印面を設けると共に当該面を宛名記載面とし、上記はがき本体の表面に上記表面添付物を密着すると共に裏面に上記裏面添付物を密着して当該はがき本体の表面に記載した「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が上記孔を介して表記されることを特徴とする。
【0011】
【実施例】
第1実施例
図1は本考案の第1実施例の展開時の平面図であり、図2は同裏面図である。図3は第1実施例の折り畳み方法を示す図であり、図4は第1実施例を折り畳んだ状態の平面図である。
【0012】
はがき本体1は、長方形形状で表面左端付近に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4が記載されている。表面添付物2は長方形形状であるが、大きさは、はがき本体1と長辺の長さのみ同じで短辺の長さは該表面添付物2をはがき本体1に密着したときに「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4が読み取れるように短くなっている。一方、裏面添付物3ははがき本体1と同形同大である。なお、実施例では、はがき本体1に「POST CARD」の文字を表記しているが、この他「郵便はがき」「郵便葉書」をはじめこれに相当する文字を含むものとする。
【0013】
又、裏面添付物3の長辺は、はがき本体1の表面左端の長辺に連接され、表面添付物2の長辺は、はがき本体1の表面右端に連接されている。従って裏面添付物3及びはがき本体1並びに表面添付物2は、図1に示すように、全体で1つの長方形を形成する構成となっている。なお、表面添付物2には、はがき本体1の表面に密着したとき「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字の表記面に現れる部分に料額印面6を設けると共に、当該面を宛名記載面とする。
【0014】
第1実施例は、図1における折れ線10を山折りし、折れ線11を谷折りして断面Z字状に折り畳み(図3)、表面添付物2をはがき本体1の表面に、裏面添付物3をはがき本体1の裏面にそれぞれ剥離可能かつ再貼付不能な接着で密着するが、表面添付物2の短辺の長さがはがき本体1の短辺の長さより短くなっているため、図4に示すように、表面添付物2をはがき本体1に密着した後もはがき本体1の表面左端付近の「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4が読み取れるようになっている。
【0015】
第1実施例は、片面6面分の記載面積を有しており、そのうち表面添付物2及び裏面添付物3の密着により隠蔽される面(片面4面分)に親展情報が記載できる。
【0016】
又、第1実施例は、裏面添付物3及びはがき本体1並びに表面添付物2が全体で1つの長方形を形成する構成であるので、例えば帯状の用紙を長方形形状に切断することにより極めて容易に製造することができる。
【0017】
第2実施例
図5は本考案の第2実施例の展開時の平面図であり、図6は第2実施例を折り畳んだ状態の平面図である。
【0018】
はがき本体1は、長方形形状で表面上端付近に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4が記載されている。表面添付物2も長方形形状であるが、大きさは、はがき本体1と短辺の長さのみが同じで、長辺の長さははがき本体1に密着した後も「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字が読み取れるように上端側が短くなっている。一方、裏面添付物3は、はがき本体と同形同大である。
【0019】
裏面添付物3の長辺は、はがき本体1の表面左端の長辺に連接され、表面添付物2の長辺は、はがき本体1の表面右端の長辺に下端を揃えて連接されているので、裏面添付物3及びはがき本体1並びに表面添付物2は、全体で図5に示すような構成となっている。
【0020】
第2実施例は、図5における折れ線10を山折りし、折れ線11を谷折りして断面Z字状に折り畳み(図3)、表面添付物2をはがき本体1の表面に、裏面添付物3をはがき本体1の裏面にそれぞれ剥離可能かつ再貼付不能な接着で密着するが、表面添付物2の長辺の長さがはがき本体1の長辺の長さより短くなっているため、図6に示すように、表面添付物2をはがき本体1に密着した後もはがき本体1の表面上端付近の「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4が読み取れるようになっている。
【0021】
第2実施例は、表面添付物2の長辺がはがき本体1の長辺より僅かに短いが、それでも各面6面分の記載面積を有しており、うち表面添付物2及び裏面添付物3の密着により隠蔽される面(片面4面分)には親展情報が記載できる。
【0022】
第3実施例
図7は本考案の第3実施例の展開時の平面図であり、図8は第3実施例を折り畳んだ状態の平面図である。
【0023】
はがき本体1は、長方形形状で表面上端付近に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4が記載されている。表面添付物2は、はがき本体1と同形同大の外形であるが、はがき本体1に密着した後も「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4が読み取れるように上端部に孔5が設けられている。なお裏面添付物3は、はがき本体1と同形同大である。
【0024】
裏面添付物3の長辺は、はがき本体1の表面左端の長辺に連接され、表面添付物2の長辺は、はがき本体1の表面右端の長辺に連接されているので、裏面添付物3及びはがき本体1並びに表面添付物2は、図7に示すように、全体の外形が1つの長方形を形成している。
【0025】
第3実施例は、図7における折れ線10を山折りし、折れ線11を谷折りして断面Z字状に折り畳み(図3)、表面添付物2をはがき本体1の表面に、裏面添付物3をはがき本体1の裏面にそれぞれ剥離可能かつ再貼付不能な接着で密着するが、表面添付物2の上端部には孔5が設けられているため、図8に示すように、表面添付物2をはがき本体1に密着した後もはがき本体1の表面上端付近の「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4が読み取れるようになっている。
【0026】
第3実施例は、表面添付物2に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字4を露出させるための孔5が設けられているが、それでも片面6面分の記載面積を有しており、このうち表面添付物2及び裏面添付物3の密着により隠蔽される面(片面4面分)には親展情報が記載できる。
【0027】
【考案の効果】
本考案は、情報を記載することができる面が片面6面分あり、このうち親展情報を記載することができる面が片面4面分あって、かつ郵便はがきとしての郵送が可能であるとの効果がある。
【0028】
さらに、はがき本体及び表面添付物並びに裏面添付物が全体で1つの長方形を形成する構成とすれば、例えば帯状の用紙を長方形形状に切断するだけでシークレットはがきの切り出しができるため、三つ折りシークレットはがきの製造が極めて容易となる。
【0029】
一方、表面添付物を、はがき本体の形状から「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字の表記部分のみを除いた形状とすれば、情報記載のための面積をより大きく取ることができる。
【0030】
また、「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を読み取れるようにするためには、表面添付物の端部を短くした構成にする他、シークレットはがき全体を切り出した後に表面添付物の端部や端部の一部を切除したり、表面添付物に「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字を露出させるための孔を設けたりすることもでき、情報記載の都合にあわせて種々の形態を選択することが可能である。
【0031】
なお、本考案では表面添付物の面積がはがき本体の面積より小さいため、はがき本体及び表面添付物並びに裏面添付物を同一の用紙で製造した場合に、はがき本体の重量が2グラム以上であって、かつ、はがき全体の重量が6グラム以下(現行の郵便規則)とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
第1実施例の展開時の平面図。
【図2】
第1実施例の展開時の裏面図。
【図3】
第1実施例の折り畳み方法を示す図。
【図4】
第1実施例を折り畳んだ状態の平面図。
【図5】
第2実施例の展開時の平面図。
【図6】
第2実施例を折り畳んだ状態の平面図。
【図7】
第3実施例の展開時の平面図。
【図8】
第3実施例を折り畳んだ状態の平面図。
【符号の説明】
1 はがき本体
2 表面添付物
3 裏面添付物
4 「郵便はがき」又は「POST CARD」の文字
5 孔
6 料額印面
10 折れ線
11 折れ線
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-02-09 
出願番号 実願平5-62513 
審決分類 U 1 651・ 121- ZA (B42D)
最終処分 取消    
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 藤井 靖子
白樫 泰子
登録日 2001-11-30 
登録番号 実用新案登録第2607691号(U2607691) 
権利者 久野 浩
神奈川県横浜市神奈川区栄町2番地の3
考案の名称 三つ折りシークレットはがき  
代理人 中山 清  
代理人 中山 清  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ