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審決分類 審判 全部申し立て   B41M
管理番号 1124341
異議申立番号 異議2002-72136  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2005-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-08-28 
確定日 2005-08-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2607665号「壁装材」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2607665号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2607665号の請求項1及び請求項2に係る考案は、平成5年5月21日に実用新案登録出願され、平成13年11月9日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、請求項1及び請求項2に係る考案の実用新案登録について大日本印刷株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年2月20日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年8月31日に訂正請求がなされたので、実用新案登録異議申立人に対し審尋がなされたが応答がなかったものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.実用新案登録権者が求めている訂正の内容は、次のとおりである。
訂正事項a:実用新案登録請求の範囲の請求項1を以下の通り訂正する(下線箇所は訂正箇所を示す)。
「【請求項1】再生パルプを主体として抄紙した再生紙の表面に、水性インキと非塩化ビニル系樹脂による柄層を設けた壁装材であって、前記再生紙が、再生パルプの混合量を変えた上層紙と下層紙の2層抄きからなることを特徴とする壁装材。」から、
「【請求項1】再生パルプを主体として抄紙した再生紙の表面に、水性インキと非塩化ビニル系樹脂による柄層を設けた壁装材であって、前記再生紙が、再生パルプの混合量を変えた上層紙と下層紙の2層抄きからなり、かつ長繊維と短繊維の割合を同じにして抄紙したことを特徴とする壁装材。」に訂正する。

イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、明細書の段落番号【0010】の記載に基づいて、2層抄きの再生紙の構成を技術的に限定するものであり、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第2項の規定により準用され、同付則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正前特許法第126条第1項乃至第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.実用新案登録異議の申立てについての判断
ア.本件の請求項1及び請求項2に係る考案
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1及び請求項2に係る考案(以下、「本件考案1」及び「本件考案2」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】再生パルプを主体として抄紙した再生紙の表面に、水性インキと非塩化ビニル系樹脂による柄層を設けた壁装材であって、前記再生紙が、再生パルプの混合量を変えた上層紙と下層紙の2層抄きからなり、かつ長繊維と短繊維の割合を同じにして抄紙したことを特徴とする壁装材。
【請求項2】前記非塩化ビニル系樹脂の主成分がアクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の壁装材。」

イ.引用例等
当審が取消理由として通知した引用例である、引用例1:実願昭54-185183号(実開昭56-98435号)のマイクロフィルム(登録異議申立人が提出した甲第1号証)、引用例2:特開昭56-26098号公報には、それぞれ下記の事項が記載されている。

[引用例1]
a.「(1)紙間剥離性を有する壁紙基材と、その表面に印刷された第1の模様と、さらにその表面に盛り上げ印刷された第2の模様と、これら表面全体を被覆し、上記壁紙基材の表面層に含浸した透明性樹脂コート層とを具備してなる紙壁紙。(2)第2の模様は発泡インキを用いて盛り上げ印刷されたものである実用新案登録請求の範囲1項記載の紙壁紙。(3)壁紙基材が2枚抄き紙又は貼り合わせ紙からなる実用新案登録請求の範囲1又は2項記載の紙壁紙。」(実用新案登録請求の範囲1、2、3項)。
b.「図中、1は壁紙基材であって、紙間剥離性、すなわち2層に分離し易いものであって、表面保護層・・・等を設けたのち外力を加えると容易に2層に分離する性質を有する紙材からなる。ただし、それ単体では外力を加えても紙間剥離が生じにくい壁紙基材である。たとえば2層抄きしたもの、2枚貼り合わせ紙であって、表面層は長繊維の含有割合を裏層より多くしたもの、表面層のサイズ度を下げたもの、裏層に故紙を用い、表面層に合成パルプを混抄したものなどを用いることができる。」(第3頁16行?第4頁6行)。
c.「この壁紙基材1の表面にはたとえばグラビア印刷等で第1の模様3が施されている。この第1の模様3は通常のインキでたとえば布模様等を施したものである。この第1の模様3の上面には盛り上げ印刷により第2の模様5、たとえば織目を表現した模様が付されている。・・・その手段としては発泡インキを用いる方法、・・・グラビア印刷あるいはスクリーン印刷する方法などを採用しておこなうことができる。なお、この盛り上げ印刷用インキは盛り上げ後、後述する透明性樹脂コート層が適当量浸透するような配合のもので、かつ、発泡剤入り、・・・が好ましい。このようなインキを用いることによって、透明性樹脂コート層が若干盛り上げ部に浸透することにより、盛り上げ部と、それ以外の部分との光択が若干異なることになり、付された柄の立体感あるいはクロス感が顕著となる。」(第4頁9行?第5頁11行)。
d.「上記第1の模様3、第2の模様5等を付した上面には全体を被覆し、その一部が壁紙基材1の表面層に含浸するようにして透明性樹脂コート層7がさらに設けられている。この樹脂コート層7としてはたとえばウレタン樹脂、アクリル樹脂、・・・適宜使用することができる。」(第5頁17行?第6頁5行)。
e.「貼り替えをおこなう場合においては、樹脂コート層の形成により生ずる紙間剥離性を有する壁紙基材を用い、これに印刷層、表面保護層としての樹脂コート層を被着、含浸させるようにしたから、壁紙基材の表面層と上記印刷層および表面保護層とが一体的になった状態で紙間剥離性すなわち壁紙基材裏面層と容易に分離させることができ、その剥がし跡が平らとなるから、そのままその上に新たな壁紙を貼着することもできる。」(第7頁6?15行)。

[引用例2]
a.「本発明は紙壁紙に関し、特に通気性があり、かつエンボス模様が消失しにくい紙壁紙の製造法に関するものであり、更にはピーラブル性を有する紙壁紙の製造法に関するものである。」(第1頁左下欄15?18行)。
b.「本発明は第1図に示すように木材パルプ層(1)上に平均繊維長0.2?1.4mm、太さ20?50μより成る例えばポリエチレン系合成パルプ等の合成パルプを木材パルプに混抄した混抄層(2)を抄き合わせ、かつ合成パルプの重量比が全木材パルプに対し3?20%である2層抄き合せ原紙(3)上に、インキ画像(4)を任意手段により形成し、次いで透明コート剤(5)例えばアクリル系、あるいはウレタン系トップコート剤等を塗布形成した後、エンボスロールにてエンボス加工を施して成るピーラブル性を有する紙壁紙の製造方法である。」(第2頁左上欄12行?右上欄2行)。
c.「壁紙原紙の木材パルプ層と混抄層との境で、あるいは木材パルプ層間で剥がれるピーラブル性をも有している」(第2頁右上欄10?13行)。
d.「〈実施例1〉以下の構成(1)からなる木材パルプ層上に、構成(2)からなる混抄層を抄き合わせた2層抄き合せ原紙・・・木材パルプ層(80g/m^(3)) 構成1{木材パルプ(針葉樹製クラフトパルプ(NBKP)25重量%、広葉樹製クラフトパルプ(LBKP)50重量%、・・・混抄層(80g/m^(3)) 構成2{木材パルプ(NBKP20重量%、LBKP30重量%、ポリエチレン樹脂合成パルプ25重量%、・・・」(第2頁右上欄16行?左下欄末行)。

ウ.対比・判断
(1)まず、本件考案1について検討する。
引用例1の上記記載a?eを含む明細書及び図面の記載からみて、引用例1には、下記の考案が記載されている。
「裏層に故紙を用い、表面層に合成パルプを混抄した紙間剥離性を有する2層抄きした壁紙基材1と、その表面に通常のインキで印刷された第1の模様3と、さらにその表面に発泡インキを用い盛り上げ印刷された第2の模様5と、これら表面全体を被覆し、前記壁紙基材1の表面層に含浸したアクリル樹脂コート層7を設けた紙壁紙。」(以下、「引用例1考案」という。)

そこで、本件考案1と引用例1考案とを対比する。
本件考案1の「水性インキと非塩化ビニル系樹脂による柄層」との記載では、非塩化ビニル系樹脂が柄層となるように形成されていなくとも、壁装材の表面全体を被覆するものをも含むと解される。
引用例1考案の壁紙基材1は、裏層に故紙を用い、表面層に合成パルプを混抄した紙間剥離性を有する2層抄きしたものであるから、再生パルプを抄紙した再生紙であるといえ、この再生紙は再生パルプの混合量を変えた上層紙と下層紙の2層抄きからなるといえる。
引用例1考案のアクリル樹脂コート層7は、引用例1の上記記載c、dからみて、紙壁紙の柄層の形成に寄与しているものである。
してみると、本件考案1の「水性インキと非塩化ビニル系樹脂による柄層を設けた」と、引用例1考案の「通常のインキで印刷された第1の模様3と、さらにその表面に発泡インキを用い盛り上げ印刷された第2の模様5と、これら表面全体を被覆し、前記壁紙基材1の表面層に含浸したアクリル樹脂コート層7を設けた」とは、アクリル樹脂は非塩化ビニル系樹脂であるから、「インキと非塩化ビニル系樹脂による柄層を設けた」点で共通する。
また、引用例1考案の「紙壁紙」は、本件考案1の「壁装材」に相当する。

してみると、本件考案1と引用例1考案とは、
「再生パルプを抄紙した再生紙の表面に、インキと非塩化ビニル系樹脂による柄層を設けた壁装材であって、前記再生紙が、再生パルプの混合量を変えた上層紙と下層紙の2層抄きからなることを特徴とする壁装材。」である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:壁装材を構成する再生紙について、本件考案1では、再生パルプを主体として抄紙したとしているのに対して、引用例1考案においては、その点が明確ではない点。
相違点2:柄層を設ける際に用いられるインキ等について、本件考案1では、水性インキと非塩化ビニル系樹脂であるとしているのに対して、引用例1考案においては、通常のインキ、発泡インキ、アクリル樹脂であるとしている点。
相違点3:本件考案1では、長繊維と短繊維の割合を同じにして抄紙したとしているのに対して、引用例1考案においては、繊維長とその割合について記載がない点。

上記相違点について検討する。
まず、相違点1について。
本件考案1において、「再生パルプを主体として抄紙した」の意味するところは、本件実用新案登録掲載公報の記載「故紙を漂白材、塩酸等で処理した再生パルプに、少量のバージンパルプを加えて抄紙した再生パルプ率の高い再生紙は脆く、このため使用した基材(10)である再生紙による上層紙(10b) は、バージンパルプ50%、再生パルプ50%で抄紙して、下層紙(10a) よりもバージンパルプの混合率を高くしたものを使用した。一方、下層紙(10a) はバージンパルプ30%、再生パルプ70%で抄紙して、前記の上層紙と下層紙による2層抄きの再生紙を使用したものである。但し、上層紙と下層紙を合わせて再生紙率(再生パルプの混合量)は65%以上とした。」(段落【0009】)からみて、上層紙と下層紙を合わせて再生紙率(再生パルプの混合量)を65%以上としたことであると解されるが、実用新案登録請求の範囲には、再生紙率は規定されていない。
一方、引用例1考案では、「裏層に故紙を用い、表面層に合成パルプを混抄した」紙壁紙(壁装材)であるから、再生紙率は明記されていないが、表面層と裏層とを合わせた再生紙率は50%以上であると解するのが自然である。
してみると、引用例1考案において、表面層と裏層の厚みにも関係してくるだろうが、「再生パルプを主体として抄紙した」と規定できる程度に抄紙し、相違点1に係る本件考案1の如く構成することは、当業者が適宜なし得る単なる設計上の問題にすぎない。

次に、相違点2について。
引用例1の壁紙基材1の表面層には、アクリル樹脂コート層7が設けられており、該アクリル樹脂コート層7は非塩化ビニル系樹脂であり、紙壁紙の柄層の形成に寄与しているものである。
また、塗被紙等の紙基体表面に水性塗料、即ち、水性インキを塗布する点は、例えば特開昭48-82106号公報に「(a)顔料100重量部、(b)熱可塑性合成樹脂の水性分散液からなる接着剤10?50重量部(固形分として)、(c)アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれた少なくとも1種と、これらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体とを、その単量体重量比が90:10?10:90の割合で共重合した共重合体の水性分散液ないし水溶液0.1?5重量部(固形分として)を含有する水性塗料を紙基体表面に塗布、乾燥したのち、該塗被紙を少くとも75℃以上に加熱したロール或いはドラムに圧接して仕上げることを特徴とする塗被紙の製造方法。(特許請求の範囲)」と記載されているように周知である。
してみると、上記周知技術を引用例1考案に適用し、相違点2に係る本件考案1の如く構成することは、当業者がきわめて容易に想到し得たものである。

次に、相違点3について。
紙壁紙の製造に際して、長繊維と短繊維を混抄することは、引用例2にもみるように周知である(引用例2の記載dにおける、針葉樹製クラフトパルプ(NBKP)は長繊維、広葉樹製クラフトパルプ(LBKP)は短繊維である。)。
そして、抄紙に用いられるパルプ原料の調整・配合は、紙に要求される品質に応じて、当業者が適宜行い得ることも周知である。
例えば、平滑(印刷適正)を重視する場合には短繊維である広葉樹パルプを主体に配合し、強度を重視する場合には長繊維である針葉樹パルプを主体に配合するものである。
壁紙の製造に際しても、例えば特開昭58-208486号公報にもみるように、針葉樹パルプ(長繊維)、広葉樹パルプ(短繊維)の特性を考慮しつつ、これらを適宜配合することは周知である。
してみると、抄紙に用いられるパルプ原料の調整・配合に際して、長繊維と短繊維の割合を同じにし、相違点3に係る本件考案1の如く構成することは、当業者が必要に応じ適宜なし得る設計上の問題にすぎない。

そして、これらの相違点1乃至相違点3の構成を組み合わせてみても、本件考案1が格別の効果を奏するものということはできない。
したがって、本件考案1は、引用例1及び引用例2に記載された考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

(2)次に、本件考案2について検討する。
本件考案2は、本件考案1において、非塩化ビニル系樹脂の主成分がアクリル樹脂からなることに限定するものである。
しかしながら、上記(1)においても説示したように、引用例1の壁紙基材1の表面層には、アクリル樹脂コート層7が設けられており、該アクリル樹脂コート層7は紙壁紙の柄層の形成に寄与しているものである。

したがって、本件考案2は、引用例1及び引用例2に記載された考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

エ.むすび
以上のとおりであるから、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してなされたものと認める。
したがって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
壁装材
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
再生パルプを主体として抄紙した再生紙の表面に、水性インキと非塩化ビニル系樹脂による柄層を設けた壁装材であって、前記再生紙が、再生パルプの混合量を変えた上層紙と下層紙の2層抄きからなり、かつ長繊維と短繊維の割合を同じにして抄紙したことを特徴とする壁装材。
【請求項2】
前記非塩化ビニル系樹脂の主成分がアクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の壁装材。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、内装用化粧材として壁紙或いは襖紙等に用いられ、特に基材として再生紙を用いた施工性の優れた壁装材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から内装用の化粧材、特に壁紙或いは襖紙等として、例えば、図2(A)に示すように、紙壁紙(25)において基材(20)に坪量100g/m^(2)前後の難燃紙又は一般紙に、塩化ビニル系樹脂インキを使用しグラビア印刷等により柄層を設け、更にその表面にプレス機又は発泡剤入り塩化ビニルペーストによる、凹凸模様を形成した製品や、また、図2(B)に示すように、ビニール壁紙(25)として難燃処理した坪量70?80g/m^(2)の難燃性裏打紙(20)に、塩化ビニルペースト層(23)をコートし、その表面に塩化ビニル系樹脂インキによる柄層(21)を設け、更に、全面又は部分的に発泡剤、又は抑制剤入りの発泡剤を混練りした塩化ビニルペースト(22)を設け、全体を190℃?210℃の発泡炉で発泡させた壁装材が知られている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の壁装材は既に壁紙の貼ってある壁の場合、紙壁紙においては剥がし剤等を用いて剥がすが、綺麗に剥がれずに壁面に紙層が部分的に残り壁面が平滑ならない。また、ビニール壁紙の場合も、表面層(塩化ビニルペースト層)と下地層(難燃性裏打紙)の2層になっているので、表面の塩化ビニルペースト層のみを剥がして、壁に残った下地層の上から貼ることになるが、表面層と下地層の層間が綺麗に剥がれずに、壁面に下地層の凹凸が残ったりする。即ちいずれの場合も、ピーラブル性(層間剥離のように表面が平滑に綺麗に剥がれる)が低く、施工の際に壁面を平らにする手間がかかる問題と、ビニール壁紙の場合は、更に剥がした表面層の塩化ビニルペースト層の処理についても問題として残されている。
【0004】
そこで本考案は、基材に再生紙の2層抄き用紙を用いて、柄層として水性インキと非塩化ビニル系樹脂を使用した壁装材を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記の課題を解決するために、基材(10)として再生パルプの混合量を変えた上層紙(10b)と下層紙(10a)の2層抄き用紙からなる再生紙を用いて、その表面に水性インキ(11)と非塩化ビニル系樹脂(12)による柄層(14)を設けたことを特徴とする壁装材(15)である。
【0006】
【作用】
本考案は、基材として再生紙の2層抄き用紙を用いることで、壁装材の貼り替えの際、用紙の上層紙(10b)と下層紙(10a)の接合部分から、剥がし剤を使わなくとも相関剥離現象のように綺麗に剥がれ、しかも下層紙(10a)の表面には凹凸が残らない。
【0007】
【実施例】
図に基づき実施例を説明する。図1は、本考案の実施例における壁装材の一例を示す側面図である。
【0008】
図1に示すように、基材(10)に再生紙の2層抄きの用紙を使用したもので、上層紙(10b)と下層紙(10a)の割合は、1:1がピーラブル性が優れており、上層紙(10b)の割合が少なくなるとピーラブル性が落ちる。
【0009】
また、故紙を漂白材、塩酸等で処理した再生パルプに、少量のバージンパルプを加えて抄紙した再生パルプ率の高い再生紙は脆く、このため使用した基材(10)である再生紙による上層紙(10b)は、バージンパルプ50%、再生パルプ50%で抄紙して、下層紙(10a)よりもバージンパルプの混合率を高くしたものを使用した。一方、下層紙(10a)はバージンパルプ30%、再生パルプ70%で抄紙して、前記の上層紙と下層紙による2層抄きの再生紙を使用したものである。但し、上層紙と下層紙を合わせて再生紙率(再生パルプの混合量)は65%以上とした。
【0010】
この再生紙の2層抄き用紙は、水中伸縮(横方向の伸びて、乾くと伸びた以上に縮む)を0.8%以下にするため、長繊維と短繊維の割合を同じにして抄紙したものである。この2層抄きの再生紙として、(株)サンファイバー製、SF-160Tを実施例において使用した。
【0011】
本考案においては、難燃性を持たせるための難燃剤を、通常使用しているリン酸化合物からポリマータイプに変更することで層間強度の向上が図れた。
【0012】
また、この壁紙を貼る場合、オープンタイム(接着剤を塗布してから接着する迄の時間)を長くすることで施工も容易になるため、この再生紙はサイズ度を上げて抄紙した。また印刷で水性ニスをコーティングしてオープンタイムを長くすることも可能である。
【0013】
<実施例1>
基材(10)として、再生紙の2層抄き用紙を用いて、その表面に、先ず、水性インキ(11)を用いてグラビア印刷を行って下地模様を設け、この下地模様上に発泡剤を混合した非塩化ビニル系樹脂(12)をグラビア印刷して柄層(14)を形成し、この非塩化ビニル系樹脂を発泡炉で発泡さて凹凸模様を形成したものである。この非塩化ビニル系樹脂(12)の主成分はアクリル樹脂の水性エマルジョンで、(有機成分30g/m^(2)以下)からなり、例えば、アトム化学塗料(株)製のクリーンコート♯45Tが適している。
【0014】
【考案の効果】
本考案の壁装材は、基材に再生紙の2層抄き用紙を使用しているので、近年注目されている環境問題に対応した製品であり、これまでの壁装材に比べピーラブル性、オープンタイム、施工性に優れた壁紙である。また、副次的効果として焼却処理が可能となり、塩化ビニル系樹脂を使用していないので有毒ガスの発生がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例における壁装材の一例を示す側面図である。
【図2】壁装材としての紙壁紙(A)とビニール壁紙(B)の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 …基材(2層抄き再生紙)
10a …下層紙
10b …上層紙
11 …水性インキ
12 …非塩化ビニル系樹脂
14 …柄層
15 …壁装材
20 …基材(難燃紙又は一般紙、難燃裏打紙)
21 …柄層
22 …発泡剤入り塩化ビニル樹脂
23 …塩化ビニルペースト
25 …紙壁紙とビニール壁紙
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-07-05 
出願番号 実願平5-26640 
審決分類 U 1 651・ 121- ZA (B41M)
最終処分 取消  
前審関与審査官 畑井 順一  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 藤井 靖子
谷山 稔男
登録日 2001-11-09 
登録番号 実用新案登録第2607665号(U2607665) 
権利者 凸版印刷株式会社
東京都台東区台東1丁目5番1号
考案の名称 壁装材  
代理人 石川 泰男  
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