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審決分類 審判    B44C
管理番号 1129016
審判番号 無効2005-40003  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2006-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-07-20 
確定日 2005-12-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第3110777号実用新案「携帯用品のためのシールアクセサリー」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3110777号の請求項1、2に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
(1)本件実用新案登録第3110777号の請求項1、2に係る考案(以下、「本件考案1、2」という。)についての出願は、平成17年4月1日に出願され、平成17年5月18日にそれらの考案について実用新案権の設定登録がされたものである。
(2)これに対して、請求人は、平成17年7月20日に、本件考案1、2についての実用新案登録を無効にするとの審決を求める審判を請求した。
(3)一方、被請求人は、平成17年9月13日付けで審判事件答弁書を提出した。

2.請求人の主張
請求人は、証拠方法として甲第1号証(特開2005-119085公報)を提示し、本件考案1、2は、特願2003-355292号の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であるから、本件考案1、2についての実用新案登録は、実用新案法第3条の2の規定に違反してなされたものであり、無効とすべきである旨主張している。

3.被請求人の主張
被請求人の主張の概要は、以下のとおりである。
(1)本考案1、2の構成の内、「A:透明プラスチックフィルムによる表面シート(1)に第1の粘着剤を塗布し」、「B:該第1の粘着剤の塗布面に装飾資材(3)を用いて任意の形状にデザインした装飾模様(10)を形成し」及び「F:携帯用品のためのシールアクセサリー」との構成が甲第1号証に記載されていることは認める。しかし、「C:上記装飾資材の裏面に第2の粘着剤を塗布して」、「D:上記表面シートとともにセパレーター(5)に剥離可能に接合したものであって」、「E:上記第2の粘着剤の粘着力を上記第1の粘着剤よりも強く形成したこと」及び「G:装飾模様(10)を形成する装飾資材(3)は、第2の粘着剤を塗布する面が平坦に形成したこと」との構成は、甲第1号証には記載されていない。(審判事件答弁書第3頁21行?26行)
(2)請求人は、甲第1号証の段落【0023】に記載された「また、実施の形態では剥離紙5を剥がした後、粒子素子1の裏面に接着剤9をつけるようにしたが、予め粒子素子1の裏面に接着を兼ねた強粘着剤を塗布しておけば、剥離紙4を剥がした後直ちに加飾対象物品10に貼り付けることができ、さらに作業が簡単となる。」が、本件考案1、2の上記C?Eの構成と一致していると主張するが、甲第1号証には上記文言が記載されているだけであり、強粘着剤については図面の開示もなく、他に、粘着剤についての記載はなされていない。(審判事件答弁書第4頁22行?第5頁1行)
(3)甲第1号証の「粒子素材1の裏面の強粘着剤」の記載では、「強粘着剤」が何と比較して強い粘着力を有しているのかの記載はなされていない。(審判事件答弁書第5頁15行?20行)
(4)甲第1号証には、発明の願望ないし着想と言った類の記載がなされているだけであって、物品についての技術的思想たる発明考案が具体的に記載されていない。(審判事件答弁書第5頁21行?23行)

4.本件考案
本件考案1、2は、設定登録時の願書に添付された明細書又は図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
〈本件考案1〉
「透明プラスチックフィルムによる表面シート(1)に第1の粘着剤を塗布し、該第1の粘着剤の塗布面に装飾資材(3)を用いて任意の形状にデザインした装飾模様(10)を形成し、上記装飾資材の裏面に第2の粘着剤を塗布して上記表面シートとともにセパレーター(5)に剥離可能に接合したものであって、上記第2の粘着剤の粘着力を上記第1の粘着剤よりも強く形成したことを特徴とする携帯用品のためのシールアクセサリー。」
〈本件考案2〉
「装飾模様(10)を形成する装飾資材(3)は、第2の粘着剤を塗布する面が平坦に形成したことを特徴とする請求項1に記載の携帯用品のためのシールアクセサリー。」

5.先願発明
本件出願の日前の平成15年10月15日に出願された他の特許出願であって本件出願後の平成17年5月12日に出願公開された特願2003-355292号の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。なお、その記載内容については、上記出願の出願公開公報である甲第1号証を援用する。)には、以下の事項が記載されている。
(1)段落【0015】
「以下本発明の好ましい実施の形態につき添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明が適用される粒子素材を示すものである。図における粒子素子1は透明ないし各色に着色された着色透明の天然または人工の宝石素材をダイヤモンドカット形状などの多角形状に成形加工した裏面平坦な断面台形状の粒子本体2と、粒子本体2の裏面にコーティングされた反射体となる座体3からなるもので、この粒子素材1の大きさは実際には直径2?6mm程度の各種大きさの粒子となっている。・・・」
(2)段落【0016】
「各粒子素子1は所定の模様パターンで集合配列され、図2、及び図3(a)に示すように、透明ないし半透明の弱粘着フィルムないしシートよりなる粘着紙4の粘着面4aに表面側が固定され、その裏面に台紙兼用の剥離紙5でサンドイッチされ、宝飾ユニット6として完成する。そして、この宝飾ユニット6を透明ビニール袋などに入れて個別に店頭販売することができる。」
(3)段落【0019】
「次に以上の宝飾ユニット6を用いて加飾対象物品に貼り付ける場合の作業手順を図3を用いて説明する。
まず(a)に示す積層状態から、(b)に示すように剥離紙5を引き剥がす。この状態においては、各粒子素子1は粘着紙4の粘着力により所定のパターン模様に保持されており、以後の作業においてもその集合形状に保持されたままとなる。
次に(c)に示すように粘着紙4の表面を設置面として適宜水平な作業台7上におき、爪楊枝などの接着媒体8を用いて、各粒子素子1の裏面に接着剤9を滴下する。
接着剤9としては、比較的流動性が高く、遅乾性であって、硬化後は高い接着性を示す接着剤が望ましい。また、このため前記宝飾ユニット6とともに接着剤をセット販売することもできる。」
(4)段落【0020】
「その後は、(d)に示すように粘着紙4を裏返し、各粒子素子1の裏面を加飾対象物品10の表面に設置し、粘着紙4を貼着すれば、各粒子素子1は加飾対象物品10の表面に粘着紙4を介して仮固定される。なお、加飾対象物品10が曲面形状であったり、粘着紙4のみでは仮固定しにくい素材である場合には、補助用として接着テープを併用して仮固定することができる。」
(5)段落【0021】
「経時後に接着剤9が完全硬化したならば、粘着紙4を表面から引き剥がせば、接着剤9の接着力との差によって粘着紙4のみが引き剥がされ、(e)に示すように、粒子素子1のみが加飾対象物品10の表面に強固に固定されたまま残置され、加工が終了する。」
(6)段落【0022】
「図4は一例として、加飾対象物品10が携帯電話である場合の適用例を示すもので、図示例では図2(a)に示されるハートと花柄が転写されているほか、適宜な花模様を表面の各部に配置している場合を示し、オリジナルの電話に比べて視覚的には携帯電話表面に輝きを持つハートや花柄の模様が立体的に象嵌され、豪華な外観となる。」
(7)段落【0023】
「また、実施の形態では剥離紙5を剥がした後、粒子素子1の裏面に接着剤9をつけるようにしたが、予め粒子素子1の裏面に接着を兼ねた強粘着剤を塗布しておけば、剥離紙4を剥がした後直ちに加飾対象物品10に貼り付けることができ、さらに作業が簡単となる。」

以上の記載事項からみて、先願明細書には、段落【0023】の記載に対応する実施の態様として、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
「透明ないし半透明の弱粘着フィルムないしシートよりなる粘着紙4の粘着面4aに、透明ないし各色に着色された着色透明の天然または人工の宝石素材をダイヤモンドカット形状などの多角形状に成形加工した裏面平坦な断面台形状の粒子本体2と、粒子本体2の裏面にコーティングされた反射体となる座体3からなる粒子素子1を所定の模様パターンで集合配列し、上記粒子素子1の裏面に接着を兼ねた強粘着剤を塗布して上記粘着紙4とともに台紙兼用の剥離紙5に剥離可能に接合したものである携帯電話のための宝飾ユニット6。」

先願発明に関して、被請求人は、甲第1号証の段落【0023】には、「また、実施の形態では剥離紙5を剥がした後、粒子素子1の裏面に接着剤9をつけるようにしたが、予め粒子素子1の裏面に接着を兼ねた強粘着剤を塗布しておけば、剥離紙4を剥がした後直ちに加飾対象物品10に貼り付けることができ、さらに作業が簡単となる。」との文言が記載されているだけであり、強粘着剤については図面の開示もなく、他に、粘着剤についての記載はなされていない、甲第1号証には、発明の願望ないし着想と言った類の記載がなされているだけであって、物品についての技術的思想たる発明考案が具体的に記載されていないから、本件考案1、2の「上記装飾資材の裏面に第2の粘着剤を塗布して」、「上記表面シートとともにセパレーター(5)に剥離可能に接合したものであって」、及び「装飾模様(10)を形成する装飾資材(3)は、第2の粘着剤を塗布する面が平坦に形成したこと」に対応する構成は、甲第1号証には記載されていない旨主張する。(上記3.(1)、(2)、(4)参照)
そこで、当該請求人の主張について検討するに、なるほど段落【0023】の記載に対応する実施の態様は図面としては記載されておらず、また、「強粘着剤」が具体的にどのようなものか記載されていないものの、他の段落の記載事項と併せてみれば、段落【0023】の記載に対応する実施の態様は当業者が技術思想として把握できる程度には充分開示されていると認められ、したがって、被請求人の上記主張は採用できない。

6.対比
本件考案1、2と先願発明とを対比すると、先願発明の「透明ないし半透明の弱粘着フィルムないしシートよりなる粘着紙4の粘着面4a」が本件考案1、2の「透明プラスチックフィルムによる表面シート(1)に第1の粘着剤を塗布し、該第1の粘着剤の塗布面」に、先願発明の「粒子素子1を所定の模様パターンで集合配列し」が本件考案1、2の「装飾資材(3)を用いて任意の形状にデザインした装飾模様(10)を形成し」に、先願発明の「透明ないし各色に着色された着色透明の天然または人工の宝石素材をダイヤモンドカット形状などの多角形状に成形加工した裏面平坦な断面台形状の粒子本体2と、粒子本体2の裏面にコーティングされた反射体となる座体3からなる粒子素子1」が本件考案1の「装飾資材(3)」及び本件考案2の「第2の粘着剤を塗布する面が平坦に形成した」「装飾資材(3)」に、先願発明の「接着を兼ねた強粘着剤」が本件考案1、2の「第2の粘着剤」に、先願発明「台紙兼用の剥離紙5」が本件考案1、2の「セパレーター(5)」に、先願発明の「携帯電話のための宝飾ユニット6」が本件考案1、2の「携帯用品のためのシールアクセサリー」に、それぞれ相当することは明らかである。
そうすると、本件考案1と先願発明とは、
「透明プラスチックフィルムによる表面シートに第1の粘着剤を塗布し、該第1の粘着剤の塗布面に装飾資材を用いて任意の形状にデザインした装飾模様を形成し、上記装飾資材の裏面に第2の粘着剤を塗布して上記表面シートとともにセパレーターに剥離可能に接合したものである、携帯用品のためのシールアクセサリー」である点で一致し、、
また、本件考案2と先願発明とは、
「透明プラスチックフィルムによる表面シートに第1の粘着剤を塗布し、該第1の粘着剤の塗布面に装飾資材を用いて任意の形状にデザインした装飾模様を形成し、上記装飾資材の裏面に第2の粘着剤を塗布して上記表面シートとともにセパレーターに剥離可能に接合したものである、携帯用品のためのシールアクセサリーであって、装飾模様を形成する装飾資材は、第2の粘着剤を塗布する面が平坦に形成した携帯用品のためのシールアクセサリー」である点で一致する。
そして、本件発明1、2と先願発明とは、以下の点で相違する。
〈相違点〉
本件考案1、2は、第2の粘着剤の粘着力を第1の粘着剤よりも強く形成したのに対して、先願発明は、第2の粘着剤の粘着力を第1の粘着剤よりも強く形成したとは特定されていない点。

7.相違点についての判断
先願明細書には、第1、2の粘着剤の粘着力に関して、以下のとおり記載されている。
(1)「・・・弱粘着フィルムないしシートよりなる粘着紙4・・・」(上記摘記事項(2)参照)
(2)「接着剤9としては、比較的流動性が高く、遅乾性であって、硬化後は高い接着性を示す接着剤が望ましい。」(上記摘記事項(3)参照)
(3)「経時後に接着剤9が完全硬化したならば、粘着紙4を表面から引き剥がせば、接着剤9の接着力との差によって粘着紙4のみが引き剥がされ、(e)に示すように、粒子素子1のみが加飾対象物品10の表面に強固に固定されたまま残置され・・・」(上記摘記事項(5)参照)
(4)「・・・予め粒子素子1の裏面に接着を兼ねた強粘着剤を塗布」(上記摘記事項(7)参照)
先願明細書に記載の、装飾資材の裏面に第2の粘着剤を塗布するのではなく、使用時に装飾資材の裏面に接着剤を使用する実施の態様において、接着剤の接着力が第1の粘着剤の粘着力よりも強いことは、上記(3)に記載されるとおり、「粘着紙4を表面から引き剥がせば、接着剤9の接着力との差によって粘着紙4のみが引き剥がされ、・・・粒子素子1のみが加飾対象物品10の表面に強固に固定されたまま残置され」ることから明らかである。
そして、先願明細書に記載の、接着剤を使用することに換えて、「予め粒子素子1の裏面に接着を兼ねた強粘着剤を塗布」する実施の態様、すなわち、先願発明においても、上記(3)に記載されると同様に、「粘着紙4を表面から引き剥がせば、・・・粘着紙4のみが引き剥がされ、・・・粒子素子1のみが加飾対象物品10の表面に強固に固定されたまま残置され」る必要のあることは、そうではない状況を考えると、自明のことである。
また、上記(1)、(4)に示すとおり、先願発明の第1の粘着剤に対応する部分には「弱粘着・・・」と、また、第2の粘着剤に対応する部分には「強粘着剤」と記載されている。
そうすると、先願発明においても、第2の粘着剤の粘着力を第1の粘着剤の粘着力よりも強く形成していると解するのが相当である。
したがって、上記相違点は、表現上の相違であって、実質上の相違ではない。

8.むすび
以上のとおりであるから、本件考案1、2は先願発明と実質上同一であり、しかも、本件考案1、2の考案者が上記先願発明の発明者と同一であるとも、また、本件出願の出願時に、本件出願の出願人が上記先願の出願人と同一であるとも認められないから、本件考案1、2についての実用新案登録は、実用新案法第3条の2の規定に違反してなされたものであって、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-10-07 
結審通知日 2005-10-13 
審決日 2005-10-25 
出願番号 実願2005-1746(U2005-1746) 
審決分類 U 1 114・ 161- Z (B44C)
最終処分 成立  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 佐々木 正章
豊原 邦雄
登録日 2005-05-18 
登録番号 実用新案登録第3110777号(U3110777) 
考案の名称 携帯用品のためのシールアクセサリー  
代理人 西村 教光  
代理人 中山 清  
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