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審決分類 審判 全部無効   A41C
管理番号 1130892
審判番号 無効2005-80210  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2006-03-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-07-06 
確定日 2006-01-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2600182号実用新案「ブラジャー」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2600182号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
登録第2600182号実用新案の実用新案登録は、平成4年12月12日に出願され、平成11年8月6日にその設定登録がなされている。
これに対して、平成17年7月6日付けで、審判請求人古澤邦子より、実用新案登録無効審判の請求がなされ、被請求人に対して期間を指定して答弁の機会を与えたが、被請求人は何らの答弁をなしていない。

2.請求人の求めた審判
請求人は、本件に係る出願の出願時における周知技術を立証するために、
甲第2号証:特開昭60-110901号公報、及び、
甲第3号証:特開昭60-126303号公報
を提出すると共に、刊行物に記載された考案を立証するために、
甲第1号証:カタログ「1988セシレーヌFALL&WINTER」(1988年7月1日 株式会社セシール発行)
を提出して、甲第2、3号証に示される周知技術を前提として、甲第1号証をみれば、本件実用新案登録に係る考案は、甲第1号証の第315,345頁に記載された考案であり、甲第1号証は、本件に係る出願の出願前に頒布された刊行物であるから、本件請求項1に係る考案は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第1項の規定により、なおその効力を有するとされる実用新案法(以下、「旧実用新案法」と記載する。)第3条第1項第3号に規定する考案であり、同考案についての実用新案登録は、旧実用新案法第37条第1項第1号の規定により無効とすべき旨主張している。

3.当審の判断
3-1 本件実用新案登録の請求項1に係る考案
登録第2600182号実用新案の請求項1に係る考案は、実用新案登録に記載された以下のとおりのものである。
「カップの外周下側縁にワイヤーを縫着した女性用下着であるブラジャーにおいて、バストを支えるカップの下部から側部にかけて概略三日月形のダブルアップサポートを重ね合わせ、その外側を上記カップ下側縁に縫着し、その上端はストラップに連結したことを特徴とするブラジャー。」(以下、「本件考案」という。)

3-2 甲第1号証について、
甲第1号証は、表紙に「1988セシレーヌFALL&WINTER」と記載され、裏表紙下方に「愛と信頼をお届けするカタログ販売のセシール」と記載されると共に、その下行に、「…発行日1988年7月1日…秋・冬号…」 と記載されている。よって甲第1号証は、商品の販売を行うためのカタログであり、1988年の秋及び冬の商品を消費者に紹介するするためのものと解されるので、あえて頒布に制限を加えたとは考えがたく、発行日として記載される1988年7月1日に、日本国内において頒布されたものと認める。
以下、甲第1号証に記載される考案について検討する。
甲第1号証の第345頁の左下に「ソフトワイヤー入り」との記載されると共に、「○フランス製高級リバレースを贅沢にあしらった大人の女性ためのブラです。
○カップ下からストラップにかけて当てたサイドパネル(補強布)がバストをしっかりアップさせます。」と記載されている。記載される「ブラ」がブラジャーを意味することは明らかであり、ブラジャーが女性用の下着であることも、その直接の記載をまつまでもなく明らかである。
また、ブラジャーのカップは、通常バストを支持、保形させるための部材であり、さらに、甲第1号証の第345頁の各写真よりカップがバストを支えていることを把握可能であるので、甲第1号証には、
記載事項a ソフトワイヤー入りの女性用下着であるブラジャーにおいて、バストを支えるカップを介してバストをアップさせるサイドパネル(補強布)を有するブラジャー
が記載されるものと認める。
さらに、甲第1号証の同頁右下の「ホワイト」と記載されるブラジャーの写真、「ブラック」と記載されるブラジャーの写真、及び、それら写真の下方に図示される「※美しいレースのサイドパネルでバストアップ」と記載された図の記載によれば、サイドパネル(補強布)は、概略三日月形の形状をなしており、ブラジャーのカップに重ね合わせて配置されるとともに、その重なる範囲は、カップの下部から側部の範囲と認められる。
また、「※美しいレースのサイドパネルでバストアップ」と記載された図によれば、サイドパネル(補強布)の外側のみが上記カップ下側縁に取り着けられ、残余の部分はカップに取り付けられてはおらず、さらに、その上方の端部は、ストラップに連続されている。
そして、ブラジャーにおいて、各布等の取り付け手段として、縫着を用いることは慣用される手段であり、さらに、甲第1号証の第315頁上方の「研究とチェックがくり返される、縫製工場」と表題される中央欄に、「裁断生地は熟練された縫製技術者の手によって約30のミシン工程を経ることになります。…」と記載されることを併せ勘案すれば、サイドパネル(補強布)の外側とカップ下側縁の取り付け手段として、「縫着」を想定することが普通であり、甲第1号証の記載から、当業者であれば、サイドパネル(補強布)の外側がカップ下側縁に縫着されることを把握可能というべきであるので、甲第1号証には、
記載事項b カップの下部から側部にかけて概略三日月形のサイドパネル(補強布)を重ね合わせ、その外側をカップ下側縁に縫着し、その上端をストラップに連結したブラジャー
が実質的に記載されるものと認める。

上記記載事項a、bは、一商品群に係る記載であるから、それらを総合すると、甲第1号証には、
ソフトワイヤー入りの女性用下着であるブラジャーにおいて、バストを支えるカップの下部から側部にかけて概略三日月形のサイドパネル(補強布)を重ね合わせ、その外側を上記カップ下側縁に縫着し、その上端はストラップに連結したブラジャー
の考案が記載されている。

3-3 対比判断
甲第1号証に記載される考案と本件考案とを対比すると、甲第1号証に記載される考案の「サイドパネル(補強布)」は、その配置される位置、バストアップを行う機能からみて、本件考案の 「ダブルアップサポート」に相当し、甲第1号証に記載される考案の「ソフトワイヤー」は、本件考案の「ワイヤー」に対応する部材であり、本件考案の「ワイヤー」がソフトワイヤーを排除するものとは認められないので、両考案は、
ワイヤー入りの女性用下着であるブラジャーにおいて、バストを支えるカップの下部から側部にかけて概略三日月形のダブルアップサポートを重ね合わせ、その外側を上記カップ下側縁に縫着し、その上端はストラップに連結したブラジャー
の考案である点で一致し、一見すると両考案には、以下の差異が認められる。
[両考案の差異]
本件考案は、カップの外周下側縁にワイヤーを縫着するものであるが、甲第1号証の考案は、ソフトワイヤー入りであることは記載されるものの、ワイヤーの配置等について特段の明記はない点

以下、上記差異について検討する。
一般にワイヤー入りのブラジャーにおいて、ワイヤーの配置は、カップの外周下側縁にワイヤーを縫着することが通常であり、甲第1号証の前記「ソフトワイヤー入り」なる記載に接した当業者であれば、その具体的設計の一形式として、カップの外周下側縁にワイヤーを縫着することを把握可能であり、他の形式があり得るとしても、甲第1号証の記載より、カップの外周下側縁にワイヤーを縫着するという通常のワイヤーの配置を排除して甲第1号証の記載を解すべき特段の事情は認められない。
さらに、本件実用新案登録に係る明細書の記載をみても、通常に配置・縫着されるワイヤー以上の格別の開示は認められない。
したがって、カップの外周下側縁にワイヤーを縫着する点は、甲第1号証に記載される「ソフトワイヤー入り」なる技術的事項を前提に、設計者が具体的なブラジャーの設計を行うに当たり、当然にその設計の選択に含められる範疇の事項であり、上記差異は、単なる設計上の事項に属するものであって、上記差異をもって、本件考案が甲第1号証に記載された考案とは別異の新たな考案を構成するものとは認められない。

4.むすび
以上説示の通り、本件考案の全構成は、実質的に刊行物1に記載されており、本件考案は、旧実用新案法第3条第1項第3号に規定する考案であるから、同考案についての実用新案登録は、旧実用新案法第37条第1項第1号の規定により無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-11-10 
結審通知日 2005-11-15 
審決日 2005-11-29 
出願番号 実願平4-90776 
審決分類 U 1 113・ 121- Z (A41C)
最終処分 成立  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 石田 宏之
種子 浩明
登録日 1999-08-06 
登録番号 実用新案登録第2600182号(U2600182) 
考案の名称 ブラジャー  
代理人 平崎 彦治  
代理人 五十嵐 光永  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 中村 智廣  
代理人 青谷 一雄  
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