• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判    A47L
管理番号 1146418
審判番号 無効2005-40007  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2006-12-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-07-08 
確定日 2006-10-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第3100801号実用新案「モップ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3100801号の請求項1ないし6に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件実用新案登録第3100801号の請求項1?6に係る考案についての出願は、平成15年10月1日の出願であって、平成16年1月21日にその実用新案権の設定登録がなされ、その後、その請求項1?6についての実用新案登録に対して、請求人より、平成17年7月8日に、実用新案登録無効審判の請求がなされたものである。
なお、被請求人に対して、期間を指定して答弁の機会を与えたが、被請求人からは何らの答弁もなされていない。

第2 本件考案
本件請求項1?6に係る考案(以下順に、「本件考案1」?「本件考案6」という。)は、実用新案登録請求の範囲の請求項1?6に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
1 本件考案1
スポンジ、防水層、二つの面ファスナー、網状不織布、4箇所の両面接着テープにより構成して、高周波、超音波による付着方法により前記スポンジ、防水層、面ファスナー、網状不織布を結合し、前記網状不織布に集塵溝及び塵を取り除く波紋を設けることを特徴とするモップ。
2 本件考案2
前記スポンジは、四角形状に形成され、該スポンジは網状不織布の上方、防水層の下方へ設けることを特徴とする請求項1記載のモップ。
3 本件考案3
前記防水層は、スポンジの大きさと同じであり、このスポンジの上方へ設けることを特徴とする請求項1記載のモップ。
4 本件考案4
前記面ファスナーは、それぞれ防水層の左右両側の2個所に設け、並びにモップ本体の上方に設けた面ファスナーに接合することを特徴とする請求項1記載のモップ。
5 本件考案5
前記網状不織布は、スポンジの下方に設けることを特徴とする請求項1記載のモップ。
6 本件考案6
前記両面接着テープは、それぞれ前記網状不織布の決められた4箇所へ設け、前記網状不織布を折り返して両面接着テープをモップ本体へ粘着することを特徴とする請求項1記載のモップ。

第3 請求人の主張
1 無効理由1(実用新案法第5条第6項第1号違反)
請求項1に係る考案の範囲には、例えば天然セルロースのように熱融着性のない素材で構成されたスポンジ、防水層、面ファスナー、網状不織布で構成されたものが含まれる。
しかし、熱融着性のない素材は、高周波または/および超音波による付着方法では結合できない。
このため、出願時の技術常識に照らしても、請求項1に係る考案の範囲まで考案の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
また、請求項2ないし6はいずれも請求項1に従属する。
したがって、本件考案1?6についての実用新案登録は、実用新案法第5条第6項に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたものであり、実用新案法第37条第1項第4号の規定により無効にされるべきものである。

2 無効理由2(実用新案法第5条第6項第2号違反)
(1)本件考案1について
スポンジ、防水層、面ファスナー、網状不織布、両面接着テープは、互いにどのような位置関係で結合されているか不明であり、また、「網状」という考案特定事項の技術的意味が理解できない。
「高周波、超音波による付着方法」という記載は、記載自体が不明確で技術的意味が理解できない。
「塵を取り除く波紋」という考案特定事項の技術的意味が理解できない。
したがって、本件考案1が不明確である。
(2)本件考案2について
二つの面ファスナーおよび両面接着テープとスポンジ等との位置関係が不明である。
「高周波、超音波による付着方法」、「網状不織布」、「塵を取り除く波紋」についてこれらを明確にする記載はない。
したがって、本件考案2は不明確である。
(3)本件考案3について
網状不織布、二つの面ファスナーおよび両面接着テープとスポンジ等との位置関係が不明である。
「高周波、超音波による付着方法」、「網状不織布」、「塵を取り除く波紋」についてこれらを明確にする記載はない。
したがって、本件考案3は不明確である。
(4)本件考案4について
スポンジ、網状不織布および両面接着テープと防水層等との位置関係が不明である。
「高周波、超音波による付着方法」、「網状不織布」、「塵を取り除く波紋」についてこれらを明確にする記載はない。
したがって、本件考案4は不明確である。
(5)本件考案5について
防水層、面ファスナーおよび両面接着テープと網状不織布等との位置関係が不明である。
「高周波、超音波による付着方法」、「網状不織布」、「塵を取り除く波紋」についてこれらを明確にする記載はない。
したがって、本件考案5は不明確である。
(6)本件考案6について
スポンジ、防水層、および面ファスナーと網状不織布等との位置関係が不明である。
「高周波、超音波による付着方法」、「網状不織布」、「塵を取り除く波紋」、「モップ本体」についてこれらを明確にする記載はない。
したがって、本件考案6は不明確である。

以上のとおり、本件考案1?6は不明確となっているから、本件考案1?6についての実用新案登録は、実用新案法第5条第6項第2号に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたものであり、実用新案法第37条第1項第4号の規定により無効にされるべきものである。

3 無効理由3(実用新案法第5条第4項違反)
本件考案1?6は不明確であるため、各請求項及び考案の詳細な説明から考案が把握できない。
また、熱融着性のないスポンジ等を用いた具体例が、当業者がその実施をできる程度に明確かつ十分に説明されていない。
したがって、本件考案1?6についての実用新案登録は、実用新案法第5条第4項に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたものであり、実用新案法第37条第1項第4号の規定により無効にされるべきものである。

4 無効理由4(実用新案法第3条第2項違反)
本件考案1?6は、甲第1?5号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、本件考案1?6についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、実用新案法第37条第1項第2号の規定により無効にされるべきものである。
【証拠方法】 甲第1号証:特表2001-521432号公報
甲第2号証:特開平8-131388号公報
甲第3号証:特開2002-119452号公報
甲第4号証:特開平9-322874号公報
甲第5号証:特表平11-511496号公報

第4 当審の判断
1 無効理由4(実用新案法第3条第2項違反)について
(1)甲各号証の記載事項
甲各号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
ア 甲第1号証(以下、「刊行物1」という。)
(ア)「上面と下面とを有する清掃パッドであって、該清掃パッドはZ次元において多数の幅を有することを特徴とし、そして更に該清掃パッドは、a.洗浄層、b.吸収層、及びc.該清掃パッドを消掃器具のハンドルに機械的に取り付けるためのオプションの取り付け層を有することを特徴とし、該吸収層が該洗浄層と、あれば該オプションの取り付け層との間に配置されていることを特徴とする清掃パッド。」(【特許請求の範囲】の請求項10)
(イ)「液体供給手段を有する好適なハンドルが図1aに描かれている。図1aを参照するに、清掃器具1は、握り8,長い柄2,液体溜4及び支持ヘッド3を有する。支持ヘッド3は上面9と下面5を有し、下面5は符号7として示される清掃パッドを取り外し自在に取り付けるように構成されてい
る。」(11頁15行?18行)
(ウ)「洗浄層は、清掃中汚染面に接触する清掃パッドの部分である。…(中略)…器具が、洗浄溶液と一緒に(即ち、湿潤状態で)使用されようと、洗浄溶液を用いずに(即ち、乾燥状態で)使用されようと、洗浄層は、微粒子状物質を除去するのに加えて、清掃されている表面のつや出し、ちり取り、及び磨きのような他の機能を容易化する。洗浄層は一層構造でも、その層の一つ又は複数か、汚染面の擦り及び粒状物質の吸い上げを容易化するようにスリットが入れられる多層構造でも良い。」(13頁3行?12行)
(エ)「吸収層は、使用中に液体を吸収して保持することができる任意の材料を有する。」(14頁17行?18行)
(オ)「本発明の清掃パッドはオプションとして、パッドを器具のハンドル、又は好適な器具の支持ヘッドに結合させることができる取り付け層を有する。この取り付け層は、吸収層がパッドをハンドルの支持ヘッドに取り付けるのに適さない実施例では必要である。取り付け層は、液体が清掃パッドの頂部表面(即ちハンドル接触表面)を貫流するのを阻止するための手段としても機能し、更にパッドの一体性を高めることもできる。…(中略)…本発明の好適な実施例において、取り付け層は、既知のフック・ループ技術を用いてハンドルの支持ヘッドに機械的に取り付けることができる表面を有す
る。このような実施例では、取り付け層は、ハンドルの支持ヘッドの底部表面に永久的に固定されたフックに機械的に取り付けできる少なくとも1つの表面を含んでいる。所望の液体不浸透性及び取り付け性を実現するためには、例えばメルトブロー-フィルム状及び繊維状の不織布構造を含む積層構造を用いるのが好ましい。」(24頁13行?26行)
(カ)「清掃パッドを構成する種々の層は、清掃プロセス中パッドに十分な一体性を与える任意の手段を用いて一緒に結合することができる。洗浄層及び取り付け層は、吸収層又は相互の層に種々の接着手段、例えば接着剤の一様な連続層、接着剤のパターン化層、又は接着剤の分離した列、スパイラル又は点の列等の使用によって接着することができる。その代わりに、接着手段は熱接着、加圧接着、超音波接着、動的機械的接着又は当業者に公知の他の適切な接着手段又はこれら接着手段の組み合わせを含むことができる。」(28頁11行?17行)
(キ)図3には、洗浄層201と、取り付け層203と、洗浄層201と取り付け層203との間に配置された吸収層205とを有し、各々の層が四角形状に形成された取り外し自在の清掃パッド200が図示されている。

上記(ア)?(キ)の記載事項及び図示内容からみて、刊行物1には次の考案(以下、「引用考案」という。)が記載されていると認められる。
「洗浄層201と、取り付け層203と、洗浄層201と取り付け層203との間に配置された吸収層205とを有し、各々の層が四角形状に形成された取り外し自在の清掃パッド200であって、清掃パッド200を構成する種々の層は、超音波接着等により結合され、取り付け層203は、液体不浸透性であり、また、既知のフック・ループ技術を用いてハンドルの支持ヘッド3の底部表面に機械的に取り付けることができる表面を有する清掃パッド200。」

イ 甲第2号証(以下、「刊行物2」という。)
(ア)「そこで、上述した全ての掃除具の問題点を解決するために、拭布を両面テープにて掃除具に貼着させる方法も考えられる。ところが、公知の両面テープは、拭布の素材として用いられる紙や不織布に対しては再剥離が不可能であるため、両面テープを拭布側に付設しなければならず、その結果、拭布の汎用性が失われ、また、拭布のコストが高くなるなどの問題が生じることが容易に推測される。」(段落【0015】)
(イ)「…(略)…押台上面の幅方向の両端部近傍には、それぞれ1本ずつの溝54、54が形成されている。そして、前記溝54、54の中には、水洗型再剥離粘着剤が充填され、乾燥されて、粘着部55、55が形成されている。」(段落【0020】)
(ウ)「そして、台座53に上述した拭布60を巻き付けた後、拭布60を前記粘着部55、55に押圧して粘着させて、拭布60を掃除具50に装着し、固定して所望の箇所を清掃する。…(中略)…このような掃除具50は、台座上面に押台52が積層されてなり、この押台上面の幅方向の両端部近傍に、水洗型再剥離粘着剤からなる粘着部55、55が形成され、さらに前記押台上面に棒状の柄部51が連結されたものであるので、拭布60を台座53に巻き付けて、その両端部を粘着部55、55に図3に示すように押し付けるだけで、拭布60の装着が完了し、かつ、使用後の拭布60は、その一端を持って粘着部55、55から引き剥がすことにより除去できるため、拭布60の装着および除去が簡単に行える。…(略)…」(段落【0030】【0031】)

ウ 甲第3号証(以下、「刊行物3」という。)
「【請求項1】モップタイプの清掃具の先端に装着して使用するシート状の使い捨て雑巾において、吸水性に優れた吸収体部と;前記吸収体部を挟んで保持する親水性の表面シートとを備え、少なくとも当該雑巾の使用面において、凹凸パターンを形成したことを特徴とする使い捨て雑巾。…(中略)…
【請求項5】前記パターンは、前記清掃具を滑らす方向に対してほぼ垂直に延びる波線状であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の使い捨て雑巾。…(略)…」(【特許請求の範囲】)

エ 甲第4号証(以下、「刊行物4」という。)
(ア)「【発明の実施の形態】図1は本発明のワイピング布1を示すものであって、布体2の裏面に間隔をおいて、面ファスナーのフック側に接合し得るループを有するシート3が固着されている。そしてこのワイピング布1は、図2に示すように、把手4の先端に保持具5を取付けた清掃具6の前記保持具5に取付けて使用される。」(段落【0014】)
(イ)「すなわち保持具5には面ファスナーのフック側シート7が取付けられており、その保持具5の下面においてフック側シート7にシート3を接合することにより、保持具5にワイピング布1が取付けられるようになっている。」(段落【0015】)
(ウ)図1には、布体2に二つのシート3が固着されたワイピング布1が図示されている。

(2)対比、判断
ア 本件考案1について
本件考案1と引用考案とを比較する。
引用考案の「超音波接着等」、「清掃パッド200」は、その機能、構造からみて、本件考案1の「高周波、超音波による接着方法」、「モップ」に相当し、引用考案の「洗浄層201」と本件考案1の「網状不織布」は、床等の表面を清掃する層であるから、清掃層である点で共通し、引用考案の「吸収層205」と本件考案1の「スポンジ」は、液体を吸収する層であるから、吸収層である点で共通し、引用考案の「取り付け層203」は、液体不透過性であるから、本件考案1の「防水層」に相当する。
また、引用考案の「既知のフック・ループ技術」と本件考案1の「二つの面ファスナー」は、機械的取り付け手段である点で共通する。
そうすると、両者は、本件考案1の用語を用いて表現すると、
「吸収層、防水層、機械的取り付け手段、清掃層により構成して、高周波、超音波による付着方法により吸収層、防水層、清掃層を結合したモップ。」である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本件考案1は4箇所の両面接着テープを備えているのに対して、引用考案は、該テープを備えていない点。
<相違点2>
吸収層、清掃層に関し、本件考案1はスポンジ、網状不織布であって、網状不織布に集塵溝及び塵を取り除く波紋を設けているのに対して、引用考案は、単に吸収層、洗浄層である点。
<相違点3>
機械的取り付け手段に関し、本件考案1は二つの面ファスナーであって、各層に高周波、超音波による付着方法により結合しているのに対し、引用考案は、二つの面ファスナーか否か、また、結合手段が明確でない点。

上記相違点1?3について以下検討する。
(ア)相違点1について
刊行物2には、両面テープを拭布側に付設し、拭布を両面テープにて掃除具に貼着させる方法が記載されている(第4 1(1)イ(ア)参照)。
ところで、刊行物2記載の両面テープは、本件考案1の両面接着テープに相当する。そして、両面テープ(両面接着テープ)を何箇所に設けるかは、当業者の必要に応じて適宜なし得る設計的事項である。
したがって、4箇所の両面接着テープを備えることは、引用考案及び刊行物2記載の考案から当業者がきわめて容易に想到し得たことである。
(イ)相違点2について
液体を吸収する吸収層としてスポンジを用いることは例示するまでもなくきわめて周知の技術である。
また、刊行物3には、モップタイプの清掃具の先端に装着して使用するシート状の使い捨て雑巾において、吸水性に優れた吸収体部と;前記吸収体部を挟んで保持する親水性の表面シートとを備え、少なくとも当該雑巾の使用面において、清掃具を滑らす方向に対してほぼ垂直に延びる波線状の凹凸パターンを形成したことを特徴とする使い捨て雑巾が記載されている(第4 1(1)ウ参照)。
ところで、刊行物3記載の「波線状の凹凸パターン」は、その構造からみて、凹部において塵埃等の汚れを収容し、清掃の効率を向上することは明らかであり、また、波紋を形成していると云えるから、本件考案1の「集塵溝及び塵を取り除く波紋」に相当する。そして、清掃層として、網状不織布を用いることは、本件明細書にも記載されているとおり例示するまでもなくきわめて周知の技術である。
そうすると、上記刊行物3記載の考案に接した当業者ならば、上記周知の技術を考慮すると、吸収層、清掃層として、スポンジ、網状不織布を用い、網状不織布に集塵溝及び塵を取り除く波紋を設けることはきわめて容易に考え得ることであると云えるから、本件考案1の相違点2に係る考案特定事項とすることは、引用考案、刊行物3記載の考案、及び周知の技術から当業者がきわめて容易に想到し得たことである。
(ウ)相違点3について
刊行物4には、清掃具の機械的取り付け手段として二つの面ファスナーを用いることが記載されている(第4 1(1)エ参照)。そして、面ファスナーを各層にどのような手段で取り付けるかは、その材質、製造容易性等を考慮して当業者が適宜決めることであって、しかも、引用考案は、超音波接着等による結合手段を備えている(第4 1(2)ア参照)。
したがって、機械的取り付け手段に関し、本件考案1の相違点3に係る考案特定事項とすることは、引用考案、及び刊行物4記載の考案から当業者がきわめて容易に想到し得たことである。

そして、上記相違点1?3によって本件考案1が奏する作用、効果も、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術から予測される範囲のものであって、格別なものではない。

よって、本件考案1は、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

イ 本件考案2について
本件考案2は、本件考案1の考案特定事項(スポンジ)を、「スポンジは、四角形状に形成され、該スポンジは網状不織布の上方、防水層の下方へ設ける」に限定するものである。
ところで、引用考案の「洗浄層201と、取り付け層203と、洗浄層201と取り付け層203との間に配置された吸収層205とを有し、各々の層が四角形状に形成され」は、吸収層205は、四角形状に形成され、該吸収層205は洗浄層201(清掃層)の上方、取り付け層203(防水層)の下方へ設けられていることである。
そうすると、結局のところ、本件考案2と引用考案は、「第4 1(2)ア」で述べた一致点で一致する他、上記吸収層(スポンジ)の形状、配置に関しても一致し、「第4 1(2)ア」で述べた相違点1?3のみで相違している。
そして、上記相違点1?3については、「第4 1(2)ア」で述べたとおりである。

したがって、本件考案2は、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものであ
る。

ウ 本件考案3について
本件考案3は、本件考案1の考案特定事項(防水層)を、「防水層は、スポンジの大きさと同じであり、このスポンジの上方へ設ける」に限定するものである。
そこで、本件考案3と引用考案を比較すると、両者は、「第4 1(2)ア」で述べた一致点で一致する他、「第4 1(2)イ」で述べたように、防水層の配置に関しても一致し、「第4 1(2)ア」で述べた相違点1?3の他、次の点で相違する。
<相違点4>
本件考案3は、防水層が吸収層(スポンジ)の大きさと同じであるのに対して、引用考案は、該大きさが同じであるか否か明確でない点。
上記相違点1?3については、「第4 1(2)ア」で述べたとおりである。
上記相違点4について以下検討する。
防水層、吸収層の大きさは、液体のモップ本体への不透過等を考慮して設計上決めることである。
したがって、防水層と吸収層(スポンジ)の大きさを同じにすることは、当業者の容易に想到し得た設計的事項である。

そして、上記相違点1?4によって本件考案3が奏する作用、効果も、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術から予測される範囲のものであって、格別なものではない。

よって、本件考案3は、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

エ 本件考案4について
本件考案4は、本件考案1の考案特定事項(面ファスナー)を、「面ファスナーは、それぞれ防水層の左右両側の2個所に設け、並びにモップ本体の上方に設けた面ファスナーに接合する」に限定するものである。
本件考案4と引用考案とを比較すると、両者は、「第4 1(2)ア」で述べた一致点で一致し、「第4 1(2)ア」で述べた相違点1、2の他、次の点で相違する。
<相違点5>
機械的取り付け手段に関し、本件考案4は、二つの面ファスナーであって、それぞれ防水層の左右両側の2個所に、高周波、超音波による付着方法により結合し、並びにモップ本体の上方に設けた面ファスナーに接合しているのに対して、引用考案は、二つの面ファスナーか否か、また、結合手段が明確でなく、更に、支持ヘッドの底面表面に機械的に取り付けている点。
上記相違点1、2については、「第4 1(2)ア」で述べたとおりである。
上記相違点5について以下検討する。
引用考案の取り付け層(防水層)は、既知のフック・ループ技術を用いてハンドルの支持ヘッド3の底部表面に機械的に取り付ける表面を有しており、刊行物4には、清掃具の機械的取り付け手段として二つの面ファスナーを用いることが記載されている(第4 1(1)エ参照)。
また、刊行物2には、掃除具50の押台52の上面に粘着部55、55を形成し、拭布60を粘着部55、55に粘着させて、拭布60を掃除具50に装着、固定することが記載されている(第4 1(1)イ(イ)(ウ)参照)。そして、刊行物2記載の「押台」は、本件考案4の「モップ本体」に相当するから、刊行物2には、モップ本体の上方に拭布60を取り付ける粘着部55、55を設けた考案が記載されていると云える。
また、面ファスナーを各層にどのような手段で取り付けるかは、その材質、製造容易性等を考慮して当業者が適宜決めることであって、しかも、引用考案は、超音波接着等による結合手段を備えている(第4 1(2)ア参照)。
そうすると、機械的取り付け手段に関し、本件考案4の相違点5の考案特定事項とすることは、引用考案及び刊行物2、4に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

そして、上記相違点1、2、5によって本件考案4が奏する作用、効果も、引用考案、刊行物2?4記載の考案から予測される範囲のものであって、格別なものではない。

よって、本件考案4は、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

オ 本件考案5について
本件考案5は、本件考案1の考案特定事項(網状不織布)を、「網状不織布は、スポンジの下方に設ける」に限定するものである。
ところで、「第4 1(2)イ」で述べたように、引用考案は、洗浄層201(清掃層)は吸収層205(吸収層)の下方に設けられたものである。
したがって、本件考案5と引用考案とを比較すると、両者は、「第4 1(2)ア」で述べた一致点で一致する他、清掃層の配置でも一致しており、相違点1?3のみで相違する。
相違点1?3については、「第4 1(2)ア」で述べたとおりである。

よって、本件考案5は、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

カ 本件考案6について
本件考案6は、本件考案1の考案特定事項(両面接着テープ)を、「両面接着テープは、それぞれ前記網状不織布の決められた4箇所へ設け、前記網状不織布を折り返して両面接着テープをモップ本体へ粘着する」に限定するものである。
本件考案と引用考案とを比較すると、両者は、「第4 1(2)ア」における一致点で一致し、相違点2、3で相違する他、次の点で相違する。
<相違点6>
本件考案6は、4箇所の両面接着テープを備え、両面接着テープはそれぞれ前記網状不織布の決められた4箇所へ設け、前記網状不織布を折り返して両面接着テープをモップ本体へ粘着しているのに対して、引用考案は、そのような構成を備えていない点。
相違点2、3については、「第4 1(2)ア」で述べたとおりである。
上記相違点6について以下検討する。
刊行物2には、両面テープ(両面接着テープ)を拭布側に付設し、拭布を両面テープ(両面接着テープ)にて掃除具に貼着させる方法が記載されており(第4 1(1)イ(ア)参照)、該両面テープは、本件考案1の両面接着テープに相当する。そして、両面テープ(両面接着テープ)を何箇所に設けるか、どの箇所に設けるかは、当業者の必要に応じて適宜なし得る設計的事項であると云える。
また、刊行物2には、拭布60を台座53に巻き付けた後、その両端部を
押台52上面の粘着部55、55に押し付けるだけで、拭布60の装着が完了しと記載されており(第4 1(1)イ(ウ)参照)、このことは、拭布60すなわち清掃層を折り返して押台52に粘着することである。
そうすると、刊行物2記載の考案に接した当業者は、4箇所の両面接着テープを備え、両面接着テープを清掃層の決められた箇所に設け、清掃層を折り返して押台52(モップ本体)に粘着することは容易に考え得ることであると云えるから、本件考案6の相違点6に係る考案特定事項とすることは、引用考案、及び刊行物2記載の考案から当業者がきわめて容易に想到し得たことである。

そして、上記相違点2、3、6によって本件考案6が奏する作用、効果も、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術から予測される範囲のものであって、格別なものではない。

よって、本件考案6は、引用考案、刊行物2?4記載の考案、及び周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本件考案1?6は、引用考案、刊行物2?4に記載された考案、及び周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、本件考案1?6についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、他の無効理由を検討するまでもなく、本件考案1?6についての実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定により無効にされるべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定で更に準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-06-05 
結審通知日 2006-06-07 
審決日 2006-06-21 
出願番号 実願2003-271551(U2003-271551) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (A47L)
最終処分 成立  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 稲村 正義
柳 五三
登録日 2004-01-21 
登録番号 実用新案登録第3100801号(U3100801) 
考案の名称 モップ  
代理人 太田 明男  
代理人 正林 真之  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ