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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G11B
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正しない G11B
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない G11B
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正しない G11B
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない G11B
管理番号 1160507
審判番号 訂正2006-39173  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2006-10-18 
確定日 2007-06-29 
事件の表示 実用新案登録第2571891号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 請求の趣旨
本件審判の請求の要旨は、登録第2571891号実用新案(平成4年1月10日実用新案登録出願、平成10年2月27日設定登録。)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。


第2 訂正の内容
審判請求人が求めている訂正は、平成17年7月21日付け訂正2005-39068号の審決によって認めた請求項1に係る考案に対して、平成17年11月21日付けで無効の審判請求(無効2005-80334号)がなされ、平成18年7月18日付けで無効とするとの審決に対して審決取消の訴えを提起した平成18年(行ケ)10379号の、上記無効の審判請求の請求項1に係る考案、
さらに、平成18年5月22日付けで無効の審判請求(無効2006-80094号)(現在手続停止中)がなされた請求項1に係る考案のもので、
具体的には、請求項1、及び、考案の詳細な説明の欄の記載を訂正しようとするもので、以下のとおりである。

1.訂正事項a
請求項1に対する本件訂正は、訂正2005-39068号によって認めた請求項1について、
「【請求項1】電源回路の電子部品を1枚のプリント配線基板の1所定領域である電源領域に実装し、前記電源回路以外のビデオ電子部品を前記プリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装した前記プリント配線基板と、前記プリント配線基板に対して平行に配置され、かつその上に搭載されたビデオヘッドシリンダのコアギャップが、その面に対してほぼ垂直の方向になるように形成されたビデオ機構部品搭載用シャーシとを具備し、
前記電源領域の電源回路はスイッチング・レギュレータ回路で構成し、
前記回路の高周波トランスは、そのコアのギャップによる高周波漏れ磁束を生ずるコアギャップに面を前記プリント配線基板に平行に配置し、
前記電源領域にはAC商用電源端子を有し、前記ビデオ回路領域にはチューナ、IFアンプおよびRFコンバータの回路端子を有することを特徴とするビデオテープ記録再生装置。」(以下「訂正前考案」という。)

とあるところを、

「【請求項1】電源回路の電子部品を1枚のプリント配線基板の1所定領域である電源領域に実装し、前記電源回路以外のビデオ電子部品を前記プリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装して前記電源回路と前記電源回路以外のビデオ電子部品とをコンパクトに実装した前記プリント配線基板と、前記プリント配線基板に対して平行に配置され、かつその上に搭載されたビデオヘッドシリンダのコアギャップが、その面に対してほぼ垂直の方向になるように形成されたビデオ機構部品搭載用シャーシとを具備し、
前記電源領域の電源回路はスイッチング・レギュレータ回路で構成し、
前記回路の高周波トランスは、そのコアのギャップによる高周波漏れ磁束を生ずるコアギャップに面を前記プリント配線基板に平行に配置し、
前記電源領域にはAC商用電源端子を有し、前記ビデオ回路領域にはチューナ、IFアンプおよびRFコンバータの回路端子を有することを特徴とするビデオテープ記録再生装置。」(以下「訂正考案」という。)
と、下線部分の事項(以下「訂正要件」という。)を追加するものである。

2.訂正事項b
考案の詳細な説明は、訂正2005-39068号によって認めた考案の詳細な説明の段落【0005】について、
「本考案のビデオテープ記録再生装置は電源回路の電子部品を1枚のプリント配線基板の1所定領域である電源領域に実装し、前記電源回路以外のビデオ電子部品を前記プリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装した前記プリント配線基板と、前記プリント配線基板に対して平行に配置され、かつその上に搭載されたビデオヘッドシリンダのコアギャップが、その面に対してほぼ垂直の方向になるように形成されたビデオ機構部品搭載用シャーシとを具備し、前記電源領域の電源回路はスイッチング・レギュレータ回路で構成し、前記回路の高周波トランスは、そのコアのギャップによる高周波漏れ磁束を生ずるコアギャップに面を前記プリント配線基板に平行に配置し、前記電源領域にはAC商用電源端子を有し、前記ビデオ回路領域にはチューナ、IFアンプおよびRFコンバータの回路端子を有することを特徴とする。」

とあるところを、

「本考案のビデオテープ記録再生装置は電源回路の電子部品を1枚のプリント配線基板の1所定領域である電源領域に実装し、前記電源回路以外のビデオ電子部品を前記プリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装して前記電源回路と前記電源回路以外のビデオ電子部品とをコンパクトに実装した前記プリント配線基板と、前記プリント配線基板に対して平行に配置され、かつその上に搭載されたビデオヘッドシリンダのコアギャップが、その面に対してほぼ垂直の方向になるように形成されたビデオ機構部品搭載用シャーシとを具備し、前記電源領域の電源回路はスイッチング・レギュレータ回路で構成し、前記回路の高周波トランスは、そのコアのギャップによる高周波漏れ磁束を生ずるコアギャップに面を前記プリント配線基板に平行に配置し、前記電源領域にはAC商用電源端子を有し、前記ビデオ回路領域にはチューナ、IFアンプおよびRFコンバータの回路端子を有することを特徴とする。」
と、下線部分の事項を追加するものである。


第3 訂正の適否
1.訂正事項aについて
(1)訂正事項aにおける、訂正考案の『コンパクトに実装した』を除く「電源回路と電源回路以外のビデオ電子部品」の事項についての構成要件は、訂正前考案に「電源回路の電子部品を1枚のプリント配線基板の1所定領域である電源領域に実装」「電源回路以外のビデオ電子部品を前記プリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装」として、1枚のプリント配線基板の各所定領域に実装する構成の記載から把握できるもので、直接的に減縮をする追加構成要件でない。
とすると、審判請求人は『(4)請求の原因』において、「請求項1に記載されている『前記プリント配線基板』が、ビデオ回路とその電源回路をコンパクトに実装していることを明確にする為に,考案の詳細な説明に記載された事項に基づいて,実用新案登録請求の範囲を減縮するものである」と記載していることから、減縮であるとすればその要件は、『コンパクトに実装した』の技術内容にあると認められる。
(2)ところで、上記『コンパクトに実装した』であるが、「平成17年7月21日付け審決(訂正2005-39068)により認められた」明細書では「ビデオ回路とその電源を1枚のプリント配線基板にコンパクトに実装し」(【0004】)、「電源回路の領域境界に配置する電子部品の特性を考慮した配置設計を行いコンパクトな実装にすることができる」(【0006】)、「1枚のプリント配線基板に電源回路とビデオ回路の領域に分けて、コンパクトに実装することが可能となり」(【0015】)等々の記載があり、これらの事項を訂正の根拠としているものとみる限りにおいてであるが、『コンパクトに実装した』なる文言自体はあると認められる。(なお、下線は当審で付与した。)
(3)しかしながら、『コンパクトに実装した』であるが、「コンパクト」とは、一般的に「こぢんまりとした,ぎっしり詰まった,密度の高い,固める,圧縮する」等々を意味するものであるから、その文言自体は、きわめてあいまいで漠としたもので、きわめて主観的な要素を少なからずもつ表現である。そして、客観的に『コンパクトに実装した』に技術的な意義をもたせるには、何に対してどの程度「コンパクト」であるのか等、比較対象物があってはじめてコンパクトの技術的意味が明確になると解される。
そして、上記訂正要件に、比較対象物の記載がない場合、審査基準でいう「比較の基準又は程度が不明確な表現あるいは、用語の意味があいまいである結果、発明の範囲が不明確となる場合」に該当する。
(4)要するに、比較対象物が必ずしも明確に記載されてないものは、『コンパクトに実装した』ものであるとの、文言だけでの訂正事項に基づき、減縮である、と主張されても、「コンパクト」であるとしてみればそうであるし、また「コンパクト」ではないとしてみてもそうであるし、訂正考案に接した者の対象とするイメージで変わり得るものであって、きわめてあいまいで漠として技術的な意味を明確にもたせることは困難である。
(5)訂正要件の『コンパクトに実装した』なる用語については、請求の原因をさらに参酌すると、
「(4)請求の原因
(一)訂正事項aについて
出願当初明細書の「発明の効果」の欄(段落[0015])に「1枚のプリント配線基板に電源回路とビデオ回路の領域を分けて、コンパクトに実装することが可能となり」(公開公報第5頁第8行目から第9行目)と記載されている。また、登録査定時の明細書の段落[0004]に「本考案は上述した事情に鑑みてなされたもので、ビデオ回路とその電源回路を1枚のプリント配線基板にコンパクトに実装し、しかも電源回路のノイズや熱及び磁界などの影響を受けないビデオテープ記録再生装置を提供することを目的とする。」(公開公報第3頁第19行目から第22行目)と記載されており、本考案の目的の一つがビデオ回路とその電源回路を1枚のプリント配線基板にコンパクトに実装することが分かる。
以上より、請求項1に記載されている「前記プリント配線基板」はビデオ回路とその電源回路をコンパクトに実装していることは明らかである。なぜならば、そのような構成でなければ、ビデオに実装するという目的を達成することができないからである。
したがって、訂正事項aは、請求項1に記載されている「前記プリント配線基板」がビデオ回路と電源回路をコンパクトに実装していることを明確にするために、考案の詳細な説明に記載された事項に基づいて、実用新案登録請求の範囲を減縮するものであるから・・・(以下省略)」
と記載している。
しかしながら、登録査定時の明細書には、ビデオ回路とその電源回路を1枚のプリント配線基板に実装することで『コンパクトにする』との記載は散見できるものの、他に技術的意味をもたせる比較の対象物はそもそもない。
そして、上記した「電源回路の電子部品」及び「電源回路以外のビデオ電子部品」であるが、これらを1枚のプリント配線基板上に配置することは、訂正前考案に、「1枚のプリント配線基板の1所定領域である電源領域に実装し、前記電源回路以外のビデオ電子部品を前記プリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装」と記載があり、これは一枚のプリント配線基板上の特定位置に各電子部品が実装されているものであるから、従来の、複数のプリント配線基板への個別の配置に比較してコンパクトであるとの解釈は自明で、『コンパクトに実装した』との訂正事項を内包していることは明らかである。
よって、上記請求の原因の記載を参酌しても、上記(1)?(4)の解釈(『コンパクトに実装した』が何を根拠にして減縮であるのか)を覆す明確な事項は発見できない。

以上のとおりであって、上記請求人の「請求の原因」を総合的にみても「電源回路」と「電源回路以外のビデオ電子部品」がどのように「コンパクト」であるのか、「1枚のプリント配線基板の1所定領域に電源回路の電子部品を実装し」「電源回路以外のビデオ電子部品を前記1枚のプリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装」すれば、それはある意味での『コンパクトに実装した』に相当するものであって、本件訂正が、本件訂正前に比較して何が何に対してどの程度「コンパクト」になるというものかの明確な根拠の把握はでなきない。

繰り返しになるが、上記訂正事項の『コンパクトに実装した』は、「コンパクト」が技術的に意義あるものと主張されても、どの程度であれば「コンパクト」で、「コンパクト」でない場合は如何なる程度か、きわめてあいまいで、訂正考案の技術内容は、逆に、訂正事項により不明確な要因となるものである。

2.訂正事項の判断
以上のとおりであり、上記訂正考案の「実装して前記電源回路と前記電源回路以外のビデオ電子部品とをコンパクトに実装した前記プリント配線基板」なる訂正要件は、減縮を目的とするものとは認めらないものであり、また誤記の訂正ないし明りょうでない記載の釈明でもなく、平成5年改正法附則第4条第2項により読み替えられた実用新案法第39条第1項ただし書き第1号ないし第3号に規定された訂正事項に該当するものでない。
また、訂正事項bは訂正事項aの訂正の内容と整合をとるものであるから、訂正事項aが上記理由で認められない以上、訂正事項bも同様にして認められるものではない。

3.独立登録要件の判断
本件訂正は上記1.及び2.で検討・判断したとおりであり、平成5年改正法附則第4条第2項(後に、平成15年法律第47号附則第12条第1号の規定により改められ、平成16年法律第120号附則第6号第1号第1項の規定により改正された)により読み替えられた実用新案法第39条第1項ただし書き第1号ないし第3号に規定された事項の何れにも該当するものでないから、本来これ以上の検討は不要であるが、
仮に、上記2.(4)に記載した漠とした意味であるものの、平成5年改正法附則第4条第2項により読み替えられた実用新案法第39条第1項ただし書第1号に規定された実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、また、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、または変更するものでなく、同条第3,4項の規定に適合するものとして、本件訂正の訂正考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものであるか否か、即ち、同条第5項の規定に適合するか否かを以下に検討する。

(1) -実用新案法第3条第2項違反について-
上記、訂正考案から訂正要件を除く、訂正前考案の請求項1に係る考案は、上記1.(1)に記載した次のものである。
「【請求項1】電源回路の電子部品を1枚のプリント配線基板の1所定領域である電源領域に実装した、前記電源回路以外のビデオ電子部品を前記プリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装し前記プリント配線基板と、前記プリント配線基板に対して平行に配置され、かつその上に搭載されたビデオヘッドシリンダのコアギャップが、その面に対してほぼ垂直の方向になるように形成されたビデオ機構部品搭載用シャーシとを具備し、
前記電源領域の電源回路はスイッチング・レギュレータ回路で構成し、前記回路の高周波トランスは、そのコアのギャップによる高周波漏れ磁束を生ずるコアギャップに面を前記プリント配線基板に平行に配置し、
前記電源領域にはAC商用電源端子を有し、前記ビデオ回路領域にはチューナ、IFアンプおよびRFコンバータの回路端子を有することを特徴とするビデオテープ記録再生装置。」

そして、上記訂正前考案は、平成17年7月18日付け審決(「甲第1号証の2」を参照)で記載(なお、甲各号証は上記審決で採用している号証である。)した、要するに、

『(2)引用考案
[甲第3号証(特開平2-281494号公報)]
請求人(実用新案登録無効請求人「大字電子ジャパン株式会社」)が提出した、本願出願前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開平2-281494公報)は、磁気記録再生装置に関するもので、図面とともに次の技術事項が記載されている。
ア)「この発明は,筐体の下部に,サーボ回路系ブロック,オーディオ回路系ブロック等をそれぞれ配置させた基板を取り付けた磁気記録再生装置において,上記筐体の下部に底板を介して取り付けられる基板の一端側のテープ走行機構の下側に,ヘッドアンプブロックを配置すると共に,該基板の他端側にサーボ回路系ブロックとオーディオ回路系ブロック及びシステムコントロール回路系ブロックをそれぞれ配置したことにより,ヘッドアンプブロックを上記他の回路系ブロックより遠ざけ,ヘッドアンプ用のシールドケース(電磁遮蔽板)を廃止してシールドケースレス化を実現することができるようにしたものである。」(甲第3号証第1頁左下欄第19行目?同頁右下欄第12行目)
イ)「第1図中,1は磁気記録再生装置としてのビデオテープレコーダ(VTR)である。このビデオテープレコーダ1の筐体2の下部に設けられた開口部2aには,金属製の底板3を介して該底板1の形状とほぼ同型の1枚のプリント基板10を図示しないねじ等により該開口部2aを覆うように取り付けてある。」(甲第3号証2頁左下欄1行目?同頁左下欄7行目)
ウ)「プリント基板10の一端(図中左端)側の筐体2内の図中左側に配設されたテープ走行機構4の下側には,ヘッドアンプブロック11を配置してある。また,該プリント基板10の他端(図中右端)側の筐体2内の図中右側に配設された電源供給ボックス5の下側には,サーボ回路系ブロック12とオーディオ回路系ブロック13及びシステムコントロール回路系ブロック14をそれぞれ配置してある。さらに,上記プリント基板10 のサーボ回路系ブロック12 の隣には,チューナブロック15を配置してある。」(甲第3号証2頁左下欄8行目?同頁左下欄18行目)
エ)「テープ走行機構4の一部を成す回転ヘッドドラム6と上記プリント基板10のヘッドアンプブロック11にマウントされた図示しないヘッドアンプ(IC)はハーネス7により接続されている。」(甲第3号証2頁左下欄19行目?同頁右下欄3行目)
オ)「プリント基板10の各ブロック11?15には,所定の回路配線を所定手段によりそれぞれ施してある。」(甲第3号証2頁右下欄17行目?同頁右下欄19行目)
カ)「実施例のビデオテープレコーダ(VTR)によれば,1枚のプリント基板10 にヘッドアンプブロック11を,影響を受け易いサーボ回路系ブロック12,オーディオ回路系ブロック13,システムコントロール回路系ブロック14及び電源供給ボックス5から遠ざけるようにそれぞれ配置したので,従来ヘッドアンプブロックを覆うように設けられていたヘッドアンプブロック用のシールドケースを廃止することができる。」(甲第3号証2頁右下欄20行目?3頁左上欄8行目)
キ)「テープ走行機構4の下側にヘッドアンプブロック11を配置したので,テープ走行機構4の図示しないシャーシ(板金)に,従来のシールドケースと同様のシールド効果を持たせることができる」(甲第3号証3頁左上欄12行目?同頁16行目)

上記記載事項及び図面の記載を参酌すると、甲第3号証には、次の考案(以下、「引用考案」という。)が記載されているものと認められる。

「ビデオテープレコーダ(VTR)1の筐体2と、
前記筐体2内(のプリント基板10の図中左側)に配設されたテープ走行機構4と、
前記筐体2内(のプリント基板10の図中右側)に配設された電源供給ボックス5と、
前記筐体2の下部に設けられた開口部2aに金属製の底板3を介して該開口部2aを塞ぐように取り付けられ、ヘッドアンプブロック11、サーボ回路系ブロック12、オーディオ回路系ブロック13、システムコントロール回路系ブロック14、及び、チューナブロック15を実装したプリント基板10と、を有し、
前記走行機構4の一部をなす回転ヘッド6と上記プリント基板10のヘッドアンプブロック11にマウントされたヘッドアンプ(IC)はハーネス7により接続されている
磁気記録再生装置。」

(3)対 比
本件考案と引用考案とを対比する。
引用考案が対象とする「ビデオテープレコーダ(VTR)」、「磁気記録再生装置」とは、本件考案が対象とする「ビデオテープ記録再生装置」のことである。
引用考案における「電源供給ボックス」は、「電源回路の電子部品」を備えるものであることは明らかである。
引用考案における「プリント基板」とは、本件考案における「プリント配線基板」のことである。
引用考案における、「ヘッドアンプブロック11、サーボ回路系ブロック12、オーディオ回路系ブロック13、システムコントロール回路系ブロック14、及び、チューナブロック15」は、上記電源回路以外の「ビデオ電子部品」と言い得るものであり、それらが実装される領域は「ビデオ回路領域」と言えることは明らかである。
引用考案における「テープ走行機構4」は、「ビデオ機構部品」と言えるものであり、シャーシ(「ビデオ機構部品搭載用シャーシ」)の上に搭載されていることは明らかである(なお、このことについては、被請求人も答弁書中で特に争っていないところである。)。
また、引用考案における「テープ走行機構4」内の「回転ヘッド6」は、本件考案における「ビデオヘッドシリンダ」のことであり、シャーシに対して回転ヘッド(ビデオシリンダ)のコアギャップがほぼ垂直の方向に設けられることはごく普通の態様であるかもしくは自明である。

そうすると、本件考案と引用考案とは次の点で一致する。
<一致点>
「電源回路の電子部品と、
前記電源回路以外のビデオ電子部品をビデオ回路領域に実装したプリント配線基板と、
前記プリント配線基板に対して平行に配置され、かつその上に搭載されたビデオヘッドシリンダのコアギャップが、その面に対してほぼ垂直の方向になるように形成されたビデオ機構部品搭載用シャーシとを具備し、
前記ビデオ回路領域にはチューナを有する
ビデオテープ記録再生装置。」

そして、次の各点で相違する。
<相違点>
(a) 「プリント配線基板」に関し、本件考案は、電源回路の電子部品を1枚のプリント基板の1所定領域である電源領域に、電源回路以外のビデオ電子部品を電源領域以外のビデオ回路領域に実装するものであるのに対し、引用考案は、電源回路以外のビデオ電子部品は(1枚の)プリント配線基板上に実装するものであるが、電源回路の電子部品の実装箇所については特に具体的に示されていない点(以下、「相違点a」という。)。
(b) 電源回路に関し、本件考案は、スイッチング・レギュレータ回路で構成し、その回路の高周波トランスは、そのコアのギャップによる高周波漏れ磁束を生ずるコアギャップに面をプリント配線基板に平行に配置するものであるのに対し、引用考案においては、特にこのことについて示されていない点(以下、「相違点b」という。)。
(c) 本件考案においては、(1枚のプリント配線基板上の)電源領域には、AC商用電源端子を有し、ビデオ回路領域にはIFアンプおよびRFコンバータの回路端子を有するものであるのに対し、引用考案においては、特にこのことについて示されていない点(以下、「相違点c」という。)。

(4)判 断
そこで、上記各相違点について検討する。

(相違点aについて)
甲第4号証(特開昭59-154486号公報)には、電源回路部と電源回路以外の他の回路部とを1枚の基板上に実装することが記載されている。
引用考案と甲第4号証とは、電源回路部と他回路部を備える装置という限りでは共通すると言えるので、引用考案においても、甲第4号証に記載のもののように、1枚のプリント配線基板上にビデオ電子部品に加え、別途電源領域を形成し、単に、電源回路の電子部品をも実装するようにすることは当業者がきわめて容易に想到できたものである(なお、スイッチング電源装置そのものであるが、複数の電子部品を搭載した前段回路とパルストランス(高周波トランス)を含む後段回路を同一の基板上に実装すること、言い換えると、一方の回路は高周波トランスを含むものである2種類の回路を1枚の基板上に実装すること自体は甲第8号証(特開平3-135371号公報)に記載されているところである。)。

(相違点bについて)
VTR等の磁気記録再生装置の電源回路として、スイッチング・レギュレータ回路を使用することは、甲第6号証(特開平1-245597号公報)の外にも、特開昭61-79393号公報、及び、特開昭63-253866号公報にもみられるように本願出願前にごく周知の技術である。
また、甲第5号証(実願昭55-111406号(実開昭57-35015号)のマイクロフィルム)には、DC-DCコンバータ(スイッチング・レギュレータ)に用いる高周波トランスのE-I形コアのギャップ面をプリント基板に平行に配置して取り付けることが記載されており、基板に対するこのようなコアの取付け方はごく通常の態様である。
してみると、磁気記録再生装置をその対象とする引用考案において、電源回路として、単に、周知のスイッチング・レギュレータ回路を使用し、回路に用いる高周波トランスのコアのギャップ面をプリント配線基板に対し平行に配置する程度のことは当業者がきわめて容易に想到できたものである。
そして、磁気記録再生装置において、スイッチング・レギュレータ回路を電源回路として使用するとノイズが発生しビデオ回路に悪影響を与えることはよく知られており(前掲の特開昭61-79393号公報、及び、特開昭61-248676号公報を参照。)、甲第9号証(特開昭58-30291号公報)にもみられるように、トランスのコアギャップの面を基板に対して平行となるように配置して素子の作用磁束と直交させれば、トランスからの磁束による素子に対する磁気的影響を防止できることは明らかであるから、引用考案においても、上記のように、電源回路として周知のスイッチング・レギュレータ回路を用いた場合、回転ヘッド(ビデオヘッドシリンダ)のコアギャップの面が、プリント配線基板と平行に設けられるシャーシに対してほぼ垂直の方向に設けられることになることを考えれば、高周波トランスからの磁束による回転ヘッドに対する磁気的影響を防止できることは技術的に当然予測しうる作用効果と言うべきである。

(相違点cについて)
甲第7号証(特開平2-163995号公報)、甲第8号証には、同一基板に設けられたパルストランス(高周波トランス)とAC商用電源端子を有するスイッチング・レギュレータ回路が記載されているから、引用考案において、1枚のプリント配線基板上に電源回路(スイッチング・レギュレータ回路)の電子部品をも(電源領域に)実装しようとする場合、そのAC商用電源端子を設けることは当業者が適宜なし得た事項である。
また、IFアンプ及びRFコンバータはビデオテープレコーダに一般的に必要な回路端子であり、甲第10号証(米国特許第4,686,570明細書:1987年8月11日発行)の図2には、チューナーモジュール210内にRF回路212が含まれ、RF回路212とIFアンプ240がミキサー214を介して接続されている状態が示されている。甲第11号証(米国特許第4,727,591明細書:1988年2月23日発行)の図2には,チューナ22内にRFアンプ24が含まれ,チューナ22とIFアンプ30が接続されている状態が示されている。
このように、チューナがRFコンバータを含み、チューナにIFアンプが接続されていることは当業者には周知であるから、引用考案のビデオ回路領域におけるチューナブロック15内もしくはチューナブロック15に近接した位置にIFアンプ及びRFコンバータを有することは当業者には自明のことである。

そして、上記各相違点の判断を総合しても、本件考案が奏する効果は引用考案から当業者が十分に予測可能なものであって、格別のものとはいえない。』

というものであって、上記甲第各号証(なお,上記審決で採用している甲第3号証乃至甲第11号証の各号証は、本件訂正では、甲第3号証,甲第9号証?甲第13号証,甲第16号証?甲第18号証に各々該当していく。)に記載された考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

要するに、訂正前考案は甲各第号証の記載内容及び周知技術を勘案して、甲第3号証の磁気記録再生装置において、甲第4号証に記載されているような電源回路の電子部品を実装した電源領域と、ビデオ電子部品を実装したビデオ回路領域とを区分けした1枚のプリント配線基板を用い「電源回路の電子部品を1枚のプリント配線基板の1所定領域である電源領域に実装した、電源回路以外のビデオ電子部品をプリント配線基板の電源領域以外の領域であるビデオ回路領域に実装したプリント配線基板」として、
甲第5号証に記載されているような通常の取り付け方で高周波トランスを基板に配置することで、「電源領域の電源回路はスイッチング・レギュレータ回路で構成し、回路の高周波トランスは、そのコアのギャップによる高周波漏れ磁束を生ずるコアギャップに面を前記プリント配線基板に平行に配置」していくことはきわめて容易であり、また、この通常の取り付け方で高周波トランスをプリント配線基板に実装すると、甲第3号証に記載されている磁気記録再生装置においては必然的にビデオヘッドシリンダのコアギャップと高周波トランスのコアギャップとがプリント配線基板に対して平行に配置される「プリント配線基板に対して平行に配置され、かつその上に搭載されたビデオヘッドシリンダのコアギャップが、その面に対してほぼ垂直の方向になるように形成されたビデオ機構部品搭載用シャーシとを具備」する構成になる。
また、このように配置すると、トランスのコアギャップからの漏れ磁束がビデオヘッドシリンダのコアギャップに直交するようになり、甲第9号証に記載されているように、磁束の影響を受けるビデオヘッドシリンダのコアギャップに対するトランスからの漏れ磁束によるノイズの影響が解消される。
また、甲第6号証に記載されている磁気記録再生装置にスイッチング・レギュレータ回路の電源を使用すること、即ち、「電源領域の電源回路はスイッチング・レギュレータ回路で構成」は本件出願前周知であったから、甲第3号証の磁気記録再生装置の電源回路としてスイッチングレギュレータ回路を採用することに何ら困難性はない。さらに甲第10号証および甲第11号証に記載されているように、ビデオ回路領域にチユーナ、IFアンプ及びRFコンバータの回路端子を具備する「電源領域にはAC商用電源端子を有し、ビデオ回路領域にはチューナ、IFアンプおよびRFコンバータの回路端子を有する」ことは当業者が自明の事項である。

(2)そして、訂正考案は、上記平成17年7月21日付け審決での一致点及び相違点に加えて、さらに〈相違点〉として、
(d)訂正考案のものが、上記訂正事項aである「実装して前記電源回路と前記電源回路以外のビデオ電子部品とをコンパクトに実装した前記プリント配線基板」を有している点で相違する(以下「〈相違点〉(d)」という。)。

しかしながら、上記〈相違点〉(d)は、1枚のプリント配線基板上に「電源回路の電子部品」「電源回路以外のビデオ電子部品」を配置する構成が上記訂正前考案において、きわめて容易であると判断されているものであって、このものは分割されたプリント配線基板上実装された「電源回路の電子部品」ないし「電源回路以外のビデオ電子部品」に比較すれば、コンパクトに実装配置されていることは自明であるから、さらに1枚のプリント配線基板上に、コンパクトに実装することは、感覚的ないし主観的要素が多分にあることを含め設計上適宜になし得るものである。

また、1枚のプリント配線基板上に各回路の電子部品を配置する以上、可能な限り「こぢじんまりとした,ぎっしり詰まった,密度の高い,固める,圧縮する」等の、要するに、あいまいで漠とした技術的意味ではあるものの、概念的に『コンパクト』に実装していくことは、小型軽量化が当該技術分野における自明の課題であることを勘案して、当業者が当然に成していく、ないし考慮していくもので特徴的な構成要件でない。

そして、上記訂正要件を追加した訂正考案を総合的に判断しても、奏する作用・効果は甲第3号証ないし甲第11号証に記載された考案及び周知技術に基づいて当業者が十分に予測可能なものであって、格別のものとはいえない。

以上のとおりであって、上記訂正考案は、仮に、本件訂正が実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当したとしても、甲第3号証ないし甲第11号証に記載された考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができたものではない。
(3)次に、請求人は、意見書中で、本件の訂正考案は、「コンパクト実装」の意義につきその判断を誤っているとして、種々主張しているのでこれについて検討していく。
(i)「本件考案の出願当時,ノイズレベルが大きいAC商用電源入力のスイッチング電源回路は,独立したユニットとして外部のメーカーから購入することを前提としており,購入した側がどのように取り付けるかは限定できないため,弁当箱形状の電磁シールドケースに収納することでノイズ対策を施すことが技術常識であり,従来の,複数のプリント配線基板への個別の配置では,AC商用電源入力のスイッチング電源回路は弁当箱形状の電磁シールドケースに収納されていた。」(意見書:2頁15行?22行、ないし、他に7頁11行?21行、15頁21?24行、16頁13?22行、17頁13行?22行、19頁1行?18行、22頁19行?23頁5行等参照)
と主張する。しかしながら、本件考案の実用新案登録公報には「AC商用電源入力のスイッチング電源回路と弁当箱形状の電磁シールドケースに収納する」ことを前提としているような上記事項については全く記載されてない。また、本件考案の出願当時,弁当箱形状の電磁シールドケースに収納することでノイズ対策を施すことが技術常識であるとの確認はできないし、シールドが弁当箱形状であるのか(シールドが部分的なものはないのか)、さらに電磁シールドに収納されたAC商用電源入力のスイッチング電源回路のものは本件考案において除外されるものであるのかも含め区別できないもので、上記事項を前提としての主張は採用できない。

(ii)「本件考案の出願当時の技術常識では,仮に,電源領域及びビデオ回路領域を1枚のプリント配線基板に実装したとすると,ノイズ対策として,ビデオヘッドシリンダと一枚のプリント配線基板上に実装されたAC商用電源入力のスイッチング電源回路との距離を長くするというノイズ対策を採用しなければならない筈であり,当該ノイズ対策の採用は,電源回路及びビデオ電子部品を実装する1枚のプリント配線基板を大きくする必要性が生じるため,本件考案にいう『コンパクト実装』とは程遠い,むしろ阻害要因となるものである。」(意見書:3頁3行?11行)
と主張する。しかしながら、『コンパクト実装』とは、コンパクトの意味自体不明確であることは上記したとおりである。スイッチング電源回路を電磁シールドしてある状態と、電磁シールドがない状態を『コンパクト実装』なる表現を附加することで間接的に内包しようとするものであればそれは誤りである。本件考案は電磁シールドされたスイッチング電源回路を用いることも可能であり、上記シールド構成と関連づけすること、本件考案に記載のない電磁シールドがないスイッチング電源回路を前提とした上記主張は失当である。
また、上記審決での進歩性の判断は、上記「要するに」として記載しているように、ケース底部に対して、高さ方向に高くしてビデオテープの縦方向に差し込む構成のようにはしないで水平方向に差し込むもので、ケース底部に対してビデオヘッドシリンダの配置はコアギャップがほぼ垂直になるようになる。また、パルス・トランスはコイル部分をケース底部に接しない本件考案の【図2】に記載のようにコイル部分をケース底部に対して立てる形で配置することが極めて通常的で、本件考案は当然の配置構成を記載しているに過ぎないものである。
また、本件考案は、ビデオヘッドシリンダのコアギャップに対して、比較して漏れ磁束の小さいコイル部分を対向するというような工夫があるというものでもなく、要するに必然的に採用していく構成設計の範囲内のものである。

(iii)「因みに,本件考案の出願当時,ノイズレベルが大きいAC商用電源入力のスイッチング電源回路は,独立したユニットとして外部のメーカーから購入することを前提としており,購入した側がどのように取付けるかは限定できないため,弁当箱形状の電磁シールドケースに収納することでノイズ対策を施すことが技術常識であった。据置型ビデオ装置において,AC商用電源入力のスイッチング電源回路を,ビデオ機構部品搭載用シャーシの下方に位置する回路基板上に設けるという技術思想は,本件考案者が上記技術常識を打ち破り,最終アッセンブルメーカーで一貫生産するという考え方を導入するまでは存在しなかった。」(意見書:7頁11行?21行)
であるが、本件考案が、弁当箱形状の電磁シールドケースに収納することでノイズ対策を施してない電源回路構成であることの記載は考案の詳細な説明に明確な記載がない。
また、図面を参酌して、【図1】は「14A電源領域」とあり【図2】【図3】は高周波トランスの図で【図1】の具体的構成の一部である。各図面からも本件考案のものが電磁シールドケースをもたないスイッチングレギュレータ電源回路であるとの前提構成を確認できないし、また、電磁シールドケースをもたない構成を前提としなければならない理由もないから上記主張の採用はできない。
そもそも、「本件考案は,ビデオ特有の技術課題を予め認識した上でトータルレイアウト設計を成したものであり,各要件毎に先行技術を形式的・画一的に当てはめるのは,本件考案の技術思想を無視した誤った手法と言わねばならない。そして,本件考案の技術思想を検討する場合,まず当時,通常に行なわれていた技術を検討し,その上で,本件考案の技術思想を吟味しなければ,本質を見誤ることになるのである。」(意見書:7頁22行?8頁3行)と主張する技術思想の開示はそもそも確認できない。

(iv)「本件考案は,「ビデオ回路領域」に「チューナ,IFアンプ及びRFコンバータの回路端子」 を有している。この「チューナ,IFアンプ及びRFコンバータの回路端子」は,いわゆる3in1チューナパッケージ(1パッケージ内にチューナ,IFアンプ,RFコンバータが収納されているもの)との接続用端子(接続用ランド)であるため,本件考案は,「ビデオ回路領域」に「チューナ」自体を有していない。したがって,「前記ビデオ回路領域にはチューナを有する」という点も一致点とはなり得ない。」(意見書:9頁15行?23行、及び、他に13頁6行?14行、24頁23?25頁3行等)
であるが、登録時の明細書及び図面のどこにも3in1チューナパッケージ(1パッケージ内にチューナ,IFアンプ,RFコンバータが収納されているもの)の記載がないもので採用できない。

(v)「本件考案は,電源回路の電子部品を1枚のプリント基板の1所定領域である電源領域に,電源回路以外のビデオ電子部品を電源領域以外のビデオ回路領域に実装するものであるのに対し,引用考案は,電源回路以外のビデオ電子部品は(1枚の)プリント配線基板上に実装するものであるが,電源回路の電子部品の実装箇所については特に具体的に示されていない点」(訂正拒絶理由通知書9頁1?6行)を相違点aとしている。しかしながら,後述のとおり,引用考案において電源回路の電子部品がプリント配線基板から独立した電源供給ボックスの中に格納されていることは明らかであるため,「電源回路の電子部品の実装箇所については特に具体的に示されていない」とする認定は誤っており,正しくは「電源回路の電子部品は前記(1枚の)プリント配線基板から独立した電源供給ボックスの中に格納されている」となる。」 (意見書:10頁1行?16行)
においての「実装」であるが、本件明細書段落【0014】に「高周波トランス16とビデオヘッドシリンダ19を一枚のプリント配線基板にコンパクトに実装可能となる。」と記載されており、図1にはビデオ機構部品搭載用シャーシ15を介してビデオヘッドシリンダ19がプリント配線基板14に間接的に取り付けられている態様が記載されている。よって、「実装」とは直接的に取り付ける態様も間接的に取り付ける態様も含むものであり、上記甲第3号証である引用考案の認定に誤りはないし、請求人の上記主張は採用できない。

4.まとめ
したがって、訂正考案は、以上のとおりであり、上記訂正考案の「実装して前記電源回路と前記電源回路以外のビデオ電子部品とをコンパクトに実装した前記プリント配線基板」なる訂正要件は、減縮を目的とするものとは認めらないものであり、また誤記の訂正ないし明瞭でない記載の釈明でもなく、平成5年改正法附則第4条第2項により読み替えられた実用新案法第39条第1項ただし書き第1号ないし第3号に規定された訂正事項に該当するものでない。
また、訂正事項bは訂正事項aの訂正の内容と整合をとるものであるから、訂正事項aが上記理由で認められない以上、訂正事項bもその訂正は認められない。

さらに、仮に、訂正事項aが、上記2.(4)に記載した漠とした意味であるものの、平成5年改正法附則第4条第2項により読み替えられた実用新案法第39条第1項ただし書第1号に規定された実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、また、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、または変更するものでなく、同条第3,4項の規定に適合するものとしても、訂正考案は刊行物1、刊行物2に記載された考案、及び、周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができたものではない。


第4 むすび
したがって、本件審判の請求に係る訂正は、平成5年改正法附則第4条第2項により読み替えられた実用新案法第39条第1項ただし書き第1号ないし第3号に規定された訂正事項に該当するものでないし、仮に、減縮であるとしてみても、平成5年改正法附則第4条第2項により読み替えられた実用新案法第39条第5項の規定に適合しないので訂正は認められない。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-04-26 
結審通知日 2007-05-02 
審決日 2007-05-18 
出願番号 実願平4-4159 
審決分類 U 1 41・ 851- Z (G11B)
U 1 41・ 853- Z (G11B)
U 1 41・ 856- Z (G11B)
U 1 41・ 852- Z (G11B)
U 1 41・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 江畠 博
特許庁審判官 山田 洋一
中野 浩昌
登録日 1998-02-27 
登録番号 実用新案登録第2571891号(U2571891) 
考案の名称 ビデオテープ記録再生装置  
代理人 渋谷 和俊  
代理人 安江 邦治  
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