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審決分類 審判    H01M
審判    H01M
管理番号 1162261
審判番号 無効2006-40009  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-07-20 
確定日 2007-07-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第3089545号実用新案「充電プラグ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3089545号の請求項1?3に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
出願 平成14年 3月27日
設定登録 平成14年 8月14日
(実用新案登録第3089545号)
無効審判請求 平成18年 7月20日
答弁書 平成18年 9月19日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成19年 1月 9日
同 (被請求人) 平成19年 1月25日
口頭審理及び証拠調べ(特許庁審判廷) 平成19年 1月25日
上申書(請求人) 平成19年 2月 8日
同 (被請求人) 平成19年 2月 9日
弁駁書(請求人) 平成19年 2月21日
上申書(被請求人) 平成19年 2月26日

第2 本件考案
本件考案は、願書に最初に添付された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】電源接続端子とユニバーサルシリアルバスソケットを設けたことを特徴とする充電プラグ。
【請求項2】入力を90V?240Vとした電圧設定回路を設けた請求項1記載の充電プラグ。
【請求項3】過充電防止回路を搭載した請求項1記載の充電プラグ。」

第3 請求人の主張の概要
これに対して、審判請求人 ダイヤテック株式会社は、本件の請求項1?3に係る考案(以下、それぞれ「本件考案1」、「本件考案1」及び「本件考案3」という。)についての実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、以下の無効理由1及び2を主張し、証拠方法として、甲第1?4号証及び参考資料1?3並びに周知例文献1?2を提出するとともに、証人尋問を申し出た。
なお、甲第5号証として、本件登録実用新案公報が提出されている。

(1)無効理由1
本件考案1は、本件実用新案登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、本件考案1についての実用新案登録は、同法第3条第1項の規定に違反してされたものであり、また、本件考案1?3は、上記甲第1号証に記載された考案及び周知の技術手段に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案1?3についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。

(2)無効理由2
本件考案1は、本件実用新案登録出願前に日本国内又は外国において公然と輸入、販売の予告、又は販売された甲第2号証に記載のオリジナルUSBチャージャーキットであるから、実用新案法第3条第1項第2号に該当し、本件考案1についての実用新案登録は、同法第3条第1項の規定に違反してされたものであり、また、本件考案1?3は、上記オリジナルUSBチャージャーキット及び周知の技術手段に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案1?3についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)証拠方法

甲第1号証:台湾雑誌「asian sources」特集Telecom Global sources社、2001年10月発行,第149頁
甲第2号証:2006年5月1日付けEメール送信記録(送信者;Kiyoshi Suginaka、宛先;fujita@diatec.co.jp:matsumoto@diatec.co.jp)
甲第3号証:POTO社作成の納品書(写し)
甲第4号証:甲第2号証において販売された商品の一部(ユニバーサルシリアルバスケット及びカー・チャージャー・アダプター)の写真
証人 :杉中 陽之
参考資料1:特開2000-300312号公報
参考資料2:特開平9-147922号公報
参考資料3:特開平8-213060号公報
周知例文献1:特許第3315949号公報
周知例文献2:特開2001-273958号公報

第4 被請求人の主張の概要
一方、被請求人は、本件実用新案登録無効の審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めて、乙第1?5号証を提出している。

乙第1号証:会社概要を示す株式会社ミヤビックスのホームページ
乙第2号証:2001年9月18日火曜日「ORA USB Travel charger」の取扱を示す「expansysjapan」ホームページ
乙第3号証:写真(A)?(F)
乙第4号証:平成19年2月2日に掲示された「Century」のホームページ
乙第5号証:平成19年2月3日に掲示されたJIVO International Travel Charger-iPod c35.99のホームページ

第5 当審の判断
無効理由1について以下に検討する。

(1)甲第1号証に記載された考案
甲第1号証は、アジアの通信機器の製品とその製造業者を紹介するためにglobal sources社が発行している「asian sources Telecom Products」という雑誌の西暦2001年10月号であるから、本件実用新案登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物であると認められる。
そして、甲第1号証の第149頁には、Poto Technology Co., Ltdの製品である「PDA TRAVEL KIT」(以下、請求人が提出した翻訳に従い「PDAトラベルキット」という。)の広告記事が掲載されており、この記事中の製品の写真には、その上段及び中段に、それぞれ二つの部品及び四つの部品が示されており、下段には、ケーブルが示されていることが認められる。
そして、この広告記事の「かさばるクレードル無しで、同じケーブルを使用して、ハンドヘルドでPDAの同期と充電が可能」(請求人が提出した翻訳文による。以下、「翻訳文」という。)という記載によれば、このPDAトラベルキットは、ケーブルを使用することにより、PDAの充電をすることができるものであるといえる。
また、この広告記事には、「AC充電器、カー・チャージャー・アダプター及びUSBキットを添付」(翻訳文)とも記載されている。
ここで、上記広告記事の記載を踏まえて、製品の写真を詳しく見てみると、写真上段の左の部品が、AC充電器であり、右の部品がカー・チャージャー・アダプターであることは明かである。また、下段に示されたケーブルが、USBキットであることも明かであり、そして、このUSBキットのケーブルの両端には、一方の端部に、USBコネクターが取り付けられ、他方の端部には、PDAに接続するためのコネクターが取り付けられていることも、当業者にとって自明のことといえる。
一方、中段の四つの部品は、それぞれに異なる形状の電源接続端子が突設されていることが認められること、また、海外旅行に携帯する電気製品に、各国の電源プラグの形状にあわせた交換用の電源プラグを取付けて使用することはよく知られていることであり、上記PDAトラベルキットを使用してPDAに充電を行うためには、各国の電源プラグにあわせた交換用の電源プラグを取り付けることが必要であることは当業者にとって自明の事項であるから、これら四つの部品が、交換用の電源プラグであり、これらのうちの一つの電源プラグをAC充電器に取り付けることにより、室内電源に取り付けることができることも、当業者であれば容易に理解することができるものと認められる。
そうすると、上記PDAトラベルキットが、AC充電器、電源プラグ及びUSBキットを用いて、PDAの充電を行うものである以上、上記AC充電器には、USBキットのUSBコネクターを挿入するための凹部、すなわち、USB(ユニバーサルシリアルバス)ソケットが設けられていると解するのが自然である。
以上の記載及び認定事項を総合すると、甲第1号証には、USBソケット、すなわち、ユニバーサルシリアルバスソケット、を設けたAC充電器及び電源プラグが記載されており、そこに記載された説明の内容を勘案すると、充電を行う場合に、上記AC充電器に上記電源プラグを取り付けて使用することも実質的に記載されていたものと認められる。
してみると、甲第1号証には、AC充電器に電源プラグを取り付けた次のとおりの考案が記載されているといえる。

「電源プラグが取り付けられ、ユニバーサルシリアルバスソケットを設けたAC充電器」(以下、「引用考案」という。)

(2)対比・判断
(2-1)本件考案1について
本件考案1と引用考案とを対比する。
引用考案の「電源プラグ」は、電源接続端子を有するから、引用考案は、電源接続端子を設けた充電用プラグともいうことができるものである。
そうすると、両者は、ともに「電源接続端子とユニバーサルシリアルバスを設けた充電プラグ」であるということができるから、本件考案1は、引用考案と同一である。

(2-2)本件考案2について
本件考案2は、本願考案1に、さらに、「入力を90V?240Vとした電圧設定回路を設けた」ものである。
本件考案2と引用考案とを対比すると、両者は、「電源接続端子とユニバーサルシリアルバスを設けた充電プラグ」である点で一致し、次の点で相違する。
相違点:
本件考案2が、「入力を90V?240Vとした電圧設定回路を設けた」ものであるのに対して、引用考案は、このような電圧設定回路を設けたものであるか否か不明である点。
相違点について検討する。
パソコン等の電子機器用の電源として使用するACアダプタにおいて、入力電圧90?240Vの範囲に対応できる電圧設定回路を設けることは、本件出願前に周知技術である(「電子技術」Vol.33 No.3 72-76頁、日刊工業新聞社、1991年3月発行、実願平3-23349号(実開平5-60186号)のCD-ROMを参照)。
ここで、引用考案も、入力側の交流(AC)電源を、所定の電圧の直流(DC)に変換して出力するものであって、ACアダプタといえるものであるから、引用考案に、上記周知技術を適用することにより、入力を90?240Vとした電圧設定回路を設ける程度のことは当業者がきわめて容易に想到することができたことである。
したがって、上記相違点は、当業者が容易になし得たことであるので、本件考案2は当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(2-3)本件考案3について
本件考案3は、本件考案1に、さらに、「過充電防止回路を設けた」ものである。
本件考案3と引用考案とを対比すると、両者は、「電源接続端子とユニバーサルシリアルバスを設けた充電プラグ」である点で一致し、次の点で相違する。
相違点:本件考案3が、「過充電防止回路を設けた」ものであるのに対して、引用考案は、過充電防止回路を設けたものであるか否か不明である点。
相違点について検討する。
充電装置に、バッテリーの過充電を防止するための回路を内蔵させることは、本件出願前に周知技術であるから(特開昭63-136931号公報及び特開平10-248173号公報の従来技術の項、特開2000-30758号公報の特許請求の範囲の請求項5を参照)、引用考案において、過充電防止回路を設ける程度のことは、当業者がきわめて容易に想到することができたことである。
したがって、上記相違点は、当業者が容易になし得たことであるので、本件考案3は当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(2-4)被請求人の主張について
被請求人は、答弁書及口頭審理陳述要領書において、以下ア?ウの主張をしているので、その主張について検討する。

ア 被請求人は、「仮に請求人の主張するように、甲第1号証の写真中段のものが、AC充電器に取り付けられる4種類の異なる形状の充電用アダプターとしても、甲第1号証に記載されるものは、「AC充電器と一種類の充電用アダプターとを一体構成にした」ものでなく、したがってAC充電器と室内等に設けられた電源ソケットに接続される電源接続端子とAC充電器とを一体構成した本件実用新案の請求項1に記載の考案とは同一構成のものではない。」と主張している。
しかしながら、本件請求項1には、充電用プラグと電源接続端子とを一体構成したとの記載はなく、本件考案1は、AC充電器に、別部品である電源接続端子を取り付けることにより一体化した充電用プラグを排除するものではないから、結局、この点で、本件考案1と引用考案が相違するとはいえない。
また、仮に、本件考案1が、電源接続端子を、充電プラグに一体構成したものであるとしても、国内専用のAC充電器やACアダプターにおいて、電源プラグを上記AC充電器やACアダプター本体と一体構成とすることは普通に採用されていることであるから、引用考案において、これを国内専用のものに変更し、その際、電源接続端子をAC充電器に一体構成する構造に設計変更する程度のことは、当業者がきわめて容易に想到することができたことである。
したがって、被請求人の上記主張は理由がない。

イ また、被請求人は、「本件AC充電プラグは電源接続端子と一体構成にすることにより我が国の電気用品安全方の規定によりPSE(Produst Safety Electricalappliannce & material)認可を受けたものであり、このように、AC充電器とアダプターとの取り付け手段は、AC充電器の構成上極めて重要であるが、甲第1号証にはAC充電器に各種のアダプターを取り付ける手段に関しては何ら開示されていない。」と主張している。
確かに、甲第1号証をみても、AC充電器に各種のアダプター、すなわち、充電プラグに、各種電源接続端子を取り付ける手段に関しては明らかではないが、本件各考案は、そもそも充電プラグに電源接続端子を取り付ける手段を限定するものではないから、被請求人の上記主張は、請求項の記載に基づかないものであり、採用できない。

ウ さらに、被請求人は、「甲第1号証の充電器は「PDA TRAVEL KIT」とあるように、「PDA専用機」であるのに対して、本件AC充電プラグは「室内等に設けられた電源ソケットからUSBコネクター端子を有する電子機器の充電を可能にする汎用機」であり、この点において甲第1号証とは著しく相違している。」と主張している。
しかしながら、本件各考案は、汎用機である点を特定するものではないから、被請求人の上記主張は、請求項の記載に基づかないものであり、採用できない。
なお、付言すれば、本件明細書によれば、被請求人が主張する「汎用機」の技術的意味は、「・・・コネクター8を替えることにより、携帯電話以外のPDA等のモバイル機器の充電にも使用することができる。」(【0017】)というものである。他方、本件各考案においても、充電するためには、USBキットという、一端にUSBコネクターと他端にPDAに接続するためのコネクターが取り付けられたケーブルを使用するものであり、他端のコネクターを交換することにより、携帯電話等の他の機器にも使用できるものであるから、結局、引用考案も、本件各考案と同様の汎用性を備えているといえるものである。したがって、被請求人の上記主張は理由がない。

(3)小括
本件考案1は、引用考案である。
また、本件考案2?3は、引用考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおりであるから、審判請求人が主張する他の無効理由について検討するまでもなく、本件考案1?3についての実用新案登録は、実用新案法第3条第1項又は同法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、実用新案法第37条第1項第2号に該当するので、無効とする。
審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-05-23 
結審通知日 2007-05-28 
審決日 2007-06-11 
出願番号 実願2002-1662(U2002-1662) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (H01M)
U 1 114・ 113- Z (H01M)
最終処分 成立  
特許庁審判長 長者 義久
特許庁審判官 鈴木 由紀夫
平塚 義三
登録日 2002-08-14 
登録番号 実用新案登録第3089545号(U3089545) 
考案の名称 充電プラグ  
代理人 土井 清暢  
代理人 田中 昭雄  
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