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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正しない G11B
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G11B
管理番号 1170637
審判番号 訂正2005-39113  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2005-06-30 
確定日 2007-12-25 
事件の表示 実用新案登録第2530916号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由
第1 請求の趣旨
本件審判の請求の要旨は、登録第2530916号実用新案(平成4年6月12日実用新案登録出願、平成9年1月10日設定登録。)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。

第2 訂正の内容
審判請求人が求めている訂正は、以下のとおりである。

(1)訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1を以下のとおり訂正する。

「記録及び/または再生部をシャーシ内に組み込んだデッキ本体を、パルス・トランスを取り付けたプリント配線基板を底部に平面的に配設した装置筐体内に配置し、上記装置筐体を構成するシャーシ底部から起立したデッキ取付け部に、上記デッキ本体のシャーシの後部を取付け、支持するように構成した磁気テープ装置において、
上記装置筐体のシャーシ後部を構成するバックパネル部に近接して、上記デッキ取付け部を配置、形成したことを特徴とする磁気テープ装置。」
(以下、「訂正考案」という。)

(2)訂正事項b
上記訂正に整合させるために、明りょうでない記載の釈明を目的として、登録明細書の段落[0005]の記載を訂正する。

「このため、本考案では、記録及び/または再生部をシャーシ内に組み込んだデッキ本体を、パルス・トランスを取り付けたプリント配線基板を底部に平面的に配設した装置筐体内に配置し、上記装置筐体を構成するシャーシ底部から起立したデッキ取付け部に、上記デッキ本体のシャーシの後部を取付け、支持するように構成した磁気テープ装置において、上記デッキ本体を収納するのに必要な最小な奥行で、上記装置筐体を構成するとともに、上記装置筐体のシャーシ後部を構成するバックパネル部に近接して、上記デッキ取付け部を配置、形成している。」

第3 訂正の適否

1.訂正事項aについて
上記訂正事項aは、平成5年法律第26号(以下、「平成5年改正法」という。)附則第4条第2項により読み替えられた実用新案法第39条第1項ただし書第1号に規定された実用新案登録請求の範囲の減縮に該当する。また、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないので、同条第3、4項の規定に適合するものである。

そこで、上記訂正考案が、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるか否か、すなわち、同条第5項の規定に適合するか否かを以下に検討する。

2.独立登録要件
-実用新案法第3条第2項違反について-

(1)刊行物
[刊行物1(特開昭61-122990号公報)]
当審において平成18年5月19日付けで通知した訂正拒絶の理由中に引用した本件出願前に頒布された刊行物である特開昭61-122990号公報(以下、「刊行物1」という。)は、磁気記録再生装置のシャーシ構造に関するもので、図面とともに次の技術事項が記載されている。
(i)「〔産業上の利用分野〕
この発明は磁気記録再生装置(以下VTRと記す)のシャーシ構造、特にその組立性、サービス性を向上でき、かつ低コスト化、コンパクト化を達成できるようにしたVTRのシャーシ構造に関するものである。」(第1頁右下欄第15?20行)
(ii)「一般的なVTRのシャーシ構造を第7図、第8図に概略的に示す。図において、1はプラスチック等で一体成形されたシャーシ枠体、2はメカデッキで、これは取付け穴3aを有する取付部3を備え、上記シャーシ枠体1に設けられた保持ボス4にネジ5aで螺着されている。
6、7、8は各々第1基板ユニット、第2基板ユニット、第3基板ユニットであり、上記第1基板ユニット6はメカデッキ2の側部のボス1aに上部からネジ5bで螺着されており、第2基板ユニット7は上記第1基板ユニット6の上部において、ヒンジ部材9により、その一端がシャーシ枠体1に回動自在に取付けられ、他端はボス1bにネジ5cにより螺着されている。また、上記第3基板ユニット8はメカデッキ2の下方において、その一端がヒンジ部材9によりシャーシ枠体1に回動自在に取付けられ、他端はネジ5cによりボス1cに螺着されている。」(第2頁左上欄第2?19行)
(iii)「第1図はこの発明の一実施例を概略的に示す斜視図であり、第2図はその断面側面図である。図において、11はプラスチック等で一体成形されたシャーシ枠体で、天面が開放された箱状となっている。12はメカデッキで、従来例と同じく取付穴13aを有する取付部13を備えている。
上記シャーシ枠体11の前部にはメカデッキ12の前部を保持するための第1保持部14が設けられており、これはシャーシ枠体11の底面11aにボス状に一体形成されており、また上記シャーシ枠体11の略中央部には、メカデッキ12の後部を保持するための第2保持部15が形成されている。この第2保持部15は平面L字状のもので、その縦辺部15dの先端、横辺部15cはそれぞれシャーシ枠体11の側面11e、底面11aに一体形成され、これにより上記縦辺部15dはシャーシ枠体11の底面11aに対してアーチ状になっており、また該縦辺部15dには固定用ボス15aと仮止め穴15bが形成されている。このようにしてメカデッキ12はその前部を第1保持部14に、後部を第2保持部15の固定用ボス15aにネジ16aにより固着されている。
17はほとんどの主要回路部品が搭載された主基板ユニットで、1枚の基板、あるいは複数の基板を結合して形成されたものである。18は外部接続端子板で、これは上記主基板ユニット17と電気的及び機械的に結合されている。19、20はシャーシ枠体11に一体に成形された基板支持台、基板ガイドで両者の間を主基板ユニット17が摺動可能となっている。また21は補強板で、これは主基板ユニット17の両サイドにプラスチックリベット22等により固定されている。
次に作用効果について第2図ないし第4図を用いて説明する。主基板ユニット17は通常の状態では第2図に示すように基板支持台19と、基板ガイド20の間にシャーシ枠体11の後部からシャーシ枠体11の底面11aと第2支持部15の縦辺部15dとの間を通って摺動挿入され、シャーシ枠体11の後面に設けられた取付ボス11bにネジ16bにより外部接続端子18の取付穴18a部分が固着されており、このようにして主基板ユニット17がシャーシ枠体11に装着されている。」(第2頁右下欄第11行?第3頁右上欄第13行)
(iv)「第5図は上記実施例の第2の保持部15の変形例を示すもので、この保持部25は鋼板をプレス加工にて横断面コ字状の棒状体に形成したもので、この第2保持部25はシャーシ枠体11に設けられたボス11dにネジ16cで固着されている。この保持部25はより高い剛性が要求される場合有利である。
第6図は、本発明の他の実施例を示す側面断面図であり、図において、メカデッキ12はシャーシ枠体11に対して所定の角度で前傾して保持されている。23はカセット自動装填装置で、これは前傾したメカデッキ12にカセットテープ24を装填するための機構を有し、カセットテープ24は水平方向に挿入案内された後、同じく前傾して装填される。この構造は、メカデッキ12の下部のスペースを大きくでき、そのため主基板ユニット17上に比較的背の高い部品を配置したい時に有効であり、またメカデッキ12の録画、再生部26部分は、・・・」(第3頁右下欄第5行?第4頁左上欄第3行)

ここで、刊行物1におけるメカデッキ2、12は、記録/再生部をシャーシ内に組み込んだものであることは明らかである。また、刊行物1の磁気記録再生装置は、メカデッキ2、12を基板ユニット8、17を底部に備えたシャーシ枠体1、11底部に平面的に配設するものである。

以上より、上記摘記事項及び図面の記載を参酌すると、刊行物1には、次の考案が記載されているものと認める。

「記録/再生部をシャーシ内に組み込んだメカデッキ2、12を、基板ユニット8、17を底部に装備したシャーシ枠体1、11内に配置し、上記シャーシ枠体1、11を構成するシャーシ底面にボス状に一体形成されて設けられた保持部4、14でメカデッキ2、12の前部を保持し、シャーシ枠体1、11の底面にそれぞれ一体形成された保持部4(第7図)、15(第1図)でメカデッキ2、12の後部を保持するように構成した磁気記録再生装置において、
上記シャーシ枠体1、11の略中央部(第7図ではシャーシ枠体の中央より外部接続端子板側寄り)にメカデッキ2、12の後部を保持する上記保持部4、15を配置、形成した磁気記録再生装置。」

[刊行物2(特開平2-230592号公報)]
同じく当審において通知した訂正拒絶理由中で引用した本件出願前に頒布された刊行物である特開平2-230592号公報(以下、「刊行物2」という。)は、記録媒体再生装置のメカブラケットに関するもので、図面とともに次の技術事項が記載されている。
(i)「〔産業上の利用分野〕
本発明は、記録媒体再生装置において、そのケース内に記録媒体駆動機構と配線基板とを固定するためのメカブラケットに関するものである。」(第1頁左下欄第15?18行)
(ii)「本実施例の組立ては次のようにして行う。
まず、メカブラケット1の上にテープメカニズム2を載せ、メカブラケット1の垂直面1aによって、ガイド、位置決めし、この状態で両部品をねじ8によって締付け固定する。
次に、メカブラケット1の下に、第1の配線基板3をねじ8によって締付け固定し、この後、第2の配線基板4をねじ8によって締付け固定する。そして、くし差しタイプの接続ピン9で第1、第2の配線基板を貫通することにより、両基板を電気的に接続する。
このようにして一体化した内部構造物を、矢印A方向へスライドして、フロントケース7に固定する。この場合、フロントケース7の固定爪7aをメカブラケット1の角穴1fに挿入して、両者を仮固定する。この後、アッパーケース5およびロワーケース6を上下より被せ、各ケース5、6の外面から、ねじ8によってケース5、6とメカブラケット1のボス1eとを締付け固定する。」(第3頁右上欄第15行?同頁左下欄第14行)
(iii)「第3図は、このような実施例を示す図であり、テープメカニズム21を取付けたメカブラケット22を、その固定脚22aによってロワーケース23に取付け、この後、アッパーケース24、リアケース25、およびコ字状のフロントケース26を取付けている。」(第4頁右上欄第11?16行)

(2)対 比
訂正考案と刊行物1に記載された考案とを対比する。
刊行物1に記載された考案は、磁気記録再生装置(VTR)のシャーシ構造に関するものであり、この「磁気記録再生装置」は、訂正考案の「磁気テープ装置」とその対象は同じである。
刊行物1に記載された考案における「シャーシ枠体1、11」は、訂正考案における「装置筐体のシャーシ」のことである。
刊行物1に記載された考案における「メカデッキ2、12」は、記録/再生部をシャーシ内に組み込んだものであるから、訂正考案における「デッキ本体」に相当する。
刊行物1に記載された考案における「基板ユニット8、17」は、1枚あるいは複数の基板を結合して形成された回路部品が搭載された基板であって(刊行物1の摘記事項(ii)、(iii)を参照。)、装置筐体の底部に配設されており、訂正考案における「プリント配線基板」に相当する。
刊行物1の磁気記録再生装置(磁気テープ装置)は、図面からも明らかなように、訂正考案と同様、メカデッキ2、12(デッキ本体)を基板ユニット8、17(プリント配線基板)を底部に備えた装置筐体内に配置するものである。
刊行物1に記載された考案における「メカデッキの後部を保持する保持部4、15」は、シャーシ枠体1、11(装置筐体のシャーシ)の底面に一体形成される(保持部15については、その一部をなす「横辺部15c」は底面11aと一体形成されている)、すなわち「シャーシ底部から起立」して形成され、メカデッキ12(デッキ本体)の後部を取付保持するものであるから、その限りで上記「保持部4、15」は訂正考案における「デッキ取付け部」に相当する。

そうすると、訂正考案と刊行物1に記載された考案とは、次の点で一致する。
<一致点>
「記録及び/または再生部をシャーシ内に組み込んだデッキ本体を、プリント配線基板を底部に平面的に配設した装置筐体内に配置し、
上記装置筐体を構成するシャーシ底部から起立したデッキ取付け部に、上記デッキ本体のシャーシの後部を取付け、支持するように構成した
磁気テープ装置。」

そして、次の各点で相違する。
<相違点>
(a) 「プリント配線基板」に関し、訂正考案においては、パルス・トランスが取り付けられているのに対し、刊行物1に記載された考案においては、このことについて特に示されていない点(以下、「相違点a」という。)。
(b) 「デッキ取付部」に関し、訂正考案においては、「装置筐体のシャーシ後部を構成するバックパネル部に近接して、上記デッキ取付け部を配置、形成した」ものであるのに対し、刊行物1に記載された考案においては、このことについて特には示されていない点(以下、「相違点b」という。)。

(3)判 断
そこで、上記各相違点について検討する。

(相違点aについて)
記録/再生装置においてパルストランスを使用することは、特開平1-136592号公報(VTRやディスク装置などのエレメントとして多用されている小型直流モータの駆動電源にパルストランスを使用)、及び、特開平3-4506号公報(ビデオカメラ等において、基板に実装されたパルストランスを使用。)にみられるように本件出願当時ごく周知の技術に過ぎない。
してみると、刊行物1に記載された考案においても、基板ユニット(プリント配線基板)にこのようなパルス・トランスを設ける程度のことは当業者がきわめて容易に想到できたというべきである。

(相違点bについて)
刊行物1に記載された考案は、メカデッキ2、12(デッキ本体)の後部を保持するための保持部4、15(デッキ取付け部)はシャーシ枠体1、11(装置筐体のシャーシ)の略中央部に形成されるものであるが、上記「保持部4」(デッキ取付部)はシャーシ1(装置筐体のシャーシ)中央部よりシャーシ後部を構成する外部接続端子板側(すなわち「装置筐体のシャーシ後部を構成するバックパネル側」)にやや寄って一体形成されていることが図面(第7、8図)よりみてとれる。また、上記「保持部15」(デッキ取付け部)の一部をなす「横辺部15c」は、シャーシ枠体11の底面11aに一体形成されるものであり(刊行物1の摘記事項(iii)を参照。)、この「横辺部15c」は、シャーシ枠体11(装置筐体のシャーシ)の中央部より側面の側に寄って(近接して)設けられ、メカデッキ12(デッキ本体)の側部を保持していることが明らかである(第1図を参照。)。
一方、装置筐体内の各部品の配置は、該筐体内の限られた空間をできるだけ有効に活用するために、特段の理由がなければ各部品同士、各部品とシャーシ壁部との間隔を空けることなく近接して配置した方がよいことは明らかである。そして、装置筐体全体の重量バランスをとり、剛性を高めようとする場合、比較的重量のあるメカデッキ2、12(デッキ本体)のシャーシ枠体1、11(装置筐体のシャーシ)への取付け位置をできるだけシャーシ枠体1、11(装置筐体のシャーシ)壁面に近接して取付ければよいことも機械的にみてその構造上明らかなことである。
また、刊行物2の第3図に記載のものは、リアケース25(「バックパネル部」に相当)がアッパーケース24、ロワーケース23の後縁部に沿って取り付けられているものであるから、刊行物2の第1図に記載のものにおいても、アッパーケース5、ロワーケース6の後端部にリアケース(バックパネル部)が取付けられるものであり、その場合、アッパーケース5及びロワーケース6のねじ孔5a及び6aが設けられている側に近接する後部位置にリアケース(バックパネル部)が取付けられることは明らかである。
したがって、刊行物1に記載された考案においても、シャーシ枠体1、11(装置筐体のシャーシ)内の空間を有効に活用してメカデッキ2、12(デッキ本体)を配置するとともにシャーシ枠体1、11(装置筐体のシャーシ)全体の重量バランスをとり、剛性をさらに高めるために、シャーシ枠体1、11(装置筐体のシャーシ)の略中央部に形成されたメカデッキ2、12(デッキ本体)の後部を保持する「保持部4、15」(デッキ取付け部)を、刊行物2に記載されたもののように、単にシャーシ枠体1、11(装置筐体のシャーシ)の中央部よりさらに後部側寄りの位置、すなわち装置筐体のシャーシ後部に近接して配置、形成することは当業者がきわめて容易に想到できたものというべきである。

そして、上記各相違点についての判断を総合しても、訂正考案が奏する効果は刊行物1及び2から当業者が十分に予測可能なものであって、格別のものとはいえない。

なお、請求人は、審判請求書及び意見書中で、本件の訂正考案は、一枚のプリント配線基板上にパルス・トランスなどの部品を実装した、いわゆる「一枚基板」について主張しているが、上記「一枚基板」については、本件の出願当初の明細書には何ら記載されておらず、また、訂正後の実用新案登録請求の範囲の請求項1(訂正考案)には、単に「プリント配線基板」とあるのみで、請求人が主張するような「一枚基板」であるかどうか明らかとはいえないので、請求人の「一枚基板」に関する上記主張は採用することができない。

3.まとめ
したがって、訂正考案は、刊行物1、刊行物2に記載された考案、及び、周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができたものではない。

第4 むすび
以上のとおりであって、本件審判の請求に係る訂正は、平成5年改正法附則第4条第2項により読み替えられた実用新案法第39条第5項の規定に適合しない。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-07-19 
結審通知日 2006-07-24 
審決日 2006-08-07 
出願番号 実願平4-47209 
審決分類 U 1 41・ 856- Z (G11B)
U 1 41・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 相馬 多美子  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 江畠 博
山田 洋一
登録日 1997-01-10 
登録番号 実用新案登録第2530916号(U2530916) 
考案の名称 磁気テープ装置  
代理人 安江 邦治  
代理人 本多 泰介  
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